特許第6835672号(P6835672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6835672
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】湿ったガス混合物を除湿する方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/28 20060101AFI20210215BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20210215BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20210215BHJP
   F25B 15/00 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   B01D53/28
   B01D53/26 300
   C09K5/04 G
   F25B15/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-116775(P2017-116775)
(22)【出願日】2017年6月14日
(65)【公開番号】特開2017-221939(P2017-221939A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2020年3月19日
(31)【優先権主張番号】10 2016 210 478.0
(32)【優先日】2016年6月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ ツェーナッカー
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ヴィリー
(72)【発明者】
【氏名】王 新明
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ シュナイダー
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0247494(US,A1)
【文献】 特表2007−538222(JP,A)
【文献】 特開2013−185815(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/142251(WO,A1)
【文献】 特開2013−113683(JP,A)
【文献】 特表2013−543965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/00−53/96
C09K 5/04
F25B 15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置V1中で、
(a)湿ったガス混合物Gを、
【化1】
の構造(I)の少なくとも1種のトリアルキルホスファートと、Q+-、Q+(R1O)2PO2-、(Q+22OPO32-、Q++3OPO32-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む液体吸収媒体AVEと接触させて、
前記液体吸収媒体AVEは、前記湿ったガス混合物Gから水を少なくとも部分的に吸収して、前記液体吸収媒体AVEと比べて高められた水含有率を示す液体吸収媒体AVE1と、前記湿ったガス混合物Gと比べて相対的に低い水含有率を示すガス混合物G1とを得る工程、
(b)前記液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去して、前記液体吸収媒体AVE1と比べて相対的に低い水含有率を示す液体吸収媒体AVE2を得る工程を含み、
前記装置V1は、少なくとも部分的に、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlを備え、前記装置V1中に、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される前記液体吸収媒体の少なくとも1種が、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと、少なくとも1つの接触面を介して接触する、湿ったガス混合物G、特に湿った空気を除湿する方法において、
+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
-は、R*COO-、R′SO3-、HSO4-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R*、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、アルキル基であり、
1、R2、R3は、互いに無関係に、アルキル基であり、
かつ、M+は、アルカリ金属イオンであることを特徴とする、湿ったガス混合物G、特に湿った空気を除湿する方法。
【請求項2】
+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、アルキル基は、互いに無関係に、1〜10の炭素原子を有し、かつ、R*、R′、R″、RA、RB、RC、R1、R2、R3は、互いに無関係に、1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ、M+は、Li+、K+又はNa+である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩Sは、Q+-、Q+(R1O)2PO2-の群から選択され、かつQ+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここでアルキル基は、互いに無関係に、1〜6の炭素原子を有し、かつA-は、R*COO-、R′SO3-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、R*、R1、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、1〜6の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
A、RB、RCは、互いに無関係に、メチル、エチルから選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記液体吸収媒体AVEは水溶液である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記液体吸収媒体AVE中で、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートと全ての塩Sとの全質量は、前記水溶液の全質量を基準として、65質量%〜95質量%の範囲にある、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記液体吸収媒体AVE中で、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートの全質量の、全ての塩Sの全質量に対する比率は、1:9999〜1:9の範囲にある、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
構成要素
(i)
【化2】
を示す構造(I)の少なくとも1種のトリアルキルホスファートと、Q+-、Q+(R1O)2PO2-、(Q+22OPO32-、Q++3OPO32-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む液体吸収媒体AVO
(ii)前記湿ったガス混合物と前記液体吸収媒体AVOとを接触するために設置された少なくとも1つの水吸収ユニットWabs2
(iii)熱交換器Wx2を備え、かつ前記液体吸収媒体AVOから水を少なくとも部分的に除去するために設置された少なくとも1つの水脱着ユニットWdes2
(iv)及び、前記水吸収ユニットWabs2を前記水脱着ユニットWdes2と接続し、かつ前記液体吸収媒体AVOを循環させることができる循環路U2を備え、
前記水吸収ユニットWabs2、前記水脱着ユニットWdes2、前記循環路U2の構成要素の少なくとも1つが、少なくとも部分的に、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlを備え、かつ
装置V2中に、前記液体吸収媒体AVOが、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと接触する少なくとも1つの接触面が配置された、湿ったガス混合物を除湿する装置V2において、
+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、
-は、R*COO-、R′SO3-、HSO4-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R*、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、アルキル基であり、
1、R2、R3は、互いに無関係に、アルキル基であり、かつM+は、アルカリ金属イオンであることを特徴とする、湿ったガス混合物を除湿する装置V2
【請求項9】
+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、アルキル基は、互いに無関係に、1〜10の炭素原子を有し、かつ、R*、R′、R″、RA、RB、RC、R1、R2、R3は、互いに無関係に、1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ、M+は、Li+、K+又はNa+である、請求項8に記載の装置V2
【請求項10】
前記塩Sは、Q+-、Q+(R1O)2PO2-の群から選択され、かつQ+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここでアルキル基は、互いに無関係に、1〜6の炭素原子を有し、かつA-は、R*COO-、R′SO3-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、R*、R1、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、1〜6の炭素原子を有するアルキル基である、請求項8又は9に記載の装置V2
【請求項11】
A、RB、RCは、互いに無関係に、メチル、エチルから選択される、請求項8から10までのいずれか1項に記載の装置V2
【請求項12】
前記液体吸収媒体AVOは水溶液である、請求項8から11までのいずれか1項に記載の装置V2
【請求項13】
前記液体吸収媒体AVO中で、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートと全ての塩Sとの全質量は、前記水溶液の全質量を基準として、65質量%〜95質量%の範囲にある、請求項12に記載の装置V2
【請求項14】
前記液体吸収媒体AVO中で、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートの全質量の、全ての塩Sの全質量に対する比率は、1:9999〜1:9の範囲にある、請求項8から13までのいずれか1項に記載の装置V2
【請求項15】
他の構成要素として、凝縮器、蒸発器、冷却剤を備え、前記冷却剤は水である、請求項8から14までのいずれか1項に記載の装置V2を備えた吸収ヒートポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿ったガス混合物を除湿する方法に関する。更に、本発明は、湿ったガス混合物を除湿する装置、及び本発明による方法におけるこの装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
湿ったガス混合物の除湿は、多様な技術分野で必要である。
【0003】
例えば、建物又は車両の換気及び空調は、一般に、冷却されるべき空気は、しばしば、所望の温度に冷却する間に温度が露点温度よりも低くなるほど湿っているため、空気の冷却ばかりでなく、空気の除湿も必要である。したがって、従来の空調システムでは、空気の除湿が、電力消費の大部分を占めている。
【0004】
建物用の空調システムの電力消費は、乾燥媒体を用いて水を吸着又は吸収することで空気を除湿し、引き続き水を含む乾燥媒体を、再び水が脱着する温度に加熱することで再生することにより低減される。固体吸収剤による吸着と比べて、液体吸収媒体中での吸収の利点は、空気の乾燥を、装置の複雑さを減らしかつ僅かな乾燥媒体で行うことができ、水を含む乾燥媒体の再生を、太陽熱を用いて容易に実施できることにある。
【0005】
湿ったガス混合物の除湿が用いられる他の技術分野は、吸収式冷凍機の分野である(原理は、国際公開第2014/079675号(WO 2014/079675 A1)に記載されている;本発明によれば「吸収式冷凍機」は、「吸収ヒートポンプ」と同義に使用される)。ここで、湿ったガス混合物は、低圧下での水の蒸発の間に形成される。こうして形成された水蒸気は、湿ったガス混合物から除去する必要があり、こうして、次いで、この混合物は、新たなサイクルに通すために水蒸気に戻すことができる。ここでも、液体吸収媒体中での吸収は、固体吸着媒体による吸着よりも好ましい。
【0006】
最後に、湿ったガス混合物の除湿は、例えば、独国特許出願公開第102010004779号明細書(DE 10 2010 004 779 A1)に記載されているような天然ガス抽出の分野でも重要である。
【0007】
空気除湿プラント又は天然ガス除湿プラント中に及び冷凍機中に導入される材料の例は、チタン、銅及び貴金属を含む。アルミニウムを基礎とする構成要素も、空気除湿プラント中に設置される。チタン、銅又はステンレス鋼のような他の材料と比べて、アルミニウムは、高い熱伝導率を示すという利点を有する。これは、更に、加工しやすく、軽量でかつ安価である。したがって、自動車製造において、特にアルミニウムからなる空調システムは、他の材料よりも好ましい。
【0008】
市販の空調システム中で、液体吸収媒体としてこのために使用される臭化リチウム、塩化リチウム又は塩化カルシウムの水溶液は、空調システムにおいて一般的に使用される構造物の材料に対して腐食性であり、したがって、構造物の特別な高価な材料の使用が必要であるという欠点を有する。この問題は、特にアルミニウムに対して該当する。この溶液は、更に、吸収媒体の塩の結晶化による問題を引き起こすことがある。
【0009】
Y. Luo et al., Appl. Thermal Eng. 31 (2011) 2772-2777は、空気の乾燥のために、臭化リチウムの水溶液の代わりに、イオン液体の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートを使用することを提案している。しかしながら、このイオン液体は、僅かな吸収能力を示すだけであるという欠点を有する。
【0010】
Y. Luo et al., Solar Energy 86 (2012) 2718-2724は、空気の乾燥のために、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートの代わりに、イオン液体の1,3−ジメチルイミダゾリウムアセタートを使用することを提案している。しかしながら、1,3−ジメチルイミダゾリウムアセタートは、安定ではなく、脱着の間にかなり分解が拡がる。
【0011】
この問題は、米国特許出願公開第2011/0247494号明細書(US 2011/0247494 A1)、段落[0145]に提案されたイオン液体についても該当する。この文献は、酢酸トリメチルアンモニウム又は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセタートを液体乾燥剤として塩化リチウム水溶液の代わりに使用することを提案している。実施例3は、一連の他のイオン液体について湿った空気からの水の吸収量を比較している。
【0012】
中国特許出願公開第102335545号明細書(CN 102335545 A)は、空気除湿についての吸収媒体としての上述の問題を有しないイオン液体の水溶液を記載している。吸収媒体は、鋼に対して非腐食性であることが報告されている。記載されたイオン液体は、とりわけ、1,3−ジメチルイミダゾリウムジメチルホスファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジメチルホスファート及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジメチルホスファートである。しかしながら、中国特許出願公開第102335545号明細書(CN 102335545 A)は、主に、鋼を基礎とする空気除湿器に関連している。更に、この材料は上述の理由でアルミニウムと比較して不利である。更に、中国特許出願公開第102335545号明細書(CN 102335545 A)に列挙された、有効な空気除湿のために重要であるイオン液体によって達成される伝熱は、比較的低い。
【0013】
更に、電熱は、吸収媒体を選択する場合に考慮しなければならない重要なパラメータである。したがって、空気除湿の分野で、吸収媒体自体と、空気除湿器の他の構成要素との間での特に良好な伝熱を保証する吸収媒体が、特に容易に使用可能である。金属構成要素(例えばアルミニウム)が使用される空気除湿器中で、この伝熱は、吸収媒体と金属表面との間で少なくとも部分的に生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2014/079675号
【特許文献2】独国特許出願公開第102010004779号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0247494号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第102335545号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Y. Luo et al., Appl. Thermal Eng. 31 (2011) 2772-2777
【非特許文献2】Y. Luo et al., Solar Energy 86 (2012) 2718-2724
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明は、この目的のために、アルミニウムを基礎とする空調システム、空気除湿器、吸収式冷凍機等で使用する場合に、先行技術の吸収媒体と比べて改善された伝熱を保証する吸収媒体を提供することである。
【0017】
吸収媒体は、意外にも、この目的を達成することが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明による装置V2/V1の態様を示す。
図2図2は、装置V2が組み込まれている吸収式冷凍機を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の詳細な説明
したがって、本発明は、第1の態様において、装置V1中で、次の工程:
(a)湿ったガス混合物Gを、
【化1】
の構造(I)の少なくとも1種のトリアルキルホスファートと、Q+-、Q+(R1O)2PO2-、(Q+22OPO32-、Q++3OPO32-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む液体吸収媒体AVEと接触させ、
ここで、液体吸収媒体AVEは、湿ったガス混合物Gから水を少なくとも部分的に吸収して、液体吸収媒体AVEと比べて高められた水含有率を示す液体吸収媒体AVE1と、湿ったガス混合物Gと比べて相対的に低い水含有率を示すガス混合物G1とを得る工程、
(b)液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去して、液体吸収媒体AVE1と比べて相対的に低い水含有率を示す液体吸収媒体AVE2を得る工程
を含み、
ここで、装置V1は、少なくとも部分的に、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlを備え、この装置V1中に、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1種が、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと、少なくとも1つの接触面を介して接触する、湿ったガス混合物G、特に湿った空気を除湿する方法において、
+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、特にアルキル基は、互いに無関係に、1〜10の炭素原子を有し、
-は、R*COO-、R′SO3-、HSO4-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R*、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、特に1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、
1、R2、R3は、互いに無関係に、特に1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、
かつ、M+は、アルカリ金属イオン、好ましくはLi+、K+又はNa+、より好ましくはK+又はNa+であることを特徴とする、湿ったガス混合物G、特に湿った空気を除湿する方法に関する。
【0020】
このガス混合物Gは、特に限定を受けることはない。「湿った」とは、本発明との関連で、「水、特に水蒸気を含む」を意味するものと解釈される。「除湿」とは、「少なくとも部分的に水を除去すること」を意味するものと解釈される。
【0021】
「少なくとも部分的」とは、本発明との関連で、「一部又は全部」を意味するものと解釈される。
【0022】
したがって、「湿ったガス混合物G」は、本発明との関連で、ガス混合物Gが、水、好ましくは水蒸気(「水蒸気」とは、気体状態の水を意味するものと解釈される)を含み、かつ、この組成は、その他の点で特に限定を受けないことを意味するものと解釈される。この湿ったガス混合物の水含有率は、特別な限定を受けることはないが、特に0.01体積%〜99.99体積%である(「体積%」は、湿ったガス混合物Gの全体積を基準とした水蒸気の体積を表す)。湿ったガスGの組成は、その他の点で、本発明による方法の適用に依存して変化してよい。湿ったガス混合物Gは、特に、湿った天然ガス、湿った空気(これは、湿った室内空気又は吸収式冷凍機中での水の蒸発から生じる湿った空気であってよい)、好ましくは湿った空気から選択される。湿った天然ガスについての水含有率は、特に、0.01体積%〜15.00体積%であり、湿った空気についての水含有率は、特に、湿った室内空気の場合に0.01体積%〜15.00体積%であり、又は吸収式冷凍機中での水の蒸発から生じる湿った空気に関する場合に好ましい範囲は、特に95.00体積%〜99.99体積%である。
【0023】
本発明による方法は、少なくとも部分的に、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAl(本発明との関連で、OAlは、「構造物のアルミニウム材料からなる表面」を省略している)を備え、かつAVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1種が、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと少なくとも1つの接触面を介して接触する装置V1中で実施される。
【0024】
特に、次の構成要素:
(i)湿ったガス混合物と液体吸収媒体AVEとを接触するために設置された少なくとも1つの水吸収ユニットWabs1
(ii)熱交換器Wx1を備え、かつ液体吸収媒体AVEから水を少なくとも部分的に除去するために設置された少なくとも1つの水脱着ユニットWdes1
(iii)及び、水吸収ユニットWabs1を水脱着ユニットWdes1と接続し、かつ液体吸収媒体AVEを循環させることができる循環路U1
を備える装置V1を使用することができる。
【0025】
水吸収ユニットWabs1は、本発明による方法の工程a)を特に実施する構成要素である。水吸収ユニットWabs1として使用可能であるのは、特に当業者に公知の水吸収器である。この吸収器は、液体吸収媒体AVEの表面積を増大させ、かつ同時に水の吸収の間に、水吸収器中での液体吸収媒体AVEのできる限り長い滞留時間を達成する原理に基づく。特に、ここでは、充填層、噴霧塔、流下薄膜、気泡塔、段塔、湿式スクラバ(例えばベンチュリスクラバ)、攪拌槽及びこれらの吸収器の組み合わせの群から選択される水吸収器を使用することができる。水吸収器として、流下薄膜、特に多管式流下薄膜を使用することが特に好ましい。この水吸収ユニットWabs1は、特に、液体吸収媒体AVEを冷却可能にするために設置された付加的な熱交換器Wz1を備えていてもよい。
【0026】
熱交換器Wx1を備えた水脱着ユニットWdes1は、本発明による方法の工程b)を特に実施するユニットである。この水脱着ユニットWdes1は、水を含む液体吸収媒体AVE(特にAVE1)に熱を供給し、水を含む液体吸収媒体AVE(特にAVE1)の表面積を増大させ、同時に水脱着ユニット中での水を含む液体吸収媒体AVE(特にAVE1)のできる限り長い滞留時間を達成する原理に基づく。
【0027】
熱交換器Wx1を備えた水脱着ユニットWdes1として使用可能であるのは、特に、当業者に公知の熱交換器と水脱着器との組み合わせであり、特に、上流側の熱交換器、特に多管式熱交換器、平板式熱交換器を備えた水平式管型蒸発器である。更に、熱交換器Wx1を備えた水脱着ユニットWdes1は、組込型熱交換器を備えた水脱着器であってもよい。このような組込型熱交換器を備えた水脱着器は、特に、上昇式薄膜蒸発器、垂直長管型蒸発器、垂直短管型蒸発器、強制循環型蒸発器、攪拌式薄膜蒸発器である。水脱着ユニットWdes1として、流下薄膜、特に多管式流下薄膜を使用することが特に好ましい。
【0028】
循環路U1は、特に、本発明による方法の工程a)からのAVE1を、水吸収ユニットWabs1から水脱着ユニットWdes1へ送り、及び、更に好ましくは、特に本発明による方法を連続式に実施する場合に、付加的に本発明による方法の工程b)からのAVE2を、水吸収ユニットWdes1から水脱着ユニットWabs1へ送る。
【0029】
この循環路U1は、特に、導管、特にチューブ、ホースからなる群から選択される導管である。
【0030】
更に好ましい実施態様の場合に、循環路U1は、また、ポンプを備える。
【0031】
本発明による方法の第1の工程は、湿ったガス混合物Gを、
【化2】
で示される構造(I)の少なくとも1種のトリアルキルホスファートと、Q+-、Q+(R1O)2PO2-、(Q+22OPO32-、Q++3OPO32-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含む液体吸収媒体AVEと接触させることを含む。この接触は、当業者に公知である任意の方法で、特に水吸収ユニットWabs1中で行われてよい。この接触は、吸収媒体AVEが、湿ったガス流Gから、少なくとも部分的に湿分、すなわち水を吸収して、液体吸収媒体AVEと比べて高められた水含有率を示す液体吸収媒体AVE1と、湿ったガス混合物Gと比べて相対的に低い水含有率を示すガス混合物G1とを提供することを引き起こす。
【0032】
できるだけ多くの湿分を湿ったガス混合物Gから吸収するために、湿ったガス混合物Gの接触の間に、吸収媒体AVEを冷却することが好ましい。これは、例えば、水吸収ユニットWabs1中の付加的な熱交換器Wz1を介して達成してよい。湿ったガス混合物Gの接触の間の吸収媒体AVEの温度は、例えば、好ましくは2℃〜100℃、好ましくは3℃〜80℃、より好ましくは4℃〜50℃、最も好ましくは5℃〜30℃の範囲にある。
【0033】
吸収媒体AVEは、
【化3】
を示す構造(I)の少なくとも1種のトリアルキルホスファートと、Q+-、Q+(R1O)2PO2-、(Q+22OPO32-、Q++3OPO32-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含み、
+は、1,3−ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、特にアルキル基は、互いに無関係に、1〜10の炭素原子を有し、
-は、R*COO-、R′SO3-、HSO4-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R*、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、特に1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、
1、R2、R3は、互いに無関係に、特に1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、
かつ、M+は、アルカリ金属イオン、好ましくはLi+、K+又はNa+、更により好ましくはK+又はNa+である。
【0034】
本発明による方法の好ましい実施態様の場合に、塩Sは、Q+-、Q+(R1O)2PO2-からなる群から選択され、Q+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、アルキル基は、互いに無関係に、1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1又は2の炭素原子を有し、A-は、R*COO-、R′SO3-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R*、R1、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1又は2の炭素原子を有するアルキル基である。
【0035】
本発明による方法のより好ましい実施態様の場合に、塩Sは、一般式Q+(R1O)2PO2-を示し、Q+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、アルキル基は、互いに無関係に、メチル又はエチルであり、R1、RA、RB、RCは、互いに無関係に、メチル又はエチルである。
【0036】
本発明による方法の更により好ましい実施態様の場合に、塩Sは、一般式Q+(R1O)2PO2-を示し、Q+は、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、RA、RB、RC、R1は、メチル又はエチルである。
【0037】
本発明による方法の上述の態様の全てにおいて、RA、RB、RCは、互いに無関係に、メチル、エチルから選択される場合が更に特に好ましく、更により好ましくはRA=RB=RC=メチル又はRA=RB=RC=エチル、特に好ましくはRA=RB=RC=エチルである。
【0038】
これは、意外にも、少なくとも1つのエチル基を有するイミダゾリウム塩が、特に小さな接触角を示し、それにより特に良好な表面の濡れを保証することが見出されたためである。これは、比較的大きな接触面積を生じさせ、それにより濡れていない空間も少なくなり、それにより装置V1内部での伝熱を改善し、それにより特に効果的なプロセスも生じさせる。
【0039】
液体吸収媒体AVEは、本発明による方法において、構造(I)のトリアルキルホスファートと塩Sとの純粋な混合物の形で使用してもよい。あるいは、より好ましくは本発明による方法において、液体吸収媒体AVEは、特に、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートと全ての塩Sの全質量が、水溶液の全質量を基準として65質量%〜95質量%の範囲にある水溶液である。AVE中で、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートと全ての塩Sの全質量が、水溶液の全質量を基準として70質量%〜90質量%の範囲にある場合が更により好ましく、75質量%〜87質量%の範囲にある場合が更により好ましい。
【0040】
本発明による方法において、吸収媒体AVE中での構造(I)の全てのトリアルキルホスファートの塩Sに対する比率は、更に限定されない。しかしながら、本発明による方法において、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートの全質量の、全ての塩Sの全質量に対する比率が、1:9999〜1:9、より好ましくは1:9999〜1:99、更により好ましくは1:9999〜1:999の範囲にある吸収媒体AVEを使用することが好ましい。
【0041】
本発明による方法の第1の工程で得られ、かつ湿ったガス混合物Gと比べて相対的に低い水含有率を示すガス混合物G1は、除湿されたガス流を表し、これは、用途に応じて、除湿された空気の形で生活空間又は作業空間に戻すことができるか、又は天然ガスの場合には発電に供給することができる。
【0042】
本発明による方法の第1の工程で得られる吸収媒体AVE1は、液体吸収媒体AVEと比べて高められた水含有率を示す。AVE1は、これに含まれる構造(I)のトリアルキルホスファートに関して、及びこれに含まれる塩Sに関して、AVEと同じであり、かつ好ましくはその水含有率によってのみ区別されることが認識されるであろう。
【0043】
本発明による方法の第2の工程は、液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去して、液体吸収媒体AVE1と比べて相対的に低い水含有率を示す液体吸収媒体AVE2を得ることを含む。これは、更に、特に、液体吸収媒体AVE1に熱を供給することを含む。熱の供給及び少なくとも部分的な除去は、当業者に公知の任意の方法で、特に熱交換器Wx1を備えた水脱着ユニットWdes1中で行ってよい。液体吸収媒体AVE1からの水の少なくとも部分的な除去は、液体吸収媒体AVE1と比べて相対的に低い水含有率を示す液体吸収媒体AVE2を提供する。
【0044】
液体吸収媒体AVE2は、それに含まれる構造(I)のトリアルキルホスファートに関して、及びその中に含まれる塩Sに関して、AVE1と同じであり、好ましくはその水含有率によってのみ区別されることが認識されるであろう。
【0045】
本発明による方法の本質的な特徴は、装置V1が少なくとも部分的に構造物のアルミニウム材料からなる表面OAl(本発明との関連で、OAlは、「構造物のアルミニウム材料からなる表面」の略語である)を備えていることである。
【0046】
本発明との関連で、構造物のアルミニウム材料とは、合金化されていないアルミニウム、及びアルミニウム合金、特にアルミニウムの質量分率が、他の元素のいずれの質量分率よりも大きいアルミニウム合金の両方を意味すると解釈される。構造物のアルミニウム材料は、好ましくは、合金化されていないアルミニウムである。
【0047】
合金化されていないアルミニウムは、特に、>80質量%、より好ましくは>85質量%、更により好ましくは>90質量%、更により好ましくは>95質量%、更により好ましくは>98質量%の純度を示すアルミニウムである。これは、特に、>99.0質量%、より好ましくは>99.5質量%、より好ましくは>99.9質量%の純度を示す最高純度のアルミニウムである。
【0048】
アルミニウム合金は、アルミニウムに加えて更に、特に、マグネシウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される、より好ましくはマグネシウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金金属を含む。構造物のアルミニウム材料は、特に、鍛造合金又は鋳造合金の形であってよい。
【0049】
本発明の方法の他の本質的な特徴は、装置V1中で、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体の少なくとも1種が、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと、少なくとも1つの接触面を介して接触することにある。これは、この接触面で、この液体吸収媒体AVE、AVE1又はAVE2が、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと直接接触していることを意味すると解釈される。本発明との関連で、「直接接触している」とは「濡れ」の意味であると解釈される。よって、AVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体と、接触面中に含まれるアルミニウムとが、直接接触していることが認識されるであろう。接触面中に含まれるアルミニウムは、特に限定されず、かつ特に、単体アルミニウム又はアルミニウム化合物、例えば、特に不動態化アルミニウム(不動態化アルミニウムは、特に酸化アルミニウムを意味すると解釈される)からなる群から選択される。
【0050】
本発明による実施態様の場合に、装置V1が使用され、かつ装置V1は次の構成要素:
(i)湿ったガス混合物と液体吸収媒体AVEとを接触するために設置された少なくとも1つの水吸収ユニットWabs1
(ii)熱交換器Wx1を備え、かつ液体吸収媒体AVEから水を少なくとも部分的に除去するために設置された少なくとも1つの水脱着ユニットWdes1
(iii)及び、水吸収ユニットWabs1を水脱着ユニットWdes1と接続し、かつ液体吸収媒体AVEを循環させることができる循環路U1を備え、
VE、AVE1、AVE2からなる群から選択される液体吸収媒体が、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと接触する接触面は、特に、水吸収ユニットWabs1、水脱着ユニットWdes1、循環路U1の群から選択される構成要素の少なくとも1つ中に、好ましくは、水吸収ユニットWabs1、水脱着ユニットWdes1の群から選択される構成要素の少なくとも1つ中に配置されている。
【0051】
これは、意外にも、構造(I)の少なくとも1種のトリアルキルホスファートと本発明による少なくとも1種の塩Sとの混合物が、構造物のアルミニウム材料の特に良好な濡れを示し、それにより特に良好な伝熱を保証し、それによりAVE、AVE1、AVE2からなる群から選択される吸収媒体の1つが構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと直接接触する構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlを備えた装置V1中の液体吸収媒体として特に適していることが見出されたためである。
【0052】
更に好ましい実施態様の場合に、本発明による方法は、連続式で行われる。これは、特に、工程b)に引き続き、工程a)及びb)が少なくとも1回実施され、かつ各々の場合に付加的に実施された工程a)で使用された液体吸収媒体AVEは、少なくとも部分的に、直前に実施された工程b)から得られた液体吸収媒体AVE2であり、つまり、特に、各々の場合に、付加的に実施された工程a)中で使用された液体吸収媒体AVEの水含有率は、直前の工程b)からの液体吸収媒体AVE2の水含有率と同じであることを意味するものと解釈される。
【0053】
この実施態様は、液体吸収媒体AVE2からの熱により液体吸収媒体AVE1が加熱されることを含む場合がより好ましい。これは、特に、多管式熱交換器及び平板型熱交換器からなる群から選択される付加的な熱交換器Wy1中で行ってよい。これにより、本発明による方法を、特にエネルギー効率の良い形で実施することが可能になる。
【0054】
本発明は、また、別の態様において、構成要素
(i)液体吸収媒体AVOが、
(ii)
【化4】
を示す構造(I)の少なくとも1種のトリアルキルホスファートと、Q+-、Q+(R1O)2PO2-、(Q+22OPO32-、Q++3OPO32-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含むこと、
(iii)湿ったガス混合物と液体吸収媒体AVOとを接触するために設置された少なくとも1つの水吸収ユニットWabs2
(iv)熱交換器Wx2を備え、かつ液体吸収媒体AVOから水を少なくとも部分的に除去するために設置された少なくとも1つの水脱着ユニットWdes2
(v)及び、水吸収ユニットWabs2を水脱着ユニットWdes2と接続し、かつ液体吸収媒体AVOを循環させることができる循環路U2を備え、
ここで、水吸収ユニットWabs2、水脱着ユニットWdes2、循環路U2の構成要素の少なくとも1つが、少なくとも部分的に、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlを含み、かつ
ここで、装置V2中に、液体吸収媒体AVOが、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと接触する少なくとも1つの接触面が配置された、湿ったガス混合物、特に湿った空気を除湿する装置V2において、
+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、特にアルキル基は、互いに無関係に、1〜10の炭素原子を有し、
-は、R*COO-、R′SO3-、HSO4-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R*、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、特に1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、
1、R2、R3は、互いに無関係に、特に1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、
かつ、M+は、アルカリ金属イオン、好ましくはLi+、K+又はNa+、より好ましくはK+又はNa+であることを特徴とする、湿ったガス混合物、特に湿った空気を除湿する装置V2に関する。
【0055】
本発明による装置V2は、湿ったガス混合物、特に湿った空気を除湿するために適している。この装置は、次の構成要素を備える:
第1の構成要素として本発明による装置V2は、液体吸収媒体AVOを含み、この液体吸収媒体AVOは、
【化5】
の構造(I)の少なくとも1種のトリアルキルホスファートと、Q+-、Q+(R1O)2PO2-、(Q+22OPO32-、Q++3OPO32-からなる群から選択される少なくとも1種の塩Sとの混合物を含み、Q+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、特にアルキル基は、互いに無関係に、1〜10の炭素原子を有し、
-は、R*COO-、R′SO3-、HSO4-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R*、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、特に1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、
1、R2、R3は、互いに無関係に、特に1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、
かつ、M+は、アルカリ金属イオン、好ましくはLi+、K+又はNa+、更により好ましくはK+又はNa+である。
【0056】
本発明による装置V2の好ましい実施態様の場合に、吸収媒体AVO中で、塩Sは、Q+-、Q+(R1O)2PO2-からなる群から選択され、Q+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、アルキル基は、互いに無関係に、1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1又は2の炭素原子を有し、かつ、A-は、R*COO-、R′SO3-、R″SO4-からなる群から選択されるアニオンであり、ここで、R*、R1、R′、R″、RA、RB、RCは、互いに無関係に、1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1又は2の炭素原子を有するアルキル基である。
【0057】
本発明による装置V2のより好ましい実施態様の場合に、吸収媒体AVO中で、塩Sは、一般式Q+(R1O)2PO2-を示し、Q+は、ジアルキルイミダゾリウムカチオンであり、ここで、アルキル基は、互いに無関係に、メチル又はエチルであり、かつR1、RA、RB、RCは、互いに無関係に、メチル又はエチルである。
【0058】
本発明による装置V2の更により好ましい実施態様の場合に、吸収媒体AVO中で、塩Sは、一般式Q+(R1O)2PO2-を示し、Q+は、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、RA、RB、RC、R1は、メチル又はエチルである。
【0059】
本発明による装置V2の上述の実施態様の全ての場合に、吸収媒体AVO中で、RA、RB、RCは、互いに無関係に、メチル、エチルから選択される場合が更に特に好ましく、更により好ましくはRA=RB=RC=メチル又はRA=RB=RC=エチル、特に好ましくはRA=RB=RC=エチルである。
【0060】
これは、意外にも、R=エチル基を示すイミダゾリウム塩が、特に小さな接触角を示し、それにより特に良好な表面の濡れを保証することが見出されたためである。これは、比較的大きな接触面積を生じさせ、それにより濡れていない空間は少なくなり、それにより装置V2内部での熱伝達は改善する結果となる。
【0061】
液体吸収媒体AVEは、本発明による装置V2において、構造(I)のトリアルキルホスファートと塩Sとの純粋な混合物の形で使用してよい。あるいは、より好ましくは本発明による装置V2において、液体吸収媒体AVOは、特に、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートと全ての塩Sの全質量が、水溶液の全質量を基準として65質量%〜95質量%の範囲にある水溶液である。AVO中で、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートと全ての塩Sの全質量が、水溶液の全質量を基準として70質量%〜90質量%の範囲にある場合が更により好ましく、75質量%〜87質量%の範囲にある場合が更により好ましい。
【0062】
本発明による装置V2において、吸収媒体AVO中での構造(I)の全てのトリアルキルホスファートの塩Sに対する比率は、更に限定されない。しかしながら、本発明による装置V2において、構造(I)の全てのトリアルキルホスファートの全質量の、全ての塩Sの全質量に対する比率が、1:9999〜1:9、より好ましくは1:9999〜1:99、更により好ましくは1:9999〜1:999の範囲にある吸収媒体AVOを使用することが好ましい。
【0063】
第2の構成要素として、本発明による装置V2は、湿ったガス混合物を液体吸収媒体AVOと接触させるために設置された水吸収ユニットWabs2を備える。この水吸収ユニットWabs2は、特に、液体吸収媒体AVOを冷却可能にするために設置された付加的な熱交換器Wz2を備えていてよい。このような水吸収ユニットWabs2として使用可能であるのは、特に当業者に公知の水吸収器である。この吸収器は、液体吸収媒体AVOの表面積を増大させ、かつ同時に水の吸収の間に、水吸収器中での液体吸収媒体AVOのできる限り長い滞留時間を達成する原理に基づく。特に、ここでは、充填層、噴霧塔、流下薄膜、気泡塔、段塔、湿式スクラバ(例えばベンチュリスクラバ)、攪拌槽及びこれらの吸収器の組み合わせの群から選択される水吸収器を使用することができる。水吸収器として、流下薄膜、特に多管式流下薄膜を使用することが特に好ましい。
【0064】
第3の構成要素として、本発明による装置V2は、熱交換器Wx2を備え、かつ液体吸収媒体AVOから水を少なくとも部分的に除去するために設置された水脱着ユニットWdes2を備える。したがって、特に、当業者に公知の熱交換器と水脱着器との組み合わせが使用可能である。水脱着ユニットWdes2は、液体吸収媒体AVOに熱を供給し、液体吸収媒体AVOの表面積を増大させ、同時に水脱着ユニット中での液体吸収媒体AVOのできる限り長い滞留時間を達成する原理に基づく。
【0065】
熱交換器Wx2を備えた水脱着ユニットWdes2として使用可能であるのは、特に、当業者に公知の熱交換器と水脱着器との組み合わせであり、特に、上流側の熱交換器、特に多管式熱交換器、平板式熱交換器を備えた水平式管型蒸発器である。更に、熱交換器Wx2を備えた水脱着ユニットWdes2は、組込型熱交換器を備えた水脱着器であってもよい。このような組込型熱交換器を備えた水脱着器は、特に、上昇式薄膜蒸発器、垂直長管型蒸発器、垂直短管型蒸発器、強制循環型蒸発器、攪拌式薄膜蒸発器である。水脱着ユニットWdes2として、流下薄膜、特に多管式流下薄膜を使用することが特に好ましい。
【0066】
第4の構成要素として、本発明による装置V2は、水吸収ユニットWabs2を水脱着ユニットWdes2と接続し、かつ液体吸収媒体AVOを循環させることができる循環路U2を備える。この循環路U2は、好ましくは、導管、より好ましくはチューブ、ホースからなる群から選択される導管である。更に好ましい実施態様の場合に、循環路U2は、また、ポンプを備える。
【0067】
本発明による装置V2の本質的な特徴は、この装置が少なくとも部分的に構造物のアルミニウム材料からなる表面OAl(本発明との関連で、OAlは、「構造物のアルミニウム材料からなる表面」の略語である)を備えることである。
【0068】
本発明との関連で、構造物のアルミニウム材料とは、合金化されていないアルミニウム、及びアルミニウム合金、特にアルミニウムの質量分率が、他の元素のいずれの質量分率よりも大きいアルミニウム合金の両方を意味すると解釈される。構造物のアルミニウム材料は、好ましくは、合金化されていないアルミニウムである。
【0069】
合金化されていないアルミニウムは、特に、>99.0質量%、より好ましくは>99.9質量%の純度を示す最高純度のアルミニウムである。
【0070】
アルミニウム合金は、アルミニウムに加えて更に、特に、マグネシウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、鉛、銅、チタン、鉄からなる群から選択される、更に好ましくはマグネシウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、鉛、銅、チタンからなる群から選択される少なくとも1種の合金金属を含む。構造物のアルミニウム材料は、特に、鍛造合金又は鋳造合金の形であってよい。
【0071】
本発明による装置V2の他の本質的な特徴は、この装置中に、液体吸収媒体AVOが、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと接触する接触面が配置されることである。これは、この接触面で、この液体吸収媒体AVOが、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと直接接触していることを意味すると解釈される。本発明との関連で、「直接接触している」とは「濡れる」の意味であると解釈される。よって、液体吸収媒体AVOと、接触面中に含まれるアルミニウムが、直接接触していることが認識されるであろう。接触面中に含まれるアルミニウムは、特に限定されず、かつ特に、単体アルミニウム又はアルミニウム化合物、例えば、特に不動態化アルミニウム(不動態化アルミニウムは、特に酸化アルミニウムを意味すると解釈される)からなる群から選択される。
【0072】
好ましい実施態様の場合に、装置V2は、更なる熱交換器Wy2を(水脱着ユニットWdes2中に備えられた熱交換器Wx2に対して更に)備える。熱交換器Wy2は、水吸収ユニットWabs2から水脱着ユニットWdes2へ送られる液体吸収媒体AVOに、液体吸収媒体AVOから熱が供給可能であるように設置され、この媒体は、水脱着ユニットWdes2から離れるように案内される。これは、熱交換器Wy2として、特に多管式熱交換器、平板型熱交換器から選択される熱交換器を使用することによって保証することができる。
【0073】
更に好ましい実施態様の場合に、装置V2は、吸収ヒートポンプの一部である。この吸収ヒートポンプは、また、更なる構成要素として、凝縮器、蒸発器及び冷却剤を備え、ここで冷却剤は水である。
【0074】
この凝縮器は、特に、水脱着ユニットWdes2と導管を介して接続されていて、かつ水脱着ユニットWdes2中で液体吸収媒体AVOから少なくとも部分的に除去された水を凝縮するために設置されている。この凝縮器は、好ましくは冷却水循環路を備えている。
【0075】
この蒸発器は、特に、導管(この導管は、絞り手段を備えていてよい)を介して凝縮器と接続されていて、かつ更なる導管を介して水吸収ユニットWabs2に接続されていて、かつ凝縮器から凝縮された水を蒸発させるために設置されている。この蒸発器は、好ましくは、また、できる限り低い温度で凝縮水の蒸発を可能にするために、<1bar、より好ましくは<0.1barの圧力を示す。この蒸発器は、更に好ましくは、付加的に、熱を取り出し、かつ凝縮された水を蒸発させることができる装置(例えば、水を蒸発させる空間に冷却剤を通す冷却剤導管)を備えていてよい。
【0076】
以下に説明する図1及び2は、本発明による方法及び本発明による装置の好ましい実施態様を示す。
【0077】
図1に示した装置V2は、導管<101>が導入されかつ導管<102>が導出される水吸収ユニットWabs2<103>(任意付加的に熱交換器Wz2<104>を備える)と、熱交換器Wx2<108>と水脱着器<109>を備えかつ導管<111>が導入されかつ導管<110>、<112>及び<113>が導出される水脱着ユニットWdes2と、導管<106>、<111>及び<113>又は<106>、<111>、<112>及び<105>から形成された循環路U2(それぞれの場合に、任意に、導管<114>を備える)とを備える。図1の装置は、任意に、導管<106>及び<112>が導入されかつ導管<105>及び<111>が導出される更なる熱交換器Wy2<107>を備えていてもよい。更に、この装置は、液体吸収媒体AVOも備える。この媒体は、上述の構成要素の水吸収ユニットWabs2、水脱着ユニットWdes2、循環路U2の1つ以上の中に含まれている。水吸収ユニットWabs2<103>は、任意に、付加的熱交換器Wz2<104>を備えていてもよい。装置V2、特に水吸収ユニットWabs2、水脱着ユニットWdes2、循環路U2からなる群から選択される構成要素の少なくとも1つは、少なくとも部分的に、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlを備え、かつ液体吸収媒体AVOが、構造物のアルミニウム材料からなる表面OAlと接触する少なくとも1つの接触面がある。任意に、循環路U2は、付加的に、液体吸収媒体を運ぶためのポンプを備えていてもよい。
【0078】
装置V1は、吸収媒体AVOなしの装置V2に対応し、ここで、図1及び図2についての図の記載中で、用語U2、Wabs2、Wdes2、Wx2、Wy2、Wz2は、それぞれU1、Wabs1、Wdes1、Wx1、Wy1及びWz1に置き換えられる。
【0079】
本発明による方法を、ここで、図1を用いて装置V1に関して例示的に記載する:
湿ったガス混合物Gの流れ(この流れは、湿った空気、湿った天然ガス又は吸収式冷凍機の蒸発器に由来する湿ったガス混合物であってよく、これらの選択に関しては図2にも当てはまる)は、導管<101>を介して水吸収ユニットWabs1<103>に供給され、かつ導管<105>を介して又は導管<113>を介して水吸収ユニットWabs1<103>に供給される液体吸収媒体AVEと接触される。この水吸収ユニットWabs1<103>は、Wabs1について上述に列挙された任意の水吸収器、特に流下薄膜であってよい。水吸収ユニットWabs1<103>中で、導管<101>を介して供給されたガス混合物Gを、導管<105>又は導管<113>を介して供給された液体吸収媒体AVEと接触させることは、液体吸収媒体AVEと比べて高められた水含有率を示す液体吸収媒体AVE1を提供し、かつガス混合物G1の流れは、導管<102>を介して搬出され、ここで、G1は、湿ったガス混合物Gと比べて相対的に低い水含有率を示す。用途に依存して、G1は、特に、除湿された空気又は除湿された天然ガスである。水吸収ユニットWabs1<103>は、任意に、付加的熱交換器Wz1<104>を備えていてもよい。好ましくは、導管<106>、<111>及び熱交換器Wy1<107>を介して(又は、熱交換器Wy1<107>が使用されていない場合には、導管<106>、<111>及び<114>を介して)、液体吸収媒体AVE1は、次いで、熱交換器Wx1<108>及び水脱着器<109>から構成された水脱着ユニットWdes1に通される。水を含む液体吸収媒体AVE1に、付加的に、任意の熱交換器Wy1<107>中で熱が供給されてよい。液体吸収媒体AVE1から水を少なくとも部分的に除去することは、水脱着器<109>中で実施され、液体吸収媒体AVE1と比べて相対的に低い水含有率を示す液体吸収媒体AVE2を提供する。除去された水は、次いで、水脱着器<109>から、液体又は蒸気として、好ましくは蒸気として、導管<110>を介して搬出される。液体吸収媒体AVE2は、次いで、水脱着器<109>から搬出され、かつ水吸収ユニットWabs1<103>に戻される。これは、直接、つまり図1に破線で示された導管<113>を介して行ってよい。あるいは、好ましくは、液体吸収媒体AVE2は、導管<112>を介して、任意の熱交換器Wy1<107>に供給されてもよく、ここで、導管<106>を介して任意の熱交換器Wy1<107>に供給された液体吸収媒体AVE1に、導管<112>を介して任意の熱交換器Wy1<107>に供給された液体吸収媒体AVE2から熱が供給される。濃縮された液体吸収媒体AVE2が、導管<105>又は<113>を介して水吸収ユニットWabs1に供給された場合に、この媒体は、新たなサイクルにおいてガス流を少なくとも部分的に除湿するためにAVEとして再使用される。この方法において、図1による装置、好ましくは、水吸収ユニットWabs1<103>(図1中でこのユニットは、熱交換器<104>を備える)、水脱着ユニットWdes1図1中でこのユニットは、熱交換器<108>を備える)、循環路U1図1中では、導管<106>、<111>、<113>、又は<106>、<111>、<112>、<105>、かつ各々の場合に、任意に導管<114>に対応する)からなる群から選択される構成要素の少なくとも1つが、少なくとも部分的に、構成物のアルミニウム材料からなる表面OAlを備え、かつこの装置中に、液体吸収媒体AVE、AVE1、AVE2の少なくとも1つが、構成物のアルミニウム材料からなる表面OAlと接触する少なくとも1つの接触面が配置されていることが、本発明にとって本質的である。
【0080】
図2は、装置V2が組み込まれている吸収式冷凍機を図式的に示す。構成要素<101>〜<114>は、図1に記載された装置V2についてと同じものを示す。更に、図2中の吸収式冷凍機は、導管<110>を介して水脱着ユニットWdes2<109>と接続されている凝縮器<211>を備え、かつ、水脱着ユニットWdes2中で液体吸収媒体AVOから少なくとも部分的に除去された水を凝縮するために設置されている。この凝縮器<211>は、好ましくは、また、冷却水を供給することができる熱交換器<212>を備える。
【0081】
図2に示された吸収式冷凍機は、また、導管<216>(この導管<216>は、任意に絞り手段<213>を備えていてよい)を介して凝縮器<211>と接続し、かつ導管<101>を介して水吸収ユニットWabs2と接続された蒸発器<214>を備える。蒸発器<214>は、凝縮器から凝縮された水を蒸発させるために設置されている。更に、蒸発器<214>は、更に好ましくは、媒体を供給する熱交換器<215>を備えていてもよく、この媒体から熱が取り出され、凝縮された水を蒸発させる(例えば、特に冷却剤として水を用いた冷却剤導管、この冷却剤は蒸発器<214>に通される)。
【0082】
本発明による方法の実施態様(図2を用いて装置V1に関して以後に記載される)の場合に、蒸発器<214>に由来する湿ったガス混合物Gは、導管<101>を介して水吸収ユニットWabs1<103>に通される。水脱着ユニットWdes1で除去された水は、導管<110>を介して凝縮器<211>に供給され、そこでその水は再凝縮される。この凝縮器中に取り付けられた熱交換器<212>としての冷却水循環路は、任意に同様にこのために使用される。凝縮された水は、次いで導管<216>を介して蒸発器<214>に供給され、ここで水の蒸発は、特に低圧で行われ、それにより冷却効果がもたらされる。これは、任意に、絞り手段<213>を用いて行うこともできる。これは、蒸発器<214>内での冷却作用を達成し、例えば、冷却剤を、熱交換器<215>を介して冷却することができる。生成された水蒸気は、次いで、導管<101>を介して水吸収ユニットWabs1<103>に戻される。
【0083】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しているが、本発明を決して限定するものではない。
【実施例】
【0084】
本発明による実施例E1〜E6及び比較例V1及びV2を実施した。試験V1、E1〜E3では、無水の溶液を使用した。試験V2、E4〜E6では、水溶液を使用した。
【0085】
1. 使用した薬品
EMIM DEP(=エチルメチルイミダゾリウムジエチルホスファート)は、Iolitecから入手した。
【0086】
TEP(=トリエチルホスファート)は、Sigma Aldrichから入手した。
【0087】
2. 試験手順
それぞれの溶液3滴を、3cm×7cmの寸法及び3mmの最大厚さを示すアルミニウムプレート(最高純度のアルミニウム、純度>99.0%)上に滴下した。接触角の決定を、SOP1827に従って実施した。この結果を次の表中に示す。
【0088】
V1は、純粋なEMIM DEPを用いた比較試験であり、試験E1、E2及びE3では、EMIM DEPと、それぞれTEP10質量%、1質量%及び0.1質量%(質量%値は、混合物の全質量を基準とする)との混合物を分析した。
【0089】
V2は、EMIM DEPと、水10質量%の混合物を用いた比較試験であり、試験E4、E5及びE6では、EMIM DEPと、水10質量%と、それぞれTEP10質量%、1質量%及び0.1質量%(質量%値は、混合物の全質量を基準とする)との混合物を分析した。
【0090】
3. 結果
【表1】
【0091】
この結果は、本発明による吸収媒体(E1〜E3、E4〜E6)が、先行技術の吸収媒体(V1、V2)と比較して、アルミニウム含有表面に対して小さな接触角を表し、かつ本発明による方法において/本発明による装置に対して良好な伝熱性を保証することを示す。したがって、トリアルキルホスファート(この場合、トリエチルホスファート)と組み合わせたイミダゾリウム塩の使用は、意外にも、アルミニウム含有表面のより良好な濡れを達成し、それにより、より顕著でかつより有効な熱交換を達成する。
図1
図2