(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  幅方向の端縁に、該端縁に沿った長さ方向に延在する角筒状の枠材を有し、対向する前記端縁間に所定の間隙を介して隣接して複数配置された外壁パネルを、建物の下地に留付ける留付け金具であって、
  前記長さ方向に延在し棒状連結材が挿通される長穴を有する留付け本体と、
  前記留付け本体の側方に突設される支持部と、を備え、
  前記留付け本体の長さ方向の一端を基端部とし、他端を先端部とし、
  前記留付け本体は、前記長穴を有し前記棒状連結材により前記下地に固定される平板状の固定部を有し、
  前記支持部は、前記留付け本体の前記基端部から該留付け本体の幅方向に延在する第一の支持腕と、前記第一の支持腕のうち前記基端部と反対側の端部から前記留付け本体の長さ方向のうち前記基端部から前記先端部に向かって延在し角筒状の前記枠材の内部空間に挿入される第二の支持腕と、を有していることを特徴とする留付け金具。
  幅方向の端縁に、該端縁に沿った長さ方向に延在する枠材を有し、対向する前記端縁間に所定の間隙を介して隣接して複数配置された外壁パネルを、建物の下地に留付ける留付け金具であって、
  前記長さ方向に延在し棒状連結材が挿通される長穴を有する留付け本体と、
  前記留付け本体の側方に突設され、前記外壁パネルの前記枠材内に挿入される支持部と、を備え、
  前記留付け本体は、前記長さ方向に延在し、前記枠材に沿って前記留付け本体を前記長さ方向に移動するようにガイドするガイド部を有していることを特徴とする留付け金具。
  幅方向の端縁に、該端縁に沿った長さ方向に延在する枠材を有し、対向する前記端縁間に所定の間隙を介して隣接して複数配置された外壁パネルを、建物の下地に留付ける留付け金具であって、
  前記長さ方向に延在し棒状連結材が挿通される長穴を有する留付け本体と、
  前記留付け本体の側方に突設され、前記外壁パネルの前記枠材内に挿入される支持部と、を備え、
  前記留付け本体は、前記長穴を有し前記下地に固定されるとともに前記下地に対して前記外壁パネルを固定する固定部と、前記固定部の両側から垂直に立設する一対の側壁部とを有していることを特徴とする留付け金具。
  幅方向の端縁に、該端縁に沿った長さ方向に延在する枠材を有し、対向する前記端縁間に所定の間隙を介して隣接して複数配置された外壁パネルを、建物の下地に留付ける留付け金具であって、
  前記長さ方向に延在し棒状連結材が挿通される長穴を有する留付け本体と、
  前記留付け本体の両側に突設され、前記外壁パネルの前記枠材内に挿入される一対の支持部と、を備え、
  前記留付け本体の長さ方向の一端を基端部とし、他端を先端部としたとき、
  前記留付け本体は、前記基端部側の端部が、前記長さ方向において、前記一対の支持部との間に段差が設けられるように、前記先端部に向かって凹設されていることを特徴とする留付け金具。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
  以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。まず、
図4を用いて本実施の形態の留付け金具により固定される外壁構造、及びこの外壁構造を有する建物ユニットについて説明する。この
図4は、建物を構成する建物ユニット1の概略構成を説明するための斜視図である。
 
【0016】
  この
図4に示す建物ユニット1は、横方向及び上下方向に複数連結させることで建物を構成するものである。この建物ユニット1は、四隅に配置される4本の柱2,・・・と、その上端間に横架される梁としての天井梁31,・・・と、その下端間に横架される梁としての床梁32,・・・とから構成される骨組構造体としてのラーメン構造体11を主たる構造部材としている。
 
【0017】
  この柱2と天井梁31及び床梁32とは、剛接合されているが、この剛接合はまったく柱2と梁31,32との角度が変わらないものに限定されるものではなく、現実的な構造物としての半剛接合で接合されているものも含むものである。
 
【0018】
  また、床梁32,32間には、所定の間隔を置いて複数の小梁321,・・・が架け渡されている。
図4の前面側の柱間2,2には、4枚の外壁パネル5,・・・を取り付けるための5本の間柱4,・・・が配置されている。
 
【0019】
  この間柱4は、上端が天井梁31に連結されるとともに、下端が床梁32に連結される。また、柱2に隣接する間柱4,4を除いた中間の3本の間柱4,4,4には、それぞれ2枚の別体の外壁パネル5,5の幅方向の端縁が接合される。また、柱2に隣接する間柱4,4には、外壁パネル5とは異なる出隅用外壁パネル6が接合される。
 
【0020】
  この外壁パネル5を有する外壁構造の断面図を
図3に示す。また、外壁パネル5と留付け金具7とを建物ユニット1の内部側から見た裏面図を
図5に示す。
図3、
図5に示すように、隣接する2枚の別体の外壁パネル5,5は、互いに隣接する端縁間に所定の間隙を介して配置されている。この間隙の幅方向の長さをD1とする。また、柱2側で隣接する外壁パネル5と出隅用外壁パネル6も、互いに隣接する端縁間に所定長さD1の間隙を介して配置されている。
 
【0021】
  この外壁パネル5は、矩形の面材としての硬質木片セメント板52と、その裏面側の縁部を囲うように配置される枠材としてのフレーム51とから主に構成される。なお、外壁パネル5の構成は、
図3、
図5に示すものに限定されるものではない。また、出隅用外壁パネル6は、平面視L字形で、硬質木片セメント板などから構成される。
 
【0022】
  外壁パネル5のフレーム51は、棒状連結材としてのリベット10を挿通させるリベット孔51aが、上下方向に間隔を置いて複数開口されている。このフレーム51は、
図5に示すように長さ方向に長尺で、
図3に示すように、幅方向における断面視ロ字形(矩形)の角筒からなる。フレーム51の内部空間は後述の留付け金具7の支持部72が挿入される被挿入部51bとなっている。
 
【0023】
  また、
図3に示すように、外壁パネル5の硬質木片セメント板52とフレーム51との間には、接着材としてのウレタン系やエポキシ系の接着剤53が隙間なく介在されている。
 
【0024】
  すなわち、このフレーム51の裏面の少なくとも縁部を囲うように連続して接着剤53を塗布し、硬質木片セメント板52に貼りつけることで、硬質木片セメント板52とフレーム51との間に外部から水分などが浸入する隙間の発生を防ぐことができる。
 
【0025】
  また、外壁パネル5,5の隣接する端面間の間隙(目地)に、シリコーン系やウレタン系のシーリング材(目地材)8を充填することで、間隙からの外壁パネル5内部への水分などの侵入を防いでいる。
 
【0026】
  間柱4と外壁パネル5とは、リベット10によって接合される。このリベット10は、ワンサイドリベットであり、間柱4側から打ち込むだけでフレーム51と間柱4とを接合することができる。
 
【0027】
  そして、隣接する外壁パネル5,5は、隣接する端部の上端及び下端が本実施の形態の留付け金具7によって下地としての間柱4に留付けられている。また、柱2側で出隅用外壁パネル6と隣接する外壁パネル5は、その端縁の上端及び下端が留付け金具(以下、「出隅用留付け金具」という)7A,7A’によって、間柱4に留付けられている。
 
【0028】
  ここで、
図1、
図2(a)、
図2(b)を用いて本実施の形態の留付け金具7の構成を説明する。
図1は本実施の形態の留付け金具7の斜視図である。
図2(a)は留付け金具の上面図であり、
図2(b)は留付け金具の平面図である。これらの図に示すように、本実施の形態の留付け金具7は、留付け本体71と、留付け本体71の両側に突設された一対の支持部72とを備えている。
 
【0029】
  この留付け本体71は、建物の下地としての間柱4に固定される平板状の固定部73と、この固定部73の両側から垂直に立設する一対の側壁部74とを有し、幅方向の断面視略コ字形を呈している。この固定部73の幅方向の中央に、外壁パネル5の端縁に沿った長さ方向に長尺な長穴75が設けられている。この長穴75に棒状連結材としてのビス12が挿通される。このビス12によって固定部73が間柱4に固定されることで、留付け本体71は、フレーム51に挿入された支持部72を介して外壁パネル5を間柱4側に押さえ付ける。
 
【0030】
  また、
図2(a)、
図2(b)に示す留付け本体71の幅方向の長さ(一対の側壁部74,74の外径)d1は、
図3に示す2枚の外壁パネル5,5の間隙の長さ(フレーム51,51の間隙の長さ)D1と同一長さとなっている。これにより、固定部73をフレーム51,51間に隙間なく安定して配置することができる。また、一対の側壁部74,74でフレーム51,51を介して外壁パネル5,5を支持することもできる。なお、同一長さとは、厳密に同一の長さでなくても、ほぼ同一であればよく、多少の寸法誤差があっても構わない。以下で説明する長さについても同様である。
 
【0031】
  また、このような寸法合わせとすることで、支持部72をフレーム51の被挿入部51bに挿入しつつ留付け本体71を長さ方向に移動するときに、側壁部74の外面がフレーム51の一方の外側面に接触しながら該外側面に沿って長さ方向に導かれる。したがって、側壁部74は、留付け金具7を長さ方向にガイドするガイド部としても機能し、挿入作業をより円滑に行うことができる。
 
【0032】
  また、留付け本体71を上記寸法で、断面視略コ字形に形成することで、
図3に示すように、留付け本体71を、間柱4及び対向するフレーム51,51の外側面に沿わせて配置することができる。そのため、間柱4とフレーム51,51で形成される空間が留付け金具7で閉塞されることがない。この空間を、湿気や水分などが流通可能な流通路S2とすることができる。
 
【0033】
  上記支持部72は、留付け本体71の両側に平面視略L字形に突設されている。この支持部72は、留付け本体71の幅方向に延在する第一の支持腕76と、この第一の支持腕76から長さ方向(フレーム51への挿入方向)に延在する第二の支持腕77とを有している。
 
【0034】
  この留付け金具7において、第二の支持腕77を被挿入部51bに挿入可能とするため、
図2(a)、
図2(b)に示す側壁部74の外面から第二の支持腕77の外面までの幅方向の長さd2は、少なくともフレーム51の厚みよりも長く形成する。
 
【0035】
  さらに本実施の形態では、この長さd2を、
図3に示すフレーム51の一方の外側面から他方の内側面までの長さD2よりも短くしている。これにより、支持部72をフレーム51の被挿入部51bに挿入するときに、第二の支持腕77とフレーム51の内側面との擦れ合いなどを抑制することができる。また、第二の支持腕77が長手方向に平行かつ長尺に延在しているため、フレーム51に沿って第二の支持腕77を挿入するだけで、留付け金具7を外壁パネル5,5に取付けることができ、取付け作業を円滑に行うことができる。
 
【0036】
  また、
図2(a)に示すように、奥行方向において支持部72は固定部73が、長さd3だけ外側に突出している。この突出長さd3は、フレーム51の厚みと同じかそれよりもやや長くすることが望ましい。これにより、第二の支持腕77を被挿入部51bに挿入しても、フレーム51の厚みに影響されることなく、
図3に示すように、固定部73を間柱4に当接させることができる。
 
【0037】
  また、
図2(b)に示すように、固定部73は、長さ方向においてフレーム51への挿入側とは反対側の底部が凹設されており、一対の側壁部74よりも、固定部73は長さd4だけ短く形成されている。この構成により、留付け金具7でフレーム51を間柱4に留め付けたとき、一点鎖線で示す床梁32や天井梁31の上面などの設置部9と固定部73の間に、外壁パネル5の外部と内部を連通する連通口S1が形成される。
 
【0038】
  さらに、この連通口S1は、間柱4とフレーム51,51とで形成される流通路S2と連通している。そのため、この流通路S2と連通口S1を介して、外壁パネル5の内部の湿気や水分を外部に逃がすことができ、外壁パネル5の内部の結露などを防止することができる。
 
【0039】
  なお、留付け金具7は長穴75を有する留付け本体71と、フレーム51に挿入してこれを支持する支持部72とを有する構成であれば、本実施の形態の構成に限定されることはない。また、留め付け金具7の製造方法も、限定されることはない。本実施の形態では、例えば金属板を型抜きして
図2(c)に示すように長穴75を有する板材7’を製作する。この板材7’を点線部分で山折り又は谷折りすることで、固定部73、側壁部74、長穴75、第一の支持腕76、第二の支持腕77が一体に連結された留付け金具7を容易に得ることができる。
 
【0040】
  上述のような構成の留付け金具7で外壁パネル5を間柱4に留付けるときには、
図5に示すように、D1の間隙を介して2枚の別体の外壁パネル5,5を配置し、リベット孔51aにリベット10を打ち込んで間柱4に接合する(
図3参照)。次に、
図3、
図5に示すように、固定部73を内部側(間柱4側)に向け、側壁部74を外部側(外壁パネル5側)に向け、第二の支持腕77の先端を上方(フレーム51へ向く方向)に向けて留付け金具7を配置する。
 
【0041】
  この配置状態で、外壁パネル5,5の下端から、対向するフレーム51,51の被挿入部51b内に、第二の支持腕77を挿入し、フレーム51,51に留付け金具7を取付ける。なお、フレーム51,51への留付け金具7の取付け順が、これに限定されることはなく、外壁パネル5,5をリベット10で間柱4に接合する前に取付けることもできる。
 
【0042】
  次に、フレーム51,51の間隙に配置された固定部73を間柱4に当接させた状態で、長穴75にビス12を挿通して、固定部73を間柱4に固定する。これにより、外壁パネル5,5の端縁の下端が、留付け金具7によって間柱4に留め付けられる。同様にして、外壁パネル5,5の端縁の上端も、留付け金具7で間柱4に留め付けることができる。
 
【0043】
  次に、
図6、
図7を用いて本実施の形態の出隅用留付け金具7A,7A’の構成を説明する。
図6(a)は本実施の形態の一方の出隅用留付け金具7Aの斜視図であり、
図6(b)は本実施の形態の他方の出隅用留付け金具7A’の斜視図である。
図7(a)は一方の出隅用留付け金具7Aの上面図であり、
図7(b)は留付け金具の平面図である。
 
【0044】
  図6に示すように、一方及び他方の出隅用留付け金具7A,7A’は、左右対称の形状を呈している。そのため、
図7には一方の出隅用留付け金具7Aの上面図と平面図を記載し、他方の出隅用留付け金具7A’の上面図と平面図は省略している。このように左右対称の2つの出隅用留付け金具7A,7A’を用いることで、出隅用外壁パネル6に隣接する外壁パネル5の上下に対称に取り付けることができる。さらには、外壁パネル5が出隅用外壁パネル6の左右何れの位置に配置されていても、その位置関係に応じて一方又は他方の出隅用留付け金具7A,7A’を外壁パネル5の上下に取付けることができる。
 
【0045】
  図6、
図7に示すように、一方及び他方の出隅用留付け金具7A,7A’は、支持部72が留付け本体71A,71A’の一方又は他方の一側に突設されていること以外は、上述の留付け金具7とほぼ同一の基本構成を備えている。各部の寸法や位置関係も上述の留付け金具7とほぼ同一である。そのため、留付け金具7と同一の構成は同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。また、一方及び他方の出隅用留付け金具7A,7A’も、留付け金具7と同様に、金属板を型抜き加工及び折り曲げ加工して製作することができる。
 
【0046】
  各留付け本体71A,71A’は、幅方向の中央に長穴75が形成された平板状の固定部73と、この固定部73の一側又は他側から垂直に立設する1つの側壁部74とを有している。また、側壁部74を設けた側とは反対側の固定部73の他側又は一側の端部は、R曲げ加工することで、R部74’を形成し、各出隅用留付け金具7A,7A’を外壁パネル5に取り付ける際に、固定部73の端部と他の部材との擦れ合いなどを防止している。
 
【0047】
  このような構成とすることで、留付け本体71A,71A’は、幅方向の断面視略J(若しくはL)字形を呈している。そのため、出隅用留付け金具7A,7A’によっても、間柱4とフレーム51で形成される流通路S2を閉塞することがない。
 
【0048】
  また、
図7(b)に示すように、固定部73の底部が凹設され、側壁部74よりも、固定部73は長さd4だけ短く形成されている。よって、床梁32や天井梁31の上面などの設置部9と固定部73の間に、外壁パネル5の外部と内部を連通する連通口S1が形成される。そして、このような固定部73の一側又は他側に、第一の支持腕76と、第二の支持腕77とを有する支持部72が突設されている。
 
【0049】
  上述のような構成の出隅用留付け金具7A,7A’で出隅用外壁パネル6に隣接した外壁パネル5を間柱4に留付ける手順を、
図8を用いて説明する。
図8は、出隅用外壁パネル6及び外壁パネル5と留付け金具7とを建物ユニット1の内部側から見た裏面図である。
 
【0050】
  この
図8に示すように、出隅用外壁パネル6に隣接して外壁パネル5を配置し、外壁パネル5をリベット孔51aにリベット10を打ち込んで間柱4に接合する(
図3、4参照)。次に、まず、一方の出隅用留付け金具7Aの留付け金具7を、固定部73を内部側に向け、第二の支持腕77の先端を上方に向けて配置する。
 
【0051】
  この配置状態で、外壁パネル5の下端から、フレーム51の被挿入部51b内に、第二の支持腕77を挿入し、フレーム51に一方の出隅用留付け金具7Aを取付ける。なお、この場合も外壁パネル5を間柱4に接合する前に出隅用留付け金具7Aを外壁パネル5に取付けることもできる。
 
【0052】
  次に、長穴75にビス12を挿通して、固定部73を間柱4に固定する。同様にして、外壁パネル5の端縁の上端に、他方の出隅用留付け金具7A’を取付けて、間柱4に留め付ける。これにより、外壁パネル5の端縁の上端及び下端が、一方及び他方の出隅用留付け金具7A,7A’によって間柱4に留め付けられる。なお、出隅用外壁パネル6と外壁パネル5との位置関係によっては、外壁パネル5の上端を一方の出隅用留付け金具7Aで留付け、下端を他方の出隅用留付け金具7A’で留付けることもできる。
 
【0053】
  次に、本実施の形態の留付け金具7,7A,7A’で固定された外壁構造を有する建物の作用について説明する。
 
【0054】
  上述のように構成された建物ユニット1は、ラーメン構造体11の上下の梁31,32間に連結される間柱4,・・・に、リベット10を介して外壁パネル5が取り付けられている。また、隣接する外壁パネル5,5の端縁の上端及び下端が留付け金具7によって、間柱4に留付けられている。また、柱2側で出隅用外壁パネル6と隣接する外壁パネル5の端縁の上端及び下端が、出隅用留付け金具7A,7A’によって、間柱4に留付けられている。
 
【0055】
  したがって、温度変化や湿度変化などの外部環境の影響により、外壁パネル5の面材が経時で収縮や膨張を生じた場合に、留め付け金具7,7A,7A’によって外壁パネル5の面外方向(外方向又は内方向)への移動や変形が抑制される。その結果、外壁パネル5の反りを防止することができる。
 
【0056】
  一方、建物ユニット1に、水平外力としての地震力が作用すると、間柱4,4間を連結する外壁パネル5がブレースのような働きをしてラーメン構造体11とともに建物ユニット1の揺れを抑える働きをする。
 
【0057】
  ここで、建物ユニット1に作用する地震力が大きくなると、ラーメン構造体11が地震エネルギーを吸収して地震力を緩和させることができる。
 
【0058】
  本実施の形態では留付け金具7,7A,7A’を間柱4に固定するビス12が、長穴75に挿通されているため、長穴75の長さの範囲内で留付け金具7,7A,7A’の上下方向の移動が許容される。そのため、外壁パネル5と共に留付け金具7,7A,7A’も面内方向へ移動することができ、外壁パネル5の面内方向への移動が可能となって、ラーメン構造体11によって地震力を良好に緩和させることができる。その結果、ラーメン構造体11や外壁パネル5の変形や損傷を抑制し、建物ユニット1の倒壊や崩壊を防ぐことができる。
 
【0059】
  また、外壁パネル5,5と留付け金具7,7A,7A’とは、連結材などを用いることなく、フレーム51,51の被挿入部51bに長尺な第二の支持腕77を挿入することで連結している。さらに、第二の支持腕77を、フレーム51の厚みよりも長い長さd2を介在して設けている。また、この長さd2をフレーム51の一方の外側面から他方の内側面までの長さD2よりも短くしている。そのため、外部環境の影響などにより外壁パネル5,5が長さ方向や幅方向に収縮又は膨張しても、フレーム51,51から第二の支持腕77が抜けにくくなり、留付け金具7による外壁パネル5,5の留め付けを維持して、反り防止効果や地震時の外壁パネル5などの損傷防止効果を長期に持続することができる。
 
【0060】
  また、留付け金具7では留付け本体71をコ字形とし、出隅用留付け金具7A,7A’では留付け本体71A,71A’をJ(又はL)字形として、外壁パネル5,5の間隙の後方に空間を設けている。したがって、シーリング材8を充填するときに、間隙へのシーリング材8の納まりが制限されることがない。そのため、留付け金具7,7A,7A’を用いても、シーリング材8による優れたシール性を確保することができる。
 
【0061】
  さらに、フレーム51,51間の流通路S2と、固定部73及び設置部9間に設けられた連通口S1により、湿気や水分などを外部に逃がすことができ、結露の抑制効果を向上させることができる。
 
【0062】
  上記実施の形態では、一枚の板材7’ などを折り曲げて留付け金具7,7A,7A’を形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、金属製の板材や棒材からなる複数の部材を溶接などによって接合して留付け金具を形成することもできる。また、上記実施の形態のように折り曲げによって立体的とした留付け金具7,7A,7A’に限定されることもなく、平板状の留付け金具とすることもできる。
 
【0063】
  以下、第2、第3の実施形態に係る留付け金具について図面を参照しながら具体的に説明する。
 
【0064】
(第2実施形態)
  第2実施形態に係る留付け金具7B及び出隅用留付け金具7C,7C’について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9(a)乃至
図9(c)は、互いに隣接する外壁パネル5,5を間柱4に留付ける第2実施形態の留付け金具7Bの斜視図、側面図、平面図をそれぞれ示している。
図10(a)、
図10(b)は、出隅用外壁パネル6と隣接する外壁パネル5を間柱4に留付ける第2の実施形態の一方及び他方の出隅用留付け金具7C,7C’の平面図をそれぞれ示している。第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、外壁パネル5のいずれの方向からも取付け可能となるように、左右対称の一方の出隅用留付け金具7Cと他方の出隅用留付け金具7C’とを備えている。
 
【0065】
  上記第1実施形態の留付け金具7及び出隅用留付け金具7A,7A’は、金属板を立体的に折り曲げ加工して、側壁部74や支持部72の面が固定部73に対してほぼ垂直に配置された立体的な構造としている。これに対して、第2実施形態の留付け金具7B及び出隅用留付け金具7C,7C’は、金属材を固定部73と支持部72とを有する形状に型抜きして、垂直に折り曲げることなく製作している。そのため、第2実施形態では、留付け本体71は、固定部73を有しているが、両側壁74を有しておらず平面的であり、支持部72の第一の支持腕76及び第二の支持腕77も、その面が固定部73に対して平行となっている。
 
【0066】
  なお、支持部72は、第二の支持腕77の第一の支持腕76側の基端部77’をクランク状に折り曲げられている。これにより、
図9(b)に示すように、留付け金具7Bの第二の支持腕77が固定部73よりも奥行方向において外側に突出して、第二の支持腕77と固定部73とは同一平面にはない構成となっている。一方及び他方の出隅用留付け金具7C,7C’も、同様に第二の支持腕77の基端部77’をクランク状に折り曲げて、第二の支持腕77を奥行方向において外側に突出させている。この構成により、フレーム51内に第二の支持腕77を挿入した状態で、フレーム51の厚みに影響されることなく固定部73を間柱4に固定することができる。
 
【0067】
  また、第二の支持腕77と固定部73との間隔は、少なくともフレーム51の厚みと同じかそれよりもやや長くして、フレーム51の厚みに影響されることなく第二の支持腕77を被挿入部51b内に挿入可能としている。以上、第2実施形態では、第1実施形態のように金属板を複数回折り曲げる必要がなく、留付け金具7B,7C,7C’を、より単純な構成で、より簡易に製作することが可能となる。
 
【0068】
(第3実施形態)
  第3実施形態に係る留付け金具9D及び出隅用留付け金具7Eについて、
図11及び
図12を参照しながら説明する。
図11(a)乃至
図11(c)は、互いに隣接する外壁パネル5,5を間柱4に留付ける第3実施形態の留付け金具7Dの斜視図、側面図、平面図をそれぞれ示している。
図12は、出隅用外壁パネル6と隣接する外壁パネル5を間柱4に留付ける第3の実施形態の出隅用留付け金具7Eの平面図を示している。
 
【0069】
  第3実施形態に係る留付け金具9D及び出隅用留付け金具7Eは、基本構成は第2の実施形態のこれらとほぼ同様であるが、第3実施形態では、第二の支持腕77の基端部を折り曲げることなく、第二の支持腕77と固定部73とを同一平面上に配置し、第2実施形態に比べてより単純な構造としている。
 
【0070】
  また、このような平面的な構造の留付け金具9D及び出隅用留付け金具7Eでは、フレーム51の被挿入部51bに第二の支持腕77を挿入すると、フレーム51の厚みによって、第二の支持腕77と同一平面上にある固定部73と間柱4との間に隙間が生じる。金属材の弾性力を利用して、固定部73を間柱4に固定こともできるが、第3実施形態では、固定部73と間柱4の隙間に補助部材(スペーサ)78を挿入配置して、固定部73の間柱4への固定時の固定部73や支持部72への負荷を低減している。
 
【0071】
  この補助部材78は、本実施形態では固定部73とほぼ同一の矩形状に形成され、固定部73の長穴75に対応する位置に長穴75’が設けられている。第二の補助部材78の厚みは、フレーム51の厚み以上とする。補助部材78は、金属板などで形成することができる。
 
【0072】
  このような構成の第3実施形態に係る留付け金具9D及び出隅用留付け金具7Eでは、第二の支持腕77をフレーム51の被挿入部51bに挿入し、固定部73と間柱4の隙間に補助部材78を挿入する。そして、ビス12を長穴75,75’に挿通して、補助部材78を介して固定部73を間柱4に固定する。
 
【0073】
  なお、補助部材28が、本実施形態の構成に限定されることはなく、補助部材78を介して固定部73を間柱4に固定可能であれば、固定部73よりも小さくすることもできるし、大きくすることもできる。また、矩形に限定されることもなく、円形、楕円形、長円形などとすることもできる。また、市販の座金などを用いることもできる。また、予め補助部材28を固定部73に接合しておくこともできる。
 
【0074】
  また、折り曲げることなく平面的な構造とすることで、出隅用留付け金具7Eに前後(表裏)の区別がなくなる。そのため、
図12に示す1種類の出隅用留付け金具7Eを用意すれば、その前後(表裏)の向きを適宜変更して外壁パネル5に取り受け、固定部73と間柱4との間に補助部材78を配置することで、外壁パネル5の上端及び下端の双方を間柱4に留付けることができる。同様に、外壁パネル5の左右いずれの位置に出隅用外壁パネル6が隣接されていても、1種類の出隅用留付け金具7Eで外壁パネル5の上端及び下端のいずれも間柱4に留め付けることができる。
 
【0075】
  以上、第2、第3の実施形態の留付け金具7B,7C,7C’,7D,7E、で固定された外壁構造を有する建物でも、第1の実施形態と同様に、外壁パネル5の反りを抑制しつつ、地震などの際には外壁パネル5の面内方向への移動を可能として地震エネルギーを吸収することができる。
 
【0076】
  以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
 
【0077】
  例えば、上記各実施形態では建物ユニット1によって構築されるユニット建物を建物として説明したが、在来工法で構築される建物にも本発明を適用できる。
 
【0078】
  また、上記各実施形態では、ラーメン構造体11で構成される建物について説明したが、これに限定されるものではなく、ラーメン構造体11以外の骨組構造体(鉄骨造)によって構成される建物、木造の柱と梁とを組み合わせた骨組構造体によって構成される建物にも本発明を適用できる。
 
【0079】
  また、上記各実施形態では、留付け金具7で外壁パネル5の端縁の上端及び下端を留付けているが、外壁パネル5の取付け条件などによって、いずれか一方だけを留付けることもできる。また、上記各実施形態では隣接する外壁パネル5,5間に取付ける留付け金具7,7B,7Dと、出隅用外壁パネル6に隣接する外壁パネル5に取付ける出隅用留付け金具7A,7A’,7B,7C,7C’をそれぞれ用いているが、使用目的や予算などに応じて留付け金具7,7B,7D又は出隅用留付け金具7A,7A’,7B,7C,7C’の一方のみ用いることもできる。
 
【0080】
  また、上記各実施の形態では、留付け金具7,7A,7A’,7B,7C,7C’や補助部材78を金属で形成しているが、これらの材料が金属に限定されることもなく、硬質プラスチックや木材などで形成することもできる。