【実施例】
【0026】
図を用いて、本発明の実施例を説明する。
【0027】
まずは
図1を用いて、本発明の基本構成について説明する。
図1中の凹型で囲まれた凹型領域A1(主に左側)は送電側装置S1を示し、同じく凸型で囲まれた凸型領域A2(主に右側)は受電側装置R1を示している。
送電側装置S1は、整流回路11、電力制御回路12、誘導コイル13、光ファイバ14、光通信器14aなどを内包して構成される。左端に記載されている電気記号は交流電力10の電源を表現している。
受電側装置R1も同様に、誘導コイル16、整流回路17、光ファイバ19、光通信器19aなどを内包して構成される。右端に記載されている電気記号は負荷18を表現している。
なお、これらの構成は、電気系の文書記述で良く用いられるブロック図であり、具体的な構成は様々である。従って、この記載内容に限定されるものではない。
また、図を分かりやすく記載しているため、凹と凸との嵌合部分は密接させていないが、実際の使用においては、適切な嵌合処理がなされるものである。
【0028】
この図において、電力の伝送について説明すれば、以下のとおりである。
図1は本発明の基本構成を示す図面である。
この
図1において、送電側装置S1では、受け取った交流電力10を整流回路11で整流し、一旦、直流とする。その上で、電力制御回路12において所望の高周波電力に変換する。この高周波電力は、誘導コイル13へと供給される。
送電側装置S1と受電側装置R1の凹型領域A1と凸型領域A2とが適切に嵌合処理されている場合、送電側装置S1の誘導コイル13と、受電側装置R1に内包される誘導コイル16との位置関係は、適切なものとなっている。このため、送電側装置S1に内包される誘導コイル13に供給された高周波電力は、受電側装置R1に内包される誘導コイル16に対して相互誘導作用を成す。
受電側装置R1では、相互誘導作用によって、誘導コイル16に誘導起電力が発生する。そして、負荷(Rz)18の影響を受けた所定の電流が流れることとなる。受電側装置R1の整流回路17は、負荷18の種類や構成によって不要な場合もあるが、ここでは直流にしてから負荷18に電力を供給する。
【0029】
同じく、この
図1において、データの伝送について説明すれば、以下のとおりである。
例えば、1本の、光ファイバ14,19の様な光伝送路を用いた双方向の光通信のデータ通信手段を想定する。
送電側装置S1と受電側装置R1とが適切に嵌合処理されている場合、送電側装置S1に内包される光ファイバ14,19を用いた光伝送路の端面と、受電側装置R1に内包される光伝送路の端面とが、適切な対向状態を成す。このため、光量の僅かな減衰はあるものの、光を用いた光ファイバ14,19と光通信器14a,19aのデータ通信手段が問題なく提供されることなる。
また例えば、上りと下りに別々の光伝送路を用いた、2つの異なる方向の単方向光通信を組み合わせて双方向の通信を想定する場合、送電側装置S1と受電側装置R1とが適切に嵌合処理されている時、上り方向の光伝送路同士、下り方向の光伝送路同士が、それぞれ適切な対向状態を成せば、目的とする光を用いたデータ通信手段が問題なく提供されることとなる。
【0030】
以下、様々なバリエーションについて、実施例として説明する。
【0031】
(実施例1)
図2に示す実施例1は、本発明に含まれる装置全体に係る実施例の一つを示している。
図2中の凹型領域A1(主に左側)には送電側装置S1を示し、同じく凸型領域A2(主に右側)は受電側装置R1を示している。また、図の左端は大元の交流電力10を、図の右端は最終的な負荷18を示している。なお、これらの構成は、電気系の文書記述で良く用いられるブロック図で示してあり、実際の回路構成は様々である。あくまでも一つの実施例である。
この図で示している状態は、完全な嵌合の前の状況である。凹型領域A1と凸型領域A2との嵌合処理した状態では、両者が密接する。また、適切な嵌合処理後、それを固定(ロック)する手段を付加することも有益である。なお、それぞれの装置を凹型と凸型で示しているが、この形状に囚われる必要はない。嵌合できる対であれば、どのような形状でも良い。
送電側装置S1は、整流回路11、電力制御回路12、誘導コイル13、光ファイバ14、光通信器14aなどを内包して構成されている。受電側装置R1も同様に、誘導コイル16、整流回路17、光ファイバ19、光通信器19aなどを内包して構成されている。
この図において、電力の伝送は以下の様にして行われる。まず、送電側装置S1では、受け取った(送るべき)電力を整流して直流にする。その上で、電力制御回路12において所望の高周波電力に変換する。そして、この高周波電力を誘導コイル13に供給する。送電側装置S1と受電側装置R1とが適切に嵌合処理されていれば、送電側装置S1と受電側装置R1にそれぞれ内包される誘導コイル13,16同士の位置関係は、適切なものとなっている。このため、送電側装置S1に内包される誘導コイル13に供給された高周波電力は、受電側装置R1に内包される誘導コイル16に対して相互誘導作用を成す。受電側装置R1では、相互誘導作用によって、誘導コイル16に誘導起電力が発生し、負荷(Rz)18の影響を受けた所定の電流が流れることとなる。受電側装置R1の整流回路17は、負荷18の種類や構成によって不要な場合もあるが、ここでは直流にしてから負荷18に電力を供給する場合の図を示している。
同じく、この図において、データの伝送は以下の様にして行われる。例えば、1本の光ファイバ14を用いた双方向の光通信の場合、送電側装置S1と受電側装置R1とが適切に嵌合処理されている時、送電側装置S1ならびに受電側装置R1に内包されるそれぞれの光ファイバ14,19の端面が適切な対向状態となる。このため、通常の光ファイバ用コネクタの接続と同様に、光を用いたデータ通信手段が問題なく提供されることとなる。なお、海中などでの使用においては、光ファイバの端面に磨耗や汚損が生ずることが想定される。このため、適切な開口数を持つ光ファイバを用いることや、広角レンズを用いてカップリングすることなどの工夫も有効である。
なお、この装置の用途としては、海面、海上、海中、水面、水上、水中をはじめ、水濡れが想定される屋外や屋内、漏電防止や防爆の目的など、様々な場面での利用が可能である。
また、表面や内部の材質についても、耐腐食性に優れたもの、耐生物付着阻害性に優れたもの、あるいは水分や溶剤に対して耐膨潤性に優れたものを用いるなど、本装置の利用場面に応じた選定が可能である。
【0032】
(実施例2)
図3と
図4に示す実施例2は、送電側装置S1ならびに受電側装置R1に内包される誘導コイル13,16の実装状態を示している。
これらの図は、実施例1で説明した誘導コイル13,16が、コア13a,16aに巻かれたコイルである場合について示している。
電磁誘導方式を用いる非接触給電の場合、送電側の誘導コイル13と受電側の誘導コイル16との間で、漏れ磁束を極力少なくすることが望まれる。
そのため、誘導コイル13,16を巻き付けたコア13a,16aの端面を可能な限り、嵌合面の直近に近づけたものが
図3である。このように防水のための防水ケース15,19bや表面塗装を極力薄くして、コア13a,16a同士の距離をできる限り小さくすることを実現したものである。他の構成は実施例1と同様で、共通の符号を有する。
また
図4は、送電側装置S1と受電側装置R1とを完全に嵌合させたとき、両者のコア13a,16a同士が密接するように、嵌合面とコア面とを一致させた場合を示している。高周波電力に用いられる誘導コイル13,16のコア13a,16aは、フェライトなどであり、防食処理が不要である。このことに着目し、あえてコア表面(コア断面)を嵌合面に一致(露出)させたものである。このことにより、理屈上は、コア間距離を0にすることが可能となり、漏れ磁束を最小限に留めることが可能である。
【0033】
(実施例3)
図5に示す実施例3として、送電側と受電側との間の光ファイバ14,19と光通信器14a,19aの通信機能を利用して、全体の制御を行う場合の実施例を示している。なお、通信機能としては、特別に専用の通信手段を設けても良いし、外部装置のために提供する通信手段に相乗りしても良い。この図では、相乗りする場合を示している。その他の構成・作用効果は、実施例1と同様である。
送電側および受電側に実装されている監視機能回路20,21は、各装置の作動状況を知るため、要所々々の温度、電力、電圧、電流、周波数、力率など、必要な情報を収集するモニター回路である。通信重畳機能回路23,24は、収集した情報をデータ化して、外部装置のために提供する通信手段に相乗りして送信する。通信弁別機能回路25は、先の重畳された情報を取り出し、制御機能回路22に伝達する。制御機能回路22では、収集された、あるいは収集されて伝達されてきた各種の情報を分析し、電力制御へのフィードバックや異常時の緊急停止を実現する。
この制御機能回路22には、受電側装置R1の監視機能回路21(モニター回路)からの受電側の電力・電圧のデータと、送電側装置S1の監視機能回路20(モニター回路)の送電側の電力・電圧のデータと比較照合して、送電の電力・電圧をフィードバック制御する電力制御フィードバック回路22aと、受電側及び送電側のモニターデータから電力の送電・受電の異常を検知する異常検知回路22bと、同異常検知回路22bの異常検出信号によってその異常を解消する電気的保護回路22cとを含んでいる。他の構造・作用効果は実施例1,2と同様である。
【0034】
(実施例4)
図6〜9に示す実施例4は、嵌合部の構造を示したものである。なお、
図6,7は凹型領域A1の嵌合部材30を、
図8,9はその対応である凸型領域A2の嵌合部材31を示している。
通常の嵌合では、位置と向きが規定できればよい。このため、嵌合させるコネクタなどには、一つの突起とそれに対応する窪みなどを付加することが通常である。
図8,9に示すように、凸型領域A2の嵌合部材31に、窪みが一つ多い。これは、海中などでの嵌合処理を考慮して付加したものである。
海中など、水分が多い場所では、嵌合部材30,31の凹部領域A1に海水や水が入っている。隙間なく嵌合する部材30,31では、その海水や水が嵌合処理を阻害する。この海水や水を効率よく排水するための溝32である。このような溝32は、どのような形状でも良く、凹型領域A1の嵌合部材30に付与しても、凸型領域A2の嵌合部材31に付与しても良い。また、その数もいくつでも良い。他の構造・作用効果は実施例1,2,3と同様である。
【0035】
(実施例5)
前記実施例4において、嵌合部30,31を嵌合させた後、その固定方法として、機械的に把持固定する方法、磁石等によって生じる磁力を利用して吸引固定する方法がある。
これ以外にも粘着性のある材質による固定などの方法も想定されるため、機械的あるいは電磁的な固定方法に限定されない。
【0036】
(実施例6)
前記実施例1〜5において、嵌合部30,31の表面、すなわち、例えば、送電側装置S1と受電側装置R1との相対する面の両方あるいは片方を弾力性のある材質とすることで、生物の付着を完全に防ぐことができなかった場合でも、その生物による出っ張りを弾力性のある材質に食い込ませることで、嵌合部の遊びが(隙間)が充分でない場合であっても送電側装置と受電側装置との嵌合を成し遂げることができる。
【0037】
(実施例7)
前記実施例1〜6において、嵌合部30,31の表面、すなわち、例えば、送電側装置S1と受電側装置R1との相対する面の両方あるいは片方を弾力性のある材質とし、嵌合操作の際、同じく相対する面の一部が先に接触し、その材質の弾力性によって順次ほかの部分も接触する領域が増加するようにする。このことで、嵌合部分隙間に残る水分を強制的に排除することが可能となる。