特許第6836114号(P6836114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836114
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/32 20110101AFI20210215BHJP
【FI】
   F24F1/32
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-135317(P2016-135317)
(22)【出願日】2016年7月7日
(65)【公開番号】特開2018-4222(P2018-4222A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】春日井 聡
(72)【発明者】
【氏名】水口 力生
(72)【発明者】
【氏名】青木 雄彦
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−113558(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0107161(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0219803(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に支持板を有し、上記支持板に閉鎖弁が支持される空気調和機の室外機において、
上記支持板は、上記筐体のベースパネル上に立設されるベース部を備え、上記ベース部に、第1アタッチメントまたは第2アタッチメントのいずれか一方のみが交換可能に取り付けられ、
上記ベース部には第1閉鎖弁支持部が設けられ、上記第1アタッチメントには第2閉鎖弁支持部と第3閉鎖弁支持部が設けられ、上記第2アタッチメントには上記第3閉鎖弁支持部が設けられており、上記第2閉鎖弁支持部は設けられていないことを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
上記ベース部は、脚部と上記脚部の上端から前方に傾斜する折曲部と上記折曲部の上端から上方に向かって板状に形成されたマウント部とを備えており、上記マウント部には上記第1閉鎖弁支持部とアタッチメント取付部とが設けられており、上記アタッチメント取付部に上記第1アタッチメントもしくは第2アタッチメントのいずれかが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
上記支持板は上記筐体の前面に着脱可能に取り付けられるサービスパネル近傍に配置され、上記ベース部に上記第1アタッチメントが取り付けられた場合、上記サービスパネル側から見て、上記第2閉鎖弁支持部が上記第1閉鎖弁支持部よりも手前側に配置されるとともに、上記第3閉鎖弁支持部が上記第2閉鎖弁支持部よりもさらに手前側に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の室外機。
【請求項4】
上記第1アタッチメントにおいて、上記第3閉鎖弁支持部は上記第2閉鎖弁支持部よりも下方に配置されることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の室外機。
【請求項5】
上記支持板は上記筐体の前面に着脱可能に取り付けられるサービスパネル近傍に配置され、上記ベース部に上記第2アタッチメントが取り付けられた場合、上記サービスパネル側から見て、上記第3閉鎖弁支持部が上記第1閉鎖弁支持部よりも下方に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に関し、さらに詳しく言えば、室外機内において室外機側の冷媒配管に室内機側の冷媒配管を接続する閉鎖弁の支持手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の冷暖兼用の空気調和機は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、膨張弁、室内熱交換器を含む冷媒回路を備え、冷房運転時には、圧縮機→四方弁→室外熱交換器→膨張弁→室内熱交換器→圧縮機へと冷媒が流され、室外熱交換器が凝縮器、室内熱交換器が蒸発器として作用する。
【0003】
これに対して、暖房運転時には、圧縮機→四方弁→室内熱交換器→膨張弁→室外熱交換器→圧縮機へと冷媒が流され、室内熱交換器が凝縮器、室外熱交換器が蒸発器として作用する。
【0004】
したがって、冷房運転、暖房運転のいずれの場合も、上記冷媒回路のうち、膨張弁が含まれる室外熱交換器の一端側と室内熱交換器の一端側との間を結ぶ冷媒配管は液配管で、これに対して、四方弁を介して圧縮機が接続される室外熱交換器の他端側と室内熱交換器の他端側との間を結ぶ冷媒配管はガス配管となる。このように液配管とガス配管の2管を有する空気調和機を2管式と呼ぶ。
【0005】
これに対して、特許文献1には、冷房運転室内機と暖房運転室内機を同時に混在可能としたマルチ型の空気調和機が記載されている。この空気調和機では、高圧ガス配管、低圧ガス配管および液配管の3種類の冷媒配管を有し、これらの冷媒配管を冷暖切替ユニットを介して各室内機と接続することにより、一部の室内機は冷房運転、他の室内機は暖房運転とすることができる。このように、高圧ガス配管、低圧ガス配管および液配管の3管を有する空気調和機を3管式と呼ぶ。
【0006】
2管式、3管式のいずれの場合においても、通常、室外機側の冷媒配管の終端には、室内機側からの冷媒配管を接続するための閉鎖弁が取り付けられている。閉鎖弁は室内機側からの冷媒配管を接続する前は閉の状態で、接続した後に開に切り替えることで、室外機と室内機との間に冷媒が流れる。閉鎖弁は、筐体内の配管接続部に設けられている支持板で支持されるが、配管接続部のスペースが狭く、閉鎖弁の操作性を確保することが求められる。
【0007】
そこで、特許文献2に記載された発明では、2管式に対応する支持板について、ガス側閉鎖弁と液側閉鎖弁とを横並びではなく、階段状に形成された支持部にてガス側閉鎖弁と液側閉鎖弁とを異なる高さ位置に支持することにより、各閉鎖弁の操作(作業)スペースを確保するようにしている。しかしながら、特許文献2に係る支持板は2管式専用であって、3管式には適用できない。3管式の空気調和機は、3管式専用の支持板を用いる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−300006号公報
【特許文献2】特開2013−113558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は、空気調和機の室外機内で冷媒配管の閉鎖弁を支持する支持板が、2管式,3管式のいずれにも適用することができる支持板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、筐体内に支持板を有し、上記支持板に閉鎖弁が支持される空気調和機の室外機において、
上記支持板は、上記筐体のベースパネル上に立設されるベース部を備え、上記ベース部に、第1アタッチメントまたは第2アタッチメントのいずれか一方のみが交換可能に取り付けられ、上記ベース部には第1閉鎖弁支持部が設けられ、上記第1アタッチメントには第2閉鎖弁支持部と第3閉鎖弁支持部が設けられ、上記第2アタッチメントには上記第3閉鎖弁支持部が設けられており、上記第2閉鎖弁支持部は設けられていないことを特徴としている。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記ベース部は、脚部と上記脚部の上端から前方に傾斜する折曲部と上記折曲部の上端から上方に向かって板状に形成されたマウント部とを備えており、上記マウント部には上記第1閉鎖弁支持部とアタッチメント取付部とが設けられており、上記アタッチメント取付部に上記第1アタッチメントもしくは第2アタッチメントのいずれかが取り付けられる。
【0012】
また、上記支持板は、上記筐体の前面に着脱可能に取り付けられるサービスパネル近傍に配置され上記ベース部に上記第1アタッチメントが取り付けられた場合、上記サービスパネル側から見て、上記第2閉鎖弁支持部が上記第1閉鎖弁支持部よりも手前側に配置されるとともに、上記第3閉鎖弁支持部が上記第2閉鎖弁支持部よりもさらに手前側に配置されるようにすることが好ましい。
【0013】
さらに好ましくは、上記第1アタッチメントにおいて、上記第3閉鎖弁支持部は上記第2閉鎖弁支持部よりも下方に配置され、また、上記ベース部に上記第2アタッチメントが取り付けられた場合、上記サービスパネル側から見て、上記第3閉鎖弁支持部が上記第1閉鎖弁支持部よりも下方に配置されるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ベース部に第1アタッチメントを取り付ければ、支持板は、第1閉鎖弁支持部、第2閉鎖弁支持部および第3閉鎖弁支持部の3つの閉鎖弁支持部を持つことになるため3管式対応となる。これに対して、ベース部に第2アタッチメントを取り付ければ、支持板は、第1閉鎖弁支持部と第3閉鎖弁支持部の2つの閉鎖弁支持部を持つことになるため2管式対応となり、アタッチメントを交換するだけで3管式と2管式のいずれにも対応できるためコスト削減となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の室外機のサービスパネルを外した状態を示す斜視図。
図2】室外機筐体内の配管接続部を示す斜視図。
図3】上記配管接続部を上方から見た平面図。
図4】上記配管接続部をサービスパネル側から見た正面図。
図5】上記配管接続部に設けられる支持板(3管対応)を示す斜視図。
図6】上記支持板(3管対応)を示す分解斜視図。
図7】上記支持板(2管対応)を示す斜視図。
図8】2管対応用のアタッチメントを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0017】
図1に示すように、この空気調和機の室外機1は、直方体形状の筐体2を有し、筐体2の内部が熱交換器3や圧縮機等(図示しない)を有する機械室MCと、送風機4を有する送風機室FCとに区画されている。機械室MCは筐体2内の下部に配置されており、機械室MCの上方に送風機室FCが配置されている。
【0018】
以下の説明において、図1に示す座標軸に沿って、筐体2の左右、前後および上下の各方向を指示する。各部品の方向も図1に示す座標軸に沿って説明する。筐体2は左右方向に横長の直方体形状である。
【0019】
筐体2は、基本的な構造として、被設置面に設置される長方形状のベースパネル20と、ベースパネル20の左側端に立設される左サイドパネル21Lと、ベースパネル20の右側端に立設される右サイドパネル21Rと、左サイドパネル21Lの前端と右サイドパネル21Rの前端との間にベースパネル20と平行に掛け渡されるフロントビーム22Fと、左サイドパネル21Lの後端と右サイドパネル21Rの後端との間にベースパネル20と平行に掛け渡されるリアビーム(図示しない)とを備えている。
【0020】
フロントビーム22Fおよびリアビームは、筐体2の機械室MCと送風機室FCとの境界に沿って配置されており、フロントビーム22Fとリアビーム同士は同一平面上で互いに平行、かつ、ベースパネル20とも平行となるように配置されている。フロントビーム22Fおよびリアビームには、図示しない橋桁状のモータブラケットが架け渡されており、そのモータブラケットに送風機4が載置されている。
【0021】
筐体2の上面(送風機室MCの上面)には、天面パネル23が左サイドパネル21Lの上端と右サイドパネル21Rの上端の間に掛け渡されている。天面パネル23の中央には送風機4の空気吹出口11が形成されている。
【0022】
ベースパネル20の前端とフロントビーム22Fとの間には、フロントビーム22Fの中間部分を支えるフロントピラー24が設けられている。フロントピラー24は、例えば1枚の鋼板をプレス成型したものからなり、縦長な長方形状に形成されている。
【0023】
この実施形態において、熱交換器3は筐体2内でコ字状に配置されており、フロントピラー24は、熱交換器3の前面部の一部を保護しつつ、熱交換器3の前面側を筐体外に露出させる前面吸込グリルとしてのグリル部241を備えている。この実施形態において、グリル部241は四角く切り抜かれた貫通孔が上下に8箇所並んでいる。
【0024】
また、筐体2の左サイドパネル21Lとフロントピラー24との間がメンテナンス用の前面開口部2Aとなっている。前面開口部2Aには前面開口部2Aを閉塞するサービスパネル9が着脱可能に取り付けられる。
【0025】
サービスパネル9は、前面開口部2Aの上半分を開閉する上サービスパネル91と、下半分を開閉する下サービスパネル92の2枚のパネルを有する。
【0026】
左サイドパネル21Lの前端側とフロントピラー24との間には、電装品箱26が載置されるセンタービーム25がベースパネル20と平行に掛け渡されている。前面開口部2Aのうち、センタービーム25より上部側の開口部は電装品箱26をメンテナンスするために、上サービスパネル91が着脱可能にネジ止めされる。
【0027】
また、センタービーム25よりも下方で機械室MCには、室外機側の冷媒配管に対して室内機側からの冷媒配管が接続される配管接続部7が設けられている。この配管接続部7の冷媒配管を接続したりメンテナンスするために、下サービスパネル92が着脱可能にネジ止めされる。
【0028】
図2は、従来例に示した3管式の室外機である。図2を参照して、室外機側の冷媒配管には、高圧ガス配管HG1、低圧ガス配管LG1および液配管LQ1の3管が含まれており、高圧ガス配管HG1の終端は前方に曲がって高圧ガス閉鎖弁7aに接続され、低圧ガス配管LG1の終端は前方に曲がって低圧ガス閉鎖弁7bに接続され、液配管LQ1の終端は前方に曲がって液閉鎖弁7cに接続されている。
【0029】
配管接続部7には、高圧ガス閉鎖弁7a、低圧ガス閉鎖弁7bおよび液閉鎖弁7cが配置されており、これら各閉鎖弁7a,7b,7cが支持板8によって支持される。
【0030】
高圧ガス閉鎖弁7a、低圧ガス閉鎖弁7bおよび液閉鎖弁7cは、それぞれ大きさは異なるが、ほぼ同一構造のバルブケース71a,71b,71cを備えている。
【0031】
図3図4を併せて参照して、バルブケース71a,71b,71cには、上部に冷媒を封入するためのサービスポート72a,72b,72cと、後部に高圧ガス配管HG1,低圧ガス配管LG1,液配管LQ1を接続する吸入ポート73a,73b,73cと、下部に室内機の高圧ガス配管HG2,低圧ガス配管LG2,液配管LQ2を接続する吐出ポート74a,74b,74cと、前部に閉鎖弁を開閉する操作ポート75a,75b,75cと、右側部と左側部に取付フランジ76a,76b,76cがそれぞれ設けられている。
【0032】
操作ポート75a,75b,75cは、前面開口部2A側を向くように配置されており、操作ポート75a,75b,75cには、ポート開閉用の操作ナット77a,77b,77cが取り付けられている。
【0033】
高圧ガス閉鎖弁7aの吐出ポート74aには、室内機側からの高圧ガス配管HG2が接続される。低圧ガス閉鎖弁7bの吐出ポート74bには、室内機側からの低圧ガス配管LG2が接続される。また、液閉鎖弁7cの吐出ポート74cには、室内機側からの液配管LQ2が接続される。なお、図面上、高圧ガス配管HG2、低圧ガス配管LG2および液配管LQ2は一部のみが描画され、室内機側への配管は省略されている。
【0034】
高圧ガス閉鎖弁7a、低圧ガス閉鎖弁7bおよび液閉鎖弁7cは、支持板8に支持されるが、高圧ガス閉鎖弁7a、低圧ガス閉鎖弁7bおよび液閉鎖弁7cを同一高さとして支持すると、閉鎖弁を開閉する操作ポート75a,75b,75c間の間隔が狭くなり、スパナ等の工具の操作に必要なスペースが確保できないため、操作ポート75a,75b,75cの操作性が良くない。
【0035】
そこで、支持板8に高圧ガス閉鎖弁7a、低圧ガス閉鎖弁7bおよび液閉鎖弁7cを上下方向および前後方向にずらして、スパナ等の工具を操作するのに必要なスペースを確保することにより、操作ポート75a,75b,75cの操作性を向上させている。また、この実施形態での支持板8は3管式用であるが、後述するように、別の実施形態としてアタッチメントを取り替えることにより2管式用とすることができる。
【0036】
図2ないし図6を参照して、支持板8は、筐体2のベースパネル20に立設されるベース部8Aと、ベース部8Aとは別体で形成され、ベース部8Aに着脱可能に取り付けられるアタッチメント8Bとを有している。アタッチメント8Bは3管式用である。
【0037】
ベース部8Aは、1枚の金属板を折曲加工して形成されており、ベースパネル20と平行でベースパネル20にネジ止めされる底板部80と、底板部80の前辺からほぼ垂直に立設される脚部81と、脚部81の上端に一体的に形成されたマウント部82とを備えている。
【0038】
脚部81とマウント部82の間には上端部が前方に向かって傾斜する折曲部821が設けられており、折曲部821によってマウント部82が脚部81よりも前方(前面開口部2A側)に張り出すように形成されている。
【0039】
脚部81の中央には、作業用開口部811が設けられている。作業用開口部811は後述する接続管33のつなぎ目331に位置を合わせて設けられる。
【0040】
この実施形態において、作業用開口部811は、脚部81の中央部分をプレス加工で打ち抜いた打ち抜き孔からなり、その各辺には補強用のリブ812が後方に直角に折り曲げられて形成されている。
【0041】
この作業用開口部811があることによって、下サービスパネル92側から見て支持板8の裏側に位置する冷媒配管の接続作業等を容易に行うことができる。
【0042】
図2図3を参照して、支持板8は、下サービスパネル92側(前面開口部2A側)から見て、熱交換器3の端部31の前方に配置されており、支持板8の裏側には、熱交換器3の端部31から引き出されている複数本の伝熱管32を有する分流管34と接続される接続管33が引き回されている。接続管の反対側は四方弁(図示なし)へ接続される。
【0043】
分流管34と接続管33は、つなぎ目331を溶接することで接続される。その溶接作業は、支持板8につなぎ目331に位置合わせした作業用開口部811が設けられており、この作業用開口部811を通して溶接トーチ等を配管のつなぎ目331に近づけて溶接することができるため、支持板8がつなぎ目331の前にあっても作業が可能となる。
【0044】
ベース部8Aの左右両端には、補強フランジ813,814がそれぞれ設けられている。各補強フランジ813,814は、ベース部8Aの左右両端を後方に直角に折り曲げ、ベース部8Aの下端から上端にかけて連続して形成されている。
【0045】
マウント部82は、折曲部821の上端821aから折曲部821と等幅で上方に向かって板状に形成され、そのマウント部82には、一方の端(図4では右側)に高圧ガス閉鎖弁7aが取り付けられる第1閉鎖弁支持部83が設けられている。
【0046】
第1閉鎖弁支持部83には、高圧ガス閉鎖弁7aの取付フランジ76aがネジ止めされる平坦な取付面831と、取付面831の上端に高圧ガス閉鎖弁7aの吸入ポート73aを支持するU字型に切り欠いた切欠溝832が設けられている。また、取付面831には切欠溝832の左右両側に、取付フランジ76aをネジ止めするためのネジ止め孔833,833が設けられている。
【0047】
図6に示すように、マウント部82の左半分側はアタッチメント取付部810となっている。アタッチメント取付部810は、上端が取付面831の上端よりも低い幕板810aを有し、幕板810aの中央部分は折曲部821近くまで切り欠かれている。第1閉鎖弁支持部83との境界部には、アタッチメント8Bを取り付けるための支持壁84が設けられている。
【0048】
支持壁84は、マウント部82の第1閉鎖弁支持部83の左端側に沿って前方側にほぼ直角に折り曲げることにより形成され、前方にはアタッチメント8Bがネジ止めされる取付フランジ841が設けられている。
【0049】
取付フランジ841は、支持壁84の先端をマウント部82に対して平行となるように、第1閉鎖弁支持部83と反対側(図6において左側)にほぼ直角に折り曲げられている。取付フランジ841には、アタッチメント8Bをネジ止めするためのネジ止め孔842が穿設されている。
【0050】
アタッチメント8Bは、ベース部8Aと同じく1枚の金属板をプレス加工したものからなり、低圧ガス閉鎖弁7bを支持する第2閉鎖弁支持部86と、液閉鎖弁7cを支持する第3閉鎖弁支持部87とを備えている。
【0051】
第2閉鎖弁支持部86は、低圧ガス閉鎖弁7bの取付フランジ76bがネジ止めされる平坦な取付面861を有し、取付面861の上端側には、低圧ガス閉鎖弁7bの吸入ポート73bを支持するU字型に切り欠いた切欠溝862が設けられている。取付面861の切欠溝862の左右両側には、取付フランジ76bをネジ止めするためのネジ止め孔863,863が設けられている。
【0052】
取付面861にはさらに、アタッチメント8Bをベース部8Aの取付フランジ841にネジ止めするためのネジ止め孔864が設けられている。
【0053】
第2閉鎖弁支持部86の右端側には、支持壁84に沿って当接するガイドリブ865が設けられている。ガイドリブ865は、第2閉鎖弁支持部86の右端側の一部を後方にほぼ直角に折り曲げて形成され、このガイドリブ865を支持壁84に沿って配置し、取付フランジ841を第2閉鎖弁支持部86の裏面に当接させて、ネジ止め孔864とネジ止め孔942をネジ止めすることでアタッチメント8Bがベース部8Aに取り付けられる。
【0054】
第2閉鎖弁支持部86の左端側には、第3閉鎖弁支持部87との間に前後方向の段差を設けるための段差部874が設けられている。段差部874は、第2閉鎖弁支持部86の左端側を前方に向かってほぼ直角に折り曲げて形成される。
【0055】
これによれば、段差部874によって第2閉鎖弁支持部86と第3閉鎖弁支持部87との間に前後方向の段差が形成される。段差部874は、第2閉鎖弁支持部86の左端の上下に連続して形成され、第3閉鎖弁支持部87の右端に沿って形成されている。
【0056】
第3閉鎖弁支持部87は、液閉鎖弁7cの取付フランジ76cがネジ止めされる平坦な取付面871を有し、取付面871の上端側には、液閉鎖弁7cの吸入ポート73cを支持するU字型に切り欠いた切欠溝872が設けられている。取付面87で切欠溝872の左右両側には、取付フランジ76cをネジ止めするためのネジ止め孔873,873が設けられている。
【0057】
この実施形態において、取付面871は、その上端が第2閉鎖弁支持部86の上端よりも低い位置に形成されている。これによれば、第2閉鎖弁支持部86と第3閉鎖弁支持部87の上下方向の位置がずれることで、低圧ガス配管7bと液閉鎖弁7cの取付位置が上下および前後にずれて、それぞれ作業スペースを確保することができる。
【0058】
第3閉鎖弁支持部87の左端には、ベース部8Aの補強フランジ814に沿って当接するガイドリブ875が設けられている。ガイドリブ875は、第3閉鎖弁支持部87の左端側を後方に向かってほぼ直角に折り曲げて形成され、その一部には、ネジ止め用のネジ孔876が設けられている。ガイドリブ875を補強フランジ814に沿って当接させネジ止めすることにより、アタッチメント8Bがベース部8Aに強固に固定される。
【0059】
この支持板8によれば、図5に示すように、第1閉鎖弁支持部83に対して第2閉鎖弁支持部86が前方に位置し、第2閉鎖弁支持部86に対して第3閉鎖弁支持部87が前方に位置して、第1閉鎖弁支持部83、第2閉鎖弁支持部86および第3閉鎖弁支持部87が階段状に配置され、さらには、第3閉鎖弁支持部87の位置が、第1閉鎖弁支持部83および第2閉鎖弁支持部86の取付位置に対して下方に配置される。
【0060】
これにより、閉鎖弁7a,7bの取付位置が前後方向にずれ、閉鎖弁7cの取付位置は閉鎖弁7a,7bよりも前方でかつ閉鎖弁7a,7bよりも下方となるため、それぞれの操作ポート75a,75b,75cの操作ナット77a,77b,77cをスパナで回転させることができる広い作業スペースを確保することができる。
【0061】
上述した実施形態において、支持板8には、右から高圧ガス閉鎖弁7a、低圧ガス閉鎖弁7b、液閉鎖弁7cの順に配置されているが、各閉鎖弁7a,7b,7cの配置は、仕様に応じて任意に変更されてよい。
【0062】
次に、図7図8は、従来例に示した2管式の室外機に使用される2管式のアタッチメント8Cと支持板8の図である。本発明によれば、支持板8のベース部8Aに3管式のアタッチメント8Bに代えて、2管式のアタッチメント8Cを取り付けることにより、支持板8をガス配管G1と液配管LQ1でなる2管式の冷暖切替用の空気調和機に適用することができる。
【0063】
なお、2管式の空気調和機では3管式の空気調和機での高圧ガス配管HG1を単にガス配管G1とし、これに伴い、高圧ガス閉鎖弁7aもガス閉鎖弁7aとする。
【0064】
このアタッチメント8Cは、上記3管式のアタッチメント8Bで第2閉鎖弁支持部86が設けられていた部分を段差部874のない単なる平板とし、第3閉鎖弁支持部87のみを設けることによって実現することができる。
【0065】
これによれば、図7に示すように、支持板8の右側にガス閉鎖弁7dが固定され、支持板8の左側に液配管LQ1の液閉鎖弁7cが、好ましくは上下方向および左右方向にずれた状態で配置されるため、2管式とした場合においても、スパナ等の工具の操作に必要なスペースを確保することができ、操作作業性が向上する。
【0066】
以上説明したように、本発明によれば、ベース部に第1アタッチメントを取り付ければ、支持板は、第1閉鎖弁支持部、第2閉鎖弁支持部および第3閉鎖弁支持部の3つの閉鎖弁支持部を持つことになるため3管式対応となる。これに対して、ベース部に第2アタッチメントを取り付ければ、支持板は、第1閉鎖弁支持部と第3閉鎖弁支持部の2つの閉鎖弁支持部を持つことになるため2管式対応となり、アタッチメントを交換するだけで3管式と2管式のいずれにも対応することができるためコスト削減となる。
【符号の説明】
【0067】
1 空気調和機の室外機
2 筐体
20 ベースパネル
3 熱交換器
4 送風機
7 配管接続部
7a 高圧ガス閉鎖弁
7b 低圧ガス閉鎖弁
7c 液閉鎖弁
7d ガス閉鎖弁
8 支持板
8A ベース部
8B,8C アタッチメント
81 脚部
810 アタッチメント取付部
811 作業用開口部
82 マウント部
83 第1閉鎖弁支持部
84 支持壁
86 第2閉鎖弁支持部
87 第3閉鎖弁支持部
9 サービスパネル
HG1,HG2 高圧ガス配管
LG1,LG2 低圧ガス配管
G1,G2 ガス配管
LQ1,LQ2 液配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8