【文献】
プラスチック用導電性充填剤としての研磨粉に関する研究(1) エポキシ樹脂への利用と磁場の効果,愛知工業大学総合技術研究所研究報告,日本,2003年 5月,第5号,11,12,17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
本発明の実施の形態に係る成形材料は、金属の研削屑と、樹脂と、を主成分とする。この成形材料は、研削屑と樹脂とを混合し溶融成形されてつくられる。研削屑は、金属の研削加工により得られたものである。この成形材料は、金属の研削屑を含んでいるため、導電性を有する。
【0019】
研削加工により得られた研削屑は、
図1(A)及び
図1(B)に示すように、その多くが糸くず状となっている。
図1(A)は、平面研削により得られた研削屑であり、
図1(B)は、円筒研削により得られた研削屑である。ここで、金属は、例えば鋳鉄であり、研削屑は、黒錆(F
3O
4)微粒子であるが、他の金属であってもよい。
【0020】
また、本実施の形態に係る成形材料の樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のプレポリマーを用いることができる。熱可塑性樹脂は、研削屑との複合化が可能なものであれば何ら制限なく用いることができる。好適に用いられる熱可塑性樹脂を例示すると、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリスチレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)樹脂などのスチレン系樹脂類、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などの芳香族ポリエステル類、ポリ乳酸や、ポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒロドキシ酪酸)、ポリテトラメチルグリコリド、ポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル類等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、成形の容易さの観点から、ポリオレフィン類が特に好適である。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いても良く、あるいは2種以上を用いてもよい。
【0021】
熱可塑性樹脂以外にも、熱硬化性樹脂のプレポリマーを用いることができる。代表的な熱硬化性樹脂のプレポリマーとしては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シラン架橋ポリエチレン、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、架橋ゴムなどのプレポリマーである。これらの熱硬化性樹脂のプレポリマーの中でも、本実施の形態に係る研削屑との複合化(混合)の容易さなどから、エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂などのプレポリマーが好適である。
【0022】
研削屑と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプレポリマーの質量比は、5:95〜80:20であり、好ましくは、10:90〜60:40、より好ましくは、20:80〜55:45である。研削屑の比率が5未満では、研削屑の添加効果が明確には発現しない。また、研削屑の比率が80を超える割合では、研削屑を含有する成形体の機械的強度の低下をまねきやすい。
【0023】
また、樹脂として生分解性プラスチックを用いれば、廃棄するときに微生物によって消費され、メタン、水、バイオマスに分解されるため、自然界の汚染を防止することができる。
【0024】
研削屑と熱可塑性樹脂を配合し溶融成形する方法は、研削屑を熱可塑性樹脂中に均一に分散させることのできる方法であれば、公知の方法を何ら制限なく利用することができる。例えば、熱可塑性樹脂を熱溶融させて、研削屑にせん断応力をかけながら練り込む溶融混練法、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解し、研削屑を加えて分散させた後に、溶剤を気化除去する溶液混合法、熱したロール上で熱可塑性樹脂を柔らかくし、その上に研削屑を添加し、熱ロールによって圧着しながら練り込むカレンダー成形法などがある。これらの複合化の方法の中でも、効率性と汎用性の点で溶融混練法が最も好適である。
【0025】
溶融混練法としては、具体的には、射出成型機を用いた射出成型法、押出成形機を用いた押出成形法、ブロー成型機を用いたブロー成形法等がある。押出成形法によって作製したシート状成形体を用い、真空成形機を用いた真空成形法や圧縮成形機を用いた圧縮成形法等が好適に用いられる。これらの成形法の中でも、汎用性と拡張性等の点から、射出成形法と押出成形法がより好適に用いられる。
【0026】
射出成形とは、加熱溶融させた材料を金型キャビティ内に射出注入し、冷却・固化させることによって、成形品を得る方法であり、スプルーおよびランナーと呼ばれる部分を通って、成形体の金型キャビティ内に溶融した樹脂溶融物が充填される。ここで、研削屑は溶融しないので、溶融流動性を必要とする射出成型を実施する際には、流動性に優れた熱可塑性樹脂が選択される。
【0027】
押出成形とは、加熱されたシリンダーの中でスクリューの回転に伴うせん断応力と発熱により溶融・混合させた材料をダイスの押出口から一定速度で押し出しながら冷却固化させる成形法である。射出成形のような高い流動性は必要としないので、押出口から押し出された後、変形しないような粘性の高い高分子量の熱可塑性樹脂が選択される。さらに、押出成形においては、スクリューによる混練が効果的に行われる。スクリューの形状および回転方向は様々であり、用途目的に応じて選択可能である。本発明の成形材料の製造においては、より混練度を高めるために、二軸同方向回転スクリューによる混練がより好適である。
【0028】
図2には、本実施の形態1に係る成形材料を成形する成形システム100の構成が示されている。
図2に示すように、成形システム100は、研削部1と、回収部2と、分離部3と、混合部4と、成形機5とを備える。研削部1と回収部2との間には、研削液の循環系10が設けられている。循環系10は、ポンプにより、研削液を研削部1と回収部2との間で循環させることができるようになっている。
【0029】
研削部1は、研削液をかけながら、鋳鉄を研削砥石により研削する。鋳鉄は、炭素を2.14〜6.67%の範囲で含み、ケイ素を約1〜3%の範囲で含む鉄の三元合金である。
【0030】
研削部1としては、例えば、研削盤などを用いることができる。すなわち、鋳鉄を研削する研削加工装置を、研削部1として用いることができる。このようにすれば、鋳鉄を研削加工して、加工された部品を得るとともに、通常は廃材となるその研削加工で得られた研削屑を得ることができる。
【0031】
なお、研削部1としては、部品を研削する研削装置でなく、研削屑を得るために研削を行う研削装置であってもよい。この場合にも、通常の研削加工に用いられる研削装置などを用いることができる。
【0032】
研削加工は、研削盤と高速で回転する研削砥石を用いて工作物の表面を微小に削り取り、所要の寸法・形状及び表面品質に加工する加工法である。研削工具である研削砥石は、通常、砥粒、結合材及び気孔より構成されている。砥粒は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、酸化アルミニウム及び炭化ケイ素などである。結合剤(ボンド)は、この砥粒を保持するホルダの役割を果たす。結合剤には、ビトリファイド、レジン及びメタルなどを用いることができる。気孔は、チップポケットで、切りくずを排出する役割を果たしている。研削砥石の性能は、砥粒の種類、粒度(砥粒の大きさ)、結合度(砥粒の保持強さ)、組織(砥粒を含む割合)及び結合剤の種類で決まる。
【0033】
研削加工には、上述の平面研削や円筒研削(テーパ研削、端面研削含む)のほか、内面研削、心なし(センタレス)研削、ねじ研削、歯車研削、ならい研削、研削切断などが含まれる。
【0034】
研削屑が含まれる研削液は、再び循環系10を通って、回収部2に至る。回収部2は、研削液から研削屑を回収する。回収部2において研削屑を回収する方法としては、例えば、永久磁石を用いて、研削屑を回収したり、加熱水蒸気を用いて研削液を取り除いたりする方法を採用することができる。例えば、回収部2の中に、研削液が流れる細く長い流路を形成し、その流路の周囲に磁石を配置して、その磁石により、研削屑を吸着して研削液と分離するようにしてもよい。また、フィルタ等を用いて研削液を濾過する方法を採用することも可能である。
【0035】
回収部2で回収された研削屑は分離部3へ送られる。分離部3としては、例えば、遠心分離機を用いることができる。分離部3は、回収された研削屑から成形材料に用いられるものと用いられないものとを分離する。
【0036】
混合部4は、分離部3で分離された成形材料に用いられる研削屑と樹脂とを配合する。このとき、レシチンが添加材として加えられる。混合部4としては、例えば、押出成形機が用いられる。レシチンは、グリセロリン脂質の一種であり、生体膜の主要構成成分である。このレシチンを添加剤として加えることにより、成形材料の導電性及び電磁波遮蔽性を向上することができる。
【0037】
成形機5は、マグネットシート20(
図4参照)上に成形材料を配置し、成形材料内の研削屑の配向性を高める。そして、配置された成形機5にホットプレス(熱プレス)を行う。これにより、板状の導電性材及び電磁波遮蔽材が成形される。
【0038】
例えば、射出成型機を用いてこの成形材料を成形する場合、高い溶融流動性が要求され、また、金型内に充填する前にスクリーンを通してサイズの大きい不溶物を濾取するため、研削屑の粒度が比較的小さい方に多く分布している方が有効である。一方、押出成形を用いて成形材料を製造する場合、長い繊維状の成分を含む研削屑は、溶融した熱可塑性樹脂の中で配向して流動する。そのため、結果として配向した繊維状の研削屑を含む複合成形体が得られ、繊維強化による機械的物性の向上が発現しやすく好適な製造方法の態様である。
【0039】
熱可塑性樹脂に代えて熱硬化性樹脂のプレポリマーを用いる場合も上記した製造方法を用いることができるが、このとき、研削屑と熱硬化性樹脂のプレポリマー、および必要に応じて硬化剤を混合した組成物を硬化反応が進行しない条件で溶融成型し、その後、加熱や水蒸気、光照射などの刺激により硬化させることで、機械的強度に優れた成形品を得ることができる。
【0040】
次に、本実施の形態に係る導電性材、電磁波遮蔽材の製造方法について説明する。
図3には、成形体の製造方法のフローチャートが示されている。
【0041】
まず、
図3に示すように、研削部1が、研削液をかけながら、ワーク(鋳鉄)を研削工具により研削して研削屑を得る(ステップS1;研削工程)。これにより、研削屑は、研削液に含まれるようになる。研削屑は、研削液とともに、循環系10を介して、回収部2へ送られる。
【0042】
続いて、回収部2が、研削液から研削屑を回収する(ステップS2)。回収部2は、金属の網目のフィルタを有し、その網目で大きい研削屑を回収した後、磁石等を用いて研削屑を吸着させることにより、研削屑を回収する。これにより、研削屑は、研削液から回収され、分離部3へ送られる。研削液は、再び循環系10を介して、研削部1へ戻り、鋳鉄の研削に再利用される。
【0043】
続いて、分離部3は研削屑を洗浄し、遠心分離により、研削屑を他の要素(研削砥石の屑)から分離する(ステップS3)。これにより、成形材料に用いられる研削屑が抽出される。
【0044】
続いて、混合部4は、研削屑と樹脂とを混合する(ステップS4;配合工程)。具体的には、押出成形機に、研削屑と樹脂とを所定の配合割合で混合し、スクリューで撹拌しつつダイから送り出す。ダイから送り出された成形材料では、樹脂に研削微粒子が均一に混じりあっている。なお、溶融成形は、5〜7分ほど、90度に加熱した状態で行われる。
【0045】
続いて、成形機5は、成形材料を用いて成形を行う(ステップS5;成形工程)。具体的には、
図4に示すようにN極とS極とが交互に配列されたマグネットシート20上に成形材料を配置し、その成形材料に対してホットプレスを行うことにより、フィルム状に成形する。これにより、成形材料内の研削屑がマグネットシート20の磁力線の方向を向いた状態で、電磁波遮蔽材が成形される。なお、このホットプレスは、例えば、180度、20MPaで、約12分間実施される。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。しかしながら、これらの実施例は何ら本発明の範囲を制限するものではない。
【0047】
(研削屑を用いた電磁波遮蔽材の実施例)
研削加工で得られた研削屑を、有機溶媒で洗浄、乾燥させ、得られた研削屑をポリプロピレン(PP)、レシチン(大豆由来)を一定の割合で配合して成形材料のサンプルを何種類か生成した(表1参照)。そして、得られた成形材料をシート状に成形して電磁波遮蔽材を製造し、そのシート状の電磁波遮蔽性を測定した。その際、マグネットシート20の使用の有無で、電磁波遮蔽性にどのような変化が出るかを確認するために、マグネットシート20を使用するサンプル((3)、(5))と使用しないサンプル((1)、(2)、(4))を製造した。なお、ホットプレスは、マグネットシート20及びサンプル各々を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシートで挟み、さらにその上下を銅板で挟んだ状態で行われた。
【表1】
【0048】
なお、得られたシートの導電性は、以下の表のとおりとなった。
【表2】
【0049】
図5には、研削屑を含む成形材料で生成された電磁波遮蔽材の電磁波遮蔽性の周波数特性が示されている。
図5において、(1)の曲線は、ポリプロピレン(PP)のみの材料の電磁波遮蔽性の周波数特性であり、(2)の曲線は、研削屑70wt%、PP30%を含有し、レシチン無し、マグネットシート20無しで生成された電磁波遮蔽材の電磁波遮蔽性の周波数特性である(サンプル(2))。また、(3)の曲線は、研削屑70wt%、PP30%を含有し、レシチン無し、マグネットシート20有りで生成された電磁波遮蔽材の電磁波遮蔽性の周波数特性である(サンプル(3))。また、(4)の曲線は、研削屑70wt%、PP30%を含有し、レシチン有り、マグネットシート20無しで生成された電磁波遮蔽材の電磁波遮蔽性の周波数特性であり(サンプル(4))、(5)の曲線は、研削屑70wt%、PP30%を含有し、レシチン有り、マグネットシート20有りで生成された電磁波遮蔽材の電磁波遮蔽性の周波数特性である(サンプル(5))。なお、(6)は、切削加工により得られた黒錆微粒子を70wt%含有し、PPを30wt%含有する電磁波遮蔽材の周波数である。
【0050】
(1)、(6)の曲線に比べ、(2)〜(5)の曲線が示すように、研削屑を含有する電磁波遮蔽材は、いずれも広い周波数帯域(0〜3GHz)で電磁波遮蔽性があることが確認された。これは、研削屑の形状及びサイズは様々であり、広い周波数帯域の電磁波を遮断することができる。
【0051】
また、レシチンを添加剤として含む成形材料から生成されたサンプル(4)、(5)が、レシチンを含まないサンプルよりも、電磁波遮蔽性が高くなった。また、サンプル(2)とサンプル(3)を比較するとわかるように、成形時にマグネットシート20を配置して、研削屑の配向性を高めることにより、電磁波遮蔽性がより高くなることが確認された。
【0052】
また、ポリプロピレン(PP)と研削屑を複合化した成形材料については、ストランドの状態でもフィルムの状態でも、射出成形した試験片でも導電性が出ることが確認された。
【0053】
さらに、
図6に示すように、本実施の形態に係る電磁波遮蔽材(70wt%研削屑、30wt%PP)によれば、0〜18GHzの極めて広い範囲で、高い遮蔽特性が得られた。特に、携帯電話等の通信によく用いられる16GHz〜17GHzにおいて、際だって高い電波遮蔽特性が得られている。
【0054】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、成形材料は、金属の研削屑を含んでいるため、高い導電性及び高い電磁波遮蔽性を有している。また、糸くず状など様々な形状の研削屑が含まれているため、成形された電磁波遮蔽材は、広い周波数帯域で電磁波遮蔽性を有する。また、成形材料は樹脂を含んでおり、成形前は高い流動性を有しているため、金型により容易に成形し易くなっている。したがって、この成形材料を用いれば、広い周波数帯域で電磁波遮蔽性を有する導電性のある成形品を、容易に成形することができる。
【0055】
なお、上記実施の形態では、金属を鋳鉄としたが、本発明はこれには限られない。金属は、鋳鉄には限らず、アルミニウム等の他の金属であってもよい。
【0056】
また、上記実施の形態では、導電性材又は電磁波遮蔽材は、板状であったが、他の形状に成形されてもよい。
【0057】
なお、成形材料には、さらに添加剤及び/又は付加剤を添加するようにしてもよい。添加剤および/または付加剤としては、UV吸収剤、UV安定剤、熱安定剤、加水分解安定剤、架橋活性化剤、架橋剤、難燃剤、着色剤、接着促進剤、相溶化剤、潤滑剤、ガラス繊維、補助潤滑剤及び離型剤、無機顔料、有機顔料、赤外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、核剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、鎖延長剤、蛍光増白剤、フォトクロミック剤、耐衝撃性改良剤(無水マレイン酸変性オレフィン系コポリマー及び/又はそれらの混合物が耐衝撃性改良剤として好ましい)から選択されるようにすればよい。
【0058】
また、成形材料には、さらに相溶化剤を添加するようにしてもよい。相溶化剤としては例えばカルボキシ変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PP)、アイオノマー、カルボン酸、無水酸変性ポリエチレン(PE)、エチレン/メタクリル酸共重合体、無水マレイン酸グラフトスチレン/エチレン・ブタジエン/スチレンブロツク共重合体(SEBS)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、無水マレイン酸グラフトエチレンプロピレンラバー(EPR)、ポリアクリル酸イミド、SEBS、スチレン/ブタジエン/スチレンブロツク共重合体(SBS)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)共重合体、PP/EPDM共重合体、ポリメチルメタクリレート(PMMA)/EPDM共重合体、PE/ポリスチレン(PS)共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート/無水マレイン酸共重合体、グリシジルメタアクリレート/ビニル系モノマー共重合体、エチレン/メタクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/グリシジルメタアクリレート/酢酸ビニル共重合体、マレイン化エチレン/プロピレンゴム、エチレンービニルアセテート(EVA)共重合体、エチレン/ビニルアセテート/無水マレイン酸共重合体、EPDM/EVA/低密度ポリエチレン(LDPE)共重合体、SBS/EPDM/EVA/LDPE共重合体等を挙げることができる。添加剤としては例えば界面改質剤、充填剤、着色剤等を使用することができる。
【0059】
また、本発明の成形材料は、例えばフィラメント状、テープ状、シート状、フィルム状、ストランド状、ペレツト状等に予備成形して、これをフィラメントワインディング成形、積層プレス成形、射出成形等して成形体を得ることができ、成形体の前駆体として有用である。
【0060】
好ましくは、成形品は、導電性を必要とする構成要素の形態で提供される。例えば、自動車産業および他の交通手段の領域における内装部品および外装部品、好ましくは、フィラーキャップカバー、電気/電子分野、特に、携帯用電子機器用のハウジング部品またはハウジングコンポーネント、家電製品、家庭用機器、電気通信、家電機器用の装置および機器、好ましくは携帯電話、電気、家具、スポーツ、機械工学、衛生および医療、医薬、エネルギーならびに駆動技術分野における電気伝導性を有し所望の機械的機能を補助する内装部品および外装部品などである。
【0061】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。