特許第6836046号(P6836046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836046有機物の亜臨界又は超臨界連続処理設備及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6836046
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】有機物の亜臨界又は超臨界連続処理設備及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 3/00 20060101AFI20210215BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20210215BHJP
   B01J 3/04 20060101ALI20210215BHJP
   B01J 3/02 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   B01J3/00 A
   B09B3/00 304Z
   B09B3/00
   B01J3/04 G
   B01J3/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-210028(P2019-210028)
(22)【出願日】2019年11月20日
【審査請求日】2020年6月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510150178
【氏名又は名称】清水 幹治
(73)【特許権者】
【識別番号】519415867
【氏名又は名称】エンハンスドホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】清水 幹治
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−064691(JP,A)
【文献】 特開2015−116530(JP,A)
【文献】 特開2015−062875(JP,A)
【文献】 特開2008−297229(JP,A)
【文献】 特開2013−034988(JP,A)
【文献】 特表2016−511142(JP,A)
【文献】 特開平11−290875(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101613377(CN,A)
【文献】 特開2002−263465(JP,A)
【文献】 特開平10−296076(JP,A)
【文献】 特開平10−137775(JP,A)
【文献】 特開2003−010868(JP,A)
【文献】 特開2007−229553(JP,A)
【文献】 特開2014−108374(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/055705(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J3/00−3/08
B09B1/00−5/00,B09C1/00−1/10
C02F1/70−1/78
C02F11/00−11/20
G21F9/00−9/36
C01F1/70−1/78
A62D3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を含有した処理対象物を供給する処理対象物供給装置と、
亜臨界又は超臨界水を供給する加熱水供給装置と、
前記処理対象物供給装置に流通制御手段を介して連接されており、前記処理対象物供給装置から供給されてきた処理対象物と前記加熱水供給装置から供給されてきた亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌させる前処理圧力容器と、
前記前処理圧力容器に流通制御手段を介して連接されており、前記前処理圧力容器から排出されてきた処理対象物と前記加熱水供給装置から供給されてきた亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌させる第一次処理圧力容器と、
前記第一次処理圧力容器に流通制御手段を介して連接されており、前記第一次処理圧力容器から排出されてきた処理対象物と前記加熱水供給装置から供給されてきた亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌させる第二次処理圧力容器と、
前記前処理圧力容器乃至第二次処理圧力容器のそれぞれの圧力と、前記流通制御手段のそれぞれとを制御することによって、前記前処理圧力容器乃至第二次処理圧力容器のそれぞれでの混合攪拌処理を並列的に実施しながら、前記前処理圧力容器から前記第二次処理圧力容器までの処理対象物の自動輸送を行わせる制御手段とを備えたことを特徴とする有機物の亜臨界又は超臨界連続処理設備。
【請求項2】
請求項1において、前記第二次処理圧力容器に流通制御手段を介して連接されており、前記第二次処理圧力容器から排出されてきた処理対象物を固液分離する固液分離装置を更に備えたことを特徴とする有機物の亜臨界又は超臨界連続処理設備。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記流通制御手段のそれぞれは、バルブ、高圧ポンプのいずれか一方又は組み合わせで構成されていることを特徴とする有機物の亜臨界又は超臨界連続処理設備。
【請求項4】
有機物を含有した処理対象物と、亜臨界又は超臨界水とを前処理圧力容器を用いて混合攪拌する工程と、
前記前処理圧力容器から排出されてきた処理対象物と、亜臨界又は超臨界水とを第一次処理圧力容器を用いて混合撹拌させる工程と、
前記第一次処理圧力容器から排出されてきた処理対象物と、亜臨界又は超臨界水とを第二次処理圧力容器を用いて混合撹拌させる工程と、
前記前処理圧力容器、前記第一次処理圧力容器、前記第二次処理圧力容器のそれぞれの圧力を制御することによって、それらの処理圧力容器における処理対象物の混合攪拌処理を並列的に実施しながら、前記前処理圧力容器から前記第二次処理圧力容器までの処理対象物を自動輸送する工程を備えたことを特徴とする有機物の亜臨界又は超臨界連続処理方法。
【請求項5】
請求項4において、前記有機物を含有した同一の処理対象物と亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌する処理を、直列に連接された前記前処理圧力容器、前記第一次処理圧力容器、前記第二次処理圧力容器のそれぞれにおいて条件を異ならせながら順番に実施することを特徴とする有機物の亜臨界又は超臨界連続処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌・岩石などの無機物や都市ごみ、生ごみ、家畜糞尿、下水汚泥、ダム・湖・堀・海岸等の有機複合汚泥、植物残渣、間伐材、衣類、プラスチック等の有機物の亜臨界・超臨界処理とその後処理の準連続化方法及びその装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
亜臨界・超臨界処理とその後処理は、例えば、バイオマス、プラスチックや、土壌、下水汚泥、植物残渣の処理等、種々のものに使われてきた。亜臨界・超臨界処理する装置はバッチ式が主体で排出及び後処理をすることによって、常温常圧に戻ってしまう。そのため、次の原料に対し、再び、亜臨界・超臨界状態にまで昇温昇圧する必要があった。
そのため、亜臨界・超臨界装置の処理後、次の処理をするまでの間に原料を投入し温度圧力を再び亜臨界・超臨界温度圧力にするまでに時間を要し、原料を連続的に処理することができなかった。例えば1バッチ10トンのバイオマスの亜臨界処理による糖化処理の場合では、亜臨界処理の時間は30分であるのに前後処理含め次の処理を行うのに2時間を要している。
またバッチ式で行うことでは幅広い原料に即応する事が困難であって単発な事業展開に成らざるを得なかった状況があることと、大学等の研究開発でも事象の把握と纏めで多くの時間を要す要因ともなっていた。
【0003】
このことは、大量処理ができないことを意味するとともに、亜臨界・超臨界処理をするものは高価なものでないと工業的に採算が合わなかったことをも意味していたのである。しかしながら、土壌・岩石や都市ごみ、生ごみ、下水汚泥、植物残渣等特に最近では廃プラスチックが世界的な問題となっており大量処理の亜臨界・超臨界処理とその後処理を効率的に行う必要が生じてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5032713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような問題はバッチ処理工程においては、複合工程処理に限られるのではなく、処理後の排出の場合には、常温にまで戻ってしまい、再び、所定の温度にまで上げる必要があった。また、この問題は水熱処理だけではなく、広く、亜臨界・超臨界反応を使う場合に生じる問題である。即ち、次の処理を行なうのには、反応装置内の温度を下げてから亜臨界・超臨界状態にする流体と次の原料とを装置に投入してから加熱加圧する必要があり、原料を連続的に処理することができなかった。
本発明は、上記課題を解決し、原料を連続的に処理できる設備及び方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、有機物を含有した処理対象物を供給する処理対象物供給装置と、亜臨界又は超臨界水を供給する加熱水供給装置と、前記処理対象物供給装置に流通制御手段を介して連接されており、前記処理対象物供給装置から供給されてきた処理対象物と前記加熱水供給装置から供給されてきた亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌させる前処理圧力容器と、前記前処理圧力容器に流通制御手段を介して連接されており、前記前処理圧力容器から排出されてきた処理対象物と前記加熱水供給装置から供給されてきた亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌させる第一次処理圧力容器と、前記第一次処理圧力容器に流通制御手段を介して連接されており、前記第一次処理圧力容器から排出されてきた処理対象物と前記加熱水供給装置から供給されてきた亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌させる第二次処理圧力容器と、前記前処理圧力容器乃至第二次処理圧力容器のそれぞれの圧力と、前記流通制御手段のそれぞれとを制御することによって、前記前処理圧力容器乃至第二次処理圧力容器のそれぞれでの混合攪拌処理を並列的に実施しながら、前記前処理圧力容器から前記第二次処理圧力容器までの処理対象物の自動輸送を行わせる制御手段とを備えたことを特徴とする有機物の亜臨界又は超臨界連続処理設備である。
【0007】
また本発明は、有機物を含有した処理対象物と、亜臨界又は超臨界水とを前処理圧力容器を用いて混合攪拌する工程と、前記前処理圧力容器から排出されてきた処理対象物と、亜臨界又は超臨界水とを第一次処理圧力容器を用いて混合撹拌させる工程と、前記第一次処理圧力容器から排出されてきた処理対象物と、亜臨界又は超臨界水とを第二次処理圧力容器を用いて混合撹拌させる工程と、前記前処理圧力容器、前記第一次処理圧力容器、前記第二次処理圧力容器のそれぞれの圧力を制御することによって、それらの処理圧力容器における処理対象物の混合攪拌処理を並列的に実施しながら、前記前処理圧力容器から前記第二次処理圧力容器までの処理対象物を自動輸送する工程を備えたことを特徴とする有機物の亜臨界又は超臨界連続処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
亜臨界・超臨界処理し、後処理する従来法では、次の原料と流体を後処理しようにも、前の原料の後処理残の気体は、温度を下げようとしても気体の熱伝導率が低く、なかなか下がりにくい。それに対し、本発明による方法の場合には、次に後処理するものは、後処理装置の温度を下げることを必要とせず、亜臨界・超臨界状態の処理対象物の一部を抜き取ったものを、そのまま、或いは若干の加熱、加圧をして、後処理すればよい。従って、温度を下げる必要がないので、従来に比して、連続的に処理することができる。
【0009】
さらに、第一次処理圧力容器内に、抜き取られた処理対象物と同程度の量のものを前処理圧力容器より補充するときも、補充するものが常温常圧或いは常温常圧に近い状態から補充されるとしても、前処理圧力容器内で事前に加熱加圧を行って補充することができるので、第一次処理圧力容器内は亜臨界・超臨界状態そのままで維持され処理が連続して行える。
【0010】
その上に、従来圧力容器は、常温或いはそれに近い温度にまで下げてから亜臨界・超臨界温度まで昇温させる必要があったのに対し、本願発明の場合は、処理対象物が抜き取られたことで若干温度、圧力が低下するが、圧力・温度の低下時間は短くて済む。
【0011】
後処理が第一次処理圧力容器の亜臨界超臨界と条件の異なる亜臨界超臨界処理である場合でも、爆砕処理にしても、そのまま排出の場合でも、どこかの時点で第二次処理圧力容器の圧力解放側は大気に触れる。しかし第二次処理圧力容器での後処理がなされている間、第二次圧力容器は高圧なので、大気が入り込む余地はない。また排出が終わり次第、高圧側と低圧側の間の弁を閉じるので、大気が入り込める時間もわずかである。またもし大気が第二次処理圧力容器に流入したとしても、第一次処理圧力容器から送り込まれる亜臨界・超臨界流体の圧力が高圧であるので、大気は圧縮されて僅かな容積となる。
【0012】
酸素の影響を嫌うときには、後処理での流体の圧力が常圧よりある程度高い状態で弁を閉じればよい。しかも、第二次処理圧力容器で大気と亜臨界・超臨界流体とが接触する時間は僅かである。したがって、大気の影響は殆ど無視できる。かくのごとく、本発明においては、常温にまで下げなくても大気、酸素の影響を受けることなく、亜臨界・超臨界処理と後処理をすることができる。
【0013】
後処理が、ゆっくりと減圧させるような場合では、連続的な処理をする上で律速となるのは、後処理になるはずだが、そのような場合には第二次処理圧力容器を複数設けることで、全体の処理時間を速めることができ、連続的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の基本部分を示すブロック図である。
図2】本発明の全体的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、亜臨界又は超臨界連続処理設備は、有機物を含有した処理対象物を供給する処理対象物供給装置11と、亜臨界又は超臨界水を供給する加熱水供給装置5と、処理対象物供給装置11にバルブ等の流通制御手段12を介して連接されており、廃棄物供給装置11から供給されてきた処理対象物と加熱水供給装置5から供給されてきた亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌させる前処理圧力容器1と、前処理圧力容器1に流通制御手段12を介して連接されており、前処理圧力容器1から排出されてきた処理対象物と加熱水供給装置5から供給されてきた亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌させる第一次処理圧力容器2と、第一次処理圧力容器1に流通制御手段12を介して連接されており、第一次処理圧力容器2から排出されてきた処理対象物と加熱水供給装置5から供給されてきた亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌させる第二次処理圧力容器3と、前処理圧力容器1乃至第二次処理圧力容器3のそれぞれの圧力と、流通制御手段12のそれぞれとを制御することによって、前処理圧力容器1乃至第二次処理圧力容器3のそれぞれでの混合攪拌処理を並列的に実施しながら、前処理圧力容器1から第二次処理圧力容器3までの処理対象物の自動輸送を行わせる制御手段8とを備えている。なお処理温度、圧力等の処理条件は、前処理圧力容器1乃至第二次処理圧力容器のそれぞれで異ならせてよいが、処理時間は基本的に同一になる。
【0017】
処理対象物は、木材、竹材、建築廃材、プラスチック、ユーグレナ、汚泥、放射能廃材、都市ゴミ、産業廃棄物、農水畜産廃棄物などの有機物を一種又は複数種含んだものであり、処理対象物供給装置11は、粉砕機、ホッパー、混練機等で構成される。
處理対象物は、前処理圧力容器1への投入を容易にするため粉砕・微細化される。前処理圧力容器1への投入量は、直接計量する方法と、圧力等抜き取られたことに伴って変動する物性から補充する量を決める方法で算出することができる。
【0018】
前処理圧力容器1は、処理対象物と亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌してスラリー化する装置である。そのための処理温度、圧力は例えば100〜200℃、2〜25気圧とするとよい。なお前処理圧力容器1の投入口には開閉扉13が設けられている。また排出口の下流側の流通制御手段12は、ギヤポンプ等からなる高圧ポンプ34を付加してもよい。そうすれば処理対象物を、高圧な亜臨界・超臨界状態に保持された第一次処理圧力容器2に簡単に送り込むことが可能になる。なお流通制御手段12は、バルブを用いずに高圧ポンプ34のみでも構成できる。
第一次処理圧力容器2は、処理対象物の加水分解、糖化を行う装置であり、前処理圧力容器1乃至第二次処理圧力容器3の内で最も高温、高圧にする。例えばその処理温度、圧力は例えば150〜600℃、2〜25気圧とするとよい。
第二次処理圧力容器3は、処理対象物の追加的な加水分解、糖化、一時的な保管を行う装置である。そのための処理温度、圧力は第一次処理圧力容器2と同等乃至より低くすればよい。第二次処理圧力容器3の排出口の下流側には、圧力開放弁4が設けられている。
【0019】
圧力解放弁4は、第二次処理圧力容器3に一旦保持されている処理対象物を受槽容器5に流入させる。圧力解放弁4は、例えば、ボールバルブとして一瞬に活力解放させることで、固体原料を爆砕させてもよいし、圧力開放弁4を少しずつ解放することで圧力を徐々に減圧させてもよい。
加熱水供給装置5は、ガスボイラー、電気ボイラー等で構成されるが、更に加圧ポンプ31を組み合わせてもよい。加圧ポンプ31は、前処理圧力容器1乃至第二次処理圧力容器3から処理対象物が排出されるときの圧力の低下を迅速に復帰させるのに非常に有効である。
受槽容器5には必要に応じ固液分離装置6を設けるとよい。
【0020】
制御手段8としては、高度な設備管理のために、IoTAIコントローラを使用し遠隔でのネットワークAI管理制御を行うようにし、前処理圧力容器1乃至第二次処理圧力容器3の適所に化学変化センサー7等を設置するとよい。
【0021】
制御手段8は、前処理圧力容器1乃至第二次処理圧力容器3のそれぞれで前記のような温度・圧力を保ちながら混合攪拌処理を並列的に実施すると共に、前処理圧力容器1から第二次処理圧力容器3までの処理対象物の自動輸送を行わせる。この自動輸送は、輸送元である圧力容器の圧力を輸送先の圧力容器の圧力よりも一時的に高くすれば容易に実現できる。
【0022】
なお前処理圧力容器1乃至第二次処理圧力容器3のそれぞれでの混合攪拌処理の並列的な実施では、第一次処理圧力容器と第二次処理圧力容器の両方を加熱加圧する方法がある。また別の方法としては、第二次処理圧力容器3に移したときに所望の温度・圧力になるように、第一次処理圧力容器2を加熱加圧する方法もある。この方法は、第二次処理圧力容器3に送られた処理対象物が所望の温度・圧力になるように、第一次処理圧力容器2を所望の温度圧力より高めに加熱加圧してもよい。
【0023】
あるいは第一次処理圧力容器2で処理対象物が長時間保持されることを考慮すると、第一次処理圧力容器2を所望の温度・圧力にし、第二次処理圧力容器3の温度・圧力を気にかけなくてもよい場合とがある。更に、別な方法としては、抜き取られた処理対象物と同程度の量のものを第一次処理圧力容器2に補充する際に、量的にだけでなく、温度、圧力も抜き取られたものと同程度になるように前処理圧力容器1で予め加熱加圧されたものを第一次処理圧力容器2に補充する方法もある。
【0024】
いずれをとるかは、第一次処理圧力容器の広さが第二次処理圧力容器に比して十分に広いものに物理的にできるかどうか、原料が長時間高温に置かれていてもよいか否か、第一次処理圧力容器と第二次処理圧力容器の温度・圧力の違いがどの程度、後処理に影響するか等によっても影響され、適宜、いずれかの方法が選択される。なおこれらの方法は併用されてもよい。
【0025】
上記で説明したように、本発明では、有機物を含有した同一の処理対象物と亜臨界又は超臨界水とを混合撹拌する処理を、直列に連接された複数の圧力容器のそれぞれにおいて条件を異ならせながら順番に実施することを特徴とするものである。これにより有機物の亜臨界又は超臨界連続処理が可能になり、処理時間の短縮がなされ、更に各圧力容器の温度・圧力変化を抑えることで圧力容器の長寿命化も期待できる。
【0026】
なお亜臨界・超臨界流体としては水の例で述べたが、水以外の亜臨界・超臨界流体でも同様であることは明らかである。
【実施例】
【0027】
以下に、具体的な実施例などを説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示すように、都市ごみ他バイオマス資源を高速糖化して燃料化或いは有機肥料化するための原料供給ホッパー11、加熱水蒸気用ボイラー5、加圧ポンプ31、前処理圧力容器1、第一次処理圧力容器2、第二次処理圧力容器3、固液分離装置6とを配備し、IoTAIコントローラ8により処理条件及びバルブ制御システムを構築した準連続式設備を用いた。
従来の15m2のバッチ式設備では、都市ごみ他バイオマス資源の糖化に掛かる時間が2時間であったところ、本発明による設備では同時間で3.5倍の処理が可能となった。
本発明による設備は、従来のバッチ式の処理装置に比べて圧力容器を2基増設する構成のプラントであるが、設備の広さは10%増で済み、制御管理システムを含む周囲設備はほとんどが同じなので、経済効率が2.5〜3倍に高められることを実証した。
また圧力容器もバッチ式設備では処理の都度、常温常圧から亜臨界超臨界の繰り返しを行うため寿命に影響があったが、本発明による設備では大きく改善が見込まれ、20年以上の使用が可能である。すなわち経済効果が上がると共に運営寿命も長くできる複合のメリットが明確となった。
【0028】
図2ではIoTAIネットワークを用いて地域のバイオマス資源の発生を逐次管理して流動性の円滑化を図り、資源集約及び混合した場合の資源の内容を見極め、亜臨界超臨界処理プラントへの投入量の調整、亜臨界超臨界処理条件をAIにより管理し、亜臨界超臨界処理した材料をメタンガス、エタノール、固体燃料化し、発電する工程及び有機肥料化して流通化を行う工程を総合的に適正管理するシステムを提供する。
【符号の説明】
【0029】
1 前処理圧力容器
2 第一次処理圧力容器
3 第二次処理圧力容器
5 加熱水供給装置
6 固液分離装置
8 制御手段
11 処理対象物供給装置
12 流通制御手段(バルブ)
34 高圧ポンプ
【要約】
【課題】亜臨界・超臨界処理を準連続的に処理できる方法及び装置及びシステムを提供する。
【解決手段】亜臨界・超臨界処理を行う一種或いは複数種の固体原料を粉砕混合後そのまま、或いは流体原料と混合後投入するホッパーに繋がる前処理圧力容器と前処理圧力容器から原料を受けて第一次本処理圧力容器内にて処理材料を亜臨界・超臨界状態に保持する処理工程と、前記第一次亜臨界・超臨界処理終了状態の処理材料の一部を抜き取ったものを第二次処理圧力容器内に移し、一旦保持する工程と、抜き取られた処理材料と同程度の量のものを前処理圧力容器より第一次本処理圧力容器内に補充する工程と、前記抜き取ったものを第二次処理圧力容器内で後処理する工程と、或いはそのまま本処理材受け容器への排出工程を含み、抜き取られたことで生ずる第一次本処理圧力容器の圧力、温度の低下を調整する手段を行なう、原料を亜臨界・超臨界処理し後処理する準連続化方法。また亜臨界・超臨界処理及び準連続化を円滑に行う為のIoTAI制御管理システムを含む。
【選択図】図1
図1
図2