(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作動流体加熱器、圧縮器、作動流体冷却器および膨張デバイスを含んでなるヒートポンプ装置であって、E−HFO−1336mzzからなる作動流体を含有し、ヒートポンプが高温ヒートポンプであり、かつ作動流体冷却器が約50℃より高い温度で動作する装置。
作動流体として、CFC−12、CFC−114、HCFC−124、HCFC−22、HFC−134a、HFC−236fa、HFC−245fa、炭化水素、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234ze、HFO−1243zf、またはHFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234zeもしくはHFO−1243zfを含有するブレンドのために設計されたヒートポンプまたはチラーにおいて、前記作動流体を置き換えるための方法であって、E−HFO−1336mzzからなる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなり、前記ヒートポンプまたはチラーが、約50℃より高い作動流体冷却器の動作温度を有する高温ヒートポンプである方法。
HCFC−22作動流体のために設計されたヒートポンプまたはチラーにおいて、HCFC−22作動流体を置き換える方法であって、E−HFO−1336mzzからなる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなり、前記ヒートポンプまたはチラーの作動流体冷却器の動作温度が約50℃より高い方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に記載する実施形態の細部を説明する前に、いくつかの用語を定義するか、または明らかにする。
【0016】
地球温暖化係数(GWP)は、キログラムでの二酸化炭素の放出と比較して、キログラムでの特定の温室効果ガスの大気放出による相対的な地球温暖化に対する寄与を推定するための指数である。GWPは、所与のガスに関する大気寿命の効果を示す異なる計画対象期間に関して算出することができる。100年の計画対象期間に関するGWPは、一般に引用される値である。
【0017】
オゾン層破壊係数(ODP)は、「The Scientific Assessment of Ozone Depletion,2002,A report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project」のセクション1.4.4、1.28〜1.31ページに定義される(このセクションの第1段落を参照のこと)。ODPは、質量基準でフルオロトリクロロメタン(CFC−11)と比較して、化合物から予想される成層圏におけるオゾン層破壊の範囲を表す。
【0018】
冷凍能力(冷却能力と呼ばれることもある)は、循環した冷却剤の単位質量あたりの蒸発器中の冷却剤のエンタルピーの変化を定義する用語である。体積冷却能力は、蒸発器を出る冷却剤蒸気の単位体積あたりの、蒸発器において冷却剤によって除去される熱の量を指す。冷凍能力は、冷却を生じる冷却剤または熱伝達組成物の能力の尺度である。冷却速度は、単位時間あたり蒸発器において冷却剤によって除去される熱を指す。
【0019】
動作係数(COP)は、圧縮器を動作するために必要とされるエネルギーによって割られる、蒸発器において除去される熱量である。COPが高いほど、エネルギー効率が高い。COPは、エネルギー効率比(EER)、すなわち、内外温度の特定の組における冷却または空気調節装置のための効率評価と直接関連する。
【0020】
本明細書で使用される場合、熱伝達媒体は、熱供給源から(例えば、冷却される物体から)ヒートポンプ作動流体加熱器(例えば、蒸発器)に、またはヒートポンプ作動流体冷却器(例えば、凝縮器または超臨界作動流体冷却器)から加熱される物体に熱を伝達するために使用される組成物を含んでなる。
【0021】
本明細書で使用される場合、作動流体は、作動流体が、繰り返しサイクルで、液体から蒸気に、かつ液体に相変化を受けるサイクルにおいて熱を伝達するために機能する化合物または化合物の混合物を含んでなる。
【0022】
過冷却は、所与の圧力に関して、その液体の飽和点未満の液体の温度の低下である。飽和点は、蒸気組成物が液体に完全に凝縮される温度である(沸点とも呼ばれる)。しかし、過冷却は、所与の圧力において、より低温の液体まで液体を冷却し続ける。過冷却量は、飽和温度未満の冷却の量(度)、または飽和温度よりどの程度低く液体組成物が冷却されるかという量である。
【0023】
過熱は、その飽和蒸気温度(組成物が冷却される場合、液体の第1の液滴が形成される温度であり、「露点」とも呼ばれる)よりどの程度高く蒸気組成物が加熱されるかを定義する用語である。
【0024】
温度グライド(単に「グライド」と記載されることもある)は、いずれかの過冷却または過熱を除く、冷却システムのコンポーネントの範囲内の冷却剤による相変化プロセスの開始および終了温度間の差異の絶対値である。この用語は、近共沸または非共沸組成物の凝縮または蒸発を説明するために使用されてもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、熱交換器は、熱が伝達されるヒートポンプ装置の構成要素である。熱交換器は、熱が作動流体から熱伝達媒体または快適暖房のための空気または加熱される物体に伝達される作動流体冷却器でもよい。作動流体が冷却の間に凝縮される場合、作動流体冷却器は凝縮器である。熱交換器は、熱が作動流体に伝達される作動流体加熱器でもよい。作動流体が加熱の間に蒸発される場合、作動流体加熱器は蒸発器である。
【0026】
本明細書に使用される場合、「含んでなる」、「含んでなっている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」という用語、またはそれらの他のいずれの変形も、非排除的包含を包括するように意図される。例えば、要素のリストを含んでなる組成物、プロセス、方法、物品または装置はそれらの要素のみに必ず限定されるのではなく、明白に記載されていないか、またはかかる組成物、プロセス、方法、物品もしくは装置に固有である他の要素を含んでもよい。さらに、それとは反対の記載が明白にされない限り、「あるいは、または、もしくは」は包含的論理和を指し、排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在する)、かつBが偽である(または存在しない)。Aが偽であり(または存在しない)、かつBが真である(または存在する)。ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0027】
移行句「からなる」は、特定されていないいずれかの要素、工程または成分を除外する。そのような句は、請求項にある場合、通常それに関連する不純物を除き、列挙されるもの以外の材料の包含に対して請求項を閉鎖するであろう。「からなる」という句が、プリアンブルの直後に続くのではなく請求項の本文の節に見られる場合、それは、その節で明かにされる要素のみを限定し、他の要素は、全体として請求項から除外されない。
【0028】
移行句「から本質的になる」は、文字通りに開示されるものに加えて、材料、工程、特徴、成分または要素を含む組成物または方法を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加の材料、工程、特徴、成分または要素は、請求される本発明の基本的にも新規特徴に物質的にも影響を及ぼさない。「から本質的になる」という用語は、「含んでなる」と「からなる」との中間を占有する。
【0029】
出願人らが、「含んでなる」などの制限のない用語によって本発明またはそれらの一部分を定義する場合、(特に明記されない限り)その記載は、「から本質的になる」または「からなる」という用語を使用するかかる発明を記載するようにも解釈されなければならないことは容易に理解されなければならない。
【0030】
また「a」または「an」の使用は、本発明の要素および成分を記載するために使用される。これは便宜上、および本発明の一般的な意味を与えるためのみである。この記述は1つ、または少なくとも1つを含むように解釈されなければならず、それが別の意味を有することが明らかでない限り、単数は複数も含む。
【0031】
他に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術の当業者によって理解されるものと一般に同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと同等の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。特定の一節が引用されない限り、本明細書にあげられる全ての刊行物、特許出願、特許および他の参照文献は、それらの全体において参照によって組み込まれる。不一致の場合には、定義を含む本明細書が優先される。加えて、材料、方法および実施例は、実例のみであり、限定するように意図されない。
【0032】
E−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(E−HFO−1336mzzまたはtrans−HFO−1336mzzとしても知られており、かつ構造E−CF
3CH=CHCF
3を有する)は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0012335A1号明細書に記載される2,3−ジクロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの水素化脱塩素反応などの当該技術において既知の方法によって製造されてもよい。
【0033】
ヒートポンプ法
本発明に従って、ヒートポンプにおいて熱を発生する方法が提供される。この方法は、熱交換器において、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体から熱を引き出し、それによって、冷却された作動流体を発生する工程を含んでなる。この方法において、熱交換器は、作動流体冷却器および作動流体凝縮器からなる群から選択される。
【0034】
ヒートポンプにおいて熱を発生する方法の一実施形態において、ヒートポンプは、熱が作動流体から引き出される熱交換器(作動流体冷却器または作動流体凝縮器)が約50℃より高い温度で動作される高温ヒートポンプである。別の実施形態において、熱が作動流体から引き出される熱交換器は、約75℃より高い温度で動作される。別の実施形態において、熱が作動流体から引き出される熱交換器は、約100℃より高い温度で動作される。
【0035】
この方法のある種の実施形態において、熱交換器は凝縮器である。したがって、凝縮器において、E−HFO−1336mzzを含んでなる蒸気作動流体を凝縮し、それによって、液体作動流体を発生する工程を含んでなる、ヒートポンプにおいて熱を発生する方法が提供される。注目すべきは、E−HFO−1336mzzから本質的になる蒸気作動流体が凝縮される方法である。この従来のサイクルにおいて、作動流体圧力は、全サイクルを通して、作動流体の臨界圧力未満に保持される。
【0036】
熱を発生するための本方法において特に有用であるものは、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体である。注目すべきは、E−HFO−1336mzzから本質的になる作動流体である。また注目すべきは、E−HFO−1336mzzからなる作動流体である。
【0037】
さらに、別の実施形態において、低GWP作動流体が望ましい。注目すべきは、本発明の方法で有用である、150未満のGWPを有するE−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体である。また注目すべきは、本発明の方法で有用である、500未満のGWPを有するE−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体である。また注目すべきは、本発明の方法で有用である、1000未満のGWPを有するE−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体である。また注目すべきは、本発明の方法で有用である、2000未満のGWPを有するE−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体である。
【0038】
熱を発生する方法は、第1の熱伝達媒体を熱交換器に通過させて、それによって、作動流体からの熱の上記抽出が第1の熱伝達媒体を加熱する工程と、熱交換器からの加熱された第1の熱伝達媒体を加熱される物体まで通過させる工程とをさらに含んでなってもよい。
【0039】
ヒートポンプで熱を発生するための方法において、加熱される物体は、加熱されてもよいいずれかの空間、対象、プロセス流または流体でもよい。一実施形態において、加熱される物体は、自動車車内、建築またはパッセンジャーコンパートメントでもよい。あるいは、別の実施形態において、加熱される物体は、第2のループ流体、熱伝達媒体または熱伝達流体でもよい。
【0040】
一実施形態において、第1の熱伝達媒体は水であり、かつ加熱される物体は水である。別の実施形態において、第1の熱伝達媒体は水であり、かつ加熱される物体は暖房のための空気である。別の実施形態において、第1の熱伝達媒体は工業用の熱伝達液体であり、かつ加熱される物体は化学プロセス流である。別の実施形態において、第1の熱伝達媒体は水であり、かつ加熱される物体は、乾燥または除湿のための空気である。
【0041】
熱を発生するための方法の別の実施形態において、この方法は、冷却された作動流体を膨張させる工程と、加熱器において、膨張された冷却された作動流体を加熱する工程とをさらに含んでなる。冷却された作動流体が、作動流体の臨界圧力未満の圧力まで膨張されるいくつかの実施形態において、加熱器は蒸発器である。したがって、別の実施形態において、熱を発生するための方法は、冷却された作動流体を膨張させる工程と、蒸発器において作動流体を加熱して、したがって、作動流体蒸気を発生する工程とをさらに含んでなる。
【0042】
さらに別の実施形態において、熱を発生するための方法は、動的(例えば、軸流式または遠心式)圧縮器、あるいは容積式(例えば、往復運動、スクリューまたはスクロール)圧縮器において作動流体蒸気を圧縮する工程をさらに含んでなる。圧縮工程は、作動流体の臨界圧力未満またはそれより高い圧力まで作動流体蒸気を圧縮してもよい。圧縮工程が、作動流体の臨界圧力未満の圧力から作動流体の臨界圧力より高い圧力まで作動流体を圧縮する場合、サイクルは遷臨界サイクルと呼ばれてもよい。
【0043】
一実施形態において、加熱される第1の熱伝達媒体を上記熱交換器に通過させ、したがって、第1の熱伝達媒体を加熱する工程をさらに含んでなる、上記熱交換器を含んでなるヒートポンプにおいて熱が発生される。一実施形態において、第1の熱伝達媒体は空気であって、熱交換器から加熱される空間まで通過する。別の実施形態において、第1の熱伝達媒体はプロセス流の一部であって、熱交換器からプロセスまで戻される。
【0044】
いくつかの実施形態において、熱伝達媒体は、水またはグリコール(エチレングリコールまたはプロピレングリコールなど)から選択されてもよい。特に注目すべきは、第2の熱伝達媒体が、冷房のための空気などの冷却される物体から熱を引き出す水である実施形態である。
【0045】
別の実施形態において、熱伝達媒体は工業用の熱伝達液体でもよく、加熱される物体は、蒸留塔などのプロセスラインおよびプロセス装置を含む化学プロセス流である。別の実施形態において、熱伝達媒体は工業用の熱伝達液体でもよく、加熱される物体は、化学反応器、乾燥器、結晶促進器、蒸発器、煮沸器および液体ポンプなどのプロセス装置を含む化学プロセス流である。注目すべきは、イオン液体、塩化カルシウムまたは塩化ナトリウム水溶液などの様々な塩水、プロピレングリコールまたはエチレングリコールなどのグリコール、メタノール、アンモニア、トリクロロエチレン、d−リモネン、塩化メチレン、および2006 ASHRAE Handbook on Refrigerationのセクション4に記載のものなどの他の熱伝達メディアを含む工業用熱伝達液体である。
【0046】
本方法の一実施形態において、作動流体は、作動流体加熱器(または熱交換器)において第2の熱伝達媒体によって加熱され、加熱された作動流体を形成する。第2の熱伝達媒体は、水などの温かい液体であり、低温熱供給源から作動流体加熱器に輸送される。加温された第2の熱伝達媒体は、作動流体加熱器において冷却され、低温熱供給源に戻されるか、または建築などの冷却される物体に通過される。次いで、加熱された作動流体は圧縮器で圧縮され、高圧作動流体を発生する。次いで、高圧作動流体は、作動流体冷却器において、加熱される物体(ヒートシンク)の付近からもたらされる冷却された液体である第1の熱伝達媒体によって冷却される。この方法において、ヒートポンプは家庭用または業務用に水またはプロセス流を加熱するために使用されてもよい。この方法において、ヒートポンプは、地域暖房用に水を加熱するために使用されてもよい。別の実施形態において、ヒートポンプは、約50℃より高い作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度を有する高温ヒートポンプである。さらに別の実施形態において、ヒートポンプは、約75℃より高い作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度を有する高温ヒートポンプである。さらに別の実施形態において、ヒートポンプは、約100℃より高い作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度を有する高温ヒートポンプである。
【0047】
熱を発生するための方法の別の実施形態において、液体作動流体は蒸発器を通過し、そこで、第2の液体熱伝達媒体によって加熱され、したがって、蒸発し、加熱された作動流体蒸気を発生する。第2の液体熱伝達媒体は、作動流体を加熱することによって冷却され、低温熱供給源または冷却される物体まで蒸発器を通過させる。次いで、加熱された作動流体蒸気は圧縮器で圧縮され、高圧作動流体蒸気を発生する。次いで、高圧作動流体蒸気は冷却されて、凝縮器において、加熱される物体(ヒートシンク)の付近からもたらされる冷却された液体である第1の熱伝達媒体によって冷却される。この方法において、ヒートポンプは家庭用または業務用に水またはプロセス流を加熱するために使用されてもよい。この方法において、ヒートポンプは、地域暖房用に水を加熱するために使用されてもよい。別の実施形態において、ヒートポンプは、約50℃より高い凝縮器温度を有する高温ヒートポンプである。さらに別の実施形態において、ヒートポンプは、約75℃より高い作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度を有する高温ヒートポンプである。さらに別の実施形態において、ヒートポンプは、約100℃より高い作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度を有する高温ヒートポンプである。
【0048】
熱を発生するための方法の一実施形態において、ヒートポンプは、動的または容積式圧縮器である圧縮器を含む。動的圧縮器は、軸流式および遠心式圧縮器を含む。容積式圧縮器は、往復運動、スクリューおよびスクロールを含む。
【0049】
作動流体圧力が作動流体臨界圧を越えない上記従来の加熱サイクルは、未臨界加熱サイクルと呼ばれてもよい。未臨界加熱サイクルにおいて、液体作動流体は、蒸発器(熱交換器または作動流体加熱器)において蒸発し、凝縮器(種々の熱交換器または作動流体冷却器)において凝縮され、したがって、サイクルが繰り返しされると、液体および蒸気作動流体の間で繰り返し移行する。
【0050】
遷臨界加熱サイクルにおいて、サイクルに使用される作動流体は、作動流体の臨界圧力未満の圧力で、蒸発器または熱交換器または作動流体加熱器(未臨界サイクルの蒸発器に相当する)で蒸発させることによって、熱を受け取る(または、それが加熱されると言うことができる)。次いで、作動流体蒸気は、作動流体の臨界圧力より高い圧力まで圧縮され、次いで、第2の熱交換器または作動流体冷却器(未臨界サイクルにおいて凝縮器に相当する)において凝縮することなく冷却され、したがって、熱を放出し、冷却された作動流体を発生する。この冷却された作動流体の圧力は、その臨界圧力未満まで低下する。したがって、作動流体圧力は、サイクルのいくつかの部分のみ(全体ではなく)に関して、その臨界圧力を越える。
【0051】
超臨界加熱サイクルは、全サイクルを通して、作動流体の臨界圧力より高い圧力で動作し、以下の工程:作動流体圧縮、冷却、膨張および加熱が関与する。
【0052】
本発明の別の実施形態において、少なくとも2つのカスケード加熱段階の間で熱が交換されるヒートポンプにおいて熱を発生する方法が提供される。この方法は、第1のカスケード加熱段階において、選択された低温で第1の作動流体において熱を吸収する工程と、高作動流体温度で熱を放出する第2のカスケード加熱段階の第2の作動流体へ、この熱を伝達する工程とを含んでなり、第2の作動流体はE−HFO−1336mzzを含んでなる。複数の段階ヒートポンプシステム(またはカスケードヒートポンプシステム)によって、2つ以上のサイクルまたはカスケード段階を通して熱を増大することによって、低温の熱がより高い温度へと上昇することが可能となる。
【0053】
本発明の別の実施形態において、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体で高温ヒートポンプを充填させる工程を含んでなる、高温ヒートポンプ装置において最大実行可能作動流体冷却器(例えば凝縮器)動作温度を上昇させる方法が提供される。高温ヒートポンプは、快適暖房ヒートポンプ(例えば、居住用ヒートポンプ)よりも高い作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度で動作する。最大実行可能動作作動流体冷却器(または凝縮器)温度は、使用される作動流体の特性(例えば、流体化学分解、異性化または他の化学変化の速度が容認できないほど高くなる温度;流体臨界温度;流体飽和圧力対温度曲線)、ならびに既存の装置の特定の制限次第である。
【0054】
ヒートポンプにおいてE−HFO−1336mzzを含んでなる組成物の使用は、低GWP(GWP=32)およびゼロODPの、より環境的に持続可能な作動流体を提供する。
【0055】
一般に利用可能な大積量遠心式ヒートポンプ構成要素は、主要な変更を必要とせず、約2.18MPaまでの最大作動圧力に適合することができる。したがって、約2.18MPaより高い圧力が達成される場合、より高い圧力を取り扱うために装置を変更することが必要であろう。
【0056】
E−HFO−1336mzzは、2.18MPaの凝縮圧力を越えることなく、約118.1℃までの凝縮温度を可能にする。したがって、E−HFO−1336mzzは、一般に利用可能な大型遠心式ヒートポンプで実行可能な圧力(2.18MPa未満)において118℃以上までの凝縮温度を可能にすることができるであろう。したがって、約2.18MPaの凝縮器圧力を越えることなく、E−HFO−1336mzzによって達成可能な凝縮器温度は、CFC−114(1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(GWP=10,000)、約123℃の最大達成可能な凝縮器動作温度を有する)、およびHFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(GWP=1030)、約126℃の最大達成可能な凝縮器動作温度を有する)によって達成可能なものに匹敵する。
【0057】
別の実施形態において、E−HFO−1336mzzの使用は、適切な圧縮器によって、137.7℃のその臨界温度によって制限される118℃より高い温度を可能にする。
【0058】
本発明に従って、高温ヒートポンプ流体(例えば、CFC−114、HFC−245fa、HFC−236fa、HCFC−124、HFC−134a、CFC−12)を、上記高温ヒートポンプ流体のために本来設計されたシステムにおいて、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体と置き換えることが可能である。したがって、CFC−114、HFC−245fa、HFC−236fa、HCFC−124、HFC−134aまたはCFC−12作動流体のために設計された高温ヒートポンプにおいて、上記作動流体を置き換える方法であって、E−HFO−1336mzzを含んでなる置き換え作動流体を提供する方法が提供される。別の実施形態において、この方法は、E−HFO−1336mzzから本質的になる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる。別の実施形態において、この方法は、E−HFO−1336mzzからなる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる。CFC−114、HFC−245fa、HFC−236fa、HCFC−124、HFC−134a、CFC−12作動流体を置き換えるための方法の一実施形態において、上記ヒートポンプは、約50℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである。この方法の別の実施形態において、ヒートポンプは、約75℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである。この方法の別の実施形態において、ヒートポンプは、約100℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである。本発明に従って、HCFC−22(クロロジフルオロメタン)のために本来設計されたシステムにおいて、HCFC−22を、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体によって置き換えることが可能である。したがって、一実施形態において、HCFC−22のために設計された高温ヒートポンプにおいて、HCFC−22作動流体を置き換える方法であって、E−HFO−1336mzzを含んでなる置き換え作動流体を提供する方法が提供される。別の実施形態において、この方法は、E−HFO−1336mzzから本質的になる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる。別の実施形態において、この方法は、E−HFO−1336mzzからなる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる。
【0059】
HCFC−22を置き換えるための方法の別の実施形態において、上記ヒートポンプは、約50℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである。HCFC−22を置き換えるための方法の別の実施形態において、上記ヒートポンプは、約75℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである。HCFC−22を置き換えるための方法のさらに別の実施形態において、上記ヒートポンプは、約100℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである。
【0060】
また本発明に従って、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234zeまたはHFO−1243zfおよび任意選択で1種以上の飽和ヒドロフルオロカーボンまたは炭化水素を含んでなる作動流体のために設計されたヒートポンプまたはチラーにおいて、上記作動流体を置き換える方法が提供される。この方法は、E−HFO−1336mzzを含んでなる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる。別の実施形態において、本方法は、E−HFO−1336mzzから本質的になる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる。別の実施形態において、本方法は、E−HFO−1336mzzからなる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる。
【0061】
HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234zeまたはHFO−1243zfおよび任意選択で1種以上の飽和ヒドロフルオロカーボンまたは炭化水素を含んでなる作動流体のために設計されたヒートポンプまたはチラーにおいて、上記作動流体を置き換える方法の別の実施形態において、上記ヒートポンプは、約50℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである。HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234zeまたはHFO−1243zfおよび任意選択で1種以上の飽和ヒドロフルオロカーボンまたは炭化水素を含んでなる作動流体を置き換える方法の別の実施形態において、上記ヒートポンプは、約75℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである。HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234zeまたはHFO−1243zfおよび任意選択で1種以上の飽和ヒドロフルオロカーボンまたは炭化水素を含んでなる作動流体を置き換える方法のさらに別の実施形態において、上記ヒートポンプは、約100℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである。
【0062】
本方法の一実施形態において、置き換えられる作動流体は、HFC−236fa、HCFC−124、HFC−134aまたはCFC−12であり、かつ最大実行可能凝縮温度は、上記置き換えられた作動流体で達成可能な温度よりも高い温度まで増加してもよい。一実施形態において、HFC−236faをE−HFO−1336mzzによって置き換えることは、2.18MPaの凝縮圧力を越えることなく、約105.5℃から約118.1℃まで実行可能凝縮温度を増加させる。別の実施形態において、HCFC−124をE−HFO−1336mzzによって置き換えることは、2.18MPaの凝縮圧力を越えることなく、約95.5℃から約118.1℃まで実行可能凝縮温度を増加させる。別の実施形態において、HFC−134aをE−HFO−1336mzzによって置き換えることは、2.18MPaの凝縮圧力を越えることなく、約71.2℃から約118.1℃まで実行可能凝縮温度を増加させる。別の実施形態において、HCFC−22をE−HFO−1336mzzによって置き換えることは、2.18MPaの凝縮圧力を越えることなく、約55℃から約118.1℃まで実行可能凝縮温度を増加させる。別の実施形態において、HFO−1234yfをE−HFO−1336mzzによって置き換えることは、2.18MPaの凝縮圧力を越えることなく、約73℃から約118.1℃まで実行可能凝縮温度を増加させる。別の実施形態において、E−HFO−1234zeをE−HFO−1336mzzによって置き換えることは、2.18MPaの凝縮圧力を越えることなく、約84℃から約118.1℃まで実行可能凝縮温度を増加させる。別の実施形態において、HFO−1243zfをE−HFO−1336mzzによって置き換えることは、2.18MPaの凝縮圧力を越えることなく、約79.8℃から約118.1℃まで実行可能凝縮温度を増加させる。CFC−114、HFC−245fa、HFC−236fa、HCFC−124、HFC−134aまたはCFC−12作動流体を置き換えるための方法の一実施形態において、上記作動流体による動作のために設計されたチラーは、E−HFO−1336mzz作動流体によって動作するヒートポンプに変換されてもよい。
【0063】
HCFC−22を置き換えるための方法の一実施形態において、HCFC−22による動作のために設計されたチラーは、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体によって動作するヒートポンプに変換されてもよい。
【0064】
HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234zeまたはHFO−1243zfおよび任意選択で1種以上の飽和ヒドロフルオロカーボンまたは炭化水素を含んでなる作動流体を置き換えるための方法の別の実施形態において、上記作動流体による動作のために設計されたチラーは、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体によって動作するヒートポンプに変換されてもよい。一実施形態において、カスケードヒートポンプシステムにおいて同時に加熱および冷却供給する方法が提供される。本方法は、NH
3、CO
2、N
2O、HFC−32、HFC−125、HFC−143a、HFC−227ea、HFC−227ca、HFC−245cb、HFC−236fa、HFC−236ea、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、HFO−1243zf、E−HFO−1234ye、HFO−1336yf、HFO−1243yf、Z−HFO−1234ze、HCFO−1233xf、HFC−134a、HFC−134、HFC−161、HFC−152a、炭化水素およびそれらの混合物からなる群から選択される作動流体を含有する低温カスケード段階を提供する工程と、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を含有する高温カスケード段階を提供する工程とを含んでなり、上記低温カスケード段階および上記高温カスケード段階は、熱的に接触している。
【0065】
本発明に従って、従来のチラー作動流体を使用するチラーシステム(例えば、HFC−134aまたはHFC−245faを使用するチラー)として本来設計されたシステムにおいて、システムをヒートポンプに変換する目的で、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を使用することも可能である。例えば、この目的を達成するために、既存のチラーシステムにおいて、従来のチラー作動流体を、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体によって置き換えることができる。
【0066】
本発明に従って、HFO(例えば、HFO−1234yfまたはE−HFO−1234ze)を含有するチラー作動流体を使用するチラーシステムとして本来設計されたシステムにおいて、システムをヒートポンプに変換する目的で、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を使用することも可能である。例えば、この目的を達成するために、既存のチラーシステムにおいて、HFOを含有するチラー作動流体を、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体によって置き換えることができる。
【0067】
本発明に従って、従来の快適暖房ヒートポンプ作動流体を使用する快適暖房(すなわち、低温または居住用)ヒートポンプシステム(例えば、HFC−134aまたはHCFC−123またはHFC−245faを使用するヒートポンプ)として本来設計されたシステムにおいて、システムを、約50℃以上の凝縮器温度を有する高温ヒートポンプヒートポンプに変換する目的で、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を使用することも可能である。例えば、この目的を達成するために、既存の快適暖房ヒートポンプシステムにおいて、従来の快適暖房ヒートポンプ作動流体を、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体によって置き換えることができる。
【0068】
E−HFO−1336mzzを含んでなる組成物は、低温で利用可能な熱を向上させるための動的(例えば、遠心式)または容積式(例えば、スクリューもしくはスクロール)ヒートポンプの設計および動作を、より高い温度での加熱の要求を満たすことを可能とさせることができる。利用可能な低温の熱は蒸発器に供給され、高温の熱は凝縮器において引き出される。例えば、廃熱は、ある場所(例えば、病院)において、25℃で動作するヒートポンプの蒸発器に供給するために利用可能であり、85℃で動作する凝縮器からの熱を、水(例えば、循環水式暖房または他の業務用)を加熱するために使用することができる。
【0069】
場合によっては、熱は、上記で示されるよりも高い温度で、様々な他の供給源(例えば、プロセス流からの廃熱、地熱または太陽熱)から利用可能でもよいが、より高い温度での加熱が必要とされてもよい。例えば、廃熱は100℃で利用可能であり得るが、工業用途のために130℃の熱が必要とされ得る。より低い温度の熱を、動的(例えば、遠心式)または容積式ヒートポンプの作動流体加熱器(例えば、蒸発器)に供給し、130℃の所望の温度まで高めて、凝縮器において供給することができる。
【0070】
ヒートポンプ装置
本発明の一実施形態において、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を含有する高温ヒートポンプ装置が提供される。また注目すべきは、作動流体がE−HFO−1336mzzから本質的になる実施形態である。
【0071】
ヒートポンプは、加熱および/または冷却を発生するための一種の装置である。ヒートポンプは、作動流体加熱器(例えば蒸発器)、圧縮器、作動流体冷却器(例えば凝縮器)および膨張デバイスを含んでなる。作動流体は、繰り返しサイクルで、これらの構成要素を通して循環する。熱は、作動流体冷却器(例えば凝縮器)で発生し得、ここでは、作動流体が冷却されて、冷却された作動流体を形成する時に、エネルギー(熱の形態で)が作動流体から引き出される。冷却は、作動流体加熱器(例えば蒸発器)で発生し得、ここでは、エネルギーが吸収されて、作動流体が加熱され(ほとんどは蒸発し)、加熱された作動流体(ほとんどは作動流体蒸気)が形成される。作動流体が凝縮されて、蒸発する実施形態は、未臨界サイクルと呼ばれてもよく、そのような未臨界サイクルに使用される装置は、上記の通り、蒸発器、圧縮器、凝縮器および膨張デバイスを含む。
【0072】
遷臨界加熱サイクルにおいて、サイクルに使用される作動液体流体は、蒸発器において熱を受け取って、作動流体の臨界圧力未満の圧力で蒸発する。次いで、加熱された作動流体蒸気は、その臨界圧力より高い圧力まで圧縮される。次いで、作動流体は、その臨界圧力より高い流体として作動流体冷却器に入り、冷却され(凝縮せず)、冷却された作動流体を発生する。冷却された作動流体が冷却器を出た後、その圧力はその臨界圧力未満の圧力まで低下する。したがって、遷臨界サイクルの作動流体は、サイクルの一部の間はその臨界圧力より高い圧力にあり、サイクルの別の部分に関してはその臨界圧力より低い圧力にある。
【0073】
超臨界加熱サイクルにおいて、サイクルに使用される作動流体は、作動流体の臨界圧力より高い圧力で、加熱器において熱を受け取る。次いで、作動流体は、より高い圧力まで圧縮されて、冷却器で冷却され、熱を放出する。次いで、作動流体の圧力は加熱器圧力まで低下し、したがって、作動流体圧力は、作動流体臨界圧より高いままである。したがって、作動流体の圧力は、超臨界サイクルを通して、その臨界圧力より高いままである。
【0074】
ヒートポンプは、その一実施形態が
図1に示される満液式蒸発器、またはその一実施形態が
図2に示される直接膨張式蒸発器を含んでもよい。
【0075】
ヒートポンプは、容積式圧縮器または動的圧縮器を利用してもよい。容積式圧縮器は、往復運動、スクリューおよびスクロール圧縮器を含む。注目すべきは、スクリュー圧縮器を使用するヒートポンプである。動的圧縮器は、軸流式および遠心式圧縮器を含む。また注目すべきは、遠心式圧縮器を使用するヒートポンプである。
【0076】
居住用ヒートポンプは、住宅または住居(一世帯または集合住宅を含む)を暖めるための加熱された空気を発生するために使用され、約30℃〜約50℃の最大凝縮器動作温度を発生する。
【0077】
注目すべきは、空気、水、他の熱伝達媒体、あるいは装置、貯蔵領域またはプロセス流の一部分などの工業用プロセスのいくつかの部分を加熱するために使用され得る高温ヒートポンプである。これらの高温ヒートポンプは、約50℃より高い最大作動流体冷却器(例えば凝縮器)動作温度を発生することができる。高温ヒートポンプで達成することができる最大作動流体冷却器(例えば凝縮器)動作温度は、使用される作動流体次第である。この最大作動流体冷却器(例えば凝縮器)動作温度は、作動流体の通常の沸騰特徴によって、またヒートポンプの圧縮器が蒸気作動流体圧力を上げることができる圧力によっても制限される。この最大許容作動圧力は、ヒートポンプで使用される作動流体にも関連する。
【0078】
特に重要なものは、少なくとも約80℃の作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度において動作する高温ヒートポンプである。E−HFO−1336mzzを含んでなる組成物は、現在使用される多くの作動流体によって利用可能な温度に匹敵するか、またはそれよりも高い作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度で動作される遠心式ヒートポンプの設計および動作を可能にする。注目すべきは、約118℃までの作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度で動作される、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を使用する実施形態である。また注目すべきは、約137℃までの作動流体冷却器(例えば凝縮器)温度で動作される、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を使用する実施形態である。また注目すべきは、加熱および冷却を同時に発生するために使用されるヒートポンプである。例えば、単一ヒートポンプユニットは、家庭用途で熱水を発生し得、夏季の快適空気調整のために冷却を発生し得る。
【0079】
満液式蒸発器および直接膨張式の両方を含むヒートポンプは、快適空気調節(空気を冷却および除湿する)ならびに/または暖房を、住宅(一世帯または集合住宅)、ならびにホテル、オフィスビル、病院、大学などを含む大型商業ビルに提供するために、エアハンドリングおよび分布システムと組み合わせてもよい。別の実施形態において、高温ヒートポンプは水を加熱するために使用されてもよい。別の実施形態において、高温ヒートポンプは、集合住宅用建物(例えば、高層マンション)を加熱するために使用されてもよい。
【0080】
高温ヒートポンプがどのように動作するのかを説明するために、図面を参照する。満液式蒸発器型ヒートポンプを
図1に示す。このヒートポンプにおいて、水、いくつかの場合、添加剤、またはグリコール(例えば、エチレングリコールまたはプロピレングリコール)などの他の熱伝達媒体を含んでなる温かい液体である第2の熱伝達媒体は、矢印3で示されるように、ビルのエアハンドリングユニットなどの低温供給源から熱、または冷却塔へと流れるチラープラントの凝縮器から加温された水を伝達するヒートポンプに、入口および出口を有する蒸発器6において、チューブバンドルまたはコイル9を通して入る。温かい第2の熱伝達媒体は蒸発器に供給され、そこでそれは液体作動流体によって冷却され、それは蒸発器の下部に示される。温かい第2の熱伝達媒体は蒸発器に供給され、ここで、液体作動流体によって冷却される。これについては、蒸発器の下部に示される。液体作動流体は、チューブバンドルまたはコイル9を通って流れる温かい第2の熱伝達媒体より低い温度で蒸発する。冷却された第2の熱伝達媒体は、チューブバンドルまたはコイル9の返送部分を通して、矢印4で示されるように低温熱供給源に再循環される。
図1において蒸発器6の下部で示される液体作動流体は蒸発し、圧縮器7に引き入れられ、圧縮器は作動流体蒸気の圧力および温度を増加させる。圧縮器はこの作動流体蒸気を圧縮し、蒸発器を出た時の作動流体蒸気の圧力および温度よりも高い圧力および温度で、凝縮器5において凝縮され得る。第1の熱伝達媒体は、
図1の矢印1で、凝縮器5において、チューブバンドルまたはコイル10を介して、家庭用または業務用温水器または温水暖房システムなどの高温熱が提供される位置(「ヒートシンク」)から凝縮器に入る。第1の熱伝達媒体はこのプロセスで加温され、チューブバンドルまたはコイル10および矢印2の返送ループによってヒートシンクに返される。この第1の熱伝達媒体は、凝縮器で作動流体蒸気を冷却し、蒸気を液体作動流体に凝縮させ、液体作動流体が、
図1で示すように凝縮器の下位部分にある。凝縮器中の凝縮された液体作動流体は、オリフィス、キャピラリー管または膨張弁でもよい膨張デバイス8を通して、蒸発器に戻る。膨張デバイス8は液体作動流体の圧力を低下させ、液体作動流体を部分的に蒸気に変換し、すなわち、凝縮器と蒸発器との間の圧力低下として液体作動流体はフラッシュする。フラッシュによって作動流体、すなわち、液体作動流体および作動流体蒸気の両方は蒸発器圧力において飽和温度に冷却され、液体作動流体および作動流体蒸気の両方が蒸発器で存在する。
【0081】
上記の
図1の記載は未臨界ヒートポンプサイクルに関するが、サイクルが遷臨界ヒートポンプサイクルまたは超臨界ヒートポンプサイクルである実施形態は、本発明の範囲内に包含されるように意図される。遷臨界サイクルにおいて、凝縮器は作動流体冷却器によって置き換えられて、かつ作動流体は凝縮されずに冷却器で冷却される。超臨界サイクルにおいて、凝縮器は作動流体冷却器によって置き換えられて、作動流体は凝縮されずに冷却器で冷却され、そのうえ、蒸発器は作動流体加熱器によって置き換えられて、作動流体は蒸発されずに加熱器で加熱される。いくつかの実施形態において、作動流体蒸気は超臨界状態まで圧縮され、
図1中の容器5はガス冷却器を表し、ここでは、作動流体上記が、凝縮されずに液体状態に冷却される。
【0082】
いくつかの実施形態において、
図1中に示される装置で使用される第2の熱伝達媒体は、空気調節が提供されるビルまたは冷却されるいくつかの他の物体から戻る冷却水である。熱は、蒸発器6で、戻ってきた第2の熱伝達媒体から引き出され、冷却された第2の熱伝達媒体は、冷却されるビルまたは他の物体へ戻される。この実施形態において、
図1に示される装置は、同時に、冷却される物体(例えば、ビルの空気)に冷却を提供する第2の熱伝達媒体を冷却し、加熱される物体(例えば、家庭用または業務用水またはプロセス流)に加熱を提供する第1の熱伝達媒体を加熱するように機能する。
【0083】
図1に示される装置は、太陽熱、地熱および廃熱を含む広範囲の熱供給源から、蒸発器6において熱を引き出し、凝縮器5から広範囲にわたるヒートシンクへ熱を供給することができることは理解されるべきである。
【0084】
単一成分作動流体組成物に関して、蒸発器および凝縮器中の蒸気作動流体の組成は、蒸発器および凝縮器中の液体作動流体の組成と同一であることは注目すべきである。この場合、蒸発および凝縮は一定温度で生じる。
【0085】
直接膨張式ヒートポンプの一実施形態は、
図2に例示される。
図2中で例示されるヒートポンプにおいて、温水などの温かい液体である第2の液体熱伝達媒体は、入口14で蒸発器6’に入る。大部分が液体の作動流体は(少量の作動流体蒸気とともに)矢印3’で蒸発器中のコイル9’に入って、蒸発する。その結果、第2の液体熱伝達媒体は蒸発器で冷却され、冷却された第2の液体熱伝達媒体は出口16で蒸発器を出て、低温熱供給源(例えば、冷却塔へと流れる温水)に送られる。作動流体蒸気は、矢印4’で蒸発器を出て、圧縮器7’に送られて、ここで圧縮されて、高温高圧作動流体蒸気として出る。この作動流体蒸気は、1’で凝縮器コイルまたはチューブバンドル10’を通して凝縮器5’に入る。作動流体蒸気は凝縮器で、水などの第1の液体熱伝達媒体によって冷却されて、液体になる。第1の液体熱伝達媒体は、凝縮器熱伝達媒体入口20を通って凝縮器に入る。第1の液体熱伝達媒体は、凝縮している作動流体蒸気から熱を引き出し、作動流体蒸気は液体作動流体になり、これは凝縮器において第1の液体熱伝達媒体を加温する。第1の液体熱伝達媒体は、凝縮器熱伝達媒体出口18を通って凝縮器から出る。凝縮された作動流体は、
図2で示すように下位コイルまたはチューブバンドル10’を通して凝縮器を出て、オリフィス、キャピラリー管または膨張弁であり得る膨張デバイス12を通って流れる。膨張デバイス12は、液体作動流体の圧力を低下させる。膨張の結果として発生した少量の蒸気は、コイル9’を通って液体作動流体とともに蒸発器に入り、このサイクルは繰り返される。
【0086】
いくつかの実施形態において、作動流体蒸気は超臨界状態まで圧縮され、
図2中の容器5’はガス冷却器を表し、ここでは、作動流体蒸気が、凝縮されずに液体状態に冷却される。
【0087】
いくつかの実施形態において、
図2中に示される装置で使用される第2の熱伝達媒体は、空気調節が提供されるビルまたは冷却されたいくつかの他の物体から戻る冷却水である。熱は、蒸発器6’で、戻ってきた第2の熱伝達媒体から引き出され、冷却された第2の熱伝達媒体は、冷却されるビルまたは他の物体へ戻される。この実施形態において、
図2に示される装置は、同時に、冷却される物体(例えば、ビルの空気)に冷却を提供する第2の熱伝達媒体を冷却し、加熱される物体(例えば、家庭用または業務用水またはプロセス流)に加熱を提供する第1の熱伝達媒体を加熱するように機能する。
【0088】
図2に示される装置は、太陽熱、地熱および廃熱を含む広範囲の熱供給源から、蒸発器6’において熱を引き出し、凝縮器5から広範囲にわたるヒートシンクへ熱を供給することができることは理解されるべきである。
【0089】
本発明で有用な圧縮器には、動的圧縮器が含まれる。動的圧縮器の注目すべき例は、遠心式圧縮器である。遠心式圧縮器は、放射状に作動流体を促進するための回転要素を使用し、典型的にケースに収納されたインペラーおよび拡散器を含む。遠心式圧縮器は、通常、インペラーアイまたは回転インペラーの中心入口で作動流体を取り入れて、外側に放射状にそれを促進する。いくらかの静的圧力上昇がインペラー部分で生じるが、大部分の圧力上昇は拡散器部分で生じ、ここで速度は圧力に変換される)。各インペラー−拡散器のセットは、圧縮器の一段階である。遠心圧縮器は、所望の最終圧力および取り扱われる冷却剤の体積次第で、1〜12段階以上で構築される。
【0090】
圧縮器の圧力比または圧縮比は、絶対吐出圧力対絶対入口圧力の比率である。遠心式圧縮器で供給される圧力は、容量の相対的に広範囲にわたる範囲で実際に一定である。遠心圧縮器が発達させることができる圧力は、インペラーのチップ速度次第である。チップ速度は、そのチップで測定されるインペラーの速度であり、インペラーの直径およびその回転/分に関連する。特定の用途で必要とされるチップ速度は、蒸発器から凝縮器条件まで作動流体の熱力学状態を高めるために必要とされる圧縮器の仕事次第である。遠心式圧縮器の体積流れ容量は、インペラーを通る通路の径によって決定される。これは、圧縮器の径を、必要とされる体積流れ容量よりも、必要とされる圧力により依存するものにさせる。
【0091】
また動的圧縮器の注目すべき例は、軸流式圧縮機である。流体が入って、軸方向に残る圧縮器は、軸流式圧縮機と呼ばれている。軸流式圧縮機は、作動流体が主に回転の軸と平行に流れる回転、エアフォイル−またはブレードをベースとする圧縮器である。これは、作動流体が軸方向に入り得るが、出口で有意な半径方向の成分を有する、遠心式または混合流式圧縮器などの他の回転圧縮器とは対照的である。軸流圧縮機は、圧縮ガスの連続的な流れを発生し、特にそれらの横断面に関して、高効率および大きい質量流れ容量の利点を有する。しかしながら、それらは、大きい圧力上昇を達成するために、数列のエアフォイルを必要とし、このことは、それらを他のデザインと比較して複雑で高価にさせる。
【0092】
本発明において有用な圧縮器には、容積式圧縮器も含まれる。容積式圧縮器はチャンバー中に蒸気を吸い込ませて、チャンバー体積が低下して、蒸気を圧縮する。圧縮後、0または約0までさらにチャンバーの体積を低下させることによって、蒸気はチャンバーから強制される。
【0093】
容積式圧縮器の注目すべき例は、往復圧縮器である。往復圧縮器は、クランクシャフトで駆動されるピストンを使用する。それらは固定式または移動式であることができ、単一または多段階であることができ、電気モーターまたは内燃機関で駆動することができる。5〜30馬力の小型往復圧縮器は、自動車用途でみられ、典型的に断続使用のためである。100馬力までの大型往復圧縮器は、大型の工業用途で見られる。吐出圧力は、低圧から非常に高い圧力(5000psiまたは35MPaより高い)の範囲であることができる。
【0094】
また容積式圧縮器の注目すべき例は、スクリュー圧縮器である。スクリュー圧縮器は、ガスをより小さい空間に押し込むために、2つのかみ合う回転容積式螺旋形スクリューを使用する。スクリュー圧縮器は通常、商業的および工業的用途での連続動作のためであって、固定式または移動式でもよい。それらの用途は、5馬力(3.7kW)〜500馬力以上(375kW)であることができ、低圧から非常に高い圧力(1200psiまたは8.3MPaより高い)であることができる。
【0095】
また容積式圧縮器の注目すべき例は、スクロール圧縮器である。スクロール圧縮器は、スクリュー圧縮器と同様であり、ガスを圧縮するために、2個の交互配置された螺旋形スクロールを含む。産物は、ロータリー式スクリュー圧縮器のものより律動的に送られる。
【0096】
一実施形態において、ヒートポンプ装置は、2個以上の加熱回路(またはループもしくは段階)を含んでなってもよい。作動流体としてE−HFO−1336mzzを用いて動作されたヒートポンプの性能(加熱の動作係数および体積加熱能力)は、作動流体加熱器が用途によって必要とされる作動流体冷却器温度に近い温度で動作される場合、大幅に改善される。
【0097】
熱が必要とされる温度に相対的に近い温度(例えば、約50℃以内)で熱が利用可能な場合、E−HFO−1336mzzによって動作する単一段階(または単一ループ)ヒートポンプが好まれ得る。例えば、プロセスまたは低級地熱供給源からの75℃の熱は、118℃で要求される熱を満たすために、E−HFO−1336mzzによって動作する単一段階ヒートポンプで高められてもよい。
【0098】
利用可能な熱が、熱が必要とされる温度(例えば、50℃より高い温度)より実質的に低い温度である場合、高温カスケード段階においてE−HFO−1336mzzを使用するカスケード構造において2つ以上の段階を有するヒートポンプが好まれ得る。低温カスケード段階(またはサイクル)は、NH
3、CO
2、N
2O、HFC−32、HFC−125、HFC−143a、HFC−227ea、HFC−227ca、HFC−245cb、HFC−236fa、HFC−236ea、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、HFO−1243zf、E−HFO−1234ye、HFO−1336yf、HFO−1243yf、Z−HFO−1234ze、HCFO−1233xf、HFC−134a、HFC−134、HFC−161、HFC−152a、炭化水素(例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタンなど)およびそれらの混合物からなる群から選択される作動流体を含有する。低温カスケード段階のための好ましい作動流体は、利用可能な熱供給源の温度次第である。低温熱供給源(例えば、冬季の周囲空気)に関して、CO
2、N
2O、HFC−32、HFC−125、HFC−143a、HFC−227ea、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、HFO−1243zf、HFC−134a、HFC−134、HFC−161、HFC−152aおよびそれらブレンドなどの低沸点(または同等に高蒸気圧)を有する作動流体が有利である。例えば、高温カスケード段階においてE−HFO−1336mzz、ならびにHFC−32、CO
2、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze;HFO−1234yf、E−HFO−1234zeおよびHFC−32のブレンド;HFO−1234yfおよびHFC−134aの不燃性共沸ブレンド;またはE−HFO−1234zeおよびHFC−134の不燃性共沸ブレンドから選択される低温カスケード段階作動流体を用いて、2段階カスケードヒートポンプを使用して、−10℃の冬季周囲空気からの熱を高めて、家庭用または他の業務用に65〜85℃の熱水を発生してもよい。低温カスケード段階のための他の可能な作動流体には、HFO−1234ye(1,2,3,3−テトラフルオロプロペン、E−またはZ−異性体)、HFO−1243zf(3,3,3−トリフルオロプロペン)、HFC−125(ペンタフルオロエタン)、HFC−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HFC−227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロペン)、およびHFO−1234yf/HFC−32、HFO−1234yf/HFC−32/HFC−125、HFO−1234yf/HFC−134a、HFO−1234yf/HFC−134a/HFC−32、HFO−1234yf/HFC−134、HFO−1234yf/HFC−134a/HFC−134、HFO−1234yf/HFC−32/HFC−125/HFC−134a、E−HFO−1234ze/HFC−134a、E−HFO−1234ze/HFC−134、E−HFO−1234ze/HFC−134a/HFC−134、E−HFO−1234ze/HFC−227ea、E−HFO−1234ze/HFC−134/HFC−227ea、E−HFO−1234ze/HFC−134/HFC−134a/HFC−227ea、HFO−1234yf/E−HFO−1234ze/HFC−134/HFC−134a/HFC−227ea、HFO−1234yf/HFC−32/E−HFO−1234ze、HFO−1234yf/HFC−32/HFC−125/E−HFO−1234ze、HFO−1234yf/HFC−134a/E−HFO−1234ze、HFO−1234yf/HFC−134a/HFC−32/E−HFO−1234ze、HFO−1234yf/HFC−134/E−HFO−1234ze、HFO−1234yf/HFC−134a/HFC−134/E−HFO−1234ze、HFO−1234yf/HFC−32/HFC−125/HFC−134a/E−HFO−1234ze、HFO−1234yf/HFC−32/HFC−152a/E−HFO−1234zeなどのそれらのブレンドが含まれてよい。カスケードサイクルの低温回路(または低温ループもしくはカスケード段階)は、蒸発器において利用可能な低温熱を受け取って、受け取った熱を、入手可能な低温熱の温度と必要とされる加熱使用のより高い温度との間の中間温度まで高め、カスケード熱交換器において、カスケードシステムの高段階または高温回路(または高温ループ)へ熱を移動させる。次いで、E−HFO−1336mzzで動作される高温回路は、カスケード熱交換器で受け取った熱を、意図された加熱使用を満たすために必要とされる作動流体冷却器温度までさらに高める。カスケードの概念は、より広範囲にわたる温度範囲まで熱を高める3つ以上の回路を有する構造まで延長することができ、また性能を最適化するために異なる温度部分範囲において異なる流体を使用する。
【0099】
したがって、本発明によると、カスケード加熱システムとして配置される少なくとも2つの加熱段階を有し、各段階がそれを通して作動流体を循環させるヒートポンプ装置であって、熱が先行段階から最終段階まで伝達され、かつ最終段階の作動流体がE−HFO−1336mzzを含んでなる装置が提供される。少なくとも2つの加熱段階を有するヒートポンプ装置の別の実施形態において、最終段階の作動流体は、E−HFO−1336mzzから本質的になる。少なくとも2つの加熱段階を有するヒートポンプ装置の別の実施形態において、最終段階の作動流体は、E−HFO−1336mzzからなる。
【0100】
一実施形態において、上記作動流体で動作する2段階カスケードヒートポンプの低温カスケード段階(または低温ループ)は冷却を提供することができ、一方、E−HFO−1336mzzで動作する高温段階が同時に加熱を提供することができる。したがって、カスケードヒートポンプシステムにおいて同時に加熱および冷却供給する方法であって、NH
3、CO
2、N
2O、HFC−32、HFC−125、HFC−143a、HFC−227ea、HFC−227ca、HFC−245cb、HFC−236fa、HFC−236ea、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、HFO−1243zf、E−HFO−1234ye、HFO−1336yf、HFO−1243yf、Z−HFO−1234ze、HCFO−1233xf、HFC−134a、HFC−134、HFC−161、HFC−152a、炭化水素およびそれらの混合物からなる群から選択される作動流体を含有する低温カスケード段階を提供する工程と、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を含有する高温カスケード段階を提供する工程とを含んでなる方法が提供される。
【0101】
一実施形態において、上記作動流体で動作する2段階カスケードヒートポンプの低温カスケード段階(または低温ループ)は冷却を提供することができ、一方、E−HFO−1336mzzで動作する高温段階が同時に加熱を提供することができる。したがって、カスケードヒートポンプシステムにおいて同時に加熱および冷却供給する方法であって、CO
2、N
2O、HFC−32、HFC−125、HFC−143a、HFC−227ea、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、HFO−1243zf、HFC−134a、HFC−134、HFC−161、HFC−152aおよびそれらの混合物からなる群から選択される作動流体を含有する低温カスケード段階を提供する工程と、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を含有する高温カスケード段階を提供する工程とを含んでなる方法が提供される。
【0102】
本発明によれば、各ループを通して作動流体を循環するための少なくとも2つの加熱ループを有するカスケードヒートポンプシステムが提供される。そのようなカスケードシステムの一実施形態は、
図3中110で一般に示される。本発明のカスケードヒートポンプシステムは、
図3に示す低温ループである第1または下位ループ112、および
図3に示す高温ループ114である第2または上位ループ114を含む、少なくとも2つの加熱ループを有する。各々、それを通して作動流体を循環する。
【0103】
図3に示すように、カスケードヒートポンプシステムは、第1の膨張デバイス116を含む。第1の膨張デバイスは、入口116aおよび出口116bを有する。第1の膨張デバイスは、第1または低温ループを通して循環する第1の作動流体液体の圧力および温度を低下させる。
【0104】
図3に示されるカスケードヒートポンプシステムは、蒸発器118も含む。蒸発器は、入口118aおよび出口118bを有する。第1の膨張デバイスからの第1の作動流体液体は、蒸発器入口を通って蒸発器に入り、蒸発器で蒸発して、第1の作動流体蒸気を形成する。次いで、第1の作動流体蒸気は、蒸発器の出口まで循環する。
【0105】
図3に示されるカスケードヒートポンプシステムは、第1の圧縮器120も含む。第1の圧縮器は、入口120aおよび出口120bを有する。蒸発器からの第1の作動流体蒸気は、第1の圧縮器の入口まで循環し、圧縮され、それによって、第1の作動流体蒸気の圧力および温度が増加する。次いで、圧縮第1の作動流体蒸気は、第1の圧縮器の出口まで循環する。
【0106】
図3に示されるカスケードヒートポンプシステムは、カスケード熱交換器システム122も含む。カスケード熱交換器は、第1の入口122aおよび第1の出口122bを有する。第1の圧縮器からの第1の作動流体蒸気は、熱交換器の第1の入口に入り、カスケード熱交換器で凝縮され、第1の作動流体液体を形成し、それによって、熱を放出する。次いで、第1の作動流体液体は、カスケード熱交換器の第1の出口まで循環する。カスケード熱交換器は、第2の入口122cおよび第2の出口122dも含む。第2の作動流体液体は、第2の入口からカスケード熱交換器の第2の出口まで循環し、蒸発して、第2の作動流体蒸気を形成し、それによって、第1の作動流体によって放出された熱を吸収する(そのまま凝縮される)。次いで、第2の作動流体蒸気は、カスケード熱交換器の第2の出口まで循環する。したがって、
図3の実施形態において、第1の作動流体によって放出された熱は、第2の作動流体によって直接吸収される。
【0107】
図3に示されるカスケードヒートポンプシステムは、第2の圧縮器124も含む。第2の圧縮器は、入口124aおよび出口124bを有する。カスケード熱交換器からの第2の作動流体蒸気は、入口を通って圧縮器に吸い込まれ、圧縮され、それによって、第2の作動流体蒸気の圧力および温度を増加させる。次いで、第2の作動流体蒸気は、第2の圧縮器の出口まで循環する。
【0108】
図3に示されるカスケードヒートポンプシステムは、入口126aおよび出口126bを有する凝縮器126も含む。第2の圧縮器からの第2の作動流体は入口から循環し、凝縮器で凝縮して、第2の作動流体液体を形成し、したがって、熱を発生する。第2の作動流体液体は、出口を通って凝縮器を出る。
【0109】
図3に示されるカスケードヒートポンプシステムは、入口128aおよび出口128bを有する第2の膨張デバイス128も含む。第2の作動流体液体は、第2の膨張デバイスを通過し、凝縮器を出る第2の作動流体液体の圧力および温度が低下する。この液体は、この膨張の間、部分的に蒸発してもよい。圧力および温度が低下した第2の作動流体液体は、膨張デバイスからカスケード熱交換器システムの第2の入口まで循環する。
【0110】
そのうえ、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体がそれらの臨界温度より高い温度で化学的に安定である場合、これらの作動流体は、熱が超臨界状態で作動流体によって放出され、温度範囲(E−HFO−1336mzzの臨界温度より高い温度を含む)における使用のために利用可能にされる超臨界および/または遷臨界サイクルによって動作されるヒートポンプのデザインを可能にする。超臨界流体は、等温凝縮転移を通過することなく、液体状態に冷却される。
【0111】
(高温リフトおよび高圧縮器放出温度と関係する)高温凝縮器動作に関して、作動流体(例えば、E−HFO−1336mzz)および高い熱安定性を有する潤滑剤の調製物は(おそらく、油冷却または他の緩和アプローチと組み合わせて)有利である可能性がある。
【0112】
(高温リフトおよび高圧縮器放出温度と関係する)高温凝縮器動作に関して、潤滑剤の使用を必要としない磁性遠心式圧縮器(例えば、Danfoss−Turbocor型)の使用は有利である。
【0113】
(高温リフトおよび高圧縮器放出温度と関係する)高温凝縮器動作に関して、高い熱安定性を有する圧縮器材料(例えば、シャフトシールなど)の使用は必要とされてもよい。
【0114】
E−HFO−1336mzzを含んでなる組成物は、水分の除去を促進するモレキュラーシーブと組み合わせて、ヒートポンプ装置で使用されてもよい。乾燥剤は、活性アルミナ、シリカゲルまたはゼオライトをベースとするモレキュラーシーブから構成されてもよい。いくつかの実施形態において、モレキュラーシーブは、約3オングストローム、4オングストロームまたは5オングストロームの細孔径を有するものが最も有用である。代表的なモレキュラーシーブは、MOLSIV XH−7、XH−6、XH−9およびXH−11(UOP LLC,Des Plaines,IL)を含む。
【0115】
ヒートポンプ組成物
高温ヒートポンプに用いられる組成物が提供される。この組成物は、(i)E−HFO−1336mzzから本質的になる作動流体、および(ii)50℃以上の温度で分解を防止する安定剤、または(iii)50℃以上での使用のために適切な潤滑剤、あるいは(ii)および(iii)の両方を含んでなる。注目すべきは、作動流体成分がE−HFO−1336mzzから成る組成物である。
【0116】
またE−HFO−1336mzzを含んでなる組成物は、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテンおよびポリ(アルファ)オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の潤滑剤を含んでなり、かつ/またはそれらと組み合わせて使用されてもよい。
【0117】
有用な潤滑剤には、高温ヒートポンプ装置の用途に適切なものが含まれる。これらの潤滑剤の中でも、クロロフルオロカーボン冷却剤を利用する蒸気圧縮冷凍装置において従来から使用されるものが挙げられる。一実施形態において、潤滑剤は、圧縮冷凍潤滑の分野において「鉱油」として一般に既知のものを含んでなる。鉱油は、パラフィン(すなわち、直鎖および分枝鎖炭素鎖飽和炭化水素)、ナフテン(すなわち、環式パラフィン)および芳香族(すなわち、交互に二重結合があることを特徴とする1種以上の環を含有する不飽和環式炭化水素)を含んでなる。一実施形態において、潤滑剤は、圧縮冷凍潤滑の分野で「合成油」として一般に既知のものを含んでなる。合成油は、アルキルアリール(すなわち、直鎖および分枝鎖アルキルアルキルベンゼン)、合成パラフィンおよびナフテン、ならびにポリ(アルファオレフィン)を含んでなる。代表的な従来の潤滑剤は、商業的に入手可能なBVM 100N(BVA Oilsによって販売されるパラフィン性鉱油)、Suniso(登録商標)3GSおよびSuniso(登録商標)5GSの商標でCrompton Co.から商業的に入手可能なナフテン鉱油、Sontex(登録商標)372LTの商標でPennzoilから商業的に入手可能なナフテン鉱油、Calumet(登録商標)RO−30の商標でCalumet Lubricantから商業的に入手可能なナフテン鉱油、Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150およびZerol(登録商標)500の商標でShrieve Chemicalsから商業的に入手可能な直鎖アルキルベンゼン、ならびにHAB 22(Nippon Oilによって販売される分枝鎖アルキルベンゼン)である。
【0118】
有用な潤滑剤は、ヒドロフルオロカーボン冷却剤との使用のために設計され、かつ圧縮冷凍および空気調節装置の動作条件下で本発明の冷却剤と混和性であるものを含んでなってもよい。そのような潤滑剤には、限定されないが、Castrol(登録商標)100(Castrol,United Kingdom)などのポリオールエステル(POE)、Dow(Dow Chemical,Midland,Michigan)からのRL−488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)、ポリビニルエーテル(PVE)およびポリカーボネート(PC)が含まれる。
【0119】
潤滑剤は、所与の圧縮器の必要条件および潤滑剤が暴露される環境を考えることによって選択される。
【0120】
注目すべきは、高温で安定性である高温潤滑剤である。ヒートポンプが達成する最高温度は、いずれの潤滑剤が必要とされるのかを決定する。一実施形態において、潤滑剤は少なくとも55℃の温度で安定でなければならない。別の実施形態において、潤滑剤は少なくとも75℃の温度で安定でなければならない。別の実施形態において、潤滑剤は少なくとも100℃の温度で安定でなければならない。別の実施形態において、潤滑剤は少なくとも139℃の温度で安定でなければならない。別の実施形態において、潤滑剤は少なくとも145℃の温度で安定でなければならない。別の実施形態において、潤滑剤は少なくとも155℃の温度で安定でなければならない。別の実施形態において、潤滑剤は少なくとも165℃の温度で安定でなければならない。別の実施形態において、潤滑剤は少なくとも170℃の温度で安定でなければならない。別の実施形態において、潤滑剤は少なくとも200℃の温度で安定でなければならない。
【0121】
特に注目すべきは、約200℃まで安定性を有するポリアルファオレフィン(POA)潤滑剤、および約200〜220℃までの温度で安定性があるポリオールエステル(POE)潤滑剤である。また特に注目すべきは、約220〜約350℃の温度で安定性を有するペルフルオロポリエーテル潤滑剤である。PFPE潤滑剤には、約300〜350℃まで熱安定性を有するXHTシリーズなどのKrytox(登録商標)の商標でDuPont(Wilmington,DE)から入手可能であるものが含まれる。他のPFPE潤滑剤には、約280〜330℃まで熱安定性を有するDemnum(商標)の商標でダイキン工業株式会社(日本)から販売されるもの、ならびに約220〜260℃まで熱安定性を有するFomblin(登録商標)−Y Fomblin(登録商標)−Zの商標で入手可能であるものなどのFomblin(登録商標)およびGalden(登録商標)の商標でAusimont(Milan,Italy)から入手可能であるものが含まれる。
【0122】
(高温リフトおよび高圧縮器放出温度と関係する)高温作動流体冷却器動作に関して、作動流体(例えば、E−HFO−1336mzz)および(おそらく、油冷却または他の緩和アプローチと組み合わせて)高温安定性を有する潤滑剤の調製物は有利である。高温リフトによる動作のために、相互段階流体注入による多段階圧縮(例えば、凝縮器を出る液体冷却剤の一部分が、低圧縮段階を出る蒸気を過熱低減する圧縮段階の間で)中間体圧力まで膨張する)が好ましい。一実施形態において、組成物は、高温で生じる分解を防止するために、約0.01重量パーセント〜約5重量パーセントの安定剤(例えば、フリーラジカル捕獲剤、酸捕獲剤または酸化防止剤)をさらに含んでもよい。そのような他の添加剤には、限定されないが、ニトロメタン、ヒンダードフェノール、ヒドロキシルアミン、チオール、ホスファイトまたはラクトンが含まれる。注目すべきは、約0.1重量パーセント〜約3重量パーセントの安定剤を含んでなる組成物である。単一の添加剤または組み合わせが使用されてもよい。
【0123】
任意選択で、別の実施形態において、性能およびシステム安定性を向上させるために、ある種の冷凍、空気調節またはヒートポンプシステム添加剤が、所望であれば、本明細書に開示される作動流体に添加されてもよい。これらの添加剤は、冷凍および空気調節の分野において既知であり、限定されないが、抗摩耗剤、極圧潤滑剤、腐食および酸化防止剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕獲剤、ならびにフォーム制御剤が含まれる。一般には、これらの添加剤は、全組成物と比較して少量で作動流体に存在してもよい。典型的に、約0.1重量パーセント未満〜約3重量パーセントの濃度の各添加剤が使用される。これらの添加剤は、個々のシステム必要条件に基づいて選択される。これらの添加剤には、EP(極圧)潤滑添加剤のトリアリールホスフェート系統群、例えばブチル化トリフェニルホスフェート(BTPP)、または他のアルキル化トリアリールホスフェートエステル、例えば、Akzo ChemicalsからのSyn−0−Ad 8478、トリクレジルホスフェートおよび関連化合物が含まれる。追加的に、金属ジアルキルジチオホスフェート(例えば、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(またはZDDP)、Lubrizol 1375、およびこの系統群の化学物質の他のものが本発明の組成物で使用されてもよい。他の耐摩耗添加剤には、天然油および非対称ポリヒドロキシル潤滑添加剤、例えば、Synergol(商標)(International Lubricants)が含まれる。同様に、酸化防止剤、フリーラジカル捕獲剤および水捕獲剤などの安定剤が利用されてもよい。このカテゴリーの化合物には、限定されないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エポキシドおよびそれらの混合物が含まれる。腐食抑制剤には、ドデシルコハク酸(DDSA)、アミンホスフェート(AP)、オレオイルサルコシン、イミダゾン誘導体および置換スルホネートが含まれる。金属表面不活性化剤には、アレオキサリルビス(ベンジリデン)ヒドラジド(CAS登録番号6629−10−3)、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルヒドラジン(CAS登録番号32687−78−8)、2,2’−オキサミドビス−エチル−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(CAS登録番号70331−94−1)、N,N’−(ジサリチリデン)−1,2−ジアミノプロパン(CAS登録番号94−91−7)およびエチレンジアミンテトラ酢酸(CAS登録番号60−00−4)、ならびにそれらの塩およびそれらの混合物が含まれる。
【0124】
注目すべきは、50℃以上の温度で分解を防止する安定剤である。また注目すべきは、75℃以上の温度で分解を防止する安定剤である。また注目すべきは、85℃以上の温度で分解を防止する安定剤である。また注目すべきは、100℃以上の温度で分解を防止する安定剤である。また注目すべきは、118℃以上の温度で分解を防止する安定剤である。また注目すべきは、137℃以上の温度で分解を防止する安定剤である。
【0125】
注目すべきは、追加的な添加剤には、ヒンダードフェノール、チオホスフェート、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート、オルガノホスフェート、またはホスファイト、アリールアルキルエーテル、テルペン、テルペノイド、エポキシド、フッ素化エポキシド、オキセタン、アスコルビン酸、チオール、ラクトン、チオエーテル、アミン、ニトロメタン、アルキルシラン、ベンゾフェノン誘導体、アリールスルフィド、ジビニルテレフタル酸、ジフェニルテレフタル酸、イオン液体およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含んでなる安定剤である。代表的な安定剤化合物には、限定されないが、トコフェロール;ヒドロキノン;t−ブチルヒドロキノン;モノチオホスフェート;ならびにIrgalube(登録商標)63の商標でCiba Specialty Chemicals,Basel,Switzerland(以下「Ciba」)から商業的に入手可能なジチオホスフェート;Irgalube(登録商標)353およびIrgalube(登録商標)350の商標でそれぞれCibaから商業的に入手可能なジアルキルチオホスフェートエステル;Irgalube(登録商標)232の商標でCibaから商業的に入手可能なブチル化トリフェニルホスホロチオネート;Irgalube(登録商標)349の商標でCibaから商業的に入手可能なアミンホスフェート;CibaからIgrafos(登録商標)168として商業的に入手可能なヒンダードホスファイト;ホスフェート、例えば、Irgafos(登録商標)OPHの商標でCibaから商業的に入手可能な(トリス−(ジ−tert−ブチルフェニル);(ジn−オクチルホスファイト);Irgafos(登録商標)DDPPの商標でCibaから商業的に入手可能なイソデシルジフェニルホスファイト;アニソール;1,4−ジメトキシベンゼン;1,4−ジエトキシベンゼン;1,3,5−トリメトキシベンゼン;d−リモネン;レチナール;ピネン;メントール;ビタミンA;テルピネン;ジペンテン;リコピン;βカロチン;ボルナン;1,2−プロピレンオキシド;1,2−ブチレンオキシド;n−ブチルグリシジルエーテル;トリフルオロメチルオキシラン;1,1−ビス(トリフルオロメチル)オキシラン;3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン、例えば、OXT−101(Toagosei Co.,Ltd);3−エチル−3−((フェノキシ)メチル)−オキセタン、例えば、OXT−211(Toagosei Co.,Ltd);3−エチル−3−((2−エチル−ヘキシルオキシ)メチル)−オキセタン、例えば、OXT−212(Toagosei Co.,Ltd);アスコルビン酸;メタンチオール(メチルメルカプタン);エタンチオール(エチルメルカプタン);補酵素A;ジメルカプトコハク酸(DMSA);グレープフルーツメルカプタン((R)2−(4−メチルシクロヘキセ−3−エニル)プロパン−2−チオール));システイン((R)−2−アミノ−3−スルファニル−プロパン酸);リポアミド(1,2−ジチオラン−3−ペンタンアミド);Irganox(登録商標)HP−136の商標でCibaから商業的に入手可能な5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−[2,3(または3,4)−ジメチルフェニル]−2(3H)−ベンゾフラノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジイソプロピルアミン;Irganox(登録商標)PS 802の商標でCibaから商業的に入手可能なジオクタデシル3,3’−チオジプロピオネート;Irganox(登録商標)PS 800の商標でCibaから商業的に入手可能なジドデシル3,3’−チオプロピオネート;Tinuvin(登録商標)770の商標でから商業的に入手可能なジ−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート;Tinuvin(登録商標)622LDの商標でCibaから商業的に入手可能なポリ(N−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジルスクシネート;メチルビスタローアミン;ビスタローアミン;フェノール−アルファ−ナフチルアミン;ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(DMAMS);トリス(トリメチルシリル)シラン(TTMSS);ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;2,5−ジフルオロベンゾフェノン;2’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン;2−アミノベンゾフェノン;2−クロロベンゾフェノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジベンジルスルフィド;イオン液体;ならびに他が含まれる。
【0126】
同様に注目すべきは、少なくとも1種のイオン液体を含んでなるイオン液体安定剤である。イオン液体は、液体であるかまたは100℃未満の融点を有する有機塩である。別の実施形態において、イオン液体安定剤は、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウムおよびチアゾリウムからなる群から選択されるカチオン;ならびに[BF
4]−、[PF
6]−、[SbF
6]−、[CF
3SO
3]−、[HCF
2CF
2SO
3]−、[CF
3HFCCF
2SO
3]−、[HCClFCF
2SO
3]−、[(CF
3SO
2)
2N]−、[
(CF
3CF
2SO
2)
2N]−、[(CF
3SO
2)
3C]−、[CF
3CO
2]−およびF−からなる群から選択されるアニオンを含有する塩を含んでなる。代表的なイオン液体安定剤には、emim BF
4(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート);bmim BF
4(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラボレート);emim PF
6(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート);およびbmim PF
6(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)が含まれ、上記は全てFluka(Sigma−Aldrich)から入手可能である。
【0127】
本発明の組成物は、所望の量を混合する工程または組み合わせる工程を含むいずれかの都合のよい方法によって調製することができる。本発明の一実施形態において、組成物は、所望の成分量を計量して、その後適切な容器でそれらを組み合わせることによって調製することができる。
【実施例】
【0128】
本明細書に開示される概念を以下の実施例においてさらに説明するが、これは、請求項で記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0129】
実施例1
廃熱を使用する単一段階E−HFO−1336mzzヒートポンプによる加熱:T
凝縮=85℃;T
蒸発=30℃
表1は、30℃で動作する蒸発器に供給される利用可能な廃熱を使用して、85℃の凝縮温度で熱を提供するために使用される作動流体としてE−HFO−1336mzzを用いる単一段階ヒートポンプの予想される性能を要約する。凝縮器で放出される熱を使用して、循環水式暖房または食品乾燥などの様々な加熱用途に適合させることができる。蒸発器に供給される熱は、チラープラントに由来していてもよい。表1は、E−HFO−1336mzzが、魅力的な加熱に関するCOPで、ヒートポンプをこの用途に使用可能にすることができたことを示す。
【0130】
【表1】
【0131】
実施例2
廃熱を使用する単一段階E−HFO−1336mzzヒートポンプによる加熱:T
凝縮=118℃;T
蒸発=65℃
表2は、65℃で動作する蒸発器に供給される利用可能な廃熱を使用して、118℃の凝縮温度で熱を提供するために使用される作動流体としてE−HFO−1336mzzを用いる単一段階ヒートポンプの予想される性能を要約する。凝縮器で放出される熱を使用して、様々なプロセス加熱用途に適合させることができる。蒸発器に供給される熱は、発電所または低温地熱供給源に由来していてもよい。表2は、E−HFO−1336mzzが、魅力的な加熱に関するCOPで、ヒートポンプをこの用途に使用可能にすることができたことを示す。凝縮器圧力は、一般に利用可能な遠心式ヒートポンプで実行可能な範囲内に残存する。
【0132】
【表2】
【0133】
実施例3
2段階(E−HFO−1336mzz;HFC−32)カスケードヒートポンプを使用する冬季周囲空気からの熱による水の加熱:T
凝縮=65℃;T
蒸発=−10℃
寒冷周囲空気から熱を引き出すことによって、家庭用または他の業務用に熱水を発生させるために使用される2段階カスケードヒートポンプの性能を表3に要約する。高温カスケード段階は、作動流体としてE−HFO−1336mzzを使用する。低温カスケード段階は、作動流体としてHFC−32を使用する。
【0134】
熱が低温から高温カスケード段階まで伝達される温度、T
カスケードは、2段階の加熱に関するCOPおよび体積加熱能力に影響を及ぼし、したがって、それは、加熱に関する全COPおよび標的とする全体的な加熱能力に関する全体的な装置費用に影響を及ぼす。加熱に関する全COPの最大化、したがって、動作エネルギー費用の最小化は、2つのカスケード段階がほぼ等しい加熱に関するCOPを有するようにT
カスケードが選択される場合に達成されることが示される。T
カスケードが、T
凝縮およびT
蒸発の相乗平均値に等しくなるように選択されることが、しばしば推薦される。
T
カスケード[℃]=sqrt{(T
凝縮[℃]+273.15)
*(T
蒸発[℃]+273.15)}−273.15 (1)
T
凝縮=65℃およびT
蒸発=−10℃に関して、方程式(1)は、約25℃のT
カスケードを導く。装置費用の最小化は、T
カスケードに関して異なる値を必要としてもよい。
【0135】
【表3】
【0136】
表3は、高温カスケード段階でE−HFO−1336mzzおよび低温カスケード段階でHFC−32を使用するカスケードヒートポンプが、周囲空気の温度が−10℃しかない寒冷な冬季でも、魅力的な全COPで、65℃の熱を発生することができることを示す。最大圧力および圧縮器放出温度は、十分に、一般に利用可能な装置で実行可能な範囲内である。低温カスケード段階の作動流体質量流れ速度は、高温カスケード段階の作動流体質量流れ速度の約30.8%に等しかった。
【0137】
実施例4
2段階(E−HFO−1336mzz;CO
2)カスケードヒートポンプを使用する冬季周囲空気または冷却システムから放出された空気からの熱による水の加熱:T
凝縮=65℃;T
蒸発=−10℃
寒冷周囲空気から熱を引き出すことによって、家庭用または他の業務用に熱水を発生させるために使用される2段階カスケードヒートポンプの性能を表4に要約する。高温カスケード段階は、作動流体としてE−HFO−1336mzzを使用する。低温カスケード段階は、作動流体としてCO
2を使用する。
【0138】
【表4】
【0139】
表4は、高温カスケード段階でE−HFO−1336mzzおよび低温カスケード段階でCO
2を使用するカスケードヒートポンプが、周囲空気の温度が−10℃しかない寒冷な冬季でも、魅力的な全COPで、65℃の熱を発生することができることを示す。圧縮器放出温度は、十分に、一般に利用可能な装置で実行可能な範囲内である。低温段階圧力は、最近開発されたCO
2圧縮器の実行可能な範囲内にある。低温カスケード段階におけるCO
2の使用によって、HFC−32よりも低いGWPおよび高い体積加熱能力が提供
される。さらに、ASHRAE Standard 34によると、HFC−32は2L可燃性流体と分類されるが、CO
2は不燃性である。
【0140】
作動流体としてCO
2で動作する2段階カスケードヒートポンプの低温カスケード段階が冷却を提供することができ、一方、E−HFO−1336mzzで動作する高温段階が同時に加熱を提供することができた。低温カスケード段階の作動流体質量流れ速度は、高温カスケード段階の作動流体質量流れ速度の約47.2%に等しかった。
【0141】
実施例5
2段階(E−HFO−1336mzz;HFO−1234yf/HFC−134a)カスケードヒートポンプを使用する冬季周囲空気からの熱による水の加熱:T
凝縮=65℃;T
蒸発=−10℃
寒冷周囲空気から熱を引き出すことによって、家庭用または他の業務用に熱水を発生させるために使用される2段階カスケードヒートポンプの性能を表5に要約する。高温カスケード段階は、作動流体としてE−HFO−1336mzzを使用する。低温カスケード段階は、作動流体として55重量パーセントのHFO−1234yfおよびHFC−134aを含有する不燃性共沸ブレンドを使用する。
【0142】
【表5】
【0143】
表5は、高温カスケード段階でE−HFO−1336mzzおよび低温カスケード段階で55重量パーセント/45重量パーセントのHFO−1234yf/HFC−134aのブレンドを使用するカスケードヒートポンプが、周囲空気の温度が−10℃しかない寒冷な冬季でも、魅力的な全COPで、65℃の熱を発生することができることを示す。最大圧力および圧縮器放出温度は、十分に、一般に利用可能な装置で実行可能な範囲内である。低温カスケード段階の作動流体質量流れ速度は、高温カスケード段階の作動流体質量流れ速度の約60.6%に等しかった。
【0144】
実施例6
高温でのE−HFO−1336mzzの化学安定性
金属の存在下でのE−HFO−1336mzzの化学安定性を、ANSI/ASHRAE Standard 97−2007の密封管試験法に従って試験した。密封管試験で使用されるE−HFO−1336mzzの貯蔵物は、実質的に水または空気を含有しなかった。各々E−HFO−1336mzzに浸漬された鋼、銅およびアルミニウム製の3つの金属クーポンを含有する密封ガラス管を14日間、175℃、225℃および250℃の加熱オーブンで老化した。熱老化後の管の視覚による検査では、流体の変色または他の目に見える劣化のない透明な液体が示された。イオンクロマトグラフィーで測定される老化した液体試料中のフッ化物イオンの濃度は、250℃で2週間の老化後でさえ検出限界(3ppm)未満であった。フッ化物イオンの濃度は、E−HFO−1336mzz分解の程度の指標として解釈することができる。したがって、E−HFO−1336mzz分解は最小限であった。14日間の175℃、225℃および250℃での老化後のE−HFO−1336mzz試料のガスクロマトグラフィー(GC)分析では、E−HFO−1336mzzの無視できる化学変換および新規化合物の無視できる形成が示された。
【0145】
実施例7
作動流体としてE−HFO−1336mzzを使用する遷臨界ヒートポンプによるプロセス加熱:T
冷却器=150℃;T
蒸発=125℃
実施例6は、E−HFO−1336mzzがその臨界温度(137.7℃)よりも実質的に高い温度で化学的に安定性のままであることを確立した。したがって、E−HFO−1336mzzは、E−HFO−1336mzzで動作する未臨界ヒートポンプで実行可能な温度よりも高い温度で熱を供給することができる遷臨界ヒートポンプを使用可能にすることができるであろう。
【0146】
本実施例は、作動流体としてE−HFO−1336mzzで動作する遷臨界ヒートポンプの予想される性能を要約する。熱は、T
蒸発=125℃および20Kの蒸気過熱で動作する蒸発器に提供される。超臨界流体冷却器は、4MPaの圧力およびT
冷却器=150℃の出口温度で動作される。圧縮器効率は0.7として特定化された。圧縮器放出温度は、170.2℃である。E−HFO−1336mzzは、170.2℃で化学安定性のままであった。しかしながら、そのような高圧縮器放出温度は、適切な潤滑剤および圧縮器構造の材料を必要とする。サイクル性能は魅力的であって:加熱に関するCOPは4.983であり、体積加熱能力は7,953.7kJ/m
3であった。
【0147】
実施例8
単一段階高温ヒートポンプにおいてHFC−245faをE−HFO−1336mzzに置き換える:T
凝縮=118℃;T
蒸発=65℃
表6は、作動流体としてE−HFO−1336mzzを用いる単一段階ヒートポンプの予想される性能をHFC−245faと比較する。ヒートポンプを使用し、65℃で動作する蒸発器に供給される利用可能な廃熱を使用して、118℃の凝縮温度で加熱を提供する。凝縮器で放出される熱は、様々なプロセス加熱用途に適合させるために使用することができる。蒸発器に供給される熱は、低温地熱供給源に由来していてもよい。表6は、E−HFO−1336mzzがHFC−245faのほぼ完全置き換えであることを示す。
【0148】
【表6】
【0149】
選択された実施形態
実施形態A1:
ヒートポンプにおいて熱を発生する方法であって、熱交換器において、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体から熱を引き出し、それによって、冷却された作動流体を発生する工程を含んでなる方法。
【0150】
実施形態A2:
熱交換器が、超臨界作動流体冷却器および凝縮器からなる群から選択される、実施形態A1の方法。
【0151】
実施形態A3:
ヒートポンプが高温ヒートポンプであり、かつ熱交換器が約50℃より高い温度で動作する、実施形態A1〜A2のいずれかの方法。
【0152】
実施形態A4:
ヒートポンプが高温ヒートポンプであり、かつ熱交換器が約75℃より高い温度で動作する、実施形態A1〜A3のいずれかの方法。
【0153】
実施形態A5:
ヒートポンプが高温ヒートポンプであり、かつ熱交換器が約100℃より高い温度で動作する、実施形態A1〜A4のいずれかの方法。
【0154】
実施形態A6:
第1の熱伝達媒体を熱交換器に通過させ、それによって、熱の上記抽出が第1の熱伝達媒体を加熱する工程と、熱交換器からの加熱された第1の熱伝達媒体を加熱される物体まで通過させる工程とをさらに含んでなる、実施形態A1〜A5のいずれかの方法。
【0155】
実施形態A7:
第1の熱伝達媒体が水であり、かつ加熱される物体が水である、実施形態A1〜A6のいずれかの方法。
【0156】
実施形態A8:
第1の熱伝達媒体が水であり、かつ加熱される物体が暖房のための空気である、実施形態A1〜A6のいずれかの方法。
【0157】
実施形態A9:
第1の熱伝達媒体が工業用の熱伝達液体であり、かつ加熱される物体は化学プロセス流である、実施形態A1〜A6のいずれかの方法。
【0158】
実施形態A10:
作動流体を膨張させる工程と、次いで、第2の熱交換器において作動流体を加熱して、加熱された作動流体を発生する工程とをさらに含んでなる、実施形態A1〜A5のいずれかの方法。
【0159】
実施形態A11:
上記第2の熱交換器が蒸発器であり、かつ加熱された作動流体が蒸気である、実施形態A10の方法。
【0160】
実施形態A12:
動的または容積式圧縮器において作動流体を圧縮する工程をさらに含んでなる、実施形態A1〜A11のいずれかの方法。
【0161】
実施形態A13:
動的圧縮器が遠心式圧縮器である、実施形態A12の方法。
【0162】
実施形態A14:
第1の熱伝達媒体が空気であり、かつ熱交換器から加熱される空間まで通過する、実施形態A6〜A13のいずれかの方法。
【0163】
実施形態A15:
第1の熱伝達流体がプロセス流の一部であって、熱交換器からプロセスに戻される、実施形態A6〜A13のいずれかの方法。
【0164】
実施形態B1:
カスケード構造で配置される少なくとも2つの段階の間で熱が交換されるヒートポンプにおいて熱を発生する方法であって、第1のカスケード段階の第1の作動流体において、選択された低温で熱を吸収する工程と、高温で熱を供給する第2のカスケード段階の第2の作動流体へ、この熱を伝達する工程とを含んでなり、第2の作動流体がE−HFO−1336mzzを含んでなる方法。
【0165】
実施形態C1:
作動流体加熱器、圧縮器、作動流体冷却器(および膨張デバイスを含んでなるヒートポンプ装置であって、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を含有する装置。
【0166】
実施形態C2:
上記ヒートポンプが、約50℃より高い作動流体冷却器動作温度を有する高温ヒートポンプである、実施形態C1の方法。
【0167】
実施形態C3:
ヒートポンプが高温ヒートポンプであり、かつ熱交換器が約75℃より高い温度で動作する、実施形態C1の方法。
【0168】
実施形態C4:
ヒートポンプが高温ヒートポンプであり、かつ熱交換器が約100℃より高い温度で動作する、実施形態C1の方法。
【0169】
実施形態C5:
動的または容積式圧縮器において作動流体を圧縮する工程をさらに含んでなる、実施形態C1〜C4のいずれかの方法。
【0170】
実施形態C6:
動的圧縮器が遠心式圧縮器である、実施形態C5の方法。
【0171】
実施形態C7:
カスケードシステムとして配置される少なくとも2つの段階を有し、各段階がそれを通して作動流体を循環させ、熱が先行カスケード段階から最終カスケード段階まで伝達され、かつ最終段階の作動流体がE−HFO−1336mzzを含んでなる、実施形態C1〜C6のいずれかの方法。
【0172】
実施形態C8:
カスケードシステムとして配置された少なくとも2つの段階を有し、それを通して作動流体を循環する各段階が、
(a)第1の作動流体液体の圧力および温度を低下させるための第1の膨張デバイスと、(b)入口および出口を有する作動流体加熱器であって、第1の膨張デバイスからの第1の作動流体が、作動流体加熱器入口を通って作動流体加熱器に入り、作動流体加熱器で加熱されて、加熱された第1の作動流体を形成し、作動流体加熱器出口まで循環する、作動流体加熱器と、
(c)入口および出口を有する第1の圧縮器であって、作動流体加熱器からの加熱された第1の作動流体蒸気が、第1の圧縮器の入口に循環し、圧縮され、それによって、加熱された第1の作動流体の圧力および温度が増加し、圧縮された加熱された第1の作動流体が発生し、圧縮された加熱された第1の作動流体が、第1の圧縮器の出口まで循環する、圧縮器と、
(d)(i)第1の入口および第1の出口、および
(ii)第2の入口および第2の出口
を有する、カスケード熱交換器システムであって、
加熱された第1の作動流体が、第1の入口から第1の出口まで循環し、熱交換器システムで冷却され、冷却された第1の作動流体を形成し、それによって熱が放出し、
第2の作動流体が、第2の入口から第2の出口まで循環し、第1の作動流体によって放出された熱を吸収し、加熱された第2の作動流体を形成する、カスケード熱交換器システムと、
(e)入口および出口を有する第2の圧縮器であって、カスケード熱交換器システムからの加熱された第2の作動流体が圧縮器に引き入れられ、圧縮され、それによって、加熱された第2の作動流体の圧力および温度が増加する、第2の圧縮器と、
(f)それを通して加熱された第2の作動流体を循環するため、および第2の圧縮器からの加熱された第2の作動流体を冷却し、冷却された第2の作動流体を形成して、それによって熱を供給するための、入口および出口を有する作動流体冷却器であって、冷却された第2の作動流体が出口を通して作動流体冷却器を出る、作動流体冷却器と、
(g)作動流体冷却器を出る冷却された第2の作動流体の圧力および温度を低下させるため、およびカスケード熱交換器システムの第2の入口に入るための第2の膨張デバイスとを含んでなり、
第2の作動流体がE−HFO−1336mzzを含んでなる、実施形態C1〜C7の方法。
【0173】
実施形態C9:
第1の作動流体が、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、E−HFO−1234ye、HFO−1336yf、HFO−1243yf、Z−HFO−1234ze、HCFO−1233xfおよびHFC−1243zfからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンを含んでなる、実施形態C8の方法。
【0174】
実施形態C10:
第1の作動流体が、HFC−32、HFC−125、HFC−134a、HFC−134、HFC−143a、HFC−152a、HFC−161、HFC−227ca、HFC−245cb、HFC−236fa、HFC−236eaおよびHFC−227eaからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロアルカンを含んでなる、実施形態C8〜C9の方法。
【0175】
実施形態C11:
第1の作動流体が、炭化水素、NH
3、CO
2またはN
2Oから選択される少なくとも1種の作動流体を含んでなる、実施形態C8〜C10の方法。
【0176】
実施形態C12:
最終カスケード段階に先行するカスケード段階の作動流体が、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、E−HFO−1234ye、HFO−1336yf、HFO−1243yf、Z−HFO−1234ze、HCFO−1233xfおよびHFC−1243zfからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンを含んでなる、実施形態C8〜C11の方法。
【0177】
実施形態C13:
最終カスケード段階に先行するカスケード段階の作動流体が、HFC−32、HFC−125、HFC−134a、HFC−134、HFC−143a、HFC−152a、HFC−161、HFC−227ca、HFC−245cb、HFC−236fa、HFC−236eaおよびHFC−227eaからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロアルカンを含んでなる、実施形態C7〜C12の方法。
【0178】
実施形態C14:
最終カスケード段階に先行するカスケード段階の作動流体が、炭化水素、NH
3、CO
2またはN
2Oから選択される少なくとも1種の作動流体を含んでなる、実施形態C7〜C13の方法。
【0179】
実施形態D1:
上記圧縮器が軸流式および遠心式からなる群から選択される、実施形態A12の方法または実施形態C1〜C14のいずれかの装置。
【0180】
実施形態D2:
上記圧縮器が、往復、スクリューおよびスクロールからなる群から選択される、実施形態A12の方法または実施形態C1〜C14のいずれかの装置。
【0181】
実施形態D3:
作動流体加熱器が蒸発器である、実施形態C8〜C14のいずれかの方法。
【0182】
実施形態E1:
作動流体としての、CFC−12、CFC−114、HCFC−124、HCFC−22、HFC−134a、HFC−236fa、HFC−245fa、炭化水素、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234ze、HFO−1243zf、あるいはHFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234zeまたはHFO−1243zfを含有するブレンドのために設計されたヒートポンプまたはチラーにおいて、上記作動流体を置き換えるための方法であって、E−HFO−1336mzzを含んでなる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる方法。
【0183】
実施形態E2:
上記ヒートポンプが、約50℃より高い作動流体冷却器または凝縮器動作温度を有する高温ヒートポンプである、実施形態E1の方法。
【0184】
実施形態E3:
置き換えられる作動流体が、HFC−236fa、HCFC−124、HFC−134aまたはCFC−12、HCFC−22、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、HFO−1243zf、あるいはHFO−1234yfまたはE−HFO−1234zeまたはHFO−1243zfを含有するブレンドであり、かつ最大実行可能凝縮温度が、上記置き換えられた作動流体によって達成可能な温度より高い温度まで増加する、実施形態E1〜E2のいずれかの方法。
【0185】
実施形態E4:
最大実行可能凝縮温度が約118℃まで増加する、実施形態E1〜E3のいずれかの方法。
【0186】
実施形態E5:
上記作動流体のために設計されたチラーがヒートポンプに変換される、実施形態E1〜E4のいずれかの方法。
【0187】
実施形態F1:
カスケードヒートポンプシステムにおいて同時に加熱および冷却を供給する方法であって、NH
3、CO
2、N
2O、HFC−32、HFC−125、HFC−143a、HFC−227ea、HFC−227ca、HFC−245cb、HFC−236fa、HFC−236ea、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、HFO−1243zf、E−HFO−1234ye、HFO−1336yf、HFO−1243yf、Z−HFO−1234ze、HCFO−1233xf、HFC−134a、HFC−134、HFC−161、HFC−152a、炭化水素およびそれらの混合物からなる群から選択される作動流体を含有する低温カスケード段階を提供する工程と、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を含有する高温カスケード段階を提供する工程とを含んでなり、上記低温カスケード段階および上記高温カスケード段階が熱的に接触している方法。
【0188】
実施形態G1:
(i)E−HFO−1336mzzから本質的になる作動流体、および(ii)50℃以上の温度で分解を防止する安定剤、または(iii)50℃以上での使用のために適切な潤滑剤、あるいは(ii)および(iii)の両方を含んでなる組成物。
【0189】
実施形態H1:
HCFC−22作動流体のために設計されたヒートポンプまたはチラーにおいて、HCFC−22作動流体を置き換える方法であって、E−HFO−1336mzzを含んでなる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる方法。
【0190】
実施形態I1:
HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234zeまたはHFO−1243zfおよび任意選択で1種以上の飽和ヒドロフルオロカーボンまたは炭化水素を含んでなる作動流体のために設計されたヒートポンプまたはチラーにおいて、上記作動流体を置き換える方法であって、E−HFO−1336mzzを含んでなる置き換え作動流体を提供する工程を含んでなる方法。
【0191】
実施形態J1:
カスケードヒートポンプシステムにおいて同時に加熱および冷却を供給する方法であって、NH
3、CO
2、N
2O、HFC−32、HFC−125、HFC−143a、HFC−227ea、HFC−227ca、HFC−245cb、HFC−236fa、HFC−236ea、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、HFO−1243zf、E−HFO−1234ye、HFO−1336yf、HFO−1243yf、Z−HFO−1234ze、HCFO−1233xf、HFC−134a、HFC−134、HFC−161、HFC−152a、炭化水素およびそれらの混合物からなる群から選択される作動流体を含有する低温カスケード段階を提供する工程と、E−HFO−1336mzzを含んでなる作動流体を含有する高温カスケード段階を提供する工程とを含んでなり、上記低温カスケード段階および上記高温カスケード段階が熱的に接触している方法。