(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様に係るセンシング方法は、対象空間の熱画像を取得する熱画像取得ステップと、前記熱画像取得ステップにおいて取得された前記熱画像に基づいて、前記熱画像に含まれる前記対象空間内の対象物を識別する識別ステップと、前記熱画像に、前記識別ステップにおける識別結果を示す情報を付加してユーザに提示する提示ステップと、前記提示ステップにおいて提示された前記情報を付加した前記熱画像に対する応答を受け付ける受付ステップと、を含む。
【0012】
この構成により、認識精度を高めさせることができるセンシング方法を提供することができる。
【0013】
また、例えば、前記識別ステップでは、前記受付ステップにおいて受け付けた前記応答が前記識別結果に対する修正指示であった場合、前記修正指示に従って、前記熱画像に含まれる対象物の識別結果を修正するとしてもよい。
【0014】
また、例えば、前記対象物は、前記対象空間内の人間、動物、家電機器および被洗濯物の少なくとも一つを含むとしてもよい。
【0015】
また、例えば、前記識別ステップは、前記熱画像取得ステップにおいて取得された前記熱画像で表現される温度分布を判定する熱分布判定ステップと、前記熱分布判定ステップにおいて判定された温度分布に基づいて、前記対象物を判定して識別する対象物判定ステップと、前記対象物判定ステップにおいて識別された前記対象物の前記対象空間内の位置を判定する対象物位置判定ステップとを含み、前記提示ステップでは、前記識別結果を示す情報に、前記対象物および前記対象物の位置を含めて提示するとしてもよい。
【0016】
また、例えば、前記対象物判定ステップでは、前記熱画像取得ステップにおいて取得された前記熱画像中の、所定の温度範囲を示す画素群の領域を、前記対象物として判定し、前記対象物位置判定ステップでは、前記熱画像取得ステップにおいて取得された前記熱画像中の、所定の温度範囲を示す画素群の領域の位置を、前記対象物の位置として判定するとしてもよい。
【0017】
また、例えば、前記対象物判定ステップでは、前記熱画像取得ステップにおいて取得された前記熱画像中の、所定の第1温度範囲を示す画素群の領域を、人として判定し、前記熱画像取得ステップにおいて取得された前記熱画像中の、前記第1温度範囲とは異なる所定の第2温度範囲を示す画素群の領域を、動物として判定するとしてもよい。
【0018】
また、例えば、さらに、前記対象空間の温度分布を計測して前記熱画像として出力する温度分布計測ステップと、前記熱画像に基づいて、前記識別ステップにおいて識別された前記対象物を含む前記対象空間の状態を判定する状態判定ステップと、前記状態判定ステップにおいて判定された前記対象空間の状態に関連する情報であって前記ユーザに対する情報を通知する通知ステップとを含むとしてもよい。
【0019】
また、例えば、さらに、前記ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する通知判定ステップと、前記対象空間の湿度情報を取得する湿度情報取得ステップとを含み、前記状態判定ステップでは、前記熱画像および前記湿度情報に基づいて、前記識別ステップにおいて識別された前記対象物を含む前記対象空間の状態を判定し、前記通知ステップでは、前記通知判定ステップにおいて前記通知情報があると判断された場合に、前記通知情報を前記ユーザに対して通知するとしてもよい。
【0020】
また、例えば、さらに、前記状態判定ステップにおいて判定された前記対象空間の状態に基づいて、前記ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する通知判定ステップを含み、前記通知ステップでは、前記通知判定ステップにおいて前記通知情報があると判断された場合に、前記通知情報を前記ユーザに対して通知するとしてもよい。
【0021】
また、例えば、さらに、前記状態判定ステップにおいて判定された前記対象物の状態に基づいて、前記対象空間の空気環境を制御する空調制御ステップを含むとしてもよい。
【0022】
また、例えば、さらに、前記対象空間の湿度情報を取得する湿度情報取得ステップを含み、前記空調制御ステップでは、前記状態判定ステップにおいて判定された前記対象空間の状態および前記湿度情報に基づいて、前記対象空間の空気環境を制御するとしてもよい。
【0023】
また、例えば、前記空気環境は、前記対象空間の空気の温度、湿度、風速および風向の少なくとも1つを含むとしてもよい。
【0024】
また、例えば、さらに、前記対象空間の湿度情報を取得する湿度情報取得ステップと、前記熱画像および前記湿度情報に基づいて、前記識別ステップにおいて識別された前記対象物の状態を分析する分析ステップと、前記分析ステップの分析結果に基づいて、前記ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する通知判定ステップと、を含み、前記通知ステップでは、前記通知判定ステップにおいて前記通知情報があると判断された場合に、前記通知情報を前記ユーザに対して通知するとしてもよい。
【0025】
また、例えば、前記受付ステップでは、さらに、予め前記対象物に関する情報の登録を受け付けるとしてもよい。
【0026】
また、例えば、前記対象物に関する情報は、前記対象物の種類、体重、年齢および位置の少なくも一を含むとしてもよい。
【0027】
また、例えば、前記対象空間の湿度情報は、前記対象空間の湿度分布であり、前記湿度情報取得ステップでは、前記対象空間の湿度を計測し、計測した前記湿度と前記熱画像取得ステップにおいて取得された前記熱画像で表現される温度分布とに基づいて、前記対象空間の湿度分布を算出するとしてもよい。
【0028】
また、例えば、前記通知ステップでは、少なくとも前記温度分布に基づいて前記ユーザに生活改善方法を提案する情報である生活改善提案情報を通知するとしてもよい。
【0029】
また、本開示の一態様に係るセンシングシステムは、対象空間の熱画像を取得する熱画像取得部と、前記熱画像取得部が取得した前記熱画像に基づいて、前記熱画像に含まれる前記対象空間内の対象物を識別する識別部と、前記熱画像に、前記識別部での識別結果を示す情報を付加してユーザに提示する提示部と、前記提示部において提示された前記情報を付加した前記熱画像に対する応答を受け付ける受付部と、を備える。
【0030】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD−ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0031】
以下、本開示の一態様に係るセンシング方法等について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0032】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0033】
つまり、以下では、本開示の一態様に係るセンシング方法等を実現するための一例である実施の形態を説明するが、各実施の形態はあくまで一例であり、以下の記載に限定されるものではない。また各実施の形態に記載のいかなる内容も、組み合わせることができるものとする。
【0034】
(実施の形態1)
[センシングシステムの構成]
以下、実施の形態1におけるセンシングシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、実施の形態1におけるセンシングシステム1の構成の一例を示す図である。
図2は、実施の形態1における識別部12の詳細構成の一例を示す図である。
図3は、実施の形態1における受付部14の詳細構成の一例を示す図である。
【0036】
図1に示すセンシングシステム1は、最小構成部10と、計測部15と、状態判定部16と、通知部17とを備え、最小構成部10は、熱画像取得部11と、識別部12と、提示部13と、受付部14とを備える。つまり、センシングシステム1では計測部15と、状態判定部16と、通知部17とは必須の構成ではない。
【0037】
熱画像取得部11は、対象空間の熱画像を取得する。本実施の形態では、熱画像取得部11は、計測部15が出力する熱画像を取得する。
【0038】
識別部12は、熱画像取得部11が取得した熱画像に基づいて、当該熱画像に含まれる対象空間内の対象物を識別する。ここで、対象物は、対象空間内の人間、動物、家電機器および被洗濯物の少なくとも一つを含む。また、識別部12は、受付部14において受け付けた応答が識別結果に対する修正指示であった場合、当該修正指示に従って、熱画像に含まれる対象物の識別を修正する。なお、識別部12は、熱画像取得部11が取得した熱画像に基づく対象物の識別を、センシングシステム1と通信可能なクラウドやセンシングシステム1にインストールされているアプリケーションと連係して行うとしてもよい。
【0039】
本実施の形態では、識別部12は、例えば
図2に示すように、熱分布判定部121と、対象物判定部122と、対象物位置判定部123とを備える。
【0040】
熱分布判定部121は、熱画像取得部11で取得された熱画像で表現される温度分布を判定する。
【0041】
対象物判定部122は、熱分布判定部121で判定された温度分布に基づいて、対象物を判定して識別する。対象物判定部122は、熱画像取得部11で取得された熱画像中の、所定の温度範囲を示す画素群の領域を、対象物として判定する。例えば、対象物判定部122は、熱画像取得部11で取得された熱画像中の、所定の第1温度範囲を示す画素群の領域を、人として判定し、当該熱画像中の、第1温度範囲とは異なる所定の第2温度範囲を示す画素群の領域を、動物として判定するとしてもよい。
【0042】
対象物位置判定部123は、対象物判定部122で識別された対象物の対象空間内の位置を判定する。例えば、対象物位置判定部123は、熱画像取得部11で取得された熱画像中の、所定の温度範囲を示す画素群の領域の位置を、対象物の位置として判定する。また、例えば、対象物位置判定部123は、熱画像取得部11で取得された熱画像中の、所定の第1温度範囲を示す画素群の領域の位置を、人の位置として判定し、当該熱画像中の、第1温度範囲とは異なる所定の第2温度範囲を示す画素群の領域の位置を、動物の位置として判定するとしてもよい。
【0043】
提示部13は、当該熱画像に、識別部12の識別結果を示す情報を付加してユーザに提示する。なお、提示部13は、識別結果を示す情報に、対象物および当該対象物の位置を含めて提示するとしてもよい。また、提示部13は、ユーザが持つスマートホンなどの携帯端末に識別結果を示す情報を付加した当該熱画像を送信することで、提示するとしてもよい。
【0044】
受付部14は、提示部13により提示された上記の情報を付加した熱画像に対する応答を受け付ける。なお、受付部14は、ユーザが持つスマートホンなどの携帯端末からの当該応答を受け付けるとしてもよいし、直接ユーザに指し示されることで当該応答を受け付けるとしてもよい。また、受付部14は、予め対象物に関する情報の登録を受け付けていてもよい。これにより、センシングシステム1は熱画像中の対象物の識別を精度よく行うことができる。
【0045】
本実施の形態では、受付部14は、例えば
図3に示すように、登録受付部141と、位置情報受付部142と、修正受付部143とを備える。
【0046】
登録受付部141は、予め対象物に関する情報の登録を受け付ける。つまり、登録受付部141は、識別部12が対象物を識別する前に、識別部12が対象物の識別に利用可能な情報であって予め対象物に関する情報の登録を受け付ける。ここで、対象物に関する情報は、例えば対象物の種類、体重および年齢の少なくも一を含むとしてもよいし、実施例1および実施例2で後述するように、例えばユーザがペットを飼っていること、ペットのエサの種類など、ペットのおしっこ位置であってもよい。また、提示部13により提示された上記の情報を付加した熱画像に対する応答として、実施例1および実施例2で後述するように、例えば、金魚などのペットの存在する領域、熱画像中のペットを示す領域を指定(登録)するとしてもよい。
【0047】
位置情報受付部142は、予め対象物の位置に関する情報の登録を受け付ける。なお、位置情報受付部142は、提示部13により提示された上記の情報を付加した熱画像に対する応答として、対象物の位置に関する情報の登録を受け付けてもよい。
【0048】
修正受付部143は、提示部13により提示された上記の情報を付加した熱画像に対する応答を受け付ける。例えば、受付部14の受け付けた応答が識別結果に対する修正指示であった場合、識別部12は当該修正指示に従って、熱画像に含まれる対象物の識別を修正する。
【0049】
計測部15は、対象空間の温度分布を計測して、熱画像として出力する。
【0050】
状態判定部16は、熱画像取得部11が取得した熱画像に基づいて、識別部12において識別された対象物を含む対象空間の状態を判定する。なお、状態判定部16は、実施例1および実施例2で後述するように、例えば、対象空間に人がいない状態(留守)と判定してもよいし、対象空間中に人および動物が共に居ると判定してもよい。また、状態判定部16は、対象物が犬である場合、犬の種類(犬種)を判定するとしてもよいし、対象物が人である場合、人の温度分布により熱中症になり易さを判定してもよいし、対象物がペットの場合ペットの状態を判定するとしてもよい。
【0051】
通知部17は、状態判定部16により判定された対象空間の状態に応じた情報であってユーザに対する情報を通知する。なお、通知部17は、ユーザが持つスマートホンなどの携帯端末に当該情報を通知するとしてもよい。当該情報としては、実施例1および実施例2で後述するように、例えば対象空間に人が居ない旨(留守である旨)であってもよいし、判定された犬種に応じた季節ごとのお薦め制御内容であってもよいし、適切な空調手段であってもよいし、判定されたペットの状態などであってもよい。
【0052】
[センシングシステムの動作]
次に、上記のように構成されたセンシングシステム1の動作について説明する。
【0053】
図4は、実施の形態1のセンシングシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0054】
まず、センシングシステム1は、対象空間の熱画像を取得する(S10)。
【0055】
次に、センシングシステム1は、S10において取得された熱画像に基づいて、当該熱画像に含まれる対象空間内の対象物を識別する(S11)。
【0056】
次に、センシングシステム1は、当該熱画像に、S11における識別結果を示す情報を付加してユーザに提示する(S12)。
【0057】
次に、センシングシステム1は、S12において提示された上記情報を付加した当該熱画像に対する応答を受け付ける(S13)。
【0058】
このようにして、識別結果を付加した熱画像をユーザに提示することで、ユーザは識別結果を確認できるので、ユーザは、識別結果に基づく動作を安心して享受することができる。また、識別結果が誤っていた場合には、応答としてユーザは識別結果の修正指示を行えるので、認識精度を高めさせることができる。また、ユーザは応答として識別結果の修正だけでなく、熱画像のどの領域が対象物かを学習させることができる(つまりユーザによる教育を行うことができる)ので、より熱画像に対する認識精度を高めることができる。
【0059】
次に、
図4に示す動作を経た後に、センシングシステム1が行う動作について説明する。
【0060】
図5は、実施の形態1のセンシングシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0061】
まず、センシングシステム1は、対象空間の熱画像を取得する(S20)。
【0062】
次に、センシングシステム1は、S20において取得された熱画像に基づいて、当該熱画像に含まれる対象空間内の対象物を識別するとともに、当該対象物の位置を識別する(S21)。
【0063】
次に、センシングシステム1は、当該熱画像に基づいて、S21において識別した対象物を含む対象空間の状態を判定する(S22)。
【0064】
次に、センシングシステム1は、S22において判定された対象空間の状態に応じて情報をユーザに対して通知する(S23)。
【0065】
以下、実施例1および実施例2を用いて、
図5に示すセンシングシステム1の動作の一例について説明する。
【0066】
(実施例1:ペットエアコンの空調または見守り)
実施例1では、センシングシステム1を備えた空調機器(ペットエアコン)の動作の一例について説明する。
【0067】
図6Aおよび
図6Bは、実施の形態1の実施例1における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図6Aおよび
図6Bに示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。
【0068】
センシングシステム1は、
図6Aに示すような熱画像を取得した場合には、
図6Aに示す熱画像中の、所定の温度範囲を示す領域と、その領域の形状と、その領域の動きとから、対象物およびその位置を判定し、当該対象物が人であると判定することができる。同様に、センシングシステム1は、
図6Bに示すような熱画像を取得した場合には、
図6Bに示す熱画像中の、所定の温度範囲を示す領域と、その領域の形状と、その領域の動きとから、対象物およびその位置を判定し、当該対象物が猫であると判定することができる。
【0069】
1)留守モード、在宅モードの通知
例えば、センシングシステム1は、熱画像に基づいて、対象空間中に人がいるかいないかを判定することができる。そのため、センシングシステム1は、例えば家などの対象空間中に人がいないと判定した場合には、留守と判定し、その旨(留守、留守モードである旨等)を通知してもよい。なお、センシングシステム1は、さらに、ユーザのスマートホンなどの携帯端末と通信し、携帯端末の位置で、留守であることを判定するとしてもよい。
【0070】
なお、センシングシステム1を備えた空調機器は、判定したモード(留守モードまたは在宅モード)に従って動作するとしてもよい。
【0071】
2)お薦めの通知
例えば、センシングシステム1は、熱画像に基づいて、対象空間中に人および動物がいるかいないかを判定することができる。そのため、センシングシステム1は、対象空間中に人および動物が共にいると判定した場合には、人と動物のどちらを優先するのか選択し、その旨(在宅モードである旨等)を通知してもよい。
【0072】
なお、センシングシステム1を備えた空調機器は、対象空間中に人および動物が共にいると判定した場合には、人および動物のうち優先すると選択した方に対しするエアコン動作するとしてもよい。また、人と動物のどちらを優先するのかは、事前にセンシングシステム1に登録していてもよいし、例えば、夏は動物を優先し冬は人を優先することを予め登録してもよい。
【0073】
また、センシングシステム1を備えた空調機器は、熱画像に基づいて、対象物が犬であり、さらにその犬種が判定できる場合には、判定した犬種に応じた季節ごとのお薦め制御内容を提案(通知)するとしてもよい。さらに、センシングシステム1を備えた空調機器は、熱画像に基づいて、対象物が犬であり、その犬が舌を出している旨を判定できる場合には、対象空間が暑いと判断し、対象空間を冷やす方向の制御をしてもよい。つまり、センシングシステム1を備えた空調機器は、熱画像に基づいて、犬等の動物が舌を出しているかを判定することで、空調制御を変更してもよい。動物の舌の形状は、予めユーザが設定(登録)すればよい。なお、動物の舌は他(舌以外の部位)に比べて高温となるため、任意の閾値を設定し、閾値を超える部位を舌と判断できる。
【0074】
3)その他のお薦め(リコメンド)の通知
なお、センシングシステム1を備えた空調機器は、熱画像に基づいて、識別した対象物が人であり、その人の状態(表面温度分布)によりその人の熱中症になり易さを判定するとしてもよい。この場合には、さらに、センシングシステム1を備えた空調機器は、対策として、水を置いておくべきなどのリコメンドを通知するとしてもよいし、当該空調機器より適切な空調手段があればそれも通知するとしてもよい。熱中症になり易さの判定基準としては、人の額部の温度を用いてもよい。例えば、額部の温度が所定の値を超えた場合に熱中症になり易い状態と判断してもよい。なお、別の判定基準として、人の鼻の温度とその人額部の温度の温度差を元に、所定の温度差を下回った場合に熱中症になり易い状態と判断してもよい。
【0075】
4)ペットの状態を通知
例えば、センシングシステム1は、熱画像に基づいて、対象空間中にペット(動物)がいるかいないかを判定することができる。そのため、センシングシステム1は、対象空間中にペットがいると判定した場合には、さらに、熱画像に基づいて、ペットの状態を判定し、ログとして保存するとしてもよい。ここで、ペットの状態とは、例えば、ペットの睡眠時間であったり、ペットの起床時間であったり、これらから推定されるペットの体調であったりする。ペットの状態の判定は、ペットの移動や動きの回数、姿勢、体表面温度などについて熱画像を元に算出することで行ってもよい。
【0076】
そして、センシングシステム1は、対象空間中に居るペットの状態をユーザに通知するとしてもよい。
【0077】
5)ペットの餌やり
例えば、センシングシステム1は、熱画像に基づいて、対象空間中にペット(動物)がいるかいないかを判定することができる。そのため、センシングシステム1は、対象空間中にペットがいると判定した場合には、さらに、熱画像に基づいて、ペットの位置と、ペットのための餌やり器の位置を判定するとしてもよい。この場合、センシングシステム1は、ペットが餌やり器に近づいた場合に、餌やり器のフタをOpenする時間等を餌やり器に通知することで、ペットに餌をあげてもよい。
【0078】
なお、センシングシステム1は、さらに、判定したペットの位置から、ペットの活動量を推定(判定)し、餌やり器のフタのOpen時間を調整する情報を通知することで併せて餌の量の調節を行うとしてもよい。
【0079】
6)ユーザ登録
上述したように、センシングシステム1では、熱画像に対する識別精度を向上させるため、センシングシステム1に予め対象物に関する情報の登録を行う。
【0080】
例えば、対象物(ペット)に関する情報として、ユーザがペットをかっていることを登録してもよいし、ペットの種類(犬、猫、虫、金魚)を登録するとしてもよい。また、ペットの体重、年齢を登録するとしてもよいし、例えばペットのエサの種類を登録してもよい。なお、ペットの体重が大きい場合は、ペットおよび人を区別して判定するのは難しい。そのため、センシングシステム1は、登録されたペットの体重が大きい場合には、熱画像からペットを判定することが難しい旨の警告を提示するとしてもよい。
【0081】
また、センシングシステム1を備える空調機器では、人の留守中におけるペット空調モードは選択できるとしてもよいが、人が在宅する場合にはペット空調モードまたはユーザ空調モードは選択できないとしてもよい。
【0082】
なお、ペットが金魚の場合には、熱画像の熱分布から金魚を判定できない。そのため、センシングシステム1が提示した熱画像中の金魚を含む水槽等の場所をユーザが指定するとしてもよい。この場合、センシングシステム1を備える空調機器は、ユーザが指定した場所(画素)の温度が設定範囲内になるように空調する。
【0083】
7)見守りポイント登録
センシングシステム1備える空調機器が提示した熱画像中のポイント(場所)を指定することで、ユーザが指定したポイント(場所)の温度が設定範囲以上にならないように空調するとしてもよい。ユーザが指定するポイントとしては、例えば植物、金魚、虫などを含む一定の領域が考えられる。
【0084】
8)画像登録
例えば、熱画像中のペットを認識させるために、ペットの画像を登録するとしてもよい。これにより、ペットの画像から、熱画像中のペットをより精度よく認識させることができる。さらに、センシングシステム1が提示する熱画像において、ペットを示す領域をユーザが指し示すことで、熱画像中のペットを認識させてもよい。
【0085】
9)おしっこ位置の登録
ペットに関する情報として、ペットのおしっこ位置を予め登録するとしてもよい。この場合、センシングシステム1は、予め登録した位置以外の位置で温度が上がって、その後気化熱で温度が下がったらユーザに通知するとしてもよい。
【0086】
また、センシングシステム1は、熱画像に基づき、予め登録した位置以外の位置でおしっこを検出(判定)した場合、お掃除ロボット等が動かないようにお掃除ロボット等に通知(指示)するとしてもよい。また、センシングシステム1は、予め登録した位置以外の位置でペットのおしっこを検出した場合、即座にユーザの怒りの声(例えば『コラ!!』など)やペットが不快に思う音を鳴らすとしてもよい。
【0087】
なお、センシングシステム1は、熱画像に基づいて、ペットの熱源と異なる熱源が増え、かつ、当該異なる熱源が動かないことから、ペットのおしっこを検出(判定)することができる。もちろん、センシングシステム1は、おしっこかどうかの最終判断を、識別結果を付加した熱画像をユーザに送って、ユーザの応答によりおこなってもよい。
【0088】
(実施例2:家電使用状態チェック)
次に、実施例2では、センシングシステム1を備えた空調機器の動作の一例について説明する。
【0089】
図7A〜
図7Cは、実施の形態1の実施例2における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図7A〜
図7Cに示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。
【0090】
センシングシステム1は、
図7Aに示すような熱画像を取得した場合には、
図7Aに示す熱画像中の、所定の温度変化を示す領域と、その領域の形状と、その領域の動きとから、対象物およびその位置を判定し、当該対象物が電話であると判定することができる。同様に、センシングシステム1は、
図7Bに示すような熱画像を取得した場合には、
図7Bに示す熱画像中の、所定の温度変化囲を示す領域と、その領域の形状と、その領域の動きとから、対象物およびその位置を判定し、当該対象物が空気清浄機であると判定することができる。また、同様に、センシングシステム1は、
図7Cに示すような熱画像を取得した場合には、
図7Cに示す熱画像中の、所定の温度変化を示す領域と、その領域の形状と、その領域の動きとから、対象物およびその位置を判定し、当該対象物がテレビであると判定することができる。
【0091】
1)対象空間の家電機器の位置と動作状態とを把握
センシングシステム1は、熱画像に基づいて、対象空間中の対象物およびその位置を識別し、その対象物の状態を判定することができる。
【0092】
電力を消費する家電機器は必ず発熱するので、熱画像中の温度変化および領域の形状等から、対象物が家電機器であり、その家電機器の種別が判定できる。これにより、センシングシステム1は、例えば室内などの対象空間で駆動中の家電機器とその位置を把握することができる。
【0093】
これにより、センシングシステム1は、ユーザが家電機器を消し忘れた場合にユーザに通知することができる。つまり、センシングシステム1は、家電機器の消し忘れの確認または防止に利用することができる。
【0094】
また、センシングシステム1は、対象物(家電機器)の温度とサイズから各家電の消費電力が推定するとしてもよい。この場合、センシングシステム1は、ユーザに省エネ行動を促進する通知を送ることができる。
【0095】
なお、センシングシステム1は、クラウドなどと通信することで、各家電機器の種別の消費電力の履歴を取得するとしてもよい。この場合には、より精度よく対象空間で駆動中の家電機器とその位置(家電MAP)を把握することができる。そして、家電MAPができると、より高度な家電機器連携(同室のエアコンと加湿器、扇風機の連携など)が可能になる。
【0096】
2)画像を見せる価値
また、センシングシステム1は、家電機器の種別など判定結果を付加した熱画像を表示してもよい。これにより、どの家電機器が駆動中(発熱中)なのか、分かりやすいだけでなく、どの家電機器が消し忘れているかをユーザは把握することができる。ここで、センシングシステム1が宅外のユーザにその旨を通知する場合には、ユーザは、宅外からどの家電機器が消し忘れているかを把握することができる。
【0097】
また、センシングシステム1は、熱画像中の家電機器の温度とサイズから各家電機器の消費電力を概算することができるので、その概算結果をユーザに通知するとしてもよい。これにより、ユーザは、効果的な省エネ対策が立てられる。
【0098】
また、センシングシステム1は、熱画像中に基づき、家電機器の異常発熱箇所(トラッキングなどの漏電箇所)の判定もできるので、その判定結果をユーザに通知するとしてもよい。これにより、ユーザは、異常発熱箇所のある家電機器を把握することができ、異常発熱に対する対策を行うことができる。
【0099】
[実施の形態1の効果]
以上、本実施の形態によれば、認識精度を高めさせることができるセンシング方法、センシングシステムおよびそれらを備える空調機器を実現できる。
【0100】
なお、本実施の形態のセンシング方法、センシングシステムおよびそれらを備える空調機器では、熱画像に基づいて人を識別し、さらに人の位置を判定することで、対象空間内における人が移動可能な空間を把握することができるので、対象空間の間取りを把握することができる。それにより、把握した対象空間の間取りに従って、より適切な空調を行うなど、把握した対象空間の間取りに応じた動作を行うことができる。
【0101】
(実施の形態2)
[センシングシステムの構成]
以下、実施の形態2におけるセンシングシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0102】
図8は、実施の形態2におけるセンシングシステム1Aの構成の一例を示す図である。
図9は、実施の形態2における計測部15Aの詳細構成の一例を示す図である。なお、
図1と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0103】
図8に示すセンシングシステム1Aは、実施の形態1に係るセンシングシステム1に対して、通知判定部19が追加され、最小構成部10Aと計測部15Aの構成が異なる。
図8に示す最小構成部10Aは、
図1に示す最小構成部10に対して、湿度情報取得部18が追加されている点で構成が異なる。
【0104】
湿度情報取得部18は、対象空間の湿度情報を取得する。
【0105】
通知判定部19は、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する。
【0106】
状態判定部16Aは、熱画像および湿度情報に基づいて、識別部12で識別された対象物を含む対象空間の状態を判定する。なお、状態判定部16Aは、実施例1および実施例2で後述するように、例えば、対象空間の結露しそうな場所を判定してもよいし、対象空間中の熱が漏れている場所を判定してもよいし、ユーザの生活を判定するとしてもよい。ユーザの生活とは、例えば、室内干し衣類の位置およびその乾燥状態でもよいし、ユーザの食事内容でもよい。
【0107】
通知部17Aは、通知判定部19により通知情報があると判断された場合に、当該通知情報をユーザに対して通知する。例えば、通知部17Aは、温度分布および湿度分布に基づいてユーザに通知情報として生活改善提案情報を通知するとしてもよい。なお、生活改善提案情報は、実施例1および実施例2で後述するように、例えば、対象空間中の結露しそうな場所であってもよいし、対象空間中の熱が漏れている場所であってもよいし、結露場所または熱漏れ場所の防止策であってもよい。また、通知部17Aは、対象空間の空気環境を制御する空調機器に対する制御コマンド等を通知情報として、空調機器に通知するとしてもよい。
【0108】
計測部15Aは、対象空間の温度分布を計測して、熱画像として出力する。
【0109】
本実施の形態では、計測部15Aは、例えば
図9に示すように、熱分布計測部151と、湿度情報計測部152とを備える。
【0110】
熱分布計測部151は、対象空間の温度分布を計測して前記熱画像として出力する。
【0111】
湿度情報計測部152は、対象空間の湿度を計測し、計測した湿度と熱画像取得部11で取得された熱画像で表現される温度分布とに基づいて、対象空間の湿度分布を算出する。ここで、対象空間の湿度情報は、対象空間の湿度分布であってもよく、対象空間の湿度であってもよい。
【0112】
[センシングシステムの動作]
次に、上記のように構成されたセンシングシステム1Aの動作について説明する。
【0113】
図10は、実施の形態2のセンシングシステム1Aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0114】
まず、センシングシステム1Aは、対象空間の熱画像および湿度情報を取得する(S30)。
【0115】
次に、センシングシステム1Aは、S30において取得された熱画像に基づいて、当該熱画像に含まれる対象空間内の対象物を識別するとともに、当該対象物の位置を識別する(S31)。
【0116】
次に、センシングシステム1Aは、当該熱画像および当該湿度情報に基づいて、S31において識別した対象物を含む対象空間の状態を判定する(S32)。
【0117】
次に、センシングシステム1Aは、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する(S33)。
【0118】
S33において、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報がある場合(S33で通知情報あり)、センシングシステム1Aは、S33において判定された通知情報をユーザに対して通知する(S34)。なお、一方、S33において、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報がない場合(S33で通知情報なし)、センシングシステム1Aは、処理を終了する。
【0119】
以下、実施例1および実施例2を用いて、
図10に示すセンシングシステム1Aの動作の一例について説明する。
【0120】
(実施例1:室内の温度分布をユーザに見せて生活改善を促す)
実施例1では、湿度情報と、熱画像中の温度分布とに基づいて通知する生活改善提案情報の例について説明する。
【0121】
図11は、実施の形態2の実施例1における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図11に示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。
【0122】
センシングシステム1Aは、
図11に示すような熱画像を取得した場合には、
図11に示す熱画像中の、所定の温度範囲を示す領域と、その領域の形状と、その領域の動きとから、対象物およびその位置を判定し、当該対象物が人であると判定することができる。また、センシングシステム1Aは、
図11に示す熱画像中の比較的高い温度領域(図で高温領域)を判定することができる。
【0123】
ここで、センシングシステム1Aは、生活改善提案情報として、冬場、結露しそうな場所を熱画像に重畳(付加)して、『カビ注意』を通知してもよい。湿度計と輻射温度計と各場所での相対湿度が算出できるので、センシングシステム1Aは、計測部15Aで測定された湿度情報と温度分布とから、結露しそうな場所を判定することができる。そして、例えばセンシングシステム1Aは、例えば相対湿度が100%に近い場所(90%)などを熱画像内で指し示す生活改善提案情報をユーザに通知してもよい。
【0124】
また、センシングシステム1Aを備える空調機器は、冷房時に温度が高い場所(暖房時に温度が低い場所)は熱が漏れている場所と判定できる。この場合、センシングシステム1Aは、生活改善提案情報として、ユーザに『熱漏れ場所』を通知したり、断熱対策を促す旨を通知したりしてもよい。
【0125】
また、センシングシステム1Aを備える空調機器は、室外機の温度計と室内の壁温度とから各壁の断熱性を算出するなどして、部屋(対象空間)の断熱性レベル(他人の家との相対値)を判定してもよい。この場合、センシングシステム1Aは、生活改善提案情報として、熱画像中の形状や位置情報から識別した熱漏れ場所を通知する。生活改善提案情報として、例えば、『窓から熱が逃げています』、『カーテン閉めろ』または『二重窓をお勧め』などを通知するとしてもよい。
【0126】
なお、センシングシステム1Aを備える空調機器は、熱画像に基づき、冬の室温に対して壁、床が冷えていると判定できる場合には暖房強化するとしてもよいし、部屋内の壁および床が冷えているところに人がいれば、その方向に暖気送風するとしてもよい。
【0127】
ここで、生活改善提案情報として、カビ注意を通知する場合の例について説明する。
【0128】
図12Aは、実施の形態2の実施例1における可視画像の一例を示すイメージ図である。
図12Bは、実施の形態2の実施例1における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図12Bに示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。
【0129】
つまり、センシングシステム1Aを備える空調機器は、空調機器の室内機に設置されている湿度センサ(湿度情報計測部152)の湿度情報と
図12Bに示す熱画像とから、壁、床、窓際の面湿度分布を判定することができるので、部屋(対象空間)の結露を検出(判定)して注意(通知)してくれる。
図12Aおよび
図12Bに示す例では、部屋(対象空間)の左隅が結露しかけている。そのため、センシングシステム1Aを備える空調機器は、例えば「部屋(対象空間)の左隅が結露しかけています。除湿しましょうか?」など生活改善提案情報を通知する。
【0130】
また、センシングシステム1Aを備える空調機器は、さらに、識別結果を付加した熱画像をユーザに通知するとしてもよい。ユーザが対象空間の温度分布が確認できるので、ユーザが生活改善提案を受け入れ易くなる。例えば、センシングシステム1Aは、対象空間(室内)において窓際と他との温度差が激しすぎた場合、結露によるカビ発生を警告し、除湿を勧めたり、カーテンまたは二重窓の設置を勧めたりするなどの生活改善提案情報を通知するとしてもよい。
【0131】
(実施例2:生活状態に合わせた動作の一例)
実施例2では、センシングシステム1Aを備える空調機器の動作の一例として、生活状態に合わせた動作の一例について説明する。なお、実施例2では、実施例1で説明した温冷感推定に基づく動作以外の例について説明する。
【0132】
センシングシステム1Aを備える空調機器は、熱画像の温度分布から、ユーザの生活を判定し、判定した生活に合わせて動作するとしてもよい。
【0133】
1)室内干し衣類の位置および乾燥状態に合わせた空調
例えば、センシングシステム1Aは、室内干し衣類の位置および乾燥状態を判定しながら、空調機器の除湿風を制御するとしてもよい。これにより、センシングシステム1Aは、衣類を乾燥する機能を実現することができる。
【0134】
2)ユーザの食事に合わせた空調
例えば、センシングシステム1Aは、熱画像の温度分布等から食事内容を把握(判定)して、空調機器の制御を行うとしてもよい。例えば、センシングシステム1Aは、食事内容が鍋料理なら、暖房控えめとなるよう空調機器の空調を制御することができる。また、食事内容が焼肉であり、煙がでていることが把握(判定)できた場合、空調機機内のフィルタを清掃するお掃除ロボをONにするよう、お掃除ロボに通知するとしてもよい。
【0135】
なお、センシングシステム1Aは、熱画像の温度分布等からユーザが食事中であると判定した場合には、食卓を避けて送風するなど空調を制御するとしてもよい。
【0136】
3)テレビ視聴中に合わせた空調
センシングシステム1Aは、熱画像の温度分布等から、ユーザがテレビを視聴中かどうか把握することができるので、ユーザがテレビを視聴中には、緩やかな送風となるよう(空調の音を静かにするよう)、空調機器の空調を制御するとしてもよい。
【0137】
なお、センシングシステム1Aは、さらに、ユーザが視聴しているテレビの番組内容を取得できる場合には、番組に合わせて空調機器の空調を制御するとしてもよい。
【0138】
[実施の形態2の効果]
以上、本実施の形態によれば、認識精度を高めさせることができるセンシング方法、センシングシステムおよびそれらを備える空調機器を実現できる。
【0139】
また、本実施の形態によれば、温度分布および湿度情報に基づいて空調制御を行うことができるセンシングシステム1Aを備える空調機器を実現できる。
【0140】
(実施の形態3)
[センシングシステムの構成]
以下、実施の形態3におけるセンシングシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0141】
図13は、実施の形態3におけるセンシングシステム1Bの構成の一例を示す図である。なお、
図1および
図8と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0142】
図13に示すセンシングシステム1Bは、実施の形態1に係るセンシングシステム1に対して、通知判定部19Bが追加され、状態判定部16Bおよび通知部17Bの構成が異なる。
【0143】
状態判定部16Bは、熱画像に基づいて、識別部12で識別された対象物の状態を判定する。なお、状態判定部16Bは、実施例1および実施例2で後述するように、対象物の状態として、例えば、対象空間に不審者がいる状態を判定(検知)するとしてもよいし、対象空間に転倒している人がいる状態を判定(検知)するとしてもよいし、対象空間にあるベッドから人が離脱等したことを判定するとしてもよい。
【0144】
通知判定部19Bは、状態判定部16において判定された対象物の状態に基づいて、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する。
【0145】
通知部17Bは、通知判定部19Bにおいて通知情報があると判断された場合に、当該通知情報をユーザに対して通知する。なお、通知部17Bは、状態判定部16の判定結果を付加した熱画像、判定結果のみまたは熱画像のみを通知情報としてユーザに対して通知するとしてもよい。また、通知部17Bは、当該通知情報として、実施例1および実施例2で後述するように、対象空間に不審者がいる旨や、対象空間に転倒している人がいる旨、対象空間にあるベッドから人が離脱等した旨を通知するとしてもよい。
【0146】
[センシングシステムの動作]
次に、上記のように構成されたセンシングシステム1Bの動作について説明する。
【0147】
図14は、実施の形態3のセンシングシステム1Bの動作の一例を示すフローチャートである。
【0148】
まず、センシングシステム1Bは、対象空間の熱画像を取得する(S40)。
【0149】
次に、センシングシステム1Bは、S40において取得された熱画像に基づいて、当該熱画像に含まれる対象空間内の対象物を識別するとともに、当該対象物の位置を識別する(S41)。
【0150】
次に、センシングシステム1Bは、当該熱画像に基づいて、S41において識別した対象物の状態を判定する(S42)。
【0151】
次に、センシングシステム1Bは、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する(S43)。
【0152】
S43において、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報がある場合(S43で通知情報あり)、センシングシステム1Bは、S43において判定された通知情報をユーザに対して通知する(S44)。なお、一方、S43において、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報がない場合(S43で通知情報なし)、センシングシステム1Bは、処理を終了する。
【0153】
以下、実施例1〜実施例3を用いて、
図14に示すセンシングシステム1Bの動作の一例について説明する。
【0154】
(実施例1:ホームセキュリティで見守り)
実施例1では、センシングシステム1Bが、不審者を検知して通知する動作の一例について説明する。
【0155】
現在、焦電型のセンサがホームセキュリティ用センサとして主に用いられている。しかし、焦電型のセンサは、誤検出が多く、確認のために無駄に現場に向かう必要があるなど課題がある。焦電型のセンサの誤検出の要因としては、ペットと人とを区別して検出できないことや、例えば外出先からのエアコン操作による温度変化などを検出してしまうこと、ファクシミリ着信時の発熱などを検出してしまうことなどが挙げられる。
【0156】
一方、熱画像センサがホームセキュリティ用センサとして用いられるようになった場合には、熱画像中の形状、サイズ、動く速度によりペットや、家電の発熱と不審者を区別して検知(判定)することができる。つまり、熱画像から、宅内等の対象空間の状態を確認できる。したがって、センシングシステム1Bを利用すると、熱画像を使ってユーザ留守中の侵入者を検知(判定)することができる。
【0157】
そして、センシングシステム1Bは、熱画像を使って、ユーザ留守中の侵入者を検知(判定)した場合には、セキュリティ事業者に不審者検知の旨を通知することができる。ここで、センシングシステム1Bは、セキュリティ事業者に判断材料として判断結果を付加した熱画像を通知するとしてもよい。この場合、セキュリティ事業者は熱画像を確認することにより、本当に侵入者がいるのか、ユーザが飼うペット等を検知(判定)しただけ(誤認識)なのかを判断することができる。
【0158】
例えば、センシングシステム1Bは、ユーザの留守中に侵入者を検知(判定)した場合には、ユーザに不審者検知の旨を通知するとしてもよい。ここで、センシングシステム1Bは、ユーザに判断材料として判断結果を付加した熱画像を通知するとしてもよい。
【0159】
なお、センシングシステム1Bは、ユーザまたはセキュリティ事業者に判断結果を付加した熱画像を通知するとしたがそれに限らない。判断材料として熱画像のみを通知するとしてもよい。また、センシングシステム1Bが人の在不在を判断する方法としては、熱画像を用いる場合に限らない。例えば、留守モードボタンを押圧などしてセンシングシステム1Bに登録するとしてもよいし、センシングシステム1Bがユーザのスマートホンなどの携帯端末の位置情報を用いて、判断するとしてもよい。
【0160】
(実施例2:倒れ検知で見守り)
次に、実施例2では、センシングシステム1Bが倒れ検知する場合の動作の一例について説明する。
【0161】
1)災害での倒れ検知
図15は、実施の形態3の実施例2における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図15に示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。
【0162】
センシングシステム1Bは、
図15に示すような熱画像を取得した場合には、
図15に示す熱画像中の、所定の温度範囲を示す領域と、その領域の形状と、その領域の動きとから、対象物およびその位置を判定することができる。なお、
図15に示す熱画像では、火と転倒した人とを検知(判定)することができる。
【0163】
このように、センシングシステム1Bは、火と転倒した人とを検知(判定)した場合には、災害発生の旨と救出が必要な人が居る旨をセキュリティ事業者等に通知するとしてもよい。
【0164】
2)高齢者の倒れ検知
図16Aおよび
図16Bは、実施の形態3の実施例2における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図16Aおよび
図16Bに示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。
【0165】
センシングシステム1Bは、
図16Aまたは
図16Bに示す熱画像を取得した場合には、
図16Aまたは
図16Bに示す熱画像中の、所定の温度範囲を示す領域と、その領域の形状と、その領域の動きとから、対象物およびその位置を判定することができる。
図16Aに熱画像では、就寝中の人を判定することができ、
図16Bに示す熱画像では、起床中の人を判定することができる。
【0166】
このようにして、センシングシステム1Bは、例えば高齢者の起床、ベッドからの離脱などを判定することができる。この場合、センシングシステム1Bは、家族や介護事業者(介護住宅の場合)に判定結果を付加する熱画像も通知するとしてもよい。これにより、ユーザ(介護事業者、子夫婦など)は、判定結果が付加された熱画像をみて、センシングシステム1Bの判定結果が誤検出なのかどうか判断することができるので、通知が来るたびに、高齢者の転倒や徘徊を現場に確認しに行かなくても済む。
【0167】
なお、センシングシステム1Bでも、熱画像に対する識別精度を向上させるため、例えば、高齢者が利用するベッドの領域範囲を熱画像に設定するなど、対象物に関する情報の登録を行うとしてもよい。
【0168】
(変形例)
[センシングシステムの構成]
以下、実施の形態3の変形例におけるセンシングシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0169】
図17は、実施の形態3の変形例におけるセンシングシステム1Cの構成の一例を示す図である。なお、
図1および
図13と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0170】
図17に示すセンシングシステム1Cは、実施の形態1に係るセンシングシステム1に対して、空調制御部20が追加されている点で構成が異なる。
【0171】
空調制御部20は、状態判定部16により判定された対象物の状態に基づいて、対象空間の空気環境を制御する。ここで、空気環境は、対象空間の空気の温度、湿度、風速および風向の少なくとも1つを含む。
【0172】
なお、センシングシステム1Cは、対象空間の湿度情報を取得するとしてもよい。この場合、空調制御部20は、状態判定部16で判定された対象物の状態および湿度情報に基づいて、対象空間の空気環境を制御する。
【0173】
[センシングシステムの動作]
次に、上記のように構成されたセンシングシステム1Cの動作について説明する。
【0174】
図18は、実施の形態3の変形例におけるセンシングシステム1Cの動作の一例を示すフローチャートである。
【0175】
まず、センシングシステム1Cは、対象空間の熱画像を取得する(S50)。
【0176】
次に、センシングシステム1Cは、S50において取得された熱画像に基づいて、当該熱画像に含まれる対象空間内の対象物を識別するとともに、当該対象物の位置を識別する(S51)。なお、対象物には、実施例3〜実施例6で後述するように、例えば、対象空間中の熱源や人であってもよいし、幼児または高齢者であってもよいし、ユーザの睡眠時の布団や寝巻であってもよいし、ユーザの部位(足、頭)であってもよい。また、対象物は、実施例3〜実施例6で後述するように、例えば、洗濯物であってもよい。
【0177】
次に、センシングシステム1Cは、当該熱画像に基づいて、S51において識別した対象物の状態を判定する(S52)。なお、対象物の状態には、実施例3〜実施例6で後述するように、例えば、対象空間中の熱源と人との距離であってもよいし、人の対表面温度による熱中症状の危険性であってもよいし、ユーザの睡眠時の布団ハネや寝巻着用状況であってもよいし、ユーザの就寝位置であってもよい。また、対象物の状態には、人の位置や動作であってもよいし、人の活動量であってもよいし、ユーザの着衣量であってもよいし、洗濯物の乾燥状態であってもよい。
【0178】
次に、センシングシステム1Cは、状態判定部16により判定された対象物の状態に基づいて、対象空間の空気環境の制御の変更が必要かどうかを判定する(S53)。
【0179】
S53において、対象空間の空気環境の制御の変更が必要である場合(S53でYes)、センシングシステム1Cは、対象空間の空気環境の制御を変更する(S54)。なお、一方、S53において、対象空間の空気環境の制御の変更が必要でない場合(S53でNo)、センシングシステム1Cは、処理を終了する。
【0180】
以下、実施例3〜実施例6を用いて、
図18に示すセンシングシステム1Cの動作の一例について説明する。
【0181】
(実施例3:見守りエアコン)
実施例3では、センシングシステム1Cを備える空調機器が、子供やお年寄りを検知して、熱中症または火傷から守る動作の一例について説明する。
【0182】
図19は、実施の形態3の実施例3における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図19に示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。
【0183】
センシングシステム1Cは、
図19に示すような熱画像を取得した場合には、
図19に示す熱画像中の、所定の温度範囲を示す領域と、その領域の形状と、その領域の動きとから、対象物およびその位置を判定することができる。なお、
図19に示す熱画像では、熱源と人(子供)とを検知(判定)することができる。
【0184】
例えばセンシングシステム1Cは、熱源と人(子供)とを検知(判定)し、人(子供)が熱源に近づいた場合に、人(子供)に警告を示す旨の通知を行うとしてよい。ここで、対象空間(同室)に人(親)が居ない場合には警告を示す旨の通知としてアラームを大きくするとしてもよい。このように、センシングシステム1Cは、人(子供)と熱源とを検知し、危険回避(火傷防止)のための動作を行うことができる。
【0185】
なお、センシングシステム1Cは、人(幼児)または人(高齢者)を検知した場合、さらに、熱画像に基づいて、人の体表面温度(対象物の状態)を判定するとしてもよい。これにより、センシングシステム1Cは、人(幼児)または人(高齢者)に熱中症防止のための動作を行うことができる。
【0186】
(実施例4:快眠エアコン)
実施例4では、センシングシステム1Cを備える空調機器(快眠エアコン)の動作の一例として、生活状態に合わせた動作の一例について説明する。
【0187】
1)睡眠時の布団ハネ、寝間着着用状況に合わせた空調
センシングシステム1Cは、熱画像に基づいて、例えば睡眠時の布団ハネ、寝巻着用状況を判定しながら、空調機器の空調を制御するとしてもよい。例えば、センシングシステム1Cは、ユーザの睡眠時に布団ハネを判定した場合には、空調機器の空調を暖房強化するよう制御するとしてもよい。
【0188】
2)体表面温度と就寝位置(足、頭)に合わせた空調
また、センシングシステム1Cは、熱画像に基づいて、ユーザの体表面温度と就寝位置(足、頭)とを判定しながら、空調機器の空調を制御するとしてもよい。例えば、センシングシステム1Cは、ユーザの就寝位置(足、頭)の判定結果に基づいて、ユーザの頭部を避けて空調機器の送風を制御するとしてもよいし、ユーザの体表面温度の判定結果に基づいて、ユーザの体温が下がりすぎないよう(冷房病防止となるよう)、空調機器の空調を制御するとしてもよい。
【0189】
3)ジェスチャに合わせた空調
また、センシングシステム1Cは、熱画像の温度分布を用いることで、暗闇でも人の位置や、人の状態・動作を検知(判定)することができるので、検知した結果に合わせて空調機器の空調を制御するとしてもよい。例えば、センシングシステム1Cは、暗闇の寝室(対象空間)のユーザのジェスチャを判定し、その判定結果に基づいて、空調機器の空調を制御するとしてもよい。つまり、センシングシステム1Cは、熱画像の温度分布を用いることで、ユーザのジェスチャで制御可能な暗闇リモコンとして機能するとしてもよい。
【0190】
このように、センシングシステム1C室内温度分布からユーザの生活をセンシングすることで、生活状態に合わせて空調機器の制御を行うことができる。
【0191】
なお、センシングシステム1Cは、熱画像の温度分布を用いることで、ユーザの就寝中の寝返りや体表温度を判定し、これらの履歴に基づいて、空調機器の空調を制御するとしてもよい。また、センシングシステム1Cは、上記履歴に基づいて、「今週はデトックス期です。刺激物を避けて肌ケアを重視してください。」など美容・健康のためのアドバイスをユーザに通知するとしてもよい。
【0192】
(実施例5:人の状態に合わせたエアコン)
実施例5では、センシングシステム1Cを備える空調機器の動作の一例として、人の状態に合わせた動作の一例について説明する。なお、実施例5では、実施例1で説明した温冷感推定に基づく動作以外の例について説明する。
【0193】
1)熱源に合わせた空調
センシングシステム1Cは、ユーザの状態として、ユーザが熱源の近くに居ることを判定すると、その判定結果に応じて空調機器の空調を制御するとしてもよい。例えば、センシングシステム1Cは、ユーザがアイロン中または調理中などユーザが熱源の近くに居ることを判定した場合には、冷房強化(暖房抑制)するように、空調機器の制御を行うとしてもよい。
【0194】
2)個人に合わせた空調
センシングシステム1Cは、人の状態として、ユーザ個人の好みを判定し、その判定結果に応じて空調機器の空調を制御するとしてもよい。例えば、センシングシステム1Cは、空調機器に対する室温設定が高めのAさんが対象空間に居ることを判定した場合、暖房強化するよう空調機器の制御を行うとしてもよいし、ユーザ個人を識別して、好みの室温を再現するよう空調機器の制御を行うとしてもよい。
【0195】
3)活動量に応じた空調
また、センシングシステム1Cは、ユーザの状態として、ユーザの活動量を判定すると、その判定結果に応じて空調機器の空調を制御するとしてもよい。
【0196】
4)対象空間に居る体温が異なる人に合わせた空調
また、センシングシステム1Cは、ユーザの状態として、対象空間に体温の異なる人が居ることを判定した場合に、その判定結果に応じて空調機器の空調を制御するとしてもよい。例えば、センシングシステム1Cは、対象空間に体温の異なる人が居ることを判定した場合に、体温が低い人に向けて暖気送風を行うよう空調機器の制御を行うとしてもよい。さらに、センシングシステム1Cは、体温の異なる人の体表温度から暑がり、寒がりまたは冷え性であるかを判定し、判定結果に応じて、それらの人が快適に感じるように空調機器の空調を制御するとしてもよい。
【0197】
5)着衣量に合わせた空調
また、センシングシステム1Cは、ユーザの状態として、ユーザの着衣量を判定し、その判定結果に応じて空調機器の空調を制御するとしてもよい。例えば、センシングシステム1Cは、室温とユーザの温度分布とに基づいて、ユーザの着衣が肌着またはワイシャツ一枚であることを判定した場合、ユーザが快適に感じるように、暖房強化または冷房強化するなど空調機器の空調を制御するとしてもよい。なお、ユーザの着衣量は、ユーザ表面の温度分布から算出してもよい。一般的には着衣量が多いほど着衣表面の温度は室温に近づくため、着衣表面温度と室温、体温それぞれの温度差から着衣量を算出できる。
【0198】
(実施例6:乾燥状態チェッカー)
また、センシングシステム1Cが対象空間に干されている洗濯物の乾燥状態を確認(判定)し、乾燥終了を通知するとしてもよい。洗濯後の洗濯物は、表面の気化熱が奪われるため、(湿度、風速にもよるが)室温より5℃程度低温であり、洗濯物の乾燥が進むにつれて、室温との差が無くなっていくという関係がある。そのため、センシングシステム1Cは、熱画像に基づき乾燥状態を判定することができ、乾燥終了を通知することができる。また、センシングシステム1Cは、洗濯物の乾燥が速い部分と遅い部分を見分けることが可能であるので、乾燥が遅い部分(ズボンやシャツの裾やポケットなど)に向けて風向を調節するとしてもよい。
【0199】
[実施の形態3の効果等]
以上、本実施の形態によれば、認識精度を高めさせることができるセンシング方法、センシングシステムおよびそれらを備える空調機器を実現できる。
【0200】
また、本実施の形態によれば、温度分布に基づいて空調制御を行うことができるセンシングシステム1Bを備える空調機器を実現できる。
【0201】
(実施の形態4)
[センシングシステムの構成]
以下、実施の形態4におけるセンシングシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0202】
図20は、実施の形態4におけるセンシングシステム1Dの構成の一例を示す図である。
図21は、実施の形態4における識別部12Dの詳細構成の一例を示す図である。なお、
図1および
図8等と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0203】
図20に示すセンシングシステム1Dは、実施の形態1に係るセンシングシステム1に対して、状態判定部16がなく、通知判定部19Dおよび分析部21が追加され、識別部12Dと通知部17Dの構成が異なる。
【0204】
識別部12Dは、熱画像取得部11が取得した熱画像に基づいて、当該熱画像に含まれる対象空間内の対象物を識別する。本実施の形態では、識別部12Dは、例えば
図21に示すように、熱分布判定部121と、対象物判定部122とを備える。熱分布判定部121および対象物判定部122は、実施の形態1で説明した通りであるので、ここでの説明を省略する。
【0205】
分析部21は、熱画像取得部11が取得した熱画像に基づいて、識別部12Dで識別された対象物の状態を分析する。なお、分析部21は、実施例1〜実施例3で後述するように、例えば、ユーザの日々の睡眠状態を分析してもよいし、ユーザの体脂肪を分析するとしてもよいし、ユーザのその日の体調とユーザの服装が外気温に適しているかを分析するとしてもよい。また、分析部21は、実施例4および実施例5で後述するように、ユーザの顔の温度分布を分析することでユーザの顔の乾燥、シミまたはたるみの確認をするとしてもよいし、ユーザの冷え性タイプを分析するとしてもよい。
【0206】
通知判定部19Dは、分析部21の分析結果に基づいて、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する。
【0207】
通知部17Dは、通知判定部19Dにより通知情報があると判断された場合に、当該通知情報をユーザに対して通知する。なお、通知部17Dは、例えば、通知情報として、分析部21の分析結果を通知してよいし、取得した熱画像を通知するとしてもよいし、分析結果を付加した熱画像を通知するとしてもよい。また、通知部17Dは、ユーザに対する通知情報として生活改善提案情報を通知するとしてもよい。ここで、生活改善提案情報は、後述するように、例えば、頬筋エクササイズを薦めることや、快眠環境の提案することであってもよい。
【0208】
[センシングシステムの動作]
次に、上記のように構成されたセンシングシステム1Dの動作について説明する。
【0209】
図22は、実施の形態4のセンシングシステム1Dの動作の一例を示すフローチャートである。
【0210】
まず、センシングシステム1Dは、対象空間の熱画像を取得する(S60)。
【0211】
次に、センシングシステム1Dは、S60において取得された熱画像に基づいて、当該熱画像に含まれる対象空間内の対象物を識別する(S61)。
【0212】
次に、センシングシステム1Dは、当該熱画像に基づいて、S61において識別した対象物を分析する(S62)。
【0213】
次に、センシングシステム1Dは、分析部21の分析結果に基づいて、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する(S63)。
【0214】
S63において、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報がある場合(S63で通知情報あり)、センシングシステム1Dは、S63において判定された通知情報をユーザに対して通知する(S64)。なお、一方、S63において、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報がない場合(S63で通知情報なし)、センシングシステム1Dは、処理を終了する。
【0215】
以下、実施例1〜実施例5を用いて、
図22に示すセンシングシステム1Dの動作の一例について説明する。
【0216】
(実施例1:健康エアコン)
実施例1では、センシングシステム1Dを備えた空調機器(健康エアコン)の動作の一例について説明する。
【0217】
例えば、センシングシステム1Dを備えた空調機器(健康エアコン)は、ユーザの日々の睡眠状態を計測(分析)して生活改善提案情報を通知するとしてもよい。
【0218】
ここで、熱画像に基づいて計測(分析)できる項目(睡眠状態)としては、1)睡眠時間、2)睡眠深度(レム・ノンレム)、3)睡眠時体温変動、4)寝返り回数、頻度および時間帯、5)布団ハネ、6)基礎体温などがある。
【0219】
センシングシステム1Dは、例えば、日々の睡眠状態(計測できる項目の履歴)を見える化したグラフを通知することで、ユーザに生活改善提案情報を通知することができる。センシングシステム1Dは、生活改善提案情報として、例えば、「今週は肌乾燥期です。長風呂は避けて部屋の湿度は高めにして下さい。」などを通知するとしてもよい。なお、睡眠リズムに伴う体温変動が確認されていることから、体温変動や体動など熱画像で取得可能な生体情報をもとにした、快眠環境の提案(生活改善提案情報)を通知するとしてもよい。
【0220】
(実施例2:体脂肪測定)
実施例2では、センシングシステム1Dが熱画像を用いてユーザの体脂肪測定を行う場合の動作の一例について説明する。
【0221】
図23は、実施の形態4の実施例2における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図23に示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。
【0222】
センシングシステム1Dは、
図23に示すような熱画像を取得し、当該対象物が人であると判定した場合には、さらに、その人における温度分布を分析することで、その人の体脂肪を測定(分析)することができる。脂肪は熱を伝え難いため、体表面の温度(裸)を基に、全身の脂肪厚み分布が計測することができる。例えば、その人の熱画像において脂肪の厚い部分は温度が低く脂肪が薄い部分は温度が高くなる。そのため、センシングシステム1Dは、各部位の推定脂肪厚みを重畳(付加)した熱画像を通知することで、ユーザのダイエットの危機感をあおりユーザに生活改善を促すことができる。
【0223】
(実施例3:お出かけ前チェック)
実施例3では、センシングシステム1Dが熱画像を用いてユーザのお出かけ前チェックを行う場合の動作の一例について説明する。
【0224】
図24は、実施の形態4の実施例3における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図23に示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。
【0225】
センシングシステム1Dは、
図24に示すような熱画像を取得し、当該対象物が人(ユーザ)であると判定した場合には、さらに、人(ユーザ)における温度分布を分析する。これにより、センシングシステム1Dは、ユーザのその日の体調とユーザの服装が外気温に適しているかを確認(分析)することができ、確認結果をユーザに通知することができる。例えば、外気温は、センシングシステム1Dと通信可能なクラウド等から取得すればよく、ユーザの体温は、熱画像中の顔温度から推定(分析)できる。また、ユーザの着衣量は、着衣表面温度から着衣量(断熱性)を算出することで得られる。
【0226】
また、センシングシステム1Dは、確認結果として、例えば、「今日の所定の地域は晴れ、気温は最低6℃、最高14℃です。貴方の現在の着衣量は1.2clo(cloは着衣量の単位とする)です。もう一枚羽織って出かけたほうがいいですよ」を通知するとしてもよいし、「体温は37.1℃です。風邪気味なので注意してください。」などを通知するとしてもよい。
【0227】
(実施例4:顔チェックおよび美顔アドバイス)
実施例4では、センシングシステム1Dが熱画像を用いてユーザの顔チェックおよび美顔アドバイスを行う場合の動作の一例について説明する。
【0228】
図25は、実施の形態4の実施例4における熱画像の一例を示すイメージ図である。
図25に示す熱画像には、温度分布が単純化して示されている。本実施例では、センシングシステム1Dの計測部15は、ユーザと1m程度の距離でユーザの熱分布を計測することでユーザの顔の温度分布を精度よく分析することができる。
【0229】
センシングシステム1Dは、
図25に示すような熱画像を取得し、当該対象物が人(ユーザ)の顔であると判定した場合には、さらに、ユーザの顔の温度分布を分析する。これにより、センシングシステム1Dは、ユーザの顔の乾燥、シミまたはたるみの確認を行うことができ、確認結果をユーザに通知することができる。例えば、センシングシステム1Dは、ユーザの顔の熱画像に基づいて、顔が低温であると分析する場合には、血流が低下しているとして、顔が乾燥、シミまたはたるみにつながることを通知する。
【0230】
また、例えば、センシングシステム1Dは、ユーザの顔の熱画像に基づいて、頬温度が低いと分析した場合には、確認結果として、生活改善提案情報を通知するとしてもよい。生活改善提案情報としては、例えば、「頬筋エクササイズがお勧めです。」旨の通知や、「シミ、たるみの危険度」を通知するとしてもよい。また、センシングシステム1Dは、頬筋エクササイズに関する情報を生活改善提案情報として通知するとしてもよい。さらに、センシングシステム1Dは、再度ユーザの顔の熱画像に基づいて、ユーザの顔における温度分布を分析し、顔全体が最適温度(34℃)になった場合には、その旨を通知するとしてもよい。
【0231】
このように、ユーザは、センシングシステム1Dにより通知された確認結果を付加した熱画像を確認することができる。これにより、ユーザは、エクササイズ不足の部位を自分の目で判断したり、温感クリーム、化粧品または美顔器による血行促進効果が一目瞭然に判断したり、自分に合った商品を選択したりすることができる。
【0232】
(実施例5:冷え性タイプ別診断)
実施例5では、センシングシステム1Dがユーザの熱画像を用いてユーザの冷え性タイプを診断(分析)する場合の動作の一例について説明する。本実施例では、センシングシステム1Dの計測部15は、ユーザと2m程度の距離でユーザの熱分布を計測することで、ユーザの冷え性タイプを診断(分析)することができる。そして、センシングシステム1Dは、その診断結果をユーザの熱画像に付加して、ユーザに通知するとしてもよい。
【0233】
ここで、診断結果としては、例えば、「あなたは内臓温度低下型冷え性(隠れ冷え性)です。腹部を暖めて、生姜などを食べて、内部発熱を高めてください。」や、「あなたは抹消血管収縮型冷え性です。手足の温水冷水刺激やマッサージがお勧めです。」などがある。
【0234】
このように、ユーザは、センシングシステム1Dにより通知された診断結果を付加した熱画像を確認することができる。これにより、ユーザは、冷えている部位が分かりやすい上、診断結果に納得できる。
【0235】
なお、センシングシステム1Dを利用することで、マッサージ前後のユーザの熱画像などを比較することができるので、マッサージによる冷え性の改善効果も確認できる。
【0236】
また、センシングシステム1Dを利用することで、ユーザの熱画像に基づきユーザ自身またはアプリ等でユーザの身体の冷え具合等を診断することができる。
【0237】
[実施の形態4の効果等]
以上、本実施の形態によれば、認識精度を高めさせることができるセンシング方法、センシングシステムおよびそれらを備える空調機器を実現できる。
【0238】
なお、実施の形態4におけるセンシングシステムは、
図20に示す場合に限らない。以下、実施の形態4におけるセンシングシステムの別の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0239】
図26は、実施の形態4におけるセンシングシステム1Eの構成の一例を示す図である。なお、
図1、
図8および
図20と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0240】
図26に示すセンシングシステム1Eは、
図20に示すセンシングシステム1Dに対して、湿度情報取得部18が追加され、計測部15Aと分析部21Eと通知判定部19Eと通知部17Eの構成が異なる。
【0241】
湿度情報取得部18は、対象空間の湿度情報を取得する。
【0242】
分析部21Eは、熱画像取得部11が取得した熱画像と湿度情報取得部18が取得した湿度情報とに基づいて、識別部12Dで識別された対象物の状態を分析する。
【0243】
通知判定部19Eは、分析部21Eの分析結果に基づいて、ユーザに対して通知すべき情報である通知情報があるかどうかを判定する。
【0244】
通知部17Eは、通知判定部19Eにより通知情報があると判断された場合に、当該通知情報をユーザに対して通知する。
【0245】
(実施の形態5:追加の実施の形態)
本実施の形態では、熱画像センサにて得られた熱画像の画像処理方法に関して説明する。
【0246】
(本発明の一態様を得るに至った経緯)
近年、2次元熱画像(温度分布)を取得する目的で、赤外線センサを備えたエアコンなどの空気調和装置が検討されており、赤外線センサ(以降、熱画像センサと呼ぶ)を用いて、人体や発熱機器の位置を検知して空調制御に反映させる空気調和装置が商品化されている。
【0247】
また、特許文献2に示すように、撮影された熱画像をユーザに提示することで、ユーザ自身に体感温度や床温度情報を提示する空気調和装置についても提案されている。
【0248】
しかしながら、上述のように熱画像を取得し、室内人体や発熱機器の位置を検出して空気制御に反映させる空気調和装置では、熱画像センサによって取得された熱画像を熱画像センサが設置された部屋(家)の外から確認することが出来ないという課題を有していた。
【0249】
そこで、本実施の形態では、前記従来の課題を解決するもので、赤外線センサで取得された熱画像を外部から確認できる手段を提供することを目的とする。
【0250】
(本実施の形態に係る熱画像処理方法の基礎となった知見)
上記したように、例えば空気調和装置(エアコン)で取得した熱画像をユーザに提示するサービスなどが検討されている。一方で近年、室内温度の快適制御を実現すべく、エアコンに搭載する熱画像センサが取得する熱画像の解像度は向上している。高解像度化により、取得する熱画像によっては物や人の輪郭がはっきりと表現され個人の特徴を把握できてしまうことも考えられる。
【0251】
よって家の中で取得した熱画像を家の外で表示することが出来るサービスや、取得した熱画像を保有者以外の第三者に提供するなどのシステム(ビジネス)を検討する際には、たとえ熱画像といえどもプライバシーの保護が不十分な場合がある。
【0252】
以上の問題を解決すべく本熱画像処理方法では、画像取得部とプライバシー領域判定部と修正画像生成部とを備えた熱画像処理装置における熱画像処理方法であって、前記画像取得部が熱画像を取得し、前記プライバシー領域判定部は前記熱画像の特定の温度域に該当する画素をプライバシー領域と判定し、前記修正画像生成部は前記プライバシー領域に該当する画素を修正することを特徴とする。
【0253】
これによって、画像中のプライバシー保護の必要性の高い箇所のみに対して、画像を修正することが出来る。よって熱画像を利用したサービスや収集した熱画像の解析に必要な情報を低減させることなく、プライバシーの保護を強化した画像を生成できる。
【0254】
また、前記特定の温度域は、25℃以上40℃以下であることを特徴としてもよい。
【0255】
これにより、より適切な領域(人体温度)のみを、修正対象の領域とすることが出来る。
【0256】
また、前記特定の温度域における下限温度の値は、環境温度によって変化する値であることを特徴としてもよい。
【0257】
これにより、周囲の温度を考慮した更に適切な温度領域のみを、修正対象の領域とすることが出来る。
【0258】
また、前記画像取得部は、取得した熱画像を記憶しておく熱画像記憶手段を含み、前記プライバシー領域判定部は、前記熱画像記憶手段が記憶した計測時刻の異なる複数の熱画像を比較し、前記特定の温度域に該当する画素であって且つ異なる複数の熱画像において温度差が大きい画素の温度情報を、プライバシー領域と判定してもよい。
【0259】
これにより、機器(家電等)など、人体以外のものであって修正する必要のない箇所をプライバシー領域から除外することが出来る。よってより適切なプライバシー領域の設定が可能となる。
【0260】
また、前記画像取得部は、取得した熱画像に関する情報を記憶しておく熱画像記憶手段を含み、前記プライバシー領域判定部は、前記熱画像の特定の温度域であって、熱画像中の人体の一部の領域をプライバシー領域と判定し、前記熱画記憶手段は、前記熱画像中の人体の一部の領域における温度分布に関する情報を記憶してもよい。
【0261】
また、前記プライバシー領域判定部は、顔画像識別手段を含み、前記顔画像識別手段は取得した熱画像中において人の顔の領域を識別し、識別した顔の領域を前記人体の一部の領域としてもよい。
【0262】
また、修正画像生成部は、前記プライバシー領域判定部がプライバシー領域として判定した人体の一部の領域の形状を、別の形状に変更し、前記温度分布に関する情報を、前記変更した形状の一部に重畳することを特徴としてもよい。
【0263】
これらにより、熱画像を用いたサービスを提供する上で本来必要な温度分布等の情報を失わずに、プライバシーの保護を強化した画像を生成できる。
【0264】
また、前記熱画像処理装置は更にモード判定手段を備え、前記モード判定手段は、取得した熱画像から人の位置を取得し、取得した人の位置と画像取得部が取得した熱画像を撮像した熱画像センサとの距離に基づいて、少なくとも前記プライバシー領域判定部、修正画像生成部が、実行する処理モードを変更してもよい。
【0265】
これにより、使用者にモード選択を強いることなく、利用シーンに合わせた最適な画像生成を行うことが出来る。
【0266】
このように、本実施の形態に係る熱画像処理方法は、熱画像を取得し、熱画像の特定の温度域に該当する画素を修正することを特徴とする。
【0267】
また、本実施の形態に係る別の熱画像処理方法は、人体の一部を認識し、認識した人体の一部の形状を変えて、温度分布情報を前記変更した形状の前記人体の一部に重畳することを特徴とする。
【0268】
本実施の形態の熱画像処理方法によれば、熱画像センサで取得された熱画像を室外(屋外)に居るユーザ自身や、第三者に提示することが可能となり、画像が流出した場合にもプライバシー保護が出来る。
【0269】
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0270】
また、同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する場合もある。
【0271】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本実施の形態を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0272】
なお、以下に示す実施の形態は、あくまで一例であり本システムを限定するものではない。また各々の実施の形態を組み合わせて、本システムを構成してもよい。
【0273】
図28に、熱画像表示装置と熱画像センサを含んだシステムの一例を示す。
【0274】
熱画像センサ201は少なくとも信号送信手段を備え、熱画像表示装置204は少なくとも信号受信手段を備え、ネットワーク202を介して、熱画像の画像データが熱画像センサ201から熱画像表示装置204へと送られる構成となる。
【0275】
ここで、熱画像センサ201はサーモパイルやボロメータなどの赤外線センサからなる温度分布計測手段であってもよい。また熱画像センサ201は、上記したように空気調和機に搭載されるものであってもよいし、これに限られるものではない。
【0276】
熱画像表示装置204は有機ELなどの自発光型のディスプレイであってもよく、バックライトと液晶などの空間変調素子を備えたディスプレイであってもよい。熱画像表示装置204は、例えば熱画像センサ201を使用するユーザが保有するスマートホンやタブレットなどが考えられる。また、熱画像センサ201を使用するユーザ以外のユーザ(もしくは事業者)が確認可能なディスプレイ等であってもよい。
【0277】
また、熱画像センサ201、熱画像表示装置204に備えられた信号送受信手段は、Wi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)、LTEなどの通信方式を用いた送受信手段であってもよい。
【0278】
図28の構成によって、熱画像センサが設置された場所から離れた場所に居るユーザや第三者に対して、熱画像を提示することが可能となる。
【0279】
また、
図28のように、ネットワーク202を介して熱画像表示装置204に熱画像の画像データを送信するシステムにおいて、熱画像表示装置204または熱画像センサ201のいずれか一方または両方が、
図27のような熱画像処理部300を備えている。
【0280】
また、ネットワーク202には、サーバ203が接続されていてもよい。サーバ203が熱画像処理部300を備えていてもよい。これによって、サーバ203に熱画像センサ201にて取得された熱画像を保管することが可能となる。またサーバ203にて、熱画像センサ201にて取得された熱画像を、画像処理によって修正することも可能となる。
【0281】
上記画像処理を行う場合、熱画像センサ201や熱画像表示装置204自身に熱画像を保存するメモリや画像処理を行う信号処理部を備えてもよいが、ネットワーク202に接続されたサーバ203を用いることで、より小型で安価な熱画像センサ201や熱画像表示装置204を用いることが可能となる。
【0282】
図27に示すように、熱画像処理部300は、画像取得部301、プライバシー領域判定部302、修正画像生成部303を備えている。
【0283】
上でも説明したが、熱画像処理部300が備えている一部または全部の構成が、熱画像センサ201内に含まれていてもよいし、熱画像表示装置204に含まれていてもよい。またサーバ203がネットワーク202に接続されているときは、熱画像処理部300が備えている一部または全部の構成は、サーバ203に含まれていてもよい。以下に熱画像処理部300の各構成の処理について説明する。
【0284】
画像取得部301は、熱画像センサ201から熱画像を取得する。ここで画像取得部301は取得した熱画像を記憶しておく熱画像記憶手段(メモリ)としての機能を含んでいてもよい。
【0285】
プライバシー領域判定部302は、画像取得部301が取得した(記憶している)熱画像におけるプライバシー領域(画素)を判定する。プライバシー領域の判定方法に関しては、後述する。
【0286】
修正画像生成部303は、プライバシー領域判定部302で判定されたプライバシー領域(画素)の温度情報を修正する。または、修正画像生成部303は、プライバシー領域判定部302で判定されたプライバシー領域(画素)を非表示としてもよい。これによって修正画像生成部303は、取得した熱画像をプライバシー性の低い熱画像に修正する。
【0287】
修正画像生成部303で生成されたプライバシー性の低い画像は熱画像表示装置204に送信されて表示される。
【0288】
以上のように、本システムでは、熱画像処理部300を備えることで、熱画像センサ201によって、撮影されているユーザにとって他人に見られたくない画像を、他人に見られても気にならない画像に修正できる。これによって、例えばサーバ203を運営している事業者がリサーチ等の目的で第三者(会社・個人)に提供する際に、取得した熱画像をプライバシー性の低い画像として提供できるので、プライバシーを保護することができる。また、端末(熱画像表示装置204)を保有する個人が取得した熱画像を、離れた場所に居る家族や他人と共有したりインターネット上に公開する、などアプリケーションへの応用も期待できる。
【0289】
第三者に熱画像を提供する用途としては、例えば、高齢者の自宅に熱画像センサを設置し、取得した熱画像を離れた家族や、病院、介護施設の職員に提供し、高齢者の生存を見守る用途などが考えられる。当該用途で、可視カメラを用いることは、高齢者のプライバシーの保護の観点から望ましくない。よって熱画像センサを用いることで、気にしない高齢者は多くなるが、
図28に示す熱画像処理部300を備えることで、更に高齢者のプライバシーの保護が強化される。つまり、修正処理を施さなかった場合の熱画像と比較しても、よりプライバシーがより保護された状態で、高齢者の見守りが可能となる。
【0290】
また、お風呂やトイレなど、温度差が大きい環境におけるヒートショック(心筋梗塞・脳梗塞など)による転倒など、高齢者に限らず見守りのニーズがあり、お風呂、トイレともに画像センサを設置することによるプライバシーに関する課題は大きい。これに対し、本実施の形態に示す熱画像処理部を備えたシステムによれば、お風呂、トイレのユーザのプライバシーを守りながら見守ることも可能となるため望ましい。
【0291】
以下では、熱画像処理部300の動作と、熱画像処理部300による画像の修正のされ方について、より詳細に説明する。
【0292】
図29は、熱画像処理部300内の処理の一例について示したフローチャートである。
【0293】
図29の例では、まず画像取得部301にて熱画像データを取得する(S70)。
【0294】
続いて、プライバシー領域判定部302が画像取得部301に取り込まれた熱画像のデータから、25℃から40℃の範囲の画素を抽出する(S71)。そして、プライバシー領域判定部302は該当する画素を“ぼかし範囲”と判定する(S73)。
【0295】
続いて、修正画像生成部303は、その画素に本来の温度分布と異なる温度分布の情報を付与するなどしてぼかし画像を生成する(S74)。ここでは例えば、ぼかし範囲と判定された領域の画素に対して、隣り合う画素との平均化処理を行うことでぼかし画像を生成する。
【0296】
続いて修正画像生成部303は、もとの熱画像の“ぼかし範囲”以外の画素と合成し、修正画像を生成する(S75)。そして、修正画像生成部303は、生成した修正画像を出力する(S76)。出力された修正画像は、熱画像表示装置204に送信される。
【0297】
ここで用いたプライバシー領域判定部302によるプライバシー領域判定方法は、『温度が25℃から40℃の範囲に入ること』とした。この温度は、一般的な人体温度に依存するものである。人体は、周囲の気温にかかわらず常に一定の温度を保つ。よって体温付近の温度の画素をプライバシー領域とする判断条件を用いることで、安定的に人体をぼかすことが可能となる。人体の形態、個人特定に繋がる情報を有する“人体”の領域が、そのまま表示されないことで、プライバシー保護が可能となる。
【0298】
なお、プライバシー領域の下限温度を25℃とし、上限温度を40℃としたが、必ずしもこの温度領域である必要はない。例えば下限温度に関して、その場所の温度(以下、環境温度)より2℃以上高い温度としてもよい。これにより、高温環境下でも、人体領域以外の領域の情報をより多く残すことが可能となる。つまり、プライバシー保護のための情報減を軽減することが可能となる。この場合、熱画像センサ設置場所の温度を計測する手段を備えていることが望ましい。
【0299】
また、環境温度をT℃とすると、下限温度を{(36+X×T)÷(1+X)}℃としてもよい。つまり、36℃(体温を想定)と環境温度の間の温度を下限温度とした。例えば、X=1とすると、36℃と環境温度の平均温度が下限温度となる。体温と環境温度の間の温度を境界温度とすることにより、高温環境下でも低温環境下でも、プライバシー保護による情報減を軽減することが可能となる。
【0300】
また、上記において、高温環境下と低温環境下でXの値を変えてもよい。高温環境下ほど、Xを小さくすることが望ましい。低温環境下より高温環境下のほうが、ユーザの着衣量は小さいことが多く、着衣量が小さいほど着衣表面温度は、環境温度より体温に近くなるため、高温環境下ほどXを小さくすることによって、最適な下限温度を設定できる。
【0301】
高温環境下でも低温環境下でもプライバシー保護のための情報減を抑えながら、着衣部位は安定的にプライバシー領域と判断し、プライバシー保護の安定性も高められる。
【0302】
また、下限の温度を33℃と高めに設定してもよい。これによって、着衣部をプライバシー領域から省き、人の肌が露出している部分(画素のみ)をプライバシー領域とすることが可能となる。裸さえ表示されなければいいというユーザにとっては、最低限のプライバシー保護と最小限の情報減が両立可能となる。
【0303】
以上、いくつか下限温度を設定し、プライバシー領域判定方法を提案したが、上記方法で判定された画素のみをプライバシー領域とするのではなく、周辺の画素まで含めてプライバシー領域を設定してもよい。例えば、下限温度から上限温度の範囲に該当する画素の隣の画素もプライバシー領域としてもよい。より広範囲なプライバシー領域を設定することにより、より安定的にプライバシー保護が可能な熱画像となる。同様に、下限温度から上限温度の範囲に該当する画素の2つ隣の画素、3つ隣の画素もプライバシー領域としてもよい。
【0304】
また、
図29の例では、プライバシー領域を『ぼかす』という手段を用いて修正画像を生成したが、他の手段を用いて修正してもよい。例えば、プライバシー領域全域を『黒塗り』『白塗り』『斜線』『水玉模様』など、“非表示”(温度情報を表示しない)としてもよい。また、“一定の温度”(例えば全て30℃に修正する)などの修正を行ってもよい。
【0305】
また、例えば、隣接する4つの画素のいずれかの温度を無作為に選択し、その温度を表示するなど、いわゆるモザイク処理を用いてもよい。
【0306】
以上による熱画像処理によって得られる修正画像の例について図を用いて示す。
【0307】
例えば、
図31に示すような熱画像を取得した場合、25℃から40℃の領域と、更に隣り合う画素もプライバシー領域として設定し、斜線で塗りつぶす熱画像処理を用いると、
図32のような修正画像が得られる。
【0308】
また、プライバシー領域の下限温度を33℃とした場合は、
図33に示すように、人体の肌が露出している領域のみを斜線で塗りつぶしたような画像が得られる。
【0309】
また、人体の肌の温度も環境温度によって、多少の温度変動があるため、環境温度をもとに体表温度を推定し、下限温度を設定することがより望ましい。
【0310】
図30は、熱画像処理部300内の処理の一例について示したフローチャートである。
図30において、
図29と同様のステップには同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0311】
また、
図30に示すように、プライバシー領域判定条件を『温度が25℃から40℃の範囲に入ること』と、『前フレームからの温度変化が1℃以上の画素』の2つの条件の両方が成り立つこととしてもよい。以下『前フレームからの温度変化が1℃以上の画素』であることの判定方法を説明する。
【0312】
ここでは画像取得部301が、取得した熱画像を記憶しておく熱画像記憶手段(図示せず)としての機能を含む。プライバシー領域判定部302は熱画像記憶手段に記憶されている計測時刻の異なる複数の熱画像を比較し、温度差が大きい画素を特定する。より具体的には、現フレームと前フレーム(現フレームより取得時刻が一つ前のフレーム)とを比較する。そしてプライバシー領域判定部302は、『温度が25℃から40℃の範囲に入ること』と、『前フレームからの温度変化が1℃以上の画素』の2つの条件の両方が成り立つ画素をプラバシー領域として決定する(S72)。
【0313】
これにより、前フレームから物体が移動し、結果的に同じ画素の温度が1℃以上変化することで検出されるという条件を加えることで、
図34に示すように、人体以外の発熱体である家電などはプライバシー領域と判定せず、人体の画素のみをプライバシー領域とすることが可能となる。
【0314】
ここで比較対象を前フレームとしたが、数フレーム前の画像との比較であってもよく、数フレーム前から更に数フレーム前までの各フレームの画素の平均値との比較であってもよい。
【0315】
また、動く物体を除いた背景画像を画像メモリに保存し、背景差分法によって、動体を検出し、動体の領域のみをプライバシー領域としてもよい。より正確に、動体のみをプライバシー領域とすることが可能となる。
【0316】
また、上記方法で判定されたプライバシー領域が含まれる最小サイズの矩形領域をプライバシー領域としてもよい。これによって、
図35に示すように、ユーザの姿勢や体型などの情報も読み取れず、より広範囲な情報の漏洩を防ぐプライバシー保護が可能となる。
【0317】
以上、
図29、
図30に示すフローのように、プライバシー領域を判定し、プライバシー領域(画素)の温度情報を変更する、または、温度情報を非表示とする修正の例について紹介した。
【0318】
次に、
図36のフロー図に示す更に別の熱画像処理方法を示す。
図36において、
図29と同様のステップには同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0319】
図36に示す例では、まず、プライバシー領域判定部302は、熱画像センサ201で取得された熱画像から人体の一部(ここでは人の顔)を検出する(S81)。そして画像取得部301(熱画像記憶手段)は、プライバシー領域判定部302が判定した人の顔の温度分布(以降、実顔温度分布と記す)を記憶する(S82)。ここでは、画像取得部301(熱画像記憶手段)は、人の顔以外の領域の温度分布も含めて記憶してもよい。
【0320】
そして、修正画像生成部303は、実顔温度分布を
図37に示すような、顔イラストに重畳する(S83)。実顔温度分布を重畳した顔イラストをもとの熱画像の顔の位置に上書きし修正画像とする(S84)。
【0321】
ここでプライバシー領域判定部302が人の顔の領域を判定する方法は特に限定しない。プライバシー領域判定部が顔画像識別手段を含み、熱画像における顔の特徴を表す所定の条件を満たす領域を、顔の領域と識別してもよい。ここで顔の特徴を表す所定の条件とは、例えば顔形状における所定の温度条件であったり、所定の形状に関する条件などである。例えば顔の中では鼻の温度は他の顔領域の温度に比べて低く、額の温度は高いなど熱画像ならではの特徴が表れる。顔画像識別手段はこれらの特徴を利用して顔の位置を特定する。
【0322】
図36のフローのような、熱画像処理によって、例えば
図38に示す熱画像は
図39に示す修正画像となる。
【0323】
このような、熱画像処理によって、例えば、顔の温度分布は伝えながら、誰の画像なのか分からなくすることが可能となる。
【0324】
例えば、熱画像センサでユーザ自身を撮影した熱画像を、離れた場所に居る皮膚科の医師などに提出し、顔温度が低下し、シミやシワが発生しやすい状態になっていないか、などについて相談し、顔温度を改善する顔エクササイズや、お勧め食事メニューなどのアドバイスを貰う場合に、ユーザは、自分自身の顔の形を隠しながら温度分布のみを伝えることが可能となる。
【0325】
つまり、プライバシー保護と、自身の顔温度分布情報を伝えることの両立が可能となる。
【0326】
また、別の用途として、例えば、ユーザの全身裸の熱画像を用いた『冷え性タイプ診断』などがある。冷え性には、いくつかのタイプがあり、タイプごとに対策も異なるため、全身の温度分布をもとに冷え性タイプを判定してもらうことで、より効果的な改善策をとることが可能となる。
【0327】
この場合は、
図36のフローの場合と同様に、ユーザの体の温度分布を『実体温度分布』として、
図40に示すような全身イラストに重畳することで、実際のユーザの裸熱画像を見られることなく、ユーザの体表温度分布を伝えることが可能となる。
【0328】
以上、顔や体などの肌の温度分布のみを、熱画像表示装置に表示し、形状情報を変更する例について示した。
【0329】
ここで、顔検出方法としては、例えば、背景差分によって動体を検出し、動体となる画素の内40℃以下で、最も高温の領域を顔と判定してもよい。
【0330】
また、体温度検出方法としては、入浴後の全身温度が高い状態で全身裸熱画像を撮影し、33℃以上の領域を体と判定してもよい。
【0331】
また、顔や体の境界線については、隣り合う画素との温度差が大きい画素を抽出し、境界線を引く方法を用いてもよい。
【0332】
また、上記で示した『実温度分布を重畳する』とは、イラスト上に実画像上の温度分布を再現する方法であればよいが、例えば、実画像上の輪郭とイラストの輪郭が一致するように各実画像の画素を引き伸ばす方法を用いてもよい。
【0333】
以上、本実施の形態の熱画像処理方法について示した。
【0334】
上記で示したように、本実施の形態の熱画像処理方法を用いることで、プライバシー領域(人体)の形状や温度分布の情報を修正しているが、例えば、修正前の本来の温度分布や形状の情報をもとに、画像認識技術を用いて個人を認識し、その人を示す名(個人名や家族での位置づけ:お父さんなど)を表示してもよい。
【0335】
プライバシーは保護しながら、情報を増やすことで、熱画像の用途を拡大することが可能となる。
【0336】
また、本実施の形態の熱画像処理方法は、いくつか用意された熱画像処理方法の中から、ユーザが自由に好みの熱画像処理方法を選択できる手段(UI)を備えていることが望ましい。
【0337】
例えば、本実施の形態にて紹介したように、プライバシー領域の判定条件や熱画像の修正方法について、ユーザ自身が選択できることが望ましい。用途によって適切なプライバシー保護と情報開示の両立が可能となる。
【0338】
また、ユーザは表示する熱画像の画素数、及び、配色を選択することも可能であることが望ましい。ユーザごとに、画素数や配色を選択することが可能となることで、個々のユーザが気になる情報開示量に調節することが可能となる。
【0339】
また、いくつかの動作モードなどを用意し、モードごとに熱画像処理の方法や表示される画素数などの情報が変わってもよい。
【0340】
例えば、美容モードでは、画素数は少なくし、色合いはグレースケールとし、形状を変える熱画像処理を行い、見守りモードでは、画素数は多くし、色合いはアイアンカラーとし、特定の温度領域の画素を非表示とする熱画像処理を行うなど、用途ごとに最適な熱画像処理や画素数、色合いの選択が可能となる。
【0341】
また、熱画像処理部300は自動的にモードを判断するモード判定手段(図示せず)を備えていてもよい。
【0342】
モード判定手段は例えば、熱画像センサ201の近くに動体(人)が居る場合は、美容モードと判定して、画像取得部301、プライバシー領域判定部302、修正画像生成部303に
図36に示す処理を行う指示をする。一方、熱画像センサ201の遠くに動体(人)が居る場合は、見守りモードと判断して、画像取得部301、プライバシー領域判定部302、修正画像生成部303に、
図29または
図30に示す処理を行うように指示する。
【0343】
これによりユーザ自身がモード変更を行う手間が省ける。熱画像センサ201から動体(人)が近くに居るか遠くに居るかの判断は、例えば取得した熱画像において、プライバシー領域と判断された領域の画素数が、所定の閾値以上の場合に近くに居ると判断し、閾値未満の場合に遠くに居ると判断してもよい。また、その他のセンサ(人感センサや他の機器に搭載されているセンサ等)と連携して動体(人)が近くに居るか否かを判断してもよい。
【0344】
本実施の形態において、熱画像処理部300は、熱画像センサ201に内蔵されてもよく、熱画像表示装置204に内蔵されてもよいが、ネットワーク202上にあるサーバ203内にあることが望ましい。これによって、熱画像センサ201、熱画像表示装置204がより小型で軽量となる。
【0345】
また、熱画像センサ201に内蔵される構成は、安全性が高いという観点で最も望ましい構成となる。
【0346】
また、
図28に示す熱画像センサ201は、単独で設置されているように記載されているが、必ずしも単独である必要はない。例えば、空気調和装置や加湿器などの家電に備えられていてもよく、洗面台や浴室などの設備に備えられていてもよい。
【0347】
また、本実施の形態の熱画像処理方法については、
図28に示すように熱画像センサと熱画像表示装置がネットワークを介して繋がっているシステム以外に、熱画像センサと熱画像表示装置が一体となっている装置に対しても用いられる。
【0348】
センサと表示装置一体型であっても、例えば、撮影した熱画像が別の第三者に見られる可能性もあり、また、第三者に確認させることで有効になる使用方法もあるため、本実施の形態に示すような熱画像処理方法を用いることが望ましい。必要な情報を残し、プライバシー保護との両立も可能となる。
【0349】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0350】
このように、本実施の形態にかかる熱画像処理方法は、熱画像に含まれるプライバシー性の高い情報を除去することが可能である。また、本実施の形態にかかる熱画像表示装置、及び、熱画像処理方法は、高齢者の見守りや、顔や体の皮膚温度分布の情報を用いた美容サービスなど様々な用途に用いることが可能となる。
【0351】
(その他の変形例)
以上、本開示の一つまたは複数の態様に係るセンシング方法、センシングシステムおよびそれらを備える空調機器、並びに、熱画像処理方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。例えば、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0352】
(1)本開示では、熱画像取得部、識別部、提示部および受付部を備えたセンシングシステムおよびこれを備える空調機器について説明した。しかし、センシングシステムにおける識別部やその他の構成(提示部および受付部等)はソフトウェアとして別個の構成とすることも可能である。この場合、当該ソフトウェアを処理する主体は、空調機器に搭載される演算部であってもよいし、PC(パーソナルコンピュータ)やスマートホン等に含まれる演算部であってもよいし、センシングシステムおよびこれを備える空調機器とネットワークを介して接続されるクラウドサーバ等であってもよい。
【0353】
(2)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0354】
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0355】
(4)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0356】
(5)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0357】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0358】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0359】
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0360】
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0361】
(6)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0362】
本開示は、センシング方法、センシングシステムおよびそれらを備える空調機器に利用でき、特に、ペットエアコン、見守りエアコン、健康エアコン等の空調機器に搭載されるセンシング方法、センシングシステムおよびそれらを備える空調機器に利用可能である。