(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6835701
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】食品室の結露防止構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/64 20060101AFI20210215BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20210215BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
E04B1/64 E
E04B9/00 C
E04F13/07 C
【請求項の数】5
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-226285(P2017-226285)
(22)【出願日】2017年10月31日
(65)【公開番号】特開2019-82096(P2019-82096A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2019年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】591208814
【氏名又は名称】株式会社佐武
(74)【代理人】
【識別番号】100095289
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武四
【審査官】
須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−037791(JP,A)
【文献】
特開2006−226060(JP,A)
【文献】
特開2007−303262(JP,A)
【文献】
特開2009−030344(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0224003(US,A1)
【文献】
特許第5497393(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62−1/99
E04B 9/00
E04F 13/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ箔シートを表裏面に、該アルミ箔シートの間に2層のバブル型ポリエチレンシートを積層した遮熱シートを、食品室の壁面又は天井面の表面材に用いた食品室の結露防止構造。
【請求項2】
アルミ箔シートの厚さは、7.2ミクロンである請求項1に記載の食品室の結露防止構造。
【請求項3】
床から1mの壁面の表面材の室内側アルミ箔シートは、76ミクロン厚となっている請求項1又は2に記載の食品室の結露防止構造。
【請求項4】
前記遮熱シートと食品室の下地材との間にスペーサーを設けて構成された静止空気層を有する請求項1〜3のいずれか1に記載の食品室の結露防止構造。
【請求項5】
前記食品室は、外気より低い温度に室内が保たれている請求項1〜4のいずれか1に記載の食品室の結露防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は
食品室の結露防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
結露は室内外の寒暖の差により発生する事は公知の事実であることから、従来の技術は外気温度を食品部屋に侵入させないために発泡系断熱材や繊維系断熱材を屋根又は壁面内に取り入れてきた。
【0003】
また、前記断熱材は、強度が弱く又は水分が吸い込みやすいと云う問題点から剥き出し状態には出来ないため石膏ボードや塩化ビニルクロス等の表面材が必要であった。
【0004】
更に、食品部屋は在庫している食品の鮮度保持のためにエアコン等で冷やすことが通例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】1583743945122_0特許第5497393号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた従来の構造体では、断熱材も表面材も分厚い物質(以下「蓄冷物質」という)であることから、入出庫口のシャッターを開放し食品部屋に暖気が入った場合でも一度冷え切った蓄冷物質は中々温度が上がらず外気温と一体化するまでは時間を要し高い温度の外気温と中々冷えない蓄冷物質が衝突するために結露が発生する。
【0007】
本発明は、従来の構造体が有していた問題を解決しようとするものであり食品部屋に生ずる結露を発生させる事がない構造体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は上記目的を達成するために、食品部屋の構造体表面に対流熱に極めて弱く熱伝導しやすいアルミ箔を表面材とした。
【0009】
また、表面材のアルミ箔は、表裏2枚のアルミ箔7.2ミクロン極薄タイプと3層のポリエチレンシートと2層のバブル型ポリエチレンシートの7層構造体シート(以下「遮熱シート」という)を使用した。
【0010】
更に、衝撃を受けやすい床から上方向に1m前後には、表のアルミ箔76ミクロンの厚
手タイプと裏面のアルミ箔は7.2ミクロン厚であり、内部には3層のポリエチレンシートと2層のバブル型ポリエチレンシートの7層構造体シート(以下「片厚遮熱シート」という)を使用する。
【0011】
本発明の構造体には前記遮熱シート又は片厚遮熱シートを使用するが、それ以外の金属等の物質であっても対流熱に素早く影響される素材なら使用しても良い結果が生ずる。
【0012】
構造体表面に使用する遮熱シートと片厚遮熱シートは出荷時入出庫口が開放されたとき熱力学記載通り暖かい外気の熱は暖かい方から低い方へ移動し食品部屋に侵入するが侵入と同時に対流熱に極度に弱いアルミ箔にぶつかり、外気温とアルミ箔温度が素早く一体化してしまう。
【発明の効果】
【0013】
以上の通り、外気温と食品部屋の壁天井に貼られた遮熱シート又は片厚遮熱シートは、ほぼ同温度に成る事から結露の発生を防ぐ事が可能である
。
【0014】
つまり、本特許は、本来なら対流熱に極めて弱いと云う問題物質を逆手に取り、この弱点を有効利用して結露防止対策とした独自の発想
構造である
。
【0015】
上述したように本発明の工法は、食品部屋から商品の搬出時、結露が発生させる事の無い
構造を提供できる。
【0016】
更に結露が発生すれば必ずカビが発生する。カビはトリコスポロン種であり目に見えない胞子が乱舞し食品に付着してしまう。近年この胞子を吸引するとトリコスポロン病と云う急性肺炎を誘発することが分かった。従って本発明によりカビによる健康障害を防ぐ事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の食品部屋天井壁表面使う遮熱シート断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図3に基づいて説明する。
【0019】
食品部屋
図2の6は
図1で示す遮熱シートを下地材4にスペーサー5を設けその上に施工した食品部屋の本考案施工後の壁面と天井の断面図である。
【0020】
下地材4と
図1の遮熱シート間にはスペーサー5を設けた事で静止空気層7を得た。静止空気層が有る事で表面のアルミ箔1の暖冷変化を裏面の下地材に伝導型熱移動を伝えることが緩和される。
【0021】
図1の遮熱材は、表裏表面ともアルミ箔厚が7.2ミクロン付近であるが、衝撃の可能性を考慮し表面だけ76ミクロン付近にしてそれに耐えうる遮熱シートを用意した。床から1m前後はこの片厚遮熱シートが
好適に用いられる。
【0022】
本来、建物の表面には合板や石膏ボードやビニルクロス等の内装材と称する材料を施工するが、その物体はホリュームが有るため、暑いときは蓄熱体、寒いときには蓄冷体と化
すことで問題を多発してきた。
従って本発明はそれらの部材を排除したのも特徴である。
【0023】
以上に説明の通り食品部屋の壁天井を構成すれば、結露とその後のカビ発生の心配の無い空間が得られるものである。
本明細書は下記の構成を開示する。
(1) 対流型熱移動に弱い7.2ミクロンの極薄なアルミ箔シートを出荷用食品室又は出入り口付近の壁天井の表面材に用いる事で結露を防ごうとした施工方法。
(2) 衝撃を受けやすい床から1m前後の壁面には片面のみ76ミクロン付近厚の遮熱シートを使った出荷用食品室又は出入り口付近の施工方法。
(3) 遮熱シートと下地材の空間にはスペーサーを設けた事で得られる静止空気層を持つ出荷用食品室又は出入り口付近の壁天井の施工方法。
【符号の説明】
【0024】
1 7.2ミクロン厚付近のアルミ箔
2 ポリエチレンシート
3 バブル型ポリエチレン
4 天井下地材
5 スペーサー
6 遮熱シート
7 静止空気層
8 壁下地材
9 76ミクロン厚付近のアルミ箔