特許第6836231号(P6836231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836231HDAC抑制活性を有するメチレンエーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導物の合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836231
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】HDAC抑制活性を有するメチレンエーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導物の合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 317/60 20060101AFI20210215BHJP
   C07D 317/62 20060101ALI20210215BHJP
   A61K 31/36 20060101ALN20210215BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20210215BHJP
【FI】
   C07D317/60
   C07D317/62
   !A61K31/36
   !A61P35/00
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-229788(P2019-229788)
(22)【出願日】2019年12月19日
(65)【公開番号】特開2021-1158(P2021-1158A)
(43)【公開日】2021年1月7日
【審査請求日】2019年12月19日
(31)【優先権主張番号】201910546356.8
(32)【優先日】2019年6月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510311241
【氏名又は名称】中国林▲業▼科学研究院林▲産▼化学工▲業▼研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】王成章
(72)【発明者】
【氏名】周昊
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 Gene,2017年,Vol.637,pp.63-71
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1、2及び3を含み、
前記化合物1、2及び3の化学名は、それぞれ5 -(10 -(ベンゾ [d ][1,3 ]
ジオキソラン -4 -イル)デカン -2 -エン -1 -イル) -N -ヒドロキシル -2 -メチ
ルシクロヘキサン -3 -エン -1 -ホルムアミド、5 -(10 -(ベンゾ [d ][1,3
]ジオキソラン -4 -イル) -3 -ヒドロキシル -デカン) -N -ヒドロキシル -2 -メ
チルシクロヘキサン -3 -エン -1 -ホルムアミド及び5 -(10 -(7−ニトロベンゾ
[d ][1,3 ]ジオキソラン -4 -イル)デカン -2 -エン -1 -イル) -N -ヒドロ
キシル -2 -メチルシクロヘキサン -3 -エン -1 -ホルムアミドであり、
前記化合物1、2及び3の化学式は、それぞれ
化合物1
化合物2
化合物3
であるHDAC抑制活性を有するメチレンエーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導
の合成方法であって、
前記化合物1の合成方法は、



(1)化合物Iウルシオールを原料として、一定量のウルシオールを取ってDMFとDC
M中に溶解させ、一定量のNaHを入れて、アルゴンガスの保護の下で、12時間還流さ
せ、室温まで冷却してからゆっくりと一定量の水を入れて、DCMで3回抽出し、有機層
を合併し、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧・蒸発させ、
カラムクロマトグラフィーを行い、PEで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させて化合物IIを
得るステップと、
(2)一定量の化合物IIを取ってトルエン中に溶解させ、一定量のアクリル酸エステルを
入れて、アルゴンガスの保護の下で、36時間加熱還流させて、溶媒を減圧・蒸発させ、
一定量のエタノールとKOHを入れて、10分間加熱還流させて、溶媒を減圧・蒸発させ
、一定量の水を入れて、EAで3回抽出し、抽出液を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥
した後、減圧・乾燥させ、カラムクロマトグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、溶出
液を減圧・蒸発させて、化合物IIIを得るステップと、
(3)一定量の化合物IIIを取って、無水DMF中に溶解させ、一定量のDIPEA、シ
リコン保護ヒドロキシルアミン及びHATUを入れて、反応・攪拌しながら12時間過ご
し、溶媒を減圧・蒸発させ、直接カラムクロマトグラフイーを行い、ジクロロメタン―メ
タノールで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させた後、産物を一定量のTBAF-THF溶液
中に入れて、室温で40分間攪拌し、減圧・蒸発させ、直接カラムクロマトグラフィーを
行い、DCM−MeOHで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させ、産物をさらにHPLCで純
化させて、目標化合物1を得るステップと、
を含む、ことを特徴とするHDAC抑制活性を有するメチレンエーテル・ウルシオール・
ヒドロキサム酸誘導物の合成方法。
【請求項2】
前記化合物2の合成方法は、

(1)化合物IIIを原料として、一定量の化合物IIIをジクロロメタン中に溶解させ、一定
量のmCPBAを入れて、室温の下で攪拌しながら12時間過ごし、飽和重炭酸ナトリウムで
3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧・蒸発させて無色油状物が得られるが、
その全部を無水テトラヒドロフラン中に入れて、ゆっくりと一定量の100mg/mL水
素化アルミニウムリチウムを混濁液中に滴り、その後温度を70℃に上げて2時間反応さ
せ、室温まで冷却してから、ゆっくりと一定量の水を入れて、再び一定量の15%水酸化
ナトリウム溶液を入れてから、再び一定量の水を入れて、30分後ろ過し、テトラヒドロ
フランで洗浄し、ろ過液を減圧してテトラヒドロフランを除去し、一定量の水を入れて、
酢酸エチルで4回抽出し、抽出液を合併して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥させ、減圧・蒸発させ、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE-E
Aで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物IVを得るステップと、
(2)化合物IVを一定量のアセトン中に溶解させ、氷水バス中で温度を下げ、一定量のジ
ョーンズ試薬を入れて、室温にて30分間反応させた後、一定量のイソプロパノールを入
れて、20分間攪拌し、一定量の飽和塩化ナトリウム溶液を入れて、EAで5回抽出し、
抽出液を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧・蒸発させ、シリカゲールカラ
ムクロマトグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物
Vを得るステップと、
(3)化合物Vを一定量のメタノール中に溶解させ、一定量のNaBHを入れて、室温
にて30分間反応させ、減圧・蒸発させてから、一定量のEAで溶解させ、飽和食塩水で
2回洗浄し、EAで2回抽出し、抽出液を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶
媒を減圧・蒸発させ、真空条件下で2時間乾燥させ、一定量のDCM、NHOTHP、
EDC.Cl及びTEAを入れて、反応させがながら12時間過ごし、5%のクエン酸水
溶液で2回洗浄した後、DCMで2回抽出し、有機層を合併して、溶媒を減圧・乾燥させ
、メタノール溶液を入れて、氷水バスにて温度を下げ、一定量の10%HCl溶液を入れ
て、1時間反応させてから、溶媒を減圧・蒸発させ、メタノールで溶解させ、微細孔ろ過
膜でろ過し、さらにHClで純化させて、目標化合物2を得るステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のHDAC抑制活性を有するメチレンエーテル
・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導物の合成方法。
【請求項3】
前記化合物3の合成方法は、
(1)化合物IIIを原料として、一定量の化合物IIIを新しく蒸発させた無水酢酸に入れて
、温度を0℃まで下げ、激しく攪拌しながら一定量の無水硝酸銅を入れ、2時間後一定量
の無水硝酸銅を入れ、3時間後一定量の水を入れて、20分間攪拌した後酢酸エチルで2
回抽出し、有機層を合併して、飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥させ、減圧・蒸発させて、淡黄色油状物を得るステップと、
(2)ステップ1から得た淡黄色油状物をメタノール中に溶解させ、一定量の水と水酸化
カリウムを入れて、3時間加熱・還流してから、溶媒を減圧・蒸発させ、一定量の水を入
れて、酢酸エチルで3回抽出し、抽出液を合併して、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥させ、減圧・蒸発させて、淡黄色油状物を得るステップと、
(3)ステップ2から得た淡黄色油状物を45℃の真空下で乾燥させ、5時間後無水ジク
ロロメタン中に溶解させ、一定量のNHOTHP、TBTU及びDIPEAを入れて、
室温にて6時間反応させた後、10%クエン酸水溶液で2回洗浄し、さらに飽和重炭酸ナ
トリウム溶液で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧・蒸発させて、
シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、溶出液を減圧・蒸
発させて無色油状物を得るステップと、
(4)ステップ3から得た無色油状物をメタノール中に溶解させ、一定量の6M塩酸溶液
を入れて、室温にて2時間攪拌し、溶媒を減圧・蒸発させ、一定量の水を入れて、酢酸エ
チルで3回抽出し、抽出液を合併して、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、さらに飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧・蒸発させて淡黄色油状物
を得るが、それをクロマトグラムメタノール中に溶解させて、微細孔ろ過膜でろ過し、さ
らにHPLCで純化して、目標化合物3を得るステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のHDAC抑制活性を有するメチレンエーテル
・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導物の合成方法。
【請求項4】
ステップ(1)中の前記ウルシオールはラッカーに由来し、ラッカーを原料として、メタ
ノールで抽出することによって得られ、そのウルシオールの純度は90%以上である、こ
とを特徴とする請求項に記載のHDAC抑制活性を有することを特徴とするメチレンエ
ーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導物の合成方法。
【請求項5】
ステップ(3)中の前記HPLC純化方法は、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラ
ムであり、流動相はアセトニトリル―水であり、割合は75:25であり、測定波長は2
10nmである、ことを特徴とする請求項に記載のHDAC抑制活性を有することを特徴
とするメチレンエーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導物の合成方法。
【請求項6】
ステップ(3)中の前記HPLC純化方法は、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラ
ムであり、流動相はアセトニトリル―水であり、割合は68:32であり、測定波長は2
10nmである、ことを特徴とする請求項に記載のHDAC抑制活性を有するメチレンエ
ーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導物の合成方法。
【請求項7】
ステップ(3)中の前記HPLC純化方法は、クロマトグラフィーカラムはC18調製カ
ラムであり、流動相はアセトニトリル―水であり、割合は70:30であり、測定波長は
210nmである、ことを特徴とする請求項に記載のHDAC抑制活性を有するメチレン
エーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導物の合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物合成技術分野に属し、メチレンエーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘
導物の合成方法及びそのHDAC抑制活性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウルシオールはウルシ( Toxicodendron verniciflum(Stokes)F.A.Barkl.)の分泌物ラッ
カー中の天然活性成分であり、中国の重要な林産物であり、世界上85%のラッカーは中
国から産出されている。ウルシオールはピロカテコール構造のアルキルフェノール系化合
物であり、その側鎖は異なる飽和度のC15アルカンである。ウルシオールは優れた抗腫
瘍生体活性を有し、人体の9種の臓器と29種の腫瘍細胞に対して抑制作用があり、作用
メカニズムとしては、腫瘍アポトーシス誘導、腫瘍細胞増殖抑制、腫瘍血管生成抑制、核
転写因子抑制、腫瘍細胞毒殺などが含まれる。ウルシオールは腫瘍補助治療の漢方薬とし
て、我が国ですでに数千年の歴史を持っている。そのため、ウルシオールを抗癌剤として
開発することが非常に期待されているものの、ウルシオールの化学構造が不安定で、酸化
・重合され易く、その抗腫瘍治療効果を大きく低下させるので、不飽和ウルシオールの抗
腫瘍済としての開発と応用を制限している。
【0003】
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は国内外で公認されている癌治療の重要なターゲ
ットである。HDAC異常によるヒストンアセチル化状態のアンバランスは腫瘍の発生及
び発展と密接な関係があり、HDACの過剰発現はすでに多数の腫瘍細胞から発見されて
いる。HDAC抑制剤は細胞内のアセチル化レベルを変えることによって、遺伝子の翻訳
過程調節、細胞成長抑制、アポトーシス又は分化の誘発、腫瘍細胞血管再生抑制などの面
で抗腫瘍活性を発生するのである。従って、低毒性、高効率のHDAC抑制剤系類似物の
設計・開発はすでに国内外における抗腫瘍ターゲット剤研究のホットスポットとなってい
る。HDACは、その構造の特徴によって、ヒドロキサム酸系やベンズアミド系、求電子
性ケトン系及びシクロペプチド系など4種類に分けられる。そのうち、ヒドロキサム酸系
化合物は特異性が強く、抗腫瘍活性が良く、毒副作用が小さいなどの優位があって、目下
研究が最も幅広く且つ深く行われているHDAC抑制剤であり、典型的なヒドロキサム系
抑制剤の構造は、機能別に表面認識エリア、スペーサーアームエリア及び亜鉛イオン結合
エリアなど3部分に分けられる。表面認識エリアは主に疎水性セグメントからなり、通常
はベンゼンリング誘導物であり、スパーサーアームエリアは脂肪鎖であり、亜鉛イオン結
合エリアの官能基はヒドロキサム酸である。研究によれば、ヒドロキサム酸官能基はHD
AC抑制剤のキーポイント薬效官能基であり、直接HDAC酵素のZn2+構造と結合す
ることによって、HDAC抑制剤の活性を効果的に抑制することができる。目下、Mer
ck社のヒドロキサム酸系HDAC抑制剤Vorinostat(SAHA)はすでに米
国FDAによりリンパ癌治療薬として許可されており、これほかにも、複数のヒドロキサ
ム酸系HDAC抑制剤が臨床研究段階に入っている。
【0004】
研究によれば、不飽和ウルシオールは一定のHDAC抑制活性を有し、その構造はFDA
により使用が許可されたHDAC抑制剤SAHAの構造と相似しているが、HDAC抑制
のキーポイント構造ユニットである亜鉛イオン結合エリアが欠けている。そのため、本発
明では不飽和ウルシオールを原料として、エーテル化反応を通じてウルシオールの酸化・
重合を遮断し、Diels−Alder、加水分解及びアミノヒドロキシル化などの反応
を通じて、ウルシオールの側鎖の尾部にヒドロキサム酸基を導入するとともに、そのベン
ゼンリング又はアルキル基鎖にニトロ基とヒドロキシル基などの異なる薬效の基を導入し
て、三種のメチレンエーテルウルシオール・ヒドロキサム酸誘導物を合成したが、3種化
合物はいずれもHDACの活性ポケットと良く結合でき、その残基と安定した水素結合相
互作用を形成し、活性ポケット底部のZn2+と安定したキレートを形成し、優れたHD
AC抑制活性を持ち、化合物1、2及び3のHDAC2に対する半数抑制濃度(IC50
)は、それぞれ0.27、0.25及び0.22ug/mLであり、HDAC8に対する
半数抑制濃度(IC50)は、それぞれ0.29、0.26及び0.24ug/mLであ
り、FDAにより許可されたHDAC抑制剤SAHAのIC50値と相当していて、臨床
抗腫瘍薬剤中に使用することができ、付加価値が高く、臨床上新型ウルシオール基HDA
C抑制剤を開発する新技術として使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はHDAC抑制活性を有するメチレンエーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘
導物の合成方法を提供することを目的とする。当該方法は三種のメチレンエーテル・ウル
シオール・ヒドロキサム誘導物を合成した。3種化合物はいずれもHDACの活性ポケッ
トと良く結合でき、HDAC2とHDAC8に対する半数抑制濃度(IC50)はFDA
により許可されたHDAC抑制剤SAHAのIC50値と相当していて、優れたHDAC
抑制活性を有し、新型ウルシオール基HDAC抑制剤を開発して抗腫瘍薬剤中に使用する
ことができ、付加価値が極めて高い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.化合物1、2及び3を含み、化学名はそれぞれ5 -(10 -(ベンゾ [d ][1,3
]ジオキソラン -4 -イル)デカン -2 -エン -1 -イル) -N -ヒドロキシル -2 -メ
チルシクロヘキサン -3 -エン -1 -ホルムアミド、5 -(10 -(ベンゾ [d ][1,
3 ]ジオキソラン -4 -イル) -3 -ヒドロキシル -デカン) -N -ヒドロキシル -2 -
メチルシクロヘキサン -3 -エン -1 -ホルムアミド及び5 -(10 -(7−ニトロベン
ゾ [d ][1,3 ]ジオキソラン -4 -イル)デカン -2 -エン -1 -イル) -N -ヒド
ロキシル -2 -メチルシクロヘキサン -3 -エン -1 -ホルムアミドであり、その化学式
は、
化合物1
化合物2
化合物3
であるHDAC抑制活性を有するメチレンエーテル・ウルシオール・ヒドロキサム酸誘導
物。
【0007】
2.前記化合物1の合成方法は以下ステップが含まれる。
(1)化合物Iウルシオールを原料として、一定量のウルシオールを取ってDMFとDC
M中に溶解させ、一定量のNaHを入れて、アルゴンガスの保護の下で、12時間還流さ
せ、室温まで冷却してからゆっくりと一定量の水を入れて、DCMで3回抽出し、有機層
を合併し、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧・蒸発させ、
カラムクロマトグラフィーを行い、PEで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させて化合物IIを
得る。
(2)一定量の化合物IIを取ってトルエン中に溶解させ、一定量のアクリル酸エステルを
入れて、アルゴンガスの保護の下で、36時間加熱還流させて、溶媒を減圧・蒸発させ、
一定量のエタノールとKOHを入れて、10分間加熱還流させて、溶媒を減圧・蒸発させ
、一定量の水を入れて、EAで3回抽出し、抽出液を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥
した後、減圧・乾燥させ、カラムクロマトグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、溶出
液を減圧・蒸発させて、化合物IIIを得る。
(3)一定量の化合物IIIを取って、無水DMF中に溶解させ、一定量のDIPEA、シ
リコン保護ヒドロキシルアミン及びHATUを入れて、反応・攪拌しながら12時間過ご
し、溶媒を減圧・蒸発させ、直接カラムクロマトグラフイーを行い、ジクロロメタン―メ
タノールで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させた後、産物を一定量のTBAF -THF溶液
中に入れて、室温で40分間攪拌し、減圧・蒸発させ、直接カラムクロマトグラフィーを
行い、DCM−MeOHで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させ、産物をさらにHPLCで純
化させて、目標化合物1を得る。
ステップ(1)中の前記ウルシオールはラッカーに由来し、ラッカーを原料としてメタノ
ールで抽出して得るが、得られるウルシオールの純度は90%以上である。
ステップ(3)中の前記 HPLC純化方法は、そのクロマトグラフィーカラムは C18調製カ
ラムであり、流動相はアセトニトリル―水であり、割合は75:25であり、測定波長は
210nmである。
化合物1の合成ルートは以下のとおり:

【0008】
3.前記化合物2の合成方法は以下ステップが含まれる。
(1)化合物IIIを原料として、一定量の化合物IIIをジクロロメタン中に溶解させ、一定
量のmCPBAを入れて、室温の下で攪拌しながら12時間過ごし、飽和重炭酸ナトリウムで
3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧・蒸発させて無色油状物が得られるが、
その全部を無水テトラヒドロフラン中に入れて、ゆっくりと一定量の100mg/m L水
素化アルミニウムリチウムを混濁液中に滴り、その後温度を70℃に上げて2時間反応さ
せ、室温まで冷却してから、ゆっくりと一定量の水を入れて、再び一定量の15%水酸化
ナトリウム溶液を入れてから、再び一定量の水を入れて、30分後ろ過し、テトラヒドロ
フランで洗浄し、ろ過液を減圧してテトラヒドロフランを除去し、一定量の水を入れて、
酢酸エチルで 4回抽出し、抽出液を合併して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥させ、減圧・蒸発させ、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE-E
Aで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物IVを得る。
(2)化合物IVを一定量のアセトン中に溶解させ、氷水バス中で温度を下げ、一定量のジ
ョーンズ試薬(Jones試薬、酸化剤として用いられる無水クロム酸(酸化クロム(VI)
)の濃硫酸溶液である。なお、ジョーンズ酸化とは、クロム酸を使って1級または2級アル
コールをカルボン酸またはケトンに酸化する化学反応である。)を入れて、室温にて30
分間反応させた後、一定量のイソプロパノールを入れて、20分間攪拌し、一定量の飽和
塩化ナトリウム溶液を入れて、EAで5回抽出し、抽出液を合併して、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥させ、減圧・蒸発させ、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE−
EAで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物Vを得る。
(3)化合物Vを一定量のメタノール中に溶解させ、一定量のNaBHを入れて、室温
にて30分間反応させ、減圧・蒸発させてから、一定量のEAで溶解させ、飽和食塩水で
2回洗浄し、EAで2回抽出し、抽出液を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶
媒を減圧・蒸発させ、真空条件下で2時間乾燥させ、一定量のDCM、NHOTHP、
EDC.Cl及びTEAを入れて、反応させがながら12時間過ごし、5%のクエン酸水
溶液で2回洗浄した後、DCMで2回抽出し、有機層を合併して、溶媒を減圧・乾燥させ
、メタノール溶液を入れて、氷水バスにて温度を下げ、一定量の10%HCl溶液を入れ
て、1時間反応させてから、溶媒を減圧・蒸発させ、メタノールで溶解させ、微細孔ろ過
膜でろ過し、さらにHClで純化させて、目標化合物2を得る。
ステップ(3)中の前記HPLC純化方法において、そのクロマトグラフィーカラムは C
18調製カラムであり、流動相はアセトニトリル―水であり、割合は68:32であり、測
定波長は210nmである。
化合物2の合成ルートは以下のとおり:
【0009】
4.前記化合物3の合成方法は以下ステップが含まれる。
(1)化合物IIIを原料として、一定量の化合物IIIを新しく蒸発させた無水酢酸に入れて
、温度を0℃まで下げ、激しく攪拌しながら一定量の無水硝酸銅を入れ、2時間後一定量
の無水硝酸銅を入れ、3時間後一定量の水を入れて、20分間攪拌した後酢酸エチルで2
回抽出し、有機層を合併して、飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥させ、減圧・蒸発させて、淡黄色油状物を得る。
(2)ステップ1から得た淡黄色油状物をメタノール中に溶解させ、一定量の水と水酸化
カリウムを入れて、3時間加熱・還流してから、溶媒を減圧・蒸発させ、一定量の水を入
れて、酢酸エチルで3回抽出し、抽出液を合併して、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥させ、減圧・蒸発させて、淡黄色油状物を得る。
(3)ステップ2から得た淡黄色油状物を45℃の真空下で乾燥させ、5時間後無水ジク
ロロメタン中に溶解させ、一定量のNHOTHP、TBTU及びDIPEAを入れて、
室温にて6時間反応させた後、10%クエン酸水溶液で2回洗浄し、さらに飽和重炭酸ナ
トリウム溶液で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧・蒸発させて、
シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、溶出液を減圧・蒸
発させて無色油状物を得る。
(4)ステップ3から得た無色油状物をメタノール中に溶解させ、一定量の6M塩酸溶液
を入れて、室温にて2時間攪拌し、溶媒を減圧・蒸発させ、一定量の水を入れて、酢酸エ
チルで3回抽出し、抽出液を合併して、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、さらに飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧・蒸発させて淡黄色油状物
を得るが、それをクロマトグラムメタノール中に溶解させて、微細孔ろ過膜でろ過し、さ
らにHPLCで純化して、目標化合物3を得る。
ステップ(3)中の前記HPLC純化方法において、そのクロマトグラフィーカラムは C
18調製カラムであり、流動相はアセトニトリル―水であり、割合は70:30であり、測
定波長は210nmである。
化合物3の合成ルートは以下のとおり:
【0010】
本発明はトルエンアルキル・ウルシオールを出発原料として、ジクロロメタンとNaHで
エーテル化反応を行い、メチレンエーテルウルシオールを生成し、ウルシオールの酸化・
重合を効果的に遮断することができ、ウルシオールのアルキル側鎖の共役二重結合を利用
して、アクリル酸エステルとDiels−Alder反応を行い、さらに加水分解を通じ
て、シクロヘキサ−1−エンカルボン酸構造を有する中間化合物IIIを得るが、化合物III
をシリコン基保護ヒドロキシルアミン及びHATUと反応させて、側鎖の尾部にキサム酸
基を有する目標化合物1を得る。ウルシオールのベンゼンリングと脂肪鎖上に官能基を導
入することのHDAC抑制活性に対する影響を考察するために、目標化合物2と3を合成
した。中間化合物IIIを原料として、先ずmCPBAと反応させて、脂肪鎖上の二重結合
をケトンに酸化させて、さらに水素化アルミニウムリチウムヒドロキシル基を還元するが
、化合物IIIの側鎖尾部のカルボニル基もヒドロキシル基に還元されるので、引き続きジ
ョーンズ試薬で酸化反応を行わせ、NaBHと還元反応を行わせて中間化合物IVを得る
が、化合物IVをNHOTPHと反応させて、脂肪鎖上にヒドロキシル基構造を有する目
標化合物2を得る。中間化合物IIIを原料として、先ず無水硝酸銅で反応を行わせ、ベン
ゼンリング上にニトロ基を導入し、さらにNHOTPHと反応させて、ベンゼンリング
上にニトロ基構造を有する目標化合物3を得る。本発明は1H−NMR、13C−NMR
、ESI−MS、IRなどの技術手段を利用して、3種の目標化合物の構造に対する確証
を行なう。
【0011】
本発明では、分子シミュレーションソフトを用いて、3種化合物分子がそれぞれHDAC
2とHDAC8結晶体に対する分子ドッキング研究を行った。Glide採点結果によれ
ば、化合物1、2及び3とHDAC2とのドッキング点数はそれぞれ、−7.724、−
7.914及びー7.964であり、HDAC8との対応する点数はそれぞれー9.23
0、−9.835及びー9.835であって、3種化合物はいずれもHDAC2とHDA
C8の活性ポケットと良く結合することができ、そのキサム酸基はいずれもポケット底部
のZn2+と安定したキレートを形成することができ、3種化合物はHDAC2酵素のH
is143、Tyr308、Glu103及びAsp104などの残基と安定した水素結
合相互作用を形成することができ、HDAC8酵素のGly140、His143、Ly
s33、Ala32、His142及びTyr154など残基と安定した水素結合相互作
用を形成することができた。3種化合物中の化合物2と3は比較的高いGlid点数を示
したが、これはウルシオールのアルキル基側鎖中に電子提供基カルボニル基を導入するか
、或いはベンゼンリング上にニトロ基など置換基を導入することによって、HDAC2と
HDAC8との結合相性を著しく向上するということを説明する。なぜならば、これらは
残基とより強い水素結合相互作用を形成するからである。
【0012】
本発明ではHDAC検査試薬キットを用いて、3種化合物のHDAC2とHDAC8に対
する抑制活性を測定した。化合物1、2及び3はHDAC2とHDAC8に対して、いず
れも優れたあ抑制作用があり、抑制率は濃度が増えるにつれ、上昇する傾向を見せ、濃度
が20ug/mLである時に、化合物1、2及び3のHDAC2に対する抑制率はそれぞ
れ95.6%、96.5%及び97.9%、HDAC8に対する抑制率はそれぞれ94.
8%、95.4%及び96.9%であり、化合物1、2及び3のHDAC2に対する半数
抑制濃度(I50)はそれぞれ0.27、0.25及び0.22ug/mL、HDAC8
に対する半数抑制濃度(I50)はそれぞれ0.29、0.26及び0.24ug/mL
であり、3種化合物のIC50値は陽性薬SAHAのIC50値と相当していた。
【発明の効果】
【0013】
(1)本発明は天然ウルシオールを原料として、HDAC抑制剤を合成するが、ウルシオ
ールはウルシの分泌物であり、その出所が多くて得やすく、環境に優しくて安全でリサイ
クル利用が可能であるだけでなく、ウルシオールは優れた抗腫瘍活性を有し、その構造は
FDAにより許可されたHDAC抑制剤SAHAの構造と相似しているので、ウルシオー
ルを原料として開発された天然ターゲット抗腫瘍薬剤は優れた応用前景がある。
(2)本発明はウルシオールを原料として、エーテル化反応を通じてウルシオールの酸化
・重合を遮断し、ウルシオールの化学構造を安定化させ、Diels−Alder、加水
分解及びヒドロキシルアミン化など反応を通じて、ウルシオール側鎖の尾部にHDAC抑
制のキーポイント薬效基であるキサム酸を導入して、そのターゲットをHDAC酵素のポ
ケット部位に作用させて、HDAC酵素中の亜鉛イオンと効果的にキレートして、選択的
にHDAC酵素を抑制する効果を達成するとともに、不飽和ウルシオールの生体相性を改
善することができ、ウルシオールのベンゼンリング又はアルキル鎖にニトロ基とヒドロキ
シル基などの薬效基を導入することによって、そのHDAC抑制活性を増強し、HDAC
酵素に対する認識と結合力を向上することができる。
(3)本発明によって合成される3種のメチレンエーテル・ウルシオール・キサム酸誘導
物は、いずれもHDACの活性ポケットと良く結合することができ、残基と安定した水素
結合相互作用を形成するとともに、活性ポケット底部のZn2+と安定したキレートを形
成することができ、優れたHDACの抑制活性を有し、3種化合物のHDAC2に対する
半数抑制濃度(IC50)は、それぞれ0.27、0,25及び0.22ug/mL、H
DAC8に対する半数抑制濃度(IC50)は、それぞれ0.29、0.26及び0.2
4ug/mLであり、FDAにより許可されたHDAC抑制剤SAHAのIC50値と相
当していたので、本発明により合成されるメチレンエーテル・ウルシオール・キサム酸誘
導物は新型天然HDAC抑制剤として開発される可能性が非常に大きく、ターゲット抗腫
瘍薬剤中に応用されて、天然ウルシオールの付加価値を効果的に向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下実施例は、本発明をさらに詳しく説明するものであり、本発明はこれに限らない。
実施例1
目標化合物1の合成
(1)化合物Iウルシオール3gを50mLのDMFと50mLのDCM中に溶解させ、
0.8gのNaHを入れて、アルゴンガスの保護の下で還流して12時間過ごし、室温ま
で冷却した後、ゆっくりと100mLの水を入れて、DCMで3回抽出して毎度の使用量
を60mLとし、抽出液を合併して、飽和食塩水で2回洗浄し、毎度の使用量を90mL
とし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、減圧蒸発させ、カラムクロマトグラフィー
を行い、PEで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させて化合物IIを得る。
(2)化合物II1.2gを2mLのトルエン中に溶解させ、2mLのアクリル酸エステル
を入れて、アルゴンガスの保護の下で、36時間還流させ、溶媒を減圧・蒸発させ、10
mLのエタノールと1.2gのKOHを入れて、10分間加熱・還流させ、溶媒を減圧・
蒸発させ、10mLの水を入れて、EAで3回抽出して毎度の使用量を15mLとし、抽
出液を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、減圧・蒸発させ、カラムクロマ
トグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、PE:EA=100:1〜3:1とし、溶出
液を減圧・蒸発させて化合物IIIを得る。
(3)化合物III30mgを1mLの無水 DMF中に溶解させ、30uLのDIPEA、110mg
のシリコン基保護ヒドロキシルアミンと57mgのHATUを入れて、反応させて攪拌し
ながら12時間過ごし、減圧・蒸発させ、直接クロマトグラフィーを行い、ジクロロメタ
ン―メタノールで溶出し、ジクロロメタン:メタノール=200:1とし、溶出液を減圧
・蒸発させた後、産物を2mLのTBAF−THF溶液中に溶解させ、室温にて40分間
攪拌し、減圧・蒸発させてから、直接カラムクロマトグラフィーを行い、DCM―MeO
Hで溶出し、DCM:MeOH=50:1とし、溶出液を減圧・蒸発させ、産物をHPL
Cで純化させ、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラムであり、流動相はアセトニ
トリル―水であり、割合は75:25であり、測定波長は210nmであり、目標成分を収
集して減圧・蒸発して11.6mgの目標化合物1を得る。
【0015】
目標化合物2の合成
(1)化合物III415gを5mLのジクロロメタン中に溶解させ、250mgのmCPBAを
入れて、室温の下で攪拌しながら12時間過ごし、飽和重炭酸ナトリウムで3回洗浄し、
毎度の使用量を5mLとし、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧・蒸発させて無色油状物
が得られるが、その全部を2mLの無水テトラヒドロフラン中に入れて、ゆっくりと5mL
の500mg水素化アルミニウムリチウムを含有する混濁液中に滴り、その後温度を70
℃に上げて2時間反応させ、室温まで冷却してから、ゆっくりと0.5mLの水を入れて
、再び0.5mLの15%水酸化ナトリウム溶液を入れてから、再び1.5mLの水を入れ
て、30分後ろ過し、5mLのテトラヒドロフランで洗浄し、ろ過液を減圧してテトラヒ
ドロフランを除去し、3mLの水を入れて、酢酸エチルで 4回抽出し、毎度の使用量を3
mLとし、抽出液を合併して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減
圧・蒸発させ、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE -EAで溶出し、P
E:EA=3:1〜2:1として、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物IVを得る。
(2)化合物IV59mgを0.5mLのアセトン中に溶解させ、氷水バス中で温度を下げ
、200u Lのジョーンズ試薬を入れて、室温にて30分間反応させた後、100uLの
イソプロパノールを入れて、20分間攪拌し、2mLの飽和塩化ナトリウム溶液を入れて
、EAで5回抽出し、毎度の使用量を2mLとし、抽出液を合併して、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥させ、減圧・蒸発させ、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE−
EAで溶出し、PE:EA=1:1とし、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物Vを得る。
(3)化合物V55mgを0.5mLのメタノール中に溶解させ、10mgのNaBH
を入れて、室温にて30分間反応させ、減圧・蒸発させてから、3mLのEAで溶解させ
、飽和食塩水で2回洗浄し、EAで2回抽出し、毎度の使用量を3mLとし、抽出液を合
併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧・蒸発させ、真空条件下で2時間乾
燥させ、1mLのDCM、13mgのNHOTHP、15mgのEDC.Cl及び20
uLのTEAを入れて、反応させがながら12時間過ごし、2mLの5%のクエン酸水溶
液で2回洗浄した後、DCMで2回抽出し、毎度の使用量を3mLとし、有機層を合併し
て、溶媒を減圧・乾燥させ、0.8mLのメタノール溶液を入れて、氷水バスにて温度を
下げ、1mLの10%HCl溶液を入れて、1時間反応させてから、溶媒を減圧・蒸発さ
せ、2mLのメタノールで溶解させ、微細孔ろ過膜でろ過し、さらにHClで純化させて
、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラムであり、流動相はアセトニトリル―水で
あり、割合は68:32であり、測定波長は210nmであり、目標成分を収集して減圧・
蒸発して30mgの目標化合物2を得る。
【0016】
目標化合物3の合成
(1)化合物III620mgを5mLの新しく蒸発させた無水酢酸に入れて、温度を0℃
まで下げ、激しく攪拌しながら300mgの無水硝酸銅を入れ、2時間後295mgの無
水硝酸銅を入れ、3時間後15mLの水を入れて、20分間攪拌した後酢酸エチルで2回
抽出し、毎度の使用量を10mLとし、有機層を合併して、飽和重炭酸ナトリウム溶液で
2回洗浄し、毎度の使用量を20mLとし、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧・蒸
発させて、淡黄色油状物を得る。
(2)ステップ1から得た淡黄色油状物を10mLのメタノール中に溶解させ、0.5m
Lの水と1.1gの水酸化カリウムを入れて、3時間加熱・還流してから、溶媒を減圧・
蒸発させ、5mLの水を入れて、酢酸エチルで3回抽出し、毎度の使用量を5mLとし、抽
出液を合併して、10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減
圧・蒸発させて、淡黄色油状物を得る。
(3)ステップ2から得た淡黄色油状物を45℃の真空下で乾燥させ、5時間後、5mL
の無水ジクロロメタン中に溶解させ、160mgのNHOTHP、400mgTBTU
及び0.6mLのDIPEAを入れて、室温にて6時間反応させた後、10%クエン酸水
溶液で2回洗浄し、毎度の使用量を5mLとし、さらに飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回
洗浄し、毎度の使用量を10mLとし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧・蒸
発させて、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、PE:
EA=3:1〜2:1とし、溶出液を減圧・蒸発させて無色油状物を得る。
(4)ステップ3から得た無色油状物を3mLのメタノール中に溶解させ、0.5mLの
6M塩酸溶液を入れて、室温にて2時間攪拌し、溶媒を減圧・蒸発させ、3mLの水を入
れて、酢酸エチルで3回抽出し、毎度の使用量を3mLとし、抽出液を合併して、5mL
の飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、さらに5mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥させ、溶媒を減圧・蒸発させて淡黄色油状物を得るが、それを1mLのク
ロマトグラムメタノール中に溶解させて、微細孔ろ過膜でろ過し、さらにHPLCで純化
して、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラムであり、流動相はアセトニトリル―
水であり、割合は70:30であり、測定波長は210nmであり、目標成分を収集して減
圧・蒸発して200mgの目標化合物3を得る。
【0017】
実施例2
目標化合物1の合成
(1)化合物Iウルシオール4gを60mLのDMFと60mLのDCM中に溶解させ、
0.85gのNaHを入れて、アルゴンガスの保護の下で還流して12時間過ごし、室温
まで冷却した後、ゆっくりと100mLの水を入れて、DCMで3回抽出して毎度の使用
量を60mLとし、抽出液を合併して、飽和食塩水で2回洗浄し、毎度の使用量を100
mLとし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、減圧蒸発させ、カラムクロマトグラフ
ィーを行い、PEで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させて化合物IIを得る。
(2)化合物II1.5gを3mLのトルエン中に溶解させ、3mLのアクリル酸エステル
を入れて、アルゴンガスの保護の下で、36時間還流させ、溶媒を減圧・蒸発させ、15
mLのエタノールと1.5gのKOHを入れて、10分間加熱・還流させ、溶媒を減圧・
蒸発させ、15mLの水を入れて、EAで3回抽出して毎度の使用量を15mLとし、抽
出液を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、減圧・蒸発させ、カラムクロマ
トグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、PE:EA=100:1〜3:1とし、溶出
液を減圧・蒸発させて化合物IIIを得る。
(3)化合物III40mgを2mLの無水 DMF中に溶解させ、40uLの DIPEA、120mg
のシリコン基保護ヒドロキシルアミンと60mgのHATUを入れて、反応させて攪拌し
ながら12時間過ごし、減圧・蒸発させ、直接クロマトグラフィーを行い、ジクロロメタ
ン―メタノールで溶出し、ジクロロメタン:メタノール=200:1とし、溶出液を減圧
・蒸発させた後、産物を3mLのTBAF−THF溶液中に溶解させ、室温にて40分間
攪拌し、減圧・蒸発させてから、直接カラムクロマトグラフィーを行い、DCM―MeO
Hで溶出し、DCM:MeOH=50:1とし、溶出液を減圧・蒸発させ、産物をHPL
Cで純化させ、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラムであり、流動相はアセトニ
トリル―水であり、割合は75:25であり、測定波長は210nmであり、目標成分を収
集して減圧・蒸発して12.5mgの目標化合物1を得る。
【0018】
目標化合物2の合成
(1)化合物III450gを6mLのジクロロメタン中に溶解させ、300mgのmCPBAを
入れて、室温の下で攪拌しながら12時間過ごし、飽和重炭酸ナトリウムで3回洗浄し、
毎度の使用量を6mLとし、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧・蒸発させて無色油状物
が得られるが、その全部を3mLの無水テトラヒドロフラン中に入れて、ゆっくりと6mL
の600mg水素化アルミニウムリチウムを含有する混濁液中に滴り、その後温度を70
℃に上げて2時間反応させ、室温まで冷却してから、ゆっくりと0.8mLの水を入れて
、再び0.8mLの15%水酸化ナトリウム溶液を入れてから、再び2.0mLの水を入れ
て、30分後ろ過し、5mLのテトラヒドロフランで洗浄し、ろ過液を減圧してテトラヒ
ドロフランを除去し、4mLの水を入れて、酢酸エチルで4回抽出し、毎度の使用量を4
mLとし、抽出液を合併して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減
圧・蒸発させ、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE -EAで溶出し、P
E:EA=3:1〜2:1として、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物IVを得る。
(2)化合物IV60mgを0.5mLのアセトン中に溶解させ、氷水バス中で温度を下げ
、200u Lのジョーンズ試薬を入れて、室温にて30分間反応させた後、100uLの
イソプロパノールを入れて、20分間攪拌し、3mLの飽和塩化ナトリウム溶液を入れて
、EAで5回抽出し、毎度の使用量を3mLとし、抽出液を合併して、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥させ、減圧・蒸発させ、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE−
EAで溶出し、PE:EA=1:1とし、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物Vを得る。
(3)化合物V60mgを0.6mLのメタノール中に溶解させ、10mgのNaBH
を入れて、室温にて30分間反応させ、減圧・蒸発させてから、4mLのEAで溶解させ
、飽和食塩水で2回洗浄し、EAで2回抽出し、毎度の使用量を4mLとし、抽出液を合
併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧・蒸発させ、真空条件下で2時間乾
燥させ、1mLのDCM、15mgのNHOTHP、15mgのEDC.Cl及び20
uLのTEAを入れて、反応させがながら12時間過ごし、3mLの5%のクエン酸水溶
液で2回洗浄した後、DCMで2回抽出し、毎度の使用量を4mLとし、有機層を合併し
て、溶媒を減圧・乾燥させ、0.8mLのメタノール溶液を入れて、氷水バスにて温度を
下げ、1mLの10%HCl溶液を入れて、1時間反応させてから、溶媒を減圧・蒸発さ
せ、3mLのメタノールで溶解させ、微細孔ろ過膜でろ過し、さらにHClで純化させて
、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラムであり、流動相はアセトニトリル―水で
あり、割合は68:32であり、測定波長は210nmであり、目標成分を収集して減圧・
蒸発して32mgの目標化合物2を得る。
【0019】
目標化合物3の合成
(1)化合物III700mgを6mLの新しく蒸発させた無水酢酸に入れて、温度を0℃
まで下げ、激しく攪拌しながら 350mgの無水硝酸銅を入れ、2時間後300mgの
無水硝酸銅を入れ、3時間後20mLの水を入れて、20分間攪拌した後酢酸エチルで2
回抽出し、毎度の使用量を15mLとし、有機層を合併して、飽和重炭酸ナトリウム溶液
で2回洗浄し、毎度の使用量を20mLとし、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧・
蒸発させて、淡黄色油状物を得る。
(2)ステップ1から得た淡黄色油状物を10mLのメタノール中に溶解させ、0.6m
Lの水と1.2gの水酸化カリウムを入れて、3時間加熱・還流してから、溶媒を減圧・
蒸発させ、6mLの水を入れて、酢酸エチルで3回抽出し、毎度の使用量を6mLとし、抽
出液を合併して、15mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減
圧・蒸発させて、淡黄色油状物を得る。
(3)ステップ2から得た淡黄色油状物を45℃の真空下で乾燥させ、5時間後、6mL
の無水ジクロロメタン中に溶解させ、160mgのNHOTHP、400mgTBTU
及び0.6mLのDIPEAを入れて、室温にて6時間反応させた後、10%クエン酸水
溶液で2回洗浄し、毎度の使用量を6mLとし、さらに飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回
洗浄し、毎度の使用量を10mLとし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧・蒸
発させて、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、PE:
EA=3:1〜2:1とし、溶出液を減圧・蒸発させて無色油状物を得る。
(4)ステップ3から得た無色油状物を4mLのメタノール中に溶解させ、0.6mLの
6M塩酸溶液を入れて、室温にて2時間攪拌し、溶媒を減圧・蒸発させ、5mLの水を入
れて、酢酸エチルで3回抽出し、毎度の使用量を5mLとし、抽出液を合併して、5mL
の飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、さらに5mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥させ、溶媒を減圧・蒸発させて淡黄色油状物を得るが、それを1mLのク
ロマトグラムメタノール中に溶解させて、微細孔ろ過膜でろ過し、さらにHPLCで純化
して、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラムであり、流動相はアセトニトリル―
水であり、割合は70:30であり、測定波長は210nmであり、目標成分を収集して減
圧・蒸発して210mgの目標化合物3を得る。
【0020】
実施例3
目標化合物1の合成
(1)化合物Iウルシオール5gを90mLのDMFと90mLのDCM中に溶解させ、
1.2gのNaHを入れて、アルゴンガスの保護の下で還流して12時間過ごし、室温ま
で冷却した後、ゆっくりと150mLの水を入れて、DCMで3回抽出して毎度の使用量
を100mLとし、抽出液を合併して、飽和食塩水で2回洗浄し、毎度の使用量を100
mLとし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、減圧蒸発させ、カラムクロマトグラフ
ィーを行い、PEで溶出し、溶出液を減圧・蒸発させて化合物IIを得る。
(2)化合物II2.0gを4mLのトルエン中に溶解させ、4mLのアクリル酸エステル
を入れて、アルゴンガスの保護の下で、36時間還流させ、溶媒を減圧・蒸発させ、16
mLのエタノールと1.9gのKOHを入れて、10分間加熱・還流させ、溶媒を減圧・
蒸発させ、15mLの水を入れて、EAで3回抽出して毎度の使用量を15mLとし、抽
出液を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、減圧・蒸発させ、カラムクロマ
トグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、PE:EA=100:1〜3:1とし、溶出
液を減圧・蒸発させて化合物IIIを得る。
(3)化合物III50mgを2mLの無水 DMF中に溶解させ、48uLの DIPEA、170mg
のシリコン基保護ヒドロキシルアミンと90mgのHATUを入れて、反応させて攪拌し
ながら12時間過ごし、減圧・蒸発させ、直接クロマトグラフィーを行い、ジクロロメタ
ン―メタノールで溶出し、ジクロロメタン:メタノール=200:1とし、溶出液を減圧
・蒸発させた後、産物を3.5mLのTBAF−THF溶液中に溶解させ、室温にて40
分間攪拌し、減圧・蒸発させてから、直接カラムクロマトグラフィーを行い、DCM―M
eOHで溶出し、DCM:MeOH=50:1とし、溶出液を減圧・蒸発させ、産物をH
PLCで純化させ、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラムであり、流動相はアセ
トニトリル―水であり、割合は75:25であり、測定波長は210nmであり、目標成分
を収集して減圧・蒸発して19mgの目標化合物1を得る。
【0021】
目標化合物2の合成
(1)化合物III650gを9mLのジクロロメタン中に溶解させ、400mgのmCPBAを
入れて、室温の下で攪拌しながら12時間過ごし、飽和重炭酸ナトリウムで3回洗浄し、
毎度の使用量を8mLとし、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧・蒸発させて無色油状物
が得られるが、その全部を3mLの無水テトラヒドロフラン中に入れて、ゆっくりと8mL
の800mg水素化アルミニウムリチウムを含有する混濁液中に滴り、その後温度を70
℃に上げて2時間反応させ、室温まで冷却してから、ゆっくりと0.8mLの水を入れて
、再び0.8mLの15%水酸化ナトリウム溶液を入れてから、再び2.5mLの水を入れ
て、30分後ろ過し、8mLのテトラヒドロフランで洗浄し、ろ過液を減圧してテトラヒ
ドロフランを除去し、5mLの水を入れて、酢酸エチルで 4回抽出し、毎度の使用量を5
mLとし、抽出液を合併して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減
圧・蒸発させ、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE -EAで溶出し、P
E:EA=3:1〜2:1として、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物IVを得る。
(2)化合物IV95mgを0.8mLのアセトン中に溶解させ、氷水バス中で温度を下げ
、300u Lのジョーンズ試薬を入れて、室温にて30分間反応させた後、160uLの
イソプロパノールを入れて、20分間攪拌し、3mLの飽和塩化ナトリウム溶液を入れて
、EAで5回抽出し、毎度の使用量を3mLとし、抽出液を合併して、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥させ、減圧・蒸発させ、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE−
EAで溶出し、PE:EA=1:1とし、溶出液を減圧・蒸発させて、化合物Vを得る。
(3)化合物V85mgを0.8mLのメタノール中に溶解させ、16mgのNaBH
を入れて、室温にて30分間反応させ、減圧・蒸発させてから、5mLのEAで溶解させ
、飽和食塩水で2回洗浄し、EAで2回抽出し、毎度の使用量を5mLとし、抽出液を合
併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧・蒸発させ、真空条件下で2時間乾
燥させ、1.5mLのDCM、20mgのNHOTHP、20mgのEDC.Cl及び
30uLのTEAを入れて、反応させがながら12時間過ごし、3mLの5%のクエン酸
水溶液で2回洗浄した後、DCMで2回抽出し、毎度の使用量を5mLとし、有機層を合
併して、溶媒を減圧・乾燥させ、1.2mLのメタノール溶液を入れて、氷水バスにて温
度を下げ、1.5mLの10%HCl溶液を入れて、1時間反応させてから、溶媒を減圧
・蒸発させ、3mLのメタノールで溶解させ、微細孔ろ過膜でろ過し、さらにHClで純
化させて、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラムであり、流動相はアセトニトリ
ル―水であり、割合は68:32であり、測定波長は210nmであり、目標成分を収集し
て減圧・蒸発して47mgの目標化合物2を得る。
【0022】
目標化合物3の合成
(1)化合物III950mgを8mLの新しく蒸発させた無水酢酸に入れて、温度を0℃
まで下げ、激しく攪拌しながら500mgの無水硝酸銅を入れ、2時間後450mgの無
水硝酸銅を入れ、3時間後25mLの水を入れて、20分間攪拌した後酢酸エチルで2回
抽出し、毎度の使用量を15mLとし、有機層を合併して、飽和重炭酸ナトリウム溶液で
2回洗浄し、毎度の使用量を30mLとし、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧・蒸
発させて、淡黄色油状物を得る。
(2)ステップ1から得た淡黄色油状物を16mLのメタノール中に溶解させ、0.8m
Lの水と1.6gの水酸化カリウムを入れて、3時間加熱・還流してから、溶媒を減圧・
蒸発させ、8mLの水を入れて、酢酸エチルで3回抽出し、毎度の使用量を8mLとし、抽
出液を合併して、15mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減
圧・蒸発させて、淡黄色油状物を得る。
(3)ステップ2から得た淡黄色油状物を45℃の真空下で乾燥させ、5時間後、8mL
の無水ジクロロメタン中に溶解させ、250mgのNHOTHP、650mgTBTU
及び0.9mLのDIPEAを入れて、室温にて6時間反応させた後、10%クエン酸水
溶液で2回洗浄し、毎度の使用量を8mLとし、さらに飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回
洗浄し、毎度の使用量を15mLとし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧・蒸
発させて、シリカゲールカラムクロマトグラフィーを行い、PE−EAで溶出し、PE:
EA=3:1〜2:1とし、溶出液を減圧・蒸発させて無色油状物を得る。
(4)ステップ3から得た無色油状物を5mLのメタノール中に溶解させ、0.8mLの
6M塩酸溶液を入れて、室温にて2時間攪拌し、溶媒を減圧・蒸発させ、5mLの水を入
れて、酢酸エチルで3回抽出し、毎度の使用量を5mLとし、抽出液を合併して、8mL
の飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、さらに8mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥させ、溶媒を減圧・蒸発させて淡黄色油状物を得るが、それを2mLのク
ロマトグラムメタノール中に溶解させて、微細孔ろ過膜でろ過し、さらにHPLCで純化
して、クロマトグラフィーカラムはC18調製カラムであり、流動相はアセトニトリル―
水であり、割合は70:30であり、測定波長は210nmであり、目標成分を収集して減
圧・蒸発して315mgの目標化合物3を得る。
【0023】
実施例4
3種化合物の構造鑑定
1 H−NMR、13C−NMR、ESI−MS、IRなどの手段を用いて、合成された
化合物1、2及び3の化学構造に対する鑑定を確証を行い、3種化合物の理化学性質とス
ペクトラムデータは表1を参照。
表1 化合物1、2及び3の理化学定数とスペクトラムデータ

【0024】
実施例5
3種化合物とHDAC2及びHDAC8との分子ドッキング
本発明はGLIDEプログラムを用いて、化合物1、2及び3の分子をそれぞれHDAC
2の結晶体構造(PDB ID:4LXZ)及びHDAC8の結晶体構造(PDB ID
:3SFF)とドッキングさせるとともに、Grid採点関数を用いて、化合物とHDA
C2及びHDAC8とのドッキング効果を評価した。その結果、化合物1、2及び3とH
DAC2とのドッキング点数はそれぞれー7.724、−7.914及びー7.946で
あり、HDAC8とのドッキング点数はそれぞれー9.230、−9.583及びー9.
835であって、3種化合物はいずれもHDAC2及びHDAC8の活性ポケットと良く
結合できることを表明し、3種化合物の脂肪鎖部分はポケット中の細長いチューブ部位を
占めており、キサム酸基はいずれもチューブの底部に位置し、キサム酸基はいずれもポケ
ット底部のZn2+と安定したキレートを形成することができ、キサム酸基中のヒドロキ
シルとカルボニルはHDAC2酵素のHis145及びTry308残基と安定した水素
結合相互作用を形成することができ、HDAC8酵素のGly140及びHis143残
基と安定した水素結合相互作用を形成することができ、また、化合物2の脂肪鎖上のカル
ボニル基と化合物3のベンゼンリング上のニトロ基はHDAC2酵素のGlu103及び
Asp104などの残基と安定した水素結合相互作用を形成することができ、HDAC8
酵素のLys33、Ala32、His142及びTyr154など残基と安定した水素
結合相互作用を形成することができる。3種化合物中の化合物2と3は比較的高いGli
d点数を示したが、これはウルシオールのアルキル基側鎖中に電子提供基カルボニル基を
導入するか、或いはベンゼンリング上にニトロ基など置換基を導入することによって、H
DAC2とHDAC8との結合相性を著しく向上するということを表明する。なぜならば
、これらは残基とより強い水素結合相互作用を形成するからである。
【0025】
実施例6
3種化合物のHDAC2とHDAC8に対する抑制活性評価
本発明ではHDAC検査試薬キットを用いて、3種化合物のHDAC2とHDAC8に対
する抑制活性を測定した。化合物1、2及び3はHDAC2とHDAC8に対して、いず
れも優れたあ抑制作用があり、抑制率は濃度が増えるにつれ、上昇する傾向を見せ、明ら
かな濃度依頼性を示した。濃度が20ug/mLである時に、化合物1、2及び3のHD
AC2に対する抑制率はそれぞれ95.6%、96.5%及び97.9%、HDAC8に
対する抑制率はそれぞれ94.8%、95.4%及び96.9%であり、化合物1、2及
び3のHDAC2に対する半数抑制濃度(I50)はそれぞれ0.27、0.25及び0
.22ug/mL、HDAC8に対する半数抑制濃度(I50)はそれぞれ0.29、0
.26及び0.24ug/mLであり、3種化合物のIC50値は陽性薬SAHAのIC
50値と相当していた。また、化合物2と化合物3のHDAC2とHDAC8に対する抑
制効果は化合物1にくらべて優れており、3種化合物のHDAC2及びHDAC8に対す
る抑制結果は分子ドッキング結果と一致しており、これはウルシオールのアルキル基側鎖
中に電子提供基カルボニル基を導入するか、或いはベンゼンリング上にニトロ基など置換
基を導入することによって、HDAC2とHDAC8に対する抑制活性を著しく向上でき
るということを表明する。
【0026】
表2 異なる濃度化合物のHDAC2とHDAC8抑制率に対する影響