(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮影画像記憶手段には、前記外部サーバと共通の参照画像が記憶されており、前記参照画像に前記情報書込手段によって任意の情報が書き込まれた場合には、前記情報書込手段による書込情報のみを前記外部サーバに送信する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の船舶用画像管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、航海中に発生した事象を後で確認するような場合、撮影画像だけでは、その事象がいつどこで発生したのか、どのような状況で発生したのかなどが不明確になる場合がある。
【0006】
そこで本発明は、航海中に発生した事象がより明確に記録可能な船舶用画像管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、船舶に設置され、航海中の撮影画像を記憶する撮影画像記憶手段と、前記撮影画像記憶手段から読み出された任意の撮影画像が表示手段に表示された状態で、前記撮影画像に任意の情報を書き込むための情報書込手段と、前記情報書込手段による書込情報を前記撮影画像と対応付けて記憶する書込情報記憶手段と、前記撮影画像を前記表示手段に表示する際に、前記撮影画像に対応付けられた前記書込情報を重ね合わせる表示制御手段と、
前記撮影画像を船舶外の外部サーバに送信する際に、前記撮影画像に前記書込情報を合成して合成画像を生成する情報統合手段と、前記合成画像を前記外部サーバに送信する外部通信手段と、を備え、前記外部サーバは、同じ海域で撮影された画像、同じ船舶および同種の船舶の少なくとも1つのグループごとに、前記合成画像をグルーピングして配信画像記憶手段に登録する、ことを特徴とする船舶用画像管理装置である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、撮影画像に情報書込手段によって任意の情報を書き込むと、撮影画像と情報書込手段による書込情報は、それぞれ別々の撮影画像記憶手段と書込情報記憶手段とによって記憶されて管理される。撮影画像を表示手段に表示して参照する際には、表示制御手段によって撮影画像に書込情報が重ね合わされて表示される。
【0010】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の船舶用画像管理装置であって、前記情報統合手段は、前記撮影画像の付帯情報に、航海に関する航海情報などを付加する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項
3に記載の発明は、請求項
2に記載の船舶用画像管理装置であって、前記情報統合手段は、前記付帯情報を暗号化する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項
4に記載の発明は、請求項
1ないし3のいずれか1項に記載の船舶用画像管理装置であって、前記撮影画像記憶手段には、前記外部サーバと共通の参照画像が記憶されており、前記参照画像に前記情報書込手段によって任意の情報が書き込まれた場合には、前記情報書込手段による書込情報のみを前記外部サーバに送信する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項
5に記載の発明は、請求項
2または3に記載の船舶用画像管理装置であって、前記付帯情報に付加される前記航海情報には、前記撮影画像の撮影位置と、撮影方向とが含まれる、ことを特徴とする。
【0014】
請求項
6に記載の発明は、請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の船舶用画像管理装置であって、前記書込情報は、前記撮影画像に書き込まれた任意の情報の追加、削除および修正に関する履歴情報を含み、該履歴情報を参照することで重ね合わせが可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、撮影画像に任意の情報を書き込むことができるので、航海中に発生した様々な事象を明確に記録することが可能となる。また、撮影画像と書込情報とを別々に記憶・管理するので、客観的な記録情報である撮影画像を変更することなく管理することが可能である。また、撮影情報のみを流用して新たな情報の書き込みに利用することも可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、撮影画像を船舶外の外部サーバに送信するので、外部サーバを介して撮影画像を複数の船舶で共用することが可能となる。また、撮影画像を外部サーバに送信する際に、撮影画像に書込情報を合成して合成画像を生成し、この合成画像を送信するようにしたので、撮影画像と書込情報という異なる2つのデータを送信する場合に比べて、画像データの場合には圧縮率を高くすることができ、送信するデータ量を小さくすることが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、撮影画像の付帯情報に、航海に関する航海情報などを付加するので、合成画像だけで撮影画像が撮影された状況などを把握することが可能となる。また、付帯情報は、撮影画像が予め備えている情報であるため、航海情報の付加によるデータ量の増加もない。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、付帯情報を暗号化してから外部サーバに送信するので、付帯情報に秘匿性の高い情報を付加した場合の情報保護を図ることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、外部サーバと共通の参照画像に任意の情報が書き込まれた場合には、情報書込手段による書込情報のみを外部サーバに送信するので、重複する参照画像の分だけ送信データ量を減らすことが可能である。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、付帯情報に付加される航海情報には、撮影画像の撮影位置と、撮影方向とが含まれるので、撮影画像が海上のどの位置で、どのような方向を向いて撮影されたのかを把握することが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、書込情報に、情報の追加、削除および修正に関する履歴情報を含むようにしたので、書込情報について複数世代の管理を行うことができ、修正前の書込情報に戻したりするなどの編集作業が容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0024】
図1〜
図13は、この発明の実施の形態を示し、
図1は、この実施の形態に係る船舶用画像配信システム1を示す概略図である。船舶用画像配信システム1は、航海中に発生する様々な事象の記録に利用される携帯端末2と、船舶Sに搭載された海図表示装置3(船舶用画像管理装置)と、船舶外である陸地に設置された画像配信設備(外部サーバ)4とを備える。海図表示装置3と携帯端末2とは、船内通信網NW1を介して通信自在に接続され、海図表示装置3と画像配信設備4とは、外部通信網NW2を介して通信自在に接続されている。
【0025】
ここで、この実施の形態では、携帯端末2で航海中に撮影された撮影画像と、撮影画像に書き込まれた任意の情報である書込情報とを海図表示装置3で記憶・管理し、海図表示装置3から画像配信設備4に撮影画像と記憶情報とを合成した合成画像を送信・蓄積して共用化を図り、蓄積した合成画像(配信画像)を要求があった船舶Sの海図表示装置3に配信する場合について、主に説明する。
【0026】
携帯端末2は、船舶Sに搭乗した船長や船員などによって操作される端末であり、例えば、スマートフォンやタブレット型端末などの情報機器が用いられる。携帯端末2には、通信機能と撮影機能とが設けられており、船舶S内で船員同士の連絡に利用される他、航海中に発生した様々な事象を撮影して記録するためにも利用される。携帯端末2で撮影された撮影画像は、上述した船内通信網NW1を介して海図表示装置3に送信(アップロード)される。携帯端末2から海図表示装置3への撮影画像のアップロードは、例えば、携帯端末2で撮影画像を選択してから送信操作を行うようにしてもよいし、携帯端末2に画像送信用の専用アプリケーションをインストールし、このアプリケーションにより全ての撮影画像が自動的に海図表示装置3へ送信されるようにしてもよい。このような専用アプリケーションを利用すれば、面倒な送信操作を行う必要がなくなり、航海中の撮影画像を漏れなく全て記憶、管理することが可能である。また、携帯端末2は、スマートフォンなどの情報機器に限定されず、通信機能を備えたデジタルカメラなどの撮影機器なども含まれる。
【0027】
航海中に発生する様々な事象とは、例えば、天候の変化や、船舶の故障・事故、初めて航行する航路や初めて確認する物標の様子、初めて入港する港湾の様子などである。また、航海中に発生する事象は、携帯端末2で撮影するだけでなく、いわゆるドライブレコーダや、固定設置したデジタルカメラ、ウェブカメラなどの撮像装置で常時あるいは定期的に撮影を行うようにしてもよい。この場合には、撮像装置から海図表示装置3に撮影画像が自動的に送信されるようにすることが望ましい。
【0028】
海図表示装置3は、電子海図を表示するための装置であり、複数の動作モードを備えている。海図表示モードは、電子海図を表示するとともに、電子海図上に自船の位置を表示するモードである。画像表示モードは、携帯端末2から受信した撮影画像を表示するとともに、撮影画像に任意の情報を書き込んで画像配信設備4に送信するためのモードである。画像参照モードは、画像配信設備4から受信した配信画像を電子海図とともに表示し、電子海図の参考画像として配信画像を参照するモードである。
【0029】
画像配信設備4は、各船舶Sへ、航海中に参照される配信画像を配信するための装置であり、本発明の外部サーバに相当する。画像配信設備4は、海図表示装置3から受信した合成画像を配信画像として記憶・管理する機能、海図表示装置3からの配信要求を受けて、配信要求に適合した配信画像を選択する機能、選択した配信画像を海図表示装置3へ配信する機能などを備えている。
【0030】
図2は、海図表示装置3の概略的な構成を示すブロック図である。海図表示装置3は、海図情報データベース31、撮影画像データベース(撮影画像記憶手段)32、書込情報データベース(書込情報記憶手段)33、タッチパネル(表示手段、情報書込手段)34、海図処理部35、情報統合部(情報統合手段)36、表示制御部(表示制御手段)37、配信要求部38、外部通信部(外部通信手段)39、船内通信部3A、および中央処理部3Bなどを備える。中央処理部3Bは、海図表示装置3を海図表示モードと、画像表示モードと、画像参照モードとの間で切り替えるとともに、各部が各動作モードで所定の動作をするように統括的に制御する。
【0031】
海図情報データベース31は、電子海図を記憶する。すなわち、海図表示モードでは、海図情報データベース31から電子海図が読み出されて、タッチパネル34に表示される。撮影画像データベース32は、携帯端末2で撮影された撮影画像を記憶する。書込情報データベース33は、撮影画像に書き込まれた任意の情報を、撮影画像に対応付けられた書込情報として記憶する。このように、撮影画像と書込情報とは対応付けられて別々に記憶されているので、客観的な記録情報である撮影画像を変更することなく管理することができる。
【0032】
タッチパネル34は、海図表示モードにおいて電子海図を表示し、画像表示モードでは撮影画像および書込情報などを表示し、画像参照モードでは電子海図と配信画像とを表示する。また、タッチパネル34は、海図表示装置3の操作に利用されるとともに、撮影画像に任意の情報を指やタッチペンなどを利用して手書きで書き込むための情報書込手段としても機能する。
【0033】
海図処理部35は、海図表示モードにおいて、海図情報データベース31から電子海図を読み出し、読み出した電子海図と、自船の位置とをタッチパネル34に表示するためのタスク・プログラムである。なお、海図処理部35は、画像参照モードでも作動し、電子海図とともに配信画像を表示する。
【0034】
情報統合部36は、画像表示モードにおいて、撮影画像に情報の統合を行うためのタスク・プログラムである。情報統合部36は、撮影画像を画像配信設備4に送信する際に、撮影画像に書込情報を合成して合成画像を生成する。また、情報統合部36は、撮影画像に付帯された付帯情報に、航海に関する航海情報などを付加する。この航海情報には、例えば、撮影画像の撮影位置および撮影方向の他、船舶Sの位置や速度、針路、船舶Sのエンジンに関する情報などの船舶情報や、天候に関する情報など、航海中に取得した各種情報が含まれる。さらに、情報統合部36は、付帯情報に付加された航海情報を保護するために付帯情報を暗号化する。当然ながら、画像配信設備4では、合成画像を受信すると、付帯情報を復号してから記憶・管理する。
【0035】
表示制御部37は、画像表示モードにおいて、撮影画像と書込情報との表示制御を行うタスク・プログラムである。表示制御部37は、撮影画像と書込情報とをタッチパネル34に表示する際に、撮影画像に書込情報を重ね合わせ、撮影画像上に任意の情報が書き込まれているように表示させる。
【0036】
配信要求部38は、画像参照モードにおいて、画像配信設備4に配信画像の配信要求を行うタスク・プログラムである。配信要求部38は、船舶Sの位置および針路を含む配信要求を生成し、外部通信部39を介して画像配信設備4に送信する。
【0037】
外部通信部39は、船舶外の装置と通信を行うための通信部であり、画像配信設備4に合成画像を送信する。また、画像配信設備4に向けて配信画像の配信要求を送信し、画像配信設備4から配信された配信画像を受信する。船内通信部3Aは、船舶S内の装置と通信を行うための通信部であり、携帯端末2から送信された撮影画像を受信する。
【0038】
海図表示装置3には、船舶Sの位置情報を取得するGPS受信装置51と、船舶S内に接地されたセンサなどから取得した船舶情報を記憶する船舶情報データベース52とが接続されている。船舶情報データベース52には、上述した船舶Sの位置、速度および針路の他、船舶Sのエンジンに関する情報なども記憶されている。情報統合部36は、撮影画像の付帯情報に船舶情報を付加する際に、船舶情報データベース52を参照する。
【0039】
図3に示すように、撮影画像データベース32には、携帯端末2で撮影された多数の撮影画像321とともに、画像配信設備4と共通の参照画像322が記憶されている。参照画像322は、例えば、船舶Sの図面などであり、航海中に船舶Sに故障や事故などが発生した場合に参照できるように、撮影画像データベース32と画像配信設備4とに共通して記憶されている。上述した情報統合部36では、画像表示モードで参照画像322に任意の情報が書き込まれた場合に、参照画像322と書込情報との合成は行わず、書込情報のみを画像配信設備4に送信する。これにより、重複する参照画像322が送信されるのを防ぐとともに、送信データ量を少なくすることができる。なお、画像配信設備4では、参照画像322の書込情報を受信した場合に、自身が記憶する参照画像と合成して合成画像を生成し、この合成画像を配信画像として記憶する。
【0040】
図4は、撮影画像321の構成を示している。撮影画像321は、例えば、Exif(Exchangeable image file format)規格で定められるファイルフォーマットを有し、画像のデータが格納された本体情報321aと、撮影したカメラに関する情報や撮影条件などの各種撮影情報を格納された付帯情報321bとを備えている。付帯情報321bには、予め格納する情報の種類が決められた格納部の他、カメラメーカなどが独自情報の格納に利用可能な自由格納部が用意されている。上述した情報統合部36は、この付帯情報321bの自由格納部に航海情報を付加する。
【0041】
情報統合部36で生成される合成画像は、上述した撮影画像321の本体情報321aに書込情報が合成され、付帯情報321bに撮影画像の撮影位置および撮影方向の他、船舶Sの位置や速度、針路およびエンジン情報などの船舶情報、および天候情報などが付加されたものであり、構成自体は撮影画像321と同様である。
【0042】
図5に示すように、書込情報データベース33は、タッチパネル34を利用して撮影画像321の上に書き込まれた任意の情報を、書込情報331として記憶している。書込情報331は、書き込まれた任意の情報を、例えばイメージデータとして格納した本体情報331aと、対応する撮影画像321に関する情報(例えば、対応する撮影画像のファイル名など)が格納された付帯情報331bと、任意の情報の追加、削除および修正に関する履歴が格納された履歴情報331cとを備える。履歴情報331cには、例えば、数世代分の履歴が記録されており、画像表示モードで書込情報331を表示する際に、世代を遡って書込情報を表示することが可能である。
【0043】
図6は、タッチパネル34に表示された電子海
図ECの一例を示している。海図表示モードでは、海図情報データベース31から電子海
図ECが読み出され、船舶Sの位置に応じた海域がタッチパネル34に表示される。また、この電子海
図ECには、GPS受信装置51によって取得した自船位置を示すマーカSMが表示される。
【0044】
図7は、タッチパネル34に表示された撮影画像321の一例を示し、例えば、海上に浮かんだブイ321dが表されている。画像表示モードでは、撮影画像データベース32から任意の撮影画像321が読み出されてタッチパネル34に表示される。
【0045】
図8は、タッチパネル34に表示された撮影画像321および書込情報331の一例を示し、例えば、
図7のブイ321dの先端に生じている損傷を指摘するため、撮影画像321上に、指やタッチペンで「損傷あり」というメモM1と矢線M2とが書き込まれている。
【0046】
図9は、画像配信設備4の概略的な構成を示すブロック図である。画像配信設備4は、配信画像データベース(配信画像記憶手段)41と、配信サーバ42とを備える。配信画像データベース41は、海図表示装置3から受信した合成画像を配信画像として記憶・管理する。なお、配信画像は、受信した合成画像を配信用の画像として転用するだけなので、配信画像の構成等についての詳しい説明は省略する。
【0047】
配信サーバ42は、汎用のコンピュータで構成され、通信部421と、画像登録部422と、画像配信部(画像配信手段)423と、これらを制御などする中央処理部424と、を備える。通信部421は、船舶Sの海図表示装置3などと通信するためのインターフェイスである。
【0048】
画像登録部422は、海図表示装置3から合成画像を受信すると、この合成画像を配信画像データベース41に登録するタスク・プログラムである。すなわち、通信部421を介して海図表示装置3から合成画像を受信すると、付帯情報を復号するとともに、この合成画像に識別情報を付して、配信画像として配信画像データベース41に登録・記憶する。ここで、同じ海域で撮影された画像ごと、同じ船舶ごと、同種の船舶ごとに合成画像をグルーピングし、海域名などのキーワードを付与して配信画像データベース41に登録してもよく、これにより、画像配信部423における配信画像の検索が迅速、容易に行えるようになる。
【0049】
また、画像登録部422は、海図表示装置3で参照画像322に任意の情報が書き込まれ、その書込情報を海図表示装置3から受信した場合には、配信画像データベース41から対応する参照画像を読み出し、この読み出した参照画像に書込情報を合成して合成画像を生成し、この合成画像を配信画像として配信画像データベース41に記憶する。これにより、書込情報が書き込まれた参照画像322も、配信画像として共有可能となる。
【0050】
画像配信部423は、海図表示装置3から、船舶Sの位置および針路などを含む配信要求を受信した場合に、この配信要求に適合する配信画像を配信画像データベース41から取得して、海図表示装置3に配信するタスク・プログラムである。すなわち、通信部421を介して配信要求を受信すると、この配信要求中の船舶の位置および針路に適合・一致する配信画像を配信画像データベース41から検索、取得して、この配信画像を配信要求の送信先である海図表示装置3に通信部421を介して送信するものである。
【0051】
具体的には、画像配信部423は、配信要求に基づいて、船舶Sの位置および進行方向などに対する配信エリアを設定し、この配信エリア内で過去に撮影された配信画像を検索して海図表示装置3に配信する。このように、配信エリア内の配信画像のみを配信し、配信エリア外の配信画像を除外することで、例えば、配信画像が多数存在する海域などで、不必要に大量の配信画像が配信されるのを防ぐことができる。
【0052】
図10は、画像参照モードにおいて、タッチパネル34に表示される電子海
図ECの一例を示している。画像参照モードでは、電子海
図ECの下方に画像配信設備4から配信された配信画像DP1〜DP6が小さく、いわゆるサムネイル表示される。また、電子海
図EC上には、各配信画像DP1〜DP6の撮影位置および撮影方向を表すアイコンIC1〜IC6が表示される。例えば、アイコンIC1をタッチパネル34上で選択すると、選択されたアイコンIC1の色などが変化して選択状態であることを表し、選択されたアイコンIC1に対応する配信画像DP1が強調表示され、電子海
図ECの右側方にサムネイル表示よりも大きく表示される。なお、詳しくは図示しないが、サムネイル表示された配信画像DP1〜DP6、または電子海
図ECの右方の配信画像DP1を選択操作することで、選択した配信画像DP1をタッチパネル34に全画面表示してもよい。
【0053】
次に、
図11を参照して、本実施の形体における撮影画像321および書込情報331の管理手順について説明する。携帯端末2で撮影された撮影画像321は、海図表示装置3に送信され、撮影画像データベース32に記憶・管理される。また、海図表示装置3の画像表示モードにおいてタッチパネル34に表示された撮影画像321の上には、タッチパネル34を利用して任意の情報が書き込まれ、書き込まれた情報は、書込情報331として書込情報データベース33に記憶・管理される。
【0054】
海図表示装置3の情報統合部36は、画像表示モードにおいて撮影画像321を画像配信設備4に送信する際に、撮影画像321の付帯情報321bに、撮影画像の撮影位置および撮影方向と、船舶情報データベース52から読み出した船舶情報とを付加するとともに、撮影画像321に書込情報331を合成して合成画像CPを生成する。また、合成画像CPの付帯情報は、情報統合部36によって暗号化される。生成された合成画像CPは、外部通信部39を介して画像配信設備4に送信される。
【0055】
配信サーバ42の画像登録部422は、受信した合成画像CPの付帯情報を復号するとともに、この合成画像に識別情報を付して、配信画像として配信画像データベース41に登録する。
【0056】
次に、
図12を参照して、図面などの参照画像322に任意の情報が書き込まれた場合について説明する。例えば、航海中に船舶Sに故障や事故などが発生した場合、海図表示装置3の画像表示モードにおいて、撮影画像データベース32から船舶Sの図面などの参照画像322が読み出され、タッチパネル34に表示される。表示された参照画像322の上には、タッチパネル34を利用して、故障や事故の位置などの任意の情報が書き込まれ、書き込まれた情報は、書込情報331として書込情報データベース33に記憶・管理される。
【0057】
海図表示装置3の中央処理部3Bは、書込情報データベース33から参照画像322に書き込まれた書込情報331を読み出し、外部通信部39を介して画像配信設備4に送信する。配信サーバ42の画像登録部422は、受信した書込情報331の付帯情報331bを参照して、対応する参照画像322を配信画像データベース41から読み出し、この参照画像322に書込情報331を合成した配信画像を生成し、生成した配信画像に識別情報を付して、配信画像データベース41に登録する。
【0058】
この実施の形態に係る海図表示装置3によれば、撮影画像321に任意の情報を書き込むことができるので、航海中に発生した様々な事象を明確に記録することが可能となる。また、撮影画像321と書込情報331とを別々に記憶・管理するので、客観的な記録情報である撮影画像321を変更することなく管理することが可能である。また、撮影情報321のみを流用して新たな情報の書き込みに利用することも可能となる。
【0059】
また、撮影画像321を船舶S外の外部サーバである画像配信設備4に送信するので、画像配信設備4を介して撮影画像321を複数の船舶で共用することが可能となる。また、撮影画像321を画像配信設備4に送信する際に、撮影画像321に書込情報331を合成して合成画像CPを生成し、この合成画像CPを送信するようにしたので、撮影画像321と書込情報331という異なる2つのデータを送信する場合に比べてデータの圧縮率を高くすることができ、送信するデータ量を小さくすることが可能となる。
【0060】
さらに撮影画像321に付帯されている付帯情報321bに、撮影画像の撮影位置および撮影方向と、船舶Sの位置や速度、針路などの船舶情報を含む航海情報を付加するようにしたので、合成画像CPだけで撮影画像321が撮影された状況などを把握することが可能となる。また、付帯情報321bは、撮影画像321が予め備えている情報であるため、航海情報の付加によるデータ量の増加もない。
【0061】
また、付帯情報321bを暗号化してから画像配信設備4に送信するので、付帯情報321bに秘匿性の高い航海情報などを付加した場合の情報保護を図ることができる。
【0062】
さらに、画像配信設備4と共通の参照画像322に任意の情報が書き込まれた場合には、書込情報331のみを画像配信設備4に送信するので、重複する参照画像322の分だけ送信データ量を減らすことが可能である。
【0063】
また、付帯情報321bには、撮影画像321が撮影された際の撮影画像の撮影位置および撮影方向とが付加されるので、撮影画像321が海上のどの位置で、どの方向を向いて撮影されたかを把握することが可能となる。
【0064】
さらに、書込情報331に、情報の追加、削除および修正に関する履歴情報331cを含むようにしたので、書込情報331について複数世代の管理を行うことができ、修正前の書込情報331に戻したりするなどの編集作業が容易になる。
【0065】
次に、
図13を参照して、本実施の形体における配信画像の配信手順について説明する。海図表示装置3は、画像参照モードに設定されると、船舶Sの位置および針路を含む配信要求を配信要求部38で生成して、画像配信設備4に送信する。画像配信設備4の画像配信部423は、配信要求に基づいて、船舶Sの位置および進行方向に対する配信エリアRを設定し、この配信エリアR内で過去に撮影された配信画像DPaを配信画像データベース41から検索する。また、画像配信部423は、検索した配信画像DPaを通信部421によって海図表示装置3に配信する。なお、配信エリアR外の配信画像DPbは、配信画像データベース41の検索から除外されるので、海図表示装置3には配信されない。
【0066】
この実施の形態に係る船舶用画像配信システム1によれば、過去の航海で撮影された配信画像DPを配信画像データベース41に蓄積するので、他の船舶が航海中に撮影した画像を共有して、航海の参考にすることが可能である。したがって、実際には行ったことのない海域や港湾であっても、事前に配信画像DPを取得して確認しておけば、従来のように事前知識がない状態で航行する場合に比べて格段に安全に航行することが可能となり、航行の安全性向上を図ることが可能となる。また、船舶Sの位置および進路を含む配信要求に基づいて配信される画像が選択されるので、不必要な配信画像が配信されてしまうのを防ぐことができ、実際の航行に必要な配信画像のみを受信して航行することができるので、航行の安全性向上を図ることが可能となる。
【0067】
また、配信要求に基づいて、船舶の位置および進行方向に対する配信エリアRを設定し、配信エリアR内で撮影された配信画像DPを配信するので、航行する船舶Sの数が多い海域であっても、実際に航行している位置で参照するのに必要な配信画像DPのみを選択して配信することが可能となる。
【0068】
さらに、配信画像DPを受信すると、電子海
図EC上に配信画像DPの撮影位置および撮影方向を表すアイコンICを表示し、アイコンICが選択されると、アイコンICに対応する配信画像DPを拡大表示するようにしたので、電子海
図ECの参考として配信画像DPを参照することができる。また、アイコンICを選択するだけで、拡大表示される配信画像DPを切り替えることができるので、複数の配信画像DPが配信された場合でも、容易に表示を切り替えて参照することが可能となる。
【0069】
また、配信画像DPは、電子海
図ECと並べて表示されるので、画面表示を切り替える必要がなく、電子海
図ECと配信画像DPとを見比べながら航行することができるので、航行の安全性向上を図ることが可能となる。
【0070】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、撮影画像と書込情報とを合成して画像配信設備に送信する例について説明したが、撮影画像のみを画像配信設備に送信してもよいし、付帯情報に撮影画像の撮影位置および撮影方向とが付加された撮影画像のみを画像配信設備に送信してもよい。すなわち、任意の情報が書き込まれていない撮影画像であっても、他の船舶で航海の参考になる場合があるので、画像配信設備に集約することが望ましい。また、付帯情報に航海情報を付加するようにしたが、付帯情報以外の情報に航海情報を付加してもよいし、航海情報自体を付帯情報として撮影画像に付帯させてもよい。さらに、付帯情報を暗号化するようにしたが、付帯情報に付加された航海情報のみを暗号化してもよい。また、配信要求に船舶Sの位置および針路などを含むようにしたが、時刻や日時、季節などの他、船舶Sの速度などを含むようにしてもよい。これに伴い、配信要求に基づいて配信エリアを設定する場合には、時刻や日時、季節、船舶Sの速度など様々な情報を考慮して設定してもよい。