(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記容量性スイッチ領域(10)が、前記アクティブ領域内に広がる電界を生成するために提供されていることを特徴とする、請求項1に記載のウィンドウペイン(100)。
前記内側表面(IV)に平行であり、かつ前記内側表面(IV)のサイズであり、かつ内部の方向に10cmの幅を有している領域を、前記アクティブ領域が、有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のウィンドウペイン(100)。
前記容量性スイッチ領域が、供給ライン領域(12)、接続領域(13)、及び周辺領域(15)を有しており、前記供給ライン領域(12)が、前記検出領域(11)と前記接続領域(13)との間における電気接続として提供されており、かつ前記接続領域(13)が、センサエレクトロニクスシステム(14)に電気的に接続することができることを特徴とする、請求項1に記載のウィンドウペイン(100)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に関して、人、好ましくは手、又は同様の誘電体挙動を有する物体がウィンドウペインとの物理的な接触なく検出領域によって検出されると、人、好ましくは手又は物体の無接触検出が、起こる。換言すると、容量性スイッチ領域が電気シグナルを生成すると、すなわち、ウィンドウペインが人、手又は物体によって接触されることなく、スイッチ領域からセンサエレクトロニクスシステムへの電荷輸送が起こると、無接触検出が起こる。
【0010】
そのような容量性スイッチ領域は、人、手及び物体の近接性に基づいて機能を制御することを、可能にする。動かされた物体の無接触検出の結果として、物体によるウィンドウペインの汚染が起こらず、かつ容量性スイッチ領域の機能が、悪影響を受けない。
【0011】
ウィンドウペインは、多くの方法で使用することができる。乗り物ウィンドウペインとしてのウィンドウペインの場合には、それは、例えば、ルーフパネル、ウィンドシールド、リアウィンドウ、サイドウィンドウペイン、又は乗り物内部を区切っている別のグレージングであってよい。ここで、ペインの「外側表面」は、ペインの、外側に向いている表面、すなわち、ペインの、乗り物内部の反対側を向いている表面を意味している。したがって、「内側表面」は、ペインの、内部に面している表面を意味している。
【0012】
建築ペイン又は構造グレージングとしてのウィンドウペインの場合には、ウィンドウペインが、例えば、ファサードグレージング、ルーフパネル、又は生活空間若しくは建物内部を区切っている別のグレージングであってよい。ここで、ペインの「外側表面」は、ペインの、外側に向いている表面、すなわち、ペインの、内部の反対側を向いている表面を意味している。したがって、「内側表面」は、ペインの、内部に面している表面を意味している。
【0013】
内側表面が、コーティングとして、いわゆる「low−Eコーティング」を有している。この場合には、外側表面は、ペインの、内側表面とは反対側の表面である。
【0014】
いわゆる「low−E」コーティングは、少なくとも1つの機能層、並びに随意に、それぞれ、1又は複数の接着層、1又は複数のバリア層、及び/又は1又は複数の反射防止層を有している。low−Eコーティングは、好ましくは、少なくとも1つの接着層、少なくとも1つの機能層、少なくとも1つのバリア層、少なくとも1つの反射防止層、及び別のバリア層を、それぞれ有している層システムである。特に適しているlow−Eコーティングは、少なくとも1つの導電性酸化物(TCO)、好ましくはインジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素でドープされているスズ酸化物(SnO
2:F)、アンチモンでドープされているスズ酸化物(SnO
2:Sb)、アルミニウムでドープされている亜鉛酸化物(ZnO:Al)、及び/又はガリウムでドープされている亜鉛酸化物(ZnO:Ga)の機能層を有している。
【0015】
本発明に係る特に有利なlow−Eコーティングは、60%以下の、好ましくは45%以下の、特に好ましくは30%以下の、特には20%以下の、本発明に係るウィンドウペインの内部側放射率を有している。ここで、「内部側放射率」は、例えば建物又は乗り物の内部における理想的な熱放射体(黒体)と比較して、設置位置においてペインがどれだけの熱放射を放出するかを示す計測値である。本発明に関して、「放射率」は、規格EN12898に準拠している、283Kにおける合計の標準放射率を意味している。
【0016】
low−Eコーティングのシート抵抗は、10オーム/スクエア〜200オーム/スクエア、好ましくは、10オーム/スクエア〜100オーム/スクエアであってよく、特に好ましくは15オーム/スクエア〜50オーム/スクエア、特には、20オーム/スクエア〜35オーム/スクエアであってよい。
【0017】
本発明に係るlow−Eコーティングの、可視スペクトル範囲における吸収は、好ましくは、約1%〜約15%、特に好ましくは約1%〜約7%である。コーティングの吸収は、コーティングされているペインの吸収を計測し、かつコーティングされていないペインの吸収を差分することによって、決定してよい。本発明に係るペインは、好ましくは、反射において、low−Eコーティングが提供されている側から観察して、−15〜+5の色値a
*及び−15〜+5の色値b
*を有している。データa
*及びb
*は、比色モデル(L
*a
*b
* − カラースペース)の色座標に基づいている。
【0018】
また、low−Eコーティングは、可視スペクトル範囲において、低吸収及び低反射を有していてよく、かつ結果として、高い透過性を有していてよい。結果として、low−Eコーティングは、透過性における大幅な低減が望ましくないペインにおいて使用することができ、例えば、建物におけるウィンドウペインにおいて、又は、法律的に規制されているウィンドウペインにおいて、例えば、自動車におけるウィンドシールド若しくは前面ウィンドウにおいて、使用してもよい。
【0019】
low−Eコーティングは、腐食耐性であるという利点を有している。結果として、low−Eコーティングは、ペインの設置位置において、ペインの、内部に向くことが意図されている表面、例えば乗り物又は建物の内部に向くことが意図されている表面に、適用してよい。この表面において、low−Eコーティングが、特に効果的に、夏における内部へのペインからの熱放射の放出、及び冬における外部環境への熱の外向きの放出を、低減する。
【0020】
そのようなlow−Eコーティングは、ルーフグレージングの場合に、乗り物所有者に、十分な熱的な快適性をもたらし、それにより、使用及び機械的な巻き上げサンシェードを省略することができるようにすることに、特に適している。
【0021】
機能層は、熱放射、特には赤外線放射に関する反射特性を有しているが、可視スペクトル範囲においては、主に透過性である。本発明によれば、機能層が、少なくとも1つの透明導電性酸化物(TCO)を有している。機能層の材料の屈折率が、好ましくは、1.7〜2.5である。機能層が、好ましくは、少なくともインジウムスズ酸化物(ITO)を有している。これにより、特に良好な結果が、本発明に係るコーティングの放射率及び適用性に関して、達成される。
【0022】
インジウムスズ酸化物は、好ましくは、マグネトロン強化カソードスパッタリングによって、インジウムスズ酸化物のターゲットを用いて、堆積される。ターゲットは、好ましくは、75重量%〜95重量%のインジウム酸化物、及び5重量%〜25重量%のスズ酸化物、並びに製造に関連する混和物を含有している。インジウムスズ酸化物の堆積は、好ましくは、保護ガス大気、例えばアルゴンの下で、行われる。例えば機能層の均一性を改善するために、少量の酸素を、保護ガスに添加してよい。
【0023】
代替的には、ターゲットが、好ましくは、少なくとも、75重量%〜95重量%のインジウム及び5重量%〜25重量%のスズを、含有していてよい。インジウムスズ酸化物の堆積は、好ましくは、カソードスパッタリングの間に、反応ガスとしての酸素の添加を伴って、行われる。
【0024】
本発明に係るペインの放射率は、機能層の厚みによって影響を受けうる。機能層の厚みは、好ましくは、40nm〜200nm、特に好ましくは90nm〜150nm、最も特に好ましくは、100nm〜130nmであり、例えば、約120nmである。機能層の厚みに関するこの範囲では、放射率に関する特に有利な値、及び、機能層の、機械的変形、例えば曲げ又は強化に損傷なく耐える特に有利な能力が、得られる。
【0025】
しかしながら、機能層が、他の透明導電性酸化物、例えば、フッ素でドープされているスズ酸化物(SnO
2:F)、アンチモンでドープされているスズ酸化物(SnO
2:Sb)、インジウム亜鉛混合酸化物(IZO)、ガリウムでドープされている若しくはアルミニウムでドープされている亜鉛酸化物、ニオブでドープされているチタン酸化物、カドミウムスズ酸塩、及び/又は亜鉛スズ酸塩を、含有していてもよい。
【0026】
反射防止層は、本発明に係るウィンドウペインにおける可視スペクトル範囲での反射を、低減する。特には、反射防止層によって、本発明に係るウィンドウペインを通る高い透過性が、可視スペクトル範囲において得られ、かつ反射された光及び透過された光のニュートラルな色印象が、得られる。反射防止層は、また、機能層の腐食耐性を改善する。反射防止層の材料は、好ましくは、機能層の材料の屈折率よりも小さい屈折率を有している。反射防止層の材料の屈折率は、好ましくは、1.8以下である。
【0027】
low−Eコーティングとして適切な例示的な層システム、及びそれらの製造方法が、例えば、国際公開第2013/131667号から知られている。
【0028】
本発明に係るウィンドウペインにおいて、複数の容量性スイッチ領域が、少なくとも1つの無コーティング分離ラインによって、low−Eコーティングから、電気的に分離されている。これは、分離ラインによって分離される領域が、互いから電気的に隔離されていることを意味している。分離ラインによって分離される領域は、有利には、互いから電気的に隔離されている。
【0029】
好ましい実施態様によれば、検出領域が、電界を生成するために提供される。電界は、アクティブ領域内に広がっている。物体がアクティブ領域内において動かされた場合に、この物体が、電界における変化を引き起こし、この変化が、容量性スイッチ領域によって、検出される。この変化は、物体の位置に依存しており、それにより、位置の検出も可能なようになっている。
【0030】
本発明に係るウィンドウペインの容量性スイッチ領域は、ウィンドウペイン又は複合ペインの内部又は外部における機能を電気的に制御するために使用することができ、好ましくは、機能性中間層の光学的透明度における変化、特には、懸濁粒子装置(SPD)層、ポリマー拡散液晶(PDLC)層、又はエレクトロクロミック中間層の光学的透明度における変化の、ウィンドウペインの加熱機能の、照明の、特にはウィンドウペイン上若しくはウィンドウペイン内部に配置された照明手段、例えばLEDの、電気的な制御のために、使用することができる。
【0031】
透明度における変化は、段階的に起こり得る。したがって、段階的な太陽光光防護を実現し、慣用的な機械的巻き上げサンシェードの設置を省略することさえ、可能である。
【0032】
検出領域が、物体及びその動きの方向を検出し得ることが、特に有利である。したがって、透明度における変化が達成されるだけではなく、変化の方向もまた、検出される。したがって、ウィンドウペインに沿う、第一方向における人のスワイプジェスチャー(払う仕草)が、段階的な遮光を引き起こしてよく、かつ反対方向への人のスワイプジェスチャーが、遮光における低減を引き起こしてよい。
【0033】
好ましくは、検出領域が、その長さがそれらの幅よりも実質的に比較的大きい、少なくとも2つのストリップ形状のサブ領域において、実施される。結果として、アクティブ領域が拡張され、かつ容量性スイッチ領域の感度が、増加する。
【0034】
検出領域の、複数のサブ領域への分割は、物体の、その位置の関数としての検出を、可能にする。
【0035】
そのような配置では、2つの隣接するサブ領域が、それぞれ、2つの電極を形成し、これらが、互いに容量的にカップリングされる。電極によって形成されるコンデンサのキャパシタンスが、物体、好ましくは人の手の接近によって、変化する。キャパシタンス変化が、センサエレクトロニクスシステムによって計測され、閾値を超えた場合に、スイッチシグナルが作動する。感受性領域が、電極が容量的にカップリングしている領域の形状及びサイズによって、規定される。2つの隣接するサブ領域のうちの1つが、接地電位にカップリングしていてよい。
【0036】
サブ領域が、分離ラインの幅に対応する無コーティング距離で、配置されてよい。サブ領域の長さ方向軸が、内側表面のうちの1つの側部に平行に延在していてよい。サブ領域が、内側表面のうちの1つの側部に対応する長さを有していてよい。特には、サブ領域の長さが、内側表面の幅に対応していてよい。サブ領域のそれぞれの幅が、一定であってよい。代替的には、サブ領域の幅が、様々な値であってよい。サブ領域の平行な配置によって、事実上、内側表面の全体が、検出領域として機能し得る。接地電位にカップリングしているサブ領域が、その隣接サブ領域よりも実質的に小さい幅を有していてよい。したがって、例えば、サブ領域が、接地電位にカップリングしているその隣接サブ領域よりも、約10倍広く、実施されていてよい。
【0037】
サブ領域の配置によって、アクティブ領域を、内側表面に平行な領域にわたって、内部の方向に拡大することが可能である。アクティブ領域は、好ましくは、10cm以下の幅を有していてよい。提供されるアクティブ領域によって、物体、例えば人の手を、無接触で検出することが可能であり、かつシグナルを生成することが可能である。
【0038】
本発明に係る容量性スイッチ領域が、検出領域、供給ライン領域、及び接続領域を有していてよく、ここで、供給ライン領域が、検出領域を接続領域に電気的に接続しており、かつ接続領域が、センサエレクトロニクスシステムに電気的に接続することができる。
【0039】
本発明の有利な実施態様では、供給ライン領域の、長さの幅に対する比が、1:700以下であり、好ましくは、1:3〜1:100である。本発明に関して、供給ライン領域が一定の幅を有していない場合には、例えば、供給ライン領域が台形又は水滴状の形状で実施されている場合には、「幅」は、供給ライン領域の平均幅を意味している。
【0040】
供給ライン領域の長さが、1cm〜70cm、好ましくは1cm〜12cm、特には3cm〜8cmである。供給ライン領域の幅が、好ましくは0.5mm〜10mmであり、特に好ましくは0.5mm〜2mmである。供給ライン領域の形状は、好ましくは、矩形、ストリップ形状、又はライン形状である。供給ライン領域は、直線的であってよいが、湾曲した形状、角のある形状、L形状、U形状であってよく、又は、任意の所望の曲線的な形状を有していてよい。このようにして、供給ライン領域が、簡便な様式で、ペインのそれぞれの周辺環境、例えば無low−Eコーティング区域、に適応してよく、かつ例えば、それらを迂回してよい。
【0041】
検出領域は、原則として、任意の所望の形状を有していてよい。特に適切な検出領域は、水滴形状である。代替的には、角のある形状が可能であり、例えば、三角形、正方形、矩形、台形、若しくは他のタイプの四辺形、又はより高次の多角形が可能である。丸みを帯びているコーナーが、特に有利である。これは、検出領域と供給ライン領域の間の移行領域、及び/又は、供給ライン領域と接続領域との間の移行領域に、適用される。コーナーが、少なくとも3mm、好ましくは少なくとも8mmの曲率半径を有していることが、特に有利である。
【0042】
本発明に係るペイン設備の有利な実施態様では、分離ラインの幅t
1が、30μm〜200μm、好ましくは70μm〜140μmである。そのような細い分離ラインは、信頼性がありかつ十分に高い電気絶縁を可能とし、かつ同時に、複合ペインを通る視界を、わずかにのみ妨害し、又は全く妨害しない。
【0043】
有利な実施態様では、スイッチ領域が、表面電極を形成している。表面電極のキャパシタンスが、外部容量性センサエレクトロニクスシステムによって、計測される。表面電極のキャパシタンスが、適切な物体(好ましくは人の手)がその近傍に来たときに、接地に対して変化する。キャパシタンス変化が、センサエレクトロニクスシステムによって、計測される。閾値を超えると、スイッチシグナルが作動する。スイッチ領域は、表面電極の形状及びサイズによって、規定される。
【0044】
以下で「周辺領域」として言及される、容量性スイッチ領域の外に配置されるlow−Eコーティングの領域が、別の接続領域を介して、センサエレクトロニクスシステムに接続しており、又は接続することができる。周辺領域は、容量性スイッチ領域の外のlow−Eコーティング全体を含んでいてよい。代替的には、周辺領域が、1又は複数の分離ラインによってlow−Eコーティング全体から隔離されていてよく、かつ容量性スイッチ領域及び周辺のlow−Eコーティングから電気的に隔離されていてよい。容量性スイッチ領域に隣接しており、かつ周辺領域を、それを取り囲んで配置されている残りのlow−Eコーティングから隔離している分離ラインは、好ましくは、0.1mm〜200cm、特に好ましくは0.5mm〜100mm、特には、1mm〜11mmの距離を有している。したがって、この距離は、周辺領域の幅に対応している。周辺領域は、すべての容量性スイッチ領域、別個の容量性スイッチ領域のそれぞれ、又は容量性スイッチ領域の別個の群、に隣接していてよい。
【0045】
本発明に係る容量性スイッチ領域、及び随意に周辺領域が、本発明に係るウィンドウペインに統合されている。これにより、ウィンドウペインに取り付ける必要がある、スイッチ器又はこれに類するものは、別個の構成要素として、必要とされない。ウィンドウペインは、好ましくは、向こう側を通して見る領域においてその表面に配置されている他の構成要素も、有していない。これは、ウィンドウペインの薄い設計、及びウィンドウペインを通る視界のほんのわずかな妨害という観点から、特に有利である。
【0046】
本発明の別の態様は、少なくとも下記を有しており、容量性スイッチ領域及びコーティングを有している、複合ペインを含んでいる:
− 容量性スイッチ領域及びコーティングを有している本発明に係るペインからなる、1つの内側ペイン、
− 内側表面を有している、1つの外側ペイン、及び、
− 外側ペインの内側表面を、内側ペインの外側表面に面状に結合している、少なくとも1つの中間層。
【0047】
したがって、複合ペインの内側表面が、内側ペイン(すなわち本発明に係るペイン)の内側表面に対応し、かつ複合ペインの外側表面が、外側ペインの外側表面に、対応する。
【0048】
複合ペインの場合には、内側ペイン及び外側ペインが、少なくとも1つの中間層によって、互いに結合している。中間層は、好ましくは、透明である。中間層は、好ましくは、少なくとも1つのプラスチック、好ましくは、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレンビニルアセテート(EVA)、及び/又はポリエチレンテレフタレート(PET)を含有している。しかしながら、中間層が、例えば、ポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリレート、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルクロリド、ポリアセテート樹脂、キャスティング樹脂、アクリレート、フッ素化エチレンプロピレン、ポリビニルフルオリド、及び/若しくはエチレンテトラフルオロエチレン、又は、これらのコポリマー若しくは混合物を含有していてよい。中間層は、1つのフィルム、又は互いに重なって配置されている複数のフィルムによって、形成されていてよく、ここで、フィルムの厚みが、好ましくは、0.025mm〜1mm、典型的には0.38mm又は0.76mmである。中間層は、好ましくは、熱可塑性であってよく、かつ積層後に、内側ペイン、外側ペイン、及びあり得る追加的な中間層を、互いに接着的に結合してよい。中間層は、好ましくは、2〜4、特に好ましくは2.1〜2.9の比誘電率を有している。
【0049】
本発明の有利な態様は、本発明に係るウィンドウペイン又は本発明に係る複合ペイン、並びに接続領域を介して容量性スイッチ領域に電気的に接続しており、かつ随意に別の接続領域を介して周辺表面に接続しているセンサエレクトロニクスシステム、を有しているペイン設備を、含んでいる。センサエレクトロニクスシステムは、容量性センサエレクトロニクスシステムである。
【0050】
本発明に係るスイッチ設備の有利な実施態様では、センサエレクトロニクスシステムの感度が、選択されており、それにより、アクティブ領域において人によって動かされた物体の検出時に、センサエレクトロニクスシステムが、スイッチシグナルを生成するようになっている。
【0051】
無論、検出領域が、複数の指又は異なる人の体の部位を検出してもよい。本発明に関して、「検出」は、測定シグナル、すなわちこの場合にはキャパシタンスの、測定可能な変化をもたらす、スイッチ領域との任意の相互作用、を意味している。
【0052】
放出されるスイッチシグナルは、所望に応じて適合させてよく、かつそれぞれの使用の要件に適合させてよい。したがって、スイッチシグナルが、正の電圧、例えば、12Vを意味してよく、スイッチシグナルがないことが、例えば、0Vを意味してよく、かつ別のスイッチシグナルが、例えば、+6Vを意味してよい。スイッチシグナルは、CANバスに慣用的な電圧CAN−High及びCAN−Lowに対応していてもよく、かつこれらの間の電圧値によって変化してもよい。スイッチシグナルは、パルスであってもよく、かつ/又は、デジタル的にコードされていてもよい。
【0053】
本発明に係るそのようなペイン設備の特に有利な点は、スイッチシグナルが、ウィンドウペイン又は複合ペインの接触を必要としないという点にある。
【0054】
センサエレクトロニクスシステムの感度は、簡単な実験の背景において、検出領域のサイズに応じて、かつ供給ライン領域の、形態及び幅と長さとの間の比に応じて、決定してよい。供給ライン領域の幅を、可能な限り小さくなるように選択することが、特に有利である。特には、接続されたセンサエレクトロニクス機器の相対キャパシタンスにおける変化も、スイッチ領域の強い高感度化をもたらす。
【0055】
本発明に係るペイン設備の有利な改良では、接続領域が、平坦伝導体、金属ワイヤ、特には円形の伝導体又はより線伝導体に接続されており、かつペイン表面から離れて延在している。この場合には、統合されたペイン設備が、使用場所において、特に簡便に、電圧源及びシグナルラインに接続される。シグナルラインは、例えば、乗り物において、CANバスを介して、センサ回路のスイッチシグナルを評価する。
【0056】
原則として、本発明に係るウィンドウペイン又は複合ペインの製造及び使用の条件下において熱的にかつ化学的に安定であり、かつ寸法的に安定であるすべての電気絶縁性基材が、ペイン又は内側ペイン及び外側ペインとして、適している。
【0057】
ペイン又は内側ペイン及び外側ペインは、好ましくは、ガラス、特に好ましくは平坦ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、又はクリアプラスチック、好ましくは、剛性クリアプラスチック、特にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルクロリド、及び/又はそれらの混合物を含有している。ペイン又は内側ペイン及び外側ペインは、好ましくは透明であり、特には、乗り物のウィンドシールド若しくはリアウィンドウとしてのペインの使用に関して、又は高い光透過性が所望される他の使用に関して、好ましくは透明である。本発明に関して、「透明」は、可視スペクトル範囲において70%超の透過率を有しているペインに言及している。しかしながら、運転者の、交通に関係している視界に位置していないペインに関しては、例えば、ルーフパネルに関しては、透過率が、はるかに比較的低くてもよく、例えば、5%超であってもよい。
【0058】
ペイン又は内側ペイン及び外側ペインの厚みは、広い範囲の値であってよく、かつそのようにして、個別の場合の要件に理想的に適合してよく、特には、それによって、非対称切り替えを実現する。好ましくは、標準の厚み1.0mm〜25mm、好ましくは1.4mm〜2.5mmが、乗り物ガラスのために使用され、かつ、好ましくは、備品、家電製品、及び建物のためには、4mm〜25mmが、使用される。ウィンドウペイン及び複合ペインのサイズは、広い範囲の値であってよく、かつ本発明に係る使用のサイズによって決定される。ウィンドウペイン及び複合ペインは、例えば、自動車工業及び建築分野において、慣用的な面積200cm
2〜20m
2を有している。
【0059】
ウィンドウペイン又は複合ペインは、任意の三次元形状を有していてよい。好ましくは、三次元形状が、影の区域を有しておらず、それにより、それを、例えば、カソードスパッタリングによってコーティングすることが可能になっている。好ましくは、ペインが、平坦であり、又は、1又は複数の空間的方向において、わずかに若しくは大幅に湾曲している。特には、平坦なペインが、使用される。ペインは、無色であってよく、又は着色されていてよい。
【0060】
ペイン又は内側ペイン及び外側ペインは、好ましくは、2〜8、特に好ましくは、6〜8の比誘電率ε
r、1/4を有している。
【0061】
本発明に係るウィンドウペイン又は本発明に係る複合ペインの有利な実施態様においては、接続領域が、ペインの外側端部に配置されている。外側端部からの距離が、好ましくは10cm未満、特に好ましくは0.5cm未満である。これは、例えば、箔伝導体による、光学的に目立たないブラック印刷の下での、又は覆いを伴う、接続領域の電気的接触を、可能にする。
【0062】
電気供給ラインは、好ましくは、箔伝導体又は可撓性箔伝導体(平坦伝導体、平坦バンド伝導体)として実施される。用語「箔伝導体」は、電気伝導体を意味しており、その幅が、その厚みよりも大幅に大きい。そのような箔導電体は、例えば、銅、スズメッキされている銅、アルミニウム、銀、金、若しくはこれらの合金を、含んでおり又はこれらでできている、ストリップ又はバンドである。箔伝導体が、例えば、2mm〜16mmの幅及び0.03mm〜0.1mmの厚みを有している。箔伝導体は、絶縁性覆い、好ましくはポリマー、例えばポリイミドに基づいている絶縁性覆いを、有していてよい。ペインにおける導電性コーティングの接触に適している箔伝導体は、例えば、わずか0.3mmの合計厚を有している。そのような薄い箔伝導体は、内側表面に、簡便かつ美的に配置することができ、かつ例えば、接着することができる。互いに電気的に隔離されている複数の伝導層を、箔伝導体ストリップに配置してよい。
【0063】
接続領域と電気供給ラインとの間の電気ライン接続が、好ましくは、導電性接着剤を介して行われ、これは、接続領域と供給ラインとの間における信頼性がありかつ耐久性のある電気ライン接続を、可能にする。代替的には、電気ライン接続が、クランプ又はばね接触によって、なされてもよい。代替的には、供給ラインが、接続領域に印刷されてもよく、例えば、焼結された、金属含有、特には銀含有の、導電性印刷ペーストによって、又ははんだ付けによって、特には超音波はんだ付けによって、接続領域に印刷されてもよい。
【0064】
本発明に係るウィンドウペイン又は複合ペインの有利な実施態様では、検出領域を、能動的な、調光可能な光源によって、好ましくは発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、又は他の能動照明、例えば、発光性材料、好ましくは蛍光性若しくはリン光性材料によって、直接に標識可能であり、又は標識する。
【0065】
光源は、好ましくは、LED又はOLEDを有している。特に有利な点が、小さい寸法及び低い電力消費という点にある。光源によって発せられる波長範囲は、可視光の範囲で自由に選択可能であり、例えば、実用的かつ/又は美的な考慮に基づいて、選択可能である。
【0066】
光手段を、ペイン又は内側ペイン若しくは外側ペインの任意の位置に配置してよく、特には、座席の上部に、かつウィンドウペイン若しくは複合ペインの側方端部に配置してよく、又は、内側ペイン及び外側ペインの中央において小さい凹部に配置してよい。好ましくは、光源が、検出領域において中央に配置される。
【0067】
本発明の別の態様は、容量性スイッチ領域を有しているウィンドウペインを製造する、少なくとも下記を含んでいる方法を、含んでいる:
(a) コーティングを、ペインの内側表面に適用すること、
(b) コーティングを複数の容量性スイッチ領域及び/又は少なくとも1つの周辺領域に電気的に分割する少なくとも1つの分離ラインを、レーザーパターン処理によって、又は機械的若しくは化学的なアブレーションによって導入すること。
【0068】
容量性スイッチ領域を有している複合ペインを製造するための、本発明に係る方法の代替的な実施態様では、方法の工程(a)及び(b)が、互いに交換可能であってもよい。
【0069】
コーティングの適用は、それ自体として知られている方法によって、好ましくは、マグネトロン強化カソードスパッタリングによって、行ってよい。これは、ペインの、簡便で、迅速で、経済的で、かつ均一なコーティングの観点から、特に有利である。しかしながら、導電層は、例えば、蒸着、化学気相成長(CVD)、プラズマ強化型化学気相成長(PECVD)、又は湿式化学プロセスによって、適用してもよい。
【0070】
コーティングにおける個々の分離ラインの脱コーティングは、好ましくは、レーザー光線によって、行われる。
【0071】
積層、すなわち、内側ペイン、中間層、及び外側ペインの結合は、好ましくは、熱、真空及び/又は圧力の作用の下で、行われる。複合ペインを製造するための、それ自体が知られている方法を、使用してよい。
【0072】
本発明の別の態様は、容量性スイッチ領域を有している本発明に係るウィンドウペイン又は複合ペインの、建物における、特にはアクセスエリア、ウィンドウエリア、ルーフエリア、又はファサードエリアにおける使用、備品及び家電製品に組み込まれた要素としての使用、陸上、空中、又は水上における移動のための輸送手段における使用、特には列車、船、及び自動車における、例えば、ウィンドシールド、リアウィンドウイ、サイドウィンドウ、及び/又はルーフパネルとしての使用を、含んでいる。
【0073】
本発明の別の態様は、複数の容量性スイッチ領域を有している本発明に係るウィンドウペイン、又は複合ペインの、複合ペインの内側若しくは外側における機能、好ましくは加熱機能、照明、特には複合ペインに配置されている照明手段、例えばLED,機能性中間層の光学的な透明度における変化、特には、懸濁粒子装置(SPD)層若しくはエレクトロクロミック中間層における光学的な透明度における変化、を電気的に制御するための使用、を含んでいる。
【0074】
以下において、本発明を、図面及び例示的な実施態様を参照して、詳細に説明する。図面は、概略図であり、かつ縮尺通りではない。図面は、決して本発明を制限しない。
【0075】
図1Aは、自動車のルーフパネルの例を用いて、本発明に係るウィンドウペイン100を有している本発明に係るペイン設備200の例示的な実施態様の平面図を描写している。
【0076】
ウィンドウペイン100が、そのほぼ全表面にわたって、コーティング6を有している。コーティング6は、いわゆるlow−Eコーティング6であり、これが、無コーティング分離ライン7によって、互いに電気的に隔離されている異なる領域に、分割されている。この例では、「電気的に隔離されている」は、領域が互いから電気的に離れていること、換言すると、領域の間には直流(DC)が流れ得ないことを、意味している。
【0077】
分離ライン7は、幅、例えば、わずか100μmの幅を有しており、かつ例えば、レーザーパターン処理によって、low−Eコーティング6に導入される。そのような狭い幅を有している分離ライン7は、視覚的にほとんど認識することができず、かつウィンドウペイン100を通る視界をほんのわずかしか妨げない。これは、特に美的であり、かつ特には、乗り物の視界における使用に関して、運転の安全のために特に重要である。
【0078】
ウィンドウペイン100の下方部分において、low−Eコーティング6が、例えば、2つの容量性スイッチ領域10を有している。2つの容量性スイッチ領域10が、共通の周辺領域15によって、電気的に分割されている。それぞれのスイッチ領域10が、検出領域11を有しており、これが、略正方形であり、かつストリップ形状の供給ライン領域12へと移行している。検出領域11の幅及び長さが、それぞれ、例えば、40mmである。
【0079】
容量性スイッチ領域10が、アクティブ領域内に広がる電界を、生成する。アクティブ領域は、内側表面に平行なエリアにわたって配置されており、かつ内部の方向に広がっている。アクティブ領域が、好ましくは、内部の方向において、10cm以下の幅を有していてよい。提供されるアクティブ領域によって、物体、例えば人の手を、無接触で検出することができ、かつシグナルを生成することができる。物体がアクティブ領域において動かされたときに、この物体が、電界における変化を引き起こし、これが、容量性スイッチ領域によって、検出される。
【0080】
供給ライン領域12の幅は、例えば、1mmである。供給ライン領域12が、接続領域13に接続されている。接続領域13は、矩形であり、特には正方形であり、かつ例えば12mmの、端部長を有している。供給ライン領域の長さは、約48mmである。そして、周辺領域15が、分離ライン7によって、残りのlow−Eコーティング6から、分離されている。ここでは、周辺領域15が、矩形であり、かつ両方の容量性スイッチ領域10を取り囲んでいる。
【0081】
接続領域13が、電気ライン接続を介して、箔伝導体17に導電的に接続されている。ここで、信頼性のある導電性の接続が、好ましくは、導電性接着剤によって、達成されている。箔伝導体17は、例えば、50μm厚の銅箔から作られており、かつ例えば、ポリアミド層によって、接続領域13の外側において、絶縁されている。結果として、箔伝導体17が、電気短絡なく、周辺領域15を超えて、ウィンドウペイン100の下方端部を介して、外に延在することができる。無論、接続領域の電気ライン接続が、絶縁ワイヤを介して、外向きに延在していてよく、又は周辺領域のlow−Eコーティングが妨害されている領域を介して、外向きに延在していてもよい。
【0082】
ここで、箔伝導体17が、例えば、ウィンドウペイン100の外において、容量性センサエレクトロニクスシステム14に接続されている。センサエレクトロニクスシステム14は、スイッチ領域10の、周辺領域15に対するキャパシタンス変化を正確に計測するために、かつスイッチシグナルを、例えば、乗り物のCANバスシステムに、閾値の関数として、送るために、適している。乗り物の任意の機能を、スイッチシグナルを介して、切り替えることが可能である。例えば、ウィンドウペイン100の内部又はウィンドウペイン100上における照明のオン又はオフの切り替えを、行うことができる。
【0083】
ウィンドウペイン100が、例えば自動車におけるルーフパネルとして使用される場合には、供給ライン領域12の長さを選択してよく、それにより、乗り物の運転者、乗り物の前部座席乗員、又は乗り物の後部座席占有者が、スイッチ領域10の検出領域11に、快適に届くようにしてよい。
【0084】
描写されている例示的な実施態様では、容量性スイッチ領域10の検出領域11を介した、アクティブ領域、すなわちペイン1の
図2の内側表面IVの近傍における、手の動きの時に、スイッチシグナルが作動するように、センサエレクトロニクスシステム14の構造及び調整が、調和されている。
【0085】
図1Bは、
図1Aの切断線A−A’に沿う断面図を描写している。ここでは、ウィンドウペイン100が、例えば、単層ペイン1を有している。ウィンドウペイン100が、例えば、乗り物ウィンドウであり、特には、乗用車のルーフパネルである。ウィンドウペイン100の寸法が、例えば、0.9m×1.5mである。ウィンドウペイン100が、ペイン1を有しており、これは、例えば、設置位置において、乗り物内部を外部環境から分離するために、提供されている。換言すると、ペイン1の内側表面IVは、内部からアクセス可能であり、一方で、対照的に、ペイン1の外側表面IIIは、乗り物内部に対して外向きに面している。ペイン1は、例えば、ソーダ石灰ガラス製であり、かつフロート法において製造された。ペイン1の厚みd
1は、例えば、2.1mmである。原則として、ペイン1が、異なる厚みを有していてもよい。したがって、ペイン1が、例えば、構造グレージングとして、4mmの厚みを有していてよい。
【0086】
ペイン1の内側表面IVが、low−Eコーティング6でコーティングされている。表1は、例えばITO製である機能層を有している、本発明に係るlow−Eコーティング6の、3つの例を示している。例1〜3のそれぞれのlow−Eコーティング6が、下記を有する層積層体からなっている:ペイン1/接着層/機能層/バリア層/反射防止層。
【0088】
図1Bにおいて描写されているlow−Eコーティング6は、例えば、表1の例1の層システムからなる。別の例では、low−Eコーティング6が、表1の例2の層システムからなり、かつ別の例では、表1の例3の層システムからなる。
【0089】
例1〜3の例によって言及されている層システムを有しているウィンドウペイン1は、内部側において、30%以下の標準合計放射率を有しており、かつ20オーム/スクエア〜30オーム/スクエアのシート抵抗を有している。本発明に係るウィンドウペインは、反射において、例えば、本発明に係るlow−Eコーティング6が提供されている側から見て、−3〜+4の色値a
*及び−7〜+4の色値b
*を有している。データa
*及びb
*は、比色モデル(L
*a
*b
* − カラースペース)の色座標に基づいている。
【0090】
本発明に係るこのようなウィンドウペイン1は、クリアであってよく、かつ例えば、可視範囲において、80%以上の透明度を有していてよい。可視範囲における太陽光からのぎらつきを回避するために、ペイン1が、高度に色づいていてもよく、かつ可視範囲において20%以下の透明度のみを有していてもよい。無論、low−Eコーティング6が、低放射率を有している異なる層システムからなっていてもよい。
【0091】
図2は、複数の容量性スイッチ領域10を有している、本発明に係るペイン設備200の代替的な実施態様の平面図を描写している。例示の実施態様は、構造において、
図1Aの本発明に係るウィンドウペイン10に実質的に対応して描写されており、そのため、それぞれの差異のみを、以下で議論する。
【0092】
ウィンドウペイン100の容量性スイッチ領域10が、ペイン設備200の機能中間層、特には、懸濁粒子装置(SPD)層、ポリマー分散液晶(PDLC)層、又はエレクトロクロミック中間層、の光学的な透明度を、制御する。
【0093】
検出領域11が、この例においては、複数の細長いサブ領域5に分割されている。サブ領域5は、ウィンドウペイン100の内側表面のほぼ全体にわたって、ストリップ形状である。1つのサブ領域5が、2cm〜0.3cmの幅を有していてよい。代替的には、それぞれのサブ領域5が、ウィンドウペイン100の幅の半分にわたって延在する長さを有していてよく、それにより、ウィンドウペイン100が、2つの独立している検出領域11を有しているようにしてよい。これらの独立している検出領域11が、それぞれ、センサ回路14を有しており、これらが、それぞれのサブ領域5に、別個に割り当てられてよい。
【0094】
それぞれのサブ領域5が、電気ライン接続を介して、箔伝導体17に、導電的に接続している。1つのサブ領域5が、箔伝導体17を介して、接地電位にカップリングしていてよく、それに直接に隣接しているサブ領域5が、箔伝導体17を介して電圧に接続していてよい。箔伝導体17が、ウィンドウペイン100の外において、容量性センサエレクトロニクスシステム14に接続している。検出領域の、複数のサブ領域5への分割は、物体の、その位置の関数としての検出を、可能にする。
【0095】
電界が、アクティブ領域内において、ウィンドウペイン100の内側表面IVのほぼ全体にわたって、内部の方向に広がっている。サブ領域5の、ストリップ形状の設計の結果として、アクティブ領域が、拡大しており、かつ容量性スイッチ領域の感受性が、増加している。
【0096】
物体、好ましくは手が、アクティブ領域に移動したときに、この物体が、電界における変化を引き起こし、これが、容量性スイッチ領域によって、検出される。この変化は、物体の位置に依存しており、それにより、位置の検出が可能になっている。サブ領域5の、ストリップ形状での有利な設計の結果として、透明度における変化が段階的に起こる。ここで、段階が、サブ領域5に対応しうる。
【0097】
検出領域11は、物体及びその動きの方向を検出する。したがって、透明度における変化が生ずるだけではなく、変化の方向も、検出される。結果として、ウィンドウペインに沿う第一の方向における人のスワイプジェスチャーが、段階的な遮光を引き起こしてよく、かつ反対方向における人のスワイプジェスチャーが、遮光における減少を引き起こしてよい。
【0098】
本発明に係るウィンドウペイン100の代替的な実施態様では、容量性スイッチ領域10が、ルーフパネルの開閉を制御する。サイドウィンドウペインの開位置又は閉位置が、手のスワイプジェスチャーの位置及び方向によって、決定される。
【0099】
本発明に係るウィンドウペイン100を有している本発明に係るペイン設備200の別の実施態様では、ペイン設備200が、自動車のウィンドシールドとして機能してよく、ここで、上方領域が、段階的に遮光されてよい。
【0100】
本発明に係るウィンドウペイン100を有している本発明に係るペイン設備200の別の代替的な実施態様では、ペイン設備200が、自動車のサイドウィンドウペインとして機能し得る。そのような実施態様では、容量性スイッチ領域10が、サイドウィンドウペインの開閉を制御する。サイドウィンドウペインの開位置又は閉位置が、手のスワイプジェスチャーの位置及び方向によって、決定される。さらに、サイドウィンドウの閉じを、ボタン制御を介して、行ってよい。
【0101】
図3に描写されているペイン設備201の例示的な実施態様は、
図1Aのウィンドウペインを有している本発明に係る複合ペイン101に、構造的に、実質的に対応している。ここで、複合ペイン101が、例えば、中間層を介して互いに結合している内側ペイン1及び外側ペインを、有している。内側ペイン1は、その機能において、
図1Aのペイン1に、対応している。
【0102】
複合ペイン101の中央下方部分において、low−Eコーティング6が、複数の容量性スイッチ領域10を有しており、これらが、複合ペイン101の1つの長辺にわたって、ほぼ平行の配置で、延在している。
【0103】
low−Eコーティング6が、無コーティング分離ライン7によって、互いに電気的に分離されている異なる領域に、分割されている。それぞれの場合に、容量性スイッチ領域10が、周辺領域15によって、電気的に分離されている。それぞれのスイッチ領域10が、検出領域11を有しており、これが、おおよそ水滴形状であり、かつストリップ形状の供給ライン領域12に移行している。検出領域11の幅及び長さが、それぞれ、例えば、40mmである。供給ライン領域12の幅が、例えば、1mmである。供給ライン領域12が、接続領域13に接続されている。接続領域13が、丸みを帯びているコーナー及び例えば12mmの端部長を有している正方形の形状を、有している。供給ライン領域の長さが、おおよそ、48mmである。
【0104】
本発明に係るウィンドウペイン101を有している本発明に係るペイン設備201の代替的な実施態様では、ペイン設備201が、自動車のサイドウィンドウペインとして機能してよく、かつサイドウィンドウペインの開閉のために提供されている容量性スイッチ領域10を有していてよい。サイドウィンドウペインの開位置及び閉位置が、手のスワイプジェスチャーの位置及び方向によって、決定される。
【0105】
図4は、機能性中間層が、内側ペイン1と外側ペインとの間において複合ペイン101に積層されている、代替的な実施態様を描写している。ここでは、機能性中間層が、例えば、PVBフィルム製の2つの熱可塑性中間層を介して、内側ペイン1及び外側ペインに結合している。機能性中間層は、例えば、電気的に制御可能な光学的透明度を有しており、好ましくは、懸濁粒子装置(SPD)層、又はエレクトロクロミック中間層を含んでいる。
【0106】
さらには、複合ペイン101が、2つの発光ダイオード(LED)21、例えば、多色LEDを、内側ペイン1と外側ペイン4との間に有しており、内側ペイン1及び外側ペイン4が、複合ペイン101へと積層されている。発光ダイオード21の光が、容量性スイッチ表面10の領域を標識しており、かつ/又は、関連する容量性スイッチ領域10を介してそれぞれ制御可能な、照明手段として、機能する。
【0107】
複合ペイン101は、乗り物におけるルーフパネルとして機能する。この場合には、検出領域12の位置及び長さを選択してよく、それにより、乗り物の運転者又は前方座席の乗員が、それぞれの座席において、スイッチ領域10の検出領域11に快適に届くことができるようになっていてよい。無論、これのために、複数の容量性スイッチ表面10を、複合ペイン100に配置してよく、例えば、それぞれの乗り物占有者のために1つずつ、配置してよい。
【0108】
容量性スイッチ領域10の検出領域11における運転者又は前方座席乗員の手の検出時に、スイッチシグナルが作動するように、センサエレクトロニクスシステム14の構造及び調整が、調和されている。
【0109】
代替的には、容量性スイッチ表面の位置が、内側表面にわたって、ランダムに分布していてもよい。発光ダイオード21を、方向及び位置によって特徴づけられる、運転者又は前方座席乗員のジェスチャー動作によって、制御してよい。これは、発光イオンを別個に作動させることができ、かつ運転者又は前方座席乗員が、彼らの必要性に応じた発光ダイオードの色値を選択することができるという、特別な利点を有している。
【0110】
本発明に係る複合ペイン101の別の例示的な実施態様では、複合ペイン101が、ウィンドシールドとして実施されており、ここで、複合ペイン101が、内側ペイン1の内側表面IVの方向に向いて、すなわち乗り物の運転者の位置から見て、示されている。ここでは、ウィンドシールドの透明度を制御するために乗り物の運転者が容量性スイッチ領域100の検出領域11へと運転者の手を動かし、それによってスイッチシグナルが作動するように、センサエレクトロニクスシステム14の構造及び調整が、調和されている。ウィンドシールドへの接触なしにスイッチシグナルの生成が可能である容量性スイッチ領域10は、特に有利である。これにより、乗り物運転者の注視の集中及び方向が、運転者の手がウィンドシールドの特定の場所に触れなければならないという事実によってそらされることがなく、むしろ、運転者の手を検出領域の方向に伸ばし、かつ内側表面IVの近傍におけるアクティブ領域に到達することによって、スイッチシグナルが作動する。無接触制御の別の利点は、乗り物の運転者が、ウィンドシールドを指紋で汚さないことからなる。
【0111】
図5は、容量性スイッチ領域10を有している本発明に係るウィンドウペイン100を製造する、本発明に係る方法の例示的な実施態様のフローチャートを描写している。本発明に係る方法は、下記の工程を含んでいる:
I.ペイン1の内側表面(IV)に、low−Eコーティング6を適用すること、及び、
II.low−Eコーティング6を少なくとも1つの容量性スイッチ領域10及び少なくとも1つの周辺領域15へと電気的に分割する、少なくとも1つの分離ライン7を、好ましくはレーザーパターン処理又は機械的若しくは化学的アブレーションによって、導入すること。
【0112】
センサエレクトロニクスシステム14の感度が調整されており、それにより、スイッチ操作の無接触作動がウィンドウペイン100又は複合ペイン101の内側表面IVから可能であるようになっている、ウィンドウペイン100を有しているペイン設備200、又は複合ペイン101を有しているペイン設備201が、特に有利であり、かつ驚くべきものである。
【0113】
この結果は、当業者にとって予測できず、かつ驚くべきものであった。
本発明の態様は、以下のとおりである:
〈態様1〉
下記を有している、内部を外部環境から分離するための、複数の容量性スイッチ領域(10)を有しているウィンドウペイン(100):
− 内側表面(IV)を有している、ペイン(1)、及び
− 前記ペイン(1)の前記内側表面(IV)に少なくとも部分的に配置されている、コーティング(6)、
ここで、
前記容量性スイッチ領域(10)が、それぞれ、少なくとも1つの無コーティング分離ライン(7)によって前記コーティング(6)から電気的に分離されており、かつセンサエレクトロニクスシステム(14)に電気的に接続することができ、かつアクティブ領域において人によって動かされた物体及びその動きの方向を無接触で検出するための検出領域(11)を有している。
〈態様2〉
前記容量性スイッチ領域(10)が、前記アクティブ領域内に広がる電界を生成するために提供されていることを特徴とする、態様1に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様3〉
前記検出領域(11)が、少なくとも2つのストリップ形状のサブ領域(5)で実施されていることを特徴とする、態様1又は2に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様4〉
前記サブ領域が、前記分離ライン(7)の幅に対応する無コーティング距離で配置されていることを特徴とする、態様3に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様5〉
前記サブ領域(5)の長さ方向軸が、前記内側表面の1つの側部と平行に延在していることを特徴とする、態様4に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様6〉
前記サブ領域(5)が、前記内側表面(IV)の側部長さに対応する長さを有していることを特徴とする、態様4に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様7〉
前記サブ領域(5)が、互いに平行に配置されていることを特徴とする、態様4又は5に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様8〉
前記検出領域(11)が、前記内側表面(IV)に実質的に対応する領域を有していることを特徴とする、態様4又は5に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様9〉
前記内側表面(IV)に平行であり、かつ前記内側表面(IV)のサイズであり、かつ内部の方向に10cmの幅を有している領域を、前記アクティブ領域が、有していることを特徴とする、態様1又は2に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様10〉
前記容量性スイッチ領域が、供給ライン領域(12)、接続領域(13)、及び周辺領域(15)を有しており、前記供給ライン領域(12)が、前記検出領域(11)と前記接続領域(13)との間における電気接続として提供されており、かつ前記接続領域(13)が、センサエレクトロニクスシステム(14)に電気的に接続することができることを特徴とする、態様1に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様11〉
前記容量性スイッチ領域(10)が、電気シグナルを生成するために提供されており、かつ/又は、前記検出領域が、光源を有していることを特徴とする、態様1〜10のいずれか一項に記載のウィンドウペイン(100)。
〈態様12〉
下記を有している、ペイン設備(101):
− 態様1〜11のいずれか一項に記載のウィンドウペイン(100)、及び、
− 前記検出領域(11)に電気的に接続されている、容量性センサエレクトロニクスシステム(14)、
ここで、前記センサエレクトロニクスシステム(14)の感度が選択されており、それにより、アクティブ領域において人によって動かされた物体の検出時に、このセンサエレクトロニクスシステムが、スイッチシグナルを出力するようになっている。
〈態様13〉
− 態様1〜11のいずれか一項に記載のペイン(1)からなる内側ペイン(1)、
− 内側表面(II)を有している外側ペイン(2)、及び、
− 前記外側ペイン(2)の前記内側表面(II)を前記内側ペイン(1)の外側表面(III)に面状に結合している少なくとも1つの中間層(2)、
を少なくとも有しており、かつ、
前記容量性スイッチ領域(10)が、前記中間層又はエレクトロクロミック中間層の光学的な透明度を電気的に制御するために提供されている、
複合ペイン(101)。
〈態様14〉
少なくとも下記を有している、態様1〜11のいずれか一項に記載のウィンドウペイン(100)を製造する方法:
(a) コーティング(6)を、ペイン(1)の内側表面(IV)に適用すること、
(b) 前記コーティング(6)を複数の容量性スイッチ領域(10)及び/又は少なくとも1つの周辺領域(15)に電気的に分割する少なくとも1つの分離ライン(7)を、好ましくはレーザーパターン処理又は機械的若しくは化学的アブレーションによって、導入すること。
〈態様15〉
態様1〜11のいずれか一項に記載のウィンドウペイン(100)又は態様13に記載の複合ペイン(110)の、陸上、空中、又は水上における移動のための輸送手段における、特には、自動車における、例えば、ウィンドシールド、リアウィンドウ、サイドウィンドウ、及び/又はルーフパネルとしての使用、並びに、備品、電化製品、及び建物における機能性の別個の部品としての、かつ組み込まれた構成要素としての、特には電子加熱器としての、使用。