(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
「水平循環式駐車装置」とは、車両(例えば乗用車)を載せたパレットを、水平面内で移動させて車両の入出庫(入庫と出庫)を行う機械式駐車設備である。水平循環式駐車装置は、車両を収容する棚のある高さに向けてパレットを昇降するリフトを備える。リフトは、昇降路を昇降し、各層の棚との間でパレットを水平移動させる。かかる装置は、例えば特許文献1に開示されている。
また、「バース」とは、車両がパレットに乗降するために機械から隔離された部屋である。
【0003】
図1は、従来の一般的な水平循環式駐車装置50の動作説明図である。この図において、5は、リフト位置を示している。
図1は、符号aで示す車両1(以下、車両aと呼ぶ)を(A)(B)(C)(D)の順で、リフト位置5まで水平移動し、リフト3により地上の入出庫部52まで搬送する動作を示している。水平循環式駐車装置50の入出庫は、パレット全体をパズルのように次から次へと効率よく水平移動させることで、目的の車両aが載ったパレット53をリフト位置5まで移動させる。そのため水平循環式駐車装置50は、最大収容台数が多いほど入出庫にかかる利用者の待ち時間が長くなる傾向がある。
また、従来の水平循環式駐車装置50は、リフト3の昇降路18の真上に入出庫部52を設け、リフト3が保持するパレット53に直接車両1が自走して、車両1をパレット上に入出庫させていた。
【0004】
図2は、従来の水平循環式駐車装置50のパレット53の説明図である。
図2(A)は底面図であり、
図2(B)は
図2(A)のS部分の縦断面図である。
水平循環式駐車装置50で使用するパレット53の長手方向両端部と幅方向両端部との底面には、水平方向に扁平な角形鋼管56が幅方向に延びている。
また端部から離れた位置のパレット53の底面には、幅方向に延びるレール54と長手方向に延びるレール55が
図2(A)のように2本ずつ設けられている。これらのレール54,55の交差部には、幅方向と長手方向との間で回転可能な切換レール57が設けられている。
【0005】
図2(B)に示すように、幅方向に延びるレール54と長手方向に延びるレール55は、角形鋼管56の上に被さって、パレット53の端から端まで延びていた。
【0006】
図3は、従来の水平循環式駐車装置50の説明図である。
図3(A)は側面図、
図3(B)は平面図、
図3(C)は
図3(A)のR部分の拡大図である。この図には、地下に上下2層の格納領域を有する地下式の駐車装置を水平循環式駐車装置50の一例として記載している。
図3(B)に示すように、棚7やリフト3には、パレット53を縦横に搬送する搬送装置4が設けられている。搬送装置4は、停止したパレット53の中央付近の4点にあたる位置に設けられたローラ8でパレット53のレール54,55を下方から支持する。このローラ8がパレット53の切換レール57を載せたまま回転することで、パレット53が縦方向と横方向の間で移動方向を変更する。
【0007】
図3(A)において、リフト上で停止したパレット53は、中央付近の4点を下方からローラ8で支持されている。この4点のみが支持された状態で車両1がパレット53に乗り込もうとすると、乗り込んだ途端に車両1のタイヤがパレット53の端部を下方へ押し、パレット53が、ローラ8を支点として回転し転倒してしまう。
そのような事態を防止するため、従来の水平循環式駐車装置50の入出庫部52には、車両1がパレット53に乗り込む時にパレット53の四隅を下方から支持する爪部材51が、
図3(C)に示すように取り付けられていた。
【0008】
この爪部材51は、水平移動して出没するように設けられており、車両1の乗降時にリフト3の昇降路18へ向けて水平に突出し、又はリフト3の移動時に昇降路18から退避する。爪部材51にパレット53の四隅を載せる際には、爪部材51が退避している間に爪部材51より上方へパレット53をリフト3で持ち上げ、爪部材51を昇降路18に突出させた後にリフト3を下降させていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、最大収容台数が多い水平循環式駐車装置が求められている。
一方、機械式駐車装置の認証基準には、1つの駐車設備の最大収容台数を、入庫待ち時間と出庫待ち時間のそれぞれが認証基準で決められた時間以内となるようにすべきことが定められているため、最大収容台数は、この認定基準を満たす範囲でしか増やせない。従来の水平循環式駐車装置50より最大収容台数を増やすには、同じ最大収容台数の従来の水平循環式駐車装置50よりも入出庫時間を短くする工夫が必要であった。
【0011】
図3(A)に示すように従来の水平循環式駐車装置50は、リフト3の昇降路18の真上に入出庫部52があるので、入出庫部内に人が居る間にリフト3を動かすことができず、機械の動作と乗り込みの動作を同時進行で行うことができない。
【0012】
そこで本願の発明者は、機械(リフト等)から隔離された乗降専用の部屋(バース)をリフト3とは別に設けることによって、駐車スペースの区画と乗り込みスペースの区画を分けることを考えた。機械の動作と乗り込みの動作を同時進行で行えれば、水平循環式駐車装置の円滑性が向上し、入出庫時間を短縮することができる。しかし、そのためには、パレット53を、リフト3とバースの間で横行させる必要がある。パレット53を昇降路18の真上の入出庫部52へ搬送する場合とは異なり、このリフト3とバースとの間のパレット53の移動は、上下動しない水平移動である。
【0013】
一方、従来の水平循環式駐車装置50で使用した爪部材51は、水平移動させることによって、昇降路18に出没する。そのため、爪部材51をバースに取り付けると、爪部材51の上面がパレット53の底面に擦れたり、爪部材51が車両1の重みで撓んだパレット53の側面に当たったりする可能性があった。
【0014】
そのためバースを、リフト3に隣接させて設けるためには、車両1がパレット53に乗降する際にパレット53が転倒するのを防ぐための、爪部材51とは別の工夫が必要であった。
【0015】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、パレットに車両を搭載して移動させる水平循環式駐車装置であっても、バースを、リフトに隣接した位置に設けることができるバース付き水平循環式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、車両を載せるパレットと、
前記パレットを昇降可能なリフトと、
乗込階において、前記リフトに隣接するバースと、
前記乗込階において、前記リフトと前記バースとの間で前記パレットをその幅方向に水平移動させるパレット搬送装置と、を備え、
前記パレットは、その長手方向の両端部の下面に前記幅方向に水平に延びる横送りレールを有し、
前記横送りレールは、前記パレットの前記幅方向の全長にわたって連続する水平下面を有し、
前記パレット搬送装置は、少なくともバースに設けられ、前記幅方向に間隔を隔てて位置し、前記パレットの前記横送りレールの前記水平下面を支持する複数の支持ローラを有する、バース付き水平循環式駐車装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
上述した本発明によれば、乗込階でリフトに隣接するバースを備え、パレットの長手方向両端部の底面の全長にわたって幅方向に延びる水平下面を有し、リフトからバースまで設けられたパレット搬送装置の支持ローラで水平下面を下方から支持する。
それにより、乗込階での横行中にパレットが上下移動しなくても、乗降時のパレットの両端部を下方から支持ローラで支持できるので、乗降時のパレットの転倒を防ぐことができる。
したがって、リフトから水平方向にずれた位置にバースを設けることを実現できるので、駐車スペースの区画と乗り込みスペースの区画を分けることでバース付き水平循環式駐車装置の円滑性を向上させることができる。
【0018】
また、駐車スペースの区画と乗り込みスペースの区画が分かれているので、機械の動作と乗り込みの動作を同時進行させることができる。それにより利用者が入出庫している間にも駐車スペースの機械を作動させ続けることができるので、最大収容台数が同じ従来の水平循環式駐車装置よりも入出庫にかかる時間を短縮することができる。
したがって本発明によれば、認定基準を満たすバース付き水平循環式駐車装置の最大収容台数を、従来の水平循環式駐車装置よりも増やすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0021】
(第1実施形態)
図4は、第1実施形態のバース付き水平循環式駐車装置10の側面図(A)と格納領域の平面図(B)である。この図には、地下に上下2層の格納領域を有する地下式の駐車装置をバース付き水平循環式駐車装置10の一例として記載している。
バース付き水平循環式駐車装置10(以下、単に「駐車装置10」と呼ぶ)は、車両1を載せたパレット2を水平面内で移動させて車両1の入出庫(入庫と出庫)を行う機械式駐車設備である。
車両1は、例えば乗用車である。車両1は、小型車、中型車、大型車、ハイルーフ車、などである。
【0022】
また、この駐車装置10は、リフト3を備える。
図4(A)(B)において、リフト3の地上の乗込階11と、地下の上層及び下層との間には、鉛直に延びる昇降路18が設けられている。パレット2を載せたリフト3は、昇降路18を昇降し、棚7との間でパレット2を水平移動させる。
昇降路18に隣接して設けられた棚7は、この図の例では、上下2層を有する。上下2層の各層(各格納領域)には、この例では、リフト3がパレット2を昇降する位置以外の範囲に、それぞれ11台分の車両格納スペースを有する。
【0023】
この図において、棚7の各層には、車両1を載せたパレット2をその幅方向と長手方向に移動させる複数の搬送装置4が水平に固定されている。搬送装置4は、車両1を載せたパレット2を、その幅方向に移動する「横送り」と、その長手方向に移動する「縦送り」との両方が可能に構成されている。
搬送装置4は、車両格納スペースにそれぞれ1台ずつ設けられている。各搬送装置4は、平面視でパレット2の大きさに相当する。
【0024】
図4(B)に示すように、本実施形態の駐車装置10は、複数のパレット2を備える。上下2層の各層において、複数の搬送装置4は互いに一定の間隔を隔てて配置され、それぞれその四隅で水平に支持されている。また、各層において、少なくとも1つの搬送装置上にはパレット2が載っていない空セルとなっており、その他の搬送装置上にはパレット2が載っている。
【0025】
上述した駐車装置10の構成により、各層において少なくとも1つの搬送装置4が空セルであるので、空セルに隣接する搬送装置上のパレット2を空セル上に水平移動(横送り又は縦送り)することができる。この水平移動により空セルの位置が隣接する位置に移動する。
従ってこれを繰り返すことにより、各層のパレット2を自由に水平移動(横送り又は縦送り)することができる。
【0026】
この構成により、パレット2は、棚7の各層を、幅方向と長手方向とに水平移動する。それにより、この駐車装置10におけるパレット2の水平移動は、コンピュータ制御により最短の入出庫ルートを決定し、パズルのように次から次へと車両1を効率よく水平移動させ、最短の入出庫の待ち時間を実現するようになっている。
【0027】
図5は、本実施形態の駐車装置10のパレット2の説明図である。
図5(A)は底面図である。
本実施形態のパレット2は、その下面に、幅方向レール15、長手方向レール16、及び切換レール17と、を有する。
【0028】
幅方向レール15は、天板2aに沿って幅方向に水平に延びるレールであり、長手方向レール16は、天板2aに沿って長手方向に水平に延びるレールである。
また、切換レール17は、幅方向レール15と長手方向レール16の交差部に在り、幅方向と長手方向との間で旋回可能に構成されたレールである。
【0029】
パレット2は、その長手方向の両端部の下面に、幅方向に水平に延びる横送りレール14を有している。横送りレール14は、例えば車両1の荷重に耐えられる角形鋼管であってもよい。横送りレール14は、長手方向レール16より外側に位置するように配置されている。言い換えると、長手方向レール16は、横送りレール14よりパレット2の長手方向内側に一端を有し、その一端から長手方向中央へ向かって延びている。
【0030】
図2で説明したように、従来の水平循環式駐車装置50のパレット53は、長手方向両端部の下面がレール55で仕切られていた。そのため、パレット53を支持ローラ13aで搬送できなかった。
【0031】
本実施形態の駐車装置10は、上述した構成により、パレット2の長手方向両端部の下面に、幅方向の全長にわたって連続した水平下面14aを有することができる。そのため駐車装置10は、この水平下面14aに、パレット搬送装置13の複数の支持ローラ13aを載せてパレット2を横行し、さらに車両1の乗降時にパレット2の長手方向両端部を支持させることができる。
【0032】
図5(B)は、
図5(A)のT部分の縦断面図であり、
図5(C)は、
図5(A)のT部分の拡大図である。パレット2の長手方向両端部に位置する長手方向レール16の端部には、幅と厚みが漸減するテーパが設けられている。これにより、パレット2の長手方向端部が下方へ撓んでも、滑らかに隣のローラ8へ移ることができる。
【0033】
図5(D)は
図5(A)のU部分の拡大図であり、
図5(E)は、
図5(D)のG−G矢視図である。
これらの図に示すように、横送りレール14の両端部には、その幅と厚みが漸減するテーパ部14bが設けられている。これにより、次の支持ローラ13aに乗り移る際の騒音を軽減し、パレット2の横行移動を滑らかにすることができる。
【0034】
図6は、搬送装置4のローラ8の説明図である。
図6(A)は側面図であり、
図6(B)は平面図である。
搬送装置4は、停止したパレット2の中央付近の4点(切換レール17の下方にあたる位置)にこのローラ8を有する。このローラ8は、駆動ローラ8a、案内ローラ8b、鉛直回転軸8c、及びモータ8dを備える。
【0035】
駆動ローラ8aは、水平回転軸を中心に回転するローラであり、その側面でパレット2のレール15,16,17の底面を支持する。
案内ローラ8bは、少なくとも4つ設けられており、駆動ローラ8aの上方でレール15,16,17を側面から挟み、鉛直な回転軸を中心として回転する遊動ローラである。駆動ローラ8aと案内ローラ8bは、一体となって、鉛直に延びる鉛直回転軸8cを中心として回転可能に構成されている。これらの駆動ローラ8aと案内ローラ8bは、切換レール17の側面と底面を挟んだまま幅方向と長手方向との間で駆動ローラ8aを回転させる。また、モータ8dは、駆動ローラ8aを回転させる。
【0036】
このローラ8の構成により搬送装置4は、レール15,16,17の側面を案内ローラ8bで挟んだ状態で駆動ローラ8aにレール15,16,17を載せ、モータ8dを駆動させることで、パレット2を縦方向と横方向に移動させる。
【0037】
また、搬送装置4のローラ8が切換レール17を案内ローラ8bで挟みつつ駆動ローラ8aに載せているときに、鉛直回転軸8cを中心に回転することで、切換レール17を回転させ、パレット2の移動方向を縦送りと横送りの間で切り替えることができる。
【0038】
図7は、本実施形態の駐車装置10の乗込階11の車両1の乗降時の平面図である。
本実施形態の駐車装置10は、リフト3からパレット2の幅方向に水平にずれた位置の乗込階11に、バース12を備える。
バース12とは、リフト3等の機械から隔離された乗降専用の部屋である。この図に示すようにバース12は、乗込階11において、リフト3に隣接して設けられている。
この図に示すように車両1の乗降時には、バース12の中央にパレット2が配置され、その周囲を床19が取り囲んでいる。バース12の出入口には、自動で開閉される入口扉6aがある。車両1は、この出入口を通って、自走によって、バース12の設置位置に設置されたパレット2に乗り込む。
【0039】
バース12とリフト3との間には、自動で開閉する仕切り扉6bがある。仕切り扉6bは、バース12に人が居る間は閉じて、リフト3等の機械からバース12を隔離し、パレット2が横行する時には開いてバース12とリフト3の間でパレット2と車両1を通過させる。これにより本実施形態の駐車装置10は、車両1の乗降時に、リフト3や棚7、及び搬送装置4がある駐車スペースの区画と、バース内の乗り込みスペースの区画とを分けることができるため、駐車装置10の円滑性を向上させることができる。
【0040】
図8は、本実施形態の駐車装置10の乗込階11のパレット2の横行時の平面図である。なお、この図では、パレット2を破線で記載している。
本実施形態の駐車装置10は、パレット搬送装置13を備える。
パレット搬送装置13は、乗込階11においてリフト3とバース12との間でパレット2をその幅方向に水平移動させる装置である。パレット搬送装置13は、リフト3及びバース12の両方に設けられており、幅方向に間隔を隔てて位置する複数の支持ローラ13aを有する。この支持ローラ13aの回転軸は、パレット2の長手方向に延びている。バース12に設けられたパレット搬送装置13は、バース12の床19の下に設置されており、その支持ローラ13aは、バース12の床19からパレット2の設置位置へ向けて露出している。
【0041】
パレット搬送装置13のこの複数の支持ローラ13aは、少なくとも一部が回転駆動できるように構成されており、パレット2の横送りレール14を下方から支持しながら、パレット2をその幅方向に搬送する。
【0042】
また、バース12とリフト3との間の床は、可動床9となっており、その可動床9の下にも、パレット搬送装置13が設置されている。パレット2の横行時には可動床9が下方へ下がり、可動床9の開閉可能な開口部9aから可動床9の上への支持ローラ13aを露出させることができるようになっている。
【0043】
このように、バース12とリフト3の双方に設けられたパレット搬送装置13は、バース12からリフト3に至るまで間隔を空けて一直線に配列された支持ローラ13aを2列形成する。
【0044】
リフト3の中央と、バース12におけるパレット2の設置位置の中央には、車両1の乗降中のパレット2の切換レール17がある位置に、搬送装置4のローラ8に似た形状の中央ローラ13bが設けられている。この中央ローラ13bは、搬送装置4のローラ8とは異なり、鉛直回転軸8cが無く、中央ローラ13bの回転軸の向きがパレット2の長手方向に固定されている。これにより、棚7からバース12までの往復の間、パレット2の切換レール17の向きを幅方向レール15と同じ向きに固定することができる。
【0045】
さらにパレット搬送装置13は、パレット2を横行させる動力となるアクチュエータ13cを有する。本実施形態のアクチュエータ13cは、支持ローラ13aに設けられている。例えば
図8の例のアクチュエータ13cは、モータであるが、これに限らない。
【0046】
図9は、
図5(A)のT部分の縦断面図である。
図9(A)は、駐車スペースの棚上でパレット2が縦送りされているときの図であり、
図5(D)は、乗込階11でリフト3とバース12の間をパレット2が横行しているときの図である。
【0047】
この図に示すように、横送りレール14の水平下面14aは、幅方向レール15、長手方向レール16、及び切換レール17の下面より上方に位置するように設けられている。また水平下面14aは、搬送装置4のローラ8よりも上方に位置するようにも設けられている。
これにより、長手方向レール16と横送りレール14が近接した位置にあっても、レール14,16の高さを変えることで、長手方向レール16に沿ったパレット2の搬送と横送りレール14に沿ったパレット2の搬送を使い分けることができる。
つまり、搬送装置4は、駆動ローラ8aと案内ローラ8bでパレット2のレール15,16,17の側面と底面を挟んだまま駆動ローラ8aを回転させ、レール15,16,17を前後へ送ることでパレット2を水平移動させる。ローラ8がパレット2の長手方向端部に至ったとき、横送りレール14の水平下面14aは、案内ローラ8bの上面より上方にある。また、横送りレール14がローラ8の真上にあるときは、他のローラ8でパレット2を水平に支持しているため、横送りレール14がローラ8に接触せずにローラ8の上を通り過ぎることができる。
【0048】
一方、パレット搬送装置13の支持ローラ13aの回転軸13dは、パレット2の長手方向外側に根元を有し長手方向に延びる片持ち回転軸である。その上、支持ローラ13aの厚みは、横送りレール14の幅より小さく構成されている。そのため、支持ローラ13aと長手方向レール16を接触させずに、乗込階11でパレット2を横行させることができる。
このように、長手方向レール16の端部と横送りレール14の側面が接していても、長手方向レール16と横送りレール14を、棚間の縦送りと乗込階11での横行移動とで使い分けることができる。
【0049】
本実施形態の駐車装置10は、この構成により、リフト3とバース12の間でパレット2が水平移動しかしなくても、車両1の乗降時のパレット2の長手方向端部を下方から支持することができる。
また、アクチュエータ13cが支持ローラ13aに取り付けられているため、パレット搬送装置13がパレットの長手方向両端部の支持装置の機能とパレット2の横行装置の機能を兼ね備えることができる。
【0050】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態の駐車装置10の乗込階11のパレット2の横行時の平面図である。なお、この図でも、パレット2を破線で記載している。
本実施形態の駐車装置10は、パレット搬送装置13のアクチュエータ13cが中央ローラ13bに設けられている点で、第1実施形態とは異なる。
【0051】
本実施形態の支持ローラ13aは、車両1の乗降時にパレット2の長手方向端部を支持できればよいため、バース12のパレット2の設置位置にのみ設けられていてもよい。
【0052】
しかし、それに限らず、
図10のリフト3に設けられた支持ローラ13aのように、中央ローラ間の距離が大きく開いてしまうところ(例えば
図10の可動床9付近)のパレット2の走行を補助するために、支持ローラ13aを設けてもよい。これにより、長手方向レール16に接する中央ローラ13bが少ない場所でも、中央ローラ13bと支持ローラ13aとでパレット2を支持できるので、パレット2を安定させて搬送させることができる。
【0053】
このように、本実施形態の駐車装置10は、中央ローラ13bの回転させることによって、パレット2を横行させる。支持ローラ13aは、遊動ローラとして自由回転する。
中央ローラ13bは、支持ローラ13aほど密に配置しない。そのため、中央ローラ13bを配置する間隔が可動床9の幅より大きければ、
図10のように、中央ローラ13bを可動床9の上へ突出させる開口部9aを可動床9に設けずに済む。また、可動床9の幅が中央ローラ13bを配置する間隔より大きかった場合でも、開口部9aを設ける数を減らすことができる。
【0054】
さらに(1)中央ローラ13bの構成が搬送装置4のローラ8に似ており、(2)支持ローラ13aにアクチュエータ13cが不要で、(3)支持ローラ13aの数を減らすことができるので、第1実施形態より駐車装置10の製造費用を減らせることが期待できる。
その他の本実施形態の駐車装置10の構成と効果は、第1実施形態と同様である。
【0055】
上述した本発明によれば、乗込階11でリフト3に隣接するバース12を備え、パレット2の長手方向両端部の底面に幅方向に延びパレット2の全長にわたって連続する水平下面14aを有する。リフト3からバース12まで設けられたパレット搬送装置13の支持ローラ13aは、その水平下面14aを下方から支持する。
それにより、乗込階11での横行中にパレット2が上下移動しなくても、乗降時のパレット2の両端部を下方から支持ローラ13aで支持できるので、乗降時のパレット2の転倒を防ぐことができる。
したがって、リフト3から水平方向にずれた位置にバース12を設けることを実現できるので、駐車スペースの区画と乗り込みスペースの区画を分けることでバース付き水平循環式駐車装置10の円滑性を向上させることができる。
【0056】
また、駐車スペースの区画と乗り込みスペースの区画が分かれているので、バース付き水平循環式駐車装置10は、機械の動作と乗り込みの動作を同時進行させることができる。それにより利用者が入出庫している間にも駐車スペースの機械を作動させ続けることができるので、最大収容台数が同じ従来の水平循環式駐車装置50よりも入出庫にかかる時間を短縮することができる。
したがって、本発明によれば、認定基準を満たすバース付き水平循環式駐車装置10の最大収容台数を、従来の水平循環式駐車装置50よりも増やすことができる。
【0057】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
1 車両、2 パレット、2a 天板、3 リフト、
4 搬送装置、5 リフト位置、6a 入口扉、6b 仕切り扉、7 棚、
8 ローラ、8a 駆動ローラ、8b 案内ローラ、
8c 鉛直回転軸、8d モータ、9 可動床、9a 開口部、
10 バース付き水平循環式駐車装置、11 乗込階、12 バース、
13 パレット搬送装置、13a 支持ローラ、
13b 中央ローラ、13c アクチュエータ、
14 横送りレール、14a 水平下面、14b テーパ部、
15 幅方向レール、16 長手方向レール、17 切換レール、
18 昇降路、19 床、50 従来の水平循環式駐車装置、
51 爪部材、52 入出庫部、53 パレット、
54 幅方向に延びるレール、55 長手方向に延びるレール、
56 角形鋼管、57 切換レール