【課題を解決するための手段】
【0008】
それゆえ、第1の態様では、本発明は、3D物品(「物品」又は「3D印刷された物品」としても示され得るもの)を(特に、熱溶解積層法で)3D印刷するステップを含む方法を提供し、当該方法は、3D印刷された材料内に光ファイバが少なくとも部分的に埋め込まれている、3D物品を提供するために、印刷段階の間に、3D印刷可能材料及び光ファイバ(「ファイバ」)を堆積させるステップを含み、3D印刷可能材料は、印刷段階の少なくとも一部の間に、特定の実施形態では、光透過性材料を含み、当該方法は、印刷段階の間に、光透過性材料を含む3D印刷された材料を含む、光脱出部分を提供するステップを更に含み、光ファイバを通って伝搬する、UV放射線、可視光、及びIR放射線のうちの1つ以上、特に少なくとも可視光は、光ファイバから、特に光脱出部分によって含まれている3D印刷された材料を介して、3D物品の外部に抜け出ることができる。
【0009】
そのような方法では、3D印刷された物品の所定の位置において、照明スポット又は照明領域を可能にする、3D印刷されたデバイスを提供することが可能であり、照明スポット又は照明領域の寸法及び位置は、例えば、装飾光又は機能的照明に関して、標識などを提供することなどに関して、比較的大きい選択の自由度で選択されてもよい。また、3D印刷された物品内での光の良好な分布を、本発明が可能にするという事実により、本質的に、3D印刷された物品全体が発光性であってもよい場合もある。本発明では、光ファイバを(また)使用する、3D印刷された照明器具を提供することが可能である。
【0010】
上述されたように、本発明は、3D物品を3D印刷するステップを含む方法を提供する。本発明の方法は(それゆえ)また、後処理、3D印刷された物品に対する(他の)光学素子、電子機器、光源などの他の特徴部の追加などの、他の動作を含んでもよい。それゆえ、実施形態では、本方法は、後処理段階を更に含んでもよく、3D印刷された物品の1つ以上の部分は、例えば、加熱されること、溶剤で処理されることなどがあってもよい。この後処理は、準備が整っている3D印刷された物品に対して実行されてもよく、及び/又は、印刷段階は未だ完了していないが、準備が整っている、3D印刷された物品の諸部分に対して実行されてもよい。後処理は、例えば、3D印刷された物品の表面を平滑化するために使用されてもよい。また更に、実施形態では、本方法は、光ファイバを、UV放射線、可視光、及びIR放射線のうちの1つ以上、特に少なくとも可視光を生成するように構成されている光源と、機能的に結合するステップを更に含んでもよい。用語「光学的に接触している」の代わりに、用語「放射的に結合されている」が使用されてもよい。用語「放射的に結合されている」及び同様の用語は、特に、2つの物品が、それらの物品の一方によって供給される放射線の少なくとも一部が、他方の物品の少なくとも一部分を通って更に伝搬し得るように、互いに関連付けられていることを意味し得る。当然のことながら、3つ以上の物品が光学的に結合されてもよい。「光ファイバを光源と機能的に結合する」という語句は、特に、光源からの光が(光源の使用中に)光ファイバに進入して、光ファイバを通って伝搬するように、光源及び光ファイバを構成することを示す。それゆえ、この文脈では、光源もまた、光ファイバに光学的に結合されているとして示され得る。
【0011】
光ファイバ又は光ファイバは特に、例えば、ガラス(シリカ)又はプラスチックを延伸することによって作製される、可撓性の透明なファイバである。それゆえ、実施形態では、光ファイバは、ガラス材料を含む。一般に、ファイバは、20〜1000μm、特に、50〜200μmなどの、50〜400μmの範囲から選択される、コア直径を有する。比較的小さい直径の場合、ファイバは、可撓性かつ屈曲可能であってもよい。ファイバは、コア及びクラッドを含んでもよいが、実施形態では、ファイバは、コアのみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、3D印刷された材料によって埋め込まれているファイバの一部分は、クラッドを有さず、更に他の実施形態では、本質的に、埋め込まれているファイバ全体が、クラッドを有さない。クラッドは、コアよりも小さい屈折率、例えば、少なくとも10%小さいような、少なくとも5%小さい屈折率を有してもよい。
【0012】
光ファイバは、光源に光学的に結合されてもよい。光源は、3D物品の外部に構成されてもよく、又は、3D物品内に少なくとも部分的に埋め込まれてもよい。それゆえ、光源は、実施形態では3D物品によって含まれてもよい。それゆえ、また更なる態様では、本発明はまた、(a)可視の光源光を供給するように構成されている光源と、(b)本明細書で定義されるような3D物品とを備え、光ファイバが光源に機能的に結合されている、照明システムも提供する。
【0013】
光ファイバはまた、複数の光源に光学的に結合されてもよい。更には、用語「光ファイバ」はまた、複数の光ファイバを指す場合もあり、実施形態では、それらは光学的に結合されなくてもよく、他の実施形態では、それらのうちの2つ以上が光学的に結合されてもよい。それゆえ、3D物品は、実施形態では複数のファイバを備えてもよく、それらのファイバは、更なる実施形態では、1つ以上の光源に光学的に結合されてもよい。
【0014】
用語「光源」とは、レーザ、発光ダイオード(light emitting diode;LED)、共振空洞発光ダイオード(resonant cavity light emitting diode;RCLED)、垂直共振器レーザダイオード(vertical cavity laser diode;VCSEL)、端面発光レーザなどの、半導体発光デバイスを指す場合がある。用語「光源」はまた、パッシブマトリクス(passive-matrix;PMOLED)又はアクティブマトリクス(active-matrix;AMOLED)などの、有機発光ダイオードを指す場合もある。特定の実施形態では、光源は、固体光源(LED又はレーザダイオードなど)を含む。一実施形態では、光源は、LED(発光ダイオード)を含む。LEDという用語はまた、複数のLEDを指す場合もある。更には、用語「光源」はまた、実施形態では、いわゆるチップオンボード(chips-on-board;COB)光源を指す場合もある。用語「COB」は、特に、封入も接続もされることなく、PCBなどの基板上に直接実装されている、半導体チップの形態のLEDチップを指す。それゆえ、複数の半導体光源が、同じ基板上に構成されてもよい。実施形態では、COBは、単一の照明モジュールとして一体に構成されている、マルチLEDチップである。用語「光源」はまた、2〜2000個の固体光源などの、複数の光源に関連してもよい。
【0015】
光源は、UV放射線、可視放射線、及び/又はIR放射線を生成するように構成されてもよい。特に、光源は、有色光又は白色光であってもよい、可視放射線を生成するように構成されている。
【0016】
上述されたように、本方法は、印刷段階の間に、3D印刷可能材料を堆積させるステップを含む。本明細書では、用語「3D印刷可能材料」とは、堆積又は印刷されることになる材料を指し、用語「3D印刷された材料」は、堆積後に得られる材料を指す。これらの材料は、本質的に同じであってもよいが、これは、3D印刷可能材料が、特に、高温のプリンタヘッド又は押出機内の材料を指してもよく、3D印刷された材料は、同じ材料であるが、その後の堆積された段階を指すためである。3D印刷可能材料は、フィラメントとして印刷され、フィラメントとして堆積される。3D印刷可能材料は、フィラメントとして供給されてもよく、又はフィラメントへと形成されてもよい。それゆえ、いかなる出発材料が適用されるとしても、3D印刷可能材料を含むフィラメントが、プリンタヘッドによって供給されて、3D印刷される。
【0017】
本明細書では、用語「3D印刷可能材料」はまた、「印刷可能材料」として示されてもよい。用語「ポリマー材料」とは、実施形態では、異なるポリマーのブレンドを指す場合もあるが、実施形態ではまた、本質的に、異なるポリマー鎖長を有する単一のポリマーのタイプを指す場合もある。それゆえ、用語「ポリマー材料」又は「ポリマー」は、単一のタイプのポリマーを指す場合もあるが、また、複数の異なるポリマーを指す場合もある。用語「印刷可能材料」は、単一のタイプの印刷可能材料を指す場合もあるが、また、複数の異なる印刷可能材料を指す場合もある。用語「印刷された材料」は、単一のタイプの印刷された材料を指す場合もあるが、また、複数の異なる印刷された材料を指す場合もある。
【0018】
用語「3D印刷可能材料」はまた、2種以上の材料の組み合わせを指す場合もある。一般に、これらの(ポリマー)材料は、ガラス転移温度T
g及び/又は融解温度T
mを有する。3D印刷可能材料は、ノズルから出る前に、3Dプリンタによって、少なくともガラス転移温度、及び、一般には、少なくとも融解温度の温度まで加熱されることになる。それゆえ、特定の実施形態では、3D印刷可能材料は、ガラス転移温度(T
g)及び/又は融点(T
m)を有する熱可塑性ポリマーを含み、プリンタヘッドの動作は、3D印刷可能材料を、ガラス転移を超えて加熱し、当該材料が半結晶性ポリマーである場合には、融解温度を超えて加熱することを含む。更に別の実施形態では、3D印刷可能材料は、融点(T
m)を有する(熱可塑性)ポリマーを含み、プリンタヘッドの動作は、受け物品上に堆積されることになる3D印刷可能材料を、少なくとも融点の温度まで加熱することを含む。ガラス転移温度は、一般に、融解温度と同じものではない。融解は、結晶性ポリマーにおいて生じる転移である。融解は、ポリマー鎖が、それらの結晶構造から脱落して、無秩序な液体になる際に発生する。ガラス転移は、非晶質ポリマーに発生する転移であり、すなわち、固体状態である場合であっても、それらの鎖が規則的な結晶として配列されておらず、いずれかの方式で単に分散されているポリマーである。ポリマーは、本質的にガラス転移温度を有し、融解温度を有さない、非晶質とすることができ、又は、一般にガラス転移温度及び融解温度の双方を有する、(半)結晶質とすることができ、一般に、後者は前者よりも大きい。
【0019】
上述されたように、本発明は、それゆえ、3D印刷可能材料のフィラメントを供給するステップと、印刷段階の間に、3D物品を提供するために、基材上に3D印刷可能材料を印刷するステップとを含む、方法を提供する。3D印刷可能材料として特に適格であり得る材料は、金属、ガラス、熱可塑性ポリマー、シリコーンなどから成る群から選択されてもよい。特に、3D印刷可能材料は、ABS(acrylonitrile butadiene styrene;アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ナイロン(又は、ポリアミド)、アセテート(又は、セルロース)、PLA(poly lactic acid;ポリ乳酸)、テレフタレート(PETポリエチレンテレフタレートなど)、アクリル(ポリメチルアクリレート、Perspex(登録商標)、ポリメチルメタクリレート、PMMA)、ポリプロピレン(又は、ポリプロペン)、ポリスチレン(Polystyrene;PS)、PE(膨張性高衝撃ポリテン(又は、ポリエテン)、低密度(LDPE)高密度(HDPE)など)、PVC(polyvinyl chloride;ポリ塩化ビニル)、ポリクロロエテンなどから成る群から選択される、(熱可塑性)ポリマーを含む。オプションとして、3D印刷可能材料は、尿素ホルムアルデヒド、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド、ポリカーボネート(Polycarbonate;PC)、ゴムなどから成る群から選択される、3D印刷可能材料を含む。オプションとして、3D印刷可能材料は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、イミド(例えばポリエーテルイミド)などから成る群から選択される、3D印刷可能材料を含む。
【0020】
印刷可能材料は、受け物品上に印刷される。特に、受け物品は、構築プラットフォームとすることができ、又は、構築プラットフォームによって含まれることもできる。受け物品もまた、3D印刷の間に加熱されることができる。しかしながら、受け物品はまた、3D印刷の間に冷却されてもよい。
【0021】
語句「受け物品上に印刷する」及び同様の語句は、とりわけ、受け物品上に直接印刷すること、又は、受け物品上のコーティング上に印刷すること、又は、受け物品上に以前に印刷されている、3D印刷された材料上に印刷することを含む。用語「受け物品」とは、印刷プラットフォーム、プリントベッド、基材、支持体、ビルドプレート、又は構築プラットフォームなどを指す場合がある。用語「受け物品」の代わりに、用語「基材」もまた使用されてもよい。語句「受け物品上に印刷する」及び同様の語句は、とりわけ、印刷プラットフォーム、プリントベッド、支持体、ビルドプレート、又は構築プラットフォームなどの上の、あるいは、それらによって含まれている、別個の基材上に印刷することもまた含む。それゆえ、語句「基材上に印刷する」及び同様の語句は、とりわけ、基材上に直接印刷すること、又は、基材上のコーティング上に印刷すること、又は、基材上に以前に印刷されている、3D印刷された材料上に印刷することを含む。以降では、基材という用語が更に使用され、当該用語は、印刷プラットフォーム、プリントベッド、基材、支持体、ビルドプレート、又は構築プラットフォームなど、あるいは、それらの上の、又はそれらによって含まれている、別個の基材を指す場合がある。特定の(別個の)基材が論じられている、以下もまた更に参照されたい。
【0022】
上述されたように、本方法は、印刷段階の間に、3D印刷可能材料及び光ファイバを堆積させるステップを含む。3D材料は、従来の3D印刷技術、特にFDMなどを使用して印刷される。光ファイバは、プリンタヘッドとは異なるデバイスを使用して堆積されてもよい。それゆえ、印刷段階は、3D印刷可能材料を印刷するステップと、光ファイバを堆積させるステップとを含んでもよい。しかしながら、他の実施形態では、印刷段階の間に、光ファイバ及び3D印刷可能材料は、単一のプリンタヘッドを使用して同時に堆積される。
【0023】
それゆえ、特定の実施形態では、3D印刷可能材料は、光ファイバを少なくとも部分的に包み込む。これらの方式で、3D印刷された材料内に光ファイバが少なくとも部分的に埋め込まれている、3D物品が提供されてもよい。一般に、用語「少なくとも部分的に埋め込まれている」とは、3D印刷された材料内にファイバが埋め込まれているが、例えば光をインカップルするために、ファイバの一部分が突出し得る実施形態を指す場合がある。それゆえ、特に、光ファイバの特定の長さにわたって、光ファイバは、3D印刷された材料内に完全に埋め込まれている。
【0024】
特定の実施形態では、ファイバの1つ以上の部分は、3D印刷された材料によって覆われていなくてもよい。そのような実施形態では、光ファイバの長さの一部にわたって、光ファイバは、3D印刷された材料によって覆われていなくてもよく、光は、(光透過性の)3D印刷された材料を透過することなく、3D印刷された物品の外部に直接抜け出てもよい。そのような実施形態では、ファイバは、特にクラッドを含んでもよく、屈曲部及び/又はアウトカップリング機構を更に含んでもよい。
【0025】
語句「光ファイバを堆積させる」及び同様の語句は、最終製品において、光ファイバが3D物品内に完全に埋め込まれており、3D印刷された物品から光ファイバが延出しない実施形態、又は、光ファイバが、3D印刷された物品内に、光ファイバの特定の長さ(少なくとも1cmなど)にわたって埋め込まれているが、3D印刷された物品から光ファイバの一部分が延出してもよい実施形態を指す場合がある。
【0026】
3D印刷された物品の外部への、光ファイバの光の効率的な伝達を可能にするために、3D印刷された材料の少なくとも一部分は、光透過性でなければならない。それゆえ、3D印刷可能材料は、印刷段階の少なくとも一部の間に、光透過性材料を含む。特定の実施形態では、3D印刷可能材料(またそれゆえ、3D印刷された材料)は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフェニルスルホン(polyphenyl sulfone;PPSF)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(polyamide;PA)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのうちの1つ以上を含む。それゆえ、光透過性材料は、ポリマー材料を含む。
【0027】
用語「光透過性」はまた、特定の波長に対する透過性を指す場合もある。それゆえ、光透過性材料はまた、例えば、着色されていてもよい。また更なる実施形態では、光透過性材料は、光散乱を示してもよい(それにより、光を拡散させる)。
【0028】
透過率又は光透過性は、第1の強度を有する特定波長の光を、材料に供給して、材料を透過した後に測定された、当該波長の光の強度を、当該特定波長で材料に供給された光の第1の強度に関連付けることによって、決定されることができる(CRC Handbook of Chemistry and Physics,69th edition,1088−1989の、E−208及びE−406もまた参照されたい)。
【0029】
特定の実施形態では、材料は、或る波長又は波長範囲の、特に、本明細書で説明されるような放射線の供給源によって生成された放射線の波長又は波長範囲の放射線の、厚さ1mmの材料の層を介した、特に更に厚さ5mmの材料の層を介した、放射線の垂直照射下での透過率が、特に少なくとも80%などの、少なくとも約85%などの、更に少なくとも約90%などの、少なくとも60%のような、少なくとも40%などの、少なくとも約20%である場合に、透過性と見なされてもよい。
【0030】
全ての3D印刷された材料が、光透過性である必要はない。3D印刷された材料の1つ以上の部分が、光透過性であってもよく、オプションとして、1つ以上の他の部分は、光透過性でなくてもよい(すなわち、光不透過性)。
【0031】
3D印刷された物品の外部に、ファイバを介して光を供給するために、3D印刷された材料の少なくとも一部分が、光透過性でなければならない(又は、光ファイバが部分的に埋め込まれていない)だけではなく、光の少なくとも一部はまた、光ファイバから抜け出た後に続けて、光透過性材料を通って伝搬するべきである。
【0032】
それゆえ、本方法は、印刷段階の間に、光透過性材料を含む3D印刷された材料を含む、光脱出部分を提供するステップを更に含み、光ファイバを通って伝搬する、UV放射線、可視光、及びIR放射線のうちの1つ以上、特に少なくとも可視光は、光ファイバから、光脱出部分によって含まれている3D印刷された材料を介して、3D物品の外部に抜け出ることができる。光ファイバを通って伝搬する光の少なくとも一部が、光ファイバの外に抜け出ることを容易にするために、いくつかの選択肢が選択されることができる。用語「光脱出部分」とは、特に、光ファイバからの光の(局所的)アウトカップリング、光透過性材料を通る光の伝搬、及び、その後の3D物品から外部への脱出により、3D物品から光が抜け出る、3D物品の部分を指す。
【0033】
3D物品全体が、光透過性であってもよく、光ファイバは、(光ファイバが、光源に光学的に結合されている場合に)3D物品全体が発光し得るように構成されてもよい。しかしながら、更に他の実施形態では、3D物品は、1つ以上の光脱出部分、及び1つ以上の光不透過性部分を備えてもよい。用語「光不透過性部分」とは、光ファイバから光が抜け出た場合に、当該光に対して本質的に不透過性である、3D印刷された材料の部分を指す。そのような部分は、(光ファイバと3D物品の外部との間の)3D印刷された材料の厚さ、(光ファイバと3D物品の外部との間の)3D印刷された材料のタイプ、(光ファイバと3D物品の外部との間の)3D印刷された材料内の1種以上の添加物などのうちの1つ以上のような、パラメータを選択することによって作り出されてもよい。特定の実施形態では、3D物品は、少なくとも2つの光脱出部分、更により特定的には、少なくとも5つの光脱出部分を備える。光脱出部分は、例えば、(特に、3D印刷された材料及び光ファイバを指す)3D物品の、最大100%のような、少なくとも20%などの、少なくとも10%に寄与し得る。
【0034】
実施形態では、印刷段階の間に、光ファイバから光が抜け出ることを容易にする曲げ角度(α)で光ファイバを構成することによって、光脱出部分が更に提供される。それゆえ、本方法は、湾曲部を有する光ファイバを堆積させるステップを(それゆえ)含んでもよく、このことは、湾曲部における可視光のアウトカップリングを促進するものであり、3D印刷された材料内の光ファイバの湾曲部は、光脱出部分によって含まれている。オプションのクラッドを含めた、約400μm以下の直径を有する光ファイバでは、全内部反射を局所的に低減する湾曲部が作製されることができる。特に、角度αは弧を画定し、αは、少なくとも45°、特に45°〜135°の範囲であり、弧の随伴半径は、最大約1cmである。実施形態では、光ファイバには、特に、光ファイバの直径の最大5倍などの、光ファイバの直径の最大10倍のような、特に、光ファイバの直径の最大15倍などの、直径の最大20倍である曲げ半径を有する屈曲部が、設けられてもよい。
【0035】
それゆえ、全内部反射が低減され、光の少なくとも一部が光ファイバから抜け出るように、半径が選択される。それゆえ、光ファイバの長さの少なくとも一部にわたって、光ファイバは、光ファイバの直径の最大10倍の曲げ半径を有してもよい。
【0036】
あるいは、又は更に、印刷段階の間に、アウトカップリング機構を介して光ファイバから光が抜け出ることを容易にするために、光ファイバにアウトカップリング機構を設けることによって、光脱出部分が更に提供される。アウトカップリング機構は、例えば、(利用可能な場合)クラッドの一部分の除去であってもよく、それにより、コアが、3D印刷可能材料と直接接触する。例えば、光ファイバは、に供給されてもよく、プリンタヘッドの上流で、クラッドの少なくとも一部分をデバイスが除去する。あるいは、又は更に、光ファイバ内の擦過痕又は光ファイバ内の(非貫通)キャビティなどの欠損部が、光ファイバ内に作り出されてもよい。クラッドが利用可能である場合、クラッド及び下にあるコアの双方において、欠損部が存在してもよい。クラッドが(光ファイバの長さの一部にわたって)利用可能ではない場合、コアのみが、そのような欠損部を含んでもよい。例えば、光ファイバは、プリンタヘッドに供給されてもよく、プリンタヘッドの上流で、光ファイバ内にデバイスが欠損部を作り出す。それゆえ、実施形態では、アウトカップリング機構を設けるステップは、(i)クラッドの一部分を除去するステップ、及び(ii)光ファイバ内に欠損部を作り出すステップのうちの1つ以上を含み得る。
【0037】
更には、又は代替的に、アウトカップリング機構は、印刷プロセスの前に光ファイバに設けられてもよい。それゆえ、実施形態では、光ファイバは、予め欠損部を含んでもよく、及び/又は、長さの少なくとも一部にわたって、クラッドを含まなくてもよい。しかしながら、更に他の実施形態では、欠損部は、3D印刷方法の間に、又は3Dプリンタを使用して作り出される。
【0038】
上述されたように、クラッドは、一般にコアよりも低い屈折率を有してもよい。このことは、光ファイバ内での全内部反射を容易にする。特に、(光ファイバの長さの一部にわたって)クラッドが利用可能ではない場合に、光ファイバよりも大きい屈折率を有する光透過性材料を選択することによって、アウトカップリングが容易にされてもよい。それゆえ、実施形態では、光脱出部分によって含まれている光透過性材料は、光ファイバの屈折率よりも高い屈折率を有する(光透過性材料と接触している光ファイバの少なくとも一部分は、クラッドを含まない)。光透過性材料は、コアよりも大きい屈折率、例えば、少なくとも20%大きいような、少なくとも5%大きい屈折率を有してもよい。
【0039】
3D印刷方法はまた、光透過性材料、又は、より一般的には3D印刷可能材料の、光学特性を調整することも可能にする。ポリマー材料の組成並びに/あるいは添加物の濃度及び/又はタイプなどの、3D印刷可能材料の組成を制御することによって、3D印刷された材料の1つ以上の部分は、光透過性となる場合もあり、光透過性となる場合もあり、本質的に光透過性とならない場合もあり、発光性となる場合などもある。それゆえ、実施形態では、本方法は、少なくとも光脱出部分を有する、3D物品の異なる部分を提供するために、印刷段階の間に、(i)3D印刷可能材料によって含まれる光反射性粒子の濃度、(ii)3D印刷可能材料によって含まれる発光材料の濃度、(iii)3D印刷可能材料の屈折率、及び(iv)3D印刷可能材料によって含まれるポリマー材料の組成のうちの1つ以上を変更することによって、3D印刷可能材料の組成を変更するステップを更に含んでもよい。語句「少なくとも光脱出部分を有する」は、いずれの選択が実施されるにせよ、少なくとも単一の光脱出部分が存在することを示すために追加されている(上記もまた参照されたい)。
【0040】
用語「反射性粒子」はまた、異なるタイプの反射性粒子を指す場合もある。反射性粒子は、特に、光ファイバが所望され得る、ファイバと光学的に結合されている光源の光に対して、反射性であってもよい。異なる部分は、異なる濃度の反射性粒子を含んでもよく、反射性粒子を全く有さない部分も含む。反射性粒子は、当該技術分野において既知の反射性材料である、TiO
2、Al
2O
3、MgO、Ba
2SO
4などの、1種以上の無機材料を特に含んでもよい。
【0041】
用語「発光材料」はまた、異なるタイプの発光材料を指す場合もある。発光材料は、特に、光ファイバが所望され得る、ファイバと光学的に結合されている光源の光を吸収する場合に、発光性であってもよい。異なる部分は、異なる濃度の発光材料を含んでもよく、発光材料を全く有さない部分も含む。発光材料は、特に、ガーネットを含む三価のセリウム、酸化物若しくは窒化物若しくは酸窒化物などを含む二価ユーロピウムなどの、量子構造又は発光材料などの1種以上の無機発光材料、染料などの有機発光材料などを含んでもよい。
【0042】
それゆえ、特定の実施形態では、光透過性材料は、第1の透過率を有し、印刷段階の一部の間に、3D印刷可能材料は、第1の透過率よりも低い第2の透過率を有する、第2の材料を含み、本方法は、1つ以上の光脱出部分と、光透過性ではなく、3D印刷された材料を介して可視光が外部に抜け出ることができない、1つ以上の部分であって、第2の材料を含む1つ以上の部分とを設けるステップを更に含む。第2の透過率は、特に、第1の透過率よりも少なくとも50%低くてもよく、例えば、少なくとも95%などの、少なくとも90%のような、少なくとも80%低くてもよい。
【0043】
更には、本発明は、本明細書で説明される方法を実行するために使用されることが可能な、ソフトウェア製品に関する。
【0044】
本明細書で説明される方法は、3D印刷された物品を提供する。それゆえ、本発明はまた、更なる態様では、本明細書で説明される方法で得ることが可能な、3D印刷された物品も提供する。特に、本発明は、3D印刷された材料及び光ファイバを備える、3D物品を提供し、光ファイバは、3D印刷された材料内に少なくとも部分的に埋め込まれており、3D物品は、第1の透過率を有する光透過性材料を含む3D印刷された材料を含む、光脱出部分を備え、光ファイバを通って伝搬する、UV放射線、可視光、及びIR放射線のうちの1つ以上、特に可視放射線は、光ファイバから、光脱出部分によって含まれている3D印刷された材料を介して、3D物品の外部に抜け出ることができる。
【0045】
3D印刷された物品に関連するいくつかの特定の実施形態が、以下で本方法を論じる際に既に解明されている。以下では、3D印刷された物品に関連する、いくつかの特定の実施形態が、より詳細に論じられる。
【0046】
それゆえ、特定の実施形態では、(i)光脱出部分内の光ファイバが、光ファイバから光が抜け出ることを容易にする曲げ角度及び/又は曲げ半径(α)を有すること、(ii)光脱出部分内の光ファイバが、アウトカップリング機構を介して光ファイバから光が抜け出ることを容易にするために、アウトカップリング機構を有すること、及び(iii)光脱出部分によって含まれている光透過性材料が、光ファイバの屈折率よりも高い屈折率を有することのうちの、1つ以上である。
【0047】
曲げ半径は、特に、光ファイバの直径の最大5倍などの、光ファイバの直径の最大10倍のような、特に、光ファイバの直径の最大15倍などの、直径の最大20倍である。
【0048】
特に、更なる実施形態では、角度αは弧を画定し、αは、45°〜135°の範囲などの、少なくとも45°であり、弧の随伴半径は、最大約1cmである。
【0049】
更なる実施形態では、(i)光ファイバが、ガラス材料を含むコア、及びクラッドを含み、コアの少なくとも一部分が、クラッドによって覆われておらず、その部分が、光脱出部分によって少なくとも部分的に含まれていること、及び(ii)光ファイバが、光ファイバからの可視光のアウトカップリングを容易にするための欠損部を含む、アウトカップリング機構を含み、アウトカップリング機構の少なくとも一部分が、光脱出部分によって含まれていることのうちの、1つ以上である。このようにして、ファイバに機能的に結合されている光源を使用して、光ファイバに供給される際の、UV、可視、及びIR放射線のうちの1つ以上、特に可視放射線の、光ファイバからのアウトカップリングが、(更に)容易にされてもよい。
【0050】
上述されたように、3D物品によって含まれている、異なる部分が存在してもよい。それゆえ、実施形態では、3D物品は、1つ以上の光脱出部分と、光透過性ではない1つ以上の他の部分とを備え、2つ以上の部分は、(i)3D印刷された材料によって含まれている光反射性粒子の濃度、(ii)3D印刷された材料によって含まれている発光材料の濃度、(iii)3D印刷された材料の屈折率、及び(iv)3D印刷された材料によって含まれているポリマー材料の組成のうちの、1つ以上において異なっている。高濃度の1種以上の光反射性粒子及び発光材料を有する、光透過性材料を供給することによって、光不透過性部分が(また)設けられてもよい点に留意されたい。それゆえ、本発明はまた、1つ以上の光脱出部分と、光透過性ではなく、3D印刷された材料を介して可視光が外部に抜け出ることができない、1つ以上の部分とを備える、3D物品の実施形態も提供する。
【0051】
3D印刷プロセスに戻ると、本明細書で説明される3D印刷された物品を提供するために、特定の3Dプリンタが使用されてもよい。それゆえ、また更なる態様では、本発明はまた、(a)プリンタノズルを含むプリンタヘッドと、(b)3D印刷可能材料をプリンタヘッドに供給するように構成されている3D印刷可能材料供給デバイスとを備える、熱溶解積層法3Dプリンタを提供し、熱溶解積層法3Dプリンタは、3D印刷可能材料及び光ファイバを基材に供給するように構成されており、熱溶解積層法3Dプリンタは、(c)(i)クラッドの一部分を除去すること、及び(ii)光ファイバ内に欠損部を作り出すことのうちの1つ以上によって、光ファイバを修正するように構成されている、光ファイバ修正器を更に備える。3D印刷可能材料供給デバイスは、3D印刷可能材料を含むフィラメントを、プリンタヘッドに供給してもよく、又は、3D印刷可能材料それ自体を供給して、プリンタヘッドが、3D印刷可能材料を含むフィラメントを作り出してもよい。それゆえ、実施形態では、本発明は、(a)プリンタノズルを含むプリンタヘッドと、(b)3D印刷可能材料を含むフィラメントをプリンタヘッドに供給するように構成されているフィラメント供給デバイスとを備える、熱溶解積層法3Dプリンタを提供し、熱溶解積層法3Dプリンタは、3D印刷可能材料を基材に供給するように構成されており、(c)上述されたような光ファイバ修正器を更に備える。
【0052】
一態様では、本発明は、3D物品を3D印刷するステップを含む方法を提供し、当該方法は、3D印刷された材料内に光ファイバが少なくとも部分的に埋め込まれている、3D物品を提供するために、印刷段階の間に、3D印刷可能材料及び光ファイバを堆積させるステップを含み、当該方法は、印刷段階の間に、光ファイバを通って伝搬する可視光が、光ファイバから3D物品の外部に抜け出ることが可能な、光脱出部分を提供するステップを更に含む。光脱出部分は、例えば、光ファイバからの光のアウトカップリングを容易にする特定の曲げ半径、及び/又は、(クラッドを含む実施形態では)光ファイバ内の欠損部などの、光ファイバからアウトカップリング光が抜け出ることを容易にする(他の)アウトカップリング機構のうちの、1つ以上を含んでもよい。特定の曲げ半径条件はまた、実際に、光アウトカップリング機構を提供し得る。光ファイバが、完全には埋め込まれておらず、長さの少なくとも一部にわたって、アウトカップリング機構を含み、外部と直接接触している場合、光は、外部に直接抜け出てもよい。それゆえ、実施形態では、光ファイバが、完全には埋め込まれていなくてもよく、3D印刷された物体の表面に存在してもよく、及び/又は、そのような表面から延出しているため、3D印刷可能材料及び3D印刷された材料は、光透過性材料を含まなくともよい。そのような実施形態では、光脱出部分は本質的に、光が光ファイバから3D印刷された物品の外部に直接抜け出る、光ファイバの一部分であってもよい。それゆえ、1つ以上の区域は、3D印刷された材料で完全には覆われなくてもよい。
【0053】
更に他の実施形態では、光ファイバは、長さの少なくとも一部にわたって完全に埋め込まれており、光ファイバはまた、光アウトカップリング機構も含む。そのような場合には、光脱出部分は、光透過性材料(すなわち、光透過性材料を含む3D印刷された材料)を更に含んでもよい。
【0054】
それゆえ、本発明はまた、3D物品を3D印刷するステップを含む方法も提供し、当該方法は、3D印刷された材料内に光ファイバが少なくとも部分的に埋め込まれている、3D物品を提供するために、印刷段階の間に、3D印刷可能材料及び光ファイバを堆積させるステップを含み、3D印刷可能材料は、印刷段階の少なくとも一部の間に、光透過性材料を含んでもよく、又は光不透過性材料を含んでもよく、本方法は、印刷段階の間に、光脱出部分を提供するステップを更に含み、光脱出部分が、3D印刷された材料を含む場合、3D印刷された材料は、光透過性材料を含み、光脱出部分は特に、光ファイバを通って伝搬する可視光が、光ファイバから、オプションとして、光脱出部分によって含まれている3D印刷された材料を介して、3D物品の外部に抜け出ることが可能な、光ファイバの直径の最大20倍よりも小さい半径を有する屈曲部、及び/又は、クラッドを有さない部分、及び/又はファイバ(あるいは、ファイバ及びクラッド)内の欠損部などの、光アウトカップリング機構を含む。
【0055】
用語「熱溶解積層法(FDM)3Dプリンタ」の代わりに、簡潔に、用語「3Dプリンタ」、「FDMプリンタ」、又は「プリンタ」が使用されてもよい。プリンタノズルはまた、「ノズル」として、又は場合により「押出機ノズル」として示されてもよい。