(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836277
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】ベスト
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20210215BHJP
A41D 27/10 20060101ALI20210215BHJP
A41D 27/28 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D27/10 D
A41D27/28 D
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-223284(P2018-223284)
(22)【出願日】2018年11月29日
(65)【公開番号】特開2020-84384(P2020-84384A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年2月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516327457
【氏名又は名称】株式会社バートル
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】大崎 敬一
【審査官】
▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−003227(JP,A)
【文献】
特開2017−150120(JP,A)
【文献】
特開2011−117121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00−13/12
A41D20/00
A41D27/00−27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後身頃の下部に身体を冷却するファンを取り付けることができるベストであって、袖ぐり部を一周するアームホールを伸縮性のある環状部材で構成し、袖ぐり部の下方の脇身頃の一部が内部から外部に空気を排出して腋の下を冷却する面積が限定されたメッシュ生地に切り換えられており、前記環状部材の周囲の身頃生地は前記メッシュ生地を除き空気を漏らさず、前記メッシュ生地は大きさが1mm乃至10mmの複数の開口が設けられていることを特徴とするベスト。
【請求項2】
請求項1のベストにおいて、前記メッシュ生地は空気を通しにくい小さい生地の脇身頃を挟んで前記環状部材に接続されていることを特徴とするベスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体を冷却するファンを取り付けることができるベストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業員を保護する熱中症対策の一つとして最近はファン付上着が利用されている。ファン付上着はファンを取り付けて、衣服内に空気を流通させることにより、身体を冷却するもので、ファンより取り込まれた外部の空気は、衣服内側を介して襟や袖口などの開口部から排出される。例えば、特許文献1においては、袖のないベストが開示されている。このベストは、袖ぐり(アームホール)から大量の空気が流出することを防止するため、腕を通す袖口部の全周にゴムが内蔵されている。袖口部の周囲には開口が袖口部よりも広い大径袖口部が設けられ、袖口部と大径袖口部は一部が重なって構成されており、美感を向上させている。袖口部は、ゴムの弾性力によって縮径し、着用者が衣服を着用した時に袖口部は着用者の腕に密着する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−3227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、両肩の内側には、前身頃と後身頃とに跨るように通気性に優れたダブルラッセルメッシュが設けられ、前身頃と後身頃との間を空気が行き来でき、衣服本体の内側の空間内に満遍なく空気を行き渡らせることができるようになっている。しかし、人体の肩の上側に設けられたダブルラッセルメッシュにより、前身頃と後身頃との間の空気の行き来が出来たとしても、空気は衿口の開口に向けて流れるだけである。
本発明は、腋の下を効率よく冷やすことができるベストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のベストは、後身頃の下部に身体を冷却するファンを取り付けることができるベストであって、袖ぐり部を一周するアームホールを伸縮性のある環状部材で構成し、袖ぐり部の下方の脇身頃
の一部が内部から外部に空気を排出して腋の下を冷却する面積が限定されたメッシュ生地に切り換えられており、前記環状部材の周囲の身頃生地は前記メッシュ生地を除き空気を漏らさず、前記メッシュ生地は大きさが1mm乃至10mmの複数の開口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、袖ぐりを伸縮性のある素材で構成しているため、着用者の腕に袖ぐり部を密着させることができ、袖ぐり部から空気が出ることなく、袖ぐり部の下方の身頃生地に設けたメッシュ生地からなる排出部から空気を出すことができる。排出部から空気が出ることにより腋の下を効率よく冷やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】ベストの腋部分を拡げた状態の部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
体温を下げるには、体表近くに太い静脈がある場所を冷やすのが最も効果的である。大量の血液がゆっくり体内に戻っていく場所であるからである。前頸部の両脇、腋の下、足の付け根の前面(鼠蹊部)などが該当する。本発明では、腋の下の太い血管が通っている箇所を冷やすと効率的に体温を冷やす。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明に係るベストの一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るベストの正面図で、
図2は背面図である。ベスト1は、前身頃2、後身頃3、袖ぐり部4、襟5を有し、前身頃2は前面を開閉できるファスナーが備えられている。後身頃3の下部の左右には、ファンを取り付ける空気取り込み口6が開口されている(図では2箇所)。ベスト1は、ファンを取り付けて、衣服内に空気を流通させることにより、身体を冷却するもので、ファンより取り込まれた外部の空気は、衣服内側を介して襟5から排出される。
【0010】
ベスト1においては、さらに、空気の排出部8が袖ぐり部4の下方に設けられている。袖ぐり部4は、アームホールの全周から空気が出ないようにされている。具体的には、袖ぐり部4は、アームホールにそって一周する伸縮性の環状部材9を有しており、環状部材9は前身頃2と後身頃3に接続(縫製若しくは接着)されている。伸縮性の環状部材9を使用していることにより、袖ぐり部4の開口全周が伸縮し、着用者の腕を通すと腕に密着して袖ぐり部4から空気が排出されるのを防止している。環状部材9は、一周にわたり伸縮性を有しなくても良く、例えばゴム紐と伸縮しない紐とで作製されても良い。袖ぐり部4の下方を除いて、袖ぐり部4の隙間から空気が漏れないようにすれば良いのである。
【0011】
また、環状部材9としては、伸縮性のテープを用いても良い。または、伸縮しない生地でアームホールを一周するパイプを作り袖ぐり部に縫合し、パイプの内部にゴムを通しても良い。また、パイプの中に紐を通して、紐の長さを調整することにより、アームホールの大きさを調節して着用者の腕に密着させることもできる。なお、10は前見頃2と後身頃3を肩の位置でつなぐ切り替え布であり、肩の立体感を持たせるために使用されており、必須ではない。
【0012】
図2は、ベスト1の脇部分を拡げた状態の部分説明図である。排出部8は、袖ぐり部4の下方に前身頃2と後身頃3とは別素材で構成され、環状部材9に接続(縫製若しくは接着)されている。排出部8は、脇身頃7の上部がメッシュ生地に切り替えられて作製されたものである。排出部8の面積は限定的であって、周囲は空気を通さない身頃生地(前身頃2、後身頃3、脇身頃7、切り替え布10)に囲まれて接続している。メッシュ生地としては、開口を横切る長い線分の長さが1mm乃至10mmの範囲になる複数の開口が配列された生地を用いる。実施例においては、規則的な多数の円形状の開口が配列され、その開口の直径が2mm程度になっている生地を用いた。排出部8の細かな開口から空気が出ることにより、腋の下が効率よく冷やされる。
【0013】
脇身頃7を設けずに、前身頃2と後身頃3でベスト1を作製する場合には、袖ぐり部4の下方であって、環状部材9と前身頃2と後身頃3の間にこの排出部8は設けられる。前身頃2と後身頃3若しくは脇身頃7、切り替え布10の身頃生地は空気を通さない(通しにくいものを含む)生地で作製することが、排出部へ空気の流れを集中させるのに望ましい。
【0014】
本実施例によれば、アームホールを伸縮性のある環状部材9で構成しているため、着用者の腕に袖ぐり部を密着させることができ、袖ぐり部から空気が出ることなく、袖ぐり部の下方の身頃生地に設けたメッシュ生地からなる排出部からベスト1の内部の空気を外部に出すことができる。腋の下の太い血管が通っている箇所を冷やすと効率的に体温を冷やすことができる。
【実施例2】
【0015】
第1の実施例のベスト1は、袖ぐり部を一周するアームホールを伸縮性のある環状部材9で構成し、袖ぐり部の下方にメッシュ生地からなる排出部8を接続していたが、本実施例においては、メッシュ生地からなる排出部8を環状部材9に直接接続せずに、空気を通しにくい生地を挟んでも良い。
図3Aは、小さい巾の脇身頃7aを挟んで排出部8が環状部材9に接続している。メッシュ生地からなる排出部8を伸縮力のある環状部材9に直接縫合することがないので、作りやすいという利点がある。
【実施例3】
【0016】
上記実施例においては、排出部8としてメッシュ生地を用いたが、排出部8を袖ぐり部の下方の見頃生地に設けても良い。
図3Bにおいては、脇身頃7に排出部8を設けている。脇身頃7は空気を通しにくい生地であるが、これに複数の開口を設けて排出部8を形成する。個々の開口は、例えば1mm乃至10mmの開口を持つアイレット8aを用いて作製することができる。脇身頃7を用いずに、前見頃と後身頃で袖ぐり部の下方を形成する場合には、袖ぐり部の下方に位置する前見頃若しくは後身頃の見頃生地に複数の開口を設けて排出部8を形成しても良い。
【符号の説明】
【0017】
1 ベスト
2 前身頃
3 後身頃
4 袖ぐり部
5 襟
6 空気取り込み口
7、7a 脇身頃
8 排出部
8a アイレット
9 環状部材
10 切り替え布