(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態による撹拌容器について図面を参照して説明する。各実施形態は、個々に独立したものではなく、適宜組み合わせることが可能であり、この組み合わせによる相乗効果も把握可能である。実施形態間の重複説明は原則的に省略する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態による撹拌装置の概略構成図である。
図2は、撹拌槽について説明するための図である。
図3は、第1実施形態による撹拌装置の上方視による模式図である。
図4は、第1実施形態によるジャケットについて説明するための図である。
【0013】
本実施形態による撹拌装置1は、液体や紛体を撹拌、混合、あるいは分散する装置であり、材料濃度分布の均一化や熱伝搬
の促進など様々な用途に利用可能である。
【0014】
図1を参照すると、撹拌装置1は、撹拌槽2、撹拌翼3、撹拌軸4、モータ5、圧電素子6、およびジャケット8を有している。
【0015】
図2に示すように、撹拌槽2は胴部2aと槽底部2bを有する容器であり、内部に被撹拌物bを貯留する。撹拌槽2内部には、被撹拌物bに浸る位置に、撹拌軸4に固定された撹拌翼3が配設されている。モータ5の動力を撹拌軸4が撹拌翼3に伝達することで被撹拌物bの中で撹拌翼3が回転する。
【0016】
また、
図1に示すように、撹拌槽2の胴部2aおよび槽底部2bの壁外面2dに複数の圧電素子6が当接している。一例として、撹拌槽2の外周をなす胴部2aには複数の圧電素子6が縦一列に配置されている。圧電素子6は、撹拌槽2の中心にある撹拌軸4の方向をむいている。また、槽底部2bに
は全体に亘って複数の圧電素子6が配置されている。圧電素子6は、圧電セラミックなど圧電効果を備えた物質である圧電体を振動させることにより超音波または音波を発生する振動子である。撹拌翼3により撹拌中の被撹拌物bに、圧電素子6により超音波または音波を送出すると撹拌作用が向上し、短時間で均一な撹拌を行うことができる。
【0017】
図3および
図4に示すように、撹拌槽2の周囲に螺旋状のジャケット8が当接している。ジャケット8は、熱媒体cの流路81となり、撹拌槽2を介して被撹拌物bの温度を調整する。熱媒体cは下方にある入口82からジャケット8に流入し、流路81を上昇しながら移動し、上方にある出口83から排出される。
【0018】
図3を参照すると、上述したように、ジャケット8は撹拌槽2の周囲に螺旋状に当接しているが、圧電素子6が配置されている部分では、圧電素子6を避けるように、撹拌槽2から離れて圧電素子6の外縁に沿って膨らんでいる。
【0019】
以上説明したように、本実施形態による撹拌装置1では、発振子である圧電素子6が、撹拌槽2の外面に当接し、撹拌槽2内の被撹拌物bに弾性波を発生させる。温度調整装置であるジャケット8が撹拌槽2の外面に当接し撹拌槽2を介して被撹拌物bの温度を調整する。したがって、撹拌槽2の槽壁に外面から振動を加えて被撹拌物b
に超音波または音波などの弾性波を発生させながら、槽壁を介して被撹拌物bの温度を調整することができるので、弾性波により撹拌効果を向上させるとともに、弾性波のエネルギーで変化する被撹拌物bの温度の変化を抑制することができる。
【0020】
また、本実施形態では、ジャケット8は、被撹拌物bの温度を調整するための媒体である熱媒体cの流れる流路81が撹拌槽2の外面に螺旋状に配設されている。これにより、撹拌槽2を螺旋状に覆うジャケット8に熱媒あるいは冷媒といった媒体を流すことにより、被撹拌物bの温度を位置的な偏り少なく調整することができる。
【0021】
また、本実施形態では、
図3にて矢印で示すように、ジャケット8内の熱媒体cの流れの回転方向は、撹拌翼3の回転方向と互いに逆回転である。これにより、ジャケット8内の熱媒体cと被撹拌物bとが逆方向に回転するので、ジャケット8による温度調整が広い範囲の被撹拌物bに作用し、偏りの少ない温度調整が可能である。
【0022】
また、本実施形態では、上述したように、ジャケット8内の熱媒体cの流れの方向は下から上へ向かう方向である。これにより、螺旋状のジャケット8内の熱媒体cの流れは下から上に向かう方向となるので、流速を制御する際にも流量
によらず容易にジャケット8に熱媒体で満たしておくことができる。
【0023】
また、本実施形態では、
図1を見て分かるように、撹拌槽2の槽底部2bの外面に当接する圧電素子6をも備えている。これにより、撹拌槽2の槽底部2bからも被撹拌物bに弾性波を与えることができ、より撹拌効果を向上させることができる。
【0024】
また、本実施形態では、撹拌槽2の槽底部2bに発振周波数の異なる複数の圧電素子6を配置することにしてもよい。そうすることにより、槽底部2bから被拌物bに周波数の異なる弾性波が発生するので、撹拌翼3により水平方向に回転する被撹拌物bに複数の弾性波を作用させることができる。
【0025】
なお、本実施形態におけるジャケット8、撹拌翼3、および撹拌軸4の材料は特に限定されるものでないが、例えば、ステンレス鋼、鉄、銅、真鍮、アルミニウム、超硬といった金属系材料が採用される。また、本実施形態の撹拌槽2の材質は、超音波や音波を吸収しやすい樹脂などでなければ、特に限定されるものでないが、やはり例えば、ステンレス鋼、鉄、銅、真鍮、アルミニウム、超硬といった金属系材料で構成される。
【0026】
また、被撹拌物bと接する撹拌槽2の壁内面2c、撹拌翼3、あるいは撹拌軸4には、金属系材料の表面に、ホワイトアルミナ、グレイアルミナ、アルミナ−チタニア、アルミナ−マグネシア、ジルコニア−カルシア、ジルコニア−イットリア、ジルコニア−マグネシア、クロミア−チタニア、クロミア−シリカ−チタニア、タングステン、チタニア、クロミア、イットリア、ジルコニア、クロムカーバイト、マグネシア、セリア、タングステンカ−バイトなどのセラミックスを溶射して表面処理をしたものを用いてもよい。あるいは、金属系材料にテフロン素材(テフロンは登録商標)によるライニングをしたものを撹拌槽2の壁内面2c、撹拌翼3、あるいは撹拌軸4に用いてもよい。
【0027】
被撹拌物bへ熱を伝達する部分も特に本実施形態に限定するものではない。本実施形態のように熱媒体cが流路内部に流れるジャケット構造のほか、ラバーヒーターやペルチェ素子なども利用可能である。また、被撹拌物bの温度を制御するために、温度調整装置には、ジャケット8に加え、温度センサーや制御機器などを備えていてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、ジャケット8の流路81が撹拌槽2の外周に沿って螺旋状に配されているが、これに限定されることはなく、被撹拌物bを均等に温度調整することが可能であればどのような構成や構造であってもよい。例えば、ひとつの流路から、縦方向に延びる複数の流路へ分岐する流路構成であってもよく、槽内に通液可能な冷却コイルを配してもよい。
【0029】
また、本実施形態のジャケット8の流路81として、
図3に示すように、反時計回りに熱媒体cが流れるものを例示したが、これに限定されることはなく、時計回りであってもよい。
図3を見て分かるように、撹拌槽2内の被撹拌物bは時計回りに流れている。そのため、撹拌槽2内の被撹拌物bの流れ方向とジャケット8内の熱媒体cの流れ方向が逆方向(対向流)となっている。本実施形態では、この対向流を採用することで、撹拌槽2内の被撹拌物bの流れ方向とジャケット8内の熱媒体cの流れ方向が同じ方向(並行流)より熱交換による温度調整の効率を上げている。
【0030】
ジャケット8内を通過する熱媒体cの材質は特に限定されないが、ジャケット8内壁など接液部を腐食劣化させないものであることが好ましい。熱媒体cの例として、水、熱風、蒸気、エチレングリコール、プロピレングリコール、その他グリコール類、シリコーンオイル、塩水などを単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。水であれば、一過水(使い捨て)であってもよいし、循環水(再使用)であってもよい。また、熱を伝達する観点から、熱媒体cの流速は、伝熱面において、0.3−3.0m/secであることが好ましく、より好ましくは1.0m/sec以上である。また、熱媒体cは一種類のものを使用してもよいし、要求条件等によって使い分けてもよい。また、温度調整装置としては、熱媒体cをジャケット8の入口82で所望温度に安定的に制御できることが好ましい。
【0031】
また、本実施形態では、発振子として圧電素子6を用いたが、各種タイプの圧電素子6が利用可能である。例えば、電歪型と磁歪型のいずれも使用することができるが、好ましくはエネルギーロスが少ない電歪型が好ましい。
【0032】
また、本実施形態において、被撹拌物bに与える弾性波の周波数も特に限定されない。典型的には超音波領域であるが、必ずしも超音波領域でなくてもよい。例えば、可聴波を使用することもできるし、超音波と可聴波を併用することもできる。周波数は目的に応じて選定され、好ましくは15kHz以上であり、より好ましくは20kHz以上1,000kHz以下である。
【0033】
また、本実施形態では、圧電素子6
が発生する弾性波は波長および振幅が一定であるが、これに限定されることはなく、波長および振幅はそれぞれ可変であってもよい。
【0034】
また、本実施形態では、撹拌槽2内の被撹拌物bの流動を促進するための構造は特に設けていないが、撹拌槽2の壁内面2cにバッフルを設置してもよい。その場合、バッフルの形状、大きさ、数、設置位置などは任意に定めることができる。
【0035】
<第2実施形態>
第2実施形態による撹拌装置について主に第1実施形態のものと相違する点について説明する。
【0036】
図5は、第2実施形態による撹拌装置の概略構成図である。
図6は、第2実施形態による撹拌装置の上方視による模式図である。
図7は、第2実施形態によるジャケットについて説明するための図である。
【0037】
図5に示す第2実施形態による撹拌装置1Aは、
図1に示した第1実施形態による撹拌装置1と比べると、撹拌槽2の胴部2aの壁外面2dにおける互いに対向する位置に、複数の圧電素子6Aと複数の圧電素子6Bが対をなして配置されている点で相違している。
【0038】
図6および
図7を見て分かるように、第2実施形態のジャケット8は、撹拌槽2の周囲を螺旋状に当接しているが、圧電素子6Aあるいは圧電素子6Bが配置されている部分では、圧電素子6Aあるいは圧電素子6Bを避けるように、撹拌槽2から離れ、圧電素子6A、6Bの外縁に沿って膨らんでいる。
【0039】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、撹拌槽2の内部には、撹拌時に回転する撹拌軸4と、その撹拌軸4に対して線対称に固定され、撹拌軸4と共に回転して被撹拌物bを撹拌する平面形状の2枚の撹拌翼3a、3bとが配置されている。そして、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、圧電素子6A、6Bが、撹拌軸4を中心に対称の位置にて対をなし、撹拌軸4に向かって配置されている。このように、圧電素子6A、6Bが撹拌軸4を挟んで両側に配置されているので、回転している撹拌翼3がどの位置にあっても、どの位置の被撹拌物bにも圧電素子6Aからの弾性波あるいは圧電素子6Bからの弾性波が撹拌翼3に遮られずに到達する。
【0040】
図8は、第2実施形態による撹拌装置における圧電素子の駆動と撹拌翼の回転の様子を示すタイムチャートである。
図8のグラフは横軸が時間である。圧電素子6A、6Bのグラフにおける縦軸が振幅である。撹拌翼3のグラフにおける縦軸が位相である。
【0041】
図8において、圧電素子6A、6Bのグラフにおいて振幅が現れている部分が圧電素子6A、6Bが稼働している時間帯を表し、振幅が現れていない部分が圧電素子6A、6Bが非稼働の時間帯である。撹拌軸4を挟んで対向する位置に配置された圧電素子6Aと圧電素子6Bは時分割で交互に稼働と非稼働を繰り返す。
図8では、圧電素子6Aが稼働している時間帯ta1と非稼働の時間帯ta2が交互に現れている。同様に、圧電素子6Bが稼働している時間帯tb1と非稼働の時間帯tb2
が交互に現れている。そして、時間帯ta2と時間帯tb1が重なっており、時間帯ta1と時間帯tb2が重なっている。このように、対向する圧電素子6Aと圧電素子6Bが交互に稼働するので、圧電素子6Aと圧電素子6Bが同時に稼働することがなく、互いの弾性波の干渉を避けて双方の圧電素子6A、6Bによる弾性波を有効に作用させることができる。干渉が起きると、圧電素子6Aからの弾性波と圧電素子6Bからの弾性波が干渉し、重なり合って効果が強まる部分と、打ち消し合って効果が弱まる部分とが出てしまい、ムラが大きくなってしまう。これに対して、本実施形態では、圧電素子6Aと圧電素子6Bを時分割で稼働させることで干渉を避け、ムラを小さく抑えることができる。
【0042】
また、第2実施形態では、撹拌翼3が回転する周期と圧電素子6A、6Bが稼働と非稼働を繰り返す周期とは互いに異なりかつ互いに他方の整数倍とも異なる。
図8では、圧電素子6A、6Bが稼働と非稼働を繰り返す周期T1と、撹拌翼3が回転する周期T2が異なっている。また、周期T2は周期T1の整数倍でもなく、周期T1が周期T2の整数倍でもない。このように、撹拌翼3が被撹拌物bを回転させる周期と、圧電素子6A、6Bが稼働と非稼働を繰り返す周期がずれているので、弾性波の作用が被撹拌物bの特定の部分に集中することがなく、撹拌効果を均等化することができる。
【0043】
図9は、第2実施形態の変形例による撹拌装置における圧電素子の駆動の様子を示すタイムチャートである。変形例の場合には、圧電素子6Aと圧電素子6Bが交互の稼働と非稼働を繰り返すのではなく、圧電素子6Aおよび圧電素子6Bは同時に継続的に稼働する。ただし、変形例では、圧電素子6Aと圧電素子6Bの発振周波数が互いに異なり、かつ、互いに他方の発振周波数の整数倍とも異なる。圧電素子6Aの発振周波数faは、圧電素子6Bの発振周波数fbと異なり、また、発振周波数faは発振周波数fbに整数倍ではなく、発振周波数fbは発振周波数faに整数倍ではない。このようにすれば、対をなして対向する圧電素子6Aの弾性波と圧電素子6Bの弾性波の合成波が撹拌軸4を中心とした線対称にならないので、撹拌翼3による撹拌と相まって、弾性波による作用が特定の部分に集中しなくなり、撹拌効果を均等化することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、圧電素子6Aと圧電素子6Bとが同数である例を示したが、これに限定されることは無い。また、本実施形態では、撹拌軸4を挟んで互いに対向する位置に圧電素子6Aと圧電素子6Bの一対が配置される例を示したが、これに限定されることは無い。撹拌軸4を挟む複数の対が配置されも良い。
【0045】
<第3実施形態>
第3実施形態による撹拌装置について主に第2実施形態のものと相違する点について説明する。
【0046】
図10は、第3実施形態による撹拌装置の概略構成図である。
図11は、第3実施形態による撹拌装置の上方視による模式図である。
図12は、第3実施形態によるジャケットについて説明するための図である。
【0047】
図10、
図11、
図12を
図5、
図6、
図7と比較して見ることで分かるように、第3実施形態による撹拌装置1Bは、ジャケット構造が第2実施形態の撹拌装置1と異なっている。
【0048】
第2実施形態のジャケット8Aは、
図5、
図7に示したように、撹拌槽2の胴部2aの周囲に螺旋状に、上下方向に間隔を空けずに配設されている。一方、第3実施形態では、ジャケット8Bは上下方向に間隔がある螺旋形状である。そして、圧電素子6A、6Bは、ジャケット8Bの間隔にて撹拌槽2の胴部2aの壁外面2dに当接するように配設されている。ジャケット8は圧電素子6A、6Bを上下方向に避けて配置されているので、圧電素子6A、6Bを径方向に避ける必要が無い。そのため、ジャケット8Bは、
図11に示すように、上方視にて円形構造を採用することができる。これによりジャケット8B内の熱媒体cのスムーズな流れを実現することができる。また、第2実施形態のように特定の部分でジャケット8Bが撹拌槽2から離れる必要が無いので、撹拌槽2の周囲全体に均一な温度調整を実現することができる。
【0049】
第3実施形態では、対をなす圧電素子6A、6Bが、
第2実施形態と同様に、撹拌軸4を中心として線対称の位置に配設される例を示したが、これに限定されない。第3実施形態の変形例として、撹拌槽2の胴部2aにおいて、ジャケット8Bの上下方向の間隔に沿って、螺旋形状を描くように圧電素子6を配列することにしても良い。これにより多数の圧電素子6を周囲に配置し、様々な方向から中心に弾性波を送出することができるようになる。
【0050】
また、第3実施形態では、ジャケット8Bは入口82から出口83まで均等に間隔を空けて螺旋形状を形成する例を示したが、これに限定されることは無い。他の例として、ある特定の部分だけジャケット8の流路81が上下方向に間隔を空け、その部分に圧電素子6を配置することにしてもよい。
【0051】
以下、実施例1、2および比較例について説明する。
【0052】
実施例1、2および比較例に共通の条件は以下の通りとした。
【0053】
すなわち、撹拌槽2は、槽底部2bを平底とする円筒形とし、槽径D=200mm、板厚t=1.5mm、槽高さB=250mm(有効高さ200mm)とした。撹拌槽2の材質としては全体をSUS316L鋼で製作した。バッフルは未設置とした。
【0054】
また、撹拌軸4はφ10mmとした。撹拌翼3は翼径d=120mm、翼高さb=80mm、板厚1.5mmの2枚翼とした。撹拌翼3の翼底形状は、槽底形状に合わせた。撹拌時の撹拌翼3の回転数は80rpmとした。
【0055】
撹拌槽2の胴部2aの壁外面2dに取り付ける圧電素子6は、市販のφ45mmのランジュバン型振動子(28kHz、25W/個相当)を用いた。また、槽底部2bに取り付ける圧電素子6は、市販のφ45mmのランジュバン型振動子28kHzおよび40kHz、25W/個相当を併用した。
【0056】
また、ジャケット8は、流路81をジャケット幅x=10mm、ジャケット高さy=50mmとした。熱媒体cには、水とエチレングリコールの混合液を使用し、エチレングリコールは75wt.%とし、残りは水とした。ジャケット8内部での温度が20℃となるように調整してジャケット8下部の入口82より流入させた。熱媒体cが流路81を流れる速度は、伝熱面において、1.0−1.5m/sec(0.5−0.75L/sec)に調整した。
【0057】
被撹拌物bは、市販の水あめとヨウ素の溶液、チオ硫酸ナトリウムの合計4Lを用いた。ヨウ素溶液と水あめ溶液の混合物を用意した。ジャケット8に通水するとともに、モータ5を動作させ、温度を安定させた後、ヨウ素に対し、1.1当量となるチオ硫酸ナトリウムとなるチオ硫酸ナトリウム水溶液を一気に添加した。チオ硫酸ナトリウム水溶液を添加した時刻を混合開始の基準時刻とした。
【0058】
また、撹拌翼3を継続的に回転させ、撹拌装置1を連続運転させ、その間、混合性の確認として、基準時刻から、目視においてヨウ素が脱色されるまでの時間(脱色時間)を計測した。
【0059】
実施例1、実施例2、および比較例の個別の条件は以下の通りとした。
【0060】
<実施例1>
実施例1では、上記第1実施形態を想定し、撹拌槽2の胴部2aの壁外面2dには、上方視として
図3と同様に、撹拌槽2の外周の一か所に鉛直方向に1列にほぼ等間隔に4つ配置した。
【0061】
<実施例2>
実施例2では、上記第2実施形態を想定し、撹拌槽2の胴部2aの壁外面2dには、上方視が
図6と同様に、撹拌軸4を中心として互いに対向する位置に圧電素子6Aと圧電素子6Bをそれぞれ1列にほぼ等間隔に4つずつ配置した。
また、実施例2では、圧電素子6Aと圧電素子6Bの稼働制御における初期時刻を一致させ、圧電素子6Aは厳密に1秒間稼働させた後、1秒間非稼働とし、これを繰り返すパルス運転とした。他方、圧電素子6Bは、厳密に1秒間非稼働とした後、1秒間稼働とし、これを繰り返すパルス運転とした。すなわち、圧電素子6Aと圧電素子6Bが稼働と非稼働を1秒ごとに交互に繰り返すように運転した。
【0062】
<比較例>
上記実施例1、2と比較するため、比較例では、実施例1の構成において圧電素子6を動作させずに運転した。
【0063】
上記実施例1、2および比較例によりヨウ素の脱色時間を計測した。
図13は、実施例1、2および比較例の脱色時間を示す表である。表1から、実施例1および実施例2では比較例に比べて脱色時間が短縮されているのが分かる。