特許第6836248号(P6836248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836248関節ユニット、ロボットアーム及びロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836248
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】関節ユニット、ロボットアーム及びロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20210215BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20210215BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20210215BHJP
   F16C 19/36 20060101ALN20210215BHJP
【FI】
   B25J17/00 E
   F16H1/32 B
   F16C19/06
   !F16C19/36
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-75697(P2018-75697)
(22)【出願日】2018年4月10日
(65)【公開番号】特開2019-181623(P2019-181623A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】315014671
【氏名又は名称】東京ロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄希
(72)【発明者】
【氏名】坂本 義弘
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−120243(JP,A)
【文献】 特表2017−508153(JP,A)
【文献】 特開平11−132792(JP,A)
【文献】 特開2016−003947(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/146371(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 17/00
B25J 19/02
F16C 19/06
F16H 1/32
F16C 19/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される入力軸を支持する、入力側支持部材と、
前記入力軸を減速して減速出力軸を提供する、減速機と、
前記減速出力軸と結合され、かつ、前記減速出力軸により伝達される回転により歪みが生じる起歪部を有する、出力回転体と、
前記出力回転体の前記起歪部の後段部分に結合されて前記出力回転体と共に回転し、かつ、前記入力側支持部材と前記出力回転体の前記起歪部の前段部分との間の空間に配置された、薄板と、を備えた関節ユニットであって、
前記薄板及び前記入力側支持部材には、前記薄板と前記入力側支持部材とが為す角度を検出するための第1の角度検出機構が設けられ、かつ、
前記薄板及び前記出力回転体の前記起歪部の前段部分には、前記薄板と前記前段部分とが為す角度を検出するための第2の角度検出機構が設けられている、関節ユニット。
【請求項2】
前記薄板は、平板形状を有しており、
前記薄板の一方の面と前記入力側支持部材には、前記第1の角度検出機構が設けられ、
前記薄板の他方の面と前記出力回転体の前記起歪部の前段部分には、前記第2の角度検出機構が設けられている、請求項1に記載の関節ユニット。
【請求項3】
前記第1の角度検出機構及び前記第2の角度検出機構は、いずれも、所定の磁気パターンが形成されたコードホイールを一方に取り付け、前記磁気パターンを読み取る磁気読取素子を前記磁気パターンへと対向するように他方へと取り付けることにより角度を検出する機構である、請求項1に記載の関節ユニット。
【請求項4】
前記第1の角度検出機構において、前記コードホイールは前記入力側支持部材へと固定され、かつ、前記読取素子は前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールと対向するように前記薄板へと固定され、
前記第2の角度検出機構において、前記コードホイールは前記前段部分へと固定され、かつ、前記読取素子は前記前段部分へと固定された前記コードホイールと対向するように前記薄板へと固定される、請求項3に記載の関節ユニット。
【請求項5】
前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールにおいて、前記磁気パターンは前記入力側支持部材の外周側面状に形成されており、
前記前段部分へと固定された前記コードホイールにおいて、前記磁気パターンは前記前段部分の外周側面状に形成されている、請求項4に記載の関節ユニット。
【請求項6】
前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールにおいて、前記磁気パターンは前記入力軸の回転方向に対して垂直な前記入力側支持部材の端面上に形成されており、
前記前段部分へと固定された前記コードホイールにおいて、前記磁気パターンは前記前段部分の回転軸と垂直な面上に形成されている、請求項4に記載の関節ユニット。
【請求項7】
前記第1の角度検出機構及び前記第2の角度検出機構は、いずれも、所定の光学パターンが形成されたコードホイールを一方に取り付け、発光素子及び受光素子を備え前記光学パターンを読み取る光学素子を前記光学パターンへと対向するように他方へと取り付けることにより角度を検出する機構である、請求項1に記載の関節ユニット。
【請求項8】
前記第1の角度検出機構において、前記コードホイールは前記入力側支持部材へと固定され、かつ、前記光学素子は前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールと対向するように前記薄板へと固定され、
前記第2の角度検出機構において、前記コードホイールは前記前段部分へと固定され、かつ、前記光学素子は前記前段部分へと固定された前記コードホイールと対向するように前記薄板へと固定される、請求項7に記載の関節ユニット。
【請求項9】
前記第1の角度検出機構及び前記第2の角度検出機構は、いずれも、発光素子と、所定の光学パターンが形成されたコードホイールと、前記発光素子から発され前記コードホイールを介して得られた光を受光して光学パターンを読み取る受光素子と、から成る角度検出機構であり、
前記第1の角度検出機構において、前記コードホイールは前記入力側支持部材へと固定され、
前記第2の角度検出機構において、前記コードホイールは前記前段部分へと固定され、
前記薄板は、前記入力側支持部材と前記出力回転体の前記起歪部の前段部分との間の空間に配置される平板部と、
前記平板部から延び前記入力側支持部材へと取り付けられた前記コードホイールを挟むように前記コードホイールの背面側に配置される第1の挟持片部と、
前記平板部から延び前記前段部分へと取り付けられた前記コードホイールを挟むように前記コードホイールの背面側に配置される第2の挟持片部と、を有し、
前記第1の角度検出機構において、前記発光素子は、前記平板部へと固定され、前記受光素子は、前記第1の挟持片部へと固定され、それにより、前記発光素子からの光は前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールを透過して前記受光素子に受光され、
前記第2の角度検出機構において、前記発光素子は、前記平板部へと固定され、前記受光素子は、前記第2の挟持片部へと固定され、それにより、前記発光素子からの光は前記前段部分へと固定された前記コードホイールを透過して前記受光素子に受光される、請求項1に記載の関節ユニット。
【請求項10】
前記第2の角度検出機構の角度検出精度は、前記第1の角度検出機構の角度検出精度よりも高いように構成されている、請求項1に記載の関節ユニット。
【請求項11】
前記第1の角度検出機構及び前記第2の角度検出機構のうちの一方は、磁気式の角度検出機構であり、他方は光学式の角度検出機構である、請求項1に記載の関節ユニット。
【請求項12】
前記入力軸は、前記減速機の入力側部材へと連結されると共に前記入力側支持部材に支持され、
前記減速出力軸は、前記減速機の出力側部材に連結されると共に前記入力軸に支持され、
前記出力回転体は、前記減速出力軸へと結合されると共に前記入力側支持部材と対向し、
前記薄板は、前記入力側支持部材の前記出力回転体への対向面と前記出力回転体の前記入力側支持部材への対向面との間に配置されている、請求項1に記載の関節ユニット。
【請求項13】
前記入力軸は、中空であって、
前記減速出力軸は、前記中空の入力軸の内部へと挿通されて前記入力軸の内面に対して支持される、請求項12に記載の関節ユニット。
【請求項14】
前記減速機は、波動歯車減速機である、請求項12に記載の関節ユニット。
【請求項15】
前記減速出力軸の前記出力回転体との結合端とは反対の他端側には、前記入力軸の回転を制動する所定の制動装置の取り付け部が設けられている、請求項12に記載の関節ユニット。
【請求項16】
前記入力軸の前記出力回転体との結合端とは反対の他端側には、入力支持部材に対する前記入力軸の回転角度を検出する第3の角度検出機構が設けられている、請求項12に記載の関節ユニット。
【請求項17】
前記出力回転体は、
前記減速出力軸とその中心で結合された小径環状部と、
前記小径環状部とその中心を同一にし、前記小径環状部から半径方向に延びる前記起歪部を介して前記小径環状部と結合された大径環状部と、から構成され、
前記大径環状部と前記小径環状部には、それぞれ半径方向に大径環状部側孔部と小径環状部側孔部が一直線上に設けられ、
前記小径環状部側孔部には固定具が固定されると共に前記固定具の頭部は前記固定具の外形よりも僅かに大きい内径を有する前記大径環状部側孔部へと内包され、それにより、前記出力回転体が回転して起歪に歪みが生じた場合に前記固定具の頭部が前記大径環状部側孔部の内壁へと当接して前記歪みに対する制約となる、請求項1に記載の関節ユニット。
【請求項18】
前記減速機は、ウェーブジェネレータと、フレックススプラインと、サーキュラスプラインとから成る波動歯車減速機であって、
前記入力軸は、中空であって、その一方の端部は前記ウェーブジェネレータへと連結され、かつ、第1のベアリングを介して前記入力側支持部材に支持され、
前記減速出力軸は、前記フレックススプラインの出力側に連結され、第2のベアリングを介して前記入力側支持部材に支持され、かつ、前記中空状の入力軸の内部へと挿通されて前記入力軸の前記端部とは逆側の端部近傍で前記入力軸に対して第3のベアリングにより支持されており、
前記第1のベアリング、前記第2のベアリング、及び、前記第3のベアリングは、いずれもシールドベアリングである、請求項1に記載の関節ユニット。
【請求項19】
請求項1〜18に記載の関節ユニットを所定の関節部に備えたロボットアーム。
【請求項20】
請求項1〜18に記載の関節ユニットを所定の関節部に備えたロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ロボットアーム等の関節部に適用可能な関節ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業用などのロボットアームにおいては、限られた作業空間でも使用できるよう装置の小型化が望まれており、特に、関節ユニットの小型化が望まれている。
【0003】
特許文献1には、中空型モータ、減速機、トルク伝達部等を有し、産業用ロボットのジョイントに使用可能な中空駆動モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−215081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の関節ユニットにおいては、所望の制御や状態把握のため、入出力軸や減速機の前段又は後段に回転角度の検出を行う角度検出機構が設けられることがある。例えば、特許文献1に記載の中空駆動モジュールには、中空型モータの回転角度を検出する第1エンコーダと、減速機の出力回転角度を検出する第2エンコーダとが設けられている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の中空駆動モジュールのように、複数の角度検出機構を単に連続配置する構造を採用すると、軸方向の厚みが増大し、それにより、関節ユニットの小型化の妨げとなることがあった。
【0007】
本発明は、上述の技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数の角度検出機構を備えつつも小型化が実現された関節ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の技術的課題は、以下の構成を有する関節ユニット、ロボットアーム、及びロボットにより解決することができる。
【0009】
すなわち、本発明に係る関節ユニットは、回転駆動される入力軸を支持する、入力側支持部材と、前記入力軸を減速して減速出力軸を提供する、減速機と、前記減速出力軸と結合され、かつ、前記減速出力軸により伝達される回転により歪みが生じる起歪部を有する、出力回転体と、前記出力回転体の前記起歪部の後段部分に結合されて前記出力回転体と共に回転し、かつ、前記入力側支持部材と前記出力回転体の前記起歪部の前段部分との間の空間に配置された、付属回転体と、を備えた関節ユニットであって、前記付属回転体及び前記入力側支持部材には、前記付属回転体と前記入力側支持部材とが為す角度を検出するための第1の角度検出機構が設けられ、かつ、前記付属回転体及び前記出力回転体の前記起歪部の前段部分には、前記付属回転体と前記前段部分とが為す角度を検出するための第2の角度検出機構が設けられている、ものである。
【0010】
このような構成によれば、第1の角度検出機構と第2の角度検出機構において付属回転体を共用するので、複数の角度検出機構を備えつつも小型化が実現された関節ユニットを提供することができる。
【0011】
前記付属回転体は、平板形状を有しており、前記付属回転体の一方の面と前記入力側支持部材には、前記第1の角度検出機構が設けられ、前記付属回転体の他方の面と前記出力回転体の前記起歪部の前段部分には、前記第2の角度検出機構が設けられている、ものであってもよい。
【0012】
前記第1の角度検出機構及び前記第2の角度検出機構は、いずれも、所定の磁気パターンが形成されたコードホイールを一方に取り付け、前記磁気パターンを読み取る磁気読取素子を前記磁気パターンへと対向するように他方へと取り付けることにより角度を検出する機構であってもよい。
【0013】
前記第1の角度検出機構において、前記コードホイールは前記入力側支持部材へと固定され、かつ、前記読取素子は前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールと対向するように前記付属回転体へと固定され、前記第2の角度検出機構において、前記コードホイールは前記前段部分へと固定され、かつ、前記読取素子は前記前段部分へと固定された前記コードホイールと対向するように前記付属回転体へと固定される、ものであってもよい。
【0014】
前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールにおいて、前記磁気パターンは前記入力側支持部材の外周側面状に形成されており、前記前段部分へと固定された前記コードホイールにおいて、前記磁気パターンは前記前段部分の外周側面状に形成されている、ものであってもよい。
【0015】
前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールにおいて、前記磁気パターンは前記入力軸の回転方向に対して垂直な前記入力側支持部材の端面上に形成されており、前記前段部分へと固定された前記コードホイールにおいて、前記磁気パターンは前記前段部分の回転軸と垂直な面上に形成されている、ものであってもよい。
【0016】
前記第1の角度検出機構及び前記第2の角度検出機構は、いずれも、所定の光学パターンが形成されたコードホイールを一方に取り付け、発光素子及び受光素子を備え前記光学パターンを読み取る光学素子を前記光学パターンへと対向するように他方へと取り付けることにより角度を検出する機構であってもよい。
【0017】
前記第1の角度検出機構において、前記コードホイールは前記入力側支持部材へと固定され、かつ、前記光学素子は前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールと対向するように前記付属回転体へと固定され、前記第2の角度検出機構において、前記コードホイールは前記前段部分へと固定され、かつ、前記光学素子は前記前段部分へと固定された前記コードホイールと対向するように前記付属回転体へと固定される、ものであってもよい。
【0018】
前記第1の角度検出機構及び前記第2の角度検出機構は、いずれも、発光素子と、所定の光学パターンが形成されたコードホイールと、前記発光素子から発され前記コードホイールを介して得られた光を受光して光学パターンを読み取る受光素子と、から成る角度検出機構であり、前記第1の角度検出機構において、前記コードホイールは前記入力側支持部材へと固定され、前記第2の角度検出機構において、前記コードホイールは前記前段部分へと固定され、前記付属回転体は、前記入力側支持部材と前記出力回転体の前記起歪部の前段部分との間の空間に配置される平板部と、前記平板部から延び前記入力側支持部材へと取り付けられた前記コードホイールを挟むように前記コードホイールの背面側に配置される第1の挟持片部と、前記平板部から延び前記前段部分へと取り付けられた前記コードホイールを挟むように前記コードホイールの背面側に配置される第2の挟持片部と、を有し、前記第1の角度検出機構において、前記発光素子は、前記平板部へと固定され、前記受光素子は、前記第1の挟持片部へと固定され、それにより、前記発光素子からの光は前記入力側支持部材へと固定された前記コードホイールを透過して前記受光素子に受光され、前記第2の角度検出機構において、前記発光素子は、前記平板部へと固定され、前記受光素子は、前記第2の挟持片部へと固定され、それにより、前記発光素子からの光は前記前段部分へと固定された前記コードホイールを透過して前記受光素子に受光される、ものであってもよい。
【0019】
前記第2の角度検出機構の角度検出精度は、前記第1の角度検出機構の角度検出精度よりも高いように構成されている、ものであってもよい。
【0020】
前記第1の角度検出機構及び前記第2の角度検出機構のうちの一方は、磁気式の角度検出機構であり、他方は光学式の角度検出機構である、ものであってもよい。
【0021】
前記入力軸は、前記減速機の入力側部材へと連結されると共に前記入力側支持部材に支持され、前記減速出力軸は、前記減速機の出力側部材に連結されると共に前記入力軸に支持され、前記出力回転体は、前記減速出力軸へと結合されると共に前記入力側支持部材と対向し、前記付属回転体は、前記入力側支持部材の前記出力回転体への対向面と前記出力回転体の前記入力側支持部材への対向面との間に配置されている、ものであってもよい。
【0022】
前記入力軸は、中空であって、前記減速出力軸は、前記中空の入力軸の内部へと挿通されて前記入力軸の内面に対して支持される、ものであってもよい。
【0023】
前記減速機は、波動歯車減速機であってもよい。
【0024】
前記減速出力軸の前記出力回転体との結合端とは反対の他端側には、前記減速出力軸の回転を制動する所定の制動装置の取り付け部が設けられている、ものであってもよい。
【0025】
前記入力軸の前記出力回転体との結合端とは反対の他端側には、前記入力支持部材に対する前記入力軸の回転角度を検出する第3の角度検出機構が設けられている、ものであってもよい。
【0026】
前記出力回転体は、前記減速出力軸とその中心で結合された小径環状部と、前記小径環状部とその中心を同一にし、前記小径環状部から半径方向に延びる前記起歪部を介して前記小径環状部と結合された大径環状部と、から構成され、前記大径環状部と前記小径環状部には、それぞれ半径方向に大径環状部側孔部と小径環状部側孔部が一直線上に設けられ、前記小径環状部側孔部にはボルトが固定されると共に前記ボルトの頭部は前記ボルトの外形よりも僅かに大きい内径を有する前記大径環状部側孔部へと内包され、それにより、前記出力回転体が回転して前記起歪体に歪みが生じた場合に前記ボルトの頭部が前記大径環状部側孔部の内壁へと当接して前記歪みに対する制約となる、ものであってもよい。
【0027】
前記減速機は、ウェーブジェネレータと、フレックススプラインと、サーキュラスプラインとから成る波動歯車減速機であって、前記入力軸は、中空であって、その一方の端部は前記ウェーブジェネレータへと連結され、かつ、第1のベアリングを介して前記入力側支持部材に支持され、前記減速出力軸は、前記フレックススプラインの出力側に連結され、第2のベアリングを介して前記入力側支持部材に支持され、かつ、前記中空状の入力軸の内部へと挿通されて前記入力軸の前記端部とは逆側の端部近傍で前記入力軸に対して第3のベアリングにより支持されており、前記第1のベアリング、前記第2のベアリング、及び、前記第3のベアリングは、いずれもシールドベアリングである、ものであってもよい。
【0028】
前記第2の角度検出機構により取得された角度に基づいて、前記出力回転体の異常を検出する異常検出部をさらに備える、ものであってもよい。
【0029】
また、本発明は上述の関節ユニットを備えたロボットアームとしても観念することができる。
【0030】
さらに、本発明は上述の関節ユニットを備えたロボットとしても観念することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、複数の角度検出機構を備えつつも小型な関節ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、ロボットアームの外観図である。
図2図2は、関節が屈曲した状態のロボットアームの外観斜視図である。
図3図3は、関節ユニットの構造を示す断面図である。
図4図4は、関節ユニットの断面の部分拡大図である。
図5図5は、関節ユニットの部分分解斜視図である。
図6図6は、制動ユニットを取り付けた関節ユニットの構造を示す断面図である。
図7図7は、制動ユニットの分解斜視図である。
図8図8は、制動ユニットに関する動作説明図である。
図9図9は、変形例に係る関節ユニットの断面図である。
図10図10は、エンコーダの配置の変形例に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付の図1図10を参照しつつ説明する。
【0034】
<1.第1の実施形態>
<1.1 ロボットアーム>
まず、図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係る関節ユニット100を関節部に適用したロボットアーム1について説明する。
【0035】
図1は、ロボットアーム1の外観図であり、図1(a)は、ロボットアーム1の正面図、図1(b)は、ロボットアーム1の斜視図である。同図から明らかな通り、ロボットアーム1は、断面円形状であり、ベース部材10から先端のエンドエフェクタ取付部26までの間に内部に7つの関節ユニット100を有している。
【0036】
ロボットアーム1の基端に配置されたベース部材10の上端には、第1リンク11が軸周りに回動自在に結合されており、ベース部材10の内部には、第1リンク11を軸周りに回動させる図示しない関節ユニット100が配置されている。また、第1リンク11は、図示しない関節ユニット100を介して第2リンク13へと回動可能に連結されており、第1リンク11及び第2リンク13の関節ユニット100との結合部の外側面には、それぞれ第1カバー部材12及び第2カバー部材14が設けられている。第2リンク13へと連結された第1連結部材15の上端には、第3リンク16が軸周りに回動自在に結合されており、第1連結部材15の内部には、第3リンク16を軸周りに回動させる図示しない関節ユニット100が配置されている。また、第3リンク16は、図示されない関節ユニット100を介して第4リンク18へと回動可能に連結されており、第3リンク16及び第4リンク18の関節ユニット100との結合部の外側面には、それぞれ第3カバー部材17及び第4カバー部材19が設けられている。第4リンク18へと連結された第2連結部材20の上端には、第5リンク21が軸周りに回動自在に結合されており、第2連結部材20の内部には、第5リンク21を軸周りに回動させる図示しない関節ユニット100が配置されている。また、第5リンク21は、図示されない関節ユニット100を介して第6リンク23へと回動可能に連結されており、第5リンク21及び第6リンク23の関節ユニット100との結合部の外側面には、それぞれ第5カバー部材22及び第6カバー部材24が設けられている。第6リンク23へと連結された先端リンク25の上端には、ハンドやグリッパ等のエンドエフェクタと接続するためのエンドエフェクタ接続部26が軸周りに回動自在に結合されており、先端リンク25の内部には、エンドエフェクタ接続部25を軸周りに回動させる図示しない関節ユニット100が配置されている。
【0037】
図2は、各関節において屈曲した状態のロボットアーム1について示した外観斜視図である。同図から明らかな通り、ロボットアーム1は、図示しない制御部の指令に応じてロボットアーム1の各関節部の内部に設けられた各関節ユニット100を動作させることにより自在に各関節を屈曲させることができる。
【0038】
なお、本実施形態においては、ロボットアーム1に設けられるすべての関節ユニット100を同一のものとして記載したが、このような形態に限定されない。従って、例えば、構造は略同一のものとしつつも各関節のスペースや必要トルク等に応じて関節ユニット100のサイズを夫々変更してもよい。
【0039】
<1.2 関節ユニット>
次に、図3図5を参照しつつ、ロボットアーム1の内部に配置される関節ユニット100について説明する。
【0040】
図3は、関節ユニット100の中央断面図である。同図から明らかな通り、関節ユニット100は、概して言えば、中空の入力側支持部材(60〜62)と、中空の入力側支持部材(60〜62)の内部に配置される中空モータ(31、32)と、中空の入力側支持部材(60〜62)の内部において中空モータの中空ロータ32に固定された中空回転軸34と結合される減速機(37〜39)と、減速機(37〜39)の出力と連結され一端を中空回転軸34の内面に支持される減速機出力軸30と、減速機出力軸30の他端と連結される出力回転体44とから構成され、各部材はその中心又は回転中心を同一としている。なお、第1の入力側支持部材60は、入力側のリンク(例えば、第1リンク11)と直接又は間接に連結され、一方、出力回転体44は、出力側のリンク(例えば、第2リンク13)と直接又は間接に連結される。
【0041】
入力側支持部材(60〜62)は、中空モータ(31、32)及び減速機出力軸30を支持する第1の入力側支持部材60と、減速機(37〜39)と減速機出力軸30と出力回転体44を支持する第2の入力側支持部材62とをボルト61を介して連結することにより構成されている。なお、第1の入力側支持部材60の外側面からは柱状延長部材95が突出しており、当該柱状延長部材95の先端面には、磁気式エンコーダの一部を為す、後述する第3のコードホイール90上に形成された所定の磁気パターンを読み取る第3の磁気読取素子96が設けられており、これにより第1の入力側支持部材60に対する中空ロータ32の回転角度を検出することができる。
【0042】
中空モータ(31、32)は、第1の入力側支持部材60の内周に固定されたステータ31と、ステータ31の内側に配置されて回転する中空ロータ32とから構成され、中空ロータ32のさらに内周側には、中空回転軸34が固定され、当該中空回転軸34は中空ロータ32と共に回転する。このとき、中空回転軸34は、中空モータ(31、32)と減速機(37〜39)との間に第1のシールドベアリング35を介して第1の入力側支持部材60に支持されている。また、中空回転軸34の端部の外側面には、磁気式エンコーダの一部を為す、所定の磁気パターンが形成された第3のコードホイール90が備えられている。さらに、中空回転軸34の端部には、他の装置の取り付け用の孔部91が設けられており、例えば、制動ユニット等を後付けできるように構成されている。なお、中空ロータ32と第1のシールドベアリングとの間には所定のスペーサ部材33が設けられている。
【0043】
減速機(37〜39)は、ハーモニックドライブ(登録商標)であり、中央に配置されるウェーブジェネレータ37と、ウェーブジェネレータ37の外周上に配置されるカップ状のフレックススプライン38と、フレックススプライン38の外周上に配置され第2の入力側支持部材62の内周側にボルト63を介して固定されたサーキュラスプライン39とから構成されている。ウェーブジェネレータ37は中空回転軸34の一端とボルト36を介して連結され、減速機(37〜39)の出力となるフレックススプライン38は減速機出力軸30の一端とボルト40を介して連結されている。
【0044】
出力回転体44は、中央に孔部443を有する小径環状部444と、小径環状部444から半径方向に延び出力回転体44の回転に伴って歪みが生じる起歪部441を介して小径環状部444と連結される大径環状部445とから構成されており(図5を参照)、小径環状部444は、減速機出力軸30の一端とボルト43を介して連結されている。このとき、減速機出力軸30とフレックススプライン38との結合部近傍において、減速機出力軸30は、第2の入力側支持部材62の内面側に第2のシールドベアリング68を介して支持される。出力回転体44は、クロスローラベアリング45を介して第2の入力側支持部材62の外周上に回転可能に支持されている。このクロスローラベアリング45は、ボルト64を介して第2の入力側支持部材62の段部に固定された第1のストッパ部材65と、出力回転体44の内周側段部に固定された第2のストッパ部材46の間に挟持されて固定されている。
【0045】
出力回転体44の小径環状部444と連結された減速機出力軸30は、減速機(37〜39)のウェーブジェネレータ37及び中空回転軸34の内部を通じた後、小径環状部444との連結部とは反対の端部近傍において、中空回転軸34の端部近傍の内周面に第3のシールドベアリング92を介して支持されている。この端部において、軸部材に設けられた段部に固定された環状体94がスペーサ93へと当接して軸方向の変位が制約されている。
【0046】
第2の入力側支持部材62の前記出力回転体44側の端部には、磁気式エンコーダの一部を為し、所定の磁気パターンが形成された第1のコードホイール66が設けられており、また、第2の入力側支持部材62の前記出力回転体44側の端部に対向する出力回転体44の内面側の端部にも、同様に、磁気式エンコーダの一部を為し、所定の磁気パターンが形成された第2のコードホイール48が設けられている。一方、出力回転体44の大径環状部445の減速機出力軸30との結合面側には、前記第1のコードホイール66と第2のコードホイール48の間に配置され大径環状部445と共に回転する環状薄板80が結合されている。
【0047】
この環状薄板80の第2のコードホイール48へと対向する面上には、ホール素子等から成りそれぞれ円周上で120度をなすように配置された3つの磁気読取素子81が設けられている(図5参照)。また、環状薄板80の第1のコードホイール66へと対向する面上には、1つの磁気読み取り素子81が設けられている。
【0048】
すなわち、第1のコードホイール66及び第2のコードホイール48と、薄板80の表裏両面に設けられた磁気読取素子81との間で、磁気式エンコーダが形成され、これにより、第2の入力側支持部材62に対して大径環状部445が為す角度と、小径環状部444に対して大径環状部445が為す角度を検出することができる。
【0049】
上記の互いに120度を為すように3つの磁気読取素子81を設ける構成によれば、各磁気読取素子81の検出値の相加平均を採ることにより、軸の曲げ等の影響を低減した正確な角度検出が可能となる。
【0050】
また、上記の構成においては、小径環状部444に対して大径環状部445が為す角度のように検出精度が必要な場合には複数の角度検出子を設け、一方、第2の入力側支持部材62に対して大径環状部445が為す角度のように大きな角度変化が予め想定される場合には、1つの角度検出子が設けてられている。このような構成によれば、必要な精度に応じて必要十分にセンサを配置できるので経済的な設計を行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、環状薄板80の表面と裏面とで異なる数の磁気読み取素子81を設ける構成としたが、このような構成に限定されない。従って、例えば、両面に3つの磁気読取素子を設けてもよいし、両面に1つの磁気読取素子を設けても良い。
【0052】
図4及び図5を参照しつつ、さらに、エンコーダを為す構成について説明する。図4は、出力回転体44と第2の入力側支持部材62との間に設けられるエンコーダ部分を中心とした部分拡大断面図であり、図5は、特にエンコーダを為す構成について表した部分分解斜視図である。なお、図4は、理解の容易化のため、大径環状部445への環状薄板80の固定部82を含むように切断されており、図3の切断面とは異なることに留意されたい。
【0053】
図4及び図5から明らかな通り、環状薄板80の第2のコードホイール48と対向する面上には、各磁気読取素子81と60度程度ずらした位置に互いに120度を為すように3つの固定部82が設けられ、固定部82と大径環状部445の内周側のリブに設けられる貫通孔部442とを整合させてボルト84により固定することで大径環状部445と環状薄板80とは一体的に回転する。また、環状薄板80上には、他に信号接続用のコネクタ83も設けられている。
【0054】
なお、本実施形態においては、環状薄板80の表面と裏面とでは、各磁気読取素子81の位置が表裏で一致することはなく、一定程度(例えば、60度)ずらして配置されている。このような構成によれば、磁気読取素子81の背面側の環状薄板80に設けられるサーマルビア等の放熱機構等が互いに干渉することがない。
【0055】
以上のような構成によれば、第2の入力側支持部材62に対して大径環状部445が為す角度を検出することができるので、例えば、負荷がかかった状態における関節の絶対角度の検出や、中空モータ(31、32)や減速機(37〜39)等の異常検知等を行うことができる。一方、小径環状部444に対して大径環状部445が為す角度を検出することができるので、例えば、出力回転体44へと負荷されるトルクの算出や出力回転体44の異常検知等を行うことができる。
【0056】
また、以上の構成によれば、ハーモニックドライブ(登録商標)(37〜39)は、第1のシールドベアリング35、第2のシールドベアリング68及び第3のシールドベアリング92に挟まれて配置されている。従って、ハーモニックドライブ(登録商標)(37〜39)に用いられるグリスが関節ユニット100の外へと漏出することを防止することができる。また、オイルシール等を用いずにシールドベアリングにより漏出防止を行うので、オイルシールにより生じる各回転体に対する摩擦等の心配がない。
【0057】
なお、減速機はハーモニックドライブ(登録商標)に限定されず、他の波動歯車減速機であってもよい。
【0058】
<2.第2の実施形態>
次に、図6図8を参照しつつ、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては、第1の実施形態に係る関節ユニット100に対してさらに制動ユニット200が取り付けられる。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号が付されている。
【0059】
図6は、制動ユニット200を取り付けた関節ユニット100の構造を示す断面図である。同図から明らかな通り、関節ユニット100の中空回転軸34の端部の孔部91には制動ユニット200が取り付けられ、第1の入力側支持部材60及び制動ユニット200の外側面は、さらにハウジング300により被覆されている。
【0060】
図6及び図7を参照しつつ、制動ユニット200の構成について説明する。図7は制動ユニット200の分解斜視図である。同図から明らかな通り、制動ユニット200は、中空回転軸34の一端に連結孔部2023を介して連結されその中央に孔部2025を有し表面に摩擦要素2021を備える摩擦板202と、中央に孔部2015を有し駆動部204及びハウジング300に固定される環状固定プレート201と、中央に孔部2035を有しその軸方向への移動により摩擦板202を環状固定プレート201の表面へと押し当てる環状可動プレート203、及び、中央に孔部2045を有し環状固定プレート201と円周部近傍の結合部2041、結合孔2012を介してボルト2011により結合され環状可動プレート201を内部に格納された電磁石により駆動する駆動部204とから構成されている。なお、駆動部204と環状可動プレート203との間にはバネ部材2042が配置され、無磁力状態においては、摩擦板202は環状固定プレート201へと押し当てられるよう負勢されている。すなわち、環状固定プレート201と駆動部204との間で環状可動プレート203が移動して中空回転軸34の端部に備え付けられ摩擦板202を環状固定プレート201へと選択的に押し当て、それにより、減速前出力たる中空回転軸34の回転を選択的に制動することとなる。
【0061】
図8は、制動ユニット200を用いた中空回転軸34の回転制動動作に関する説明図である。
【0062】
図8(a)は、制動ユニット200の駆動部204がオフの状態で無磁力状態となったときの状態について示している。同図から明らかな通り、無磁力状態において、環状可動プレート203はバネ部材2042により摩擦板202へと押し当てられ、これにより、中空回転軸34は制動されている。
【0063】
図8(b)は、制動ユニット200の駆動部204がオンの状態で、駆動部内の電磁石により環状可動プレート203が駆動部204へと引き付けられている状態について示している。同図から明らかな通り、駆動部204がオンの状態において、環状可動プレート203は負勢されたバネ部材2042の力に抗って駆動部204へと引き付けられており、これにより、摩擦板202は無負荷状態となり中空回転軸34と共に回転する。すなわち、中空回転軸34について制動がされていない状態となる。
【0064】
このような構成によれば、関節ユニット100の出力回転体44とは反対側の端部から中空回転軸34が突出しているので、容易に制動ユニット200等を後付けすることができる。
【0065】
<3.変形例>
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、従って、例えば、以下の通り種々の変形が可能である。
【0066】
<3.1 出力回転体に関する変形例>
図9は、変形例に係る説明図であり、特に、トルクリミッタ構造を備えた関節ユニット100の断面図である。なお、同図において第1の実施形態と同一の構成については同一の符号が付されている。
【0067】
同図から明らかな通り、出力回転体44の小径環状部444は半径方向に延長され当該延長部446にはボルト447固定用の螺子切りがされている。また、大径環状部445の周側面には半径方向にボルト447の外径より僅かに大きい内径を有する貫通孔448が設けられている。この状態においてボルト447を貫通孔448から挿入して延長部446へと固定すると、ボルト447の螺子切り部が小径環状部444へと固定されると共にボルト447の頭部側面が貫通孔448内周面に接触しない状態で配置されることとなる。
【0068】
このような構成によれば、出力回転体44が回転して起歪部441に歪みが生じた場合であっても、所定以上の歪みが生じた場合には、ボルト447が傾いてその頭部が貫通孔448の内周面に当接し、これにより所定以上の変形を抑制するトルクリミッタ構造が簡易な構造で実現されることとなる。
【0069】
<3.2 エンコーダ配置に関する変形例>
図10は、エンコーダの配置の変形例に関する説明図である。なお、同図において第1の実施形態と同一の構成については同一の符号が付されている。
【0070】
図10(a)は、変形例(その1)に関する説明図である。本変形例においては、環状薄板の中央には鉄板等の磁気シールド部材804が設けられ、その表裏には、第1環状薄板802及び第2環状薄板803が接合されている。
【0071】
このような構成によれば、第1環状薄板802に取り付けられる磁気読取素子801、第2環状薄板803に取り付けられる磁気読取素子801は、互いの裏面の磁気の影響を受けることがないので、例えば出力回転体44と第2の入力側支持部材62との間の隙間が非常に小さい場合であっても、精度よくコードホイール48、66上の磁気パターンの検出を行うことができる。
【0072】
図10(b)は、アキシャル型の磁気式エンコーダに代えて、ラジアル型の磁気式エンコーダを使用した場合の構成の部分断面図である。同図から明らかな通り、環状薄板806の円周部近傍は断面T字形状を有しており、当該T字の短辺の内周側の左右には、それぞれ、第1の磁気読取素子807及び第2の磁気読取素子808が配置されている。また、出力回転体44の端部外周面には第1の磁気読取素子807と対向して第1のコードホイール809が設けられ、第2の入力側支持部材62の端部外周面には第2の磁気読取素子808と対向して第2のコードホイール810が設けられている。
【0073】
このような構成によれば、第2の入力側支持部材62に対して大径環状部445が為す角度と、小径環状部444に対して大径環状部445が為す角度を検出することができる。
【0074】
また、上述の実施形態においては、磁気式エンコーダを利用するものとして説明した。しかしながらエンコーダの種類は磁気式に限定されず、例えば、光学式であってあってもよい。
【0075】
図10(c)は、光学式のうち特に透過式エンコーダを用いた場合の構成の部分断面図である。環状薄板812の円周部近傍は左右に折り返し形状を有しており、折り返し形状の左右の折り返し端部には、それぞれ、第1の受光素子815及び第2の受光素子816が配置されている。環状薄板812の表裏両面には、第1の受光素子815及び第2の受光素子816と対面するように、第1の発光素子817及び第2の発光素子818が設けられている。また、出力回転体44の端部外周上には第1のコードホイール(スリット円板)819が設けられ、第2の入力側支持部材62の端部外周上には第2のコードホイール(スリット円板)820が設けられている。すなわち、第1の発光素子817及び第2の発光素子818から発せられた光は、第1のコードホイール819及び第2のコードホイール820を介して第1の受光素子815及び第2の受光素子816において受光され、これにより角度検出が行われる。
【0076】
このような構成によれば、高精度に、他の磁気の影響等も受けることなく、角度検出を行うことができる。
【0077】
図10(d)は、光学式のうち特に反射式エンコーダを用いた場合の構成の部分断面図である。環状薄板820の円周部近傍の表裏には、それぞれ、発光素子と受光素子とを含む第1の光学素子821と、発光素子と受光素子とを含む第2の光学素子822が備えられている。出力回転体44の端部には、第1の光学素子821へと対向するように反射部と非反射部から成る光学パターンが形成された第1のコードホイール823が設けられ、第2の入力側支持部材62の端部には、第2の光学素子822へと対向するように反射部と非反射部から成る光学パターンが形成された第2のコードホイール824が設けられている。すなわち、第1の光学素子821及び第2の光学素子822から発せられた光は、第1のコードホイール823及び第2のコードホイール824により反射され、第1の光学素子821及び第2の光学素子822において受光され、これにより角度検出が行われる。
【0078】
このような構成によれば、高精度に、他の磁気の影響等も受けることなく、しかもコンパクトに角度検出を行うことができる。
【0079】
なお、環状薄板80の一方の面に配置される角度検出機構を磁気式の角度検出機構とし、他方の面に配置される角度検出機構を光学式の角度検出機構とする等、異なる角度検出機構を組み合わせてもよいことは勿論である。
【0080】
<3.3 その他>
上述の実施形態においては、関節ユニット100は、ロボットアーム1の関節部に使用されるものとして説明した。しかしながら、このような構成に限定されることはなく、例えば、ロボットアーム1の関節部以外の部位に使用してもよいし、ロボットアーム1以外の他のロボット等の装置に適用してもよい。
【0081】
本発明に係る関節ユニット、ロボットアーム及びロボットは、その構成を上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成を適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る関節ユニットは、例えば、家庭用又は産業用ロボット等を製造する産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 ロボットアーム
30 減速機出力軸
31 ステータ
32 中空ロータ
34 中空回転軸
37 ウェーブジェネレータ
38 フレックススプライン
39 サーキュラスプライン
44 出力回転体
48 第2のコードホイール
60 第1の入力側支持部材
62 第2の入力側支持部材
66 第1のコードホイール
80 環状薄板
81 磁気読取素子
100 関節ユニット
200 制動ユニット
300 ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10