特許第6835939号(P6835939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6835939植物由来成分を含有するシート状又は板状押出発泡体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6835939
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】植物由来成分を含有するシート状又は板状押出発泡体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20210215BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20210215BHJP
   B29C 48/07 20190101ALI20210215BHJP
   C08L 3/02 20060101ALI20210215BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20210215BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20210215BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20210215BHJP
【FI】
   C08J9/12CEP
   C08J9/12CES
   B29C44/00 E
   B29C48/07
   C08L3/02
   C08L23/12
   B29K105:04
   B29L7:00
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-206022(P2019-206022)
(22)【出願日】2019年11月14日
(62)【分割の表示】特願2015-128865(P2015-128865)の分割
【原出願日】2015年6月26日
(65)【公開番号】特開2020-94189(P2020-94189A)
(43)【公開日】2020年6月18日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】500308749
【氏名又は名称】株式会社生出
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】高木 義規
(72)【発明者】
【氏名】中山 哲
(72)【発明者】
【氏名】高橋 耕一
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−124290(JP,A)
【文献】 特開2013−170207(JP,A)
【文献】 特開2011−213966(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3102780(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0127731(US,A1)
【文献】 特開2001−192489(JP,A)
【文献】 特開2012−189661(JP,A)
【文献】 特表2003−523434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00− 9/42
B29C 44/00−44/60;67/20
B29C 48/00−48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状又は板状に成型され、主成分となるデンプン、又は、主成分となるデンプン及び植物性セルロースと、ポリプロピレンを含む発泡用プラスチックと、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性体を含み、前記主成分と前記発泡用プラスチックを含む混合物に対する改質剤と、を混合して得られる原材料を用い、
前記原材料における前記主成分の含有量は、前記発泡用プラスチックに対して100重量%以上且つ350重量%以下とし、
前記原材料の全体に対して3重量%から8重量%の水を発泡剤として用い、
前記原材料を、幅方向に複数の開口を有するダイスの前記開口を通過させ、前記開口を経て発泡する複数の紐状部材を互いに融着させることでシート状又は板状に成形すること
を特徴とする植物由来成分を含有するシート状又は板状押出発泡体の製造方法。
【請求項2】
前記ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変生体は、前記シート状又は板状押出発泡体の全体に対して0.1重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の植物由来成分を含有するシート状又は板状押出発泡体の製造方法。
【請求項3】
前記原材料における前記デンプンの含有量は、前記発泡用プラスチックに対して100重量%以上且つ350重量%以下となることを特徴とする請求項1又は2記載の植物由来成分を含有するシート状又は板状押出発泡体の製造方法。
【請求項4】
前記発泡用プラスチックは、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系樹脂及び/又はスチレ
ン系樹脂と、の混合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の植物由来成分を含有するシート状又は板状押出発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来成分を含有するシート状又は板状押出発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等といった発泡用プラスチックを主成分とする発泡体は、断熱性や緩衝性などに富み、断熱材、緩衝材や包装容器として利用されている。
【0003】
この発泡プラスチックをシート状又は板状に形成する際、例えば、発泡用プラスチックに予備発泡ビーズを混練し、シート状又は板状に成型後、加熱処理して発表ビーズを発泡させる。このビーズ法により、例えば、ポリスチレンを発砲させて0.5mm程度の厚さを持つ発泡ポリスチレンシートを得ることができる。
【0004】
近年、自然環境に対する意識が高まり、環境保護の取り組みが叫ばれている。そして、この取り組みの一環として、環境にやさしい材料(例えば、植物由来の成分)を用いた「発泡体」が求められている。例えば、特許文献1には、従来の発泡体(例えば、発泡スチレン)に比べて自然環境に優しい発泡体として、官製葉書古紙を主成分とする押出発泡体が開示されている。この押出発泡体は、主成分である官製葉書古紙と樹脂成分であるポリプロピレンと補助剤としてのコーンスターチとを混練し、その後、これを押出成形することによって得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−354795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の押出発泡体は、繭状(棒状)体となっており、その形状が不安定になりやすい。従って、梱包用の箱の余裕空間を埋めるため等の用途であれば良いが、シート状又は板状の押出発泡体を得ることが難しいという問題があった。
【0007】
また、特許文献1に記載の押出発泡体の製造プロセスにおいては、官製葉書古紙と他の成分(ポリプロピレン樹脂やコーンスターチ)との混練に先だって、ミキサーカッタ方式の粉砕機で官製葉書古紙を粉砕する必要がある。しかしながら、ミキサーカッタ方式の粉砕機を用いて官製葉書古紙を粉砕するためには、この粉砕に要する時間、装置が別途必要となるため、製造効率の低さや製造コストの高さが問題となっている。中でも、粉砕に要する電力の増大は、環境保護の観点から十分とは言えない。また、こうして得られた発泡体は表面美粧性、圧縮強度が十分とは言えずその改善が求められている。
【0008】
更に、従来のビーズ法を用いた発泡プラスチックシートは、製造工程の温度管理を高度に行う必要があるという課題もあった。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、デンプン及び/又は植物性セルロースを含有するシート状又は板状押出発泡体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の植物由来成分を含有するシート状又は板状押出発泡体は、シート状又は板状に成型され、主成分であるデンプン及び/又は植物性セルロースと、発泡用プラスチックと、前記植物性セルロースと前記発泡用プラスチックを含む混合物に対する改質剤と、を含むことを特徴とする。
【0011】
上記シート状又は板状押出発泡体に関連して、前記発泡用プラスチックは、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂と、の混合物であることを特徴とする。
【0012】
上記シート状又は板状押出発泡体に関連して、前記発泡用プラスチックに占める、前記エチレン系樹脂及び/又は前記スチレン系樹脂の合計重量の割合は、20%以上40%以下であることを特徴とする。
【0013】
上記シート状又は板状押出発泡体に関連して、発泡体全体に対して、前記エチレン系樹脂及び/又は前記スチレン系樹脂の合計重量の割合は、5%以上15%以下であることを特徴とする。
【0014】
上記シート状又は板状押出発泡体に関連して、前記デンプン及び/又は植物性セルロース中に、紙パルプ系セルロースが30重量%以下で含有されることを特徴とする。
【0015】
上記シート状又は板状押出発泡体に関連して、前記改質剤は、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変生体であることを特徴とする。
【0016】
本発明の植物由来成分を含有するシート状又は板状押出発泡体は、シート状又は板状に成型され、主成分である発泡用プラスチックと、デンプン及び/又は植物性セルロースと、前記発泡用プラスチックと前記デンプン及び/又は植物性セルロースとを含む混合物に対する改質剤と、を含むことを特徴とする。
【0017】
上記シート状又は板状押出発泡体に関連して、前記発泡用プラスチックは、ポリプロピレン樹脂と、エチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂と、の混合物であることを特徴とする。
【0018】
上記シート状又は板状押出発泡体に関連して、前記改質剤は、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変生体であることを特徴とする。
【0019】
上記押出発泡体の製造方法は、植物性セルロースと発泡用プラスチックとを含むものを混合物と定義した際、発泡剤が添加された前記混合物から粉状配合物を調製する粉状配合物調製ステップと、前記粉状配合物に対して押出発泡を行う押出発泡ステップと、を有することを特徴とする。
【0020】
上記押出発泡体の製造方法に関連して、前記押出発泡ステップでは、押出混練機を活用し、その押出機のダイスには押出物が通過するストランド状開孔を列状又は複数列状に設け、ダイスの先にはシート状又は板状の外形を構成する発泡空間形成部を有することを特徴とする。
【0021】
上記押出発泡体の製造方法に関連して、前記押出発泡ステップでは、押出混練機を活用し、その押出機のダイスには押出物が通過するスリットを単一又は複数に設け、ダイスの先にはシート状又は板状外形を構成する発泡空間形成部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来に比べ自然環境に優しい特徴のある押出発泡体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】押出発泡体の製造方法の概要を示すフロー図である。
図2】押出発泡体の製造で用いる二軸押出機において(A)混練部及びダイス近傍を拡大して示す平面図、(B)同ダイス近傍を下流側から視た正面図、(C)同二軸押出機の他のダイス構造を下流側から視た正面図である。
図3】押出発泡体の特性評価の定義を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第一実施形態>
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の第一実施の形態を説明する。第一実施形態では、主成分をデンプン及び/又は植物性セルロースとしたシート状又は板状押出発泡体(以下、押出発泡体)を開設する。
【0026】
(押出発泡体)
押出発泡体は、主成分と、発泡用プラスチックと、発泡剤と、改質剤、添加剤とを含む。
【0027】
(主成分)
主成分は、自然環境にやさしい成分であり、デンプン及び/又は植物性セルロースを用いる。また、デンプン及び/又は植物性セルロース成分としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、もち米デンプン、小麦デンプン)、紙パルプ等がある。なお、この主成分には、官製葉書古紙は含まれないことが好ましい。なお、主成分の定義として、ここでは発泡用プラスチックよりもデンプン及び/又は植物性セルロースの重量比率が大きいことを意味する。
【0028】
押出発泡体全体に対する主成分となるデンプン及び/又は植物性セルロースの含有量は、35重量%以上であることが好ましく、45重量%以上であることがより好ましい。押出発泡体全体に対する主成分となる植物性セルロースの含有量の上限は、他の成分の含有量との関係で、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。
【0029】
また、発泡用プラスチックに対する主成分(デンプン及び/又は植物性セルロース)の含有量の上限は、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。例えば、350重量%以下であることが好ましく、300重量%以下であることがより好ましい。
【0030】
(発泡用プラスチック)
発泡用プラスチックは、ポリプロピレン、スチレン系樹脂(例えばポリスチレン、高衝撃性ポリスチレン、ABS等)、エチレン系樹脂(例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂等)、ポリエステル等があるが、製造容易性の面から、ポリプロピレン、ポリスチレンが中心的に使用される。
【0031】
押出発泡体全体に対する発泡用プラスチックの含有量は、例えば、10重量%以上50重量%未満であることが好ましく、25重量%以上45重量%以下であることがより好ましい。
【0032】
また発泡用プラスチックに占める、エチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂の合計重量の割合は、20%以上40%以下であることが好ましい。また、押出発泡体全体に対して、エチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂の合計重量の割合は、5%以上15%以下であることが好ましい。
【0033】
(発泡剤)
発泡剤として、有機系、無機系の公知発泡剤を適宜選択して用いることができるが、有機系の発泡剤の場合には、防爆管理、製品安全性の確保、さらには環境保護等の面から好ましくはない。それゆえ、無機系の発泡剤を用いることが好ましい。無機系の発泡剤としては、水、空気、炭酸ガス、窒素、アルゴン、ヘリウム、等があるが、大気下の開放系で使用が可能という取扱いの容易さから、水を用いることが好ましい。
【0034】
押出発泡体全体に対する発泡剤の含有量は、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。例えば、その含有量の範囲は、1重量%以上8重量%以下であることが好ましく、3重量%以上6重量%以下であることがより好ましい。
【0035】
(添加剤)
添加剤としては、例えば、改質剤、核剤、色材、消臭剤、抗菌剤等がある。
【0036】
以下、説明の便宜上、主成分となるデンプン及び/又は植物性セルロース、発泡用プラスチックと、添加剤とが混合されたものを混合物と称する。
【0037】
(改質剤)
改質剤は、混合物(特に、デンプン及び/又は植物性セルロースと発泡用プラスチック)の溶融張力の向上や、混合物における相溶性の向上を図るためのものである。改質剤は、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性体であり、より具体的にいえば、ポリテトラフルオロエチレン(A)および炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマー(B)からなるものであり、その具体例として、メタブレンA3000 三菱レイヨン社製がある。押出発泡体全体に対する改質剤の含有量は、例えば、0.1重量%以上0.4重量%以下であることが好ましい。
【0038】
ポリテトラフルオロエチレン(A)は、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を公知の方法で重合することにより得られるものである。ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、等の含フッ素オレフィンを含むことができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレンに対して10重量%以下であることが好ましい。炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマー(B)は、炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレートを含む単量体をラジカル重合あるいはイオン重合等で重合することにより得られるものである。炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの単量体は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート、等の炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、等のジエン系単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0039】
炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマー(B)/ポリテトラフルオロエチレン(A)の重量比は0.2以上が好ましく、0.5以上であることがより好ましい。(B)/(A)の重量比が0.2未満ではポリテトラフルオロエチレンの分散性が低下する恐れがある。
【0040】
(核剤)
核剤として、公知の物質(例えば、タルク)を適宜選択して用いることができる。核剤としては、粉末のものを用いることが好ましい。押出発泡体全体に対する核剤の含有量は、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。例えば、その含有量の範囲は、0.1重量%以上3重量%以下であることが好ましい。
【0041】
その他の添加剤として、発泡助剤、補強材、充填剤、軟化剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、難燃剤、離型剤等があり、いずれも本発明に適用できる。
【0042】
このように、本第一実施形態の押出発泡体は、その主成分となるデンプン及び/又は植物性セルロースが自然環境にやさしい成分であるため、主成分の製造・調達課程のみならず、押出発泡体の製造課程においても、自然環境にやさしいものといえる。
【0043】
また、本第一実施形態の組成にすると、後述する表面平滑性、融着性、エッジのキレ、発泡状態がバランスよく良好とすることが可能となる。
【0044】
(押出発泡体の製造方法)
【0045】
図1に示すように、押出発泡体の製造方法2は、デンプン及び/又は植物性セルロースAと発泡用プラスチックBと所定の添加剤Cを含む混合物M1を調製する混合物調製ステップ10と、混合物M1に対し発泡剤Fを添加する発泡剤添加ステップ20と、発泡剤Fが添加された混合物M1から粉状の配合物M2を調製する配合物調製ステップ30と、配合物M2に対して押出発泡を行う押出発泡ステップ40とを有する。
【0046】
混合物調製ステップ10において用いられるデンプン及び/又は植物性セルロースAと発泡用プラスチックBと所定の添加剤Cとは、それぞれ粉状または粒状で有ることが好ましい。発泡剤添加ステップ20において用いられる添加剤Fは、常温において液状であることが好ましい。これにより、混合物調製ステップ10、発泡剤添加ステップ20や、配合物調製ステップ30において、各成分を均一に分散させることができる。
【0047】
混合物調製ステップ10と、発泡剤添加ステップ20と、配合物調製ステップ30とは、混合装置(例えば、ヘンシェルミキサー等)や、二軸押出機の混合部分を用いて行うことができる。また、押出発泡ステップ40は、押出装置(例えば、二軸押出機)を用いて行う。この場合、30と40は同一押出機中で段階を踏んで実施しても良い。
【0048】
図2(A)に、この二軸押出機100における、混練部110、ダイス120及び発泡空間形成部130を示す。混練部110は、2軸のスクリューによって、原料を混練しながらダイス120に流し込む。ダイス120は、幅方向に複数列を成すストランド状開口122が形成される。図2(B)に示すように、本実施形態では、厚さ方向に2段のストランド状開口122が配置される。発泡空間形成部130は、ストランド状開口122を押しだされた材料が発泡して膨張し、発泡する紐状部材が互いに融着して、シート状又は板状の外形を画定する場所となる。なお、図2(C)に示すように、このストランド状開口122を、単一又は複数のスリット124に変更して、発泡体を製造することも可能である。
【0049】
なお、押出発泡体の製造方法2は、押出発泡ステップ40によって得られた押出発泡体Xを所定の形状に加工する加工工程を有していても良い。
【実施例1】
【0050】
本第一実施形態の押出発泡体を、以下の方法により実験A−1〜A−9に沿って製造した。各実験の説明は、実験A−1について詳細に行い、他の実験については、実験A−1と異なる部分のみの説明を行い、実験A−1と同じ部分の説明は省略する。
【0051】
(実験A−1)
【0052】
以下の手順で、押出発泡体の製造方法2(図1参照)を行った。混合物調製ステップ10では、表1に示す各成分(デンプン及び/又は植物性セルロースと発泡用プラスチックと添加剤)を、定量供給装置を介して二軸押出機(日本製鋼社製 TEX77 L/D=21)の供給部に投入、混合し、混合物を調製した。なお、デンプン及び/又は植物性セルロースとしては、コーンスターチ(昭和産業社製 昭和コスターチ)を用いた。
【0053】
続く次の発泡剤添加ステップ20及び配合物調製ステップ30においては、混合物に対し表1に示す発泡剤を、定量供給装置を介して同二軸押出機の供給部に投入混合し、引き続き押出機の混練部に送られて混錬することにより配合物を得た。この場合押出機の上段側シリンダーC1〜C2の温度は60〜90℃、中段側シリンダーC3〜C4は100〜140℃、下段側シリンダーC5〜C6は170〜200℃であった。押出発泡ステップ40により、押出発泡体を得た。
【表1】
【0054】
(実験A−2〜A−9)
【0055】
表1に示したこと以外は、実験A−1と同様にして、実験A−2〜A−9を行った。実験A−3〜A−8はポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製 ノバテックPP MH4)にポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製 ノバテックLDPE LC500)、ポリスチレン樹脂(Chimei Corporation 製 HIPS PH-88S )を変量して配合し、樹脂配合量による特性を調べた。実験A−9は、実験A−3のコーンスターチの10%を紙粉に置き換えて、デンプン及び/又は植物性セルロース合計量は同じとした。尚、タルクは日本タルク社製 タルクSW、改質剤は、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変生体として、三菱レーヨン社製 メタブレンA-3000 を使用した。
【0056】
(測定・評価)
【0057】
実験A−2以外は、押出発泡体の製造方法2によって押出発泡体が得られた。実験A−2では、核剤又は改質剤(特に改質剤)が含まれないことから、押出発泡がうまくいかず発泡体が得られなかった。実験A−1及び実験A−3〜A−9にて得られた押出発泡体に対し、以下の測定や評価を行った。各実験における測定結果、評価結果を表1に示す。
【0058】
得られた押出発泡体に対して目視観察を行い、図3の写真に示す評価基準で押出発泡体の特性評価を行った。特性評価は、表面平滑性、融着性、エッジのキレ、発泡状態の4種類とした。表面平滑性は、表面の凹凸の状態を意味しており、凹凸が少ない方が良好となる。融着性は、押し出された紐状発泡体の互いの結合度合とし、内部に隙間が形成されずに一体化しているものが良好となる。エッジのキレは、各紐状発泡体の断面形状が方形に近いものが良好となる。発泡状態は、内部に空気孔(発泡セル)が細かいものが良好となる。
【0059】
(圧縮永久歪の測定)
【0060】
JIS Z 0235(2002、包装用緩衝材料−評価試験方法)に従って、得られた押出発泡体の圧縮永久歪を測定した。なお、圧縮永久歪とは、圧縮変形を起こさせた後に、その力を完全に除去した後も残存する変形の比率を数値化したものである。
【0061】
実験A−2を除き、実施例の押出発泡体は、デンプン及び/又は植物性セルロースを主成分とし、例えば全重量の20%以上45%以下を占める発泡用プラスチックとして、ポリプロピレン樹脂にエチレン系樹脂及び又はスチレン系樹脂を混合し、改質剤(ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性体)を用いることにより、表面美粧性、圧縮ひずみ特性に優れた、自然環境にやさしい押出発泡体を成型することができた。その押出発泡体は、従来の押出発泡体に比べ、表面が滑らかであった(特に実験A−3、A−5、A−6、A−9)。
【0062】
発泡用プラスチック全体に占める、エチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂の合計重量の割合が、20%以上40%以下となる実験A−3、A−5、A−6、A−8、A−9は、圧縮永久歪も小さく、各評価特性のバランスが優れているので好ましい。なお、エチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂の合計重量の割合が、発泡プラスチック全体の20%未満、又は40%より大きくになると、実験A−1、A−4、A−7のように、圧縮永久歪が大きくなったり、押出状態が悪化したりして、多少好ましくない場合もあったが、全体の品質としては許容できる範囲内であった。
【0063】
また発泡体全体に対して、エチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂の合計重量の割合が、5%以上15%以下であると、実験A−3、A−5、A−6、A−8、A−9に示すように、圧縮永久歪も小さく、各評価特性のバランスが優れる結果となった。特にエチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂の合計重量の割合が15%未満となる実験A−3、A−5、A−6、A−9は、各評価特性のバランスが一層優れており好ましい結果となった。
【0064】
また、デンプン及び/又は植物性セルロースとしてコーンスターチの一部を紙粉(紙パルプ系セルロース)に置き換えても特性を満足しうるものが得られることが分かった(実験A−9)。特に紙粉が30重量%以下であれば、全体の品質に悪影響を与えない。したがって、このような押出発泡体はこれまでの市場に加え、特に高価な贈答製品等の包装材とか緩衝材用途に好適と言えよう。
【0065】
<第二実施形態>
【0066】
以下本発明の第二実施の形態を説明する。第二実施形態では、主成分を発泡プラスチックとし、副成分としてデンプン及び/又は植物性セルロースとしたシート状又は板状押出発泡体(以下、押出発泡体)を開設する。
【0067】
(押出発泡体)
押出発泡体は、主成分と、発泡用プラスチックと、発泡剤と、改質剤、添加剤とを含む。
【0068】
(主成分:発泡用プラスチック)
発泡用プラスチックは、ポリプロピレン、スチレン系樹脂(例えばポリスチレン、高衝撃性ポリスチレン、ABS等)、エチレン系樹脂(例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂等)、ポリエステル等があるが、製造容易性の面から、ポリプロピレン、ポリスチレンが中心的に使用される。
【0069】
主成分の定義として、ここではデンプン及び/又は植物性セルロースよりも発泡用プラスチックの重量比率が大きいことを意味するが、例えば、押出発泡体全体に対する発泡用プラスチックの含有量は、例えば、50重量%以上であることが好ましい。
【0070】
また発泡用プラスチックに占める、エチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂の合計重量の割合は、40%以上であることが好まく、より好ましくは50%以上とする。また、押出発泡体全体に対して、エチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂の合計重量の割合は、30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上とする。
【0071】
(デンプン及び/又は植物性セルロース)
デンプン及び/又は植物性セルロース成分としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、もち米デンプン、小麦デンプン)、紙パルプ等がある。なお、官製葉書古紙は含まれないことが好ましい。
【0072】
押出発泡体全体に対するデンプン及び/又は植物性セルロースの含有量は、20重量%以上であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましい。押出発泡体全体に対するデンプン及び/又は植物性セルロースの含有量の上限は、他の成分の含有量との関係で、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。
【0073】
また、発泡用プラスチックに対するデンプン及び/又は植物性セルロースの含有量の上限は、発泡用プラスチックの含有量を超えない限り、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。
【0074】
(発泡剤)
発泡剤として、有機系、無機系の公知発泡剤を適宜選択して用いることができるが、有機系の発泡剤の場合には、防爆管理、製品安全性の確保、さらには環境保護等の面から好ましくはない。それゆえ、無機系の発泡剤を用いることが好ましい。無機系の発泡剤としては、水、空気、炭酸ガス、窒素、アルゴン、ヘリウム、等があるが、大気下の開放系で使用が可能という取扱いの容易さから、水を用いることが好ましい。
【0075】
押出発泡体全体に対する発泡剤の含有量は、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。例えば、その含有量の範囲は、1重量%以上8重量%以下であることが好ましく、3重量%以上6重量%以下であることがより好ましい。
【0076】
(添加剤)
添加剤としては、例えば、改質剤、核剤、色材、消臭剤、抗菌剤等がある。
【0077】
以下、説明の便宜上、デンプン及び/又は植物性セルロースと、発泡用プラスチックと、添加剤とが混合されたものを混合物と称する。
【0078】
(改質剤)
改質剤は、混合物(特に、デンプン及び/又は植物性セルロースと発泡用プラスチック)の溶融張力の向上や、混合物における相溶性の向上を図るためのものである。改質剤は、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性体であり、より具体的にいえば、ポリテトラフルオロエチレン(A)および炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマー(B)からなるものであり、その具体例として、メタブレンA3000 三菱レイヨン社製がある。押出発泡体全体に対する改質剤の含有量は、例えば、0.1重量%以上0.4重量%以下であることが好ましい。
【0079】
ポリテトラフルオロエチレン(A)は、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を公知の方法で重合することにより得られるものである。ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、等の含フッ素オレフィンを含むことができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレンに対して10重量%以下であることが好ましい。炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマー(B)は、炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレートを含む単量体をラジカル重合あるいはイオン重合等で重合することにより得られるものである。炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの単量体は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート、等の炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、等のジエン系単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0080】
炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマー(B)/ポリテトラフルオロエチレン(A)の重量比は0.2以上が好ましく、0.5以上であることがより好ましい。(B)/(A)の重量比が0.2未満ではポリテトラフルオロエチレンの分散性が低下する恐れがある。
【0081】
(核剤)
核剤として、公知の物質(例えば、タルク)を適宜選択して用いることができる。核剤としては、粉末のものを用いることが好ましい。押出発泡体全体に対する核剤の含有量は、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。例えば、その含有量の範囲は、0.1重量%以上3重量%以下であることが好ましい。
【0082】
その他の添加剤として、発泡助剤、補強材、充填剤、軟化剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、難燃剤、離型剤等があり、いずれも本発明に適用できる。
【0083】
この本第二実施形態の押出発泡体は、その組成により、従来のビーズ法を採用しなくても、押出成型によってシート状又は板状の発泡体を得ることができる。特に、その一部に自然環境にやさしいデンプン及び/又は植物性セルロールを含んでいることから、押出発泡体の製造課程においても、自然環境にやさしいものとなる。
【0084】
また、本第二実施形態の組成にすると、後述する表面平滑性、融着性、エッジのキレ、発泡状態がバランスよく良好とすることが可能となる。
【0085】
(押出発泡体の製造方法)
図1に示すように、押出発泡体の製造方法2は、デンプン及び/又は植物性セルロースAと、主成分となる発泡用プラスチックBと、所定の添加剤Cを含む混合物M1を調製する混合物調製ステップ10と、混合物M1に対し発泡剤Fを添加する発泡剤添加ステップ20と、発泡剤Fが添加された混合物M1から粉状の配合物M2を調製する配合物調製ステップ30と、配合物M2に対して押出発泡を行う押出発泡ステップ40とを有する。
【0086】
混合物調製ステップ10において用いられるデンプン及び/又は植物性セルロールAと発泡用プラスチックBと所定の添加剤Cとは、それぞれ粉状または粒状で有ることが好ましい。発泡剤添加ステップ20において用いられる添加剤Fは、常温において液状であることが好ましい。これにより、混合物調製ステップ10、発泡剤添加ステップ20や、配合物調製ステップ30において、各成分を均一に分散させることができる。
【0087】
混合物調製ステップ10と、発泡剤添加ステップ20と、配合物調製ステップ30とは、混合装置(例えば、ヘンシェルミキサー等)や、二軸押出機の混合部分を用いて行うことができる。また、押出発泡ステップ40は、押出装置(例えば、二軸押出機)を用いて行う。この場合、30と40は同一押出機中で段階を踏んで実施しても良い。
【0088】
図2(A)に、この二軸押出機100における、混練部110、ダイス120及び発泡空間形成部130を示す。混練部110は、2軸のスクリューによって、原料を混練しながらダイス120に流し込む。ダイス120は、幅方向に複数列を成すストランド状開口122が形成される。図2(B)に示すように、本実施形態では、厚さ方向に2段のストランド状開口122が配置される。発泡空間形成部130は、ストランド状開口122を押しだされた材料が発泡して膨張し、発泡する紐状部材が互いに融着して、シート状又は板状の外形を画定する場所となる。なお、図2(C)に示すように、このストランド状開口122を、単一又は複数のスリット124に変更して、発泡体を製造することも可能である。
【0089】
なお、押出発泡体の製造方法2は、押出発泡ステップ40によって得られた押出発泡体Xを所定の形状に加工する加工工程を有していても良い。
【実施例2】
【0090】
本第二実施形態の押出発泡体を、以下の方法により実験B−1〜B−4に沿って製造した。各実験の説明は、実験B−1について詳細に行い、他の実験については、実験B−1と異なる部分のみの説明を行い、実験B−1と同じ部分の説明は省略する。
【0091】
(実験B−1)
【0092】
以下の手順で、押出発泡体の製造方法2(図1参照)を行った。混合物調製ステップ10では、表1に示す各成分(デンプン及び/又は植物性セルロースと主成分となる発泡用プラスチックと添加剤)を、定量供給装置を介して二軸押出機(日本製鋼社製 TEX77 L/D=21)の供給部に投入、混合し、混合物を調製した。なお、デンプン及び/又は植物性セルロースとしては、コーンスターチ(昭和産業社製 昭和コスターチ)を用いた。
【0093】
続く次の発泡剤添加ステップ20及び配合物調製ステップ30においては、混合物に対し表1に示す発泡剤を、定量供給装置を介して同二軸押出機の供給部に投入混合し、引き続き押出機の混練部に送られて混錬することにより配合物を得た。この場合押出機の上段側シリンダーC1〜C2の温度は60〜90℃、中段側シリンダーC3〜C4は100〜140℃、下段側シリンダーC5〜C6は170〜200℃であった。押出発泡ステップ40により、押出発泡体を得た。
【表2】
【0094】
(実験B−2〜B−4)
表2に示したこと以外は、実験B−1と同様にして、実験B−2〜B−4を行った。主成分となる発泡用プラスチックとして、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製 ノバテックPP MH4)にポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製 ノバテックLDPE LC500)、ポリスチレン樹脂(Chimei Corporation 製 HIPS PH-88S )を変量して配合し、樹脂配合量による特性を調べた。尚、タルクは日本タルク社製 タルクSW、改質剤は、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変生体として、三菱レーヨン社製 メタブレンA-3000 を使用した。
【0095】
(測定・評価)
【0096】
全ての実験において、押出発泡体の製造方法2によって押出発泡体が得られた。実験B−1〜B4にて得られた押出発泡体に対し、以下の測定や評価を行った。各実験における測定結果、評価結果を表1に示す。
【0097】
(圧縮永久歪の測定)
【0098】
JIS Z 0235(2002、包装用緩衝材料−評価試験方法)に従って、得られた押出発泡体の圧縮永久歪を測定した。なお、圧縮永久歪とは、圧縮変形を起こさせた後に、その力を完全に除去した後も残存する変形の比率を数値化したものである。
【0099】
実施例の押出発泡体は、発泡性プラスチックを主成分とし、例えば全重量の20%以上45%以下を占めるデンプン及び/又は植物性セルロースを含有し、また、発泡性プラスチックとしては、ポリプロピレン樹脂にエチレン系樹脂及び又はスチレン系樹脂を混合し、改質剤(ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性体)を用いることにより、表面美粧性、圧縮ひずみ特性に優れた、自然環境にやさしい押出発泡体を成型することができた。その押出発泡体は、従来の押出発泡体に比べ、表面が滑らかであった(実験B−1、B−2、B−3)。
【0100】
特に、発泡性プラスチックとして、ポリプロピレン樹脂、エチレン系樹脂及び又はスチレン系樹脂を混合したものが、全てにおいて特性バランスが優れた(実験B−3)。
【0101】
また、発泡用プラスチックにスチレン系樹脂を含有させると、圧縮永久歪を除いた他の評価特性がバランスよく良好になった(実験B−2、B−3)。一方で、ポリプロピレン樹脂にスチレン系樹脂のみを含有させると、圧縮永久歪が低下しやすい傾向が見られたが、押出特性が良いことから、このような押出発泡体はこれまでの市場に加え、特に高価な贈答製品等の包装材とか緩衝材用途に好適と言えよう。
【0102】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0103】
2 押出発泡体の製造方法
10 混合物調製ステップ
20 発泡剤添加ステップ
30 配合物調製ステップ
40 押出発泡ステップ
図1
図2
図3