(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6835837
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオンに基づくポリマーおよび化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 471/22 20060101AFI20210215BHJP
C08G 61/12 20060101ALI20210215BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20210215BHJP
【FI】
C07D471/22CSP
C08G61/12
H01L33/50
【請求項の数】24
【全頁数】89
(21)【出願番号】特願2018-520617(P2018-520617)
(86)(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公表番号】特表2018-532744(P2018-532744A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】EP2016075141
(87)【国際公開番号】WO2017068009
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】15190894.4
(32)【優先日】2015年10月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520139099
【氏名又は名称】クラップ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLAP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(72)【発明者】
【氏名】マレク グジィボフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル グリュコ
(72)【発明者】
【氏名】バルトウォミエイ サドフスキー
(72)【発明者】
【氏名】カーレン シュトラッセル
(72)【発明者】
【氏名】パスカル アヨ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ケルブライン
【審査官】
水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−520241(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/072292(WO,A1)
【文献】
特表2015−501337(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/135491(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
R
10−Ar−Y−Ar’−R
10’(I)
の化合物であって、前記式中、
Arは式−[Ar
3]
c−[Ar
2]
b−[Ar
1]
a−
**の基であり、
Ar’は式
**−[Ar
1’]
a’−[Ar
2’]
b’−[Ar
3’]
c’−の基であり、
Yは式:
【化1】
の基であり、
**はYへの結合を示し、
aは0、1、2または3であり、a’は0、1、2または3であり、bは0、1、2または3であり、b’は0、1、2または3であり、cは0、1、2または3であり、c’は0、1、2または3であり、m1は0、1または2であり、m2は0、1または2であり、
U
1はOまたはSであり、
U
2はOまたはSであり、
T
1、T
2、T
3およびT
4は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、−COOR
103、−OCOR
103、−NR
112COR
103、−CONR
112R
113、−OR
103’、−SR
103’、−SOR
103’、−SO
2R
103’、−NR
112SO
2R
103’、−NR
112R
113、−NO
2;C
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るC
7〜C
25アリールアルキル;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−で任意に中断され得るC
1〜C
100アルキル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−で任意に中断され得るC
2〜C
100アルケニル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−で任意に中断され得るC
2〜C
100アルキニル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−で任意に中断され得るC
3〜C
12シクロアルキル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るC
6〜C
24アリール基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るC
2〜C
20ヘテロアリール基;
−CO−C
1〜C
18アルキル基、−CO−C
5〜C
12シクロアルキル基または−COO−C
1〜C
18アルキル基であり;
Ar
1およびAr
1’は、互いに独立して
【化2-1】
【化2-2】
であり、
Ar
2、Ar
2’、Ar
3およびAr
3’は、互いに独立してAr
1の意味を有するか、または、互いに独立して
【化3】
であり、その式中、
XはO、S、Se、TeまたはNR
8であり、
X’はOまたはSであり、
X
1、X
2およびX
3は、互いに独立してS、O、−NR
107−、−Si(R
117)(R
117’)−、−Ge(R
117)(R
117’)−、−C(R
108)(R
109)−、−C(=O)−、−C(=CR
110R
111)−、
【化4】
であり、
X
4およびX
4’は、互いに独立してS、O、−NR
107−、−Si(R
117)(R
117’)−、−Ge(R
117)(R
117’)−、−C(R
108)(R
109)−、−C(=O)−、−C(=CR
110R
111)−であり、
R
3およびR
3’は、互いに独立して水素、ハロゲン、ハロゲン化C
1〜C
25アルキル
、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
25アルコキシであり;
R
4、R
4’、R
5、R
5’、R
6およびR
6’は、互いに独立して水素、ハロゲン、ハロゲン化C
1〜C
25アルキル
、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
25アルコキシであり;
R
7、R
7’、R
9およびR
9’は、互いに独立して、水素、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
8およびR
8’は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
10およびR
10’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、NO
2、NR
112R
113、シアノ、C
1〜C
25アルキル、Eによって1回以上置換されたおよび/またはDによって1回以上中断されたC
1〜C
25アルキル、
【化5】
、COO−C
1〜C
18アルキル、C
4〜C
18シクロアルキル基、Gによって置換されたC
4〜C
18シクロアルキル基、C
2〜C
18アルケニル、C
2〜C
18アルキニル、C
1〜C
18アルキルチオ、C
1〜C
18アルコキシ、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルコキシ、C
7〜C
25アラルキル、Gによって置換されたC
7〜C
25アラルキル、または式IVa〜IVkの基
【化6】
であり、
X
5はO、S、Se、Te、またはNR
59であり、
R
11およびR
11’は、互いに独立して、C
1〜C
25アルキル基、C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニル基であり;
R
12およびR
12’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル、C
1〜C
25アルコキシ、C
7〜C
25アリールアルキルまたは
【化7】
であり、
R
13はC
1〜C
8アルキル基、またはトリ(C
1〜C
8アルキル)シリル基であり;
R
22〜R
26およびR
29〜R
58は、互いに独立してH、ハロゲン、シアノ、NO
2、NR
112R
113、C
1〜C
25アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
25アルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、Gによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリール、C
4〜C
18シクロアルキル基、Gによって置換されたC
4〜C
18シクロアルキル基、C
2〜C
18アルケニル、C
2〜C
18アルキニル、C
1〜C
25アルキルチオ、C
1〜C
25アルコキシ、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
25アルコキシ、C
7〜C
25アラルキル、またはGによって置換されたC
7〜C
25アラルキルであり、
R
27およびR
28は、互いに独立して、水素、C
1〜C
25アルキル、ハロゲン、シアノまたはC
7〜C
25アラルキルであるか、またはR
27およびR
28は一緒になってアルキレンまたはアルケニレンを表し、前記アルキレンまたはアルケニレンは共に酸素および/または硫黄を介してチエニル残基に結合されていてよく、かつ共に25個までの炭素原子を有していてよく、
R
59は、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
60は水素、C
1〜C
18ハロアルキル、1つ以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
1〜C
18アルカノイルまたはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
103およびR
103’は、互いに独立して、水素、C
1〜C
100アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
25アルキル、C
2〜C
25アルケニル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
2〜C
25アルケニル、C
7〜C
25アリールアルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、またはGによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリールであり、
R
104およびR
104’は、互いに独立して、水素、CN、C
1〜C
18アルキル、Gによって任意に置換され得るC
6〜C
10アリール、またはGによって任意に置換され得るC
2〜C
8ヘテロアリールであり、
R
105、R
105’、R
106およびR
106’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、1つ以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
18アルコキシであり、
R
107は水素、C
7〜C
25アリールアルキル、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;C
1〜C
18パーフルオロアルキル;−O−もしくは−S−によって中断され得るC
1〜C
25アルキル;または−COOR
103であり;R
103は上記で規定された通りであり;
R
108およびR
109は、互いに独立して、H、C
1〜C
25アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
25アルキル、C
7〜C
25アリールアルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、Gによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリール、C
2〜C
18アルケニル、C
2〜C
18アルキニル、C
1〜C
18アルコキシ、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルコキシ、またはC
7〜C
25アラルキルであるか、または
R
108およびR
109は一緒になって式=CR
110R
111の基を形成し、ここで
R
110およびR
111は、互いに独立して、H、C
1〜C
18アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、またはGによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリールであるか、または
R
108およびR
109は、一緒になって5員環または6員環を形成し、前記環は任意でC
1〜C
18アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、Gによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリール、C
2〜C
18アルケニル、C
2〜C
18アルキニル、C
1〜C
18アルコキシ、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルコキシ、またはC
7〜C
25アラルキルによって置換されていてよく、
Dは、−CO−、−COO−、−S−、−O−または−NR
112−であり、
Eは、C
1〜C
8アルキルチオ、C
1〜C
8アルコキシ、CN、−NR
112R
113、−CONR
112R
113、またはハロゲンであり、
Gは、EまたはC
1〜C
18アルキルであり、かつ
R
112およびR
113は、互いに独立して、H;C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキル;または−O−によって中断されたC
1〜C
18アルキルであり、
R
114は1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキルであり、
R
115およびR
115’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル、C
1〜C
25アルコキシ、C
7〜C
25アリールアルキル、または
【化8】
であり、R
116はC
1〜C
8アルキル基、またはトリ(C
1〜C
8アルキル)シリル基であり;
R
117およびR
117’は、互いに独立して、C
1〜C
25アルキル基
、C7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニル基であり、
R
118、R
119、R
120およびR
121は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C
1〜C
25アルキル
、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
25アルコキシであり、
R
122およびR
122’は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、かつ
E
Siは−SiR
161R
162R
163または−O−SiR
161R
162R
163であり、
R
161、R
162およびR
163は、互いに独立して、水素、C
1〜C
25アルキル、C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
3〜C
12シクロアルキル;C
1〜C
25ハロアルキル、C
2〜C
25アルケニル、−O−SiR
164R
165R
166、−(O−SiR
164R
165)
d−R
166、C
1〜C
25アルコキシ、C
3〜C
24(ヘテロ)アリールオキシ、NR
167R
168、ハロゲン、C
1〜C
25アシルオキシ、フェニル;またはC
1〜C
24アルキル、ハロゲン、シアノまたはC
1〜C
25アルコキシによって1〜3回置換されたフェニルであり、
R
164、R
165およびR
166は、互いに独立して、水素、C
1〜C
25アルキル、C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
3〜C
12シクロアルキル;C
1〜C
25ハロアルキル、C
2〜C
25アルケニル、−O−SiR
169R
170R
171、−(O−SiR
169R
170)
d−R
171、C
1〜C
25アルコキシ、C
3〜C
24(ヘテロ)アリールオキシ、NR
167R
168、ハロゲン、C
1〜C
25アシルオキシ、フェニル;またはC
1〜C
24アルキル、ハロゲン、シアノまたはC
1〜C
25アルコキシによって1〜3回置換されたフェニルであり、
R
169、R
170およびR
171は、互いに独立して、水素、C
1〜C
25アルキル;C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
3〜C
12シクロアルキル;C
1〜C
25ハロアルキル、C
2〜C
25アルケニル、−O−Si(CH
3)
3、C
1〜C
25アルコキシ、C
3〜C
24(ヘテロ)アリールオキシ、NR
167R
168、ハロゲン、C
1〜C
25アシルオキシ、フェニル;またはC
1〜C
24アルキル、ハロゲン、シアノまたはC
1〜C
25アルコキシによって1〜3回置換されたフェニルであり、
R
167およびR
168は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
dは1〜50の整数であり、
R
214およびR
215は、互いに独立して、水素、C
1〜C
18アルキル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、−CNまたはCOOR
216であり;かつ
R
216はC
1〜C
25アルキル、C
1〜C
25ハロアルキル、C
7〜C
25アリールアルキル、C
6〜C
24アリールまたはC
2〜C
20ヘテロアリールである、前記化合物。
【請求項2】
式:
【化9】
の化合物であって、前記式中、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、Ar、Ar’、R
10およびR
10’は請求項1で規定されている、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式:
【化10】
の化合物であって、前記式中、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、Ar、Ar’、R
10およびR
10’は請求項1で規定されている、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
U1およびU2がOである、請求項1から3までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
T1、T2、T3およびT4がH;C1〜C12アルコキシ、ハロゲン、C5〜C12シクロアルキル、シアノ、またはESiで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、もしくは−NR60−(ここでR60はC1〜C25アルキルである)によって任意に中断され得るC1〜C38アルキル基;またはC1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC1〜C4アルキルであり、ここで
ESiは−SiR161R162R163であり、
R161、R162およびR163は、互いに独立して、C1〜C8アルキル;C1〜C4アルキルで任意に置換され得るC5〜C6シクロアルキル;C1〜C8ハロアルキル、C2〜C8アルケニル、−O−SiR164R165R166、−(O−SiR164R165)d−R166、またはフェニルであり、
R164、R165およびR166は、互いに独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C8ハロアルキル、C2〜C8アルケニル、−O−SiR169R170R171、−(O−SiR169R170)d−R171またはフェニルであり、
R169、R170およびR171は、互いに独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C8ハロアルキル、C2〜C8アルケニル、−O−Si(CH3)3またはフェニルであり、
dは1〜10の整数である、請求項1から4までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
−Ar−R
10および−Ar’−R
10’は、互いに独立して、H、F、シアノ、C
1〜C
25アルキル;1つ以上のハロゲン原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、
【化11】
であり、ここで
R
3およびR
3’は互いに独立して水素、F、C
1〜C
25アルキルまたはC
1〜C
25アルコキシであり、
R
22、R
23、R
25、R
26、R
27、R
28およびR
29〜R
33は、互いに独立して、H、F、シアノ、C
1〜C
25アルコキシ、1つ以上のFで置換されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり、
R
24はH、F、シアノ、NO
2、NR
112R
113、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、C
1〜C
25アルキルチオ、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり;
XはO、S、SeまたはNR
8であり、
X
5はO、S、SeまたはNR
59であり、
R
58はH、F、シアノ、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、C
1〜C
25アルキルチオ、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり、
R
8およびR
59は水素;C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るおよび/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
112およびR
113は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るおよび/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルである、請求項1から5までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
式:
【化12】
の化合物であって、前記式中、
U
1およびU
2はOであり、
T
1およびT
2は、H;−O−、−S−または−NR
60−(ここでR
60はC
1〜C
25アルキルである)によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基;またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルであり、
T
3およびT
4はH;−O−、−S−または−NR
60−(ここでR
60はC
1〜C
25アルキルである)によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基;またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルであり、
−Ar−R
10および−Ar’−R
10’は、互いに独立して、H、F、シアノ;1つ以上のフッ素原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、C
1〜C
25アルキル、
【化13】
であり、ここで
R
3およびR
3’は互いに独立して水素、F、C
1〜C
25アルキルまたはC
1〜C
25アルコキシであり、
R
22、R
23、R
25、R
26、R
27、R
28およびR
29〜R
33は、互いに独立して、H、F、シアノ、C
1〜C
25アルコキシ、1つ以上のFで置換されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり、
R
24はH、F、シアノ、NO
2、NR
112R
113、CF
3、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり;
XはO、S、SeまたはNR
8であり、
X
5はO、S、SeまたはNR
59であり、
R
58はH、F、シアノ、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、C
1〜C
25アルキルチオ、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり、
R
8およびR
59は水素;C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るおよび/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
112およびR
113は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るおよび/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルである、請求項1から6までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
式:
【化14-1】
【化14-2】
の化合物である、請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
式:
−[(Ar)z1−Y−(Ar’)z2]−(V)
の繰り返し単位を有するポリマーであって、前記式中、
z1およびz2は互いに独立して0または1であり、
Y、ArおよびAr’は、請求項1で規定されている、前記ポリマー。
【請求項10】
式:
【化15】
の繰り返し単位を有する請求項9記載のポリマーであって、
前記式中、z
1およびz
2は互いに独立して0または1であり、かつT
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、ArおよびAr’は請求項1で規定されている、前記ポリマー。
【請求項11】
式:
【化16】
の繰り返し単位を有する請求項9または10記載のポリマーであって、
前記式中、z
1およびz
2は互いに独立して0または1であり、かつT
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、ArおよびAr’は請求項1で規定されている、前記ポリマー。
【請求項12】
U1およびU2がOである、請求項9から11までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項13】
T1、T2、T3およびT4がH;C1〜C12アルコキシ、ハロゲン、C5〜C12シクロアルキル、またはESiで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC1〜C38アルキル基であり、ここでESiは−SiR161R162R163であり、
R161、R162およびR163は、互いに独立して、C1〜C8アルキル;C1〜C4アルキルで任意に置換され得るC5〜C6シクロアルキル;C1〜C8ハロアルキル、C2〜C8アルケニル、−O−SiR164R165R166、−(O−SiR164R165)d−R166、またはフェニルであり、
R164、R165およびR166は、互いに独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C8ハロアルキル、C2〜C8アルケニル、−O−SiR169R170R171、−(O−SiR169R170)d−R171またはフェニルであり、
R169、R170およびR171は、互いに独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C8ハロアルキル、C2〜C8アルケニル、−O−Si(CH3)3またはフェニルであり、
dは1〜10の整数である、請求項9から12までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項14】
−Ar−および−Ar’−が、互いに独立して単結合、
【化17】
であり、ここで
R
3およびR
3’は、互いに独立して、水素、F、C
1〜C
25アルコキシ、またはC
1〜C
25アルキルであり、
R
8は水素、またはC
1〜C
25アルキルであり、かつ
R
104およびR
104’は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR
103、またはC
1〜C
25アルキル基であり、ここでR
103は、−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル基である、請求項9から13までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項15】
式:
【化18】
の繰り返し単位、および
式:
【化19】
の繰り返し単位
を含む請求項9から14までのいずれか1項記載のポリマーであって、前記式中、
Aは式(V)の繰り返し単位であり、かつ
−COM
1−はAr
2の意味を有する繰り返し単位であり、ここでAr
2は請求項1で規定されているか、または式:
【化20】
の基であり、
sは1であり、tは1であり、uは0もしくは1であり、vは0もしくは1であり、
かつ
Ar
4およびAr
5は、互いに独立して式:
【化21】
の基であり、
Ar
14、Ar
15、Ar
16およびAr
17は、互いに独立して、式:
【化22】
の基であり、ここで
X
7およびX
8のうち一方はNであり、かつ他方はCR
14であり、
R
14、R
14’、R
17およびR
17’は、互いに独立して、H、F、C
1〜C
25アルキル基、またはC
1〜C
25アルコキシ基であり、
R
200およびR
200’は互いに独立してHまたはFであり、
R
201およびR
202は、互いに独立して、H;C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−によって任意に中断され得るC
1〜C
100アルキル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−によって任意に中断され得るC
2〜C
100アルケニル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−によって任意に中断され得るC
3〜C
100アルキニル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−によって任意に中断され得るC
3〜C
12シクロアルキル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るC
6〜C
24アリール基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るC
2〜C
20ヘテロアリール基であり、
E
Siは請求項1で規定されており、
R
60は、水素、C
1〜C
18ハロアルキル;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
1〜C
18アルカノイル、またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
206は、水素、C
1〜C
25アルキル、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;または1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキルであり、
R
304およびR
304’は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR
305、またはC
1〜C
25アルキル基であり、ここで、R
305は、−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル基である、請求項9から14までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項16】
式:
【化23-1】
【化23-2】
【化23-3】
【化23-4】
のポリマーであ
り、前記ポリマーは、10,000〜80,000ダルトンの質量平均分子量を有する、請求項9から
14までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項17】
請求項11から16までのいずれか1項記載のポリマーおよび/または請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物を含む、有機半導体材料、有機半導体層または有機半導体素子。
【請求項18】
請求項9から16までのいずれか1項記載のポリマー、請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物、および/または請求項17記載の有機半導体材料、有機半導体層または有機半導体素子を含む、半導体デバイス。
【請求項19】
有機光起電デバイス、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタである、請求項18記載の半導体デバイス。
【請求項20】
有機半導体デバイスの製造方法であって、請求項9から16までのいずれか1項記載のポリマーおよび/または請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物を有機溶媒に入れた溶液および/または分散液を適切な基材に適用すること、および前記溶媒を除去することを含む、前記製造方法。
【請求項21】
請求項9から16までのいずれか1項記載のポリマー、請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物および/または請求項17記載の有機半導体材料、有機半導体層または有機半導体素子の、赤外線吸収剤としての、光起電力(PV)デバイス、フォトダイオードにおける、または有機電界効果トランジスタにおける使用。
【請求項22】
式: X
6−Ar−Y−Ar’−X
6’(X)の化合物であって、前記式中、
Y、ArおよびAr’は請求項1で規定されており、かつ
X
6およびX
6’は、互いに独立して、ハロゲン、ZnX
12、または−SnR
207R
208R
209であり、ここでR
207、R
208およびR
209は、同一または異なり、かつHまたはC
1〜C
6アルキルであり、ここで2つの基は任意で共通の環を形成し、これらの基は任意に分枝鎖状または非分枝鎖状であり、かつX
12はハロゲン原子;−OS(O)
2−CF
3、−OS(O)
2−アリール、−OS(O)
2CH
3、−B(OH)
2、−B(OY
1)
2、
【化24】
−BF
4Naまたは−BF
4Kであり、ここでY
1はそれぞれ独立してC
1〜C
10アルキル基であり、かつY
2はそれぞれ独立してC
2〜C
10アルキレン基であり、前記基は1つ以上のC
1〜C
8アルキル基によって任意に置換されていてよく、かつY
13およびY
14は互いに独立して水素またはC
1〜C
10アルキル基である、前記化合物。
【請求項23】
式:
【化25】
の化合物である、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
式:
【化26】
の化合物の製造方法であって、
(a)式:
【化27】
の化合物を溶媒中で、酸および/または酸無水物の存在下で、式T
1COOH(XIIa)およびT
2COOH(XIIb)、またはT
1COOH(XIIa)の化合物と反応させることを含み、
ここでT
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、Ar、Ar’、R
10およびR
10’は請求項1で規定されており、式(XI)の化合物が式(XIIa)の化合物とのみ反応する場合、式(Ia)中のT
2はT
1の意味を有する、前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、式(V)の繰り返し単位および式(I)の化合物を含むポリマー、ならびに前記ポリマーの、有機デバイスにおける、特に有機薄膜太陽電池(organic photovoltaics)およびフォトダイオードにおける、またはダイオードを有するデバイスおよび/または有機電界効果トランジスタにおける有機半導体としての使用に関する。本発明によるポリマーおよび化合物は、有機溶剤への優れた溶解性および優れた被膜形成能を有し得る。また、本発明によるポリマーおよび化合物を、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜太陽電池およびフォトダイオードに用いる場合、高効率のエネルギー変換、優れた電界効果移動度、良好なオン/オフ電流比および/または優れた安定性を認めることができる。
【0002】
Daniel D. GrykoらのChem. Commun., 2016年, 52, 5108[公開日:2016年3月31日]は、520〜740nmの範囲に強い蛍光を有するジピロロ[1,2−b:10,20−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(DPND)に基づく赤色発光色素の合成を報告している。
【0003】
ジクロロメタン中で測定されたDPND色素の光物性が第2表に示されている。
【表1】
aストークスシフト、すなわち、cm
−1で表される最低エネルギー吸収バンドと最高エネルギー放出バンドとの差
b参照:EtOH中のローダミン6G(θ
fl=0.94)
c参照:MeOH中のクレシルバイオレット(θ
fl=0.54)
【0004】
【化1】
化合物1a〜fはすべて、約500nmでの最大値および24000M
−1cm
−1〜29000M
−1cm
−1の範囲にある分子吸光係数を有する強度の構造化吸収バンドを示す。1eを除いて、すべての試料は良好な蛍光量子収率(0.58〜0.71)および小さなストークスシフト(〜1000cm
−1)を示す。色素7a〜dにおけるフェニルエチニル置換基の存在は、出発物質DPNDの1cと比較して80nm〜140nmによる吸収の大きい深色シフトを引き起こした。
【0005】
国際公開第08/107089号は、シリルエチニル化されたヘテロアセンおよびそれらの化合物を用いて製造された配合物および電子デバイスに関する。
【0006】
国際公開第13/050401号は、式
【化2】
の1つ以上の(繰り返し)単位および式
【化3】
(式中、Y、Y
15、Y
16およびY
17は、互いに独立して式
【化4】
の基である)
の化合物を含むポリマーに関し、さらには有機デバイスにおける、特に有機(薄膜)太陽電池およびフォトダイオードにおける、あるいはダイオードおよび/または有機電界効果トランジスタを有するデバイスにおける有機半導体、赤外線吸収剤としての前記ポリマーの使用に関する。
【0007】
国際公開第14/072292号は、式
【化5】
の1つ以上の(繰り返し)単位および式
【化6】
(式中、Y、Y
15、Y
16およびY
17は、互いに独立して式
【化7】
の基である)
の化合物を含むポリマーに関し、さらには有機デバイスにおける、特に有機(薄膜)太陽電池およびフォトダイオードにおける、あるいはダイオードおよび/または有機電界効果トランジスタを有するデバイスにおける有機半導体、赤外線吸収剤としての前記ポリマーの使用に関する。
【0008】
本発明は、式:
R
10−Ar−Y−Ar’−R
10’(I)の化合物であって、前記式中、
Arは式−[Ar
3]
c−[Ar
2]
b−[Ar
1]
a−
**の基であり、
Ar’は式
**−[Ar
1’]
a’−[Ar
2’]
b’−[Ar
3’]
c’−の基であり、
Yは式:
【化8】
の基であり、
**はYへの結合を示し、
aは0、1、2または3であり、a’は0、1、2または3であり;bは0、1、2または3であり;b’は0、1、2または3であり;cは0、1、2または3であり;c’は0、1、2または3であり;m1は0、1または2であり、m2は0、1または2であり、
U
1はOまたはSであり、
U
2はOまたはSであり、
T
1、T
2、T
3およびT
4は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、−COOR
103、−OCOR
103、−NR
112COR
103、−CONR
112R
113、−OR
103’、−SR
103’、−SOR
103’、−SO
2R
103’、−NR
112SO
2R
103’、−NR
112R
113、−NO
2;C
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るC
7〜C
25アリールアルキル;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−で任意に中断され得るC
1〜C
100アルキル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−で任意に中断され得るC
2〜C
100アルケニル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−で任意に中断され得るC
2〜C
100アルキニル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るおよび/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−で任意に中断され得るC
3〜C
12シクロアルキル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るC
6〜C
24アリール基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るC
2〜C
20ヘテロアリール基;
−CO−C
1〜C
18アルキル基、−CO−C
5〜C
12シクロアルキル基または−COO−C
1〜C
18アルキル基であり;
Ar
1およびAr
1’は、互いに独立して
【化9-1】
【化9-2】
であり、
Ar
2、Ar
2’、Ar
3およびAr
3’は、互いに独立してAr
1の意味を有するか、または、互いに独立して
【化10】
であり、前記式中、
XはO、S、Se、TeまたはNR
8であり、
X’はOまたはSであり、
X
1、X
2およびX
3は、互いに独立してS、O、−NR
107−、−Si(R
117)(R
117’)−、−Ge(R
117)(R
117’)−、−C(R
108)(R
109)−、−C(=O)−、−C(=CR
110R
111)−、
【化11】
であり、
X
4およびX
4’は、互いに独立してS、O、−NR
107−、−Si(R
117)(R
117’)−、−Ge(R
117)(R
117’)−、−C(R
108)(R
109)−、−C(=O)−、−C(=CR
110R
111)−であり、
R
3およびR
3’は、互いに独立して水素、ハロゲン、ハロゲン化C
1〜C
25アルキル、特にCF
3、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
25アルコキシであり;
R
4、R
4’、R
5、R
5’、R
6およびR
6’は、互いに独立して水素、ハロゲン、ハロゲン化C
1〜C
25アルキル、特にCF
3、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
25アルコキシであり;
R
7、R
7’、R
9およびR
9’は、互いに独立して、水素、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
8およびR
8’は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
10およびR
10’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、NO
2、NR
112R
113、シアノ、C
1〜C
25アルキル、E(CF
3)によって1回以上置換されたおよび/またはDによって1回以上中断されたC
1〜C
25アルキル、
【化12】
、COO−C
1〜C
18アルキル、C
4〜C
18シクロアルキル基、Gによって置換されたC
4〜C
18シクロアルキル基、C
2〜C
18アルケニル、C
2〜C
18アルキニル、C
1〜C
18アルキルチオ、C
1〜C
18アルコキシ、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルコキシ、C
7〜C
25アラルキル、Gによって置換されたC
7〜C
25アラルキル、または式IVa〜IVkの基
【化13】
であり、
X
5はO、S、Se、Te、またはNR
59であり、
R
11およびR
11’は、互いに独立して、C
1〜C
25アルキル基、C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニル基であり;
R
12およびR
12’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル、C
1〜C
25アルコキシ、C
7〜C
25アリールアルキルまたは
【化14】
であり、
R
13はC
1〜C
10アルキル基、またはトリ(C
1〜C
8アルキル)シリル基であり;
R
22〜R
26およびR
29〜R
58は、互いに独立してH、ハロゲン、シアノ、NO
2、NR
112R
113、C
1〜C
25アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
25アルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、Gによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリール、C
4〜C
18シクロアルキル基、Gによって置換されたC
4〜C
18シクロアルキル基、C
2〜C
18アルケニル、C
2〜C
18アルキニル、C
1〜C
25アルキルチオ、C
1〜C
25アルコキシ、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
25アルコキシ、C
7〜C
25アラルキル、またはGによって置換されたC
7〜C
25アラルキルであり、
R
27およびR
28は、互いに独立して、水素、C
1〜C
25アルキル、ハロゲン、シアノまたはC
7〜C
25アラルキルであるか、またはR
27およびR
28は一緒になってアルキレンまたはアルケニレンを表し、前記アルキレンまたはアルケニレンは共に酸素および/または硫黄を介してチエニル残基に結合されていてよく、かつ25個までの炭素原子を有していてよく、
R
59は、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
60は水素、C
1〜C
18ハロアルキル、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
1〜C
18アルカノイルまたはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
103およびR
103’は、互いに独立して、水素、C
1〜C
100アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
25アルキル、C
2〜C
25アルケニル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
2〜C
25アルケニル、C
7〜C
25アリールアルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、またはGによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリールであり、
R
104およびR
104’は、互いに独立して、水素、CN、C
1〜C
18アルキル、Gによって任意に置換され得るC
6〜C
10アリール、またはGによって任意に置換され得るC
2〜C
8ヘテロアリールであり、
R
105、R
105’、R
106およびR
106’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
18アルコキシであり、
R
107は水素、C
7〜C
25アリールアルキル、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;C
1〜C
18パーフルオロアルキル;−O−もしくは−S−によって中断され得るC
1〜C
25アルキル;または−COOR
103であり;R
103は上記で規定された通りであり;
R
108およびR
109は、互いに独立して、H、C
1〜C
25アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
25アルキル、C
7〜C
25アリールアルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、Gによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリール、C
2〜C
18アルケニル、C
2〜C
18アルキニル、C
1〜C
18アルコキシ、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルコキシ、またはC
7〜C
25アラルキルであるか、または
R
108およびR
109は一緒になって式=CR
110R
111の基を形成し、ここで
R
110およびR
111は、互いに独立して、H、C
1〜C
18アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、またはC
2〜C
20ヘテロアリール、またはGによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリールであるか、または
R
108およびR
109は、一緒になって5員環または6員環を形成し、前記環はC
1〜C
18アルキル、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルキル、C
6〜C
24アリール、Gによって置換されたC
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、Gによって置換されたC
2〜C
20ヘテロアリール、C
2〜C
18アルケニル、C
2〜C
18アルキニル、C
1〜C
18アルコキシ、Eによって置換されたおよび/またはDによって中断されたC
1〜C
18アルコキシ、またはC
7〜C
25アラルキルによって任意に置換することができ、
Dは、−CO−、−COO−、−S−、−O−または−NR
112−であり、
Eは、C
1〜C
8アルキルチオ、C
1〜C
8アルコキシ、CN、−NR
112R
113、−CONR
112R
113、またはハロゲンであり、
Gは、EまたはC
1〜C
18アルキルであり、かつ
R
112およびR
113は、互いに独立して、H;C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキル;または−O−によって中断されたC
1〜C
18アルキルであり、
R
114は1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキルであり、
R
115およびR
115’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル、C
1〜C
25アルコキシ、C
7〜C
25アリールアルキル、または
【化15】
であり、R
116はC
1〜C
10アルキル基、またはトリ(C
1〜C
8アルキル)シリル基であり;
R
117およびR
117’は、互いに独立して、C
1〜C
25アルキル基、特にC
1〜C
8アルキル基、C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニル基であり、
R
118、R
119、R
120およびR
121は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C
1〜C
25アルキル、特にCF
3、シアノ、1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
7〜C
25アリールアルキル、またはC
1〜C
25アルコキシであり、
R
122およびR
122’は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、かつ
R
124およびR
124’は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR
103、C
1〜C
25アルキル基、C
6〜C
24アリール、またはC
2〜C
20ヘテロアリールであり、
E
Siは−SiR
161R
162R
163または−O−SiR
161R
162R
163であり、
R
161、R
162およびR
163は、互いに独立して、水素、C
1〜C
25アルキル、C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
3〜C
12シクロアルキル;C
1〜C
25ハロアルキル、C
2〜C
25アルケニル、−O−SiR
164R
165R
166、−(O−SiR
164R
165)
d−R
166、C
1〜C
25アルコキシ、C
3〜C
24(ヘテロ)アリールオキシ、NR
167R
168、ハロゲン、C
1〜C
25アシルオキシ、フェニル;またはC
1〜C
24アルキル、ハロゲン、シアノまたはC
1〜C
25アルコキシによって1〜3回置換されたフェニルであり、
R
164、R
165およびR
166は、互いに独立して、水素、C
1〜C
25アルキル、C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
3〜C
12シクロアルキル;C
1〜C
25ハロアルキル、C
2〜C
25アルケニル、−O−SiR
169R
170R
171、−(O−SiR
169R
170)
d−R
171、C
1〜C
25アルコキシ、C
3〜C
24(ヘテロ)アリールオキシ、NR
167R
168、ハロゲン、C
1〜C
25アシルオキシ、フェニル;またはC
1〜C
24アルキル、ハロゲン、シアノまたはC
1〜C
25アルコキシによって1〜3回置換されたフェニルであり、
R
169、R
170およびR
171は、互いに独立して、水素、C
1〜C
25アルキル;C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
3〜C
12シクロアルキル;C
1〜C
25ハロアルキル、C
2〜C
25アルケニル、−O−Si(CH
3)
3、C
1〜C
25アルコキシ、C
3〜C
24(ヘテロ)アリールオキシ、NR
167R
168、ハロゲン、C
1〜C
25アシルオキシ、フェニル;またはC
1〜C
24アルキル、ハロゲン、シアノまたはC
1〜C
25アルコキシによって1〜3回置換されたフェニルであり、
R
167およびR
168は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
dは1〜50の整数であり、
R
214およびR
215は、互いに独立して、水素、C
1〜C
18アルキル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリール、−CNまたはCOOR
216であり;かつ
R
216はC
1〜C
25アルキル、C
1〜C
25ハロアルキル、C
7〜C
25アリールアルキル、C
6〜C
24アリールまたはC
2〜C
20ヘテロアリールである、前記化合物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ポリマーP9から製造されたFET(電界効果トランジスタ)の代表的な伝達特性を、0.5V刻みのV
GS=10V〜−30VおよびV
DS=−30Vで示す。ドレイン電流(黒の実線)、ゲート電流(灰色の点線曲線)、ドレイン電流の平方根(灰色の実線)、および平方根の近似勾配(黒の破線曲線)を示している。
【0010】
式(I)の化合物は、色素増感およびバルクヘテロ接合太陽電池、有機発光ダイオード、フォトダイオード、有機電界効果トランジスタ、蛍光イメージング、センサーおよび固体色素レーザーにおいて機能性色素として使用され得る。
式(I)の化合物はまた、非常に強い蛍光および2つの光子吸収を示し得る。これらの特徴のために、これらの色素は、蛍光イメージング、カチオンの検出、および芸術用または工業用塗料の着色などの分野で適用するための優れた候補である。
【0011】
Yは、好ましくは、式
【化16】
の基であり、前記式中、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1およびU
2は上記および下記で定義される。
【0012】
より好ましい実施形態では、Yは式
【化17】
の基、特に式
【化18】
の基であり、前記式中、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1およびU
2は上記および下記で定義される。
【0013】
別のより好ましい実施形態では、Yは式
【化19】
の基、特に式
【化20】
の基であり、前記式中、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1およびU
2は上記および下記で定義される。
【0014】
式(I)の化合物は、好ましくは式
【化21】
の化合物であり、前記式中、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、Ar、Ar’、R
10およびR
10’は上記および下記で定義される。
【0015】
式(I)の化合物は、より好ましくは式
【化22】
の化合物、または式
【化23】
の化合物であり、前記式中、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、Ar、Ar’、R
10およびR
10’は上記および下記で定義される。
【0016】
T
1およびT
2は、好ましくは、H;C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、シアノまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−、−S−または−NR
60−(ここでR
60は、C
1〜C
25アルキルである)によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基;またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルであり、E
Siは−SiR
161R
162R
163であり、
R
161、R
162およびR
163は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル;C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
5〜C
6シクロアルキル;C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−SiR
164R
165R
166、−(O−SiR
164R
165)
d−R
166、またはフェニルであり、
R
164、R
165およびR
166は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−SiR
169R
170R
171、−(O−SiR
169R
170)
d−R
171またはフェニルであり、
R
169、R
170およびR
171は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−Si(CH
3)
3またはフェニルであり、
dは1〜10の整数である。
【0017】
T
3およびT
4は、好ましくは、H;C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、シアノまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−、−S−または−NR
60−(ここでR
60はC
1〜C
25アルキルである)によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基;またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルであり、E
Siは−SiR
161R
162R
163であり、
R
161、R
162およびR
163は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル;C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
5〜C
6シクロアルキル;C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−SiR
164R
165R
166、−(O−SiR
164R
165)
d−R
166、またはフェニルであり、
R
164、R
165およびR
166は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−SiR
169R
170R
171、−(O−SiR
169R
170)
d−R
171またはフェニルであり、
R
169、R
170およびR
171は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−Si(CH
3)
3またはフェニルであり、
dは1〜10の整数である。
【0018】
式(Ia−1)の化合物は特に式
【化24】
の化合物である。式(Ia−2)の化合物は特に式
【化25】
の化合物である。T
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、Ar、Ar’、R
10およびR
10’は上記で定義される。
【0019】
U
1およびU
2は好ましくはOである。
【0020】
式
【化26】
の基の例は、式
【化27】
の基である。
【0021】
式
【化28】
の基の例は、式
【化29】
の基である。
【0022】
式
【化30】
の基の例は、式
【化31】
の基である。
【0023】
式
【化32】
の基の例は式
【化33】
の基である。
【0024】
式
【化34】
の基の例は式
【化35】
の基である。
【0025】
式
【化36】
の基の例は式
【化37】
の基である。
【0026】
Ar
1、Ar
1’、Ar
2、Ar
2’、Ar
3およびAr
3’は、好ましくは
【化38】
であり、前記式中、
R
3およびR
3’は、互いに独立して、水素、F、C
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルコキシであり、
R
8は水素、またはC
1〜C
25アルキルであり、かつR
104およびR
104’は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR
103、またはC
1〜C
25アルキル基であり、ここでR
103は、−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキルである。式(XIa−1)、(XIa−2)、(XIa−4)、(XId)、(XIf)および(XIv)の基がさらに一層好ましい。
【0027】
−Ar−R
10および−Ar’−R
10’は、好ましくは、H、F、シアノ、C
1〜C
25アルキル、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、
【化39】
である。−Ar−R
10および−Ar’−R
10’はより好ましくはH、または
【化40】
である。R
3およびR
3’は、互いに独立して水素、F、C
1〜C
25アルキルまたはC
1〜C
12アルコキシであり、
R
22、R
23、R
25、R
26、R
27、R
28およびR
29〜R
33は、互いに独立して、H、F、シアノ、C
1〜C
25アルコキシ、1つ以上のFで置換されたC
1〜C
25アルキル、1つ以上の−O−で中断されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり、かつ
R
24はH、F、シアノ、NO
2、NR
112R
113、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、C
1〜C
25アルキルチオ、1つ以上のハロゲン原子(CF
3)で置換されたC
1〜C
25アルキル、1つ以上の−O−で中断されたC
1〜C
25、またはC
1〜C
25アルキルであり;
XはO、S、SeまたはNR
8であり、X
5はO、S、SeまたはNR
59であり、
R
58はH、F、シアノ、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、C
1〜C
25アルキルチオ、1つ以上のハロゲン原子(CF
3)で置換されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり、
R
8およびR
59は水素;C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るかつ/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
112およびR
113は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るかつ/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルである。
【0028】
特に好ましい実施形態では、本発明は、式
【化41】
の化合物であって、前記式中、
U
1およびU
2はOであり、
T
1およびT
2は、H;−O−、−S−または−NR
60−(ここでR
60はC
1〜C
25アルキルである)によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基;またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルであり、
T
3およびT
4はH;−O−、−S−または−NR
60−(ここでR
60はC
1〜C
25アルキルである)によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基;またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルであり、かつ
−Ar−R
10および−Ar’−R
10’は互いに独立してH、F、シアノ、1つ以上のフッ素原子で置換されるC
1〜C
25アルキル、C
1〜C
25アルキル、
【化42】
であり、ここでR
3およびR
3’は互いに独立して水素、F、C
1〜C
25アルキルまたはC
1〜C
25アルコキシであり、
R
22、R
23、R
25、R
26、R
27、R
28およびR
29〜R
33は、互いに独立して、H、F、シアノ、C
1〜C
25アルコキシ、1つ以上のFで置換されたC
1〜C
25アルキル、1つ以上の−O−またはC
1〜C
25アルキルで中断されたC
1〜C
25アルキルを表し、かつ
R
24はH、F、シアノ、NO
2、NR
112R
113、CF
3、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、1つ以上の−O−で中断されたC
1〜C
25、またはC
1〜C
25アルキルであり;
XはO、S、SeまたはNR
8であり、X
5はO、S、SeまたはNR
59であり、
R
58はH、F、シアノ、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、C
1〜C
25アルキルチオ、1つ以上のハロゲン原子(CF
3)で置換されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり、
R
8およびR
59は水素;C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るかつ/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
112およびR
113は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るかつ/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルである、前記化合物に関する。
【0029】
前記実施形態では、T
3およびT
4は好ましくはHであり、本発明は好ましくは式(Ia−1a)の化合物に関する。T
1およびT
2は、好ましくはH、C
1〜C
38アルキル基、またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルである。
【0030】
別の特に好ましい実施形態では、本発明は、式
【化43】
の化合物であって、前記式中、
U
1およびU
2はOであり、
T
1およびT
2は、H;−O−、−S−または−NR
60−(ここでR
60はC
1〜C
25アルキルである)によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基;またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルであり、
T
3およびT
4は、H;−O−、−S−または−NR
60−(ここでR
60はC
1〜C
25アルキルである)によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基;またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルであり、
−Ar−R
10および−Ar’−R
10’は、互いに独立して、H、F、シアノ;1つ以上のフッ素原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、C
1〜C
25アルキル、
【化44】
であり、ここでR
3およびR
3’は互いに独立して水素、F、C
1〜C
25アルキルまたはC
1〜C
25アルコキシであり、
R
22、R
23、R
25、R
26、R
27、R
28およびR
29〜R
33は、互いに独立して、H、F、シアノ、C
1〜C
25アルコキシ、1つ以上のFで置換されたC
1〜C
25アルキル、1つ以上の−O−で中断されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり、
R
24はH、F、シアノ、NO
2、NR
112R
113、CF
3、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC
1〜C
25アルキル、1つ以上の−O−で中断されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり;
XはO、S、SeまたはNR
8であり、X
5はO、S、SeまたはNR
59であり、
R
58はH、F、シアノ、フェニル、C
1〜C
25アルコキシ、C
1〜C
25アルキルチオ、1つ以上のハロゲン原子(CF
3)で置換されたC
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルキルであり、
R
8およびR
59は水素;C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るかつ/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
112およびR
113は、互いに独立して、水素、C
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって1〜3回置換されたC
6〜C
18アリール;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るかつ/または1つ以上のFによって任意に置換されるC
1〜C
25アルキル;またはC
7〜C
25アリールアルキルである、前記化合物に関する。
【0031】
前記実施形態では、T
1およびT
2は好ましくはHであり、本発明は好ましくは式(Ia−2a)の化合物に関する。T
3およびT
4は、好ましくはH、C
1〜C
38アルキル基、またはC
1〜C
8アルキルおよび/またはC
1〜C
8アルコキシで1〜3回置換され得るフェニルC
1〜C
4アルキルである。
【0032】
式(I)の化合物の例は、請求項8に示される化合物(A−1)〜(A−15)および式
【化45】
の化合物である。
【0033】
式
【化46】
の化合物の製造方法は、
(a)式
【化47】
の化合物を、例えばトリフルオロ酢酸および/または無水トリフルオロ酢酸などの酸および/または酸無水物の存在下で、例えばジクロロメタンなどの溶媒中で式T
1COOH(XIIa)およびT
2COOH(XIIb)、またはT
1COOH(XIIa)の化合物と反応させることを含み、
ここで、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、Ar、Ar’、R
10およびR
10’は上記で定義されており、式(XI)の化合物が式(XIIa)の化合物とのみ反応する場合、式(Ia)中のT
2はT
1の意味を有する。酸T
1COOH(XIIa)およびT
2COOH(XIIb)の代わりに、それらの無水物(T
1CO)
2Oおよび(T
2CO)
2Oが使用されてもよい。
【0034】
式(XI)、(XIIa)および(XIIb)の化合物は、市販されているか、または当該技術分野で公知の手順に従って調製することができる。
【0035】
式
【化48】
の化合物を製造するための別の方法は、
(a)式
【化49】
または(XIIIa)の化合物を、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミンまたは炭酸カリウムなどの塩基の存在下で、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)またはジクロロメタンなどの溶媒中で、式ClCO(CH
2)
2COCl(XIV)の化合物と反応させることを含み、
ここで、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、Ar、Ar’、R
10およびR
10’は上記で定義されており、式(XIV)の化合物が式(XIIIa)の化合物とのみ反応する場合、式(Ia)中のT
2はT
1の意味を有する。この方法は、式(Ia)(式中、T
1およびT
2はHである)の化合物、例えば、化合物(A−1)の製造に使用することができる。
【0036】
式(XIIIa)、(XIIIb)および(XIV)の化合物は、市販されているか、または当該技術分野で公知の手順に従って調製することができる。
【0037】
化合物(C−1)は、例えば、下記反応スキームに示すように、化合物(A−3)から出発して製造することができる:
【化50】
【0038】
臭素化は、−30℃〜+50℃の温度、好ましくは−10℃〜室温、例えば、0℃で2当量のN−ブロモ−スクシンイミドを使用して、クロロホルムなどの適切な溶媒中で行われる。
【0039】
有利には、式Iの化合物、または式Iの化合物を含む有機半導体材料、有機半導体層または有機半導体素子は、有機薄膜太陽電池(太陽電池)およびフォトダイオードにおいて、または有機電界効果トランジスタ(OFET)において使用され得る。
【0040】
式Iの化合物を含む混合物は、式Iの化合物(典型的には0.1〜99.9999質量%、より具体的には1〜99.9999質量%、さらにより具体的には5〜99.9999質量%、特に20〜85質量%)および少なくとも別の材料を含む半導体層をもたらす。他の材料は、式Iの別の化合物、本発明のポリマー、半導体ポリマー、非導電性ポリマー、有機小分子、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子三脚、TiO
2、ZnO等)、導電性粒子(Au、Ag等)、絶縁体材料、例えば、ゲート誘電体(PET、PS等)について記載されたものであり得るが、これらに制限されない。
【0041】
したがって、本発明はまた、式Iの化合物を含む有機半導体材料、有機半導体層または有機半導体素子に関し、さらには式Iの化合物および/または有機半導体材料、有機半導体層または有機半導体素子を含む半導体デバイスに関する。
【0042】
半導体は、好ましくは、有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタにおいて使用される。OFETデバイスの構造および構成要素については以下でより詳細に説明されている。
【0043】
従って、本発明は、式Iの化合物を含む有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)を提供する。
【0044】
有機光起電デバイス(太陽電池)の構造は、例えば、C. Deibelら、Rep. Prog. Phys. 73 (2010年) 096401およびChristoph Brabec, Energy Environ. Sci 2. (2009年) 347-303に記載されている。
【0045】
PVデバイスは次の順序で、
(a)カソード(電極)、
(b)任意に移行層、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(c)光活性層、
(d)任意に平滑化層、
(e)アノード(電極)、
(f)基材
を含む。
【0046】
光活性層は、式Iの化合物を含む。好ましくは、光活性層は、電子供与体としての式Iの化合物と、受容体材料としてのアクセプター材料、例えばフラーレン、特に官能化フラーレンPCBMとで作られている。上記のように、光活性層はポリマーバインダーも含み得る。ポリマーバインダーに対する式Iの小分子の割合は5〜95パーセントであり得る。好ましくは、ポリマーバインダーは、ポリスチレン(PS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)などの半結晶性ポリマーである。
【0047】
本発明に有用なフラーレンは、広範囲のサイズ(1分子あたりの炭素原子数)を有し得る。本明細書で使用されるフラーレンという用語は、純粋な炭素の様々なかご状分子、例えば、バックミンスターフラーレン(C
60)および関連する「球状」フラーレンならびにカーボンナノチューブを含む。フラーレンは、例えばC
20〜C
1000の範囲の当該技術分野で公知のものから選択され得る。好ましくは、フラーレンは、C
60〜C
96の範囲から選択される。最も好ましくは、フラーレンは、[60]PCBMまたは[70]PCBMなどのC
60またはC
70である。化学修飾されたフラーレンを使用することも可能であるが、ただし、修飾されたフラーレンがアクセプター型および電子移動度特性を保持することを条件とする。アクセプター材料はまた、式IIIの別の化合物、または例えば式Iのポリマーなどの半導体ポリマーからなる群から選択される材料であってもよいが、ただし、ポリマーがアクセプター型および電子移動度特性の有機小分子、カーボンナノチューブ、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子三脚、TiO
2、ZnO等)を保持することを条件とする。
【0048】
光活性層は、電子供与体としての式Iの化合物と、電子受容体としてのフラーレン、特に官能化フラーレンPCBMとで作られている。これらの2成分は溶媒と混合され、溶液として、例えば、スピンコート法、ドロップキャスティング法、ラングミュア・ブロジェット(「LB」)法、インクジェット印刷法および滴下法によって平滑化層上に適用される。スキージまたは印刷法を用いて、より大きな表面をこのような光活性層で被覆することもできる。代表的なトルエンの代わりに、クロロベンゼンなどの分散剤が好ましくは溶媒として使用される。これらの方法の中でも、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット印刷法およびキャスト法が、操作性およびコストの点で特に好ましい。
【0049】
スピンコート法、キャスト法、インクジェット印刷法を用いて層を形成する場合、適切な有機溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼンおよびこれらの混合物中に0.01〜90質量%の濃度で組成物を溶解または分散させることによって調製された溶媒および/または分散液を用いてコーティングを行うことができる。
【0050】
光起電(PV)デバイスは、太陽スペクトルの多くを吸収するために、互いに重ね合わされて処理される多重接合太陽電池から構成されてもよい。このような構造は、例えばApp. Phys. Let. 90, 143512 (2007年), Adv. Funct. Mater. 16, 1897〜1903 (2006年)および国際公開第2004/112161号に記載されている。
【0051】
いわゆる「タンデム太陽電池」は、次の順序で、
(a)カソード(電極)、
(b)任意で移行層、例えばアルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(c)光活性層、
(d)任意で平滑化層、
(e)中間電極(例えば、Au、Al、ZnO、TiO
2等)、
(f)任意にエネルギーレベルに合致させるための追加電極、
(g)任意で移行層、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(h)光活性層、
(i)任意で平滑化層、
(j)アノード(電極)、
(k)基材
を含む。
【0052】
PVデバイスは、例えば、米国特許出願公開第2007/0079867号公報および同第2006/0013549号公報に記載されているように、ファイバ上で処理することもできる。
【0053】
本発明によるOFETデバイスは、好ましくは
− ソース電極、
− ドレイン電極、
− ゲート電極、
− 半導体層、
− 1つ以上のゲート絶縁体層、および
− 任意で基材、ここで半導体層は式Iの化合物を含む
を含む。
【0054】
OFETデバイスのゲート電極、ソース電極およびドレイン電極ならびに絶縁層および半導体層は、どのような順序で配置されてもよいが、ただし、ソース電極およびドレイン電極は絶縁層によってゲート電極から隔てられており、ゲート電極および半導体層は共に絶縁層に接しており、かつソース電極およびドレイン電極は共に半導体層に接していることを条件とする。
【0055】
好ましくは、OFETは、第1の面と第2の面とを有する絶縁体、該絶縁体の第1の面上に位置するゲート電極、該絶縁体の第2の面上に位置する式Iの化合物を含む層、およびポリマー層上に位置するドレイン電極およびソース電極を含む。
【0056】
本発明はさらに、式
−[(Ar)z
1−Y−(Ar’)z
2]−(V)
の繰り返し単位であって、前記式中、
z
1およびz
2は互いに独立して0または1であり、
Y、ArおよびAr’は上記または下記で定義される、前記繰り返し単位を含むポリマーに関する。
【0057】
式(V)の繰り返し単位は、好ましくは式
【化51】
の繰り返し単位であり、z
1およびz
2は互いに独立して0または1であり、かつT
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、ArおよびAr’は上記または下記で定義されている。
【0058】
より好ましい実施形態では、式(V)の繰り返し単位は、式
【化52】
の繰り返し単位、特に式
【化53】
の繰り返し単位であり、前記式中、z
1、z
2、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、ArおよびAr’は上記および下記で定義されている。
【0059】
別のより好ましい実施形態では、式(V)の繰り返し単位は、式
【化54】
の繰り返し単位、特に式
【化55】
の繰り返し単位であり、前記式中、z
1、z
2、T
1、T
2、T
3、T
4、U
1、U
2、ArおよびAr’は上記および下記で定義されている。
【0060】
U
1およびU
2は好ましくはOである。
【0061】
好ましくは、T
1、T
2、T
3およびT
4は、互いに独立して、H;C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキルもしくはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基;またはC
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキルもしくはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
2〜C
38アルケニル基であり、ここでE
Siは−SiR
161R
162R
163である。より好ましくは、T
1、T
2、T
3およびT
4は互いに独立してH;C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキルまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基であり、ここでE
Siは−SiR
161R
162R
163である。さらにより好ましくは、T
1、T
2、T
3およびT
4は、互いに独立して、Hまたは−O−もしくは−S−により任意に中断され得るC
1〜C
38アルキル基である。最も好ましいT
1、T
2、T
3およびT
4は、HまたはC
1〜C
38アルキル基である。
【0062】
R
161、R
162およびR
163は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル;C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
5〜C
6シクロアルキル;C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−SiR
164R
165R
166、−(O−SiR
164R
165)
d−R
166、またはフェニルであり、
R
164、R
165およびR
166は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−SiR
169R
170R
171、−(O−SiR
169R
170)
d−R
171またはフェニルであり、
R
169、R
170およびR
171は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−Si(CH
3)
3またはフェニルであり、
dは1〜10の整数である。
【0063】
好ましくは、R
161、R
162およびR
163は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、−O−SiR
164R
165R
166、または−(O−SiR
164R
165)
d−R
166である。好ましくは、R
164、R
165およびR
166は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、−O−SiR
169R
170R
171、または−(O−SiR
169R
170)
d−R
171である。好ましくは、R
169、R
170およびR
171は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキルまたは−O−Si(CH
3)
3である。dは好ましくは1〜5の整数である。
【0064】
−Ar−および−Ar’−は、好ましくは単結合
【化56】
であり、前記式中、
R
3およびR
3’は、互いに独立して、水素、F、C
1〜C
25アルキル、またはC
1〜C
25アルコキシであり、
R
8は水素、またはC
1〜C
25アルキルであり、かつR
104およびR
104’は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR
103、またはC
1〜C
25アルキル基であり、ここでR
103は、−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキルである。R
3とR
3’は好ましくは水素である。好ましくは、R
104およびR
104’は、互いに独立して、水素またはシアノであり、最も好ましくは水素である。
【0065】
式(XIa−1)、(XIa−2)、(XIa−4)、(XId)、(XIf)および(XIv)の基がさらに一層好ましい。
【0066】
別の実施形態では、本発明は、式
【化57】
の繰り返し単位、および式
【化58】
の繰り返し単位
を含むポリマーであって、前記式中、
Aは式(V)の繰り返し単位であり、かつ
−COM
1−はAr
2の意味を有する繰り返し単位であり、ここでAr
2は請求項1で規定されているか、または式
【化59】
の基であり、
sは1であり、tは1であり、uは0もしくは1であり、vは0もしくは1であり、
かつ
Ar
4およびAr
5は、互いに独立して式
【化60】
の基であり、
Ar
14、Ar
15、Ar
16およびAr
17は、互いに独立して、式
【化61】
の基であり、
前記式中、X
7およびX
8のうち一方はNであり、かつ他方はCR
14であり、
R
14、R
14’、R
17およびR
17’は、互いに独立して、H、F、C
1〜C
25アルキル基、またはC
1〜C
25アルコキシ基であり、
R
200およびR
200’は互いに独立してHまたはFであり、
R
201およびR
202は、互いに独立して、H;C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−によって任意に中断され得るC
1〜C
100アルキル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−によって任意に中断され得るC
2〜C
100アルケニル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−によって任意に中断され得るC
3〜C
100アルキニル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−、−S−、−NR
60−、−CONR
60−、−NR
60CO−、−COO−、−CO−または−OCO−によって任意に中断され得るC
3〜C
12シクロアルキル基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るC
6〜C
24アリール基;
C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、ハロゲン、C
5〜C
12シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ビニル、アリル、C
6〜C
24アリール、C
2〜C
20ヘテロアリールまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るC
2〜C
20ヘテロアリール基であり、E
Siは請求項1で規定されており、
R
60は、水素、C
1〜C
18ハロアルキル;1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル;C
1〜C
18アルカノイル、またはC
7〜C
25アリールアルキルであり、
R
206は、水素、またはC
1〜C
25アルキル、またはC
6〜C
18アリール;C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜C
18アルコキシによって置換されたC
6〜C
18アリール;または1つ以上の酸素原子または硫黄原子によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキルであり、
R
304およびR
304’は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR
305、またはC
1〜C
25アルキル基であり、ここで、R
305は、−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
1〜C
25アルキル基である。
【0067】
Ar
4およびAr
5は、好ましくは式
【化62】
の基である。R
14、R
14’、R
17、およびR
17’は好ましくはHである。
【0068】
好ましくは、Ar
14、Ar
15、Ar
16およびAr
17は、互いに独立して、式
【化63】
の基である。
【0069】
E
Siは好ましくは−SiR
161R
162R
163であり、
R
161、R
162およびR
163は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル;C
1〜C
4アルキルで任意に置換され得るC
5〜C
6シクロアルキル;C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−SiR
164R
165R
166、−(O−SiR
164R
165)
d−R
166、またはフェニルであり、
R
164、R
165およびR
166は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−SiR
169R
170R
171、−(O−SiR
169R
170)
d−R
171またはフェニルであり、
R
169、R
170およびR
171は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、C
2〜C
8アルケニル、−O−Si(CH
3)
3またはフェニルであり、
dは1〜10の整数である。
【0070】
好ましくは、R
161、R
162およびR
163は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、−O−SiR
164R
165R
166、または−(O−SiR
164R
165)
d−R
166である。好ましくは、R
164、R
165およびR
166は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル、−O−SiR
169R
170R
171、または−(O−SiR
169R
170)
d−R
171である。好ましくは、R
169、R
170およびR
171は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキルまたは−O−Si(CH
3)
3である。dは好ましくは1〜5の整数である。好ましくは、R
201およびR
202は、互いに独立して、H;ハロゲンまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
1〜C
50アルキル基;またはハロゲンまたはE
Siで1回以上任意に置換され得るかつ/または−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
2〜C
50アルケニル基である。より好ましくは、R
201およびR
202は、互いに独立して、−O−もしくは−S−によって任意に中断され得るC
1〜C
50アルキル基である。最も好ましくは、R
201およびR
202はC
1〜C
50アルキル基である。好ましくは、R
304およびR
304’は、互いに独立して水素またはシアノである。より好ましくはR
304およびR
304’は水素である。
【0071】
式(V)の繰り返し単位を含むポリマーの例は、請求項16に示されるポリマー(P−1)〜(P−10)および式
【化64】
のポリマーである。
【0072】
式−[−[A]−[COM]−]
n−(VII)に対応するポリマーを調製するためには、Pdおよびトリフェニルホスフィンの触媒作用下で、式X
6−A−X
6のジハロゲン化物を、式
【化65】
に対応する(等モル)量のジボロン酸またはジボロネートと反応させるか;または式
【化66】
のジハロゲン化物を、(等モル)量の式X
6’−A−X
6’に対応するジボロン酸またはジボロネートと反応させ、ここで、X
6はハロゲン、特にCl、BrまたはI、殊にBrであり、かつX
6’はそれぞれ独立して−B(OH)
2、−B(OY
1)
2、
【化67】
であり、ここでY
1はそれぞれ独立してC
1〜C
10アルキル基であり、かつY
2はそれぞれ独立してC
2〜C
10アルキレン基、例えば、−CY
3Y
4−CY
5Y
6、または−CY
7Y
8−CY
9Y
10−CY
11Y
12であり、ここでY
3、Y
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11およびY
12は互いに独立して水素、またはC
1〜C
10アルキル基、特に−C(CH
3)
2C(CH
3)
2−、−CH
2C(CH
3)
2CH
2−、または−C(CH
3)
2CH
2C(CH
3)
2−であり、かつY
13およびY
14は互いに独立して水素またはC
1〜C
10アルキル基である。反応は、典型的にはトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒中で約0℃〜180℃で行われる。ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランなどの他の溶媒も単独で、または芳香族炭化水素との混合物で使用され得る。水性塩基、好ましくは炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸カリウムまたは重炭酸カリウムは、ボロン酸、ボロン酸塩のための活性化剤としておよびHBrスカベンジャーとして使用される。重合反応は0.2〜100時間かかり得る。有機塩基、例えば水酸化テトラアルキルアンモニウム、および例えばTBABなどの相間移動触媒は、ホウ素の活性を促進し得る(例えば、Leadbeater & Marco; Angew. Chem. Int. Ed. Eng. 42 (2003年) 1407および本明細書に引用される文献を参照のこと)。反応条件の他のバリエーションは、T. I. WallowおよびB. M. NovakによってJ. Org. Chem. 59 (1994年) 5034〜5037に、そしてM. Remmers、M. SchulzeおよびG. WegnerによってMacromol. Rapid Commun. 17 (1996年) 239〜252に示されている。過剰なジブロミド、ジボロン酸もしくはジボロネート、または連鎖停止剤のいずれかを使用することによって分子量の制御が可能である。
【0073】
国際公開第2010/136352号に記載された方法は、例えば、式(VII)のポリマーの製造に使用され得る。重合は、
a)パラジウム触媒および有機ホスフィンまたはホスホニウム化合物を含む触媒/配位子系、
b)塩基、
c)溶媒または溶媒の混合物
の存在下で行われる。
【0074】
好ましい有機ホスフィンは、下記式の三置換ホスフィンから選択される:
【表2】
【0075】
好ましい触媒の例として以下の化合物が挙げられる:
パラジウム(II)アセチルアセトネート、パラジウム(0)ジベンジリデン−アセトン錯体、パラジウム(II)プロピオネート、
Pd
2(dba)
3:[トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)]、
Pd(dba)
2:[ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)]、
Pd(PR
3)
2(式中、PR
3は、式VIの三置換ホスフィンである)、
Pd(OAc)
2:[酢酸パラジウム(II)]、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、テトラクロロパラジウム酸(II)リチウム、
PdCl
2(PR
3)
2;式中、PR
3は、式VIの三置換ホスフィン;パラジウム(0)ジアリルエーテル錯体、硝酸パラジウム(II)、
PdCl
2(PhCN)
2:[ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)]、
PdCl
2(CH
3CN):[ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)]、および
PdCl
2(COD):[ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)]。
【0076】
PdCl
2、Pd
2(dba)
3、Pd(dba)
2、Pd(OAc)
2、またはPd(PR
3)
2が特に好ましい。Pd
2(dba)
3およびPd(OAc)
2が最も好ましい。
【0077】
パラジウム触媒は触媒量で反応混合物中に存在する。「触媒量」という用語は、明らかに1当量の(ヘテロ)芳香族化合物よりも少ない量、使用される(ヘテロ)芳香族化合物の当量を基準として、好ましくは0.001〜5モル%、最も好ましくは0.001〜1モル%の量を意味する。
【0078】
反応混合物中のホスフィンまたはホスホニウム塩の量は、好ましくは、使用される(ヘテロ)芳香族化合物の当量を基準として0.001〜10モル%、最も好ましくは0.01〜5モル%である。Pd:ホスフィンの好ましい比は1:4である。
【0079】
塩基は、すべての水性および非水性塩基から選択することができ、無機または有機であり得る。官能性ホウ素基1つ当たり少なくとも1.5当量の前記塩基が反応混合物中に存在することが好ましい。適切な塩基は、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、フッ化物およびリン酸塩、例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、酢酸塩、炭酸塩、フッ化物およびリン酸塩または金属アルコラートである。塩基の混合物を使用することも可能である。塩基は、好ましくはリチウム塩、例えば、リチウムアルコキシド(例えば、リチウムメトキシドおよびリチウムエトキシド)、水酸化リチウム、カルボン酸塩、炭酸塩、フッ化物および/またはリン酸塩などのリチウム塩である。
【0080】
現在最も好ましい塩基は、水性LiOHxH
2O(LiOHの一水和物)および(水を含まない)LiOHである。
【0081】
反応は、典型的には、約0℃〜180℃、好ましくは20℃〜160℃、より好ましくは40℃〜140℃、最も好ましくは40℃〜120℃で行われる。重合反応は0.1時間、特に0.2〜100時間かかり得る。
【0082】
本発明の好ましい実施形態では、溶媒はTHFであり、塩基はLi
−OH
*H
2Oであり、反応はTHFの還流温度で(約65℃)行われる。
【0083】
溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、フルオロベンゼンまたは1種以上の溶媒、例えばTHF/トルエンおよび任意で水を含む溶媒混合物から選択される。THFまたはTHF/水が最も好ましい。
【0084】
有利には、重合は、
a)酢酸パラジウム(II)またはPd
2(dba)
3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))および有機ホスフィンPN−1〜PN−8、
b)LiOH、またはLiOHxH
2O;および
c)THF、および任意で水
の存在下で行われる。LiOHの一水和物が使用される場合、水を加える必要はない。
【0085】
パラジウム触媒は、好ましくは、使用される(ヘテロ)芳香族化合物の当量を基準として約0.5モル%の量で存在する。反応混合物中のホスフィンまたはホスホニウム塩の量は、好ましくは使用される(ヘテロ)芳香族化合物の当量を基準として約2モル%である。Pd:ホスフィンの好ましい比は約1:4である。
【0086】
好ましくは、重合反応は酸素の不在下にて不活性条件下で行われる。不活性ガスとしては、窒素、より好ましくはアルゴンが使用される。
【0087】
国際公開第2010/136352号に記載されている方法は、大規模用途に適し、容易に入手可能であり、かつ出発材料を、高収率、高純度および高選択率で、それぞれのポリマーに変換する。この方法は、少なくとも10,000、より好ましくは少なくとも20,000、最も好ましくは少なくとも30,000の質量平均分子量を有するポリマーを提供し得る。現在最も好ましいポリマーは、30,000〜80,000ダルトンの質量平均分子量を有する。分子量は、ポリスチレン標準を用いた高温ゲル透過クロマトグラフィ(HT−GPC)に従って決定される。ポリマーは、好ましくは1.01〜10、より好ましくは1.1〜3.0、最も好ましくは1.5〜2.5の多分散度を有する。
【0088】
必要であれば、例えば
【化68】
などの単官能性アリールハライドまたはアリールボロネートが、このような反応において連鎖停止剤として使用されていてよく、末端アリール基の形成をもたらすだろう。
【0089】
鈴木反応でモノマー原料のオーダーおよび組成を制御することによって得られるコポリマー中のモノマー単位の順序を制御することが可能である。
【0090】
本発明のポリマーは、スティルカップリングによっても合成され得る(例えば、Babudriら、J. Mater. Chem., 2004年, 14, 11〜34; J. K. Stille, Angew. Chemie Int. Ed. Engl. 1986, 25, 508を参照のこと)。式VIIに対応するポリマーを調製するために、パラジウム含有触媒の存在下にて0℃〜200℃の範囲の温度で、不活性溶媒中で、式X
6−A−X
6のジハロゲン化物を式
【化69】
の化合物と反応させるか、または式
【化70】
のジハロゲン化物を式X
6’−A−X
6’の化合物と反応させ、ここで、X
6’は基−SnR
207R
208R
209であり、かつX
6は上記で定義された通りであり、R
207、R
208およびR
209は同一または異なり、かつHまたはC
1〜C
6アルキルであり、2つの基は任意で共通の環を形成し、これらの基は分枝鎖状または非分枝鎖状である。本明細書では、使用されるすべてのモノマーの全量が、有機官能基とハロゲン官能基との高度にバランスのとれた比を有することが保証されなければならない。また、単官能性試薬でエンドキャップすることにより、反応終了時に余分な反応性基を除去することが有利であることを実証することができる。この方法を実施するためには、スズ化合物およびハロゲン化合物が好ましくは1種以上の不活性有機溶媒中に導入され、0〜200℃、好ましくは30〜170℃の温度で1時間〜200時間、好ましくは5時間〜150時間撹拌される。粗生成物は、当業者に公知であり、かつそれぞれのポリマーに適した方法、例えば繰り返される再沈殿によってまたは透析によって精製され得る。
【0091】
上記の方法に適した有機溶媒は、例えば、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテルおよびtert−ブチルメチルエーテル、炭化水素、例えばヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびtert−ブタノール、ケトン、例えばアセトン、エチルメチルケトンおよびイソブチルメチルケトン、アミド、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドン、ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリルおよびブチロニトリル、ならびにそれらの混合物である。
【0092】
パラジウム成分およびホスフィン成分は、鈴木変法についての記載と同様に選択されるべきである。
【0093】
あるいは、本発明のポリマーは、亜鉛試薬A−(ZnX
12)
2(式中、X
12はハロゲンおよびハロゲン化物である)、およびCOM
1−(X
6’)
2(式中、X
6’はハロゲンまたはトリフラートである)を用いるか、またはA−(X
6’)
2およびCOM
1−(ZnX
12)
2を用いる根岸反応によっても合成され得る。例えば、E. Negishiら、Heterocycles 18 (1982年) 117〜22を参照されたい。
【0094】
あるいは、本発明のポリマーは、有機ケイ素試薬A−(SiR
210R
211R
212)
2(式中、R
210、R
211およびR
212は同一または異なり且つハロゲン、またはC
1〜C
6アルキルである)、およびCOM
1−(X
6’)
2(式中、X
6’はハロゲンまたはトリフラートである)を用いるか、またはA−(X
6’)
2およびCOM
1−(SiR
210R
211R
212)
2を用いる檜山反応によっても合成され得る。例えば、T. Hiyamaら、Pure Appl. Chem. 66 (1994年) 1471〜1478およびT. Hiyamaら、Synlett (1991年) 845〜853を参照されたい。
【0095】
あるいは、本発明のポリマーは、モノマーA−(H)
2およびCOM
1−(X
6’)
2(式中、X
6’はハロゲンである)を用いる、またはA−(X
6’)
2およびCOM
1−(H)
2(式中、X
6’はハロゲンである)を用いる直接的アリール化重合反応によっても合成され得る。例えば、P. Homyakら、Macromolecules 2015年, 48, 6978〜6986、T. Nakanishiら、J. Mater. Chem. A, 2015年, 3, 4229〜4238、またはJ. Kuwabara、Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry 2016年, 54, 2337〜2345を参照されたい。
【0096】
別の実施形態では、本発明は、(A)
n型のホモポリマーに関する。(A)
n型のホモポリマーは、ジハロゲン化物X
6−A−X
6(式中、X
6はハロゲン、特にCl、Br、またはI、殊にBrである)の山本カップリングによって得ることができる。あるいは(A)
n型のホモポリマーは、単位X
6−A−X
6(式中、X
6は水素である)を、例えば、酸化剤としてFeCl
3を用いて酸化重合することによって得ることができる。
【0097】
式X
6−Ar−Y−Ar’−X
6’(X)の化合物は、本発明のポリマーの製造における新規の中間体であり、本発明のさらなる対象を形成する。
【0098】
Y、ArおよびAr’は請求項1で定義されており、かつ
X
6およびX
6’は、互いに独立して、ハロゲン、特にCl、BrまたはI、殊にBrまたはI、ZnX
12、−SnR
207R
208R
209であり、ここでR
207、R
208およびR
209は、同一または異なり、かつHまたはC
1〜C
6アルキルであり、ここで2つの基は任意で共通の環を形成し、これらの基は任意に分枝鎖状または非分枝鎖状であり、かつX
12はハロゲン原子であるか、または−OS(O)
2CF
3、−OS(O)
2−アリール、−OS(O)
2CH
3、−B(OH)
2、−B(OY
1)
2、
【化71】
−BF
4Naまたは−BF
4Kであり、ここでY
1はそれぞれ独立してC
1〜C
10アルキル基であり、かつY
2はそれぞれ独立してC
2〜C
10アルキレン基であり、前記基は1つ以上のC
1〜C
8アルキル基、例えば、−CY
3Y
4−CY
5Y
6−または−CY
7Y
8−CY
9Y
10−CY
11Y
12−によって任意に置換することができ、ここでY
3、Y
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11およびY
12は互いに独立して水素、またはC
1〜C
10アルキル基、特に−C(CH
3)
2C(CH
3)
2−、−CH
2C(CH
3)
2CH
2−、または−C(CH
3)
2CH
2C(CH
3)
2−であり、かつY
13およびY
14は互いに独立して水素またはC
1〜C
10アルキル基である。
【0099】
式(X)の化合物の例は、請求項23に示された化合物(C−1)〜(C−5)および式
【化72】
の化合物である。
【0100】
本発明の文脈では、ハロゲン、C
1〜C
25アルキル(C
1〜C
18アルキル)、C
2〜C
25アルケニル(C
2〜C
18アルケニル)、C
2〜25アルキニル(C
2〜18アルキニル)、脂肪族基、脂肪族炭化水素基、アルキレン、アルケニレン、脂環式炭化水素基、シクロアルキル、シクロアルケニル基、C
1〜C
25アルコキシ(C
1〜C
18アルコキシ)、C
1〜C
18パーフルオロアルキル、カルバモイル基、C
6〜C
24アリール(C
6〜C
18アリール)、C
7〜C
25アラルキルおよびヘテロアリールとの用語は、特に記載のない限り、それぞれ以下のように定義されている:
【0101】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素、特にフッ素である。
【0102】
C
1〜C
25アルキル(C
1〜C
18アルキル)は、典型的には、可能であれば直鎖状または分枝鎖状である。例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンイコシル、ドコシル、テトラコシルまたはペンタコシルである。C
1〜C
8アルキルは、典型的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチル−プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−エチルヘキシルである。C
1〜C
4アルキルは、典型的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0103】
ハロゲン化C
1〜C
25アルキル(C
1〜C
25ハロアルキル)は、水素原子の一部または全部がハロゲン原子、例えばCF
3で置換されたC
1〜C
25アルキル基である。
【0104】
C
2〜C
25アルケニル(C
2〜C
18アルケニル)基は、直鎖状または分枝鎖状のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−ブタ−2−エニル、n−オクタ−2−エニル、n−ドデカ−エニル、イソドデセニル、n−ドデカ−2−エニルまたはn−オクタデカ−4−エニルである。
【0105】
C
2〜25アルキニル(C
2〜C
18アルキニル)は、直鎖状または分枝鎖状の、好ましくは非置換または置換され得るC
2〜8アルキニル、例えばエチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イルまたは1−テトラコシン−24−イルである。
【0106】
C
1〜25アルカノイル(C
2〜18アルカノイル)は、基R
w−(C=O)−を指し、ここでR
wはC
1〜25アルキル(C
1〜18アルキル)である。それらの具体例としては、アセチル基、n−プロパノイル基、イソプロパノイル基、n−ブチロイル基、およびtert−ブチロイル基が挙げられる。
【0107】
アルキレンは、2価のアルキル、すなわち(1価の代わりに)2価の自由原子価を有するアルキル、例えばトリメチレンまたはテトラメチレンである。
【0108】
アルケニレンは、2価のアルケニル、すなわち(1価の代わりに)2価の自由原子価を有するアルケニル、例えば−CH
2−CH=CH−CH
2−である。
【0109】
シクロアルキル−アルキル基は、シクロアルキル基で置換されたアルキル基、例えばシクロヘキシル−メチルである。
【0110】
互いに隣接する2つの基R
22〜R
26が一緒になって8個までの炭素原子を有し、それによって環を形成するアルキレンまたはアルケニレンを表す式IVの基は、例えば、式
【化73】
の基であり、ここで式XXXIIの基においてR
23およびR
24は一緒に1,4−ブチレンを表し、式XXXIIIの基においてR
23およびR
24は一緒に1,4−ブタ−2−エン−イルエンを表す。
【0111】
C
1〜C
25アルコキシ基(C
1〜C
18アルコキシ基)は、直鎖状または分枝鎖状のアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシまたはtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシおよびオクタデシルオキシである。C
1〜C
8アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシおよび2−エチルヘキソキシ、好ましくはC
1〜C
4アルコキシ、例えば、典型的にはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシである。「C
1〜C
25アルキルチオ基」との用語は、エーテル結合の酸素原子が硫黄原子によって置き換えられていることを除いて、アルコキシ基と同じ基を意味する。
【0112】
C
1〜C
18パーフルオロアルキル、特にC
1〜C
4パーフルオロアルキルは、例えば−CF
3、−CF
2CF
3、−CF
2CF
2CF
3、−CF(CF
3)
2、−(CF
2)
3CF
3および−C(CF
3)
3などの分枝鎖状または非分枝鎖状の基である。
【0113】
C
3〜C
12シクロアルキルまたはC
4〜C
12シクロアルキル基は、典型的にはC
5〜C
12シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルであり、これらは非置換または置換されていてよい。シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基は、C
1〜C
4−アルキル、ハロゲンおよびシアノで1〜3回置換され得るフェニルによって1回または2回縮合され得る。このような縮合シクロヘキシル基の例は、
【化74】
特に、
【化75】
であり、ここでR
151、R
152、R
153、R
154、R
155およびR
156は、互いに独立してC
1〜C
8−アルキル、C
1〜C
8−アルコキシ、ハロゲンおよびシアノ、特に水素である。
【0114】
C
6〜C
24アリール(C
6〜C
18アリール)は、典型的には、フェニル、インデニル、アズレニル、ナフチル、ビフェニル、as−インダセニル、s−インダセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、クリセニル、ナフタセン、ピセニル、ペリレニル、ペンタフェニル、ヘキサセニル、ピレニル、またはアントラセニル、好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、9−フェナントリル、2または9−フルオレニル、3または4−ビフェニルであり、これらは非置換または置換されていてよい。C
6〜C
12アリールの例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、3または4−ビフェニル、2または9−フルオレニルまたは9−フェナントリルであり、これらは非置換または置換されていてよい。
【0115】
C
7〜C
25アラルキルは、典型的にはベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシル、ω−フェニル−オクタデシル、ω−フェニル−エイコシルまたはω−フェニル−ドコシル、好ましくはC
7〜C
18アラルキル、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシルまたはω−フェニル−オクタデシル、特に好ましくはC
7〜C
12アラルキル、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチルまたはω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチルであり、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基の両方が非置換または置換されていてよい。好ましい例は、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、ナフチルエチル、ナフチルメチル、およびクミルである。
【0116】
ヘテロアリールは、典型的にはC
2〜C
20ヘテロアリール、すなわち、5〜7個の環原子を有する環または縮合環系であり、ここで、窒素、酸素または硫黄は可能なヘテロ原子であり、典型的には少なくとも6個の共役π電子を有する5個〜30個の原子を有する不飽和の複素環式基、例えば、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ジベンゾ[b,d]チエニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、チエノチエニル、フラザニルまたはフェノキサジニルであり、これらは非置換または置換され得る。
【0117】
上記基の可能な置換基は、C
1〜C
8アルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C
1〜C
8アルコキシ、C
1〜C
8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C
1〜C
8アルキル、シアノ基、カルバモイル基、ニトロ基またはシリル基、特にC
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8アルコキシ、C
1〜C
8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C
1〜C
8アルキルまたはシアノ基である。
【0118】
1つ以上のOによって中断されたC
1〜C
25アルキルは、例えば、(CH
2CH
2O)
1−9−R
xであり、ここでR
xはHまたはC
1〜C
10アルキル、CH
2−CH(OR
y’)−CH
2−O−R
yであり、ここでR
yはC
1〜C
18アルキルであり、R
y’はR
yと同じ定義を包含するか、またはHである。
【0119】
1つ以上のSによって中断されたC
1〜C
25アルキルは、例えば、(CH
2CH
2S)
1−9−R
xであり、ここでR
xはHまたはC
1〜C
10アルキル、CH
2−CH(SR
y’)−CH
2−S−R
yであり、ここでR
yはC
1〜C
18アルキルであり、R
y’はR
yと同じ定義を包含するか、またはHである。
【0120】
例えばT
3などの置換基がある1つの基において複数回現れた場合、それぞれ異なっていてよい。
【0121】
本発明のポリマーを含有する混合物は、本発明のポリマー(典型的には5〜99.9999質量%、特に20〜85質量%)と少なくとも別の材料とを含む半導体層をもたらす。他の材料は、分子量の異なる本発明の同じポリマーのフラクション、本発明の別のポリマー、半導体ポリマー、有機小分子、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子三脚、TiO
2、ZnO等)、導電性粒子(Au、Ag等)、絶縁体材料、例えば、ゲート誘電体(PET、PS等)について記載されたものであり得るが、これらに制限されない。
【0122】
本発明のポリマーは、本発明による式(I)の化合物、または例えば国際公開第2009/047104号、国際公開第2010/108873号、国際公開第09/047104号、米国特許第6,690,029号明細書、国際公開第2007/082584号および国際公開第2008/107089号に記載されている小分子とブレンドされ得る。
【0123】
このポリマーは、小分子、または2種以上の小分子化合物の混合物を含有し得る。
【0124】
したがって、本発明はまた、本発明によるポリマーを含む有機半導体材料、有機半導体層または有機半導体素子に関する。
【0125】
本発明のポリマーは、半導体デバイスの半導体層として使用され得る。したがって、本発明はまた、本発明のポリマー、または有機半導体材料、有機半導体層または有機半導体素子を含む半導体デバイスに関する。半導体デバイスは、特に有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタである。
【0126】
本発明のポリマーは、半導体デバイスの有機半導体層として、単独でまたは組み合わせて使用することができる。層は、例えば、蒸着(比較的低い分子量の材料の場合)や印刷技術などの有用な手段によって提供され得る。本発明の化合物は、有機溶媒に十分に可溶性であり、(例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト(ウェーブ)印刷、ドロップもしくはゾーンキャスティング、または他の既知の技術によって)溶液析出およびパターン形成され得る。
【0127】
本発明のポリマーは、複数のOTFTを含む集積回路、ならびに様々な電子製品に使用され得る。このような物品としては、例えば、無線周波数識別(RFID)タグ、フレキシブルディスプレイ用のバックプレーン(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、またはハンドヘルドデバイス用)、スマートカード、医療用具、メモリデバイス、センサー(例えば、光センサー、画像センサー、生物センサー、化学センサー、機械センサー、または温度センサー)、特にフォトダイオード、またはセキュリティデバイス等が挙げられる。
【0128】
本発明のさらなる態様は、本発明の1つ以上のポリマーを含む有機半導体材料、有機半導体層または有機半導体素子である。さらなる態様は、有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタ(OFET)における本発明のポリマーまたは材料の使用である。さらなる態様は、本発明のポリマーまたは材料を含む有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタ(OFET)である。
【0129】
本発明のポリマーは、典型的には、有機半導体として、好ましくは厚さ30ミクロン未満の薄い有機層またはフィルムの形で使用される。典型的には、本発明の半導体層は、厚さ1マイクロメートル(=1μm)以下であるが、必要であればより厚くてもよい。様々な電子デバイスの用途では、厚さ約1マイクロメートル未満の厚さであってもよい。例えば、OFETで使用する場合、層の厚さは典型的には100nm以下であり得る。層の正確な厚さは、例えば、層が使用される電子デバイスの要件によって変わるだろう。
【0130】
例えば、OFETにおけるドレインとソースとの間の活性半導体チャネルは、本発明の層を含み得る。
【0131】
本発明によるOFETデバイスは、好ましくは
− ソース電極、
− ドレイン電極、
− ゲート電極、
− 半導体層、
− 1つ以上のゲート絶縁体層、および
− 任意で、半導体層が本発明の1つ以上のポリマーを含む基材
を含む。
【0132】
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極、ならびにOFETデバイスの絶縁層および半導体層は任意の順番であっていてよいが、ただし、ソース電極およびドレイン電極は、絶縁層によってゲート電極から隔てられており、ゲート電極および半導体層は共に絶縁層に接しており、かつソース電極およびドレイン電極は共に半導体層に接していることを条件とする。
【0133】
好ましくは、OFETは、第1の面と第2の面とを有する絶縁体、前記絶縁体の第1の面に配置されたゲート電極、前記絶縁体の第2の面に配置された本発明のポリマーを含む層、ならびにポリマー層に配置されたドレイン電極およびソース電極を含む。
【0134】
OFETデバイスは、トップゲートデバイスまたはボトムゲートデバイスであり得る。
【0135】
OFETデバイスの適切な構造および製造方法は、当業者に知られており、文献、例えば国際公開第03/052841号に記載されている。
【0136】
ゲート絶縁体層は、例えばフルオロポリマー、例えば、市販のCytop 809M(登録商標)またはCytop 107M(登録商標)(旭硝子製)を含み得る。好ましくは、ゲート絶縁層は、例えば、スピンコーティング、ドクターブレーディング、ワイヤーバーコーティング、スプレーもしくはディップコーティングまたは他の公知の方法によって、絶縁体材料と、1つ以上のフルオロ原子を有する1種以上の溶媒(フルオロ溶媒)、好ましくはパーフルオロ溶媒とを含む配合物から堆積される。適切なパーフルオロ溶媒は、例えば、FC75(登録商標)(Acros社から入手可能、カタログ番号12380)である。他の適切なフルオロポリマーおよびフルオロ溶媒、例えばパーフルオロポリマーTeflon AF(登録商標)1600もしくは2400(DuPont製)、またはFluoropel(登録商標)(Cytonix製)、またはパーフルオロ溶媒FC43(登録商標)(Acros、No.12377)は、従来技術において知られている。
【0137】
本発明のポリマーを含む半導体層は、少なくとも別の材料をさらに含み得る。他の材料は、本発明の他のポリマー、半導体ポリマー、高分子バインダー、本発明のポリマーとは異なる有機小分子、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子三脚、TiO
2、ZnO等)、導電性粒子(Au、Ag等)、およびゲート誘電体(PET、PS等)について記載されたもののような絶縁体材料であり得るが、これらに制限されない。上記のように、半導電性層は、本発明の1つ以上のポリマーとポリマーバインダーとの混合物から構成されてもよい。本発明のポリマーのポリマーバインダーに対する比率は、5パーセント〜95パーセントであり得る。
【0138】
好ましくは、ポリマーバインダーは、ポリスチレン(PS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)などの半結晶性ポリマーである。この技術により、電気的性能の低下が回避され得る(国際公開第2008/001123号を参照のこと)。
【0139】
本発明のポリマーは、有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)に有利に使用される。したがって、本発明は、本発明によるポリマーを含むPVデバイスを提供する。この構造のデバイスは整流特性も有するので、フォトダイオードとも呼ばれ得る。光応答型デバイスは、光から電気を発生させる太陽電池としての用途および光を測定または検出する光検出器としての用途を有する。
【0140】
PVデバイスは、この順序で、
(a)カソード(電極)、
(b)任意で移行層、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(c)光活性層、
(d)任意で平滑化層、
(e)アノード(電極)、
(f)基材
を含む。
【0141】
光活性層は、本発明のポリマーを含む。好ましくは、光活性層は、電子供与体としての本発明の共役ポリマーと、電子受容体としての受容体材料、例えばフラーレン、特に官能化フラーレンPCBMとで作られている。上記のように、光活性層はポリマーバインダーも含有し得る。式(V)のポリマーのポリマーバインダーに対する比率は、5パーセント〜95パーセントであり得る。好ましくは、ポリマーバインダーは、半結晶性ポリマー、例えば、ポリスチレン(PS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)である。
【0142】
ヘテロ接合太陽電池の場合、活性層は、好ましくは、本発明のポリマーと、例えば[60]PCBM(=6,6−フェニル−C
61−酪酸メチルエステル)または[70]PCBMなどのフラーレンとの1:1〜1:3の質量比の混合物を含む。本発明に有用なフラーレンは、広範囲のサイズ(1分子あたりの炭素原子数)を有し得る。本明細書で使用されるフラーレンという用語は、純粋な炭素の様々なかご状分子、例えば、バックミンスターフラーレン(C
60)および関連する「球状」フラーレンならびにカーボンナノチューブを含む。フラーレンは、例えばC
20〜C
1000の範囲の従来から知られているものから選択され得る。好ましくは、フラーレンは、C
60〜C
96の範囲から選択される。最も好ましくは、フラーレンは、[60]PCBMまたは[70]PCBMなどのC
60またはC
70である。化学修飾されたフラーレンを使用することも許容されるが、ただし、修飾されたフラーレンがアクセプター型および電子移動度特性を保持することを条件とする。アクセプター材料はまた、任意の半導体ポリマー、例えば、本発明のポリマーからなる群から選択される材料であってもよいが、ただし、ポリマーがアクセプター型および電子移動度特性の有機小分子、カーボンナノチューブ、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子三脚、TiO
2、ZnO等)を保持することを条件とする。
【0143】
光活性層は、電子供与体としての本発明のポリマーと、電子受容体としてのフラーレン、特に官能化フラーレンPCBMとで作られている。これらの2成分は溶媒と混合され、溶液として、例えば、スピンコート法、ドロップキャスティング法、ラングミュア・ブロジェット(「LB」)法、インクジェット印刷法および滴下法によって平滑化層上に適用される。スキージまたは印刷法を用いて、より大きな表面をこのような光活性層で被覆することもできる。代表的なトルエンの代わりに、クロロベンゼンなどの分散剤が好ましくは溶媒として使用される。これらの方法の中でも、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット印刷法およびキャスト法が、操作性およびコストの点で特に好ましい。
【0144】
スピンコート法、キャスト法およびインクジェット印刷法を用いて層を形成する場合、適切な有機溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼンおよびこれらの混合物中に0.01〜90質量%の濃度で組成物を溶解または分散させることによって調製された溶媒および/または分散液を用いてコーティングを行うことができる。
【0145】
光起電(PV)デバイスは、太陽スペクトルの多くを吸収するために、互いに重ね合わされて処理される多重接合太陽電池から構成されてもよい。このような構造は、例えばApp. Phys. Let. 90, 143512 (2007年), Adv. Funct. Mater. 16, 1897〜1903 (2006年)および国際公開第2004/112161号に記載されている。
【0146】
いわゆる「タンデム太陽電池」は、次の順序で、
(a)カソード(電極)、
(b)任意に移行層、例えばアルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(c)光活性層、
(d)任意に平滑化層、
(e)中間電極(例えば、Au、Al、ZnO、TiO
2等)、
(f)任意にエネルギーレベルに合致させるための追加電極、
(g)任意に移行層、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(h)光活性層、
(i)任意に平滑化層、
(j)アノード(電極)、
(k)基材
を含む。
【0147】
PVデバイスは、例えば、米国特許出願公開第2007/0079867号公報および同第2006/0013549号公報に記載されているように、ファイバ上で処理することもできる。
【0148】
以下の実施例は説明のためだけに含まれており、特許請求の範囲を制限するものではない。特に記載のない限り、すべての部およびパーセンテージは質量によるものである。
【0149】
平均分子量(Mw)および多分散度(Mw/Mn=PD)を、熱温ゲル透過クロマトグラフィ(HT−GPC)[
装置:Polymer laboratories(チャーチ・ストレットン、英国; now Varian)製のGPC PL 220、屈折率(RI)からレスポンスを得る、
クロマトグラフィの条件:カラム:3Polymer Laboratories(チャーチ・ストレットン、英国)製の3“PLgel Olexis”カラム;13μmの平均粒子径(寸法300×8mmの内径)移動相:減圧蒸留で精製されかつブチルヒドロキシトルエン(BHT、200mg/l)で安定化された1,2,4−トリクロロベンゼン、クロマトグラフィの温度:150℃;移動相の流れ:1ml/分;溶質濃度:約1mg/ml;注入容積:200μl;検出:RI、
分子量較正の手順:Polymer Laboratories(チャーチ・ストレットン、英国)から得られた10個のポリスチレン較正標準のセットを使用して、1930000Da〜5050Daの分子量範囲に及んで、すなわち、PS(ポリスチレン)1930000Da、PS1460000Da、PS1075000Da、PS560000Da、PS330000Da、PS96000Da、PS52000Da、PS30300Da、PS10100Da、PS5050Daで相対較正を行う。多項式較正を使用して分子量を計算する。
【0150】
以下の実施例に示したすべてのポリマー構造は、記載した重合手順で得られたポリマー生成物の理想的な代表例である。2種以上の成分が互いに共重合する場合、ポリマー内の順序は重合条件に応じて交互またはランダムのいずれでもよい。
【実施例】
【0151】
実施例1
2−ホルミルピロールと塩化スクシニルとの縮合によるジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(1a(A−1))の合成
【化76】
【0152】
手順1
2−ホルミルピロール(1.14g、12.0ミリモル)と4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、98mg、0.80ミリモル)を25mlの無水ジクロロメタンに溶解した。混合物をアルゴン雰囲気下で撹拌し、トリエチルアミン(2.2ml、15.8ミリモル)を加えた。次に塩化スクシニル(0.44ml、4.0ミリモル)を滴加した。撹拌を室温で2時間続けた。反応混合物は多量の黒タールを含有し、これをセライトによるろ過で取り除いた。次にセライトをジクロロメタンで洗った。合わせたろ液に水を加え、層を分けた。水層をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を水で2回洗い、Na
2SO
4で乾燥した。乾燥剤をろ別し、溶媒を蒸発させた。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ジクロロメタン:アセトン19:1)で精製し、少量の熱いクロロホルムに生成物を溶かした溶液にペンタンをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物1a(32mg、収率3.4%)が褐色の粉末として得られた。融点>280℃(分解)。
【数1】
色素1aの他に、未反応の2−ホルミルピロール(0.74g、初期量の65%)も反応混合物から分離した。
【0153】
手順2
2−ホルミルピロール(238mg、2.5ミリモル)、炭酸カリウム粉末(1.38g、10.0ミリモル)および無水DMF10mlからなる混合物を、アルゴン雰囲気下にて0℃で撹拌した。1.0mlの無水ジクロロメタンに塩化スクシニル(110μl、1.0ミリモル)を溶かした溶液を滴加した。0℃で2時間撹拌を続けた。次に反応混合物を水で希釈し、セライトに通し、これを水で2回洗った。次に2部のエタノールおよび3部のクロロホルムをセライトに通して、生成物を回収した。これらのろ液を合わせ、水で2回洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。乾燥剤をろ別し、溶媒を蒸発させた。生成物を、少量の熱いクロロホルムに溶かした溶液にペンタンをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物1a(15mg、収率6.4%)が褐色の粉末として得られた。生成物を、先に合成した試料と比較して特定した。
【0154】
実施例2
1,4−ジ(ピロール−1−イル)ブタン−1,4−ジオン(3)のビルスマイヤー−ハックホルミル化(Vilsmeier-Haack formylation)によるジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(1a(A−1))の合成
【化77】
【0155】
スクシンアミド(1.16g、10ミリモル)、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン(3.9ml、30ミリモル)、パラトルエンスルホン酸一水和物(190mg、1.0ミリモル)およびトルエン25mlの混合物を、ディーン・スターク装置下にて2時間還流した。反応混合物を冷却し、反応で生成した黒色の沈殿をろ別し、クロロホルムで洗った。ろ液を水で3回洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン1:2)で精製した。生成物をエタノールから再結晶させた。化合物3(632mg、収率29%)を白色粉末として得た。融点162〜164℃。
【数2】
【化78】
【0156】
アルゴン雰囲気下で、化合物3(432mg、2.0ミリモル)を10mlの無水1,2−ジクロロエタンに溶かした溶液に、DMF(390μl、5.0ミリモル)を加えた。次に、オキシ塩化リン(V)(480μl、5.2ミリモル)を滴加し、混合物を2時間還流した。炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(10ml)を加えて反応を停止させた。得られた混合物を5分間撹拌し、ジクロロメタンと水で希釈した。層が分離し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を水で洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ジクロロメタン:アセトン19:1)で分離した。色素1aを、少量の熱いクロロホルムに溶かした溶液にペンタンをゆっくりと加えて再結晶させた。生成物を褐色粉末(39mg、収率8.3%)として得て、先に合成した試料との比較により同定した。化合物1aの他に、2−ホルミルピロール(127mg、収率33%)も得られた。
【0157】
実施例3
化合物3(A−2)の酢酸によるアシル化
【化79】
【0158】
化合物3(216mg、1.0ミリモル)をアルゴン雰囲気下で4.5mlの無水ジクロロメタンに溶解し、この溶液を0℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物(3.0ml、22ミリモル)および酢酸(460μl、8.0ミリモル)を添加し、得られた混合物を0℃で10分間、次いで室温で4時間撹拌した。次に反応混合物を、NaHCO
3飽和水溶液20mlが入ったビーカーに注ぎ、混合した(CO
2ガスが発生した)。二酸化炭素の発生がこれ以上見られなくなったら、層を分離した。水層をクロロホルムで3回抽出し、合わせた有機層を水で洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。得られた混合物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン1:2→純ジクロロメタン)を用いて分離して、2種の粗生成物、化合物4および1bを得て、少量のクロロホルムに色素を溶かした高温溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。
【0159】
6,12−ジメチル−3−トリフルオロアセチルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(4);化合物4(34mg、収率9.4%)が暗褐色の粉末として得られた。融点>180℃(分解)。
【数3】
【0160】
6,12−ジメチルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(1b);化合物1b(33mg、収率12%)を暗褐色の粉末として得た。融点>280℃(分解)。
【数4】
【0161】
実施例4−1
6,12−二置換DPND誘導体(1b−1e)の調製の一般的な手順
化合物3(108mg、0.50ミリモル)をアルゴン雰囲気下で3.0mlの無水ジクロロメタンに溶解し、溶液を0℃に冷却した。続いて、カルボン酸(3.0ミリモル)、トリフルオロ酢酸無水物(830μl、6.0ミリモル)およびトリフルオロ酢酸(230μl、3.0ミリモル)を反応フラスコにゆっくり加えた。得られた混合物を室温で一定時間撹拌した。次に反応混合物を、激しく撹拌されたNaHCO
3飽和水溶液20mlが入ったビーカーにゆっくりと注いだ(CO
2が発生した)。二酸化炭素の発生がこれ以上見られなくなったら、混合物をクロロホルムで希釈し、層を分離した。水層をクロロホルムで4回抽出し、合わせた有機層を水で洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。生成物をカラムクロマトグラフィで精製し、再結晶させた(詳細は下記参照)。
【化80】
【0162】
6,12−ジメチルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(1b(A−2));使用したカルボン酸:酢酸(172μl、3.0ミリモル);反応時間:5時間。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ジクロロメタン)を用いて精製し、少量のクロロホルムに色素を溶かした高温溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物1b(23mg、収率17%)を暗褐色の粉末として得て、先に合成した試料との比較により同定した。
【化81】
【0163】
6,12−ジヘプチルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(1c(A−3));使用したカルボン酸:カプリル酸(475μl、3.0ミリモル);反応時間:3時間。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン2:1→1:1)を用いて精製し、少量のジクロロメタンに色素を溶かした溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物1c(63mg、収率29%)を赤色固体として得た。融点107℃〜109℃。
【数5】
【0164】
化合物1cの合成を、同じ手順で、以下の量の試薬:化合物3(1.08g、5.00ミリモル)、カプリル酸(4.75ml、30ミリモル)、トリフルオロ酢酸無水物(8.3ml、60ミリモル)、トリフルオロ酢酸(2.30ml、30ミリモル)および溶媒としてのジクロロメタン(30ml)を用いて10倍の規模で繰り返した。室温で3.5時間反応させた後、525mgの生成物1cを得た(収率23%)。
【化82】
【0165】
6,12−ジ−sec−ブチルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(1d(A−4));使用したカルボン酸:2−メチル酪酸(330μl、3.0ミリモル);反応時間:6時間。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン1:1)を用いて精製し、少量のジクロロメタンに色素を溶かした溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物1d(36mg、収率21%)を赤色結晶として得た。融点176℃〜178℃。
【数6】
【化83】
【0166】
6,12−ビス(4−メトキシベンジル)ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(1e(A−5));使用したカルボン酸:4−メトキシフェニル酢酸(499mg、3.0ミリモル);反応時間:6時間。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ジクロロメタン→ジクロロメタン:酢酸エチル19:1)を用いて精製し、少量のクロロホルムに色素を溶かした溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物1e(25mg、収率10.5%)を赤色結晶として得た。融点>270℃(分解)。
【数7】
【化84】
【0167】
6,12−ジエチルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(1f(A−6))
化合物3(216mg、1.0ミリモル)をアルゴン雰囲気下で6.0mlの無水ジクロロメタンに溶解し、溶液を0℃に冷却した。続いて、反応フラスコに、プロピオン酸無水物(380μl、3.0ミリモル)、トリフルオロ酢酸無水物(1.10ml、7.9ミリモル)およびトリフルオロ酢酸(920μl、12.0ミリモル)をゆっくりと加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。次に反応混合物を、激しく撹拌されたNaHCO
3飽和水溶液20mlが入ったビーカーにゆっくりと注いだ(CO
2が発生した)。二酸化炭素の発生がこれ以上見られなくなったら、混合物をクロロホルムで希釈し、層を分離した。水層をクロロホルムで4回抽出し、合わせた有機層を水で洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、トルエン)で精製し、少量のジクロロメタンに生成物を溶かした溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物1f(67mg、収率23%)が暗赤色結晶として得られた。融点226℃〜229℃。
【数8】
【0168】
様々な6,12−二置換DPND誘導体の合成
[a]
【表3】
【0169】
実施例4−2
3,9−ジブロモ−6,12−ジヘプチルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(5(C−1))
【化85】
【0170】
5mlのクロロホルムに化合物1c(108mg、0.25ミリモル)を溶かした溶液を0℃(水−氷浴)で撹拌した。新しく再結晶させたN−ブロモスクシンイミド(93mg、0.52ミリモル)を加え、得られた混合物を暗所(アルミニウム箔で保護)で16時間撹拌した。この間に、氷浴中の氷が溶け、反応混合物が室温に温まった。反応混合物をクロロホルムで希釈し、水で3回洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。生成物を、カラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン3:1→2:1)を用いて精製し、少量のジクロロメタンに色素を溶かした溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物5(107mg、収率72%)が赤色固体として得られた。融点133℃〜135℃。
【数9】
【0171】
化合物5の合成を、同じ手順で、以下の量の試薬:化合物1c(433mg、1.00ミリモル)、N−ブロモスクシンイミド(374mg、2.10ミリモル)および溶媒としてのクロロホルム(15ml)を用いて4倍の規模で繰り返した。379mgの生成物5が得られた(収率64%)。
【0172】
実施例5
3,9−ジシアノ−6,12−ジヘプチルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(6(A−7))
【化86】
【0173】
化合物5(59mg、0.10ミリモル)、シアン化銅(I)(20mg、0.22ミリモル)および無水NMP2mlの混合物を、アルゴン下にて140℃で16時間、および160℃で5時間撹拌した。混合物を水で希釈し、セライトに通し、これを水で洗った。次に1部のエタノールおよび3部のクロロホルムを用いてセライトから生成物を抽出した。有機ろ液を合わせ、水で2回洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン2:3)で精製した。溶離液を蒸発させた後、16mgの生成物が得られた(収率33%)。この生成物を、少量のクロロホルムに色素を溶かした温かい溶液にメタノールをゆっくりと加えることによって再結晶させた。化合物6(11mg、収率23%)が赤色結晶として得られた。融点222℃〜225℃。
【数10】
【0174】
実施例6
化合物5(C−1)とパラ置換フェニルアセチレンとの薗頭カップリング−化合物7a〜dの合成の一般的手順
【化87】
【0175】
ブロモ誘導体5(0.10ミリモル、59mg)、ヨウ化銅(I)(1.9mg、0.010ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.8mg、0.005ミリモル)およびパラ置換フェニルアセチレン(0.30ミリモル)を、磁気撹拌棒を有するシュレンクフラスコに入れた。容器を排気し、アルゴン(3回)で再充填し、脱気した無水THF(3ml)、続いて無水トリエチルアミン(56μl、0.40ミリモル)を加えた。容器をしっかりと閉めて、再び注意深く排気し(混合物が沸騰し始めるまで)、アルゴンで(3回)再充填した。フラスコの内容物を70℃(沸点を上回る)で20時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、生成物を下記のように精製した。
【0176】
6,12−ジヘプチル−3,9−ビス((4−ニトロフェニル)エチニル)ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(7a(A−8));4−ニトロフェニルアセチレン(44mg、0.30ミリモル)から調製した。生成物を、カラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン1:1→1:2)を用いて精製し、トルエンから再結晶させた。化合物7a(56mg、収率78%)が暗紫色の粉末として得られた。融点>400℃。
【数11】
【0177】
6,12−ジヘプチル−3,9−ビス((4−(トリフルオロメチル)フェニル)エチニル)ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(7b(A−9));4−(トリフルオロメチル)フェニルアセチレン(51mg、0.30ミリモル)から調製した。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン4:1→3:7)を用いて精製し、少量のクロロホルムに色素を溶かした高温溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物7b(44mg、収率57%)が暗緑色の粉末として得られた。融点200℃〜203℃。
【数12】
【0178】
6,12−ジヘプチル−3,9−ビス((4−メトキシフェニル)エチニル)ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(7c(A−10));4−メトキシフェニルアセチレン(40mg、0.30ミリモル)から調製した。生成物を、カラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン3:2→5:4)を用いて精製し、少量のジクロロメタンに色素を溶かした溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物7c(33mg、収率48%)が暗紫色の粉末として得られた。融点185℃〜187℃。
【数13】
【0179】
3,9−ビス((4−(ジメチルアミノ)フェニル)エチニル)−6,12−ジヘプチルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(7d(A−11));4−(ジメチルアミノ)フェニルアセチレン(44mg、0.30ミリモル)から調製した。生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン:ジクロロメタン1:1→1:3)を用いて精製し、少量のジクロロメタンに色素を溶かした溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物7d(40mg、収率56%)が黒色粉末として得られた。融点235℃〜239℃。
【数14】
【0180】
実施例7
手順を変更した1,4−ジ(ピロール−1−イル)ブタン−1,4−ジオン(3)の合成
【化88】
【0181】
ピロール(0.54mL、7.74ミリモル)をTHF(20mL)に溶かした溶液にn−ブチルリチウム(2.94mL、2.7Mのヘキサン中、7.94ミリモル)を−40℃で加えた。0℃で15分間撹拌した後、溶液を再び−40℃に冷却し、塩化スクシニル(0.43mL、3.91ミリモル)を滴加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、水(10mL)でクエンチし、次いで水(150mL)に注いだ。生成物を、ベージュ色の粉末として沈殿させ、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0182】
6,12−ジノニルジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(1g(A−16))の合成
【化89】
【0183】
化合物1gを、化合物1a〜1eについて示された一般的な手順に従って、化合物3(3.00g、14ミリモル)、デカン酸(14.34g、83.0ミリモル)、トリフルオロ酢酸無水物(34.97g、166ミリモル)、トリフルオロ酢酸(9.49g、83ミリモル)、塩化メチレン90mlから製造した。反応時間:15時間。生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィを用いて精製した。化合物1gが赤色固体として得られた。
【数15】
【0184】
実施例8
化合物(1h(A−17))の合成
【化90】
【0185】
化合物1hを、化合物1a〜1eについて示された一般的な手順に従って、化合物3,4−オクチル−テトラデカン酸[1448593−51−8]、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸から製造した。反応時間:15時間。生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィを用いて精製した。
【0186】
実施例9
化合物(1i(A−18))の合成
【化91】
【0187】
化合物1iを、化合物1a〜1eについて示された一般的な手順に従って、化合物3、ドデカン酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸から製造した。反応時間:15時間。生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィを用いて精製した。
【0188】
実施例10
化合物(5a(C−6))の合成
【化92】
【0189】
化合物5aを、化合物5について示された一般的な手順に従って、化合物1iおよびNBSから製造した。生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィを用いて精製した。
【0190】
実施例11
化合物8aおよび8bの合成のための一般的な手順
化合物5a(C−6)(0.1ミリモル、72.6mg、1.0当量)、酢酸パラジウム(II)(2.2mg、0.01ミリモル、10モル%)、トリ(o−トリル)ホスフィン(6.1mg、0.02ミリモル、20モル%)を、磁気撹拌棒を有するシュレンクフラスコに入れた。容器を排気し、アルゴン(3回)で再充填し、脱気した無水DMF(6ml)、続いてアルゴン化(i−Pr)
2NEt(Huenigの塩基)(0.1mL)およびスチレン(0.4ミリモル、4.0当量)を加えた。容器をしっかりと閉めて、再び注意深く排気し、アルゴンで(3回)再充填した。フラスコの内容物を90℃で24時間撹拌した。すべての揮発分を蒸発させ、生成物を下記のように精製した。
【化93】
【0191】
3,9−ビス((E)−4−シアノスチリル)−6,12−ジウンデシル−5H,11H−ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(8a(A−19));4−シアノスチレン(51.7mg、0.4ミリモル)から調製した。生成物をカラムクロマトグラフィ(SiO
2、シクロヘキサン:ジクロロメタン1:1次に1:2)を用いて精製し、少量のクロロホルムに色素を溶かした高温溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物8a(44.7mg、収率56%)が暗褐色の結晶として得られた。
【数16】
【化94】
【0192】
3,9−ビス((E)−3−メトキシスチリル)−6,12−ジウンデシル−5H,11H−ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(8b(A−20));3−メトキシスチレン(53.7mg、0.4ミリモル、55.5μL)から調製した。生成物を、カラムクロマトグラフィ(SiO
2、シクロヘキサン:ジクロロメタン3:2)を用いて精製した。得られた画分を洗浄液が無色になるまでメタノールで洗い、十分に純粋な化合物を得た。化合物8b(41.3mg、収率51%)が暗褐色の結晶として得られた。
【数17】
【0193】
実施例12
DPNDおよびブロモアレーンの直接カップリングの一般的な手順
【化95】
【0194】
化合物1c(A−3)(0.1ミリモル、43.3mg、1.0当量)、酢酸パラジウム(II)(1.1mg、0.005ミリモル、5モル%)、PCy
3HBF
4(3.7mg、0.01ミリモル、10モル%)、ピバリン酸(3.1mg、0.03ミリモル、30モル%)、K
2CO
3(55.2mg、0.4ミリモル、4.0当量)および固体の場合にはブロモアレーン(0.25ミリモル、2.5当量)を、磁気撹拌棒を有するシュレンクフラスコに入れた。容器を排気し、アルゴン(3回)で再充填した。ブロモアレーン(0.25ミリモル、2.5当量)が液体の場合、これを次にシリンジを使用して加え、続いて脱気した無水トルエン(3mL)を加えた。容器をしっかりと閉めて、再び注意深く排気し、アルゴンで(3回)再充填した。フラスコの内容物を、120℃で典型的には24〜72時間撹拌した。指定時間後、フラスコを室温まで冷却し、ジクロロメタン(3×25mL)で3回抽出し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。すべての溶媒を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィで精製した。
【化96】
【0195】
4,4’−(6,12−ジヘプチル−5,11−ジオキソ−5H,11H−ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−3,9−ジイル)ジベンゾニトリル(9a(A−21));4−ブロモシアノベンゼン(45.5mg、0.25ミリモル)を用いて調製した。生成物をカラムクロマトグラフィ(SiO
2、n−ヘキサン:ジクロロメタン1:3)を用いて精製し、少量のクロロホルムに色素を溶かした高温溶液にメタノールをゆっくりと加えて再結晶させた。化合物(47.8mg、収率64%)が暗褐色の結晶として得られた。R
f=0.42(SiO
2、n−ヘキサン/DCM、1:3)。
【数18】
【化97】
【0196】
6,12−ジヘプチル−3,9−ビス(4−ニトロフェニル)−5H,11H−ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(9b(A−22));4−ブロモニトロベンゼン(43.3mg、0.25ミリモル)を用いて調製した。生成物をカラムクロマトグラフィ(SiO
2、シクロヘキサン:ジクロロメタン1:1)を用いて精製し、トルエンから再結晶させた。化合物(42.2mg、収率62%)が暗褐色の結晶として得られた。R
f=0.30(SiO
2、シクロヘキサン/DCM、1:1)。
【数19】
【化98】
【0197】
6,12−ジヘプチル−3,9−ビス(4−(メトキシメチル)フェニル)−5H,11H−ジピロロ[1,2−b:1’,2’−g][2,6]ナフチリジン−5,11−ジオン(9c(A−23));1−ブロモ−4−(メトキシメチル)ベンゼン(43.3mg、0.25ミリモル、36.0μL)から調製した。生成物を2つのカラムクロマトグラフィ(SiO
2、ジクロロメタン)を用いて精製した。化合物(14.8mg、収率22%)が銅光沢を有する暗褐色の結晶として得られた。R
f=0.32(SiO
2、DCM、1:1)。
【数20】
【0198】
実施例13
ポリマー(P−9)の合成
【化99】
【0199】
化合物A−16(100.0mg、0.205ミリモル)、DPP[1224430−28−7](231.5mg、0.205ミリモル)、ピバリン酸(20.1mg、0.205ミリモル)、K
2CO
3(113.1mg、0.818ミリモル)、Pd(OAc)
2(2.3mg、0.01ミリモル、5モル%)およびPCy
3・HBF
4(7.5mg、0.02モル、10モル%)をシュレンクフラスコに入れた。容器を排気し、窒素で(3回)再充填し、脱気した無水トルエンをシリンジで加えた。シュレンクフラスコを閉じ、120℃で48時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、MeOH(150mL)に注いだ。ろ過後、得られた固体を(ヘプタンおよびトルエンを連続的に用いて)ソックスレー抽出に供した。トルエン画分から溶媒を除去して青色のポリマーを得た。粗ポリマーのHT−GPC:M
n=29446Da;M
w=77720Da;PD=2.64。ポリマーのUV−Visスペクトルをトルエンで記録し、866nmにλ
maxを有するNIRにおいて強い吸収を示した。
【0200】
実施例14
ポリマー(P−10)の合成
【化100】
【0201】
ポリマーP10を、ポリマーP9について示された手順に従って、化合物A−16およびDPP[1801150−23−1]から製造した。M
n=19717Da;M
w=58259Da;PD=2.96。
【0202】
実施例15
ポリマー(P−11)の合成
【化101】
【0203】
ポリマーP11を、ポリマーP9について示された手順に従って、化合物A−16および化合物10から製造した。M
n=7265Da;M
w=15068Da;PD=2.07。
【0204】
実施例16
ポリマー(P−12)の合成
【化102】
【0205】
ポリマーP12を、ポリマーP9について示された手順に従って、化合物A−16および化合物11から製造した。M
n=8577Da;M
w=21864Da;PD=2.55。
【0206】
適用例A1
ポリマーP9に基づく有機電界効果トランジスタ(OFET)の製造および電気的特性
バック(ボトム)コンタクト、トップゲートFETの製造
化合物(ポリマー)をクロロベンゼン中に0.75質量%の濃度で溶解し、続いてFETのソースコンタクトおよびドレインコンタクトとして機能する、リソグラフィーで予めパターン化された金コンタクトを有するPET基材上にスピンコート(1200rpm、15秒)する。コーティングが完了したら、直ちに各基材を予熱したホットプレート上に移し、90℃で30秒間加熱する。次に、Cytop CTL−809 Mからなるゲート誘電体層を有機半導体(1200rpm、30秒)上にスピンコートする。スピンコート後、基材を再びホットプレートに移し、90℃でさらに30分間アニールする。誘電体層の厚さは、プロフィルメーターで測定して620nmである。最後に70nm厚のシャドウマスクパターン化された銀ゲート電極を真空蒸着により堆積させ、BCTG(ボトムコンタクト−トップゲート)構成のFETを完成させる。
【0207】
電気的特性
移動度μを、飽和領域の伝達特性曲線(灰色の実線の曲線)のルート表示から計算する。勾配mを、
図1の黒色の破線から決定する。
図1の黒色の破線は、ルートで表される直線の勾配との良好な相関が得られるように、ドレイン電流IDの平方根で表される領域に適合されている。閾値電圧U
Thは、
図1の黒い破線とX軸部分(V
GS)との交点から取ることができる。
【0208】
OFETの電気的特性を計算するために、以下の式を使用する:
【数21】
ここでε
0は8.85×10
−12As/Vmの真空誘電率である。Cytopについてε
r=2.1であり、dは誘電体の厚さである。長さに対する幅の比W/Lは25である。
【0209】
次の移動度、閾値電圧およびオン/オフ比を27個のTFTの平均からそれぞれのポリマーについて計算した:
【表4】