(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記共役ジエンポリマー鎖が、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、ファルネセン、及びこれらのそれぞれの置換誘導体、のうちの少なくとも1つから選択されるモノマーを含む、請求項1に記載のプロセス。
前記多官能性架橋剤(e)が、2〜100個の炭素原子を含有する脂肪族のジオール、トリオール、若しくはテトラオールから調製されるポリオール(メタ)アクリレート、2〜100個の炭素原子を含有する脂肪族のジオール、トリオール、若しくはテトラオールから調製されるポリアリル化合物、多官能性アミン、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
前記光増感剤(d)が存在し、ケトクマリン、キサントン、チオキサントン、多環芳香族炭化水素、及び芳香族ケトンから誘導されるオキシムエステルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、化学線硬化型高分子混合物、硬化高分子混合物、これらから作製されるタイヤ及びタイヤ構成要素、並びに関連するプロセスを対象とする。
【0012】
第1の実施形態では、化学線硬化型高分子混合物を開示する。この混合物は、(a)一般式[P][F]
nを有する多官能化ジエンモノマー含有ポリマーであって、Pはジエンポリマー鎖を表し、Fは官能基を表し、nは2〜約15であり、それぞれのFは同じものでも異なるものでもよい、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと、(b)任意追加的に、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤と、(c)少なくとも1つの化学線感応性光開始剤と、(d)任意追加的に、光増感剤と、(e)Fと反応する多官能性架橋剤と、を含む。
【0013】
第2の実施形態では、硬化高分子混合物を開示する。硬化高分子混合物は、架橋された多官能化ジエンポリマーを含み、この架橋された多官能化ジエンポリマーは、ジエンポリマー鎖骨格Pと、それぞれのFが同じものでも異なるものでもよい、複数の官能基Fと、官能基対間の架橋と、を含む。
【0014】
第3の実施形態では、硬化高分子製品を製造するためのプロセスを開示する。このプロセスは、化学線源と、外装支持構造と、混合液を収容できる内装タンクと、内装支持構造と、を備える付加製造デバイスを提供することと、第1の実施形態の化学線硬化型高分子混合物を含む混合液を内装タンクに供給することと、支持構造の上に混合液による層を繰り返し形成することと、化学線を使用してそれぞれの層を硬化させることと、それにより硬化高分子製品を製造することと、を含む。
【0015】
第4の実施形態では、付加プリンティングによってエラストマー硬化製品を製造するためのキットを開示する。このキットは、少なくとも2つのカートリッジを備え、少なくとも1つのカートリッジが、Pはジエンポリマー鎖を表し、Fは官能基を表し、nは2〜約15であり、それぞれのFは同じものでも異なるものでもよい、一般式[P][F]
nを有する多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤と、を含み、少なくとも第2のカートリッジが、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤と、化学線感応性光開始剤及び光増感剤の少なくとも一方と、任意追加的に、Fと反応する架橋剤と、を含む。
【0016】
第5の実施形態では、第2の実施形態による硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態の化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤを開示する。
【0017】
第6の実施形態では、第2の実施形態による硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態の化学線硬化型高分子混合物を含むゴム製品を開示する。
【0018】
定義
本明細書に記載する用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「化学線」は、光化学反応を起こすことができる電磁放射線を指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「付加製造」は、除去製造方法と対立する用語であり、3Dモデルデータから物体を作製するために、材料を、一般には一層ずつ、結合するプロセスを指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「カートリッジ」は、付加製造デバイス用に適合されている、又は構成されている容器を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「鎖延長剤」は、ジエンポリマー鎖の官能性末端基と反応し、ポリマー鎖に付加され、それによりポリマー鎖の分子量を増加させる官能基を含有する、単官能化された炭化水素又は炭化水素誘導体を指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「多官能性架橋剤」は、2本のジエンポリマー鎖の間又はジエンポリマー鎖の内部に架橋結合を設ける反応を起こすことができる、2つ以上の官能基を含有する、炭化水素又は炭化水素誘導体を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「炭化水素」は、炭素原子と水素原子とから完全になる化合物を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「炭化水素誘導体」は、少なくとも1つのへテロ原子(例えば、N、O、S)を含有する炭化水素を指す。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「マー」又は「マー単位」は、1つの反応分子に由来するポリマーの一部分を意味する(例えば、エチレンマーは、一般式−CH2CH2−で表される)。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方を包含する。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「光開始剤」は、フリーラジカルを生成する化合物を指す。用語「光開始剤」は、本明細書において用語「化学線感応性光開始剤」と互換可能に使用される。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「光増感剤」は、光開始剤の反応を高めるために使用される光吸収性化合物を指す。光励起時、光増感剤は、光開始剤へのエネルギー移動又は電子移動を引き起こす。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「多官能化」は、2つ以上の官能化を指し、2官能化、3官能化などが行われたポリマーを含む。一般には、ポリマーの官能化は、ポリマー鎖の一端又は両端で、ポリマー鎖の骨格に沿って、側鎖内で、及びこれらの組み合わせで起こり得る。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、2つ以上のモノマーの重合生成物を指し、ホモ、コ、ター、テトラポリマーなどを含む。本明細書において特に指示がない限り、用語「ポリマー」はオリゴマーを含む。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「ボイド」は、材料(空気以外)が欠けている、タイヤトレッドの一部分を指し、この用語は、タイヤの円周の全体又は一部分に延在するグルーブ又はチャネル、及びタイヤの円周に延在しない窪み又は空洞を含むことができる。
【0033】
化学線硬化型高分子混合物
上述のように、本明細書で開示される第1の実施形態は、化学線硬化型高分子混合物に関するものであり、この混合物は、(a)一般式[P][F]
nを有する多官能化ジエンモノマー含有ポリマーであって、Pはジエンポリマー鎖を表し、Fは官能基を表し、nは2〜約15であり、それぞれのFは同じものでも異なるものでもよい、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと、(b)任意追加的に、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤と、(c)少なくとも1つの化学線感応性光開始剤と、(d)任意追加的に、光増感剤と、(e)Fと反応する多官能性架橋剤と、を含む。一般には、化学線硬化型高分子混合物は、様々な付加製造デバイスを利用する付加製造プロセスでの使用に適している。化学線硬化型高分子混合物を硬化させることによって製造される製品又は物品は、本明細書において硬化エラストマー/高分子製品と称される。第1の実施形態による特定の実施形態では、化学線硬化型高分子混合物は、UVから可視までの範囲の波長を有する光によって硬化することができる。特定の実施形態では、化学線(光)は、約350〜約450nm、及び約365〜約405nmを含めて、約320〜500nm未満の波長を有する。一般には、放射線誘起硬化化学作用は、フリーラジカル及びカチオン性の2種類が存在する。フリーラジカル硬化は、二重結合、最も一般には(メタ)アクリレート二重結合、による架橋結合を伴う。カチオン性硬化は、他の官能基、最も一般にはエポキシ基、による架橋結合を伴う。
【0034】
多官能化ジエンモノマー含有ポリマー
上述のように、化学線硬化型高分子混合物は、ジエンポリマー鎖[P]を含む多官能化ジエンモノマー含有ポリマーを含む。特定の実施形態では、化学線硬化型高分子混合物は、1種類の多官能化ジエンモノマー含有ポリマーを含み、他の実施形態では、この混合物は、2種類以上の多官能化ジエンモノマー含有ポリマーを含む。多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、分子量、モノマータイプ、モノマーの相対量、官能基のタイプ(例えば、フリーラジカル重合性又はカチオン重合性)、官能基の同一性(詳細は後述する)、及び官能基の量のうちの1つ以上に基づいて様々な種類に分類することができる。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、互いと、及び(鎖延長剤が存在するときは)鎖延長剤と反応して、より大きい分子量のポリマーを形成するので、プレポリマーと称され得る。ジエンポリマー鎖は、少なくとも1つのジエンモノマーを含む(これに基づく)。ジエンモノマーは、2つの炭素−炭素二重結合を有するモノマーである。様々なジエンモノマーが存在し、一般には、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのジエンポリマー鎖の調製での使用に適している。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態による特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのジエンポリマー鎖は、3〜約15個の炭素原子を有する非環式及び環式ジエンのうちの少なくとも1つから選択されるモノマーを含む。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態による特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのジエンポリマー鎖は、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、及び1,3−シクロオクタジエン、ファルネセン、並びにこれらのそれぞれの置換誘導体、のうちの少なくとも1つから選択されるモノマーを含む。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのジエンポリマー鎖は、1,3−ブタジエンモノマー、イソプレンモノマー、又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのジエンポリマー鎖は、少なくとも1つのビニル芳香族モノマーを更に含む。好適なビニル芳香族モノマーの非限定例として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、p−tertブチルスチレン、ビニルカテコール系、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのジエンポリマー鎖は、1,3−ブタジエンモノマーとスチレンモノマーとの組み合わせを含む。
【0035】
上述のように、用語「多官能化」は、本明細書において2つ以上の官能化を指すために使用され、2官能化、3官能化などが行われたポリマーを含む。一般には、ポリマーの官能化は、ポリマー鎖の一端又は両端で、ポリマー鎖の骨格に沿って、及びこれらの組み合わせで起こり得る。一般には、多官能化ジエンモノマー含有ポリマー内に存在するそれぞれのF官能基は、同じであっても異なっていてもよい。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態による特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、ポリマー鎖の各末端にF官能基を有する2官能化ポリマーを含み、それぞれのF官能基は同じものでも異なるものでもよい。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態による特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、ポリマー鎖の1つの末端にあるF官能基と、ポリマー鎖の骨格に沿った少なくとも1つの追加のF官能基と、を有する、2官能化ポリマーを含み、それぞれのF官能基は同じものでも異なるものでもよい。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態による特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、ポリマー鎖の各末端に1つ、ポリマー鎖の骨格に沿って少なくとも1つある、少なくとも3つのF官能基を有する官能化ポリマーを含み、それぞれのF官能基は同じものでも異なるものでもよい。
【0036】
様々な多官能化ジエンモノマー含有ポリマーが、商業的に利用可能であり、本明細書で開示される第1〜第5の実施形態による様々な実施形態での使用に好適であり得る。これらの非限定例として、Sartomer Americas(Exton,Pennsylvania)から全て入手可能な、Sartomer CN307ポリブタジエンジメタクリレート、Sartomer CN301ポリブタジエンジメタクリレート、及びSartomer CN303疎水性アクリレートエステル、Cray Valley USA LLC(Exton,Pennsylvania)から全て入手可能な、Ricacryl(登録商標)3500メタクリレート化ポリブタジエン、Ricacryl(登録商標)3801メタクリレート化ポリブタジエン、Ricacryl(登録商標)3100メタクリレート化ポリブタジエン、San Esters Corp.(New York,New York)から入手可能な、BAC−45ポリブタジエンジアクリレート及びBAC−15ポリブタジエンジアクリレート、Kuraray America Inc.(Pasadena,Texas)から入手可能な、Kuraray UC−102メタクリレート化ポリイソプレン及びUC−203メタクリレート化ポリイソプレン、Cray Valley USA LLC(Exton,Pennsylvania)から入手可能な、Poly bd(登録商標)600Eエポキシ化ポリブタジエン及びPoly bd(登録商標)605Eポリブタジエン、が挙げられるが、これらに限定されない。多官能化ジエンモノマー含有ポリマーを調製するための方法は、当業者にとって周知であり、官能性開始剤、官能性停止剤、及び様々な官能性酸塩化物と又はカルボン酸とのジオール末端化ジエンの(脱水反応による)反応を使用するものを含む。他の方法は、エポキシ基を付加するための過酸を形成するオキシダント及びカルボン酸の反応を含む。
【0037】
特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのジエンポリマー鎖は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−イソプレンゴム、又はブチルゴム(ハロゲン化又は非ハロゲン化)を含む。
【0038】
多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの分子量は、化学線硬化型高分子混合物内で使用される鎖延長剤(存在する場合)の量及びタイプを含むが、これらに限定されない、様々な要因によって大いに異なり得る。一般には、より大きい分子量のポリマーは、硬化された物品又は製品により良好な特性をもたらすだけでなく、化学線硬化型高分子混合物の全体にわたってより高い粘度ももたらす。したがって、混合物内での使用に好ましい多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、粘度への影響とのバランスを考慮して分子量が決定される。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、約3,000〜約135,000グラム/モル(ポリスチレン標準)のMnを有する。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、約5,000〜約100,000グラム/モル(ポリスチレン標準)、5,000〜100,000グラム/モル(ポリスチレン標準)、約10,000〜約75,000グラム/モル(ポリスチレン標準)、及び10,000〜75,000グラム/モル(ポリスチレン標準)を含めて、3,000〜135,000グラム/モル(ポリスチレン標準)のMnを有する。多官能化ジエンモノマー含有ポリマーに関して本明細書で論じる数平均分子量(M
n)値は、官能基(F)が寄与する分子量を含む。
【0039】
特定の実施形態では、硬化エラストマー混合物は、500〜150,000グラム/モル(例えば、1000、2500、5000、10000、20000、25000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、110000、115000、120000、130000、140000、又は150000)を含めて、約500〜約150,000グラム/モルのMc(架橋間分子量)を有する架橋された多官能化ジエンモノマー含有ポリマーを含む。多官能化ジエンモノマー含有ポリマーに関して本明細書で論じる架橋された分子量(M
c)値は、官能基(F)が寄与する分子量を含む。M
cは、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Hergenrother,J.,Appl.Polym.Sci.,v.32,pp.3039(1986)で開示されるものなどの既に公開されている手順に従って決定することができる。
【0040】
特定の実施形態では、硬化エラストマー混合物の架橋された多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの分子量は、M
r、すなわち、鎖制限間分子量によって定量化することができる。特定の実施形態では、硬化エラストマー混合物は、500〜150,000グラム/モル(例えば、1000、2500、5000、10000、20000、25000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、110000、115000、120000、130000、140000、又は150000)を含めて、約500〜約150,000グラム/モルのMc(架橋間分子量)を有する架橋された多官能化ジエンモノマー含有ポリマーを含む。多官能化ジエンモノマー含有ポリマーに関して本明細書で論じる架橋された分子量(M
c)値は、官能基(F)が寄与する分子量を含む。一般には、M
rは、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0174661号に記載の手順に従って決定することができる。より具体的には、M
rは、以下の式に従って決定することができる。
【0041】
【数1】
ここで、ρは化合物密度、σは応力、Rは気体定数、Tは温度、Λは1+Xεであり、XはGuth−Gold式から得られるひずみ増幅率、ひずみ(ε)は(l−l
set)/l
setであり、lは収縮曲線上のある点での試料長さ、l
setはゼロ応力まで収縮した後の試料長さである。伸長収縮(TR)試験セットは、少なくとも2つの伸長収縮試験からなり、それぞれは、徐々に高くなる目標伸長比Λmaxに到達し、その直後にゼロ応力まで収縮する。各伸長引張及び後続の収縮は、一連の伸長と収縮の曲線ペアが得られるように、同じ試験速度で行われる。それぞれの収縮中、応力σが、伸長収縮曲線を定義する、伸長比Λの関数として測定される。試験は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Hergenrother,J.,Appl.Polym.Sci.,v.32,pp.3039(1986)で概説される手順に従って行われてもよい。
【0042】
硬質充填剤を含有する化合物のM
rを決定するとき、硬質粒子に起因する弾性率の増大が、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Harwood and Payne,J.Appl.Polym.Sci.v.10,pp.315(1966)及びHarwood,Mullins and Payne,J.Appl.Polym.Sci,v.9,pp.3011(1965)に記載のものと類似の方法で考慮されるべきである。充填化合物が最初にそれに対応するゴム化合物(例えば、非充填化合物)と同じ応力になるまで引張方向に伸長される場合、応力を正規化ひずみの関数としてグラフで表すと、後続の収縮と伸長の曲線は一般にゴム化合物のものとよく似たものとなる。正規化ひずみは、後続の伸長又は収縮の曲線上の任意の点におけるひずみを初期伸長の最大ひずみで除した値として定義される。とりわけ収縮曲線の場合、及び天然ゴムゴム化合物の最大ひずみが破断に近いひずみ以下の場合、これは、いくつかの充填化合物に適用され得る。平均ひずみにおいて、充填化合物のポリマーマトリックスが、対応するゴム(非充填)化合物のものと同じであり、充填化合物とゴム化合物が同じ応力で比較される場合、結果は、充填剤によるポリマーマトリックスのひずみ増幅の証拠として解釈することができる。ひずみ増幅Xは、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Mullins et al.,J.Appl.Polym.Sci.,vol.9,pp.2993(1965)及びGuth et al.,Phys.Rev.v.53,pp.322(1938)の記載に従ってGuth−Gold式によって決定することができる。充填剤濃度に関するΛの補正後、上述の式に従ってあらゆるタイプの鎖制限間分子量M
rを計算することができる収縮曲線の内部セグメントに、neo−Hookeanゴム弾性理論(参照により本明細書に組み込まれる、Shen,Science & Technology of Rubber,Academic Press,New York,1978,pp.162〜165)が適用され得る。連続的に高くなるΛmaxに対する同じゴム試料の伸長は、M
rをΛmaxの関数として提供する。
【0043】
伸長収縮試験は、Hergenrother,J.,Appl.Polym.Sci.,v.32,pp.3039(1986)に記載されているように、(試験、データ収集、及び計算のための)コンピュータによって制御されるInstron 1122試験機のクランプ間での引張方向の伸長が行われるときの滑りの発生を防ぐために、特別なリブ付きのTR型を使用して測定することができる。試験用の試料は、公称的には幅12mm×長さ50mm×厚さ1.8mmであり得る。M
rは、特定の収縮曲線の約中央1/3から収集される、25組の(σ,Λ)ペアのそれぞれにおいて計算することができる。本明細書で開示されるM
r値は、25個の計算された値の平均でもよい。試験時間を短縮するために、連続的に高くなるΛmaxに対する伸長は、Instronクロスヘッドの連続的に大きくなる移動速度で行うことができる。マスタTR曲線は、様々な試験速度を標準化試験速度5%/分にシフトさせることによって得ることができる。得られた滑らかな曲線の高ひずみ(約40%〜80%を超える伸び)領域は、M
r=S(Λmax−1)+Mcの形の一次方程式によって近似され得る。80%未満の伸びのひずみ領域に対する近似は、ひずみが徐々に減少するにつれ、M
r線から次第に離れていく可能性がある。νeの計算値と観測値との間のこうした差の対数を低位のひずみに対してプロットすると、Δνeに対する線形近似を(Λmax−1)の関数として与えることができる。切片mの逆数の真数は、Β(kg/mol)として表示することができ、充填剤の微粒分散に関係する。参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,384,117号を参照されたい。同様に、最低ひずみ偏差を処理して、ΔΔνeのプロットを(Λmax−1)の関数として与えることができる。伸びが6%未満のひずみ時に行われるプロセスでの切片の逆数の真数は、γ(kg/mol)として表示することができる。それぞれが傾き及び切片を有し、TR曲線の様々なひずみ領域を近似するために使用することができる、これら3つの方程式は、合計されると、M
r応答を試験の範囲全体にわたって実験的に記述する単一のマスタ方程式を提供することができる。新しいマスタ方程式の実験定数は、TRによって得られた実験値に対して最適な予測値の近似が得られるように、ExcelSolver(登録商標)を使用して調整することができる。M
rの実験値と曲線近似値を比較すると、傾き及び切片からなる近似基準を決定することができる。この構成方程式は、近似されたそれぞれの線形領域間の移行を、測定された実験ひずみの選択から独立させることを可能にし得、ひずみ範囲の数学的な微調整は、データの線形近似をより正確に行うことを可能にし得る。
【0044】
F官能基
上述のように、Fは、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーに関連した官能基を表す。様々なタイプの官能基Fが、本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態での使用に好適であり得る。特定の実施形態では、これらの官能基Fは、フリーラジカル重合性又はカチオン重合性のいずれかとして説明されることができ、これは、これらの基が化学線(光)への暴露時にどのように反応して架橋結合又は硬化をもたらすかの一般的な説明である。一般には、化学線による硬化性(架橋結合)を改善する官能基は、官能基Fとして有用である。
【0045】
特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのF官能基は、フリーラジカル重合性官能化基を含む。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのF官能基は、カチオン重合性官能化基を含む。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのF官能基は、同じジエンポリマー鎖上又は別々のジエンポリマー鎖上のいずれかでのカチオン重合性官能基とフリーラジカル重合性官能基との組み合わせを含む。一般には、フリーラジカル重合性である官能基は、カチオン重合性官能化基よりも速く反応するという利点を有するが、欠点として、酸素暴露によって阻害されやすい。一般には、カチオン重合性である官能基は、酸素暴露に耐性がある(すなわち、阻害されない)という利点を有するが、水暴露により阻害されやすく、一般に反応速度が遅いという欠点を有する。カチオン重合性官能基とフリーラジカル重合性官能基との組み合わせは、それぞれのタイプの利点を提供し、それぞれの単独での欠点を最小化するものとして有利であり得、このような組み合わせの追加の利点は、二重の網状系が実現されることであり、第1の波長で第1のタイプの架橋が起こり、第2の波長で第2のタイプの架橋が起こるか、又は単一の波長を使用して、二重の網を作製することになる両方のタイプの光開始剤(photoinitators)が活性化される。
【0046】
特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマー内の各官能基Fは、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、アジリジン、及びチオエポキシド、のうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマー内の各官能基Fは、アクリレート又はメタクリレートを含む。好適なアクリレート又はメタクリレートは、線状、分枝状、環状、又は芳香族であり得る。本明細書で使用するとき、用語「アクリレート」は、アクリル酸とこれのエステルの両方を含むものと理解されたい。同様に、用語「メタクリレート」は、メタクリル酸とこれのエステルの両方を含むものと理解されたい。様々なタイプのアクリレート及びメタクリレートが一般的に使用されており、官能基Fとしての使用に好適であり得る。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、官能基Fは、アクリル酸、メタクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、(シアノ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロプロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、シクロトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレート、シクロテトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート)、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、シクロペンタデシル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマー内の各官能基Fは、エポキシド又はチオエポキシドを含む。特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマー内の各官能基Fは、アジリジンを含み、これは、一般には、アジリジン官能基(RがH、CH
3である、1つのアミン(−NR−)と、2つのメチレン基(−CH
2−)と、を有する3員複素環基)を含有する化合物であると見なすことができる。
【0047】
特定の実施形態では、鎖延長剤は、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのF官能基と反応する部分を有する化合物に基づいて選択され得る。
【0048】
特定の実施形態では、鎖延長剤は、ポリマーの骨格に沿って1つ以上の追加の官能基F1を含む。このような官能基は、硬化高分子混合物、硬化エラストマー三次元物品、又は最終製品においてそれらが所望の特性に与える影響に基づいて選択され得る。非限定例として、F1官能基は、シリカ充填剤などの1つ以上の充填剤と相互作用するように選択され得、すなわち、F1はシリカ反応性官能基を含む。したがって、特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、その骨格に沿って少なくとも1つのF1シリカ反応性官能基を含む。シリカ反応性官能基の非限定例として、窒素含有官能基、ケイ素含有官能基、酸素又はイオウ含有官能基、及び金属含有官能基が挙げられる。F1官能基の別の具体的な例として、リン含有官能基が挙げられる。
【0049】
特定の実施形態において多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの骨格に沿ってF1シリカ反応性官能基として利用することができる窒素含有官能基の非限定例として、置換又は非置換アミノ基、アミド残基、イソシアナート基、イミダゾリル基、インドリル基、ニトリル基、ピリジル基、及びケチミン基のうち任意のものが挙げられるが、これらに限定されない。上記置換又は非置換アミノ基は、一級アルキルアミン、二級アルキルアミン、又は環状アミン、及び、置換又は非置換イミン由来のアミノ基を含むと理解されたい。第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、その骨格に沿って、上記の窒素含有官能基のリストから選択される少なくとも1つのF1官能基を含む。
【0050】
特定の実施形態において多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの骨格に沿ってF1シリカ反応性官能基として利用することができるケイ素含有官能基の非限定例として、有機シリル又はシロキシ基が挙げられるが、これらに限定されず、より正確には、官能基は、アルコキシシリル基、アルキルハロシリル基、シロキシ基、アルキルアミノシリル基、及びアルコキシハロシリル基から選択されてよい。ジエン系エラストマーの官能化での使用に好適なケイ素含有官能基として、この開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,369,167号に開示されるものも挙げられる。第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、その骨格に沿って、上記のケイ素含有官能基のリストから選択される少なくとも1つのF1官能基を含む。
【0051】
特定の実施形態において多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの骨格に沿ってF1シリカ反応性官能基として利用することができる酸素又はイオウ含有官能基の非限定例として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシドキシ基、ジグリシジルアミノ基、環状ジチアン由来官能基、エステル基、アルデヒド基、アルコキシ基、ケトン基、チオカルボキシル基、チオエポキシ基、チオグリシドキシ基、チオジグリシジルアミノ基、チオエステル基、チオアルデヒド基、チオアルコキシ基、及びチオケトン基が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、上記アルコキシ基は、ベンゾフェノン由来のアルコール由来アルコキシ基であってよい。第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、その骨格に沿って、上記の酸素又はイオウ含有官能基のリストから選択される少なくとも1つのF1官能基を含む。
【0052】
特定の実施形態において多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの骨格に沿ってF1官能基として利用することができるリン含有官能基の非限定例として、有機リン化合物(すなわち、炭素−リン結合を含有する化合物)、リン酸エステル及びアミド、並びにホスホナートが挙げられるが、これらに限定されない。有機リン化合物の非限定例として、アルキルホスフィン及びアリールホスフィンを含めて、ホスフィンが挙げられる。第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは、その骨格に沿って、上記のリン含有官能基のリストから選択される少なくとも1つのF1官能基を含む。
【0053】
鎖延長剤
上述のように、化学線硬化型高分子混合物は、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤を任意追加的に含む。すなわち、特定の実施形態において混合物は鎖延長剤を含むが、全ての実施形態において鎖延長剤が本質的要素であると見なされるわけではない。一般には、鎖延長剤は、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのジエンポリマー鎖の官能性末端基と反応する官能基で単官能化される炭化水素又は炭化水素誘導体であり、(ポリマーのF基のうちの1つに結合することによって)多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの分子量を増加させるために使用される。好ましくは、鎖延長剤は、化学線硬化型高分子混合物全体の粘度を下げ、また多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの架橋間分子量を増やすようにも作用する。特定の実施形態では、鎖延長剤はまた、高分子混合物の化学線硬化に起因する硬化エラストマー/高分子混合物の破断点伸びも増やす。
【0054】
特定の実施形態では、鎖延長剤が存在する場合、鎖延長剤はFに基づく化合物を含む。すなわち、このような鎖延長剤化合物はF基を含む。特定の実施形態では、鎖延長剤が存在する場合、鎖延長剤はFに基づく化合物又はFと反応する化合物を含む。Fと反応するとは、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのF基と結合する部分を含有する化合物を意味する。
【0055】
上述のように、鎖延長剤が存在するそれらの実施形態では、鎖延長剤は、Fに基づくかFと反応するかのいずれかである様々な官能基から選択される単官能性を有する炭化水素又は炭化水素誘導体を含み得る。特定の実施形態では、鎖延長剤が存在する場合、鎖延長剤は、鎖延長された多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのTgが、約−65℃〜約10℃を含めて、約25℃未満になるように選択される。好ましくは、鎖延長剤は、延長された多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのTgが架橋結合後でさえも、約−65℃〜約10℃を含めて、約25℃未満になるように選択される。特定の実施形態では、鎖延長剤が存在する場合、鎖延長剤は、約72〜約500グラム/モルを含めて、約72〜約1000グラム/モルのMwを有する化合物を含む。
【0056】
第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、鎖延長剤が存在する場合、鎖延長剤は、少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む。特定のこのような実施形態では、アルキル(alky)(メタ)アクリレートモノマーは、C2〜約C18の範囲から選択され、反応性メタ(アクリレート)先端基を有する、アルキル官能化(メタ)アクリレートと称す、アルキル鎖から構成され、より大きいアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、所望より高い熱転移点Tmを有し得る。1つの官能基(例えば、(メタ)アクリレート)のみを含有する化合物/モノマーを鎖延長剤として使用することにより、粘度を減少させながら架橋間分子量を増加させることができる。
【0057】
特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのF基がアクリレート又はメタクリレートを含む場合、鎖延長剤は少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む。特定のこのような実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、C2〜約C18のアルキル官能化(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つのモノマーであり、より大きいアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、所望より高いTgを有し得、化学線硬化型高分子混合物全体のTgを過度に増加させ得る。
【0058】
特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと鎖延長剤の合計量は、100重量部であると見なすことができ、特定のこのような実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは1〜100重量部の量で存在し、鎖延長剤は0〜99重量部の量で存在する。すなわち、鎖延長剤は、特定の実施形態では任意である。一般には、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと鎖延長剤の相対量は、上述のように、化学線へ暴露時に鎖延長剤がポリマーに付加し、ポリマーの分子量が増加することから、大幅に変化する可能性がある。非限定例として、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのMnが相対的に小さく(例えば、約3,000グラム/モル、ポリスチレン標準)、鎖延長剤のMwが相対的に大きい(例えば、約1000グラム/モル)の場合、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと鎖延長剤の合計量は、鎖延長剤より相対的に小さいポリマーを含む可能性がある。特定の実施形態では、1〜80重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び20〜99重量部の量で存在する鎖延長剤、1〜70重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び30〜99重量部の量で存在する鎖延長剤、1〜60重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び40〜99重量部の量で存在する鎖延長剤、1〜50重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び50〜99重量部の量で存在する鎖延長剤、1〜40重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び60〜99重量部の量で存在する鎖延長剤、1〜30重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び70〜99重量部の量で存在する鎖延長剤、1〜20重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び80〜99重量部の量で存在する鎖延長剤、1〜10重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び10〜99重量部の量で存在する鎖延長剤を含めて、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは1〜90重量部の量で存在し、鎖延長剤は10〜99重量部の量で存在する。特定の実施形態では、20〜99重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び1〜80重量部の量で存在する鎖延長剤、30〜99重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び1〜70重量部の量で存在する鎖延長剤、40〜99重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び1〜60重量部の量で存在する鎖延長剤、50〜99重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び1〜50重量部の量で存在する鎖延長剤、60〜99重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び1〜40重量部の量で存在する鎖延長剤、70〜99重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び1〜30重量部の量で存在する鎖延長剤、80〜99重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び1〜20重量部の量で存在する鎖延長剤、90〜99重量部の多官能化ジエンモノマー含有ポリマー及び1〜10重量部の量で存在する鎖延長剤を含めて、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーは10〜99重量部の量で存在し、鎖延長剤は1〜90重量部の量で存在する。
【0059】
特定の実施形態では、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのF基が(メタ)アクリレートを含み、かつ鎖延長剤のF基がアルキル(メタ)アクリレートを含む場合、約40〜約60部のポリマー及び約60〜約40部の鎖延長剤、40〜60部のポリマー及び60〜40部の鎖延長剤、約45〜約60部のポリマー及び約55〜約40部の鎖延長剤、45〜60部のポリマー及び55〜40部の鎖延長剤、約50〜約60部のポリマー及び約40〜約50部の鎖延長剤、50〜60部のポリマー及び40〜50部の鎖延長剤、約55〜約60部のポリマー及び約40〜約45部の鎖延長剤、並びに55〜60部のポリマー及び40〜45部の鎖延長剤を含めて、ポリマー及び鎖延長剤の相対量はそれぞれ約50部及び50部である。
【0060】
特定の実施形態では、鎖延長剤は、少なくとも1つのF基又はFと反応する官能基で単官能化されることに加えて、分子状酸素反応性である少なくとも1つの官能基F2で更に官能化される。好適なF2基の非限定例として、三級アミン、二級アミン、及び一級アミンを含むがこれらに限定されない様々なアミン、チオール、シラン、亜リン酸塩、スズ含有化合物、鉛含有化合物、並びにゲルマニウム含有化合物が挙げられる。少なくとも1つの分子状酸素反応性F2官能基を鎖延長剤に組み込むと、そうしなければ化学線硬化型高分子混合物中の可溶化酸素又は空気中の酸素のいずれかによって起こり得る望ましくない酸化の量が低減される。理論に束縛されるものではないが、分子状酸素反応性である官能基F2は、(例えば、分子状酸素とのフリーラジカルの反応から)生成される任意のペルオキシラジカルと反応して、水素吸蔵により新しい開始剤を作製することができる。この反応により、ペルオキシラジカルと開始剤との間の望ましくない反応(非生産的な生成物を産出し、開始剤を消費することになる)が回避又は最小化される。鎖延長剤でのF2官能化の量は様々であり得る。特定の実施形態では、鎖延長剤は、分子状酸素反応性である少なくとも1つの官能基F2で、10〜100%官能化される、約20〜100%官能化される、20〜100%官能化される、約30〜100%官能化される、30〜100%官能化される、約40〜100%官能化される、40〜100%官能化される、約50〜100%官能化される、50〜100%官能化される、約10〜約90%官能化される、10〜90%官能化される、約10〜約80%官能化される、10〜80%官能化される、約10〜約70%官能化される、10〜70%官能化される、約10〜約60%官能化される、10〜60%官能化される、約10〜約50%官能化される、及び10〜50%官能化されることを含めて、約10〜100%官能化される。他の実施形態では、分子状酸素反応性である少なくとも1つの官能基F2を含むことに加えて、又は分子状酸素反応性である少なくとも1つの官能基F2を含むことの代替として、別の分子状酸素反応性成分が、化学線硬化型高分子混合物中で使用され得る。一般には、この別の成分は、F2の上述の官能基のうちの少なくとも1つで官能化される炭化水素又は炭化水素誘導体を含む。
【0061】
光開始剤
上述のように、化学線硬化型高分子混合物は、少なくとも1つの化学線感応性光開始剤を含む。特定の実施形態では、高分子混合物は、2つ、3つ、又はそれ以上の一種の化学線感応性光開始剤を含む。一般には、光開始剤の目的は、化学線(光)を吸収し、ポリマーの官能基と反応して重合に至ることになるフリーラジカル又はルイス酸を生成することである。2種類の化学線感応性光開始剤、すなわち、フリーラジカル光開始剤及びカチオン性光開始剤が存在する。フリーラジカル光開始剤は、それ自体を2つのカテゴリ、すなわち、光照射されると分裂して2つのフリーラジカルを生成するもの(例えば、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、及びα−ヒドロキシケトン)及び光照射されると励起状態を形成し、次いで重合の開始種として働くことになるドナー分子から原子又は電子を取り去るもの(例えば、ベンゾフェノン)に分けることができる。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、光開始剤は、少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤を含む。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、光開始剤は、少なくとも1つのカチオン性光開始剤を含む。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、光開始剤は、少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤と少なくとも1つのカチオン性光開始剤との組み合わせを含む。
【0062】
光開始剤が使用される場合、様々な光開始剤が、化学線硬化型高分子混合物中での使用に適している。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、光開始剤は、ベンゾイン、アリールケトン、α−アミノケトン、モノ又はビス(アシル)ホスフィンオキシド、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルケタール、フェニルグリオキサルエステル又はその誘導体、オキシムエステル、パーエステル、ケトスルホン、フェニルグリオキシラート、ボレート、及びメタロセンのうちの少なくとも1つを含む。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、光開始剤は、ベンゾフェノン、芳香族α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタール、芳香族α−アミノケトン、フェニルグリオキサル酸エステル、モノ−アシルホスフィンオキシド、ビス−アシルホスフィンオキシド、及びトリス−アシルホスフィンオキシドのうちの少なくとも1つを含む。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、光開始剤は、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパン、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド及び2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンジルオキシム)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−メチルビニル]フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0063】
使用される化学線感応性光開始剤の量は様々であり得る。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、光開始剤が存在する場合、化学線硬化型高分子混合物は、約2〜約5重量部を含めて、約1〜約10重量部の光開始剤を含む(全ての量は多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと鎖延長剤の100合計部に基づく)。上記の量は、フリーラジカル光開始剤とカチオン性光開始剤の両方に適用されること、及び化学線硬化型高分子混合物中で使用される全ての光開始剤の総量(重量による)を指すことを理解されたい。
【0064】
光増感剤
上述のように、特定の実施形態では、化学線硬化型高分子混合物は光増感剤を含む。すなわち、特定の実施形態では、光増感剤は任意である。一般には、「光増感剤」は、光開始剤の反応を高めるために使用される光吸収性化合物であり、化学線(光)のうち、光開始剤が吸収することができない部分を吸収し、そのエネルギーを光開始剤に移し得る。光励起時、光増感剤は、光開始剤へのエネルギー移動又は電子移動を引き起こす。
【0065】
光増感剤が使用されるそれらの実施形態では、使用される光増感剤の量は様々であり得る。(上述のように、光増感剤は、本明細書で開示される全ての実施形態において必ずしも存在するとは限らない。)本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、光増感剤が存在する場合、化学線硬化型高分子混合物は、約0.1〜約2重量部を含めて、約0.1〜約5重量部の光開始剤を含む(全ての量は多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと鎖延長剤の100合計部に基づく)。
【0066】
光増感剤が使用される場合、様々な光増感剤が、化学線硬化型高分子混合物中での使用に適している。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、光増感剤は、ケトクマリン、キサントン、チオキサントン、多環芳香族炭化水素、及び芳香族ケトンから誘導されるオキシムエステルのうちの少なくとも1つを含む。例示的なケトクマリンは、Tetrahedron 38,1203(1982)、及び英国特許出願公開第2,083,832号(Specht et al.)に開示されている。
【0067】
架橋剤
上述のように、化学線硬化型混合物は、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの官能基Fと反応する多官能性架橋剤を含む。一般には、多官能性架橋剤は、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの各ジエンポリマー鎖の内部、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの(別々の)ジエンポリマー鎖の間、又はこれらの両方において架橋結合の量を増やすように働き、それにより網状組織を形成する。一般には、架橋剤又は架橋結合の量の増加は、架橋された(硬化した)多官能化ジエンモノマー含有ポリマーのMcを減少させることになり、それにより、弾性率の上昇及びEbの低下をもたらす。特定の実施形態では、多官能性架橋剤は、官能基Fで多官能化される炭化水素又は炭化水素誘導体である。すなわち、このような架橋剤は、複数のF基を含む。特定の実施形態では、架橋剤は、官能基F又はFと反応する官能基で多官能化される炭化水素又は炭化水素誘導体である。反応するとは、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーの少なくとも2つのF基と結合する部分があることを意味する。
【0068】
一般には、架橋剤は、Fと反応する少なくとも2つの官能基を含む多官能化された炭化水素又は炭化水素誘導体である。特定の実施形態では、架橋剤は2官能性であり、他の実施形態では、架橋剤は、3官能性又は4官能性であるか、更に官能化される。架橋剤は炭化水素又は炭化水素誘導体に基づくが、架橋剤はまた、単一の基本単位又は複数の繰り返し基本単位のいずれかを含むことができる点においてポリマー状であってもよいことを理解されたい。
【0069】
様々な化合物が架橋剤としての使用に適している。特定の実施形態では、架橋剤は、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含有する。特定の実施形態では、架橋剤は、2〜100個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、トリオール、又はテトラオールから調製されるポリオール(メタ)アクリレートを含み、このような実施形態では、架橋剤の官能基は(メタ)アクリレートである。少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を含有する様々な架橋剤が商業的に利用可能である。特定の実施形態では、架橋剤は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、アクリル酸エポキシ化大豆油、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジ−ペンタエリトリトールポリアクリレート、ジ−ペンタエリトリトールポリメタクリレート、ジ−ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジ−ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジ−ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジ−ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジ−ペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジ−ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシル化グリセリントリアクリレート、ε−カプロラクトンエトキシル化イソシアヌル酸トリアクリレート及びエトキシル化イソシアヌル酸トリアクリレート、トリス(2−アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、プロポキシル化グリセリルトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0070】
特定の実施形態では、架橋剤は、2〜100個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、トリオール、又はテトラオールから調製されるポリアリル化合物を含む。架橋剤として有用な例示的なポリアリル化合物には、2つ以上のアリル基を含むポリアリル化合物が挙げられ、これらの非限定例として、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、及び同種のもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
特定の実施形態では、架橋剤は、エポキシ官能基、アジリジン官能基、ビニル官能基、アリル官能基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0072】
特定の実施形態では、架橋剤は、1分子当たり少なくとも2つのアミン基を有する多官能性アミンを含む。特定のこのような実施形態では、多官能性アミンは脂肪族アミンである。例示的な多官能性アミンには、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレン(hexamethylerie)ジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、アミノエチルピペラジン、及び同種のもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
特定の実施形態では、多官能性架橋剤は、2種類の官能基、すなわち、少なくとも2本のジエンポリマー鎖をカチオン照射に基づいて架橋結合することができる官能基と、少なくとも2本のジエンポリマー鎖をフリーラジカル照射に基づいて架橋結合することができる官能基と、の組み合わせを含む。2種類の官能基の組み合わせは、同じ多官能性架橋剤上に存在することも、別々の架橋剤上に存在する(すなわち、それぞれが1種類の官能基を有する)こともあり得る。特定の実施形態では、多官能性架橋剤は、アクリレート基、メタクリレート基、ポリアリル基、及び多官能性アミンから選択される少なくとも1つの官能基と、エポキシ基、アジリジン基、ビニル基、及びアリル基から選択される少なくとも1つの官能基と、の組み合わせを含む。
【0074】
充填剤
第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、化学線硬化型高分子混合物は、少なくとも1つの充填剤を更に含み、特定のこのような実施形態では、少なくとも1つの充填剤が、補強充填剤、好ましくは、非カーボンブラック補強充填剤(すなわち、カーボンブラック以外の補強充填剤)を含む。第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、少なくとも1つの充填剤が使用される場合、充填剤は非カーボンブラック充填剤を含む(すなわち、この少なくとも1つの充填剤にカーボンブラック充填剤は含まれない)。本明細書で使用するとき、用語「補強充填材」は、窒素吸着比表面積(N
2SA)が、約100m
2/g超、場合によっては、100m
2/g超、約125m
2/g超、125m
2/g超、又は更に約150m
2/g超、又は150m
2/g超である、粒子材料を指すために使用される。あるいは又は更には、用語「補強充填材」はまた、約10nm〜約50nm(10nm〜50nmを含む)の粒径を有する粒子材料を指すためにも使用され得る。特定の実施形態では、化学線硬化型高分子混合物は、少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤を更に含む。すなわち、混合物は、少なくとも1つの金属充填剤、少なくとも1つの金属酸化物充填剤、又はこれらの組み合わせを更に含む。様々な金属充填剤及び金属酸化物充填剤が、化学線硬化型高分子混合物の様々な実施形態での使用に適している。特定の実施形態では、少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤は、シリカ(いくつかのみが以下に列挙される様々な形態のもの)、水酸化アルミニウム、デンプン、タルク、粘土、アルミナ(Al
2O
3)、アルミニウム水和物(Al
2O
3H
2O)、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、炭酸アルミニウム(Al
2(CO
3)
2)、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムマグネシウム(MgOAl
2O
3)、ケイ酸アルミニウム(Al
2SiO
5、Al
4.3SiO
4.5H
2Oなど)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al
2O
3.CaO
2SiO
2など)、パイロフィライト(Al
2O
34SiO
2.H
2O)、ベントナイト(Al
2O
3.4SiO
2.2H
2O)、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム(MH(OH)
2)、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、ケイ酸マグネシウム(Mg
2SiO
4、MgSiO
3など)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO
4)、酸化チタン、二酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、水酸化ジルコニウム[Zr(OH)
2.nH
2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO
3)
2]、結晶性アルミノケイ酸塩、酸化亜鉛(すなわち、補強又は非補強)、及びこれらの組み合わせ、グラファイト、粘土、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素、ケイ酸カルシウム(Ca
2SiO
4など)、結晶性アルミノケイ酸塩、炭化ケイ素、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、酸化グラフェン(grapheme oxide)、グラフェン、銀、金、白金、銅、チタン酸ストロンチウム(StTiO
3)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、ケイ素(Si)、二酸化ハフニウム(HfO
2)、二酸化マンガン(MnO
2)、酸化鉄(Fe
2O
4又はFe
3O
4)、二酸化セリウム(CeO
2)、酸化銅(CuO)、酸化インジウム(In
2O
3)、酸化インジウムスズ(In
2O
3 SnO
2)、のうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの充填剤は、シリカ(いくつかのみが以下に列挙される様々な形態のもの)、水酸化アルミニウム、デンプン、タルク、粘土、アルミナ(Al
2O
3)、アルミニウム水和物(Al
2O
3H
2O)、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、炭酸アルミニウム(Al
2(CO
3)
2)、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムマグネシウム(MgOAl
2O
3)、ケイ酸アルミニウム(Al
2SiO
5、Al
4.3SiO
4.5H
2Oなど)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al
2O
3.CaO
2SiO
2など)、パイロフィライト(Al
2O
34SiO
2.H
2O)、ベントナイト(Al
2O
3.4SiO
2.2H
2O)、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム(MH(OH)
2)、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、ケイ酸マグネシウム(Mg
2SiO
4、MgSiO
3など)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO
4)、酸化チタン、二酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、水酸化ジルコニウム[Zr(OH)
2.nH
2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO
3)
2]、結晶性アルミノケイ酸塩、酸化亜鉛(すなわち、補強又は非補強)、及びこれらの組み合わせ、グラファイト、粘土、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素、ケイ酸カルシウム(Ca
2SiO
4など)、結晶性アルミノケイ酸塩、炭化ケイ素、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、酸化グラフェン、グラフェン、銀、金、白金、銅、チタン酸ストロンチウム(StTiO
3)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、ケイ素(Si)、二酸化ハフニウム(HfO
2)、二酸化マンガン(MnO
2)、酸化鉄(Fe
2O
4又はFe
3O
4)、二酸化セリウム(CeO
2)、酸化銅(CuO)、酸化インジウム(In
2O
3)、酸化インジウムスズ(In
2O
3SnO
2)、のうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、少なくとも1つの充填剤は、磨砕硬化ゴムを、任意追加的に上述の充填剤のうちの1つ以上(one of more)と組み合わせて含む。本明細書で使用するとき、用語「磨砕硬化ゴム」は、粒子材料に磨砕又は粉砕済みの硬化させられた、すなわち、加硫された(架橋された)ゴムを指し、様々な粒径の磨砕硬化ゴムが使用され得る。磨砕硬化ゴムが使用される、第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、磨砕硬化ゴムは、約50μm〜約250μm(50μm〜250μmを含む)の範囲の平均粒径、好ましくは約74μm〜約105μm(74μm〜105μmを含む)の平均粒径を有する。磨砕硬化ゴム粒子の平均粒径は、ASTM D5644による方法も含めて、当該技術分野において既知である任意の従来の手段によって測定され得る。磨砕硬化ゴム用の好適なゴム供給源の例には、使用済みタイヤが挙げられる。カーボンブラックを含み、時にはシリカも含むことがある充填剤を使用して一般に化合される天然ゴム及び合成ゴムからタイヤが調製されることは、当業者には周知である。本明細書で開示される第1、第2,及び第3の実施形態によって使用される磨砕硬化ゴムの供給源は様々であり得るが、特定の実施形態では、カーボンブラック充填剤、シリカ充填剤、又は両充填剤の混合物で製造されたタイヤ(又はこのようなタイヤからのゴム)であり得る。例示的な供給源には、乗用車のタイヤ、軽トラックのタイヤ、又は両方の組み合わせが挙げられる。磨砕硬化ゴムが使用される、第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、磨砕硬化ゴムはカーボンブラック充填剤を含まない(すなわち、磨砕硬化ゴムは、1phr未満のカーボンブラック充填剤又は0phrのカーボンブラック充填剤を含有する)。
【0076】
化学線硬化型高分子混合物内で少なくとも1つの充填剤が使用される場合、使用される合計量は大いに異なり得る。一般には、使用される充填剤の合計量は、充填剤のタイプ、及び化学線硬化型高分子混合物から製造される硬化高分子混合物に求められる特性に応じて異なるものになる。更に、特定の実施形態では、充填剤の量はまた、その量により化学線硬化型高分子混合物全体にもたらされる粘度増加に基づいても調整される。特定の実施形態では、化学線硬化型高分子混合物内で使用される充填剤の合計量は、混合物の粘度が約10,000cps(25℃時)を超えることのない、好ましくは約5,000cps(25℃時)を超えることのない量である。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、少なくとも1つの充填剤は、化学線硬化型高分子混合物の合計体積の最大約2/3(例えば、67%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、2%、又は1%)となる合計量(すなわち、2つ以上存在する場合は、全ての充填剤の量の合計)で存在する。本明細書で開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、少なくとも1つの充填剤は、40部、45部、50部、55部、60部、65部、70部、75部、及び80部を含めて、約40〜約80部((a)と(b)との100合計部に基づく)の合計量(すなわち、2つ以上存在する場合は、全ての充填剤の量の合計)で存在する。本明細書で開示される第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、使用される充填剤は非カーボンブラック充填剤のみであり、全ての非カーボンブラック充填剤の合計量(すなわち、2つ以上存在する場合は、全ての非カーボンブラック充填剤の量の合計)は、化学線硬化型高分子混合物の合計体積の最大約2/3(例えば、67%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、2%、又は1%)となる。本明細書で開示される第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、使用される充填剤は非カーボンブラック充填剤のみであり、全ての非カーボンブラック充填剤の合計量(すなわち、2つ以上存在する場合は、全ての非カーボンブラック充填剤の量の合計)は、約40〜約80部((a)と(b)との100合計部に基づく)である。
【0077】
第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、少なくとも1つのカーボンブラック充填剤が使用され、このような実施形態では、少なくとも1つのカーボンブラック充填剤は、唯一の充填剤として使用されてもよいが、別の方法として、上述のものなどの1つ以上の非カーボンブラック充填剤と組み合わせて使用されてもよい。少なくとも1つのカーボンブラック充填剤を含む、本明細書で開示される第1〜第3の実施形態のそれらの実施形態では、カーボンブラック充填剤の合計量は様々であり得、少なくとも0.01部、0.01〜1部未満、0.05〜0.5部((a)と(b)との100合計部に基づく)などの量を含み得る。
【0078】
少なくとも1つのカーボンブラックが充填剤として使用される、第1〜第3の実施形態のそれらの実施形態では、様々なカーボンブラックが使用され得る。第1〜第3の実施形態の特定の実施形態では、1つ以上の補強カーボンブラックが使用される。第1〜第3の実施形態の他の実施形態では、1つ以上の非補強カーボンブラックが使用される。第1〜第3の実施形態の更に他の実施形態では、少なくとも1つの補強カーボンブラックが、少なくとも1つの非補強カーボンブラックと組み合わせて使用される。30m
2/g超の窒素表面積及び60cm
3/100g超のDBP吸収量を有するカーボンブラックは、本明細書において「補強カーボンブラック」と称され、より小さい窒素表面積及び/又はより小さいDBP吸収量を有するカーボンブラックは、本明細書において「非補強カーボンブラック」と称される。窒素表面積及びDBP吸収量は、カーボンブラックの粒径及びストラクチャーのそれぞれの特性を与える。窒素表面積は、カーボンブラックの表面積を測定する従来の方法である。具体的には、窒素表面積は、所与の質量のカーボンブラックに吸収することができる窒素の量の測定値である。好ましくは、カーボンブラック充填剤の窒素表面積は、ASTM試験D6556又はD3037によって決定される。DBP吸収量は、所与の質量のカーボンブラックが指定の粘稠なペーストに達するまでに吸収することができるDBPの量によって決定される、カーボンブラックの相対的なストラクチャーの尺度である。好ましくは、カーボンブラック充填剤のDBP吸収量は、ASTM試験D2414によって決定される。中でも有用なカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャネルブラック、及びランプブラックである。より具体的には、有用なカーボンブラックの例としては、超耐摩耗性ファーネス(SAF)ブラック、高耐摩耗性ファーネス(HAF)ブラック、良押出性ファーネス(FEF)ブラック、微細ファーネス(FF)ブラック、準超耐摩耗性ファーネス(ISAF)ブラック、中補強性ファーネス(SRF)ブラック、中加工性チャネルブラック、難加工性チャネルブラック、及び導電性チャネルブラックが挙げられる。例示的な補強カーボンブラックには、N−110、N−220、N−339、N−330、N−351、N−550、及びN−660、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。例示的な非補強カーボンブラックには、ASTM呼称N−907、N−908、N−990、及びN−991を有するものなど、サーマルブラック又はN9シリーズカーボンブラック(N−900シリーズとも称される)が挙げられる。
【0079】
容器(例えば、カートリッジ)
特定の実施形態では、化学線硬化型高分子混合物は、カートリッジ、又は輸送若しくは貯蔵に適する他の容器にパッケージ化される。上述のように、カートリッジは付加製造デバイス用に適合又は構成されている容器であり、他のタイプの容器は輸送又は貯蔵などに有用であり得、用語「容器」は、カートリッジを含むが、これに限定されないものと見なすべきである。
【0080】
(上述の)化学線硬化型高分子混合物の様々な下位実施形態における成分を収容することを目的とした1つ以上の容器(又はカートリッジ)の様々な組み合わせが想定される。特定の実施形態では、少なくとも2つの容器(又はカートリッジ)が使用され、1つの容器(又はカートリッジ)が、Pはジエンポリマー鎖を表し、Fは官能基を表し、nは2〜約15であり、それぞれのFは同じものでも異なるものでもよい、一般式[P][F]
nを有する多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤と、を含み、第2の容器(又はカートリッジ)が、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤を化学線感応性光開始剤及び光増感剤の少なくとも一方と共に含む。特定の上述の実施形態では、第2の容器(又はカートリッジ)はFと反応する架橋剤を更に含む、あるいは、Fと反応する架橋剤を含む第3の容器(又はカートリッジ)が提供されてもよい。特定の実施形態では、前述の少なくとも2つの容器(又はカートリッジ)を備える付加プリンティングによってエラストマー硬化製品を製造するためのキットが提供される。特定の実施形態では、キットは、少なくとも2つの容器(又はカートリッジ)を備え、少なくとも1つの容器(又はカートリッジ)が、Pはジエンポリマー鎖を表し、Fは官能基を表し、nは2〜約15であり、それぞれのFは同じものでも異なるものでもよい、一般式[P][F]
nを有する多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと、Fに基づく又はFと適合する鎖延長剤と、を含み、少なくとも第2の容器(又はカートリッジ)が、Fに基づく又はFと適合する鎖延長剤と、化学線感応性光開始剤及び光増感剤の少なくとも一方と、任意追加的にFと反応する架橋剤と、を含む。キット及び容器(又はカートリッジ)の特定の上述の実施形態では、第1又は第2の容器(又はカートリッジ)の少なくとも一方が、少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤を更に含む。キット及び容器(又はカートリッジ)の特定の上述の実施形態では、(後述するように)第1又は第2の容器(又はカートリッジ)の少なくとも一方が、少なくとも1つの充填剤を更に含む。
【0081】
硬化エラストマー/高分子製品/物品
上述のように、本明細書で開示される第2の実施形態は、硬化高分子混合物を対象とする。第2の実施形態の特定の実施形態では、硬化高分子混合物は、架橋された多官能化ジエンポリマーを含み、この架橋された多官能化ジエンポリマーは、ジエンポリマー鎖骨格[P]と、それぞれのFが同じものでも異なるものでもよい、複数の官能基Fと、官能基対間の架橋と、を含む。第2の実施形態の他の実施形態では、硬化高分子混合物は、前述の(すなわち、本明細書に記載の第1の実施形態による)化学線硬化型高分子混合物の硬化したものを含むと理解することができる。化学線硬化型高分子混合物の成分の説明は、第2の実施形態の硬化高分子混合物を対象にする特有の言葉で十分に説明されているかのごとく、硬化高分子混合物の特定の実施形態に可能な限り最大限に当てはまるよう意図されていることを理解されたい。
【0082】
第2の実施形態の特定の実施形態では、硬化高分子混合物は、エラストマー高分子混合物を含む。第2の実施形態の特定の実施形態では、硬化高分子混合物はエラストマーである。本明細書で使用するとき、用語「エラストマーの」は、以下の説明によって理解することができる。本明細書で使用される降伏は、荷重適用下の材料内での塑性変形の開始を指す。塑性変形は、荷重の除去後に残る変形である。降伏点は、塑性流動が支配的になる、荷重−伸び曲線のピークである(y軸に荷重、x軸に伸び)。したがって、本明細書で使用するとき、用語「エラストマー」又は「エラストマーの」は、塑性変形の明確な降伏点も区域も示さない材料を指し、すなわち、エラストマー材料の変形は、塑性になることに対立するものとして、弾性であり続ける。
【0083】
第2の実施形態の特定の実施形態では、硬化エラストマー混合物は、イオウを含有しない架橋を含む。第2の実施形態の特定の実施形態では、硬化エラストマー混合物は、本質的にイオウを含有しない架橋を含む。本質的にイオウを含有しないとは、硬化高分子混合物の化学線硬化型高分子混合物全体中のイオウが、1ppm未満、約0.1ppm未満、0.1ppm未満、及び0ppmを含めて、約1ppm以下であることを意味する。第2の実施形態の特定の実施形態では、硬化エラストマー混合物は、イオウを含有する架橋を含み、イオウの含有量は様々であり得る。
【0084】
硬化エラストマー製品/物品を製造するためのプロセス
上述のように、本明細書で開示される第3の実施形態は、硬化高分子製品を製造するためのプロセスを対象とする。このプロセスは、化学線源と、外装支持構造と、混合液を収容できる内装タンクと、内装支持構造と、を備える付加製造デバイスを提供することと、本明細書で開示される第1の実施形態による(すなわち、前述の)化学線硬化型高分子混合物を含む混合液を内装タンクに供給することと、支持構造の上に混合液による層を繰り返し形成することと、化学線を使用してそれぞれの層を硬化させることと、それにより硬化高分子製品を製造することと、を含む。本明細書で開示される第3の実施形態によると、様々なタイプの付加製造デバイスが使用され得る。一般には、多種多様な付加製造デバイスが、3D Systems,Inc.(Rock Hill,South Carolina)及びStratasys Ltd.(Eden Prairie,Minnesota)を含むが、これらに限定されない、企業から商業的に入手可能である。特定の実施形態では、付加製造デバイスは、化学線を使用して液体材料中でパターンをなぞることによりそれぞれの層を凝固させることを含むプロセスによって製品を形成し、特定のこのような実施形態では、デバイスはプリンターヘッドを含まず、特定のこのような実施形態では、このようなプロセスは、液槽光重合と称することができる。第3の実施形態の特定の実施形態では、付加製造デバイスは、化学線を使用して液体材料上に少なくとも1つのパターンをもたらすことによりそれぞれの層を凝固させることを含むプロセスによって製品を形成し、このようなプロセスは、レーザーラスタリングと称することができる。第3の実施形態の特定の実施形態では、レーザーラスタリングは、全体のパターンがもたらされるようにサービス全体にわたって移動されるピンポイント照射の使用を伴うものと理解することができる。第3の実施形態の特定の実施形態では、付加製造デバイスは、化学線を使用して液体材料上に少なくとも1つの画像を投影することによりそれぞれの層を凝固させることを含むプロセスによって製品を形成し、このようなプロセスは、デジタルライ卜プロセッシングと称することができる。本明細書で使用するとき、句「液体材料中でパターンをなぞる」は、デジタルライ卜プロセッシングプロセスとレーザーラスタリングプロセスの両方を包含することが意図されている。他の実施形態では、付加製造デバイスは、一組のノズルを有するプリンティングヘッドから混合物を分注することによって製品を形成し、特定のこのような実施形態では、このようなプロセスは、材料噴射と称することができる。
【0085】
第3の実施形態のプロセスによると、付加製造デバイスによって(例えば、支持構造の上に)形成されるそれぞれの層の厚さは、様々であり得る。特定の実施形態では、それぞれの層は、0.01mm〜1mm、約0.1mm〜約0.3mm、及び0.1mm〜0.3mmの厚さを含めて、約0.01mm〜約1mmの厚さを有する。第3の実施形態によると、上に製品が形成される、付加製造デバイスの支持構造のための構成材料は、様々であり得る。第3の実施形態の特定の実施形態では、支持構造は、ポリシロキサンポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサン又はPDMS)、ハロゲン化ポリマーコーティング、ハロゲン化ワックスコーティング、又はこれらの組み合わせを含む。ハロゲン化ポリマーコーティングの非限定例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、DuPontより商標名Teflon(登録商標)で販売)などのフッ素化ハロゲン化ポリマーが挙げられる。ハロゲン化ワックスコーティングの非限定例として、フッ素化ワックス、塩素化ワックス、臭素化ワックス、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化ワックスには、Doverguard(登録商標)ブランドの臭素化ワックス及びChlorez(登録商標)ブランドの塩素化ワックスを販売するDover Chemical Corporation(Dover,Ohio)などの様々な商業的な供給源が存在する。支持構造のための前述の構成材料の使用、又は上に製品が形成される支持構造のためのコーティングとしてそれらの材料を用いることは、製品を支持構造からより容易に取り外すことが可能になることによって、好ましくは、支持構造に固着し、そこからの取り外しに製品の1つ以上の層の断裂又は破断が伴うことになる硬化を行わないと、第3の実施形態のプロセス及び結果として生じる製品の製造を容易にすることができる。支持構造に使用される特定の構成材料は、化学線硬化型高分子混合物に含有される成分(とりわけ、使用される鎖延長剤のタイプ)に応じて意図的に変更され得ることは、当業者なら理解するであろう。
【0086】
本明細書で開示される第3の実施形態のプロセスで使用される化学線の波長は、特定のタイプの付加製造デバイスが選択されることによって、又は特定の付加製造デバイスに対して設定が選択されることによって(いくつかのデバイスではユーザーが様々な波長範囲を選択することができる)、様々であり得る。特定の実施形態では、化学線は、UVから可視までの範囲の波長を有する。特定の実施形態では、化学線(光)は、約350〜約450nm、及び約365〜約405nmを含めて、約320〜500nm未満の波長を有する。
【0087】
本明細書で開示される第3の実施形態のプロセスの特定の実施形態では、プロセスは、化学線硬化型高分子混合物を含む混合液を供給するカートリッジの使用を含む。本明細書で開示される第3の実施形態のプロセスの特定の実施形態では、付加製造デバイスの内装タンクは、少なくとも1つのカートリッジから混合液を受け取ることができる構成要素を更に備える。すなわち、このような実施形態では、付加製造デバイスの内装タンクは、少なくとも1つのカートリッジから混合液を受け取ることができる。
【0088】
第3の実施形態のプロセスの特定の実施形態で使用するために、(上述の)化学線硬化型高分子混合物の様々な下位実施形態における成分を収容することを目的とした1つ以上のカートリッジの様々な組み合わせが想定される。第3の実施形態の特定の実施形態では、プロセスは、少なくとも2つのカートリッジの使用を含み、1つのカートリッジが、Pはジエンポリマー鎖を表し、Fは官能基を表し、nは2〜約15であり、それぞれのFは同じものでも異なるものでもよい、一般式[P][F]
nを有する多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤と、を含み、第2のカートリッジが、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤を化学線感応性光開始剤及び光増感剤の少なくとも一方と共に含む。特定の上述の実施形態では、第2のカートリッジはFと反応する架橋剤を更に含む、あるいは、Fと反応する架橋剤を含む第3のカートリッジが提供されてもよい。
【0089】
キット
第4の実施形態によると、前述の少なくとも2つの容器又はカートリッジを備えるキットが提供される。このようなキットは、付加プリンティングによって硬化高分子製品を製造する際に有用であり得る。例えば、このようなキットの使用により、製造業者は、多官能化ジエンモノマー含有ポリマー、鎖延長剤、光開始剤、光増感剤、及び架橋剤の様々なタイプ及び組み合わせを利用することができる。マシン及びプリントヘッドを使用して、材料の事前混合を必要とせずに、様々なカートリッジ又は容器から材料を選択的に分注することができる材料噴射プロセスにおいて、複数のカートリッジ又は容器を備えるキットの使用は、利益をもたらすことができるであろう。少なくとも1つの充填剤を含む少なくとも1つのカートリッジ又は容器を備えるキットの使用は、充填剤が安定した分散状態になること、及び(必要に応じて)プリンティングの直前又は実施時のいずれかに他の構成成分と混合されることを可能にするであろう。特定の実施形態では、キットは、少なくとも2つの容器又はカートリッジを備え、少なくとも1つの容器(又はカートリッジ)が、Pはジエンポリマー鎖を表し、Fは官能基を表し、nは2〜約15であり、それぞれのFは同じものでも異なるものでもよい、一般式[P][F]
nを有する多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと、Fに基づく又はFと適合する鎖延長剤と、を含み、少なくとも第2の容器(又はカートリッジ)が、Fに基づく又はFと適合する鎖延長剤と、化学線感応性光開始剤及び光増感剤の少なくとも一方と、任意追加的にFと反応する架橋剤と、を含む。キットの特定の上述の実施形態では、少なくとも1つの容器又はカートリッジが、少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤を更に含む。キットの特定の上述の実施形態では、少なくとも1つの容器又はカートリッジが、少なくとも1つの(上述の)充填剤を更に含む。キット内で使用されるそれぞれの容器又はカートリッジの特定の成分は、前述の化学線硬化型高分子混合物の説明と関連して様々であり得る。
【0090】
タイヤ及びタイヤ構成要素
上述のように、本明細書で開示される第5の実施形態は、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態の(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤを対象とする。前述のように、化学線硬化型高分子混合物の成分の説明は、第2の実施形態の硬化高分子混合物を対象にする特有の言葉で十分に説明されているかのごとく、硬化高分子混合物の特定の実施形態に可能な限り最大限に当てはまる。同様に、硬化高分子混合物及び化学線硬化型高分子混合物の説明は、第5の実施形態のタイヤ及びタイヤ構成要素を対象にする特有の言葉で十分に説明されているかのごとく、タイヤ及びタイヤ構成要素の特定の実施形態に可能な限り最大限に当てはまることを理解されたい。
【0091】
第5の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤの構成要素は、トレッド、ビード、サイドウォール、インナーライナー、及びサブトレッドのうちの少なくとも1つを備える。第5の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤの構成要素は、タイヤトレッドを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤトレッドである。第5の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤの構成要素は、サブトレッドを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤサブトレッドである。第5の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤの構成要素は、タイヤサイドウォールを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤサイドウォールである。第5の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤの構成要素は、タイヤビードを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤビードである。第5の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤの構成要素は、タイヤインナーライナーを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤインナーライナーである。
【0092】
本明細書で開示される化学線硬化型高分子混合物を使用する又は本明細書で開示される第3の実施形態のプロセスによる付加製造プロセスによってタイヤ構成要素(例えば、トレッド、ビード、サイドウォール、インナーライナー、又はサブトレッド)を製造することは、成形などの従来の製造プロセスを使用して製造することができない形状及び設計を製造することができるという観点から利益をもたらすことができる。非限定例として、第5の実施形態の特定の実施形態では、タイヤの少なくとも1つの構成要素がトレッドを備え、密閉中空型ボイド、アンダーカット型ボイド、及び張り出し型ボイドのうちの少なくとも1つを含むトレッドを製造することができる。本明細書で使用するとき、用語「密閉中空型ボイド」は、(少なくとも製造時に)トレッドの道路接触面に対して開いていないボイドを指し、密閉中空型の特定の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、正方形、矩形、台形、矩形、及び三角形である形状が、様々な実施形態で使用され得る。密閉中空型ボイドの非限定例を
図1に示す。本明細書で使用するとき、用語「張り出し型ボイド」は、(製造時に)トレッドの道路接触面に対して部分的に開いていて、(少なくとも1つの寸法で)開口部より幅が広いボイドであって、ボイド全体の深さより小さい厚さを有し、上方に突出してトレッドの道路接触面の開口部を部分的に覆う上方壁部を(道路接触面において)含む、ボイドを指す。張り出し型ボイドの非限定例を
図2に示す。本明細書で使用するとき、用語「アンダーカット型ボイド」は、(製造時に)トレッドの道路接触面に対して部分的に開いていて、(少なくとも1つの寸法で)開口部より幅が広いボイドであって、ボイドの上方に張り出さずにボイドの中に部分的に延びる上方壁部を(道路接触面において)含む、ボイドを指す。特定の実施形態では、アンダーカット型ボイドは、(底部から上部に向かって)一般に道路接触面の開口部に向かう角度の付いた支えのない壁部を有する。特定の実施形態では、張り出し型ボイドは、道路接触面に対して実質的に平行(+又は−約5°)である、又は(底部から上部に向かって)一般に道路接触面の開口部から離れる方向に向かう角度を有する、支えのない壁部を有する。張り出し型ボイドの非限定例を
図3に示す。
【0093】
他のゴム製品
特定の実施形態では、タイヤでもタイヤ構成要素でもないゴム製品が、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態の(上述の)化学線硬化型高分子混合物から作製される(すなわち、こうした高分子混合物を含む)。前述のように、化学線硬化型高分子混合物の成分の説明は、第2の実施形態の硬化高分子混合物を対象にする特有の言葉で十分に説明されているかのごとく、硬化高分子混合物の特定の実施形態に可能な限り最大限に当てはまる。同様に、硬化高分子混合物及び化学線硬化型高分子混合物の説明は、第6の実施形態のこのようなゴム製品を対象にする特有の言葉で十分に説明されているかのごとく、特定のゴム製品の実施形態に可能な限り最大限に当てはまることを理解されたい。
【0094】
第6の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むゴム製品は、ブッシング、シール、ガスケット、コンベヤーベルト、ホース、又はグローブのうちの少なくとも1つを備える。第6の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むゴム製品は、ブッシングを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むブッシングである。第6の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むゴム製品は、シールを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むシールである。第6の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むゴム製品は、ガスケットを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むガスケットである。第6の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むゴム製品は、コンベヤーベルトを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むコンベヤーベルトである。第6の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むゴム製品は、ホースを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むホースである。第6の実施形態の特定の実施形態では、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むゴム製品は、グローブを備える。すなわち、本明細書で開示するのは、本明細書で開示される第2の実施形態による(上述の)硬化高分子混合物又は硬化済みの第1の実施形態による(上述の)化学線硬化型高分子混合物を含むグローブである。
【0095】
本明細書で開示される化学線硬化型高分子混合物を使用する又は本明細書で開示される第3の実施形態のプロセスによる、付加製造プロセスによって、ゴム製品(例えば、ブッシング、シール、ガスケット、コンベヤーベルト、ホース、又はグローブ)を製造することは、成形などの従来の製造プロセスを使用して製造することができない形状及び設計を製造することができるという観点から利益をもたらすことができる。非限定例として、本明細書で開示される化学線硬化型高分子混合物を使用する又は本明細書で開示される第3の実施形態のプロセスによる、付加製造プロセスによって、製造されるホースは、(ホースの一部分で成分の個別流路を可能にする)複数のチャネルなどの内部構造、又はホースの中を流れている成分を混合させる内部突起部、突出部、若しくは他の内部構造を含み得る。別の非限定例として、カスタム形態又は多数の様々なサイズの形態の製造を必要とせずに、カスタムフィッティング又はカスタムサイズのグローブを製造する能力が挙げられる。
【0096】
第1〜第6の実施形態の例示的な実施形態
第1〜第5の実施形態の以下の例示的な実施形態又は下位実施形態は、本明細書で具体的に開示されると見なすべきである。
項目1.化学線硬化型高分子混合物は、(a)一般式[P][F]
nを有する多官能化ジエンモノマー含有ポリマーであって、Pはジエンポリマー鎖を表し、Fは官能基を表し、nは2〜約15であり、それぞれのFは同じものでも異なるものでもよい、多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと、(b)任意追加的に、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤と、(c)少なくとも1つの化学線感応性光開始剤と、(d)任意追加的に、光増感剤と、(e)Fと反応する多官能性架橋剤と、を含む。
項目2.(a)と(b)との合計量が100部であり、(c)が少なくとも約0.1部の合計量((a)と(b)との100部に基づく)で存在する、項目1に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目3.混合物がUV−VIS光線によって硬化される、項目1又は項目2に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目4.(a)が1〜100部の量で存在し、(b)が0〜99部の量で存在する、項目1〜3のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目5.少なくとも1つの化学線感応性光開始剤が、((a)と(b)との100合計部につき)約1部〜約10部の量で存在する、項目1〜4のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目6.光増感剤が、((a)と(b)との100合計部につき)約0.1部〜約5部の量で存在する、項目1〜5のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目7.それぞれのFが、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、アジリジン、及びチオエポキシドのうちの少なくとも1つを含む、項目1〜6のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目8.Fがアクリレート又はメタクリレートを含み、存在する場合は鎖延長剤がアクリレート系鎖延長剤を含み、存在する場合は架橋剤がポリアクリレート系架橋剤を含む、項目1〜7のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目9.Fがフリーラジカル重合性官能化基を含む、項目1〜8のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目10.Fがカチオン重合性官能化基を含む、項目1〜9のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目11.Fが、同じジエンポリマー鎖上又は別々のジエンポリマー鎖上のいずれかでのカチオン重合性官能基とフリーラジカル重合性官能基との組み合わせを含む、項目1〜8のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目12.多官能化ジエンモノマー含有ポリマーが、約3,000〜約135,000グラム/モル(ポリスチレン標準)のMnを有する、項目1〜11のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目13.ジエンポリマー鎖が、3〜約15個の炭素原子を有する非環式及び環式ジエンのうちの少なくとも1つから選択されるモノマーを含む、項目1〜12のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目14.ジエンポリマー鎖が、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、ファルネセン、及びこれらのそれぞれの置換誘導体、のうちの少なくとも1つから選択されるモノマーを含む、項目1〜13のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目15.2〜100個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、トリオール、若しくはテトラオールから調製されるポリオール(メタ)アクリレート、2〜100個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、トリオール、若しくはテトラオールから調製されるポリアリル化合物、多官能性アミン、又はこれらの組み合わせから選択される多官能性架橋剤を含む、項目1〜14のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目16.トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、アクリル酸エポキシ化大豆油、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジ−ペンタエリトリトールポリアクリレート、ジ−ペンタエリトリトールポリメタクリレート、ジ−ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジ−ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジ−ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジ−ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジ−ペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジ−ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシル化グリセリントリアクリレート、ε−カプロラクトンエトキシル化イソシアヌル酸トリアクリレート及びエトキシル化イソシアヌル酸トリアクリレート、トリス(2−アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、プロポキシル化グリセリルトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される多官能性架橋剤を含む、項目1〜15のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目17.ジエンポリマー鎖が、少なくとも1つのビニル芳香族モノマーを更に含む、項目13又は項目14に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目18.多官能化ジエンポリマーのTgが、約−105〜約−10℃である、項目1〜17のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目19.鎖延長剤が、C2〜約C18のアルキル官能化(メタ)アクリレートから選択される(メタ)アクリレートモノマーを含む、項目1〜18のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目20.鎖延長剤のTgが、約−65〜約10℃である、項目1〜29のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目21.鎖延長剤が、約72.06〜約135,000グラム/モルのMwを有する、項目1〜20のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目22.光増感剤が、ケトクマリン、キサントン、チオキサントン、多環芳香族炭化水素、及び芳香族ケトンから誘導されるオキシムエステルのうちの少なくとも1つを含む、項目1〜21のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目23.光開始剤が、ベンゾフェノン、芳香族α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタール、芳香族α−アミノケトン、フェニルグリオキサル酸エステル、モノ−アシルホスフィンオキシド、ビス−アシルホスフィンオキシド、及びトリス−アシルホスフィンオキシドのうちの少なくとも1つを含む、項目1〜22のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目24.光開始剤が、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパン、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド及び2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンジルオキシム)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−メチルビニル]フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、並びにこれらの組み合わせから選択される、項目1〜23のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目25.光開始剤が、ベンゾイン、アリールケトン、α−アミノケトン、モノ又はビス(アシル)ホスフィンオキシド、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルケタール、フェニルグリオキサルエステル又はその誘導体、オキシムエステル、パーエステル、ケトスルホン、フェニルグリオキシラート、ボレート、及びメタロセンのうちの少なくとも1つを含む、項目1〜24のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目26.少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤を更に含む、項目1〜25のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目27.少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤が、化学線硬化型高分子混合物の合計体積の最大約2/3の量で存在する、項目26に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目28.少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤が、約40〜約80部((a)と(b)との100合計部に基づく)の量で存在する、項目26に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目29.混合物が、25℃で約1〜約10,000cps、好ましくは約100〜約5,000cpsの粘度を有する、項目1〜28のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物。
項目30.項目1〜29のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物を収容するカートリッジ。
【0097】
項目100.架橋された多官能化ジエンポリマーを含み、この架橋された多官能化ジエンポリマーが、ジエンポリマー鎖骨格[P]と、それぞれのFが同じものでも異なるものでもよい、複数の官能基Fと、官能基対間の架橋と、を含む、硬化高分子混合物。
項目101.それぞれのFが、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、アジリジン、及びチオエポキシドのうちの少なくとも1つを含む、項目100に記載の硬化高分子混合物。
項目102.Fがアクリレート又はメタクリレートを含み、存在する場合は鎖延長剤がアクリレート系鎖延長剤を含み、存在する場合は架橋剤がポリアクリレート系架橋剤を含む、項目101〜101のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物。
項目103.Fがフリーラジカル重合性官能化基を含む、項目100〜102のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物。
項目104.Fがカチオン重合性官能化基を含む、項目100〜102のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物。
項目105.Fが、同じジエンポリマー鎖上又は別々のジエンポリマー鎖上のいずれかでのカチオン重合性官能基とフリーラジカル重合性官能基との組み合わせを含む、項目100〜102のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物。
項目106.ジエンポリマー鎖が、3〜約15個の炭素原子を有する非環式及び環式ジエンのうちの少なくとも1つから選択されるモノマーを含む、項目100〜105のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物。
項目107.ジエンポリマー鎖が、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、ファルネセン、及びこれらのそれぞれの置換誘導体、のうちの少なくとも1つから選択されるモノマーを含む、項目100〜106のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物。
項目108.ジエンポリマー鎖が、少なくとも1つのビニル芳香族モノマーを更に含む、項目106又は項目107に記載の硬化高分子混合物。
項目109.少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤を更に含む、項目100〜108のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物。
項目110.少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤が、硬化高分子混合物の合計体積の最大約2/3の量で存在する、項目109に記載の硬化高分子混合物。
項目111.少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤が、約40〜約80部(架橋された多官能化ジエンポリマーの100合計部に基づく)の量で存在する、項目109に記載の硬化高分子混合物。
項目112.項目1〜29のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物を含む硬化高分子混合物。
項目113.多官能化ジエンモノマー含有ポリマーがF基間で架橋される、項目112に記載の硬化高分子混合物。
項目114.混合物が三次元物品を含む、項目100〜113のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物。
項目115.混合物がエラストマー高分子混合物を含む、項目100〜114のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物。
項目116.架橋された多官能化ジエンポリマーが、約500〜約150,000グラム/モルのMcを有する、項目100〜115のいずれか一項目に記載の硬化エラストマー混合物。
【0098】
項目300.硬化高分子製品を製造するためのプロセスであって、化学線源と、外装支持構造と、混合液を収容できる内装タンクと、内装支持構造と、を備える、付加製造デバイスを提供することと、項目1〜30のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物を含む混合液を内装タンクに供給することと、支持構造の上に混合液による層を繰り返し形成することと、化学線を使用してそれぞれの層を硬化させることと、それにより硬化高分子製品を製造することと、を含む、プロセス。
項目301.それぞれの層が、約0.01mm〜約1mmの厚さを有する、項目300に記載のプロセス。
項目302.形成することが、化学線を使用して液体材料中でパターンをなぞることによりそれぞれの層を凝固させることを含む、項目300又は項目301に記載のプロセス。
項目303.形成することが、一組のノズルを有するプリンティングヘッドから混合物を分注することを含む、項目300又は項目301に記載のプロセス。
項目304.化学線がUV又は可視光線を含む、項目300〜303のいずれか一項目に記載のプロセス。
項目305.化学線が、約320〜500nm未満の波長を有する光を含む、項目300〜303のいずれか一項目に記載のプロセス。
項目306.内装タンクが、少なくとも1つのカートリッジから混合液を受け取ることができる、項目300〜305のいずれか一項目に記載のプロセス。
項目307.混合液が、少なくとも1つのカートリッジで供給される、項目306に記載のプロセス。
項目308.少なくとも2つのカートリッジが使用され、1つのカートリッジは(a)と(b)とを含み、第2のカートリッジは(c)と組み合わせて(b)を含む、項目306又は307に記載のプロセス。
項目309.付加プリンティングによってエラストマー硬化製品を製造するためのキットであって、キットは少なくとも2つのカートリッジを備え、少なくとも1つのカートリッジが、Pはジエンポリマー鎖を表し、Fは官能基を表し、nは2〜約15であり、それぞれのFは同じものでも異なるものでもよい、一般式[P][F]
nを有する多官能化ジエンモノマー含有ポリマーと、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤と、を含み、少なくとも第2のカートリッジが、Fに基づく又はFと反応する鎖延長剤と、化学線感応性光開始剤及び光増感剤の少なくとも一方と、任意追加的にFと反応する架橋剤と、を含む、キット。
項目310.第1又は第2のカートリッジの少なくとも一方が、少なくとも1つの金属充填剤又は金属酸化物充填剤を更に含む、項目309に記載のキット。
【0099】
項目400.項目100〜116のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤ。
項目401.硬化済みの項目1〜30のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物からなる少なくとも1つの構成要素を備えるタイヤ。
項目402.少なくとも1つの構成要素が、トレッド、ビード、サイドウォール、インナーライナー、及びサブトレッドから選択される、項目400又は項目401に記載のタイヤ。
項目403.少なくとも1つの構成要素がトレッドを備える、項目400〜402のいずれか一項目に記載のタイヤ。
項目404.トレッドが、密閉中空型ボイド、アンダーカット型ボイド、及び張り出し型トレッドのうちの少なくとも1つを含む、項目403に記載のタイヤ。
【0100】
項目500.項目100〜116のいずれか一項目に記載の硬化高分子混合物を含むゴム製品。
項目501.硬化済みの項目1〜30のいずれか一項目に記載の化学線硬化型高分子混合物を含むゴム製品。
項目502.ゴム製品が、ブッシング、シール、ガスケット、コンベヤーベルト、ホース、又はグローブを備える、項目500又は項目501に記載のゴム製品。
【0101】
「含む(includes)」又は「含むこと(including)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「含む(comprising)」という用語が請求項で移行句として用いられる際の解釈と同様に包括的であることが意図される。更に、用語「又は」が用いられる範囲において(例えば、A又はB)、それは「A若しくはB、又は両方」を意味することが意図される。本出願人らが「A又はBの両方ではなく一方のみ」を示すことを意図する場合、「A又はBの両方ではなく一方のみ」という用語が用いられるであろう。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包含的である。Bryan A.Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照されたい。また、「中(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上(on)」又は「上へ(onto)」を更に意味することが意図される。更に、用語「連結する(connect)」が本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「と直接連結する(directly connected to)」ことだけではなく、別の構成要素を介して接続することなどのように「と間接的に連結する(indirectly connected to)」ことも意味することが意図される。
【0102】
本出願はその実施形態の記述によって説明され、実施形態は相当に詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形でも限定することは、出願人の本意ではない。更なる利点及び改良は、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広域な態様における本出願は、説明される特定の詳細及び実施形態に限定されない。このため、このような詳細からの逸脱が、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、なされ得る。
【0103】
本出願は、実施形態が開示される数値範囲全体で実行できるため、精密な範囲限界が明細書内に言葉通りに言及されていなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数及び/又は単数の用語の本明細書での使用に関して、当業者は、状況及び/又は用途に適切となるように、複数から単数へ、及び/又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数/複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述される場合がある。更に、頭に用語「約」が付されている全ての数値限定及び数値範囲は、本明細書で十分に説明されているかのごとく、その約のない特定の数又は範囲を含むと理解されたい。