特許第6835643号(P6835643)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6835643ワーク搬送装置及びそれを用いたはんだ付け装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6835643
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置及びそれを用いたはんだ付け装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20210215BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20210215BHJP
   B23K 3/00 20060101ALI20210215BHJP
   B23K 1/08 20060101ALI20210215BHJP
   B23K 31/02 20060101ALI20210215BHJP
   B65G 43/00 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   H05K3/34 506G
   B23K1/00 330E
   B23K3/00 310F
   B23K1/08 320A
   B23K31/02 310B
   B65G43/00 K
   B65G43/00 G
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-61016(P2017-61016)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-164016(P2018-164016A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2020年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 剛史
(72)【発明者】
【氏名】山森 真一
【審査官】 黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−206927(JP,A)
【文献】 特開2006−181625(JP,A)
【文献】 特開2008−109034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
B23K 1/00
B23K 1/08
B23K 3/00
B23K 31/02
B65G 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉空間内部でワークに対して処理を行う処理部と、
前記ワークを前記処理部に対して搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の前記ワークの搬送距離に対応する指標を発生する指標発生部と、
前記閉空間の外に配置され、乗り移り部を通過した後の前記ワークの後側を検出する入口センサと、
前記指標発生部からの前記指標及び前記入口センサの検出信号を受け取り、前記搬送装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記入口センサの検出信号から前記閉空間内で前記ワークを減速又は停止させるポイントまでの距離に相当する前記指標の値をI1とし、前記ワークの搬送方向の長さ相当の前記指標の値をI2とした場合に、(I3=I1−I2)の指標の値I3を取得した時に前記搬送装置に対する減速開始指令又は停止指令を発生する
ワーク搬送装置。
【請求項2】
前記指標発生部は、前記搬送装置の搬送動作に同期してパルスを発生するパルス発生部であり、
前記制御部は、前記入口センサの検出信号から前記閉空間内で前記ワークを減速又は停止させるポイントまでの距離に相当する前記パルスの個数をP1とし、前記ワークの搬送方向の長さ相当のパルス数P2とした場合に、(P3=P1−P2)のパルス数P3をカウントした時に前記搬送装置に対する減速開始指令又は停止指令を発生する
請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記指標発生部は、前記入口センサの検出信号と同期する時間計測装置であり、
前記制御部は、前記入口センサの検出信号から前記閉空間内で前記ワークを減速又は停止させるポイントまでの距離に相当する前記時間の値をT1とし、前記ワークの搬送方向の長さ相当の時間の値をT2とした場合に、(T3=T1−T2)の時間T3を計測した時に前記搬送装置に対する減速開始指令又は停止指令を発生する
請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記処理部がフラックス塗布、プリヒート及びはんだ付けのいずれかを行う請求項1から請求項3のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記閉空間が不活性ガス雰囲気を形成するチャンバーである請求項1から請求項4のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
前記閉空間内の停止ポイント又は停止ポイントの直後に前記ワークのストッパーを設けるようにした請求項1から請求項5のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
不活性ガス雰囲気を形成するチャンバーと、
前記チャンバー内部でワークの所定箇所に対してはんだ付けを行う噴流ノズルと、
前記噴流ノズルに対して溶融はんだを供給するはんだ槽と、
前記ワークを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の前記ワークの搬送距離に対応する指標を発生する指標発生部と、
前記チャンバーの外に配置され、乗り移り部を通過した後の前記ワークの後側を検出する入口センサと、
前記指標発生部からの前記指標及び前記入口センサの検出信号を受け取り、前記搬送装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記入口センサの検出信号から前記チャンバー内で前記ワークを減速又は停止させるポイントまでの距離に相当する前記指標の値をI1とし、前記ワークの搬送方向の長さ相当の前記指標の値をI2とした場合に、(I3=I1−I2)の指標の値I3を取得した時に前記搬送装置に対する減速開始指令又は停止指令を発生する
はんだ付け装置。
【請求項8】
前記噴流ノズルは、前記ワークのはんだ付けの必要箇所に対応して溶融はんだの噴流ノズルが設けられた請求項7に記載のはんだ付け装置。
【請求項9】
前記噴流ノズルは、前記ワークのはんだ付けの必要箇所を予め設定した順序でもってはんだ付けするようにした請求項7に記載のはんだ付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば局所はんだ付け装置に適用できるワーク搬送装置及びそれを用いたはんだ付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだ付けシステムにおいては、プリント回路基板(以下、ワークという。)に対するスプレーフラクサーによるフラックス塗布、プリヒータによるワークの予熱、はんだ付けの工程などの処理が順次なされる。これらの処理では、チャンバー、カバーのような「閉空間」内で処理が行うことが多い。チャンバー、カバー内が高温環境のみならず、汚れ(例えばフラックスヒューム等)のひどい環境であっても正確にワークの位置決め可能なことが望まれる。
【0003】
例えば特許文献1に記載のはんだ付けシステムでは、プリント基板(ワーク)の所定の箇所とフラクサの塗布ノズルを一致させ、フラックス塗布部を乾燥させ、プリント基板の所定の箇所と噴流はんだ槽の噴流ノズルとが同一位置となるようにフラクサ、プリヒータ、噴流はんだ槽等の処理装置を設置することが記載されている。これらの処理装置上にはプリント基板を摺動走行させるレールが設置されているとともに、さらにレールの上方にはフラクサ、プリヒータ、噴流はんだ槽上にあるプリント基板を次工程の処理装置の上方に移動させることができるプッシャーが複数設置されている。
【0004】
さらに、はんだ付け装置の一例としてのフローはんだ付け装置は、液体状の溶融はんだが入っているはんだ槽の上にプリント配線基板を搬送し、部品と基板の電極部をはんだ付けする装置である。はんだ槽としては、はんだの液面が静止している静止槽と、はんだ液面に流れがある噴流槽とがある。さらに、噴流の方式としてプリント配線基板の中で必要な箇所のみに噴流はんだを接触させる局所はんだ付け装置が知られている。例えば表面実装部品等が既にはんだ付けされているプリント配線基板に対して、局所はんだ付け装置によって挿入部品(リード部品)が後付けされる。
【0005】
昨今のPbフリーハンダを用いたはんだ付けを行う場合、その合金組成の特性ゆえ、濡れ性が従来のSn−Pb共晶はんだより劣り、且つ融点も高くなることから、噴流はんだ槽の溶融はんだの酸化物が一段と多くなってしまう。そこではんだ槽及び搬送系含めチャンバーで覆い、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気でのはんだ付けを行うことがフローはんだ付けにおいてはなされている。例えば特許文献2には、平面状噴流波に対してワークの面を接触させてはんだ付けを行うフローディップ装置において、はんだ槽の上部開口からはんだ槽の中に挿入されるスカート部を有するチャンバー体を設けることが記載されている。このチャンバー体の内部に不活性ガスを供給して不活性ガス雰囲気の中ではんだ付けを行うようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−188517号公報
【特許文献2】特許第3942623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
はんだ付けシステムを構成するフラクサ、プリヒータ、はんだ付け装置などでは、それぞれにおいて、チャンバー、カバーなどが使用される。チャンバー、カバー内は、高温の環境であり、且つフラックスヒュームが充満している。したがって、チャンバー内にワークの位置制御のためのセンサを配置することは困難である。また、局所はんだ付け装置においては、はんだ槽上の複数のノズルと、ワークの位置決めを行った上でワーク又ははんだ槽を上下動させてはんだ付けを行うため、チャンバー内でワークの正確な位置決め精度が求められる。そこで、チャンバー内に位置検出のセンサを設け、基板位置を検出し、その信号を搬送コンベアにフィードバックすることが考えられる。しかしながら、上述したように、チャンバー内が非常に高温環境となり、且つフラックスヒュームが充満しており、チャンバー内にセンサを配置することが困難である。
【0008】
そこで、チャンバーの外の搬入口付近にセンサを配置し、センサによってワークが搬入された時点からの搬送コンベアと同期したパルス数をカウントしてチャンバー内におけるワークの位置を正確に規定することが考えられる。しかしながら、前工程の処理装置から搬出され、局所はんだ付け装置に搬入される際、乗り移り部で、ワークの若干の位置ズレが生じることがある。したがって、ワークの検知後の所定パルス数で搬送コンベアを運転してしまうと、ワークをはんだ付け位置に正確に停止できない問題がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、乗り移り部でワークの位置ズレが生じても、閉空間内でのワーク位置を正確に合わせることができるワーク搬送装置、及びそのワーク搬送装置を用い、チャンバー内の局所はんだ付け装置の噴流ノズルと、ワークのはんだ付け部の位置を正確に合わせることができるはんだ付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、閉空間内部でワークに対して処理を行う処理部と、
ワークを処理部に対して搬送する搬送装置と、
搬送装置のワークの搬送距離に対応する指標を発生する指標発生部と、
閉空間の外に配置され、乗り移り部を通過した後のワークの後側を検出する入口センサと、
指標発生部からの指標及び入口センサの検出信号を受け取り、搬送装置を制御する制御部を備え、
制御部は、入口センサの検出信号から閉空間内でワークを減速又は停止させるポイントまでの距離に相当する指標の値をI1とし、ワークの搬送方向の長さ相当の指標の値をI2とした場合に、(I3=I1−I2)の指標の値I3を取得した時に搬送装置に対する減速開始指令又は停止指令を発生する
ワーク搬送装置である。
また、本発明は、不活性ガス雰囲気を形成するチャンバーと、
チャンバー内部でワークの所定箇所に対してはんだ付けを行う噴流ノズルと、
噴流ノズルに対して溶融はんだを供給するはんだ槽と、
ワークを搬送する搬送装置と、
搬送装置のワークの搬送距離に対応する指標を発生する指標発生部と、
チャンバーの外に配置され、乗り移り部を通過した後のワークの後側を検出する入口センサと、
指標発生部からの指標及び入口センサの検出信号を受け取り、搬送装置を制御する制御部を備え、
制御部は、入口センサの検出信号からチャンバー内でワークを減速又は停止させるポイントまでの距離に相当する指標の値をI1とし、ワークの搬送方向の長さ相当の指標の値をI2とした場合に、(I3=I1−I2)の指標の値I3を取得した時に搬送装置に対する減速開始指令又は停止指令を発生するはんだ付け装置である。
【発明の効果】
【0011】
少なくとも一つの実施形態によれば、乗り移り部においてワークの搬送がスムーズになされない場合でも、チャンバー、カバーなどの閉空間内におけるワークの位置を正確に制御することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれかの効果又はそれらと異質な効果であっても良い。また、以下の説明における例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aから図1Cは、従来の局所はんだ付け装置の問題点の説明に使用する略線図である。
図2図2A及び図2Bは、本発明の一実施の形態の説明に使用する略線図である。
図3図3は、本発明の一実施の形態の制御システムを示すブロック図である。
図4図4A及び図4Bは、本発明を適用できる局所はんだ付け装置の一例の構成を示す断面図である。
図5図5A及び図5Bは、本発明を適用できる局所はんだ付け装置の他の例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を局所はんだ付け装置に対して適用した一実施の形態について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.従来の局所はんだ付け装置の問題点>
<2.一実施の形態>
<3.変形例>
なお、以下に説明する一実施の形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。例えば本発明は、局所はんだ付け装置に限らず、フラックス塗布装置、プリヒータなどのワーク搬送装置に対しても適用できる。
【0014】
<1.従来の局所はんだ付け装置の問題点>
図1A図1Cは、従来の局所はんだ付け装置の概略的な構成図である。はんだ付け装置例えば局所はんだ付け装置101がチャンバー101a(破線で示す)内で局所はんだ付けを行う。チャンバー101aの内部は、不活性ガス(例えば窒素ガス)の雰囲気とされる。局所はんだ付け装置101に対して前段機102からワークWが矢印方向に搬入される。例えば搬送コンベア103a及び103bによってワークWが搬送される。ワークWは、例えば挿入部品が取り付けられた矩形のプリント配線基板である。前段機102は例えばプリヒータである。局所はんだ付け装置101と前段機102は、例えば別々の搬送コンベア103a及び103bを備えている。二つの搬送コンベア103a及び103bのパスラインを一致させるように、前段機102及び局所はんだ付け装置101がインラインに配置されている。この搬送コンベア103aから搬送コンベア103bに切り替わる位置が乗り移り部となる。
【0015】
ワーク乗り移り部の直後に入口センサ104が設けられている。入口センサ104は、ワークWの前端を検出するとONとなり、その後端を検出するとOFFとなる。入口センサ104は、例えば発光素子及び受光素子からなる光学的な検出を行うものである。入口センサ104の出力する検出信号は、ON及びOFFとそれぞれ対応して互いに異なるレベルを有するものである。ただし、以下の説明では、検出信号の異なるレベルのことを単にON及びOFFと称する。局所はんだ付け装置101でのはんだ付けが終了すると、ワークWが次段装置例えば検査装置に搬送される。また、チャンバー101a内には、搬入されてきたワークWを停止させるストッパー105が設けられている。ストッパー105は、例えばエアシリンダ106によって動作(停止/停止解除)が制御される。
【0016】
通常、局所はんだ付け装置101においては、下記の順序で処理がなされる。
1.図1Bに示すように、前段機102から局所はんだ付け装置101にワークWが搬送され、入口センサ104の検出信号がONとなる。検出信号ONによって搬送コンベア103bの高速搬送が開始される。
2.減速ポイント107にワークWの前端が到達すると、搬送コンベア103bが減速される。
3.ストッパー105の直前の停止ポイント108にワークWが到達すると、搬送コンベア103bに対して停止指令が出力され、それから例えば1秒後にワークWが実際に停止する。停止ポイント108の直後に設けられているストッパー105を作動させることによって、ワークWが停止しない場合でも、ワークWがストッパー105に当たって停止するようになされる。なお、停止ポイント108とストッパー105による停止位置を一致させてもよい。
4.図示しないが、ワークWが下降され、噴流ノズルからの溶融はんだによってはんだ付け処理がなされる。
5.はんだ付け処理が終了すると、ワークWが上昇され、ストッパー105の停止動作が解除され、搬送コンベア103bによってワークWが排出される。
【0017】
局所はんだ付け装置101においては、はんだ槽上の複数のノズルによって、ワークWの所定箇所のはんだ付けを行うため、チャンバー101a内でワークWの正確な位置制御が求められる。例えば減速ポイント107及び停止ポイント108にセンサ例えばファイバーセンサを設けることによってワークWの送りを制御することが考えられる。しかしながら、チャンバー101a内が高温でガスが発生する環境であるため、耐熱及び汚れの関係からチャンバー101a内にセンサを設けることができない。
【0018】
チャンバー101a内にセンサを設けない場合に、所定位置例えば減速ポイント107においてワークWを減速させるために、搬送コンベア103bが出力するパルスを利用することが可能である。搬送コンベア103bの回転軸に光学的又は磁気的なセンサを取り付け、回転と同期したパルスを発生する。このパルスをカウントしてチャンバー101a内のワークWの位置を推定する。すなわち、入口センサ104の検出信号がOFFからONとなった時点から所定数のパルスをカウントした時にワークWが減速ポイント107に到達したものと推定する。
【0019】
この方法は、ワークWが前段機械102から局所はんだ付け装置101にスムーズに搬送できる場合には問題が生じない。しかしながら、乗り移り部においてワークWにひっかかりが生じた場合、ワークWの搬送量とパルス数が正確に対応しなくなり、図1Cに示すように、減速ポイント107の手前の位置にもかかわらず、ワークWが減速ポイント107に到達したものと誤判定してしまう問題が生じる。
【0020】
<2.一実施の形態>
「一実施の形態のワーク位置制御方法」
本発明はかかる問題を解決するものである。図2を参照して本発明の一実施の形態のワーク位置制御方法について説明する。図2Aは、図1Aと同様の局所はんだ付け装置の概略的構成を示している。すなわち、前段機102から搬送コンベア103aによってワークWが本発明の一実施の形態による局所はんだ付け装置111のチャンバー(破線で示す)111a内に搬送される。チャンバー111aの内部は、不活性ガス(例えば窒素ガス)の雰囲気とされる。なお、局所はんだ付け装置及びチャンバーに対する参照符号を図1と異ならせ、他の対応する部分の参照符号を同一とする。
【0021】
ワーク乗り移り部の直後に設けられた入口センサ104の検出信号は、ワークWの前端を検出するとONとなり、その後端を検出するとOFFとなる。また、搬送コンベア103bの回転軸の回転と同期したパルスを発生するパルス発生装置が設けられている。パルス発生装置は、搬送コンベア103bのワークWの搬送距離に対応する指標を発生する指標発生部であり、この場合は、パルス数が指標である。このパルスが搬送コンベア103bの搬送動作を含む局所はんだ付け装置111全体の動作を制御する制御部に送られる。
【0022】
搬送コンベア103bによってチャンバー111a(破線で示す)内の所定位置までワークWが送られ、ワークWが下降され、噴流ノズルからの溶融はんだによって局所はんだ付けを行う。局所はんだ付け装置111でのはんだ付けが終了すると、ワークWが次段装置例えば検査装置に搬送される。また、チャンバー111a内には、搬入されてきたワークWを停止させるストッパー105が設けられている。ストッパー105は、例えばエアシリンダ106によって動作(停止/停止解除)が制御される。
【0023】
本発明の一実施の形態においては、下記の順序で処理がなされる。
1.前段機102から局所はんだ付け装置111にワークWが搬送され、入口センサ104の検出信号がONとなる。入口センサ104の検出信号ONによって搬送コンベア103bが高速搬送動作を開始する。図2Aに示すように、ワークWの後端が入口センサ104を通過して入口センサ104の検出信号がONからOFFに切り替わったタイミングから、搬送コンベア103bの回転と同期したパルスのカウントを開始する。
【0024】
2.入口センサ104の検出信号がOFFとなってから減速ポイント107にワークWの前端が到達するまでのパルス数(設定パルス数という)P1をあらかじめ求めておく。パルス数P1は、入口センサの検出信号から閉空間内でワークを減速又は停止させるポイントまでの距離に相当する指標の値をI1の具体例である。この値は、局所はんだ付け装置111ごとに固定値である。また、ワークWの搬送方向の長さに相当するパルス数(ワーク長さ相当パルス数という)P2をパルス数P1から減算したパルス数(減速開始パルス数という)P3(=P1−P2)を求める。パルス数P2は、ワークの搬送方向の長さ相当の指標の値をI2の具体例であり、I3(=I1−I2)によって搬送装置に対する減速開始指令又は停止指令を発生する指標の値I3が求められる。ワーク長さ相当パルス数P2は、ワークWごとに設定するレシピの中にワークWの長さの値があるので、(ワークWの長さ/1パルス当たりの搬送距離)でワークWの搬送方向の長さをワーク長さ相当パルス数P2に換算することができる。入口センサ104の検出信号がONからOFFになった時点からカウントされたパルス数が減速開始パルス数P3に一致した時点で搬送コンベア103bを減速する。パルスのカウントの方向は、加算方向に限らず、減算方向でもよい。減算方向の場合では、減速開始パルス数P3をあらかじめセットし、減算方向にカウントして値がゼロになった時点で搬送コンベア103bを減速させるようになされる。
【0025】
3.ストッパー105の直前の停止ポイント108にワークWが到達したことがパルス数から検出されると、搬送コンベア103bに対して停止指令が出力され、それから例えば1秒後にワークWが実際に停止する。この1秒の値は、装置固有の値である。停止ポイント108の直後に設けられているストッパー105を作動させることによって、ワークWが停止しない場合でも、ワークWがストッパー105に当たって停止するようになされる。なお、停止ポイント108とストッパー105による停止位置を一致させてもよい。また、本発明と異なりストッパーのみでワークWを停止させることも可能であるが、未だはんだ付けがされていない状態のワークWを急激に停止させると、停止時の衝撃によって電子部品がずれてしまったり、最悪な場合には電子部品が外れることがある。本発明では、ワークWを減速させてから停止させるので、かかる問題が生じることがない。
4.図示しないが、ワークWが下降され、噴流ノズルからの溶融はんだによってはんだ付け処理がなされる。
5.はんだ付け処理が終了すると、ワークWが上昇され、ストッパー105の停止動作が解除され、搬送コンベア103bによってワークWが排出される。第3、第4及び第5の処理のステップは、既存の局所はんだ付け装置101と同様である。
【0026】
上述した本発明の一実施の形態は、入口センサ104によってワークWの後端を検知し、減速ポイント107までの一定の距離(減速開始パルス数P1)から予め登録したワークWの長さ (ワーク長さ相当パルス数P2)を差し引いた距離(減速開始パルス数P3)ワークWを移動させるものである。かかる本発明の一実施の形態は、ワークWが乗り移り部を完全に通過してからワークWの搬送距離を規定するので、乗り移り部でワークWがスムーズに搬送されない場合も、精度が低下しない利点がある。言い換えると、入口センサ104の検出位置をワークWが通過する位置としているため、ワークWが完全に局所はんだ付け装置111に入り込んでいることになる。このため、前段機102との乗り移り時の挙動と無関係に位置制御を行うことができる。
【0027】
上述したように、本発明の一実施の形態では、ワーク長さ相当パルス数P2を設定パルス数P1から減算した減速開始パルス数P3(=P1−P2)を求め、検出信号がONからOFFになった時点からカウントされたパルス数がP3に一致した時点で搬送コンベア103bを減速する。減速開始パルス数P3を採用するのは、ワークWの長さにより位置制御の精度が低下することを防止するためである。
【0028】
図2Bは、異なる長さを有するワークWa,Wb,Wcを示している。入口センサ104の検出信号がOFFしてから一定数のパルスをカウントした位置を減速ポイント107と扱うと、減速開始時のワークWa,Wb,Wcの後端が一致するが、ワークWa,Wb,Wcの前端が減速ポイント107に一致しなくなり、ワークWの位置を高精度に制御することができない。この問題を回避するために、 設定パルス数P3の値を使用している
【0029】
「制御システムの一例」
図3を参照して制御システムの一例について説明する。制御動作の全体を制御するために制御部120が設けられ、制御部120にはコントローラ121が備えられる。コントローラ121は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)によって構成される。PLCは、小型のコンピュータでソフトウェアによって動作し、シーケンサとも称される。
【0030】
コントローラ121に対してユーザインターフェース122が接続されている。例えばタッチパネルがユーザインターフェース122として使用される。はんだ付けの対象としてのワークWに関する情報を含むレシピファイルがユーザインターフェース122に保持される。ユーザは、レシピファイルを画面に表示させ、ワークの長さのデータを入力する。のワークの長さのデータがコントローラ121に供給される。コントローラ121が長さのデータを1パルスの搬送距離の値によって割り算することによってワーク長さ相当パルス数P2を計算する。
【0031】
コントローラ121から出力される駆動指令がモータドライバ123に供給される。モータドライバ23が搬送モータ124に対して駆動信号(電圧出力)を供給する。搬送モータ124は、搬送コンベア103bの駆動源である。駆動指令は、高速搬送指令、減速搬送開始指令及び停止指令のいずれかである。
【0032】
搬送モータ124の回転と一体に回転するドグ125が設けられ、ドグ125の回転をパルスセンサ126が検出し、搬送モータ124の回転と同期したパルスがパルスセンサ126から発生する。これらのドグ125及びパルスセンサ126がパルス発生部を構成する。パルスセンサ126からコントローラ121に対してパルスが供給される。さらに、チャンバー111aの外に設けられている入口センサ104の検出信号がコントローラ121に供給される。さらに、コントローラ121がストッパー105の動作を制御する。
【0033】
制御部120のコントローラ121は、局所はんだ付け装置の動作を全体的に制御する。すなわち、本発明の一実施の形態と関連する制御として下記のような制御を行う。
あらかじめユーザインターフェース122により入力されたワークWの長さのデータからワーク長さ相当パルス数P2を計算する。そして、(P1−P2=P3)の計算によって減速開始パルス数P3を計算する。
【0034】
入口センサ104の検出信号がワークWを検出してOFFからONとなると、モータドライバ123に対して高速搬送開始指令を供給する。
入口センサ104の検出信号がONからOFFに切り替わったタイミングから、パルスセンサ126からのパルスのカウントを開始する。
【0035】
カウントされたパルス数が減速開始パルス数P3と一致すると、モータドライバ123に対して減速開始指令を供給する。これによって搬送コンベア103bの搬送速度が減速される。
さらに、パルス数がカウントされ、停止ポイントにワークWの前端が到達したことが検出されると、モータドライバ123に対して停止指令を発生する。同時に、ストッパー105に対して動作開始指令を供給する。これによって搬送コンベア103bの搬送動作が停止すると共に、ストッパー105が作動する。ワークWがストッパー105によって停止される。
【0036】
ワークWが下降され、噴流ノズルからの溶融はんだによってはんだ付け処理がなされる。はんだ付け処理が終了すると、ワークWが上昇される。モータドライバ123に対して高速搬送開始指令が供給されると共に、ストッパー105に対して動作解除指令が供給される。ワークWが搬送コンベア103bによって排出される。
【0037】
「局所はんだ付け装置の一例」
図4は、本発明を適用できる局所はんだ付け装置の概略的な構成図である。図4Aは、ワークWの搬送方向と直交する断面を示し、図4Bは、搬送方向と平行な断面を示す。ワークWは、例えばチップ部品等が面実装されているプリント配線基板に対して挿入部品が取り付けられ、フラックスが塗布されたものである。ワークWの下面のはんだ付けの箇所に対してはんだを接触させてフローはんだ付けが行われる。
【0038】
上側チャンバー体2aおよび下側チャンバー体2bによって箱状のチャンバー体が構成される。下側チャンバー体2bの上面および下面が開口とされている。上部開口の周囲に鍔部が設けられ、この鍔部がはんだ槽3の上部の鍔部と固定されている。下側チャンバー体2bのスカート部2cが吹き口面からはんだ槽3に挿入される。
【0039】
ワーク搬送時およびはんだ付け時には、下側チャンバー体2b上に上側チャンバー体2aが重ねられている。上側チャンバー体2aの鍔部と下側チャンバー体2bの鍔部とがかさなり、両方の鍔部が上側チャンバー体2aの自重によって密着するようになされる。この場合、チャンバー体の気密性を確保するために、両者の接合面にスポンジ等の弾性体を介在させるようにしてもよい。上側チャンバー体2aに不活性ガス供給部としての不活性ガス供給口4が設けられている。不活性ガスは、例えば窒素ガスである。不活性ガスは、外部からの制御によって、供給/遮断が制御可能とされている。
【0040】
上側チャンバー体2aおよび下側チャンバー体2bからなるチャンバー体には、ワークWの搬入口および搬出口が設けられる。ワークWが搬送コンベア5aおよび5b(搬送コンベア5aおよび5bを区別する必要がない場合には、搬送コンベア5と表記する)によって搬入口から局所はんだ付け装置111に搬入される。搬送コンベア5が上述した搬送コンベア103bに相当する。
【0041】
局所はんだ付け装置111の搬入口の近傍に入口センサ104が配されている。搬入口に接近して前工程(前段機)の例えば搬送コンベア103aが位置する。搬送コンベア103a及び搬送コンベア5a,5bのパスラインの高さが一致されている。前工程と搬入口の間が乗り移り部(2点鎖線の円で示す)である。また、局所はんだ付け装置111の搬出口に対しても後工程 (後段機)の搬送コンベア103cが位置する。搬出口と後工程の間が乗り移り部(2点鎖線の円で示す)である。
【0042】
搬送コンベア5は、ワークWの幅よりやや大きい間隔で平行する2本のローラチェーン等のコンベアであり、それぞれ支持部として搬送方向に延長された支持レールを有している。搬送コンベア5のローラによってワークWが挟持されると共に、各ローラが有するフランジ部にワークWが載置されて搬送される。
【0043】
搬送コンベア5の支持レールの上方に上側チャンバー体2aの内壁から係止部材としてL型形状の複数のブラケットが突出される。ブラケットの代わりにレールを使用してもよい。図4に示すワーク搬送状態では、上側チャンバー体2aの自重によって、上側チャンバー体2aおよび下側チャンバー体2bが一体化されているので、はんだ付けがなされるチャンバー体内部は、搬入口および搬出口を除くと密閉空間とされる。さらに、図4に示す状態から搬送コンベア5が上昇すると、支持レール上にブラケットが乗った状態となり、搬送コンベア5の上昇と一緒に上側チャンバー体2aが上昇する。
【0044】
はんだ槽3内に溶融はんだが収容されている。はんだとして、例えば鉛フリーのものが使用される。図示しないヒータおよび温度制御装置によって溶融はんだの温度が一定に維持される。はんだ槽3内には、はんだを噴出させるために、吹き口体(ケーシング)6が設けられている。吹き口体6の底部には、回転羽根、動力源(モータ)等を有する推力発生手段7が設けられ、吹き口体6の底部から上部開口に向かう溶融はんだの流れが形成されると共に、溶融はんだが循環される。
【0045】
吹き口体6の上部開口を塞ぐように、噴流ノズルユニット8が配されている。噴流ノズルユニット8は、ワークWのはんだ付けの必要な箇所または領域と対応する位置に噴流ノズル9が立設されたものである。噴流ノズル9は、例えばノズルベース上に立設される。噴流ノズルユニット8は、例えばステンレスからなる。噴流ノズル9は、例えば矩形の噴出口を有する煙突状のものであり、噴出口からのはんだがワークWの下面のはんだ付けの箇所に接触するようになされている。
【0046】
はんだ付けの対象のワークWの品種切替を行う場合には、噴流ノズルユニット8もワークWに合わせたものに交換される。さらに、必要に応じて噴流ノズルユニット8の下部に噴流ノズル9にのみはんだを供給するノズルプレートを設けてもよい。
【0047】
ワークWの搬入口の手前と、搬出口の後方にそれぞれ昇降機構10aおよび10bが設けられている。昇降機構10aおよび10bは、動力源としてモータ11aおよび11bを有し、ねじをモータ11aおよび11bによって回転させ搬送コンベア5を昇降させる。モータ11a,11bの回転は、手動のスイッチ、プログラム(ソフトウェア)、制御回路等によって制御される。昇降時に、搬送コンベア5の位置関係は、変化しないようにされる。昇降機構10aおよび昇降機構10bを区別する必要がない場合には、昇降機構10と表記する。なお、モータおよびねじは、昇降機構の一例であり、他の構成の昇降機構を使用してもよい。
【0048】
はんだ付けの工程は、ワークWが搬入口から局所はんだ付け装置111内に搬送され、ワークWが噴流ノズルユニット8の上方で静止される。このワーク搬送状態が図4に示されている。
【0049】
次に、昇降機構10によって、ワークWが載置されている搬送コンベア5が下降される。図示しないが、噴流ノズルユニット8からの噴流はんだがワークWのはんだ付け箇所に接触するようになされる。例えば噴流ノズル9から噴流する溶融はんだによって、ワークWの裏面から突出しているリードがワークWの所定箇所にはんだ付けされる。このはんだ付けは、上側チャンバー体2aおよび下側チャンバー体2bからなるチャンバー体内部で不活性ガスの雰囲気でなされる。
【0050】
はんだ付けが終了すると、昇降機構10によって、搬送コンベア5(ワークW)が上昇される。そして、搬送コンベア5によって搬出口から局所はんだ付け装置111の外部に取り出される。その後、後工程例えば検査工程によってはんだ付けの良否が検査される。
【0051】
上述した局所はんだ付け装置111では、不活性ガスの雰囲気で局所はんだ付けを行うことができるので、良好なはんだ付けを行うことができる。さらに、噴流ノズルユニットの交換時、メンテナンス時には、チャンバー体に作業に必要な大きさの開口を容易に形成するができ、はんだ槽を引き出すことなく作業を行うことができる。したがって、作業性を向上することができる。さらに、上側チャンバー体2aのみを上昇させ、下側チャンバー体2bは、静止したままとできるので、上昇時の上方空間を高くする必要がない利点がある。
【0052】
<3.変形例>
「トレースはんだ付け装置の一例」
図5は、本発明を適用することができるトレースはんだ付け装置211の概略的な構成図である。図5Aは、ワークWの搬送方向と直交する断面を示し、図5Bは、搬送方向と平行な断面を示す。トレースはんだ付け装置211は、挿入部品の箇所のみを予め設定した順序(経路)でもってはんだ付けすることが可能な構成で、挿入部品リード全体の長さや本数にフレキシブルに対応可能な溶融はんだを噴流する噴流ノズルを有する
【0053】
上側チャンバー体22aおよび下側チャンバー体22bによって箱状のチャンバー体が構成される。上側チャンバー体22aの例えば天板に不活性ガス供給部としての不活性ガス供給口24が設けられている。不活性ガスは、例えば窒素ガスである。不活性ガスは、外部からの制御によって、供給/遮断が制御可能とされている。
【0054】
上側チャンバー体22aおよび下側チャンバー体22bからなるチャンバー体には、ワークWの搬入口および搬出口が設けられる。ワークWが搬送コンベア25aおよび25b(搬送コンベア25aおよび25bを区別する必要がない場合には、搬送コンベア25と表記する)によって搬入口からトレースはんだ付け装置211に搬入される。搬送コンベア25が上述した搬送コンベア103bに相当する。
【0055】
トレースはんだ付け装置211の搬入口の近傍に入口センサ104が配されている。搬入口に接近して前工程(前段機)の例えば搬送コンベア103aが位置する。前工程と搬入口の間が乗り移り部(2点鎖線の円で示す)である。また、トレースはんだ付け装置211の搬出口と後工程の間が乗り移り部(2点鎖線の円で示す)である。
【0056】
X−Yテーブル31上に噴流ノズル32およびはんだ槽33が設置されている。X−Yテーブル31は、図示しないサーボモータによってX方向およびY方向に変位可能とされている。さらに、X−Yテーブル31、噴流ノズル32およびはんだ槽33は、昇降機構34によってZ(上下)方向にも変位可能とされている。昇降機構34は、モータ及びねじによって構成されている。
【0057】
噴流ノズル32の上方にワークWが位置すると、X−Yテーブル31、噴流ノズル32およびはんだ槽33が上方に変位し、噴流ノズル32から噴流する溶融はんだによって、ワークWの裏面から突出しているリードがワークの所定箇所にはんだ付けされる。
【0058】
噴流ノズル32は、ノズルおよびノズルを同心円状に取り囲む円筒を有する。はんだ槽33から供給された溶融はんだがノズルの先端の開口から上部に噴流し、ワークWの裏面のはんだ付けの箇所に接触し、はんだ付けがなされる。ノズルからこぼれた溶融はんだが円筒の開口から下部のはんだ槽33に戻る。はんだ槽33には、はんだの流れを形成するための回転羽根、動力源 (モータ)等が設けられており、溶融はんだを循環させる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば本発明は、局所はんだ付け装置に限らず、フラックス塗布装置(例えばスプレーフラクサ)、プリヒータなどのワークの位置制御に対しても適用することができる。さらに、入口センサがワークの後端を検出しているが、乗り移り部を通過した後のワークを検出することができればよい。例えば後側に設けられた穴、切欠きなどを検出するようにしてもよい。さらに、光学的な検出に限らず、磁気的な検出を行うようにしてもよい。
【0060】
また、指標として一実施の形態のようにパルス数を使用することに限らず、時間を使用してもよい。すなわち、ワークWの後側が入口センサを通過した時刻から、減速ポイントまでの時間をT1とする。ワークWの搬送方向の長さ相当の時間をT2とした場合に、(T3=T1−T2)の時間T3をタイマーによって計測した場合に、減速開始指令又は停止指令を発生してもよい。時間T1及は、入口から減速ポイントまでの距離を搬送コンベアの搬送速度で除算して求めることができる。時間T2は、ワークWの搬送方向の長さを搬送コンベアの搬送速度で除算して求めることができる。さらに、パルス数、時間以外に距離を示す指標を使用してもよい。
【0061】
また、上述の実施の形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。また、上述の実施の形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
W・・・ワーク、101,111・・・局所はんだ付け装置、
101a,111a・・・チャンバー、104・・・入口センサ、
103a,103b,103c・・・搬送コンベア、105・・・ストッパー、
107・・・減速ポイント、108・・・停止ポイント、120・・・制御部、
121・・・コントローラ、124・・・搬送モータ
図1
図2
図3
図4
図5