特許第6835970号(P6835970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6835970
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】自動車用の弁アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F01L 9/20 20210101AFI20210215BHJP
【FI】
   F01L9/04 A
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-534384(P2019-534384)
(86)(22)【出願日】2017年12月13日
(65)【公表番号】特表2020-503472(P2020-503472A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】EP2017082706
(87)【国際公開番号】WO2018114543
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】102016226111.8
(32)【優先日】2016年12月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519031896
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ミコライェク
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−132124(JP,A)
【文献】 特開2002−242623(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0262556(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 9/04
F16K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉弁部材(120)と結合された弁棒(110)と、
弁ハウジング(130)と、
弁座(140)と、
電動機(150)であって、該電動機(150)により前記弁棒(110)が運動可能である、電動機(150)と、
を備える、自動車用の弁アッセンブリ(100)であって、
前記弁アッセンブリ(100)は、雄ねじ山(160)と雌ねじ山(170)とを有するねじ伝動装置を備えており
記弁棒(110)が、雌ねじ山(170)を有する構成部材と結合されていて、前記弁アッセンブリ(100)が、雄ねじ山(160)を有しており、
前記弁棒(110)は、第1の伝動車(180)と結合されており、前記弁アッセンブリ(100)は、少なくとも1つの第2の伝動車(190)を備え、該第2の伝動車(190)は、回動運動を直接にまたは中間伝動装置を介して前記第1の伝動車(180)へ伝達可能であるように配置されている
ことを特徴とする、自動車用の弁アッセンブリ(100)。
【請求項2】
前記弁アッセンブリ(100)は、さらに磁界センサ(210)を備え、さらに磁石(220)が、前記磁界センサ(210)を用いて弁の位置を検出することができるように、前記弁棒(110)と結合されて配置されている、請求項1記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項3】
前記弁棒(110)は、該弁棒(110)が前記雄ねじ山(160)をも有するように、中実の材料から加工されている、請求項1または2記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項4】
前記雄ねじ山(160)は、別体のスリーブを介して前記弁棒(110)に取り付けられている、請求項1または2記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項5】
前記雄ねじ山(160)または前記雌ねじ山(170)は、射出成形を用いて、前記弁棒(110)に取り付けられている、請求項1または2記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項6】
前記第1の伝動車(180)と前記雄ねじ山(160)とが、または前記第1の伝動車(180)と前記雌ねじ山(170)とが、一体の射出成形品として製造されている、請求項5記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項7】
前記弁アッセンブリ(100)は、さらに磁界センサ(210)を備え、さらに磁石(220)が、前記磁界センサ(210)を用いて前記弁棒(110)の位置を検出することができるように、前記弁棒(110)と結合されて配置されており、前記第1の伝動車(180)と前記雄ねじ山(160)とが、または前記第1の伝動車(180)と前記雌ねじ山(170)とが、共通の1つの射出成形品に製造されており、該射出成形品は、前記磁石(220)が製造時に射出成形によって包囲されることにより、前記磁石(220)を前記弁棒(110)と結合する、請求項6記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項8】
前記第1の伝動車(180)により大きなトルクが作用しないとき、前記弁棒(110)が初期位置へ回動して戻されるように、機械式の戻し要素(310)またはばねが、前記弁棒(110)と前記弁ハウジング(130)とに結合されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項9】
前記弁棒(110)は、1つまたは複数の滑り軸受(410)内で案内される、請求項1から8までのいずれか1項記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項10】
追加のスリーブ(510)が、前記弁棒(110)と該スリーブ(510)の内壁との間に、前記弁棒(110)の直径の少なくとも1/10よりも小さい環状間隙しか存在せず、前記スリーブ(510)が外壁でもって前記ハウジング(130)に接触するように、前記弁棒(110)の周りにおいて前記弁ハウジング(130)に配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項11】
少なくとも1つの環状のシール(610)が、前記弁棒(110)の周りに位置しており、前記シール(610)は、前記弁ハウジング(130)と前記弁棒(110)とに緊密に接触している、請求項1から10までのいずれか1項記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項12】
前記環状のシール(610)は、エラストマ材料から製造されている、請求項11記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項13】
前記シール(610)と前記弁棒(110)との間に、PTFE(620)から成る要素が配置されている、請求項12記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項14】
前記第1の伝動車(180)がストッパ(185)を有し、前記弁ハウジング(130)に別のストッパ(135)が配置されており、該別のストッパ(135)は、前記第1の伝動車(180)における前記ストッパ(185)に対応するように配置されているとともに、前記第1の伝動車(180)の回動運動を制限している、請求項1から13までのいずれか1項記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項15】
前記弁アッセンブリ(100)は、排気ガス再循環弁アッセンブリ(100)として使用されるときに温度に耐えるように構成されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項16】
少なくとも1つの追加の伝動車(710)が、前記第1の伝動車(180)と前記第2の伝動車(190)との間で回動運動を伝達し、前記第1の伝動車(180)と前記第2の伝動車(190)とが相互に接触していない、請求項1から15までのいずれか1項記載の弁アッセンブリ(100)。
【請求項17】
少なくとも1つの伝動車(180,190,710)の、回動軸線に沿った延伸長さが、増大されており、前記弁棒(110)のストロークの全体にわたって前記伝動車(180,190)の充分な係合または重畳が保証されている、請求項1から16までのいずれか1項記載の弁アッセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉弁部材と固く結合された弁棒と、弁ハウジングと、弁座と、電動機であって、電動機により弁棒が運動可能である、電動機とを備える、自動車用の弁アッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
弁の駆動のために駆動モータの回動運動を直線運動に変換する原理は、例えば自動車の排気ガス再循環を制御する弁においても適用される。様々な形態の、動弁機構に用いられる電動機を備える、自動車用の弁および弁アッセンブリが知られている。これについては多くの場合伝動変換装置が使用され、伝動変換装置は、相応の運動機構を用いて、回動運動を直線運動または並進運動へと変換する。回動運動の変換は、例えばクランク駆動装置またはスライドリンク伝動装置を介して実現することが可能である。
【0003】
この種の装置の欠点は、特に、運動の変換時に望ましくない横力が生じ、この横力が弁棒または弁ヘッドへと伝達され得ることである。これにより、損耗が高まり、耐用期間が短縮されてしまう。さらに、弁が傾斜してしまうおそれがある。
【0004】
別の欠点によれば、弁ヘッドおよび弁棒における遊びをできるだけ小さく保持するために、特に、スライドリンク伝動装置におけるスライドリンク機構を、極めて高い製造精度で作成しなければならない。構造スペース設定と、クランク駆動装置またはスライドリンク駆動装置の構造形態とに基づき、弁棒の片側の支持部しか設けられていないことが多く、これにより特に弁棒の傾倒または傾斜が生じ得ることも不都合である。
【0005】
さらなる欠点によれば、クランク駆動装置またはスライドリンク伝動装置を介して実現される変換装置が、複雑な組立工程、製造工程または例えば斜めのカバーなどの煩雑な個々の構成部材を必要とし、これによってもまた装置全体の製造が特に煩雑になり、またはより高コストとなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、駆動モータの回動運動から弁棒の直線運動への変換が改善されるとともにその確実性がより高められた、自動車用の弁アッセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の自動車用の弁アッセンブリによって解決される。本発明の思想による形態および発展形態は、従属請求項の対象である。
【0008】
本発明は、閉弁部材と固く結合された弁棒と、弁ハウジングと、弁座と、電動機であって、電動機により弁棒が運動可能である、電動機とを備えている、弁アッセンブリであって、弁アッセンブリは、雄ねじ山と雌ねじ山とを有するねじ伝動装置を備えており、弁棒が少なくとも一部の領域に雄ねじ山を有していて、弁アッセンブリが、雌ねじ山を有するねじブッシュもしくは雌ねじ山を有するスピンドルナットを備えているか、または、弁棒が、雌ねじ山を有する構成部材と固く結合されていて、弁アッセンブリが雄ねじ山を有しており、弁棒は、第1の伝動車と結合されており、弁アッセンブリは、少なくとも1つの第2の伝動車を備え、第2の伝動車は、回動運動を直接にまたは中間伝動装置を介して第1の伝動車へ伝達可能であるように配置されていることを特徴とする。
【0009】
特別な形態は、従属請求項の対象である。
【0010】
弁/弁アッセンブリの直線運動(つまり開弁/閉弁)は、弁ヘッドが取り付けられた弁棒の直線運動によって行われる。ヘッドは、所定の位置で、弁通路を閉じる。弁アッセンブリは、雄ねじ山と雌ねじ山とを有するねじ伝動装置を備えており、弁棒は、スピンドル駆動装置の形態のねじ伝動装置を用いて、直線状に動かされる。この場合、伝動車と結合された弁棒は、電動機により駆動される別の伝動車とともに回動運動する。弁棒が雄ねじ山、例えばねじ山付きのスピンドルを有していて、ねじ山付きのスピンドルが雌ねじ山内で運動するか、または、弁棒が、雌ねじ山を有する構成部材と固く結合されており、この構成部材内で、弁アッセンブリの雄ねじ山が運動する。その結果、弁棒が半径方向に回動すると、弁棒の軸方向の直線運動が生じる。つまり、全体として、弁棒は、弁棒の長手方向軸線周りの回動運動と弁棒の長手方向軸線に沿った直線運動とを同時に行い、この弁棒の運動は、本発明に係る弁アッセンブリの弁の動作に対応する。
【0011】
本発明に係る弁アッセンブリでは、弁棒の一部の領域における雄ねじ山は、ねじブッシュまたはスピンドルナットと協働して、ねじ山付きのスピンドルとねじ山付きのナットとを有するスピンドルドライブのように働く。この場合、ねじ山付きの弁棒における雄ねじ山とねじブッシュまたはスピンドルナットとが、ねじ伝動装置を形成する。つまり、弁棒における雄ねじ山が、ねじブッシュの雌ねじ山と噛み合って運動する。
【0012】
本発明に係る別の弁アッセンブリでは、弁棒と固く結合された構成部材が有する雌ねじ山が、ねじブッシュまたはスピンドルナットのように働き、弁アッセンブリの雄ねじ山と協働して、ねじ山付きのスピンドルとねじ山付きのナットとを有するスピンドルドライブのように働く。この場合、弁アッセンブリの雄ねじ山と第1の伝動車における雌ねじ山とが、ねじ伝動装置を形成する。つまり、弁棒と固く結合された構成部材は、その雌ねじ山でもって、弁アッセンブリの雄ねじ山上で運動する。雄ねじ山は、例えば弁アッセンブリのハウジングに固く配置されてよい。
【0013】
本発明に係る弁アッセンブリの関連において、摩擦力結合や形状結合に基づく伝動装置が考えられる。伝動車は、例えば歯車または摩擦車であってよい。摩擦車は、例えばゴムまたはエラストマから成っていてよい。
【0014】
本発明に係る弁アッセンブリは、100msの範囲の切替え時間を可能にする。
【0015】
本発明に係る弁アッセンブリの例示的な形態では、運動を制限するストッパの対偶は、その1つのストッパが第1の伝動車に取り付けられていて、第2のストッパがハウジングに取り付けられているように構成されている。この場合、ストッパは、伝動車が当接位置に到達しない限り、伝動車の運動に影響を及ぼさないように配置されている。この位置では、2つのストッパが相互に接触し、ゆえに伝動車の回動軸線周りの伝動車の回動運動を制限する。ストッパの接触時、ストッパの間で、伝動車の回動運動に対して接線方向に力が作用する。簡単なケースでは、ストッパは、伝動車の回動運動に対して半径方向に、つまり発生する力のベクトル/支持モーメントに対して直交するように配向された面をそれぞれ有する。これらの面は、境界位置で接触し合う。しかし、ストッパのこの構成は、このような形態に限定されるものではない。むしろ、この簡単な例は、単に理解を容易にするためのものであり、ストッパの多様な構成が考えられる。ストッパの相互作用により、伝動車の回動軸線周りの、ひいては弁棒の長手方向軸線周りの、第1の伝動車の回動運動が、ひいてはこの第1の伝動車と固く結合された弁棒の回動運動も、制限される。複数のストッパが軸方向に対向して位置することにより、直接的に回動運動ではなく、まずは伝動車の長手方向運動を(および次いでさらに間接的な結果としての回動運動も)制限する、ストッパによる制限と比較して、ここで述べられた形態では、好適には、ストッパの間により低い摩擦が提供され、これによりストッパ、伝動車および駆動モータのより長い耐用期間が提供される。
【0016】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、2つの伝動車のうちの一方または両方の、弁棒のストローク運動方向の軸線が延長されていて、全ての弁棒位置で第1の伝動車と第2の伝動車との充分な重畳が保証されていることにより、第1の伝動車と第2の伝動車との摩擦力結合に基づく伝動係合が、弁棒のストロークの全体を越えて達成される。
【0017】
本発明に係る弁アッセンブリの別の特に好適な形態では、弁アッセンブリは、中間車として介在して第1の伝動車と第2の伝動車との間の回動運動を伝達する少なくとも1つの第3の伝動車を備えており、少なくとも1つの第3の伝動車の、弁棒のストローク運動方向の軸線が延長されていて、全ての弁棒位置において、力結合に基づき伝動車の回動運動を達成するのに充分な重畳が保証されていることにより、第1の伝動車と第3の伝動車との間、または第2の伝動車と第3の伝動車との間の摩擦力結合に基づく伝動係合が、弁棒のストロークの全体を越えて達成される。別の特に好適な形態では、複数の第3の伝動車が中間車として使用されており、中間車の1つまたは複数が延長されている。加えて、第1の伝動車および/または第2の伝動車も延長されてよい。
【0018】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、閉弁部材が、弁の閉弁位置で、緊密に弁座に接触する。
【0019】
これにより、特に好適には、弁は、閉弁部材と座との間の直接の接触によりシールされる。弁座における閉弁部材の着座は、弁/弁アッセンブリの閉弁動作時に運動を制限する、閉弁部材ひいては弁棒の直線運動のストッパを成す。
【0020】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、弁アッセンブリは、さらに磁界センサを備えており、さらに磁石が、磁界センサを用いて弁の位置を検出することができるように、弁棒と結合されて配置されている。これにより、特に好適には、弁棒の状態および/または位置の非接触式の検出が得られる。さらに、弁アッセンブリが開弁状態、閉弁状態または中間状態に位置するかどうかも明らかになる。
【0021】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、弁棒に配置された磁石は、円筒形の形状を有している。円筒形の磁石は、特に好適には、低コストで製造可能である。
【0022】
弁棒の状態および/または位置の非接触式の検出により、同時に弁/弁アッセンブリの全体の切替え状態を検出することができる。弁棒に配置された磁石および磁界センサを用いたそのような検出には、高い均一性を有する磁石が特に適している。
【0023】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、弁棒が雄ねじ山をも有するように、弁棒は中実の材料から加工されている。そのような構成は、特に好適には、弁棒と雄ねじ山との、一方では特に頑丈な、他方では相互に関連した製造を可能にする。
【0024】
本発明に係る弁アッセンブリの別の特に好適な形態では、雄ねじ山は、別体のスリーブを介して弁棒に取り付けられている。これにより、例えば特に好適には、様々な材料から、一方では弁棒を製造し、他方ではねじ山を製造することが可能になる。
【0025】
本発明に係る弁アッセンブリの別の特に好適な形態では、雄ねじ山または雌ねじ山は、射出成形によって弁棒に取り付けられている。これにより、好適には、特に経済的なプロセスで低コストに雄ねじ山を取り付けることができる。
【0026】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、第1の伝動車と雄ねじ山とが、一体の射出成形品として製造されている。一緒に製造することにより、特に好適には、製造の中間段階を省略することが可能であるとともに品質管理を低減することが可能である。これは、第1の伝動車と雌ねじ山とが一体の構成部材として製造された、本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態の変形にも同様に当てはまる。この場合、弁棒と固く結合される第1の伝動車と、雌ねじ山とが、1つの構成部材に統合されている。この場合、雌ねじ山が、弁アッセンブリの雄ねじ山と協働して、スピンドルドライブを形成する。この場合でも、一緒に製造することにより、特に好適には、製造の中間段階を省略することが可能であるとともに品質管理を低減することが可能になる。
【0027】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な発展形態では、第1の伝動車と雄ねじ山とが、または第1の伝動車と雌ねじ山とが一体の射出成形品として製造されており、弁アッセンブリは、さらに磁界センサを備えており、さらに磁石が、磁界センサを用いて弁棒の位置を検出することができるように、弁棒と結合されて配置されており、第1の伝動車と雄ねじ山とが、または第1の伝動車と雌ねじ山とが、共通の1つの射出成形品に製造されており、射出成形品は、磁石が製造時に射出成形によって包囲されることにより、磁石を弁棒と結合する。これにより、特に経済的な製造で、第1の伝動車と雄ねじ山とを、または第1の伝動車と雌ねじ山とを一度に作成すると同時に追加の磁石を弁棒に配置することが可能になる。これは、プロセスステップ数の削減と品質管理要求の低減とにより、プロセスの確実性を高めることを可能にする。
【0028】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、第1の伝動車により大きなトルクが作用しないとき、弁棒が初期状態へ、好適には閉弁位置へ回動して戻されるように、機械式の戻し要素またはばねが、弁棒と弁ハウジングとに結合されている。これにより、特に好適には、例えば電動機が故障したとき、それにもかかわらず弁棒が所定の状態へ、つまり初期状態または非常位置へと至ることが可能になる。
【0029】
本発明に係る弁アッセンブリの別の特に好適な形態では、弁棒は、1つまたは複数の滑り軸受内で案内される。特に好適には、そのような案内は、弁棒運動の安定化された運動経過を可能にする。
【0030】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、追加のスリーブが、弁棒とスリーブの内壁との間に、弁棒の直径の少なくとも1/10よりも小さい環状間隙しか存在せず、スリーブが外壁でもってハウジングに接触するように、弁棒の周りにおいて弁ハウジングに配置されている。これにより、例えば、煤およびその他の汚染物を全体的に良好に弁ハウジングから、特に弁の軸受領域から良好に遠ざけるという利点が得られる。
【0031】
本発明に係る弁アッセンブリの別の特に好適な形態では、少なくとも1つの環状のシールが、弁棒の周りに位置しており、シールは、弁ハウジングと弁棒とに緊密に接触している。これにより、特に好適には、弁棒とハウジングとの間への物質、例えば汚染物の望ましくない進入を阻止することが可能になる。
【0032】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な発展形態では、少なくとも1つの環状のシールが、弁棒の周りに位置しており、シールは、弁ハウジングと弁棒とに緊密に接触しており、環状のシールは、エラストマ材料から製造されている。エラストマ材料を使用するときの格別な利点は、良好な加工性および良好なシール性にある。
【0033】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な発展形態では、少なくとも1つの環状のシールが、弁棒の周りに位置しており、シールは、弁ハウジングと弁棒とに緊密に接触しており、環状のシールは、エラストマ材料から製造されており、シールと弁棒との間に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から成る要素が配置されている。シールと弁棒との間にPTFEから成る要素を配置することにより、特に好適には、PTFEの良好な滑り特性を利用すること、ひいては全体の摩擦を低減すると同時にエラストマ部品の損耗を大幅に低減することが可能になる。
【0034】
本発明に係る弁アッセンブリの別の特に好適な形態では、第1の伝動車がストッパを有し、弁ハウジングに別のストッパが配置されており、別のストッパは、伝動車におけるストッパに対応するように配置されているとともに、第1の伝動車の回動運動を制限する。これらのストッパの相互作用により、伝動車の回動軸線、ひいては弁棒の長手方向軸線周りの、第1の伝動車の回動運動が、ひいては第1の伝動車と固く結合された弁棒の回動運動も、制限される。これにより、特に好適には、弁/弁アッセンブリの開弁動作時に簡単に弁棒の動きを制限することが可能になる。
【0035】
本発明に係る弁アッセンブリの別の特に好適な形態では、第1の伝動車がストッパを有し、ストッパは、好適には円運動するように構成されている。ハウジングに別のストッパが配置されており、別のストッパは、伝動車におけるストッパに対応してこれに対向して位置する。これらのストッパの相互作用により、弁棒の長手方向軸線の方向における弁棒の直線運動が制限される。これにより、特に好適には、弁/弁アッセンブリの開弁動作時に簡単に弁棒の動きを制限することが可能になる。
【0036】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、弁アッセンブリは、排気ガス再循環弁アッセンブリとして使用されるときに温度に耐えるように構成されている。これにより、特に好適には、排気ガス再循環の関連において本発明に係る弁アッセンブリを使用することが可能になる。
【0037】
本発明に係る弁アッセンブリの特に好適な形態では、少なくとも1つの伝動車の、軸方向の、つまり回動軸線に沿った延伸長さが増大されており、弁棒のストロークの全体にわたって伝動車の充分な係合または重畳が保証されている。これにより、一方では、特に好適には、弁棒の直線運動範囲の全体にわたって十分な係合が与えられることが保証される。他方では、特に好適には、この係合が、特に直接にかつ同時に低コストに達成されるので、煩雑な補整装置を省くことができる。
【0038】
本発明に係る弁アッセンブリの別の特に好適な形態では、少なくとも1つの付加的な伝動車が、第1の伝動車と第2の伝動車との間で回動運動を伝達し、第1の伝動車と第2の伝動車とが相互に接触していない。これにより、特に好適には、他の伝達形状やより大きな変換を可能にする、かつ/または、それゆえ限られた空間特性に良好に対応することが可能になる。特別な形態では、介在する伝動車が軸方向に延長されていてもよく、これにより弁棒のストローク範囲の全体を越える充分な伝動係合が可能になる。しかも、介在する複数の伝動車が存在し、これらの伝動車のうちの1つまたは複数が軸方向に延長されていてよいことも考えられる。
【0039】
以下、本発明を、複数の図面に基づき詳説する。これらの図面において、同一のまたは同等の要素には同一の参照番号が付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】閉弁部材と固く結合された弁棒と、弁ハウジングと、弁座と、電動機であって、電動機により弁棒が可動である、電動機とを備える、本発明に係る自動車用の弁アッセンブリの側面図を示す。
図2】複数の滑り軸受を備える、本発明に係る自動車用の弁アッセンブリの側面図を示す。
図3】第1の伝動車および第2の伝動車に対して付加的に第3の伝動車を備える、本発明に係る自動車用の弁アッセンブリの斜視図を示す。
図4】弁棒が、雌ねじ山を有する構成部材と固く結合されており、弁アッセンブリが雄ねじ山を有している、本発明に係る自動車用の弁アッセンブリの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面を見やすくするために、場合により存在する、歯車として構成される伝動車の歯は、一部では示されていない。
【0042】
図1は、本発明に係る、自動車用の弁アッセンブリ100の1つの形態を側面断面図で示している。弁棒110が、閉弁部材120と固く結合されている。閉弁部材120は、弁座140と接触し、これにより接触領域がシールされる。弁アッセンブリは、弁ハウジング130を有する。第1の伝動車180が、弁棒110と結合されている。第2の伝動車190が、電動機150と結合されているとともに、回動運動を第1の伝動車180へ直接伝達するように配置されている。弁棒110は、一部の領域に雄ねじ山160を有しており、この雄ねじ山160は、ねじブッシュまたはスピンドルナット170内で運動する。雄ねじ山160と、ねじブッシュまたはスピンドルナット170とが協働して、ねじ伝動装置を形成する。これにより、弁棒の長手方向軸線周りの弁棒の回動運動が、同時に弁棒の長手方向軸線に沿った直線運動を生じさせる。機械式の戻し要素310またはばねが、弁棒110と弁ハウジング130とに結合されており、これにより、第1の伝動車180に、より大きなトルクが作用しなくなると、弁棒110が回動して初期位置へ戻る。初期位置は、弁アッセンブリ/弁の閉弁位置である。磁石220が弁棒110と結合されており、これを用いて磁界センサ210が弁棒の位置を検出する。弁棒110は、滑り軸受410により案内される。追加のスリーブ510が、弁棒110とスリーブ510の内壁との間に少なくとも弁棒110の直径の1/10よりも小さい環状間隙しか存在せず、スリーブ510がその外壁でもってハウジング130に接触するように、弁棒110の周りにおいて弁ハウジング130に配置されている。環状のシール610が、弁棒110の周りに位置しており、したがってシール610は、弁ハウジング130と弁棒110とに緊密に接触している。第1の伝動車180は、ストッパ185を有しており、ハウジング130には、別のストッパ135が配置されている。別のストッパ135は、伝動車180におけるストッパ185に対応して配置されており、第1の伝動車180の回動運動を制限する。第1の伝動車180は、長手方向の、つまり回動軸線に沿った延伸長さが増大されており、したがって、伝動車180,190の充分な係合または重畳が、弁棒110のストロークの全体にわたって保証される。
【0043】
弁ハウジングにおける戻し要素310またはばねの固定は、図面を見やすくするために図示されていない。
【0044】
図2は、本発明に係る、自動車用の弁アッセンブリ100の例示的な形態を側面断面図で示している。図2に示す弁アッセンブリは、ここでは第2の伝動車190の、長手方向の、つまり回動軸線に沿った延伸長さが増大されており、したがって、弁棒110のストロークの全体にわたって伝動車180,190の充分な係合または重畳が保証されている点において、図1に示した弁アッセンブリとは相違している。
【0045】
図3は、本発明に係る弁アッセンブリ110の例示的な形態を斜視図で示している。図3に示す弁アッセンブリは、ここでは追加の伝動車710を介して第1の伝動車180と第2の伝動車190との間で回動運動が伝えられる点において、図1および図2に示した弁アッセンブリとは相違している。この場合、第1の伝動車180と第2の伝動車190とは接触していない。
【0046】
図4は、弁棒110が雌ねじ山170を有する構成部材と固く結合されており、弁アッセンブリ100が雄ねじ山160を有している、本発明に係る弁アッセンブリ100の例示的な形態を斜視図で示している。弁棒110は、その一端で、閉弁部材120と固く結合されていて、また第1の伝動車180と固く結合されている。伝動車180は、雌ねじ山170を有している。雄ねじ山160が、弁棒110を包囲しているが、弁棒110とは結合されていない。換言すると、弁棒110は、雄ねじ山160を貫いて突出していて、弁棒110の長手方向軸線周りに雄ねじ山に対して回動するか、または弁棒110の長手方向軸線に沿って雄ねじ山を貫いて運動可能である。雌ねじ山170は、ハウジング130と固く結合された雄ねじ山160上で運動する。モータ150が、回動運動を、第1の伝動車180と係合している第2の伝動車190へ伝達すると、第1の伝動車180も回動する。雌ねじ山170と雄ねじ山160とが協働してねじ伝動装置を形成するので、第1の伝動車180の回動運動は、第1の伝動車180の回動軸線に沿った第1の伝動車180の直線運動をも生じさせる。第1の伝動車180が弁棒110と固く結合されているので、弁棒110も伝動車の回動軸線(したがってこれは弁棒の回動軸線でもある)周りの回動運動を行うのと同時に、この回動軸線に沿った直線運動を行う。
図1
図2
図3
図4