特許第6835862号(P6835862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6835862外科手術装置マルチソケット、電気外科手術高周波発生器、電気外科手術装置プラグおよび電気外科手術システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6835862
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】外科手術装置マルチソケット、電気外科手術高周波発生器、電気外科手術装置プラグおよび電気外科手術システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20210215BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-543134(P2018-543134)
(86)(22)【出願日】2017年2月15日
(65)【公表番号】特表2019-506239(P2019-506239A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2017053400
(87)【国際公開番号】WO2017140727
(87)【国際公開日】20170824
【審査請求日】2019年8月29日
(31)【優先権主張番号】102016102640.9
(32)【優先日】2016年2月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ホループ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ アーノルト
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−500356(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0095453(US,A1)
【文献】 特表2007−521049(JP,A)
【文献】 特表2005−521465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科手術器具(61,62,63)を接続するための、高周波発生器(50)用の外科手術装置マルチソケット(400)において、
同軸プラグ要素(240)を収容するように構成された同軸ソケット(420)と、
3ピンプラグ(220)のコンタクトピン(221,222,223)を収容するように構成された第1のコンタクト開口部(414)およびコンタクトピンを収容するように構成された第2のコンタクト開口部(416)と、
前記コンタクトピンを収容するように構成された第3のコンタクト開口部(418)であって、前記第1のコンタクト開口部の中心点と前記第2のコンタクト開口部の中心点と前記第3のコンタクト開口部の中心点とが1つの直線上に配置されている第3のコンタクト開口部(418)と、
ボビープラグ(230)を収容するように構成された第4のコンタクト開口部(422)と、
を含み、
前記同軸ソケット(420)および前記第4のコンタクト開口部(422)は、前記第2のコンタクト開口部(416)と前記第3のコンタクト開口部(418)との間に配置されており、
前記同軸ソケットおよび前記第4のコンタクト開口部は、前記同軸ソケットの中心点と前記第4のコンタクト開口部の中心点とを結んでいる線が、前記第1のコンタクト開口部(414)の中心点と、前記第2のコンタクト開口部(416)の中心点と、前記第3のコンタクト開口部(418)の中心点と、を結んでいる接続線に対して直交するように方向決めされている
外科手術装置マルチソケット(400)。
【請求項2】
前記第4のコンタクト開口部(422)と、残りのコンタクト開口部のうちの1つ、2つまたはそれ以上のコンタクト開口部と、が差込方向に対して直交する方向に方向決めされたそれぞれ1つの直径を有し、
前記残りのコンタクト開口部のうちの1つ、2つまたはそれ以上のコンタクト開口部は、
前記第1のコンタクト開口部(414)と、
前記第2のコンタクト開口部(416)と、
前記第3のコンタクト開口部(418)と、
からなるグループから選択されており、
前記第4のコンタクト開口部の直径は、前記残りのコンタクト開口部のうちの1つ、2つまたはそれ以上のコンタクト開口部の直径よりも大きく、前記第4のコンタクト開口部の直径は、6mm〜10mmの間となるように形成されている、
請求項1記載の外科手術装置マルチソケット(400)。
【請求項3】
記第1のコンタクト開口部は、前記第2のコンタクト開口部の、前記第3のコンタクト開口部とは反対の側に配置されており、
かつ/または
前記同軸ソケットと前記第4のコンタクト開口部とは、前記同軸ソケットに同軸プラグが配置されるのと、前記第4のコンタクト開口部に前記ボビープラグが配置されるのと、が時間的に同時になるように相互に離間されている、
請求項1または2記載の外科手術装置マルチソケット(400)。
【請求項4】
前記第1のコンタクト開口部および前記第2のコンタクト開口部は、相互に隣接して配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の外科手術装置マルチソケット(400)。
【請求項5】
前記第1のコンタクト開口部(20)の中心点と前記第2のコンタクト開口部(30)の中心点との間の間隔は、前記第1のコンタクト開口部(20)の中心点と前記同軸ソケット(10)の中心点との間の間隔よりも小さい、請求項1から4までのいずれか1項記載の外科手術装置マルチソケット(400)。
【請求項6】
前記第1のコンタクト開口部の中心点と前記同軸ソケットの中心点との間の間隔は、前記第2のコンタクト開口部の中心点と前記同軸ソケットの中心点との間の間隔よりも大きい、請求項1から5までのいずれか1項記載の外科手術装置マルチソケット(400)。
【請求項7】
前記第1のコンタクト開口部(20)の中心点と前記第2のコンタクト開口部(30)の中心点との間の間隔は、前記第1のコンタクト開口部(20)および/または前記第2のコンタクト開口部(30)の直径の最大で5倍である、
かつ/または
前記同軸ソケット(10)の中心点と前記第1のコンタクト開口部(20)の中心点との間の相互の間隔は、28〜29mmである、
かつ/または
前記同軸ソケット(10)の中心点と前記第2のコンタクト開口部(30)の中心点との間の相互の間隔は、21〜23mmである、
請求項1から6までのいずれか1項記載の外科手術装置マルチソケット(400)。
【請求項8】
前記同軸ソケットは、同軸プラグ要素が挿入されうる接続端部を有し、
かつ/または
前記第1のコンタクト開口部は、コンタクトピンが挿入されうる接続端部を有し、
かつ/または
前記第2のコンタクト開口部は、コンタクトピンが挿入されうる接続端部を有し、
かつ/または
少なくとも2つの接続端部は、1つの共通の平面上に位置している
請求項1から7までのいずれか1項記載の外科手術装置マルチソケット(400)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の外科手術装置マルチソケット(400)を含む電気外科手術高周波発生器(50)。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項記載の外科手術装置マルチソケット(400)に差し込むための、電気外科手術装置プラグにおいて、
同軸プラグ要素(110)と、
少なくとも1つのコンタクトピン(210)と、
を含む電気外科手術装置プラグ。
【請求項11】
請求項記載の高周波発生器(50)と、
前記高周波発生器の外科手術装置マルチソケット(400)を介して接続された、または、接続可能な電気外科手術器具と、
を含む電気外科手術システム。
【請求項12】
電気外科手術器具(64)のためのケーブル(65a)において、
前記ケーブル(65a)は、請求項10記載の電気外科手術装置プラグ(70)に接続されている、
ケーブル(65a)。
【請求項13】
請求項12記載のケーブル(65a)に接続されている、電気外科手術器具(64)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気外科手術器具を接続するための、高周波発生器用の外科手術装置マルチソケットと、電気外科手術高周波発生器と、電気外科手術装置プラグと、電気外科手術システムと、に関する。本発明はさらに、電気外科手術器具のためのケーブルと、電気外科手術器具と、に関する。
【背景技術】
【0002】
電気外科手術器具は、外科手術において、とりわけ生体組織のモノポーラ式またはバイポーラ式の切開および/または凝固のために使用される。電気外科手術器具のためのエネルギは、高周波(RF)発生器によって提供される。このような高周波発生器には、ユーザに対してそれぞれ同じ機能または異なる機能を提供する複数の異なる電気外科手術器具を接続することができる。接続された電気外科手術器具には、高周波発生器によって高周波エネルギが供給される。
【0003】
電気外科手術器具を高周波発生器に接続することができるようにするために、現在のところ使用されている高周波発生器は、一般的に、電気外科手術器具の複数の異なる種類のプラグのためにそれぞれ異なるソケットを有する。したがって実際には、高周波発生器に複数の異なるソケットが設けられていて、個々の電気外科手術器具のためのアダプタを設ける必要がないことが通常である。外科手術装置プラグシステムは、例えば独国特許出願公開第102007061483号明細書(DE 10 2007 061 483 A1)から公知である。この公知の装置プラグシステムでは、とりわけコンタクトピンのための開口部がソケットに設けられ、ソケットの機能性が、例えばコーディング開口部によって拡張される。これによって、電流の伝達に加えて例えばデータの送信も可能となる。
【0004】
電気外科手術器具を高周波発生器に接続するための既存のソケット、装置および方法は、様々な利点を提供するが、さらなる改善が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、既存のソケット、装置および方法に比べて改善されている、電気外科手術器具を接続するための、高周波発生器用の外科手術装置マルチソケットと、電気外科手術高周波発生器と、電気外科手術装置プラグと、電気外科手術システムと、を提供することである。とりわけ、本発明の課題は、使用される装置の互換性を向上させる、および/または外科手術プロセスの前、最中、および後における改善された安全性の状況を保証する、電気外科手術器具を接続するための、高周波発生器用の外科手術装置マルチソケットと、電気外科手術高周波発生器と、電気外科手術装置プラグと、電気外科手術システムと、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、本発明の第1の態様によれば、電気外科手術器具、とりわけバイポーラアプリケータを接続するための、高周波発生器用の外科手術装置マルチソケットにおいて、同軸プラグ要素を収容するように構成された同軸ソケットと、コンタクトピンを収容するように構成された第1のコンタクト開口部、および/またはコンタクトピンを収容するように構成された第2のコンタクト開口部とを含む、外科手術装置マルチソケットによって解決される。
【0007】
本発明による外科手術装置マルチソケットは、とりわけ、実際には多数の異なる電気外科手術器具が存在し、さらに、これらの電気外科手術器具のための多数の異なるプラグが存在するという認識に基づいている。その結果、それぞれ異なるプラグを有する複数の電気外科手術器具を高周波発生器に接続することが可能となるように、複数の異なるソケットを有する高周波発生器が提供されることとなる。その結果、高周波発生器の全体的な構造寸法の小型化は、限定的にしかできなくなる。なぜなら、ソケットを提供するために高周波発生器の相当な面積を確保しなければならないからである。とりわけ、ユーザによってアクセス可能な高周波発生器の前面および側面は、限定的にしか縮小することができなくなるか、または例えばディスプレイ等のようなその他の目的のために限定的にしか使用することができなくなる。なぜなら、複数の異なるソケットの提供は、多大なスペースをとるからである。
【0008】
これらの面の縮小は、高周波発生器の互換性の制限を伴ってのみ可能であり、すなわち、利用可能なソケットの個数の減少させることによってのみ可能である。しかしながら、これによって、高周波発生器に接続することができる電気外科手術器具の個数が減少するという結果となる。とりわけ、製造業者は、一般的に自社の電気外科手術器具の特定のプラグに焦点を合わせているので、ユーザは、器具の製造業者を選択する自由に関して制限される。互換性を向上させるためのさらなる選択肢は、アダプタの提供であるが、外科手術中におけるアダプタの使用は、多数の欠点と結びついており、例えば、アダプタの紛失や、特定の電気外科手術器具のための不適切なアダプタの使用、またはアダプタによるデータ伝送の制限のような欠点がある。
【0009】
同軸ソケット要素を少なくとも1つのコンタクト開口部と組み合わせることにより、外科手術装置マルチソケットは、同軸プラグの接続を可能にすると共に、コンタクト開口部と同軸ソケット要素の内側の開口部との間の間隔に対応する間隔を有する2つのコンタクトピンを有するプラグの接続も可能にする。これだけでもう、外科手術装置マルチソケットは、これまで別々だった2つのソケットを組み合わせることを可能にし、ひいては、2つの異なるプラグを1つの同じソケットに収容することを可能にする。この場合、外科手術装置マルチソケットへの複数の異なるプラグの収容は、好ましくは同時に実施されるのではなく、それぞれのプラグが必要となった場合にその都度実施され、この際、必要ないプラグは、好ましくは予め外科手術装置マルチソケットから取り外される。
【0010】
本使用例では、外科手術装置マルチソケットに挿入すべきそれぞれのプラグは、好ましくは、電気外科手術器具を高周波発生器に接続するための電気外科手術器具の構成部品である。とりわけ、外科手術装置マルチソケットは、とりわけ同軸プラグ要素を収容するように構成された同軸ソケットを有する。同軸ソケットは、とりわけ、同軸ケーブルを収容するために使用されると共に、同軸プラグ要素が配置されているケーブルの端部と同軸ソケットとの間に着脱可能な接続を確立するために使用される。
【0011】
同軸ソケットは、内側のスリーブおよび外側のスリーブを含み、これらのスリーブは、同軸上に配置されており、好ましくは相互に嵌まり込むように配置されている。内側のスリーブの外径は、好ましくは外側のスリーブの内径よりも小さい寸法を有する。外側のスリーブの内径は、好ましくは内側のスリーブの外径よりも大きい。外側のスリーブの外径は、好ましくは内側のスリーブの外径の2倍の大きさを有する。さらに、2つのスリーブのそれぞれの端面は、同軸ソケットの近位の端部において、好ましくは実質的に1つの共通の平面上に配置されている。
【0012】
内側のスリーブと外側のスリーブの間には、外側の円環形の同軸ソケット開口部が形成されている。内側のスリーブの内部には、内側の同軸ソケット開口部が形成されている。
【0013】
同軸ソケットは、とりわけ同軸プラグ要素を収容するように構成されており、同軸プラグ要素は、内側のコンタクトピンと、外側のコンタクトリングと、を有する。外側のコンタクトリングは、内側のコンタクトピンが中に配置されている内側の切欠部を有する。したがって、外側のコンタクトリングは、その軸方向の延びに沿って完全にまたは部分的にスリーブの幾何形状を有する。したがって、個々の寸法が正しく選択されている場合には、内側のコンタクトピンを内側の同軸ソケット開口部に挿入し、外側のコンタクトリングを外側の円環形の同軸ソケット開口部に挿入することによって、同軸ソケットと同軸プラグ要素との間の同軸の差込接続が可能となる。このようにして得られた同軸の差込接続は、電磁影響および電磁放射が非常にわずかであるという利点と、電気的な遮蔽が良好であるという利点と、を有する。さらに、コンタクトピンを同軸ソケットの内側の同軸ソケット開口部に挿入することによって、同軸ソケットをコンタクト開口部として利用する選択肢が存在する。
【0014】
外科手術装置マルチソケットはさらに、それぞれコンタクトピンを収容するように構成された第1のコンタクト開口部および/または第2のコンタクト開口部を有する。この場合、第1および/または第2のコンタクト開口部は、好ましくは円形の断面を有する。あるいは、第1および/または第2のコンタクト開口部は、好ましくは楕円形または角形の断面を有し、その場合には、対応するコンタクトピンも同様にこのような幾何形状を有する。
【0015】
第1および/または第2のコンタクト開口部は、コンタクトピンが挿入されうる接続端部を有する。この接続端部において第1および/または第2のコンタクト開口部は、規定された直径を有する。
【0016】
本発明によれば、同軸ソケットと、第1および/または第2のコンタクト開口部とは、ただ1つの外科手術装置マルチソケットに配置されている。この配置構成により、マルチソケットに複数の異なるプラグを接続することが可能となる。プラグは、例えばコンタクトピンおよび/またはコンタクトリングのようなコンタクト要素の個数および/または種類および/または相互間隔に関して異なっていてもよい。例えば、プラグは、同軸プラグ要素のためのコンタクト要素に関して異なっていてもよい。さらに、プラグが、第1および/または第2のコンタクト開口部に挿入されるように構成されたコンタクトピンに関して、例えば直径および/または幾何形状に関して異なっている選択肢が存在する。
【0017】
本発明による外科手術装置マルチソケットでは、同軸ソケットは、2つの異なる機能を有する。一方は、同軸プラグ要素を収容するという同軸ソケットの機能である。他方は、内側のスリーブによって形成される内側の同軸ソケット開口部に、通常のコンタクトピンを収容するという同軸ソケットの役割である。したがって、一方のコンタクトピンが内側の同軸ソケット開口部に嵌合するように、かつ他方のコンタクトピンがコンタクト開口部のうちの1つに嵌合するように、2つのコンタクトピンを有するプラグを外科手術装置マルチソケットに挿入することができる選択肢が存在する。このようにして同軸ソケットを二重に利用することにより、外科手術装置マルチソケットにおける所要のコンタクト開口部の総数を減らすことができ、面積利用率および互換性を最適化することができる。
【0018】
さらに有利には、本発明による(1つまたは複数の)コンタクト開口部と、同軸ソケットとの配置構成では、不適切に接続された電気外科手術器具による危険性を低減することができることが判明した。その理由は、とりわけ、本発明による外科手術装置マルチソケットには、ただ1つの電気外科手術器具しか接続できないようになっているからである。したがって、人員および/または患者を危険にさらすおそれのある、互換性がない可能性のある複数の装置の意図しない同時接続を排除することができる。したがって、器具を交換する際にも、他方の器具が高周波発生器から安全に取り外された場合にのみ、ようやく新しい器具を動作させることが可能となることが保証され、このことも、人員および患者のための安全性を向上させる。外科手術装置マルチソケットを有する高周波発生器では、互換性がない可能性のある他の装置が接続されていないことを確認するための追加的な確認ステップを省略することができ、これによって治療時間を短縮することができる。
【0019】
さらに、外科手術装置マルチソケットの中または表面に、本発明に基づいて同軸ソケットと、第1および/または第2のコンタクト開口部とを配置することによって、多数の異なる電気外科手術器具を接続する可能性が得られることがさらなる利点として判明した。これによって、ユーザは、市場にある複数の電気外科手術器具の中から選択することが可能になる。外科手術装置マルチソケットの好ましい実施形態では、前記外科手術装置マルチソケットは、位置決めピンを収容するように構成された位置決め開口部を含む。好ましくは、位置決め開口部は、一般的に、電気的な機能または一次的な電気的な機能を提供するのではなく、とりわけ外科手術装置マルチソケットにおける所望の位置にプラグを安全かつ正確に位置決めするために使用される。とりわけ、位置決めピンがない場合にソケットに2つ以上の位置決め選択肢が許容されうるプラグの場合には、外科手術装置マルチソケットにおけるプラグの一義的な位置決めを達成するために、位置決めピンと、対応する位置決め開口部とが有利である。
【0020】
位置決め開口部の断面は、軸方向の延びに沿って、好ましくは実質的に円形である。さらに、位置決め開口部が楕円形または角形の断面を有する選択肢が存在し、とりわけ、長方形および/または四角形の断面が好ましい。
【0021】
長手方向の中心軸線に対して直交するこの断面の寸法、例えば円形の開口部の場合には直径、または角形の幾何形状の場合には縁部の寸法は、好ましくは、位置決め開口部の軸方向の延びに沿って一定である。しかしながら、これらの寸法を、例えば外科手術装置マルチソケットの内部に向かって減少するように、位置決め開口部の軸方向の延びに沿って変化させることも可能である。このような構成によって、位置決め開口部の位置決め機能をさらに改善する選択肢が存在する。
【0022】
位置決め開口部を設けると共に、対応する位置決めピンをプラグに設けることによって、電気的なコンタクト部における摩耗、この場合には同軸ソケットと、第1および/または第2のコンタクト開口部とにおける摩耗を低減することができる。
【0023】
外科手術装置マルチソケットの好ましい実施形態によれば、前記同軸ソケット、前記第1のコンタクト開口部、および前記第2のコンタクト開口部は、前記同軸ソケットの中心点と、前記第1のコンタクト開口部の中心点と、前記第2のコンタクト開口部の中心点とを1つの直線が結びつけるように配置されている。したがって、この実施形態では、同軸ソケットと、1つまたは複数のコンタクト開口部とが一列に配置されている。同軸ソケットの中心点と、第1のコンタクト開口部の中心点と、第2のコンタクト開口部の中心点とを1つの線が結びつけることにより、これらの開口部が一列に配置されていることが明らかである。このような配置構成は、とりわけ、外科手術装置マルチソケットのよりコンパクトな構造を可能にし、ひいては高周波発生器全体のよりコンパクトな構造を可能にする。
【0024】
外科手術装置マルチソケットのさらなる好ましい実施形態では、前記位置決め開口部の中心点は、前記同軸ソケットの中心点と、前記第1のコンタクト開口部の中心点と、前記第2のコンタクト開口部の中心点と、を結んでいる1つの直線から離間されて配置されている。好ましくは、同軸ソケットの中心点と、第1のコンタクト開口部および/または第2のコンタクト開口部の中心点と、を結んでいる直線は、位置決め開口部の中心点を通って延在していない。したがって、位置決め開口部は、好ましくは外科手術装置マルチソケットの電気的に作用する接続部と一列にはなっていない。一列に配置されていないこの位置決め開口部は、これによってプラグのより安全かつ一義的な位置決めが改善されるという特別な利点を有する。
【0025】
外科手術装置マルチソケットの特に好ましい実施形態によれば、前記位置決め開口部は、前記第1のコンタクト開口部または前記第2のコンタクト開口部と前記同軸ソケットとの間に偏心されて配置されている。したがって、この実施形態では、位置決め開口部は、1つまたは複数のコンタクト開口部の中心点と、同軸ソケットの中心点と、を結んでいる直線上には位置していない。さらに、この実施形態では、位置決め開口部は、同軸ソケットと隣接するコンタクト開口部との間の中央には位置しておらず、したがって、同軸ソケットとの間隔は、最も近いコンタクト開口部との間隔よりも大きい寸法または小さい寸法を有する。したがって、同軸ソケットの中心点と、第1のコンタクト開口部および/または第2のコンタクト開口部の中心点と、を結んでいる直線に対して直交する方向に、外科手術装置マルチソケットが非常に小さい寸法を有する選択肢が存在し、これによって、総所要面積が低減されており、高周波発生器の構造に肯定的な影響を与えることができる。さらに、この実施形態は、コンパクトなプラグの利点を提供する。
【0026】
外科手術装置マルチソケットのさらなる好ましい実施形態によれば、前記第1のコンタクト開口部および前記第2のコンタクト開口部は、相互に隣接して配置されている。したがって、第1のコンタクト開口部および第2のコンタクト開口部は、第1のコンタクト開口部と第2のコンタクト開口部との間に、外科手術装置マルチソケットの別の開口部または他の関連する構成部品が配置されないように配置されている。とりわけ、この実施形態は、第1のコンタクト開口部の中心軸線と、第2のコンタクト開口部の中心軸線と、を結んでいる接続線上に、同軸ソケットも、場合によっては位置決め開口部も配置されていないことを含意する。それにもかかわらず、これらのコンタクト開口部が相互に隣り合って配置されていることにより、好ましくは両方のコンタクト開口部が、これらのコンタクト開口部の周壁同士が重なり合うこと、または交差することがないように引き続き組み込まれた状態のまま維持される結果となる。
【0027】
外科手術装置マルチソケットのさらなる好ましい実施形態によれば、前記第1のコンタクト開口部の中心軸線と、前記第2のコンタクト開口部の中心軸線との間の間隔は、前記第1のコンタクト開口部の中心点と、前記同軸ソケットの中心軸線との間の間隔よりも何倍も小さく、かつ/または前記第2のコンタクト開口部の中心軸線と、前記同軸ソケットの中心軸線との間の間隔よりも何倍も小さく、かつ/または前記位置決め開口部の中心軸線と、前記同軸ソケットの中心軸線との間の間隔よりも何倍も小さく、好ましくは、前記第1のコンタクト開口部の中心軸線と、前記同軸ソケットの中心軸線との間の間隔は、前記第2のコンタクト開口部の中心軸線と、前記同軸ソケットの中心軸線との間の間隔よりも大きく、さらに好ましくは、前記第2のコンタクト開口部の中心軸線と、前記同軸ソケットの中心軸線との間の間隔は、前記位置決め開口部の中心軸線と、前記同軸ソケットの中心軸線との間の間隔よりも大きい。
【0028】
この配置構成によって、同軸ソケットが配置されている領域と、コンタクト開口部が配置されている第2の領域とが存在する結果となる。両方の領域は、比較的小さい延びを有するが、その一方で、これらの2つの領域の相互の間隔は、これらの領域の延びと比較して大きくなっている。さらに好ましくは、この配置構成によって、位置決め開口部が、第1および/または第2のコンタクト開口部の領域またはその近傍に配置されており、同軸ソケットから格段により離れて離間されている結果となる。好ましくは、第1のコンタクト開口部と同軸ソケットとの間の間隔は、外科手術装置マルチソケットにおける2つの開口部の間で最大の間隔を有する。さらに好ましくは、この実施形態では、位置決め開口部がコンタクト開口部のうちの1つと同軸ソケットとの間に配置されている。さらに好ましくは、位置決め開口部を、同軸ソケットが配置されている領域と、コンタクト開口部が配置されている領域との間に配置することができる。
【0029】
同軸ソケットとコンタクト開口部とのこのような配置構成は、とりわけ、これによって市場で入手可能な複数の異なるプラグを外科手術用マルチソケットに接続する可能性がもたらされるという点で有利である。とりわけ、第1の間隔を有する2つのコンタクトピンを有するプラグを使用し、さらに、例えば第1の間隔よりも小さい寸法を有する第2の間隔を相互に有する2つのコンタクトピンを有する別のプラグを使用することが可能となる。さらに、外科手術装置マルチソケットの位置決め開口部に挿入することができる位置決めピンを追加的に有し、これによって外科手術装置マルチソケットへのプラグの正しい位置決めを保証している上述した構造のプラグを使用する選択肢が存在する。
【0030】
外科手術装置マルチソケットのさらなる実施形態では、前記第1のコンタクト開口部の中心軸線と、前記第2のコンタクト開口部の中心軸線との間の間隔は、前記第1のコンタクト開口部および/または前記第2のコンタクト開口部の直径の最大で10倍である。特に好ましくは、直径の最大7.5倍の間隔であり、さらに、直径の最大5倍の間隔も同様に好ましい。さらなる特に好ましい実施形態では、2つのコンタクト開口部の間の間隔は、第1および/または第2のコンタクト開口部の直径の最大2倍である。
【0031】
さらなる好ましい実施形態では、コンタクト開口部同士の間の間隔は、6〜7mmの間であり、好ましくは6.58mmである。
【0032】
外科手術装置マルチソケットの特に好ましい実施形態では、前記同軸ソケットの中心軸線と、前記第1のコンタクト開口部の中心軸線との間の相互の間隔は、28〜29mmであり、とりわけ28.58mmである。このような間隔は、28mm〜29mm、好ましくは28.58mmの相互の間隔を有する中心軸線を有する2つのコンタクトピンを有するプラグの使用を可能にする。このようなプラグは、電気外科手術においてしばしば使用されるので、この実施形態は、とりわけ、そのような外科手術装置マルチソケットを有する高周波発生器の互換性を向上させる。とりわけ、内側の同軸ソケット開口部と、内側の同軸ソケット開口部と第1のコンタクト開口部との間の間隔と、によって、上述したプラグの使用が可能となる。
【0033】
外科手術装置マルチソケットのさらなる好ましい実施形態によれば、前記同軸ソケットの中心軸線と、前記第2のコンタクト開口部の中心軸線との間の相互の間隔は、21〜23mmであり、とりわけ22mmである。このような同軸ソケットと第2のコンタクト開口部との間の間隔は、21〜23mm、とりわけ22mmの相互の間隔を有する2つのコンタクトピンを有するプラグの使用を可能にする。上述した間隔を有する複数のコンタクトピンを有するこのようなプラグも、電気外科手術においてしばしば使用される。
【0034】
このような同軸ソケットと第2のコンタクト開口部との配置構成、ならびに同軸ソケットと第1のコンタクト開口部との上述した配置構成は、本明細書に記載の外科手術装置マルチソケットの柔軟性を示す。同軸ソケットと、第1および第2のコンタクト開口部とのコンパクトな配置構成によって、21〜23mmのコンタクトピン間隔を有するプラグと、28〜29mmのコンタクトピン間隔を有するプラグと、同軸プラグ要素とを、このコンパクトな外科手術装置マルチソケットに接続することが可能となる。さらに、上述した配置構成では、外科手術装置マルチソケットに2つ以上のプラグを多重に収容させることが不可能となり、ひいては、外科手術装置マルチソケットに2つ以上の電気外科手術器具を接続することが不可能となることが明らかである。これによって、誤った接続、または意図しない多重の接続が不可能となるので、安全状況が格段に向上する。
【0035】
外科手術装置マルチソケットのさらなる実施形態によれば、前記同軸ソケットは、同軸プラグ要素が挿入されうる接続端部を有し、かつ/または前記第1のコンタクト開口部は、コンタクトピンが挿入されうる接続端部を有し、かつ/または前記第2のコンタクト開口部は、コンタクトピンが挿入されうる接続端部を有し、かつ/または前記位置決め開口部は、位置決めピンが挿入されうる接続端部を有し、少なくとも2つの接続端部は、1つの共通の平面上に位置している。
【0036】
とりわけ、コンタクト開口部の接続端部、および/または同軸ソケットの接続端部、および/または位置決め開口部の接続端部は、これらの接続端部に、挿入すべき要素を侵入させること、かつ/または挿入することが可能である点について理解されるべきである。1つの共通の平面上に位置しているとは、とりわけ、それぞれの接続端部における、コンタクト開口部の平行な中心軸線、および/または位置決め開口部の平行な中心軸線、および/または同軸ソケットの平行な中心軸線との直交線が、1つの2次元の幾何形状または1つの平面を形成することを意味する。この実施形態の好ましい変形例では、少なくとも3つの接続端部が1つの共通の平面上に位置しており、あるいは、好ましくは全ての接続端部が1つの共通の平面上に位置している。3つ以上の接続端部を1つの共通の平面上に配置することは、特にコンパクトな外科手術装置マルチソケットの構造を達成することができるという点で有利である。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、冒頭に記載した課題は、電気外科手術器具、とりわけモノポーラアプリケータを接続するための、高周波発生器用の外科手術装置マルチソケットにおいて、同軸プラグ要素を収容するように構成された同軸ソケットと、コンタクトピンを収容するように構成された第1のコンタクト開口部、およびコンタクトピンを収容するように構成された第2のコンタクト開口部と、コンタクトピンを収容するように構成された第3のコンタクト開口部であって、好ましくは前記第1のコンタクト開口部の中心点と、前記第2のコンタクト開口部の中心点と、前記第3のコンタクト開口部の中心点とが1つの直線上に配置されている、第3のコンタクト開口部と、第4のコンタクト開口部とを、含む外科手術装置マルチソケットによって解決される。
【0038】
とりわけ、好ましくは、第1のコンタクト開口部、第2のコンタクト開口部、および第3のコンタクト開口部は、当該第1のコンタクト開口部、当該第2のコンタクト開口部、および当該第3のコンタクト開口部を用いて、3ピンプラグのそれぞれのコンタクトピンを、当該第1のコンタクト開口部、当該第2のコンタクト開口部、および当該第3のコンタクト開口部の中に配置することによって、3ピンプラグ、とりわけ4mmのコンタクトピン直径を有する3ピンプラグを外科手術装置マルチソケットに接続可能となるように配置されている。したがって、この発展形態では、1つのコンタクトピンと同軸プラグとを有するシングルプラグ、および2つのコンタクトピンと同軸プラグとを有するダブルプラグに加えて、3つのコンタクトピンを有する3ピンプラグが接続可能であることによって、外科手術装置マルチソケットの互換性がさらに向上される。さらに、例えばメンテナンスのための特別なプラグの接続は、このメンテナンスプラグを所定のコンタクト開口部の組み合わせのために構成することによって容易になる。
【0039】
外科手術装置マルチソケットのさらなる好ましい発展形態では、前記第4のコンタクト開口部と、残りのコンタクト開口部のうちの1つ、2つ、またはそれ以上のコンタクト開口部とが、差込方向に対して直交する方向に方向決めされたそれぞれ1つの直径を有し、前記残りのコンタクト開口部のうちの1つ、2つ、またはそれ以上のコンタクト開口部は、前記第1のコンタクト開口部と、前記第2のコンタクト開口部と、前記第3のコンタクト開口部とからなるグループから選択されており、前記第4のコンタクト開口部の直径は、前記残りのコンタクト開口部のうちの1つ、2つ、またはそれ以上のコンタクト開口部の直径よりも大きく、前記第4のコンタクト開口部の直径は、好ましくは6mm〜10mmの間、とりわけ7.5mm〜8.5mmの間となるように形成されている。
【0040】
第4のコンタクト開口部は、好ましくは、とりわけ第1、第2、および第3のコンタクト開口部と比較して、配置されているコンタクト開口部のうちの最大の直径を有し、同軸ソケットは、基本的に外側の周囲おいてより大きな直径を有する。第4のコンタクト開口部の配置構成によって、互換性が特に向上する選択肢が存在する。その結果、医療関連分野では、目下のところ関連する多数のプラグを配置する選択肢が存在し、これに対して、従来技術から公知のソケットは、このような互換性を提供しない。このことによって、一方では、高周波発生器におけるソケットの総数を減らすことができ、他方ではコストを削減することができる。コストが削減される理由は、多岐にわたっている。まず始めに、場合によっては所要の総ソケット数が少なくなり、これによって製造および組立時におけるコストを削減することができる。さらに、存在しうる高周波発生器のバージョンの数が減少するので、開発分野のみならず販売においても複雑性を低減することができ、ひいてはより良好に制御可能となる。さらに、顧客は、複数のバリエーションの中から選択する必要がなくなるか、または多数の総ソケット数を有する比較的高価なバリエーションを選択する必要がなくなる。
【0041】
さらに好ましくは、第1のコンタクト開口部および/または第2のコンタクト開口部および/または第3のコンタクト開口部は、当該差込接続の分野において一般的な公差、とりわけプラス0.1mmおよびマイナス0.1mmの公差を伴った4mmの直径を有する。さらに、第4のコンタクト開口部の直径を、当該プラグ接続の分野において一般的な公差、とりわけプラス0.1mmおよびマイナス0.1mmの公差を伴った8mmとすることができる。
【0042】
外科手術装置マルチソケットの好ましい実施形態によれば、前記同軸ソケットおよび/または前記第4のコンタクト開口部は、前記第2のコンタクト開口部と前記第3のコンタクト開口部との間に配置されている。とりわけ、同軸ソケットおよび/または第4のコンタクト開口部は、第1のコンタクト開口部の中心点と、第2のコンタクト開口部の中心点と、第3のコンタクト開口部の中心点と、を結んでいる接続線の方向に関して第2のコンタクト開口部と第3のコンタクト開口部との間に配置されている。第2のコンタクト開口部と第3のコンタクト開口部との間に配置することによって、コンタクト開口部および同軸ソケットの配置するためにわずかな所要面積しか存在しないにもかかわらず、多数のプラグを配置することが可能となる。
【0043】
外科手術装置マルチソケットのさらなる好ましい発展形態では、前記同軸ソケットおよび前記第4のコンタクト開口部は、当該同軸ソケットの中心点と、当該第4のコンタクト開口部の中心点と、を結んでいる線が、前記第1のコンタクト開口部の中心点と、前記第2のコンタクト開口部の中心点と、前記第3のコンタクト開口部の中心点と、を結んでいる接続線に対して直交するように方向決めされている。動作状態において、同軸ソケットと第4のコンタクト開口部とは、好ましくはそれらの中心点に関して垂直方向に重なり合って配置されており、その場合、第1のコンタクト開口部と第2のコンタクト開口部と第3のコンタクト開口部とは、水平方向に隣り合って配置されており、したがって、それらの中心点を結んでいる接続線も水平方向に延在している。あるいは、動作状態において、同軸ソケットと第4のコンタクト開口部とは、好ましくはそれらの中心点に関して水平方向に隣り合って配置されており、その場合、第1のコンタクト開口部と第2のコンタクト開口部と第3のコンタクト開口部とは、垂直方向に重なり合って配置されており、したがって、それらの中心点を結んでいる接続線も水平方向に延在している。
【0044】
この配置構成の結果として、発生器における所要面積を小さく抑えることができ、それと共に、発生器を特にコンパクトに構成することができ、かつ/または発生器において例えばスクリーンまたは操作要素のような追加的な機能および/または機能要素のためのスペースを確保することができるという利点が得られる。このようにして、とりわけ、複数のプラグを同時に接続することが可能になるか、または少なくとも簡単になる。さらに好ましくは、第1のコンタクト開口部は、第2のコンタクト開口部の、第3のコンタクト開口部とは反対の側に配置されている。さらに、第1のコンタクト開口部が、第2のコンタクト開口部の、第3のコンタクト開口部とは反対の側に配置されていることが好ましいであろう。
【0045】
さらなる好ましい実施形態によれば、前記同軸ソケットと前記第4のコンタクト開口部とは、前記同軸ソケットに同軸プラグが配置されるのと、前記第4のコンタクト開口部にコンタクトピンが、とりわけボビープラグが配置されるのと、が時間的に同時になるように相互に離間されている。とりわけ、好ましくは、同軸ソケットの中心点と第4のコンタクト開口部の中心点とが、相互に所定の距離をおいて離間されており、この距離は、好ましくは、第4のコンタクト開口部の直径より大きく、または第4のコンタクト開口部の直径の1.5倍より大きく、または第4のコンタクト開口部の直径の2倍より大きく、または第4のコンタクト開口部の直径の2.5倍より大きく、または第4のコンタクト開口部の直径の3倍より大きく、または第4のコンタクト開口部の直径の4倍より大きい。
【0046】
さらに有利な実施形態によれば、第4のコンタクト開口部は、組み立て状態において直線状の接続線の方向に、第1のコンタクト開口部の中心点と、第2のコンタクト開口部の中心点と、第3のコンタクト開口部の中心点と、を結んでいる直線の上側に配置されている。
【0047】
さらに好ましくは、同軸ソケットは、組み立て状態において直線状の接続線の方向に、第1のコンタクト開口部の中心点と、第2のコンタクト開口部の中心点と、第3のコンタクト開口部の中心点と、を結んでいる直線の下側に配置されている。
【0048】
本発明のさらなる態様によれば、冒頭に記載した課題は、上述した実施形態の1つによる外科手術装置マルチソケットを含む、電気外科手術高周波発生器によって解決される。このような電気外科手術高周波発生器は、まず始めに、多数の異なる電気外科手術器具との互換性を有する点において優れている。
【0049】
その結果、電気外科手術高周波発生器と共に使用することができる複数の異なるプラグの多数の選択肢がもたらされる。これらのプラグは、一方では、設けられているコンタクトピン同士の間の間隔に関して異なっていてもよく、他方では、プラグが位置決めピンを有するか否かに関して異なっていてもよい。さらに、プラグは、同軸プラグ要素を有することも、または有さないこともできる。電気外科手術器具のための複数の異なるプラグに関する多数の選択肢は、結果的に、高周波発生器が複数の異なるプラグも収容するべきである、または複数の異なるプラグとの互換性を有するべきであるという、高周波発生器の要求につながる。
【0050】
本発明のさらなる態様によれば、冒頭に記載した課題は、上述した実施形態による外科手術装置マルチソケットに差し込むための、電気外科手術装置プラグにおいて、同軸プラグ要素と、少なくとも1つのコンタクトピンと、を含む、電気外科手術装置プラグによって解決される。同軸プラグ要素の中心軸線と、コンタクトピンの中心軸線とが、相互に22〜23mmだけ離間されているような電気外科手術装置プラグが特に好ましい。あるいは、同軸プラグ要素の中心軸線と、コンタクトピンの中心軸線とが、相互に28〜29mmだけ離間されていることが好ましい。
【0051】
さらに好ましくは、電気外科手術装置プラグは、位置決め開口部に挿入されるように構成および配置された位置決めピンを有する。このようなプラグは、既存のプラグ種類の種々の欠点を軽減するか、または排除することさえ可能であり、このようなプラグは、従来の解決策では使用されていなかったものである。なぜなら、電気外科手術高周波発生器における接続ソケットは、一般的に、同軸プラグ要素とコンタクトピンとを有するプラグを収容することは不可能だったからである。
【0052】
本発明のさらなる態様によれば、冒頭に記載した課題は、上述した実施形態による高周波発生器と、前記高周波発生器の外科手術装置マルチソケットを介して接続された、または接続可能な電気外科手術器具と、を含む電気外科手術システムによって解決される。このようなシステムは、コンパクトな構造に加えて、複数の異なる製造業者による複数の異なる電気外科手術器具の柔軟な使用を可能にし、ひいては、複数の異なるプラグを有する電気外科手術器具の柔軟な使用も可能にする。さらに、本発明によるシステムでは、誤った差込接続を確立することは不可能である。さらに、ユーザは、2つ以上の電気外科手術器具を同時に高周波発生器に接続することが不可能である。これによって、場合によっては、高周波発生器および/または電気外科手術システムにおける損傷を回避することができる。好ましくは、高周波発生器の外科手術装置マルチソケットに接続された、または接続可能な電気外科手術器具は、上述した電気外科手術装置プラグを有する。
【0053】
本発明のさらなる態様によれば、冒頭に記載した課題は、電気外科手術器具のためのケーブルにおいて、前記ケーブルは、本発明の上述した態様のうちの1つによる電気外科手術装置プラグに接続されていることを特徴とする、ケーブルによって解決される。ケーブルは、好ましくは、相互に絶縁された複数の個別線路からなる多芯の複合体として構成されており、これらの個別線路は、とりわけエネルギ、好ましくは電流を伝達するため、かつ/または情報またはデータを伝送するために使用される。ケーブルはさらに、流体、例えば冷却液を搬送するためのさらなる線路を含むこともできる。ケーブルは、さらに好ましくは絶縁材料によって被覆されており、それでもなお、ケーブルは、好ましくは弾性の性質を有しているので、曲げ可能である。ケーブルと電気外科手術用装置プラグとの接続は、例えば差込接続によって、とりわけユーザにとって着脱自在に構成することができるか、または着脱不能に構成することができる。
【0054】
本発明のさらなる態様によれば、冒頭に記載した課題は、上述した態様によるケーブルに接続されていることを特徴とする、電気外科手術器具によって解決される。ケーブルと電気外科手術器具との間の接続箇所における接続は、とりわけユーザにとって着脱自在に構成することができるか、または着脱不能に構成することができる。ケーブルと電気外科手術器具との間の着脱自在な接続は、ケーブルまたは器具が欠陥を有する場合に、欠陥した部品のみを交換すればよく、無傷の部品を引き続き使用することができるという利点を有する。
【0055】
着脱不能な接続とは、ユーザによって取り外されるために設けられていない接続のことであると理解される。とりわけユーザにとって着脱不能な接続も、とりわけ電気外科手術用装置の使用中における意図しない接続の分離が防止されるか、または少なくとも困難になるという利点を有し、これによって、使用中、とりわけ外科手術中における安全性が向上する。
【0056】
これらのさらなる態様、およびその可能な発展形態のさらなる利点、実施形態、および実施形態の詳細については、外科手術装置マルチソケットの対応する特徴および発展形態に関する上述した説明も参照される。
【0057】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面に基づいて例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】a〜dは、外科手術装置マルチソケットの実施例を示す図である。
図2】例示的な外科手術装置マルチソケットを有する高周波発生器を示す図である。
図3】高周波発生器と例示的な外科手術装置マルチソケットとを有する電気外科手術システムを示す図である。
図4】電気外科手術装置プラグを示す図である。
図5】2つのコンタクトピンを有するプラグを示す図である。
図6】ボビープラグのための、従来技術から公知の外科手術装置マルチソケットを示す図である。
図7】同軸プラグのための、従来技術から公知の外科手術装置マルチソケットを示す図である。
図8】a〜dは、外科手術装置マルチソケットの別の実施例を示す図である。
図9図8a〜8dに示された、3ピンプラグを有する外科手術装置マルチソケットの概略立体図である。
図10図8a〜8dに示された、ボビープラグを有する外科手術装置マルチソケットの概略立体図である。
図11図8a〜8dに示された、同軸プラグを有する外科手術装置マルチソケットの概略立体図である。
図12】従来技術から公知の3ピンプラグを示す図である。
図13】従来技術から公知の、大きなコンタクトピンを有するプラグを示す図である。
図14】従来技術から公知の同軸プラグを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1a〜1dは、外科手術装置マルチソケット1の実施例を示す。外科手術装置マルチソケット1は、第1の端部2から第2の端部3まで延在する。外科手術装置マルチソケット1は、平坦な楕円形の外側輪郭を有し、この平坦な楕円形の外側輪郭は、相互に対向する2つの平行な側縁を有すると共に、第1および第2の端部2,3において、とりわけ半円形の湾曲した幾何形状を有する。外科手術装置マルチソケット1の第1の端部2に隣接する区分には、同軸ソケット10が配置されている。
【0060】
同軸ソケット10は、同軸上に配置された2つのスリーブによって形成される。内側のスリーブ11は、外側のスリーブ13によって半径方向に実質的に取り囲まれている。さらに、内側のスリーブ11は、外側のスリーブ13の内径よりも小さい寸法を有する外径を有する。これによって、外側のスリーブ13と内側のスリーブ11との間の中間スペースと、内側のスリーブ11の幾何形状によって画定された中間スペースと、によって形成される、2つの開口部が形成される。外側のスリーブ13と内側のスリーブ11との間の中間スペースは、外側の円環形の同軸ソケット開口部14を形成し、内側のスリーブ11の内部に形成されたスペースは、内側の同軸ソケット開口部12を形成する。
【0061】
外科手術装置マルチソケット1の第2の端部3に隣接する区分には、第1のコンタクト開口部20および第2のコンタクト開口部30が配置されている。コンタクト開口部20,30は、中心軸線に対して直交する円形の断面を有し、これらの断面は、それぞれ内側の同軸ソケット開口部12と実質的に同じ直径を有する。第1のコンタクト開口部20および第2のコンタクト開口部30は、第1の端部2から第2の端部3まで延在する仮想の接続線上に配置されている。この場合、第1のコンタクト開口部20は、第2の端部3の方を向いており、第2のコンタクト開口部30は、第1の端部2または同軸ソケット10の方を向いている。第1の端部2と第2の端部3とを相互に結んでいる仮想の接続線は、概念的には、外科手術装置マルチソケット1を、垂直方向にそれぞれ同じ寸法を有する2つの水平に分離された半体に分割する。この線上には、第1のコンタクト開口部20の中心点と、第2のコンタクト開口部30の中心点と、同軸ソケット10の中心点と、が位置している。
【0062】
さらに、外科手術装置マルチソケット1は、位置決め開口部40を有する。位置決め開口部40は、中心軸線に対して直交する方向に円形の断面を有する。直径は、コンタクト開口部20,30の直径よりも小さい。位置決め開口部40はさらに、コンタクト開口部30,40の中心点と、内側の同軸ソケット10の中心点と、を結んでいる接続線上には位置しておらず、したがって、位置決め開口部40は、第1および第2のコンタクト開口部20,30ならびに同軸ソケット10と一列に位置してもいない。
【0063】
同軸ソケット10、コンタクト開口部20,30、および位置決め開口部40は、実質的に、外科手術装置マルチソケット1の平坦な表面に入り込んでいる。この場合、第1のコンタクト開口部20の接続端部22と第2のコンタクト開口部30の接続端部32とは、この平面の中へとわずかに奥まっており、したがって窪んでいる。位置決め開口部40の接続端部42と同軸ソケット10の接続端部16とは、実質的に、外科手術装置マルチソケット1の上述した平面を有する1つの平面上に位置している。
【0064】
図2は、外科手術装置マルチソケット1を有する高周波発生器50を示す。この高周波発生器50の外科手術装置マルチソケット1も、上述した同軸ソケット10と、第1のコンタクト開口部20と、第2のコンタクト開口部30と、を有する。外科手術装置マルチソケット1はさらに、位置決め開口部40を有する。
【0065】
図3は、高周波発生器50と本発明による外科手術装置マルチソケット300とを有する電気外科手術システム80を示し、外科手術装置マルチソケット300には、第1の電気外科手術器具61が接続されている。電気外科手術システム80は、別の実施形態による外科手術装置マルチソケット300を有する高周波発生器50と、第1の電気外科手術器具61と、を含む。電気外科手術器具61は、接続ケーブル65を用いて、接続ケーブル65に配置されたプラグ(図示せず)を介して、外科手術装置マルチソケット300に接続されている。外科手術装置マルチソケット300は、高周波発生器50に配置されている。さらに、第2の電気外科手術器具62および第3の電気外科手術器具63が利用可能である。電気外科手術器具62,63は、それぞれ1つのプラグ60a,60bを有し、これらのプラグ60a,60bは、好ましくはそれぞれ異なる種類のものであり、例えばコンタクトピン同士の間隔がそれぞれ異なっている。
【0066】
さらに、第4の電気外科手術器具64が示されており、第4の電気外科手術器具64は、別の接続ケーブル65aを介して電気外科手術装置プラグ70に接続されている。電気外科手術装置プラグ70は、図4により詳細に示されている。第4の電気外科手術器具64と接続ケーブル65aとの接続は、好ましくは電気外科手術器具64と接続ケーブル65aとが別個のモジュールとして設けられるように、固定的な接続として、または図示されていない差込接続として構成することができる。
【0067】
図4は、電気外科手術装置プラグ70を示す。電気外科手術装置プラグ70は、コンタクトピン210と、同軸プラグ要素110と、を含む。この場合、同軸プラグ要素110は、薄壁に形成された円形のスリーブを有する。このスリーブの内部には、コンタクトピンが同軸上に配置されており、このコンタクトピンも、円形の断面を有する。
【0068】
図5は、2つのコンタクトピン210を有するプラグを示す。図5は、電気外科手術器具62のための、または外科手術装置マルチソケットを介して電気外科手術器具62を高周波発生器50に接続するための、市販のプラグ60aを概略的に示す。プラグ60aは、ベース要素に配置された2つのコンタクトピン210を有する。コンタクトピン210は、それぞれ長手方向の延びを有し、この長手方向の延びに対して直交する方向に円形の断面が形成される。
【0069】
図5によるプラグ60aを有する電気外科手術器具は、図2の高周波発生器50に接続されるために適している。この場合、コンタクトピン210を有する2つの異なるプラグを使用する選択肢が存在する。1つには、一方のコンタクトピン210が内側の同軸ソケット開口部12に挿入され、他方のコンタクトピン210が第1のコンタクト開口部20に挿入されるようなプラグを使用する選択肢が存在する。第1のコンタクトピン210が同様にして内側の同軸ソケット開口部12に挿入されるが、第2のコンタクトピン210が外科手術装置マルチソケット1,300の第2のコンタクト開口部30に挿入されるようなプラグを使用する選択肢が存在する。
【0070】
これらのコンタクトピン210の、各開口部への上述した挿入は、好ましくは同時に実施される。なぜなら、これらのコンタクトピン210は、プラグ60aのベース本体の1つの平面上に固定的に配置されているからである。外科手術装置マルチソケット1,300が、第1および第2のコンタクト開口部を含むことによって、コンタクトピン210同士の間の間隔が異なっている複数のプラグを使用することが可能となる。さらに、同軸ソケットのために適したプラグ、例えば同軸プラグ要素110を使用する選択肢が存在する。
【0071】
さらに、これらの市販のプラグに加えて、同軸プラグ要素110と少なくとも1つのコンタクトピン210とを含む特別な電気外科手術装置プラグ70を使用することが可能である。さらに、同軸プラグ要素110と2つのコンタクトピン210とを含むプラグを使用する選択肢が存在し、この場合、2つのコンタクトピン210の間隔は、2つのコンタクト開口部20,30の間隔と同じ寸法を有していなければならない。さらに、上述した実施形態のうちの1つを含むプラグであって、追加的にさらにもう1つの位置決めピンを含み、この位置決めピンが外科手術装置マルチソケット1,300の位置決め開口部40に挿入されるようなプラグを使用する選択肢が存在する。
【0072】
とりわけコンタクトピン210の個数、同軸プラグ要素110の個数、および位置決めピン(図示せず)の個数に関してそれぞれ異なっている種々のプラグを、外科手術装置マルチソケット1,300に挿入できることによって、ユーザが高周波発生器の誤ったソケットにプラグを挿入してしまう危険性、および/または不所望にも互換性のない装置を高周波発生器に同時に接続させたり、または動作させたりする危険性がもはや存在しなくなる。このようにプラグを取り違えること、または誤ったソケットにプラグを挿入することにより、とりわけ外科手術中に装置または患者を傷つける可能性があるので、本発明による解決策によれば、外科手術中における安全性が最適化される。
【0073】
さらに、互換性のあるプラグが多数あることによって、ただ1つの外科手術用装置マルチソケットを高周波発生器50に組み込むだけでよくなり、また、従来のようにそれぞれのプラグごとに、これらのプラグのために特別に設計されたソケットを組み込む必要がなくなるという結果がもたらされる。これによって、外科手術装置マルチソケットのための所要面積がより小さくなるという結果がもたらされ、したがって、高周波発生器のよりコンパクトな構造を実現することが可能となる。さらに、ただ1つの高周波発生器において、複数の異なる製造業者による、それぞれ異なるプラグを有する複数の電気外科手術器具を使用することが可能となり、したがって、低コストにも、多数の異なる電気外科手術器具を動作させることができるただ1つの高周波発生器だけを使用すればよくなり、このためのアダプタを使用する必要もなくなる。
【0074】
図6は、ボビープラグのための、従来技術から公知の外科手術装置マルチソケットを示す。外科手術装置マルチソケット120は、第1のコンタクト開口部124と、第2のコンタクト開口部126と、第3のコンタクト開口部128と、を有する。第2のコンタクト開口部126は、第1のコンタクト開口部124に隣接して配置されており、第3のコンタクト開口部128は、第2のコンタクト開口部126に隣接して配置されており、第1のコンタクト開口部124は、第3のコンタクト開口部128に隣接して配置されていない。さらに、コンタクト開口部124,126,128は、コンタクト開口部124,126,128の各中心点が1つの直線上に配置されるように1つの直線上に配置されている。外科手術装置マルチソケット120では、複数のプラグを配置することは不可能であるか、または限定的にのみ可能である。さらに、外科手術装置マルチソケット120は、同軸プラグの接続のためには構成されていない。
【0075】
さらに、外科手術装置マルチソケット120は、差込方向に対して直交する方向に、コンタクト開口部124,126,128の直径の2倍の大きさの直径を有する大きなコンタクト開口部122を有する。さらに、大きなコンタクト開口部122は、上述した直線の方向に関して第2のコンタクト開口部126と第3のコンタクト開口部128との間に配置されている。さらに、大きなコンタクト開口部122の中心点が、この直線から離間されていることが見て取れる。外科手術装置マルチソケット120が組み付けられた状態では、大きなコンタクト開口部122の中心点は、コンタクト開口部124,126,128の各中心点の上側に配置されている。大きなコンタクト開口部122は、とりわけボビープラグの接続のために構成されている。
【0076】
図7に示されている従来技術から公知の外科手術装置マルチソケット130は、図6の外科手術装置マルチソケット120と実質的に同じ構造または配置構成を有する。外科手術装置マルチソケット130は、第1のコンタクト開口部134と、第2のコンタクト開口部136と、第3のコンタクト開口部138と、を有し、これらのコンタクト開口部134,136,138は、外科手術装置マルチソケット120のコンタクト開口部124,126,128と同様に配置されている。外科手術装置マルチソケット120の大きなコンタクト開口部122の代わりに、ここで示される外科手術装置マルチソケット130は、同軸ソケット132を有する。同軸ソケット132の中心点は、外科手術装置マルチソケット120における大きなコンタクト開口部122の中心点と実質的に同じ位置に配置されている。外科手術装置マルチソケット130の場合にも、複数のプラグを配置することは不可能であるか、または限定的にのみ可能である。さらに、外科手術装置マルチソケット130は、ボビープラグの接続のためには構成されていない。
【0077】
図8a〜8dは、本発明による外科手術装置マルチソケットの別の実施例を示す。外科手術装置マルチソケット400は、幅Bの方向に第1の端部402から第2の端部404まで延在している。さらに、外科手術装置マルチソケット400は、第1のコンタクト開口部414と、第2のコンタクト開口部416と、第3のコンタクト開口部418と、を有する。第1のコンタクト開口部414は、上述したコンタクト開口部414,416,418のうちの、第1の端部の方を向いているコンタクト開口部である。これに対して、第3のコンタクト開口部418は、第2の端部404の方に向いているコンタクト開口部である。第2のコンタクト開口部416は、幅方向に第1のコンタクト開口部414と第3のコンタクト開口部418との間の配置されている。
【0078】
コンタクト開口部414,416,418は、それぞれ差込方向に対して直交する方向に同じ直径を有し、さらにそれぞれ1つの中心点を有する。コンタクト開口部414,416,418の各中心点は、幅Bの方向に方向決めされた水平線408上に位置している。幅Bに関して、第1のコンタクト開口部414と第2のコンタクト開口部416との間の間隔は、第2のコンタクト開口部416と第3のコンタクト開口部418との間の間隔よりも格段に小さいことが見て取れる。
【0079】
外科手術装置マルチソケット400はさらに、同軸ソケット420と、第4のコンタクト開口部422と、を有する。第4のコンタクト開口部422は、差込方向に対して直交する方向に、コンタクト開口部414,416,418のそれぞれの直径の2倍の寸法を有する直径を有する。同軸ソケット420と第4のコンタクト開口部422とは、それぞれ1つの中心点を有し、同軸ソケット420の中心点と第4のコンタクト開口部422の中心点とは、1つの直線状の垂直線410上に配置されており、この垂直線は、外科手術装置マルチソケットの高さに関して平行に配置されている。さらに、同軸ソケット420の中心点と第4のコンタクト開口部422の中心点とが、幅Bに関して第2のコンタクト開口部416と第3のコンタクト開口部418との間に配置されていることが見て取れる。とりわけ、同軸ソケット420の中心点と第4のコンタクト開口部422の中心点との間の間隔は、第2のコンタクト開口部416の中心点と第3のコンタクト開口部418の中心点との間の間隔と同じである。同軸ソケット420の中心点は、高さに関して水平線408の下側に位置している。第4のコンタクト開口部422の中心点は、高さに関して水平線408の上側に位置している。
【0080】
図9図11は、それぞれ異なるプラグ220,230,240を用いた状態が示されている、外科手術装置マルチソケット400の使用を示す。図9では、第1のコンタクトピン221と、第2のコンタクトピン222と、第3のコンタクトピン223と、を有する3ピンプラグ220を収容するために、第1のコンタクト開口部414と、第2のコンタクト開口部416と、第3のコンタクト開口部418と、が使用されている。第1のコンタクトピン221と、第2のコンタクトピン222と、第3のコンタクトピン223と、を有するこの3ピンプラグ220は、図12に別の視点で示されている。
【0081】
図10には、従来技術からボビープラグとしても公知である大きなコンタクトピンを有するプラグが、どのようにして外科手術装置マルチソケット400に配置されているかが示されている。大きなコンタクトピン230を有するこのプラグも、図13に別の視点で再度示されている。図11は、外科手術装置マルチソケット400における同軸プラグの使用を示し、この状態では、同軸プラグ240は、同軸ソケット420内に配置されている。このような同軸プラグは、例えば図14に別の視点から示されている。
【0082】
外科手術装置マルチソケット400は、従来技術から公知の外科手術装置マルチソケットに比べて多数の利点を有する。外科手術装置において現在のところ使用されているソケットのプラグ選択肢は、従来公知ではない配置構成においてただ1つの新しいソケットに統合されるので、外科手術装置マルチソケット400を用いることによって、全体としてより実用的で、より安全で、より低コストの高周波発生器を提供することが可能となる。例えば、2つ以上のプラグを同時にソケットに配置することができるように、ソケットを配置することができる。これによって、2つ以上のプラグを外科手術装置マルチソケット400に接続することができる。このことから、1つの高周波発生器のためにただ1つのソケットのみ、または場合によっては必要に応じて2つのソケットのみを配置すればよくなり、したがって、ソケットの個数が低減されている。その結果、ソケットの製造自体に関して種々の利点がもたらされ、ひいては、高周波発生器の製造業者のためのコストが格段に削減される。さらに、この配置構成から、複数の接続選択肢を1つのコンパクトな面に配置することが可能となり、これによって、高周波発生器の面積全体が削減され、例えば発生器の特にコンパクトな構造が可能になる。とりわけ医療環境ではスペースが貴重であるので、これによって追加的にコストを削減することが可能となる。高周波発生器において削減されたスペースを、例えばスクリーンまたは操作要素のような別の機能要素を配置するために使用することも可能となる。さらに、このような配置構成によって、結果的に、誤った差し込みを阻止することが可能となる。その結果、外科手術中におけるミスの可能性が低減され、したがって、電気外科手術システムの使用の安全性が、外科手術装置マルチソケット400を用いることによって格段に向上する。さらに、物流上の利点および購入量の増加によって、とりわけコストの面での利点が達成される。
【符号の説明】
【0083】
1,300,400 外科手術装置マルチソケット
2 第1の端部
3 第2の端部
10 同軸ソケット
11 内側のスリーブ
12 内側の同軸ソケット開口部
13 外側のスリーブ
14 外側の同軸ソケット開口部
16 同軸ソケットの接続端部
20 第1のコンタクト開口部
22 第1のコンタクト開口部の接続端部
30 第2のコンタクト開口部
32 第2のコンタクト開口部の接続端部
40 位置決め開口部
42 位置決め開口部の接続端部
50 高周波発生器
60a,60b プラグ
61 第1の電気外科手術器具
62 第2の電気外科手術器具
63 第3の電気外科手術器具
64 第4の電気外科手術器具
65,65a 接続ケーブル
70 電気外科手術装置プラグ
80 電気外科手術システム
110 同軸プラグ要素
120 外科手術装置マルチソケット
122 大きなコンタクト開口部
124 第1のコンタクト開口部
126 第2のコンタクト開口部
128 第3のコンタクト開口部
130 外科手術装置マルチソケット
132 同軸ソケット
134 第1のコンタクト開口部
136 第2のコンタクト開口部
138 第3のコンタクト開口部
210 コンタクトピン
220 3ピンプラグ
221 第1のコンタクトピン
222 第2のコンタクトピン
223 第3のコンタクトピン
230 大きなコンタクトピンを有するプラグ
240 同軸プラグ
402 第1の端部
404 第2の端部
408 水平線
410 垂直線
414 第1のコンタクト開口部
416 第2のコンタクト開口部
418 第3のコンタクト開口部
420 同軸ソケット
422 第4のコンタクト開口部
B 幅
H 高さ
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9
図10
図11
図12
図13
図14