【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発 / ヒト多能性幹細胞由来の再生医療製品製造システムの開発(心筋・神経・網膜色素上皮・肝細胞)、ヒト間葉系幹細胞由来の再生医療製品製造システムの開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、細胞は、クリーンルームやクリーンベンチ等の清浄度の高い空間において培養される。また、細胞の移植も清浄度の高い空間において行われる。しかしながら、細胞の培養を行う設備と細胞が使用される設備とは異なる設備である場合が多く、この場合、細胞の搬送時にマイクロチューブの外側が汚染されてしまう。
また、細胞を使用する場合には、遠心分離器を用いて遠心分離を行い細胞をマイクロチューブの下部に集めた後、針やピペットで細胞を回収するが、遠心分離器の内部についても清浄度が低い場合があり、マイクロチューブの外側が汚染されてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、例えば、搬送及び遠心分離が行われ外側が汚染された可能性のあるマイクロチューブのキャップを開ける担当者と、キャップが開けられた状態のマイクロチューブから細胞を回収して移植する担当者とを分け、これらの担当者同士が直接接触しないようにして、移植される細胞の汚染を防ぐことが行われる。このように、搬送時や遠心分離時にマイクロチューブの外側が汚染されてしまうと、高い清浄度を保つことが要求される細胞の取り扱いが煩雑となってしまう。
【0006】
従って、本発明は、マイクロチューブの清浄度を保った状態で搬送及び遠心分離でき、清浄度の高い空間に引き渡せる細胞搬送用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上部に開口部が形成されると共に底部が閉鎖され、内部にマイクロチューブを収容可能な筒状の容器本体と、前記容器本体に前記マイクロチューブを収容した場合に、該マイクロチューブの一部が前記開口部から突出した位置で該マイクロチューブを保持するチューブ保持部と、前記容器本体に前記マイクロチューブを収容した状態で該容器本体に着脱可能に取り付けられる蓋体と、を備える細胞搬送用容器に関する。
【0008】
また、前記チューブ保持部は、前記容器本体の内周面から突出する複数の容器リブ部により構成されることが好ましい。
【0009】
また、前記マイクロチューブは、上部に開口部が形成されると共に該開口部側の外周面にチューブリブ部が形成されたチューブ本体と、前記チューブ本体に着脱可能なチューブキャップと、を備え、前記チューブ保持部は、複数の前記容器リブ部により前記チューブ本体を摺動可能に保持すると共に、該容器リブ部における前記開口部側の端部により前記チューブリブ部を支持することが好ましい。
【0010】
また、前記マイクロチューブは、上部に開口部が形成されると共に該開口部側の外周面にチューブリブ部が形成されたチューブ本体と、前記チューブ本体に着脱可能なチューブキャップと、を備え、前記容器本体における前記開口部の径は、前記チューブリブ部の外径よりも小さく形成され、前記チューブ保持部は、前記開口部側の端面により構成され、該開口部側の端面により前記チューブリブ部を支持することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マイクロチューブの清浄度を保った状態で搬送及び遠心分離でき、清浄度の高い空間に引き渡せる細胞搬送用容器を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の細胞搬送用容器の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の細胞搬送用容器1は、細胞を含む少量(例えば、500μL〜1500μL)の液体を収容可能なマイクロチューブ100を搬送する場合に用いられる。
まず、細胞搬送用容器1に収容されるマイクロチューブ100の構成につき、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
【0014】
マイクロチューブ100は、再生医療において移植に用いられる細胞を含む液体を収容する場合に使用される。より具体的には、マイクロチューブ100は、最大容量が500μL〜1500μLに構成される。このマイクロチューブ100は、
図5及び
図6に示すように、液体を収容するチューブ本体110と、脚部120と、チューブキャップ130と、を備える。
【0015】
チューブ本体110は、一端側に開口部111が形成されると共に他端側に閉鎖された底部112が形成された底部112側が縮径した筒状に構成される。
チューブ本体110の外面には、雄ねじ部113及びチューブリブ部114が形成される。
【0016】
雄ねじ部113は、チューブ本体110の開口部111側の外面に形成される。チューブリブ部114は、チューブ本体110における雄ねじ部113よりも底部112側に配置される。チューブリブ部114は、チューブ本体110の外面の一部がチューブ本体110の全周に亘って突出して形成される。
【0017】
脚部120は、チューブ本体110の外面からチューブ本体110の長手方向における底部112側に延出する。本実施形態では、脚部120は、チューブ本体110の外周面から底部112側に向かって円筒状に延びて形成される。脚部120の先端部の位置は、チューブ本体110の底部112よりも先端側に位置する。また、脚部120の先端面は、マイクロチューブ100の長手方向に直交する平面状に形成される。これにより、マイクロチューブ100は、底部112を下方に向けた状態で脚部120により自立可能に構成される。
【0018】
チューブ本体110及び脚部120は、合成樹脂部材を一体成形して形成される。チューブ本体110及び脚部120は、収容された細胞を視認可能とする観点から透明性を有する材料から構成することが好ましく、また、比較的剛性の大きい材料から構成されることが好ましい。チューブ本体110を構成する材料としては、具体的には、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリメチルペンテン、メタクリル、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が挙げられる。
また、チューブ本体110の開口部111における直径(内径)は、好ましくは6mm〜10mmであり、チューブ本体110の高さは、好ましくは30mm〜70mmである。
【0019】
チューブキャップ130は、チューブ本体110に取り付けられ開口部111を密閉する。本実施形態では、チューブキャップ130は、チューブ本体110とは別体に構成される。チューブキャップ130は、内周面に、チューブ本体110の雄ねじ部113に螺合可能な雌ねじ部(図示せず)が形成された一端側が閉鎖された円筒状に構成される。
チューブキャップ130は、チューブ本体110と同様の材料により構成できる。
【0020】
次に、以上のマイクロチューブ100を収容する細胞搬送用容器1につき説明する。細胞搬送用容器1は、
図1及び2に示すように、容器本体10と、この容器本体10の内部に配置されるチューブ保持部20と、容器本体10に着脱可能に取り付けられる蓋体としての容器キャップ30と、を備える。
【0021】
容器本体10は、上部に開口部11が形成されると共に底部12が閉鎖された縦長の略円筒形状に形成される。この容器本体10は、円筒部13と、縮径部14と、を備える。
円筒部13は、容器本体10の開口部11が形成された側に配置される。円筒部13の開口部11側の端部近傍の外周面には、雄ねじ部131が形成される。
縮径部14は、円筒部13における底部12側の端部に配置される。この縮径部14は、基端側(開口部11側)から先端側(底部12側)に向かって縮径した円錐形状に形成される。
【0022】
以上の容器本体10は、透明性を有する、合成樹脂又はガラスにより構成される。容器本体10は、後述するように遠心分離を行う場合における強度を確保する観点から、ポリプロピレン、PET樹脂、ポリスチレン等により構成されることが好ましい。
【0023】
容器本体10は、遠心分離器に使用可能な遠心分離管と同様の形状及び大きさ(例えば、容量50mLの遠心分離管(コニカルチューブ)と同形同大)に形成される。
【0024】
チューブ保持部20は、容器本体10にマイクロチューブ100を収容した場合に、収容されたマイクロチューブ100の一部が開口部11から突出する位置でマイクロチューブ100を保持する。本実施形態では、チューブ保持部20は、
図3及び
図4に示すように、容器本体10の内周面から突出する複数(4つ)の容器リブ部21により構成される。
【0025】
より具体的には、容器本体10の内部は、円筒部13に対応する部分が円筒状に形成され、縮径部14に対応する部分が円錐状に形成される。そして、4つの容器リブ部21は、周方向に等間隔に配置される。また、4つの容器リブ部21は、
図3及び
図4に示すように、容器本体10の長手方向LDに沿って延びる。容器リブ部21の開口部11側の端部(上端部)は、開口部11よりも底部12側(下方)に位置する。
【0026】
本実施形態では、容器リブ部21の容器本体10の内面からの突出高さP1は、容器リブ部21の開口部11側から底部12側まで等しく設定される(
図4参照)。また、対向して配置される2つの容器リブ部21の間の距離D1は、マイクロチューブ100のチューブ本体110の外径と略等しく設定される。
以上の容器リブ部21は、一体成形により容器本体10と一体的に形成される。
【0027】
容器キャップ30は、容器本体10にマイクロチューブ100を収容した状態で、容器本体10に着脱可能に取り付けられる。この容器キャップ30は、容器本体10の外周面に被嵌される筒状の被嵌部31と、この被嵌部31の一端側を塞ぐ端面部32と、を備える。被嵌部31の内面には、容器本体10(円筒部13)に形成された雄ねじ部131に対応する形状の雌ねじ部311が形成される。
容器キャップ30は、容器本体10と同様の材料により構成できる。
【0028】
次に、以上の細胞搬送用容器1の使用の方法につき、
図7〜
図10を参照しながら説明する。
細胞搬送用容器1にマイクロチューブ100を収容する場合、まず、
図7に示すように、容器キャップ30を容器本体10から取り外した状態で、容器本体10の内部にマイクロチューブ100を収容する。
【0029】
ここで、本実施形態では、容器リブ部21の容器本体10の内面からの突出高さP1は、円筒部13において容器リブ部21の開口部11側から底部12側まで等しく設定される。また、対向して配置される2つの容器リブ部21の間の距離D1は、マイクロチューブ100のチューブ本体110及び脚部120の外径と略等しく設定される。
これにより、
図8及び
図9に示すように、容器本体10の内部に収容されたマイクロチューブ100は、チューブ本体110の外周が4つの容器リブ部21の突出端部に摺動可能に保持される。また、チューブ本体110のチューブリブ部114が4つの容器リブ部21の開口部11側の端部(上端部)に支持される。その結果、マイクロチューブ100は、チューブキャップ130部分が開口部11から突出した位置で容器本体10に保持される。
【0030】
次いで、
図10及び
図11に示すように、マイクロチューブ100が収容された容器本体10に容器キャップ30を螺合させて取り付ける。これにより、マイクロチューブ100は、細胞搬送用容器1の内部に収容される。
【0031】
以上説明した本実施形態の細胞搬送用容器1によれば、以下のような効果を奏する。
【0032】
(1)細胞搬送用容器1を、筒状の容器本体10と、この容器本体10にマイクロチューブ100を収容した場合に、マイクロチューブの一部が開口部11から突出した位置でマイクロチューブ100を保持するチューブ保持部20と、容器本体10にマイクロチューブ100を収容した状態で容器本体10に着脱可能に取り付けられる容器キャップ30と、を含んで構成した。これにより、細胞を収容したマイクロチューブ100を搬送する場合に、細胞搬送用容器1に収容した状態で搬送できる。また、細胞搬送用容器1に収容されたマイクロチューブ100を清浄空間に引き渡す場合に、容器キャップ30を取り外すことで、清浄状態が保たれたマイクロチューブ100の一部(チューブキャップ130)を開口部11から突出させられる。これにより、清浄空間において細胞と取り扱う担当者に、清浄状態が保たれたマイクロチューブ100を容易に引き渡せる。
【0033】
(2)容器本体10を、遠心分離器に使用可能な遠心分離管と同様の形状及び大きさに構成した。これにより、マイクロチューブ100を収容した状態の細胞搬送用容器1を遠心分離器にかけられるので、遠心分離を行った後に、マイクロチューブ100を清浄空間に引き渡せる。よって、清浄度が低い場合がある遠心分離器により、マイクロチューブの外側が汚染されてしまうことを防げる。
【0034】
(3)チューブ保持部20を、容器本体10の内周面から突出する複数の容器リブ部21により構成した。これにより、簡易な構成によりチューブ保持部20を実現できるので、細胞搬送用容器1の製造コストを抑制できる。
【0035】
(4)マイクロチューブ100を、上部に開口部111が形成されると共に開口部111側の外周面にチューブリブ部114が形成されたチューブ本体110と、チューブ本体110に着脱可能なチューブキャップ130と、を含んで構成し、容器リブ部21によりチューブリブ部114を支持させた。これにより、容器リブ部21の上端部の位置を設定することにより、マイクロチューブ100の長手方向(高さ方向)の位置決めを容易に行える。
【0036】
以上、本発明の細胞搬送用容器1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、チューブ保持部20を、複数の容器リブ部21により構成したが、これに限らない。即ち、チューブ保持部20Aを、
図12に示すように、容器本体10Aの内部の形状を、マイクロチューブ100のチューブ本体110及び脚部120の形状に対応する形状に形成して構成してもよい。
【0037】
また、
図13〜
図15に示すように、容器本体10Bの開口部11の径を、チューブリブ部114の外径よりも小さく形成し、チューブ保持部20Bを、開口部11側の端面により構成してもよい。これにより、チューブ保持部20Bとしての開口部11側の端面によりチューブリブ部114を支持させられる。
【0038】
また、チューブ保持部を、容器リブ部の突出高さを開口部側から底部側に向かうに従って徐々に高く形成して構成してもよい。
【0039】
また、本実施形態では、マイクロチューブ100を、チューブリブ部114が形成されたチューブ本体110を含んで構成し、容器リブ部21によりチューブリブ部114を支持させたがこれに限らない。即ち、例えば、マイクロチューブを、チューブリブ部を含まずに構成し、容器リブ部によりチューブキャップの下端部を支持させることで、マイクロチューブを保持させてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、チューブ保持部20を4つの容器リブ部21により構成したが、これに限らない。即ち、チューブ保持部を、3つ以下の容器リブ部により構成してもよく、また、5つ以上の容器リブ部により構成してもよい。