(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
(第1実施形態)
<会計処理システム100の全体構成>
図1は、第1実施形態に係る会計処理システム100の全体構成を示す図である。
図2は、第1実施形態に係る会計処理装置1の機能ブロックを示す図である。
図3は、第1実施形態に係る端末7の機能ブロックを示す図である。
図1に示す会計処理システム100は、顧問先の端末7から依頼を受けた会計事務所の会計処理装置1が、各種の業務用アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションプログラムのことを、「アプリ」ともいう。)を実行して会計処理を行うシステムである。
【0010】
会計処理システム100は、会計処理装置1と、端末7とを備える。そして、会計処理システム100は、通信ネットワークNによって、会計処理装置1と、端末7の間でデータ通信を行う。
会計処理装置1は、例えば、会計事務所に設けられ、各種会計処理を行う装置である。会計処理装置1は、各種の会計処理に対応する複数の業務処理を行う。
会計処理装置1は、例えば、サーバ1aと、複数台の端末1b(コンピュータ)とにより構成される。サーバ1aは、端末1bから受信した操作データに基づいて処理を行う。複数台の端末1bは、例えば、会計事務所の業務処理担当者(以下、「会計事務所のユーザ」という。)が操作する端末である。
【0011】
なお、
図1では、会計処理装置1を、サーバ1aと、端末1bとからなるものとして説明しているが、これは、一例である。サーバ1aは、後述する機能ごとに複数台を有してもよい。また、会計処理装置1は、例えば、1台のスタンドアロンのコンピュータで構成されていてもよい。
さらに、会計処理装置1は、サーバのみ、あるいは複数のサーバで構成されていてもよい。また、会計処理装置1は、実体が仮想化された仮想マシンやクラウドであってもよい。
また、端末1bは、必ずしも会計事務所内に設けられる必要はなく、外出先や自宅勤務の職員の端末や、外注先の職員の端末も含まれる。
【0012】
端末7は、顧問先に設けられたパーソナルコンピュータ(PC)等である。端末7は、例えば、ノートPC、タブレット等の携帯型端末であってもよい。端末7は、例えば、顧問先の取引入力担当者(以下、「顧問先のユーザ」という。)が操作する端末である。
なお、
図1では、顧問先ごとに1台の端末7を有するものになっているが、1つの顧問先において、複数の端末7を備えてもよい。
【0013】
<会計処理装置1>
図2に示すように、会計処理装置1は、制御部10と、記憶部30と、入力部45と、表示部46と、通信インタフェース部49とを備える。
図1の会計処理装置1の構成によれば、サーバ1aは、制御部10と、記憶部30と、通信インタフェース部49とが該当し、端末1bは、入力部45と、表示部46とが該当する。なお、表示部46は、出力部も含む。
制御部10は、会計処理装置1の全体を制御するCPU(中央処理装置)である。制御部10は、記憶部30に記憶されているOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0014】
制御部10は、取引データ受信部11と、指導データ部15と、指導レポート部21と、アプリ連携部25とを備える。
取引データ受信部11は、端末7から取引データを受信する。ここで、取引データとは、顧問先での取引を入力したデータであり、例えば、仕訳データである。また、取引データは、給与データや販売管理データ、就業管理データ等のデータでもよい。
なお、取引データは、端末7から通信ネットワークNを介して受信するものに限定されない。取引データ受信部11は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記憶媒体により取引データを受領したり、端末7から、顧問先に持ち込んだ会計事務所側の端末1bに対して、LANやUSBケーブル等を用いた有線接続や、赤外線や無線送信等によるデータ転送により、取引データを受領したりすることもできる。
指導データ部15は、指導データに関する制御部である。
指導データ部15は、取引変更部16(取引変更手段)と、履歴生成部17(履歴生成手段)と、カテゴリ付与部18(分類データ付与手段)と、指導データ生成部19(指導データ生成手段)と、指導データ蓄積部20(指導データ蓄積手段)とを備える。
【0015】
取引変更部16は、取引データを変更する変更データを受け付けて、変更前取引データを変更する。変更前取引データとは、顧問先の端末7から受信した取引データをいう。変更データは、入力部45から会計事務所のユーザが入力する。
履歴生成部17は、取引変更部16により変更前取引データを変更したときに、変更履歴データを生成する。変更履歴データには、変更前取引データの全ての内容を含んでもよいし、変更前取引データの一部の内容を含んでもよい。
カテゴリ付与部18は、カテゴリテーブル35(分類データ記憶部)を参照して、指導カテゴリデータ(分類データ)を付与する。指導カテゴリデータは、例えば、取引の入力に際しての会計基準や税法上の取り扱い等に関する注意事項等の指摘事項をカテゴライズ(体系化)したものであってもよい。また、指導カテゴリデータは、変更前取引データ又は必要に応じて変更後の取引データに基づいてカテゴライズしたものであってもよい。
指導データ生成部19は、指導カテゴリデータを、変更後取引データに対応付けた指導データを生成する。指導データ生成部19は、後述するが、会計事務所のユーザが入力した指導メモ(指導内容)を含んだ指導データを生成してもよい。
指導データ蓄積部20は、指導データ生成部19が生成した指導データを、指導データテーブル36(指導データ記憶部)に記憶させる。
【0016】
指導レポート部21は、指導レポートに関する制御部である。
指導レポート部21は、指導レポート生成部22と、指導関連データ送信部23とを備える。
指導レポート生成部22は、指導データテーブル36に記憶された一以上の指導データを含む指導レポートデータを生成する。
指導関連データ送信部23は、指導レポート生成部22において生成された指導レポートデータと、指導データ生成部19で生成した指導データとを含む指導関連データを、端末7に送信する。
【0017】
アプリ連携部25は、業務用アプリ31cとの連携に関する制御部である。なお、「アプリ」とは、アプリケーションプログラムのことであり、以下の説明において、アプリケーションプログラムのことを、「アプリ」ともいう。
アプリ連携部25は、指導データ呼出部26(指導データ呼出手段)を備える。
指導データ呼出部26は、業務用アプリ31cにおいてデータを入力する際に、指導データテーブル36を検索し、指導データを呼び出す。
なお、上述した各機能の詳細については、後述する。
【0018】
記憶部30は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部30は、プログラム記憶部31と、顧問先テーブル32(顧問先情報記憶部)と、取引データテーブル33と、訂正履歴テーブル34(履歴データ記憶部)と、カテゴリテーブル35と、指導データテーブル36と、指導レポートテーブル37とを備える。
プログラム記憶部31は、各種プログラムを記憶する記憶領域である。プログラム記憶部31は、指導データ生成アプリ31aと、指導レポート生成アプリ31bと、業務用アプリ31cとを記憶している。
【0019】
指導データ生成アプリ31aは、上述した制御部10の指導データ部15が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムである。
指導レポート生成アプリ31bは、上述した制御部10の指導レポート部21が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムである。
業務用アプリ31cは、例えば、所得税のためのアプリ、相続税のためのアプリ等、各種業務に応じた処理を実行するアプリケーションプログラムである。業務用アプリ31cは、
図1では1つのアプリとして示しているが、業務ごとに複数のアプリによって構成されていてもよい。
【0020】
顧問先テーブル32は、会計処理の依頼主である顧問先に関するデータを記憶するテーブルである。顧問先テーブル32は、顧問先ごとに顧問先に関する情報(名称、住所等)と、顧問先の業種とを記憶している。
取引データテーブル33は、取引データを記憶するテーブルである。取引データテーブル33は、変更があった場合には、変更後取引データを記憶し、変更がなかった場合や、変更を行う前は、変更前取引データを記憶する。
訂正履歴テーブル34は、変更に関する履歴である変更履歴データを記憶するテーブルである。
カテゴリテーブル35は、変更した取引の指導内容に関する情報を分類した指導カテゴリデータを記憶するテーブルである。
指導データテーブル36は、生成された指導データを記憶するテーブルである。
指導レポートテーブル37は、生成された指導レポートデータを記憶するテーブルである。
なお、各テーブルの詳細については、後述する。
【0021】
入力部45は、キーボードやマウス等の入力装置である。また、入力部45は、タッチパネルやペン入力、スキャナ、音声、映像等の入力でもよい。
表示部46は、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される表示装置である。表示部46は、出力部をも含むものであるので、プリンタ等も含まれる。
通信インタフェース部49は、端末7との間のインタフェースである。
なお、本発明でいうコンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、会計処理装置1は、制御部10、記憶部30等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0022】
<端末7>
図3に示すように、端末7は、制御部70と、記憶部80と、入力部85と、表示部86と、通信インタフェース部89とを備える。
制御部70は、端末7の全体を制御するCPUである。制御部70は、記憶部80に記憶されているOSやアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
制御部70は、入力受付部71(取引入力受付手段)と、指導データ抽出部72(指導データ抽出手段)と、支援出力部73(取引入力支援手段)と、取引データ送信部74と、指導関連データ受信部76と、指導レポート出力部77(指導レポート出力手段)とを備える。
【0023】
入力受付部71は、取引データの入力を受け付ける。
指導データ抽出部72は、取引データの内容に対応する指導データを、指導データ記憶部82から抽出する。
支援出力部73は、抽出した指導データを、表示部86に表示させる。
取引データ送信部74は、会計処理装置1に対して取引データを送信する。
指導関連データ受信部76は、会計処理装置1から指導関連データを受信して、指導データ記憶部82に記憶させる。
なお、指導関連データ受信部76は、会計処理装置1から指導関連データを受信するものに限定されない。指導関連データ受信部76は、指導関連データを、例えば、会計処理装置1からUSBメモリ等の可搬型記憶媒体に一旦出力した上で、可搬型記憶媒体を介して受領してもよい。また、指導関連データ受信部76は、指導関連データを、顧問先に持ち込んだ会計事務所側の端末1bから有線接続又は無線送信を介して受領してもよい。
指導レポート出力部77は、受信した指導関連データに含まれる指導レポートデータを、表示部86に表示させる。ここで、指導レポートは、紙やPDFデータとして出力したり、音声や映像によって出力したりしてもよい。
また、指導レポートは、端末7に表示させる以外に、顧問先に持ち込んだ会計事務所の端末1bを用いて指導レポートデータを表示して、顧問先の取引入力の指導を行うようにしてもよい。
【0024】
記憶部80は、制御部70が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部80は、プログラム記憶部81と、指導データ記憶部82とを備える。
プログラム記憶部81は、各種プログラムを記憶する記憶領域である。プログラム記憶部81は、取引入力支援プログラム81aを記憶している。
取引入力支援プログラム81aは、上述した制御部70が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムである。取引入力支援プログラム81aは、CD等の記憶媒体からインストールしてもよいし、クラウドやサーバ(図示せず)からダウンロードして記憶してもよい。
指導データ記憶部82は、指導関連データを記憶する記憶領域である。
また、記憶部80には、過去の取引データを記憶する記憶領域を備えていてもよい。
【0025】
入力部85は、キーボードやマウス等の入力装置である。
表示部86は、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される表示装置である。
なお、入力部85及び表示部86は、入力部85と、表示部86とが一体となったタッチパネルディスプレイ装置であってもよい。
通信インタフェース部89は、会計処理装置1との間のインタフェースである。
なお、本発明でいうコンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、端末7は、制御部70、記憶部80等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0026】
<会計処理システム100の処理>
次に、会計処理システム100による処理について説明する。
図4は、第1実施形態に係る会計処理システム100での取引支援処理のフローチャートである。
この取引支援処理は、例えば、顧問先での取引内容の入力を行うタイミング(月1回等)で実行される。
【0027】
ステップS(以下、単に「S」という。)10において、端末7の制御部70は、取引入力処理を行う。取引入力処理は、取引内容を入力する処理である。取引入力処理の詳細については、後述する。
S11において、制御部70(取引データ送信部74)は、取引入力処理によって作成された取引データを、会計処理装置1に送信する。
なお、上述したS10及びS11の処理は、顧問先のユーザが、端末7において、取引入力支援プログラム81aを実行して行うことができる。
【0028】
S12において、会計処理装置1の制御部10(取引データ受信部11)は、端末7から送信された取引データを受信する。そして、制御部10は、受信した取引データを、取引データテーブル33に記憶させる。
S13において、制御部10(指導データ部15)は、指導データ生成処理を行う。指導データ生成処理は、会計事務所のユーザが、指導データ生成アプリ31aを実行して行うことができる。指導データ生成処理の詳細については、後述する。
S14において、制御部10(指導レポート部21)は、指導レポート生成処理を行う。指導レポート生成処理は、会計事務所のユーザが、指導レポート生成アプリ31bを実行して行うことができる。指導レポート生成処理の詳細については、後述する。
S15において、制御部10(指導関連データ送信部23)は、生成した指導レポートデータ及び指導データを含む指導関連データを、端末7に対して送信する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0029】
S16において、端末7の制御部70(指導関連データ受信部76)は、指導関連データを受信する。
S17において、制御部70は、受信した指導関連データを、指導データ記憶部82に記憶させる。
S18において、制御部70(指導レポート出力部77)は、受信した指導関連データに含まれる指導レポートデータを、表示部86に出力する。その後、制御部70は、本処理を終了する。
【0030】
このように、端末7での取引入力処理に基づいて、会計処理装置1では、指導レポートデータ及び指導レポートデータを生成して、端末7に出力する。よって、顧問先のユーザは、指導レポートを見ることで、顧問先での取引入力に関する間違いの傾向を把握できる。なお、顧問先は、指導レポートを見ながら会計事務所の指導を受けてもよい。さらに、会計事務所の指導は、直接顧問先に出向いて指導するのが一般的だが、リモートデスクトップ機能を用いて指導してもよい。
そして、端末7には、指導データが蓄積されるので、顧問先では、次回の取引入力の際に、蓄積された指導データを活用できる。
なお、指導関連データは、端末7で表示することに限定されず、会計事務所の端末1bを用いて指導レポートデータを表示してもよい。また、会計事務所の所長や職員による顧問先の取引入力(記帳)の指導や財務諸表を利用した経営指導の際にも、指導レポートを活用できる。
【0031】
次に、端末7での取引入力処理について説明する。
図5は、第1実施形態に係る端末7での取引入力処理のフローチャートである。
図6から
図8までは、第1実施形態に係る端末7での取引入力画面の例を示す図である。
図9は、第1実施形態に係る端末7の指導データ記憶部82の例を示す図である。
【0032】
図5のS20において、端末7の制御部70(入力受付部71)は、取引に関する入力を受け付ける。取引に関する入力は、様々な態様で行うことができる。以下に、その例を示す。
図6は、出納帳入力で用いる画面例である。
図6(A)に示す出納帳入力画面50は、出納帳入力部50aを備える。出納帳入力部50aは、顧問先のユーザが取引データを入力する部分である。出納帳入力部50aにおいて、顧問先のユーザが、入力したい箇所にカーソル50bを移すことで、制御部70は、データ部50cを表示させて、記憶部80に記憶されている過去の取引データを出力してもよい。そして、顧問先のユーザは、過去の取引データを参照しながら、出納帳入力部50aに入力してもよいし、過去の取引データを選択することで、制御部70は、選択された取引データを、出納帳入力部50aに反映させるようにしてもよい。
【0033】
次に、
図7は、質問に答えながら入力する質問式伝票入力で用いる画面例である。
図7(A)に示す質問式入力画面52は、レシート部52aと、質問式入力部52bとを備える。レシート部52aには、紙のレシートを画像化したレシートデータが表示される。質問式入力部52bは、顧問先のユーザが、この質問式入力部52bに表示された質問に答えながら、取引データを作成する部分である。顧問先のユーザが質問に対する回答を入力することで、制御部70は、取引生成部52cに、生成された取引データを表示する。
質問は、大枠として「いつ、どこで、誰と、何を、何のために、どのように」等、5W1H形式等の体系を有している。そして、大枠の質問体系のそれぞれについて、中位概念としての質問式入力画面選択のための質問、及び下位概念としての詳細質問が用意されている。
例えば、大枠の「何を」の体系に関して、中枠レベルの質問式入力画面選択のための質問として、取引のカテゴリごとに「通常支払、買掛・未払、・・・」等の取引の概要に関する質問が用意され、さらに「通常支払」を選択すれば、通常支払の取引の細分類として「飲食、交通、・・・」等の質問(又は選択肢)が用意された質問式入力画面52を表示する。
また、大枠の「どこで」の体系に関して「支払先、購入先、・・・」等の詳細質問が用意され、大枠の「誰と」の体系に関して「社外人数、社外の誰、社内人数、・・・」等の詳細質問が用意され、大枠の「何のために」の体系に関して「目的、設置場所、・・・」等の詳細質問が用意される。上述の詳細質問は、取引を入力する質問式入力画面52の種類ごとに(換言すると、取引のカテゴリごと及び取引の細分類のタイプごとに)、適宜取捨選択されて、テーブル等の形式で登録して、質問式入力画面52を生成する際に用いられる。質問式入力画面52では、
図7(A)に示すように、質問内容が主に選択肢の形で用意され、補助的にテキスト形式の入力欄が用意されている。顧問先のユーザが質問に回答すると、質問と回答(選択肢、テキスト入力)のセットが、質問式摘要として記憶部80に記録される。
【0034】
図8は、レシート画像を参照しながら取引データを入力するレシート参照入力で用いられる画面例である。
図8(A)に示すレシート画像参照入力画面54は、レシート部54aと、参照入力部54bとを備える。レシート部54aには、紙のレシートを画像化したレシートデータが表示される。参照入力部54bは、顧問先のユーザが、レシート部54aを見ながら取引データを入力する部分である。
図8(A)の例では、顧問先のユーザは、レシート部54aを参照しながら、参照入力部54bに入力することで、レコード54cが追加される。
【0035】
図5に戻り、S21において、制御部70は、入力完了であるか否かを判断する。入力完了とは、取引の入力を行ったことを意味し、必ずしも入力が確定した場合だけでなく、仮に入力して訂正(変更)するかどうか保留になっている状態も含まれる。具体的には、入力完了には、
図6(A)に示す出納帳入力画面50において、過去の取引データを選択した際に、その選択した過去取引に関して指導メモがある場合に、該当の行への入力決定を行う前の状態を含んでもよい。
そして、1つの取引に関する入力完了であってもよいし、複数の取引に関する入力完了であってもよい。また、入力完了であるか否かは、例えば、入力が完了した旨を顧問先のユーザに指示させることで、判断してもよいし、制御部70が、必要な項目の全ての入力がされたことに基づいて判断してもよい。
入力完了である場合(S21:YES)には、制御部70は、処理をS22に移す。他方、入力完了ではない場合(S21:NO)には、制御部70は、処理をS20に移す。
S22において、制御部70(指導データ抽出部72)は、指導データ記憶部82を参照して、受け付けた入力に関する指導データを検索する。
【0036】
ここで、指導データ記憶部82に記憶される各テーブルについて、
図9に基づき説明する。
図9(A)は、指導データテーブル82aを示す。指導データテーブル82aは、後述する指導データテーブル36のうち、端末7の顧問先に関する指導データを記憶している。指導データテーブル82aは、指導メモID(IDentifier)と、指導カテゴリデータと、指導メモとが対応付けられている。指導メモIDは、指導データを特定する識別情報である。指導カテゴリデータは、後述する会計処理装置1で付与された取引データの誤りに関する情報である。指導メモは、後述する会計処理装置1で、会計事務所のユーザにより入力された誤りに関する会計事務所等の専門家による指摘事項である。
なお、ここで説明した取引データの誤りとは、取引データを変更した場合だけの誤りに関する指摘事項や情報だけでなく、取引データを変更せずに、取引の入力に際しての会計基準や税法上の取り扱いに関する注意事項等の指摘事項に関する情報でもよい。
【0037】
図9(B)は、取引データテーブル82bを示す。取引データテーブル82bは、後述する取引データテーブル33のうち、端末7の顧問先に関する取引データであって、会計処理装置1で変更及び監査された取引データを記憶している。取引データテーブル82bの指導メモIDは、指導データテーブル82aと関連付けるためのキー項目である。顧問先IDは、顧問先を特定する識別情報である。取引IDは、取引データを特定する識別情報である。顧問先IDと、取引IDとによって、取引データが特定できる。
【0038】
図9(C)は、訂正履歴テーブル82cを示す。訂正履歴テーブル82cは、後述する訂正履歴テーブル34のうち、端末7の顧問先に関するデータであって、会計処理装置1で変更される前の取引データを記憶したテーブルである。顧問先IDと、取引IDとは、取引データテーブル82bと関連付けるためのキー項目である。
【0039】
制御部70は、入力完了した取引データに類似したデータが、訂正履歴テーブル82cにあるか否かを判断する。入力完了した取引データに類似したデータとは、例えば、借方科目コードと、貸方科目コードとが同じデータや、摘要が同じデータが、訂正履歴テーブル82cにある場合をいう。そして、訂正履歴テーブル82cにあった場合には、制御部70は、訂正履歴テーブル82cのレコードに対応する取引データテーブル82bのレコードを抽出し、さらに抽出した取引データテーブル82bのレコードに対応する指導データテーブル82aのレコードを抽出する。そうすることで、制御部70は、受け付けた入力に関する指導データを検索できる。
【0040】
図5に戻り、S23において、制御部70(指導データ抽出部72)は、検索ができたか否かを判断する。検索ができた場合(S23:YES)、つまり、指導データテーブル82aのレコードが抽出できた場合には、制御部70は、処理をS24に移す。他方、検索ができなかった場合(S23:NO)には、制御部70は、本処理を終了する。
S24において、制御部70(支援出力部73)は、検索された指導データを、表示部86に表示させる。
指導データの表示態様としては、例えば、
図6(B)、
図7(B)、
図8(B)のように、指導カテゴリの種別ごとにソートして表示する。
【0041】
図6(A)は、上述したように、出納帳入力画面50を示す。出納帳入力部50aにおいて、顧問先のユーザが、入力したい箇所にカーソル50bを移すことで、制御部70は、データ部50cを表示させている。そこで、顧問先のユーザが、例えば、データ部50cのレコード50dの内容を、出納帳入力部50aに入力した場合に、制御部70は、
図6(B)に示す指導データ画面51を、出納帳入力画面50上に別ウィンドウとして表示する。
指導データ画面51には、過去に入力した取引データを参照して、「売上高」の勘定科目に関する取引データを選択して、今回の取引の入力をしようとしたので、同じ「売上高」の科目名に関する過去の指導データが表示されている。
この場合、売上高の入力をする際に、貸借関係を誤ったり、掛取引と混同したりしたことが、指導データ画面51に示す指導カテゴリの種別1及び種別2の内容によって確認できるので、顧問先のユーザに対して、同じような過ちを起こさないように注意して入力するよう補助することができる。
【0042】
図7(A)は、上述したように、質問式入力画面52を示す。質問式入力部52bにおいて、顧問先のユーザが、表示された質問に対する回答を入力することで、制御部70は、取引生成部52cに、生成された取引データを表示する。そして、制御部70は、
図7(B)に示す指導データ画面53を、質問式入力画面52上に別ウィンドウとして表示する。
指導データ画面53には、取引生成部52cに表示された取引データと同じ質問式摘要である過去の指導データが表示されている。
この場合、指導データ画面53に示す指導カテゴリの質問式摘要(種別3)の内容により、顧問先のユーザは、所定のパターンで質問に対する回答を行った場合には、変更がされたこと(間違っていたこと)が分かる。また、指導データ画面53に示す指導カテゴリの種別1及び種別2の内容によって、顧問先のユーザは、科目を誤ったことが確認できる。さらに、顧問先のユーザは、指導メモの内容(テキスト文)により、科目を誤った理由として、例えば、飲食をした人数の情報を欠いていたので、一人当たりの飲食に係る金額が正確に把握できず、本来会議費とすべきところを交際費として入力するといった税法上の取り扱いに関する誤りをしたことが分かる。結果として、顧問先のユーザに対して、同じような過ちを起こさないように注意して入力するよう補助することができる。
【0043】
質問式入力画面52に示す質問式摘要入力では、いくつかの基準となる質問が準備されている。そして、顧問先のユーザが、選択した質問自体を間違えていた場合であっても、指導データ画面53を参照することで、正しい質問式入力の質問に誘導することができる。
また、図示してはいないが、質問式摘要入力では、取引に応じていくつかの質問フォームを準備している。取引入力の誤りが、選択した質問フォームの誤りである場合、制御部70は、指導メモから正しい質問フォームに誘導できるようなリンクを表示してもよい。
例えば、冒頭部分の誤った選択として、過去に売掛金の取引を入力しようとしているのに、現金出納帳の質問を選択しているような場合、指導メモで売掛帳用の質問式入力を選択するよう指導メモに記載したりすることが想定される。
また、取引先のお客様をタクシーで送迎したことを、「交通費」として「交通」の質問を選択したが、この場合「接待費」にあたり「費用」の質問を選択するよう指導メモに記載することも想定される。
さらに、各質問フォームに入力する段階に誤った入力又は選択をした場合(例えば、取引先と食事をした場合に、質問式入力部52bの「1接待」に該当するのか「2会議・会合」に該当するかどちらかわからない時)に、「1接待」を選択した時に関連する指導メモを表示することで、正しい質問への回答を誘導することができる。関連する指導メモには、過去の傾向として間違えやすい項目(上述の例の場合において、「接待」に該当する事例と、「会議・会合」に該当する事例や、その見分け方等のアドバイス等)への対応を記載することも想定される。指導メモを表示するタイミングは、各質問フォームの入力又は選択時でもよいし、複数の質問フォームの入力又は選択後でもよい。
このように指導メモを表示することで、顧問先のユーザが正しい質問フォームを選択することができる。
【0044】
図8(A)は、上述したように、レシート画像参照入力画面54を示す。参照入力部54bにおいて、顧問先のユーザが、レシート部54aを参照しながら参照入力部54bに入力することで、レコード54cが追加される。そして、制御部70は、
図8(B)に示す指導データ画面55を、レシート画像参照入力画面54上に別ウィンドウとして表示する。
指導データ画面55には、レコード54cに表示された取引データと同じ「旅費交通費」の科目名に関する過去の指導データが表示されている。
この場合、顧問先のユーザは、旅費交通費の入力をする際に、指導データ画面55によって科目名を間違えたことが分かると共に、似たような間違いをした取引入力時の領収証画像を参照できる。よって、顧問先のユーザに対して、今回の取引入力に係る領収証画像と、指導データ画面55に基づく領収書画像とを比較しながら、同じような過ちを起こさないように注意して入力するよう補助することができる。
【0045】
指導データ画面51,53,55は、検索された指導データに関する情報を表示する。なお、この例では、別ウィンドウとして表示されるものとして説明したが、取引入力画面と同じ画面上に表示させてもよい。また、この例では、1つの指導データが表示されるものとして説明しているが、複数の指導データが検索された場合には、複数の指導データを表示させてもよい。その場合には、例えば、複数の指導データを一覧にして表示させてもよいし、直近の指導データから順番に表示させるようにしてもよい。
【0046】
指導データ画面51,53,55に表示される指導内容は、元の入力形態(例えば、単式簿記を用いたか、複式簿記を用いたか等)に対応した内容になっている。よって、端末7は、顧問先のユーザがより分かりやすい態様で、指導内容を出力できる。
なお、指導データ画面51,53,55の取引リンクを選択すると、制御部70は、指導データ記憶部82を参照して、変更前後の取引データを対比して表示する。よって、顧問先のユーザは、過去の取引データの内容を参照することで、正しい入力が行えるようにできる。
また、指導データ画面51,53,55の指導メモには、指導メモが直接出力されているが、指導メモリンクとし、リンクを選択することで指導メモの内容を表示させるようにしてもよい。
【0047】
図5に戻り、S25において、制御部70は、顧問先のユーザによって修正がされたか否かを判断する。制御部70は、指導データを表示した後に、取引データの修正を受け付けた場合には、顧問先のユーザによって修正がされたと判断する。つまり、顧問先のユーザが、指導データを参照することによって、修正が必要であると判断した場合には、取引データが修正されることになる。修正がされた場合(S25:YES)には、制御部70は、処理をS22に移す。他方、修正がされなかった場合(S25:NO)には、制御部70は、本処理を終了し、処理を
図4に移す。
なお、顧問先のユーザによって指導メモを参照して修正を行った場合、及び、修正を行わなかった場合を含めて、制御部70は、履歴情報として記録し、指導メモの参照情報(どれだけ役に立ったかを示す情報)として活用することができる。
【0048】
このように、顧問先では、取引入力処理において、様々な形態での入力ができるので、顧問先のユーザニーズにあった画面を用いて、取引の入力ができる。そして、取引を入力した際に、過去にその顧問先で似たような取引入力をして、それが間違っていた場合や、間違いやすいものである場合には、過去の取引入力に関する指導データを出力するので、ユーザは、指導データを参照しながら、正しい入力をしたり、間違いやすいものの確認をしたりすることができる。
【0049】
次に、会計処理装置1における指導データ生成処理について説明する。
図10は、第1実施形態に係る会計処理装置1での指導データ生成処理のフローチャートである。
図11は、第1実施形態に係る会計処理装置1の取引データテーブル33の例を示す図である。
図12は、第1実施形態に係る会計処理装置1の訂正履歴テーブル34及び指導データテーブル36の例を示す図である。
図13は、第1実施形態に係る会計処理装置1のカテゴリテーブル35の例を示す図である。
図14及び
図15は、第1実施形態に係るカテゴリテーブル35の他の例である。
【0050】
図10のS30において、会計処理装置1の制御部10(指導データ部15)は、入力部45から取引データの変更データを受け付ける。会計事務所のユーザは、取引データテーブル33に記憶された取引データが正しいか否かを監査する。そして、取引データが正しくない場合に、取引データの変更データを入力することで、制御部10は、変更データを受け付ける。
S31において、制御部10(取引変更部16)は、変更データに基づいて、取引データを変更する。
なお、S31の取引データの変更は、あくまで一例であって、必須の処理ではない。例えば、取引データを変更(訂正)せずに、指導メモを入力することもできる。具体的には、摘要の情報が不足すること等により会計基準や税法上の取り扱いが変わる可能性がある等の指摘事項を入力して、顧問先のユーザに対して追加の情報を求めたり、再度の見直しを促すような場合である。
【0051】
図11は、取引データテーブル33の例を示す。
図11では、取引データの変更内容に関する説明をするために、
図11(A)を訂正前(変更前)とし、
図11(B)を訂正後(変更後)としている。
レコード(#11)は、端末7から受信した取引データ(変更前取引データ)である。レコード(#11)は、現金での売り上げであるのに、借方科目コードが現金ではないコードが入力されている状態になっている。そこで、会計事務所のユーザは、レコード(#21)に示すように、借方科目コードを、現金を示すコードに変更する変更データを入力することで、制御部10は、取引データテーブル33を更新する。
また、レコード(#12)は、摘要に「売上」と記載されているのみである。そこで、会計事務所のユーザは、レコード(#22)に示すように、摘要を「A商店へ売上」と入力し、売り上げた取引先を記載する変更データを入力することで、制御部10は、取引データテーブル33を更新する。
【0052】
図10に戻り、S32において、制御部10(履歴生成部17)は、変更履歴データを生成し、記憶部30の訂正履歴テーブル34に、変更履歴データを記憶させる。
図12(A)は、訂正履歴テーブル34の例を示す。制御部10は、訂正前の取引データのうち、「顧問先ID」から「摘要」までの値をコピーして、変更履歴データを生成する。なお、更新IDは、更新単位を示す識別情報である。また、訂正日付は、会計処理装置1に変更データが反映された日時である。
【0053】
図10に戻り、S33において、制御部10(カテゴリ付与部18)は、カテゴリテーブル35を参照して、指導カテゴリデータを付与する。制御部10は、例えば、変更前の科目と、変更後の科目とによって付与する指導カテゴリデータを決定できる。
図13は、カテゴリテーブル35の例を示す。このカテゴリテーブル35は、出納帳入力(
図6参照)、及び、売掛帳や買掛帳又は仕訳帳その他の取引入力アプリ(帳簿入力アプリ)(図示せず)により取引データを入力した場合に用いられるものである。なお、質問式伝票入力(
図7)や、レシート参照入力(
図8)の場合であっても、制御部10は、変更前の科目と変更後の科目とによって、付与する指導カテゴリデータを決定できる。そのため、各形式にあったカテゴリテーブル35を記憶部30に記憶した上で、制御部10は、指導カテゴリデータを付与できる。
【0054】
図13には、変更前の科目と、指導メモ種別情報との関係を示すカテゴリテーブル35を例に説明した。ここで、指導メモの種別情報は、変更前の科目がどのような科目に変更されることが多いかを考慮して類型化している。そのため、カテゴリテーブル35は、変更前の科目に加えて変更後の科目の項目を追加して、変更の前後と指導メモ種別情報とを対応付けるテーブルとしてもよい。
また、カテゴリテーブル35は、変更後の取引データがない場合、すなわち、取引データを変更(訂正)することまではしないが、変更の可能性を示唆して、追加の情報や再確認を求めるような場合にも、利用することができる。その場合、例えば、「変更前の科目」を「指摘対象の科目」と読み替えることで対応できる。
以上の点は、後述の
図14でも同様であり、変更前の内容により類型化したカテゴリテーブル35、あるいは、変更前の内容と変更後の内容とを加味して類型化したカテゴリテーブル35の両方を意味するものとする。
【0055】
ここで、制御部10が行う指導カテゴリデータの付与について、より詳細に説明する。
制御部10は、変更前後の取引データのうち、貸方科目、借方科目、摘要を比較する。そして、制御部10は、貸方科目、借方科目が逆になっておらず、かつ、一方の科目だけが変更されている場合に、変更した部分の科目情報に基づいて、指導メモ種別選択(指導カテゴリデータの選択)を行う。
例えば、変更前の借方科目が「交際費」で、変更後の借方科目が「会議費」の場合には、指導メモ種別情報として、「販売費及び一般管理費」が付与される。また、例えば、変更前の借方科目が「会議費」で、変更後の借方科目が「交際費」の場合にも、指導メモ種別情報として、「販売費及び一般管理費」が付与される。これらの変更は、一人当たりの上限金額の関係で行われる。
【0056】
また、この例では、制御部10が指導カテゴリデータを付与するものとして説明した。しかし、会計事務所のユーザが、カテゴリテーブル35を利用した指導カテゴリの選択画面表示(図示せず)を参照しながら、指導カテゴリデータを選択することで付与してもよい。会計事務所のユーザが入力する場合のカテゴリテーブル35の他の例を、
図14及び
図15に示す。
図14(A)は、複式簿記で用いるカテゴリテーブル35aである。
図14(B)は、単式簿記で用いるカテゴリテーブル35bである。
図14(C)は、重要度を表すカテゴリテーブル35cである。
図14(D)は、顧問先でチェックが必要であるか否かを表すカテゴリテーブル35dである。
図14(E)は、帳簿に関するカテゴリテーブル35eである。
なお、カテゴリテーブル35は、上記に限定されるものではない。
【0057】
また、
図14(A)から
図14(E)までは、
図14(A)及び
図14(B)の組み合わせを除いて、複数のカテゴリテーブル35を組み合わせることが可能である。
例えば、
図15(A)は、
図14(A)と
図14(E)とを組み合わせたものである。会計事務所のユーザが、
図14(A)のカテゴリテーブル35aから指導カテゴリデータ35a1を選択することで、制御部10は、
図14(E)のカテゴリテーブル35eを出力する。
また、
図15(B)は、
図14(A)と、質問式入力に対応したカテゴリテーブル35fとを組み合わせたものである。会計事務所のユーザが
図14(A)のカテゴリテーブル35aから指導カテゴリデータ35a3を選択することで、制御部10は、質問式入力に対応したカテゴリテーブル35fを出力する。
なお、質問式入力の質問式入力部52bの各質問フォームの内容と、カテゴリテーブル35fとを1対1に対応付けてもよいし、複数の質問フォームを1つのカテゴリ項目に対応する多数対1に対応付けするように設定してもよい。
【0058】
さらに、カテゴリテーブル35aやカテゴリテーブル35bを用いて、制御部10が指導カテゴリデータを付与してもよい。
例えば、カテゴリテーブル35aを用いて指導カテゴリデータ「貸借関係の誤り」を付与する場合とは、変更前後の取引データを比較して、貸方科目と、借方科目とが逆になっている場合が該当する。
また、例えば、カテゴリテーブル35aを用いて指導カテゴリデータ「科目名の誤り」を付与する場合とは、変更前後の取引データを比較して、貸方科目と、借方科目とが逆になっておらず、かつ、一方の科目又は両方の科目が変更された場合が該当する。
さらに、例えば、カテゴリテーブル35bを用いて指導カテゴリデータ「相手科目が誤り」や「自科目が誤り」を付与する場合とは、変更前後の取引データを比較して、貸方科目と、借方科目とが逆になっておらず、かつ、一方の科目が変更された場合に該当し、変更データに基づいて行う。
また、例えば、カテゴリテーブル35bを用いて指導カテゴリデータ「課税区分が誤り」や「税区分が誤り」を付与する場合は、変更データに基づいて行うことができる。
【0059】
図10に戻り、S34において、制御部10は、指導メモの入力を受け付ける。指導メモは、会計事務所のユーザが手入力にて行うことができる。指導メモは、全て手入力で行ってもよいし、指導メモの内容が記載されたテンプレート(図示せず)を選択することで行ってもよい。
会計事務所で指導メモを入力する場合について、例を示して説明する。
例えば、借方が「接待費」であり、貸方が「現金」であって、金額が「2万円」で、摘要に「打合せで飲食」である取引データを入力した場合を例に説明する。この場合、人数の情報や、飲食した日付等が摘要にあれば、条件によっては、借方科目を「接待費」ではなく、「会議費(損金)」に変更することができる。例えば、人数が7人であれば、一人当たり3千円未満であるので、「会議費(損金)」として認められる。この場合に、借方科目は、人数の情報に左右されるものであり、その人数の情報が不足しているので、勘定科目(取引データ)を変更せずに、指導メモ「人数の情報が不足です」等を付すことができる。
【0060】
S35において、制御部10(指導データ生成部19、指導データ蓄積部20)は、指導データを生成して、指導データテーブル36に記憶させる。その後、制御部10は、本処理を終了し、処理を
図4に移す。
図12(B)は、指導データテーブル36の例を示す。
指導データテーブル36は、S33及びS34の処理で付与及び入力された指導カテゴリデータ及び指導メモが、指導メモIDに対応付けられたテーブルである。指導メモIDは、取引データテーブル33に関連付けるための識別情報である。
【0061】
次に、会計処理装置1で行う指導レポートデータの生成について説明する。
図16は、第1実施形態に係る会計処理装置1での指導レポート生成処理のフローチャートである。
図17は、第1実施形態に係る指導レポート60の例を示す図である。
図16のS40において、会計処理装置1の制御部10(指導レポート部21)は、指導データテーブル36に記憶されている指導データを抽出する。
指導データの抽出条件は、適宜設定できる。制御部10は、例えば、顧問先が同一の指導データを抽出してもよいし、顧問先テーブル32を参照して、顧問先が同業種の指導データを抽出してもよい。また、制御部10は、処理月の指導データを抽出してもよいし、過去数か月や数年分の指導データを抽出してもよい。
【0062】
S41において、制御部10(指導レポート生成部22)は、抽出した指導データを、指導カテゴリデータごとに分析する。制御部10は、例えば、抽出した指導データの指導カテゴリデータごとに件数を算出する。
S42において、制御部10(指導レポート生成部22)は、指導レポートデータを生成する。指導レポートデータは、
図17に示す指導レポート60のデータである。
【0063】
図17に示すように、指導レポート60は、例えば、概要部60aと、グラフ部60bと、一覧部60cとから構成されている。
概要部60aは、指導データの分析結果を出力する領域である。
グラフ部60bは、分析結果を、視覚的に表したグラフを出力する領域である。
一覧部60cは、指導データを一覧表示する領域である。一覧部60cは、指導メモリンク、取引リンク、アプリリンク、レシート画像リンクといった各種データへのリンクが設けられている。
【0064】
指導メモリンクが選択されることで、制御部10は、指導データテーブル36に記憶された指導メモを、別ウィンドウに表示させる。
また、取引リンクが選択されることで、制御部10は、取引データテーブル33と、訂正履歴テーブル34とに基づいて、変更前後の取引データを、別ウィンドウに表示させる。
さらに、アプリリンクが選択されることで、制御部10は、取引データテーブル33に関連付けられたアプリの画面を、別ウィンドウに表示させる。
また、レシート画像リンクが選択されることで、制御部10は、取引データテーブル33に記憶されたレシート画像リンク先のレシート画像を、別ウィンドウに表示させる。
なお、制御部10は、変更前後の取引データやアプリの画面、レシート画像を、同一ウィンドウ上に表示するようにしてもよい。
【0065】
また、
図17に示した指導レポート60は、一例である。例えば、質問式伝票入力(
図7)を用いた場合には、指導レポート60の一覧部60cは、指導メモのカテゴリを示す情報として付与又は入力した指導カテゴリの種別情報としての「種別1〜3」に代えて、指導メモに関連付けられた個々の取引データから抽出した「摘要」や「科目」を出力するようにしてもよい。
例えば、
図6(B)及び
図8(B)等の例では、種別3には「科目」が用いられ、
図7(B)では、種別3に代えて「摘要」が用いられる例を示している。
また、指導レポート60の一覧部60cには、各種のリンクが設定されているが、リンクに限定されるものではなく、直接内容を表示させてもよい。
例えば、指導レポート60を画面出力する場合には、上述のようなリンク形式でもよいが、紙に出力する場合やPDF形式等の電子データにした場合は、リンク形式ではなく、リンク部分に、データをそのまま出力するようにしてもよい。
【0066】
<会計処理装置1の連携処理:指導レポートを利用した顧問先の取引入力(記帳)指導>
次に、指導レポートを利用した顧問先の取引入力(記帳)指導について説明する。
当該月の指導レポートには、その月次の取引の入力に際しての変更内容や指摘事項に関する指導メモの一覧や、集計情報が記載されている。
指導メモの一覧では、個々の指導メモに関する取引データ(変更前及び変更後)が、指導レポートが紙媒体の場合には、上下2段等で印刷されたり、PDFや電子データの場合には、リンク形式で確認可能である。
また、どのような種類の間違いや指摘事項であったかの区別も、指導カテゴリの種別等により一目で確認可能なので、入力者の間違いの傾向を把握しながら、効率的に取引入力に関する指導を行うことができる。
【0067】
<会計処理装置1の連携処理:指導レポートを利用した顧問先の報酬管理>
図16に戻り、S43において、制御部10は、指導レポートデータに基づいて、報酬額を算出する。ここでの報酬額とは、会計処理装置1を使用する会計事務所で、取引データを監査し、必要に応じて変更する業務や、財務諸表を活用した経営相談に関する報酬額をいう。このうち、取引データの監査や変更に係る報酬額は、仕訳数や資本金等に応じた企業の複雑さや分量に応じた基本料金の区分で算出される例もあるが、本実施形態における例では、変更した数に応じた額を仮に算出して付加価値的な報酬額として提示することとする。
これにより、基本料金に加算される報酬額として請求することもできるし、変更や指摘の分量や専門的なアドバイスを指導カテゴリに沿って体系的に整理して提示すること等により、どれだけ役に立っているかを示す指標として、監査や変更に係る報酬額の基本料金の妥当性を合理的に説明することに役立てることも可能となる。
S44において、制御部10は、会計処理装置1で実行可能な業務用アプリ31cのうちの1つである報酬管理に関する業務用アプリ31cに対して、算出した報酬額を提供する。その後、制御部10は、本処理を終了し、処理を
図4に移す。
【0068】
<会計処理装置1の連携処理:その他の一般的な例>
以上、所定のアプリである指導レポート生成アプリが、生成した指導レポート自体を利用して顧問先の記帳指導を行う例や、報酬管理に関する業務用アプリ31cと連携して報酬額の算定を行う例を示したが、次に、会計処理装置1でのその他のアプリ全般を含めた連携処理について説明する。
図18は、第1実施形態に係る会計処理装置1での連携処理のフローチャートである。
この処理は、会計処理装置1で業務用アプリ31cを実行が選択されたときの処理である。
S60において、会計処理装置1の制御部10は、選択された業務用アプリ31cを起動させる。
S61において、制御部10(アプリ連携部25)は、業務用アプリ31cの指示にしたがって、会計事務所のユーザにより入力されたデータを受け付ける。
【0069】
S62において、制御部10(指導データ呼出部26)は、指導データテーブル36に受け付けたデータに関連する指導データがあるか否かを判断する。受け付けたデータに関連する指導データがある場合(S62:YES)には、制御部10は、処理をS63に移す。他方、受け付けたデータに関連する指導データがない場合(S62:NO)には、制御部10は、本処理を終了する。
S63において、制御部10(指導データ呼出部26)は、指導データテーブル36から該当の指導データを呼び出す。
S64において、制御部10は、呼び出した指導データを、表示部46に出力させる。その後、制御部10は、本処理を終了する。
このように、指導データは、各種の業務用アプリ31cと連携することができる。よって、指導データを、様々な業務で活用できる。
【0070】
このように、第1実施形態の会計処理システム100によれば、以下のような効果がある。
(1)会計処理装置1では、取引データを変更した後に、指導データを生成する。指導データは、カテゴリテーブル35から指導カテゴリデータを選択して付与することで生成できるため、会計事務所のユーザによる入力負担が軽減できる。
また、会計処理装置1は、変更前後の取引データの内容から指導カテゴリデータを自動的に付与することができるので、会計事務所のユーザによる入力負担を、さらに軽減できる。
(2)指導カテゴリデータは、各種の取引入力の態様に合わせて用意するので、顧問先のユーザに指導データを表示させた場合であっても、内容が理解しやすいものにできる。
(3)会計処理装置1で生成した指導データは、顧問先での取引入力の際に出力されるので、顧問先のユーザに対して過去の誤りから正しい入力を促すことができ、簡単に入力支援を行うことができる。また、顧問先での入力の効率化に寄与しうる。
【0071】
(4)会計処理装置1は、指導データを集約した指導レポート60を生成する。指導レポート60は、顧問先での取引入力の誤りの傾向が指導カテゴリの種別に沿って体系に集約されたものであるので、取引データに関する変更内容を、顧問先で分かりやすく、かつ、見やすいものにできる。そして、指導レポート60は、効率的な記帳指導を行うことに貢献すると共に、次回の取引入力の精度を効果的に向上させることができる。また、指導レポート60は、会計事務所が顧問先に対して指導する際に活用できるので、会計事務所が顧問先に対する指導のツールとして、適したものになりうる。
(5)会計処理装置1は、様々な業務用アプリ31cと連携できる。そのため、指導データや指導レポート60を、様々な業務で活用できる。
【0072】
(第2実施形態)
第2実施形態では、端末での入力支援処理を、会計処理装置のプログラムによって行うものを説明する。なお、以降の説明において、上述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0073】
会計処理システム200は、会計処理装置201と、顧問先の端末(第1実施形態の端末7に相当)とを備える。
【0074】
<顧問先の端末>
顧問先の端末は、図示していないが、制御部、記憶部、入力部、表示部、通信インタフェース部を備えた一般的なコンピュータである。
<会計処理装置201>
図19は、第2実施形態に係る会計処理装置201の機能ブロックを示す図である。
会計処理装置201は、制御部210と、記憶部230と、入力部45と、表示部46と、通信インタフェース部49とを備える。
制御部210は、取引受付部211と、指導データ部15と、指導レポート部221と、アプリ連携部25とを備える。
【0075】
取引受付部211は、顧問先の端末との取引データに関するインタフェースを行う制御部である。
取引受付部211は、入力受付部212(取引入力受付手段)と、指導データ抽出部213(指導データ抽出手段)と、支援出力部214(取引入力支援手段)とを備える。
入力受付部212は、顧問先の端末から取引データを受け付ける。
指導データ抽出部213は、取引データの内容に対応する指導データを、指導データテーブル36から抽出する。
支援出力部214は、抽出した一以上の指導データを、顧問先の端末に対して出力する。
指導レポート部221は、指導レポート生成部22と、指導レポート送信部223とを備える。
指導レポート送信部223は、生成した指導レポートデータを、顧問先の端末に対して出力する。
【0076】
記憶部230は、プログラム記憶部231と、顧問先テーブル32と、取引データテーブル33と、訂正履歴テーブル34と、カテゴリテーブル35と、指導データテーブル36と、指導レポートテーブル37とを備える。
プログラム記憶部231は、取引入力支援アプリ231dと、指導データ生成アプリ31aと、指導レポート生成アプリ31bと、業務用アプリ31cとを記憶している。
取引入力支援アプリ231dは、上述した制御部210の取引受付部211が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムである。
【0077】
<会計処理システム200の取引支援処理>
次に、会計処理システム200による処理について説明する。
図20は、第2実施形態に係る会計処理装置201での取引支援処理のフローチャートである。
図21は、第2実施形態における会計処理システム200での取引入力支援処理のフローチャートである。
図20のS210において、会計処理装置201の制御部210は、取引入力支援処理を行う。
【0078】
ここで、取引入力支援処理について、
図21に基づき説明する。
図21のS220において、会計処理装置201の制御部210(取引受付部211)は、取引入力画面を、顧問先の端末に対して送信する。取引入力画面は、例えば、
図6から
図8までのいずれかの画面である。
S221において、顧問先の端末の制御部は、取引入力画面を受信する。
S222において、顧問先の端末の制御部は、取引に関する入力を、会計処理装置201に対して送信する。なお、取引に関する入力を行う際に、
図6〜
図8に記載した入力補助画面を提示して行うことができる点は、上述と同様である。
S223において、会計処理装置201の制御部210(入力受付部212)は、取引に関する入力を受け付ける。なお、入力については、直接入力でもよいし、辞書等の入力補助機能を使用した入力でもよい。
【0079】
S224において、制御部210(指導データ抽出部213)は、指導データテーブル36を参照して、受信した入力に関する指導データを検索する。
S225において、制御部210(指導データ抽出部213)は、検索ができたか否かを判断する。検索ができた場合(S225:YES)、つまり、指導データテーブル36のレコードが抽出できた場合には、制御部210は、処理をS226に移す。他方、検索ができなかった場合(S225:NO)には、制御部210は、本処理を終了する。制御部210は、検索対象を、顧問先のものとしてもよいし、顧問先と同業種の顧問先を含めてもよい。
なお、制御部210は、検索ができなかった場合に、入力に対応した指導データがない旨を、顧問先の端末に対して送信してもよい。
また、本実施例では、入力データを検索対象としているが、入力項目と指導データを関連付けすることで、入力対象となっている入力項目に関する指導データを検索してもよい。
【0080】
S226において、制御部210(支援出力部214)は、検索された指導データを、顧問先の端末に送信する。その後、制御部210は、本処理を終了し、処理を
図20に移す。
S227において、顧問先の端末の制御部は、指導データを受信して表示する。その後、顧問先の端末の制御部は、本処理を終了する。
【0081】
図20に戻り、S211において、会計処理装置201の制御部210(入力受付部212)は、取引データを受け付ける。
S212及びS213は、第1実施形態(
図4)と同様である。
S214において、会計処理装置201の制御部210(指導レポート送信部223)は、生成した指導レポートデータを、顧問先の端末に対して出力する。その後、制御部210は、本処理を終了する。
【0082】
このように、第2実施形態の会計処理システム200によれば、以下のような効果がある。
会計処理装置201では、顧問先の端末に対する処理をも実行する。よって、顧問先の端末は、特別なプログラムを有することがなくても、取引支援処理を行うことができる。
また、顧問先の端末に指導データ等を有する必要がないため、会計処理装置201に記憶されている様々なデータを活用できる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0084】
(変形形態)
(1)実施形態では、会計処理装置は、会計事務所内に有するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、会計処理装置は、顧問先企業内にあったり、業務委託等のサービスを行っている企業内であったり、クラウドサービスであってもよい。また、例えば、会計処理装置のアプリを開発している企業に会計処理装置の機能を有するサーバを設け、このサーバに会計事務所のコンピュータが接続されることで実現してもよい。
つまり、会計事務所のユーザは、例えば、本店経理部門の専任者や、会計事務所の税理士等であってもよい。その場合には、顧問先のユーザは、それぞれ、各支店や各部門の入力担当者や、会計事務所の職員又は在宅入力者であってもよい。
(2)実施形態では、指導データや、指導レポートを、会計事務所が顧問先の指導や入力支援に用いるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、各支店や各部門の入力担当者が入力する際に指導データを提供することで、入力支援をし、本店経理部門の専任者が取引データを変更することで、指導データや指導レポートを作成してもよい。また、例えば、会計事務所内において、事務所の所員が入力する際に指導データを提供することで、入力支援をし、事務所の先生(税理士、公認会計士)が取引データを変更することで、指導データや指導レポートを作成してもよい。その場合、指導データは、各支店や各部門の入力担当者のIDや、事務所の所員のIDに対応付けて記憶されることになる。