特許第6836337号(P6836337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836337迅速な解放噴射バルブを備えた圧電式の噴射システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836337
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】迅速な解放噴射バルブを備えた圧電式の噴射システム
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20210215BHJP
【FI】
   B05C5/00 101
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-102256(P2016-102256)
(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公開番号】特開2016-215198(P2016-215198A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2019年5月17日
(31)【優先権主張番号】62/165,245
(32)【優先日】2015年5月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/153,996
(32)【優先日】2016年5月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ディー ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム マッキンドー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ティース
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−1462262(KR,B1)
【文献】 特開2013−046906(JP,A)
【文献】 特開2011−230122(JP,A)
【文献】 特開2009−219993(JP,A)
【文献】 特開2009−154123(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/048643(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05C5/00−21/00
B05D1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射ディスペンサであって、
アクチュエータハウジングと、
前記アクチュエータハウジング内のアクチュエータと、
一端において前記アクチュエータハウジングにヒンジ部で結合された流体本体部ハウジングであって、他端において当該流体本体部ハウジングが前記アクチュエータハウジングに結合される位置と当該流体本体部ハウジングが前記アクチュエータハウジングから取り外される位置との間で回動されることが可能な流体本体部ハウジングと、
前記流体本体部ハウジングに結合されていて、流体孔に連通する流体入口部と、噴射バルブと、を含む流体本体部と、
を備え、
前記噴射バルブは、前記流体本体部ハウジングが前記アクチュエータハウジングに結合される時に前記アクチュエータに動作可能に結合される可動シャフトを含んでおり、
前記可動シャフトは、前記流体孔から流体の量を噴射するべく前記アクチュエータによって移動され、
前記流体本体部は、前記流体本体部ハウジングが前記アクチュエータハウジングから取り外される時、前記流体本体部ハウジングから取り外し可能である
ことを特徴とする噴射ディスペンサ。
【請求項2】
前記アクチュエータは、
適用電圧に応じて第1距離だけ伸長する圧電ユニットと、
前記圧電ユニットに動作可能に結合された増幅器と、
を更に有している
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射ディスペンサ。
【請求項3】
前記流体本体部ハウジングは、前記他端において回転コネクタで前記アクチュエータハウジングに結合されている
ことを特徴とする請求項に記載の噴射ディスペンサ。
【請求項4】
前記流体本体部ハウジングは、フック形のフランジ部を更に有しており、当該フランジ部に対して前記回転コネクタは、前記他端において前記アクチュエータハウジングを当該流体本体部ハウジングに結合するべく、係合する
ことを特徴とする請求項に記載の噴射ディスペンサ。
【請求項5】
コネクタハウジングが、前記アクチュエータハウジングに堅固に固定されており、
回転シャフトが、前記回転コネクタを含んでいて、前記コネクタハウジング内に位置している
ことを特徴とする請求項に記載の噴射ディスペンサ。
【請求項6】
前記流体本体部ハウジングは、前記他端において可動ピンで前記アクチュエータハウジングに結合されている
ことを特徴とする請求項に記載の噴射ディスペンサ。
【請求項7】
前記可動ピンは、前記流体本体部ハウジング内のスロット内で移動することによって、前記流体本体部ハウジングと前記アクチュエータハウジングとを結合する
ことを特徴とする請求項に記載の噴射ディスペンサ。
【請求項8】
コネクタハウジングが、前記アクチュエータハウジングに堅固に固定されていて、バネ付勢要素を含んでおり、
前記可動ピンは、前記他端において前記流体本体部ハウジングと前記アクチュエータハウジングとを結合する乃至取り外すべく、前記バネ付勢要素に抗して前記アクチュエータハウジングに向かって移動される
ことを特徴とする請求項に記載の噴射ディスペンサ。
【請求項9】
前記アクチュエータハウジングは、孔を有しており、
前記流体本体部は、前記噴射バルブを含むタペット組立体を有しており、
前記タペット組立体は、前記アクチュエータハウジングと前記流体本体部ハウジングとが結合される時、前記アクチュエータハウジングの前記孔内に保持される
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射ディスペンサ。
【請求項10】
前記タペット組立体は、前記流体本体部から取り外し可能である
ことを特徴とする請求項に記載の噴射ディスペンサ。
【請求項11】
前記流体本体部ハウジングは、流体漏洩の経路を提供するためのT字溝を有して構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年5月22日出願の米国仮出願第62/165,245の優先権を主張するものである。当該仮出願の全体の内容は、この参照によって、本明細書に組み込まれる(incorporated by reference)。
【0002】
本発明は、全体として、基板上に粘性のある流体の小滴を堆積させる非接触式の噴射ディスペンサに関している。特には、1以上の圧電素子によって作動される当該タイプのディスペンサに関している。
【背景技術】
【0003】
非接触式の粘性材料ディスペンサは、しばしば、基板上に、例えば50センチポワーズを超える粘度を有する粘性材料の微小量を適用(塗布)するために用いられる。例えば、非接触式の粘性材料ディスペンサは、プリント基板のような電子基板上に様々な粘性材料を適用(塗布)するために用いられる。電子基板に適用(塗布)される粘性材料は、一般用途の接着剤、紫外線硬化接着剤、はんだペースト、はんだ溶剤(solder flux)、はんだマスク、熱グリース、蓋シール材、オイル、カプセル化剤、埋込用樹脂、エポキシ樹脂、ダイ取り付けペースト、シリコン、RTV、シアノアクリレート、を例示的に含むが、それらに限定はされない。
【0004】
非接触式の噴射ディスペンサから基板上に粘性材料をディスペンスするという具体的な応用は、多様に存在している。半導体パッケージ組立においては、とりわけ、下地埋め(underfilling)、ボールグリッドアレイ内でのはんだボール補強、堰き止め充填操作(dam and fill operations)、チップカプセル化(chip encapsulation)、チップスケールパッケージの下地埋め(underfilling chip scale packages)、キャビティ充填ディスペンシング(cavity fill dispensing)、ダイ取り付けディスペンシング(die attach dispensing)、蓋シールディスペンシング(lid seal dispensing)、流れ無し下地埋め(no flow underfilling)、流動噴射(flux jetting)、熱材料ディスペンシング、といった用途が存在する。印刷回路基板(PCB)の生産の表面取り付け技術(SMT)のために、表面取り付け接着剤、はんだペースト、導電性接着剤、及び、はんだマスク材料が、選択的な流動噴射と同様に、非接触式のディスペンサからディスペンスされる。等角性(conformal)の被覆も、非接触式のディスペンサを用いて選択的に適用され得る。一般的に、硬化された粘性材料は、印刷基板及びその上に取り付けられた装置を、湿気や菌類や埃や腐食や摩耗等の環境ストレスに起因する害から保護する。硬化された粘性材料は、特定の被覆されていない領域において、導電特性及び/または熱伝導特性を維持し得る。用途は、ディスク駆動分野や、医療用電子機器のためのライフサイエンス応用分野、接着、シーリング、ガスケット形成、ペイント及び潤滑といった一般工業用途、にも存在する。
【0005】
噴射ディスペンサは、一般的に、当該ディスペンサの出口オリフィスから粘性材料の小滴を噴射する間、シャフトまたはタペットをシートに向かって繰り返し移動する空気圧式または電気式のアクチュエータを有し得る。電気的に起動される噴射ディスペンサは、より具体的には、圧電式(ピエゾ)アクチュエータを利用することができる。
【0006】
噴射ディスペンサバルブを洗浄する能力は、バルブ性能にとって重要である。適切な洗浄を達成するため、バルブに至る流路及びバルブ内の流路は、容易にアクセス可能であるべきである。しかし、多くの噴射ディスペンサの設計が、依然として、全ての要求される表面を適切に洗浄するための十分なアクセスを有していない。紫外線硬化材料のような幾つかの材料は、ディスペンサに関連付けられた加熱要素によって適用される熱のために、流路内で硬化する。しばしば、ユーザは、洗浄目的のアクセスを得るために、何らかの態様で加熱要素を取り外さなければならない。これは、時間や付加的な工具を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
少なくともこれらの理由のために、これらの問題及びその他の問題に対処するような噴射システム及び噴射方法を提供することが、所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、全体として、アクチュエータハウジングと、アクチュエータと、流体本体部ハウジングと、流体本体部と、を備えた噴射ディスペンサを提供する。アクチュエータは、アクチュエータハウジング内にあって、流体本体部ハウジングは、アクチュエータハウジングに結合可能及び取り外し可能である。流体本体部は、流体本体部ハウジングに結合されていて、流体孔に連通する流体入口部を含んでいる。流体本体部は、更に、流体本体部ハウジングがアクチュエータハウジングに結合される時にアクチュエータに動作可能に結合される可動シャフトを有する噴射バルブを含んでいる。可動シャフトは、流体孔から流体の量を噴射するべくアクチュエータによって移動される。流体本体部は、流体本体部ハウジングがアクチュエータハウジングから取り外される時、流体本体部ハウジングから取り外し可能である。これは、噴射バルブ及び/または流体本体部の容易な洗浄及び/または交換を許容する。
【0009】
別の観点では、前記アクチュエータは、適用電圧に応じて第1距離だけ伸長する圧電ユニットと、前記圧電ユニットに動作可能に結合された増幅器と、を更に有し得る。前記流体本体部ハウジングは、ヒンジ部で前記アクチュエータハウジングに結合され得て、前記流体本体部ハウジングは、当該流体本体部ハウジングが前記アクチュエータハウジングに結合される位置と当該流体本体部ハウジングが前記アクチュエータハウジングから取り外される位置との間で、回動され得る。この態様では、流体本体部ハウジングが、当該流体本体部ハウジングをアクチュエータハウジングから完全に接続解除する必要無しに、結合状態と結合解除状態との間で容易に移動され得る。もっとも、流体本体部ハウジングは、アクチュエータハウジングに、任意の好適な態様で結合され得る。それは、流体本体部ハウジングをアクチュエータハウジングから完全に接続解除する任意の態様を含む。
【0010】
別の観点では、噴射ディスペンサは、回転コネクタで前記アクチュエータハウジングに結合され得る。前記流体本体部ハウジングは、フック形のフランジ部を更に有し得て、当該フランジ部に対して前記回転コネクタは、前記アクチュエータハウジングを当該流体本体部ハウジングに結合するべく、係合し得る。更に、コネクタハウジングが、前記アクチュエータハウジングに堅固に固定され得て、回転シャフトが、前記回転コネクタを含み得て、前記コネクタハウジング内に位置し得る。
【0011】
更に別の観点では、噴射ディスペンサは、可動ピンで前記アクチュエータに結合され得る。前記可動ピンは、前記流体本体部ハウジング内のスロット内で移動することによって、前記流体本体部ハウジングと前記アクチュエータハウジングとを結合し得る。更に、コネクタハウジングが、前記アクチュエータハウジングに堅固に固定され得て、バネ付勢要素を含み得る。前記可動ピンは、前記流体本体部ハウジングと前記アクチュエータハウジングとを結合する乃至取り外すべく、前記バネ付勢要素に抗して前記アクチュエータハウジングに向かって移動され得る。
【0012】
別の観点では、前記アクチュエータハウジングは、孔を有し得て、前記流体本体部は、前記噴射バルブを含むタペット組立体を有し得て、前記タペット組立体は、前記アクチュエータハウジングと前記流体本体部ハウジングとが結合される時、前記アクチュエータハウジングの前記孔内に保持され得る。更に、前記タペット組立体は、前記流体本体部から取り外し可能であり得る。
【0013】
更に別の観点では、前記流体本体部ハウジングは、流体漏洩の経路を提供するためのT字溝を有して構成され得る。
【0014】
本発明の様々な付加的な特徴及び利点が、添付の図面と関連して図示の実施形態の以下の詳細な説明を参酌することで、当業者にはより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の図示の実施形態による噴射ディスペンサシステムの斜視図である。
【0016】
図2図2は、図1の2−2線による断面図である。
【0017】
図2A図2Aは、図2から取られたタペット組立体及び流体本体部の拡大断面図であり、開放状態のタペットを示している。
【0018】
図2B図2Bは、図2Aと同様の断面図であるが、流体滴の噴射後の閉鎖位置でのタペットを示している。
【0019】
図3図3は、ディスペンサの圧電式アクチュエータの部分分解斜視図である。
【0020】
図4図4は、内部の詳細をよりよく示すべく破線で示された所定要素を有する圧電式噴射ディスペンサの斜視図である。
【0021】
図5図5は、レバー振幅機構を図示するアクチュエータの下方位置の側方正面図である。
【0022】
図6A図6Aは、アクチュエータハウジングに結合された流体本体部ハウジングの拡大概略図である。
【0023】
図6B図6Bは、図6Aと類似の図であるが、流体本体部ハウジングがアクチュエータハウジングから結合解除され得るように回転されたコネクタを示している。
【0024】
図7図7は、アクチュエータハウジングから取り外され、流体本体部が取り外された、流体本体部ハウジングを示す斜視図である。
【0025】
図8図8は、アクチュエータハウジングに対する流体本体部ハウジングの結合及び結合解除(取り外し)を許容するコネクタの別の実施形態を示す斜視図である。
【0026】
図8A図8Aは、図8の8A−8A線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1乃至図4を参照して、本発明の一実施形態に従う噴射システム10は、全体的に、メイン電子制御部14に結合された噴射ディスペンサ12を備えている。噴射ディスペンサ12は、アクチュエータハウジング18に結合された流体本体部16を含んでいる。より具体的には、流体本体部16は、流体本体部ハウジング19内に保持されている。流体本体部ハウジング19は、用途の必要性に依存して、1以上のヒータ(不図示)を含み得る。流体本体部16は、シリンジバレル(不図示)のような好適な流体供給部20から圧力流体を受容する。タペットまたはバルブ組立体22が、ハウジング18に結合されていて、流体本体部16内に延びている。機械的な増幅器(例えばレバー24)が、以下に詳述されるように、圧電式アクチュエータ26とタペットまたはバルブ組立体22との間に結合されている。
【0028】
圧電式アクチュエータ26を冷却する目的で、空気が供給源27から入力ポート28へ導入され得て、排出ポート30から排出され得る。あるいは、冷却の必要性に応じて、図2に示すように、ポート28、30の両方が供給源27から冷却空気を受容し得る。このような場合には、1以上の他の排出ポート(不図示)が、ハウジング18に設けられるであろう。温度及びサイクル制御部36が、噴射動作中にアクチュエータ26をサイクル動作させ、ディスペンスされる流体を要求される温度に維持するべくディスペンサ12に保持された1以上のヒータ(不図示)を制御するために、設けられている。別の選択肢として、この制御部36または他の制御部は、閉ループの態様で、アクチュエータ26の冷却の必要性を制御し得る。図4に更に示されるように、圧電式アクチュエータ26は、更に、圧電要素のスタック40を含む。このスタック40は、当該スタック40の両側に結合されたそれぞれの平坦な圧縮バネ要素42、44によって、圧縮状態に維持されている。より具体的には、上下のピン46、48が設けられていて、圧電要素のスタック40を間に挟むようにして平坦なバネ要素42、44を互いに保持している。上方ピン46は、アクチュエータ26の上方アクチュエータ部26a内に保持されており、下方ピン48は、スタック40の下方端と直接または間接に係合している。上方アクチュエータ部26aは、圧電要素のスタック40を堅固に収容し、スタック40は、側方運動に対しては、安定されている。この実施形態では、下方ピン48は、下方アクチュエータ部26bに結合されていて、より具体的には、機械的なアーマチュア50(図2参照)に結合されている。
【0029】
機械的なアーマチュア50の上方面50aが、圧電スタック40の下方端を支持している。バネ要素42、44は、ピン46、48の間で延びていて、図4の矢印53に示すように、バネ42、44は一定の圧縮(力)をスタック40に適用している。平坦なバネ要素42、44は、より具体的には、ワイヤEDM(放電)加工から形成され得る。圧電要素スタック40の上方端は、上方アクチュエータ部26aの内面に保持されている。上方ピン46は、従って、下方ピン48が浮いているかバネ要素42、44及び機械的なアーマチュア50と共に移動している間、静止している。
【0030】
電圧が圧電スタック40に適用される時、当該スタック40は、拡張ないし伸長し、このことがアーマチュア50をバネ要素42、44の力に抗して下方に移動させる。スタック40は、適用される電圧の量に比例する長さだけ変化する。
【0031】
更に図2に示されるように、機械的なアーマチュア50は、機械的な増幅器に動作可能に結合されている。当該増幅器は、この図示例では、第1端24aの近傍でアーマチュア50に結合され第2端24bでプッシュロッド68に結合されたレバー24として形成されている。当該レバー24は、例えば機械的なアーマチュア50とレバー24との間で一連のスロット56を形成するEDM加工によって、下方アクチュエータ部26bから一体形成され得る。更に後述されるように、レバー24または他の機械的な増幅器は、スタック40が拡張ないし伸長する距離を所望の量だけ増幅する。例えば、この実施形態では、スタック40及び機械的なアーマチュア50の下方運動が、レバー24の第2端24bにおいて約8倍だけ増幅される。
【0032】
ここで、図2図2A図2B及び図5をより詳しく参照して、湾曲可能部60がレバー24を機械的なアーマチュア50に結合している。図5に最も良く示されているように、レバー24は、当該レバー24の第2端24bと略同じ水平高さにある回動点62回りで回動する。この回動点62の位置は、レバー24が回転する円弧の効果を最小化するのに役立つ。一連のスロット56は、下方アクチュエータ部26b内に形成されて、湾曲可能部60を形成している。図5に矢印66によって示されているように、圧電スタック40がメイン制御部14による電圧の適用下で伸長する時、スタック40が機械的なアーマチュア50を下方に押圧するにつれて、レバー24が回動点62回りに時計回りに回転する。レバー24の僅かな回転は、湾曲可能部60によって適用される弾性バイアス力に抗して生じる。第2端24bが回動点62回りに時計回りに僅かに回転するにつれて、それは下方に移動し、図5の矢印67に示されるように、プッシュロッド68を下方に移動させる(図2参照)。
【0033】
レバー24の第2端24bは、好適なネジ締結具70、72を用いて、プッシュロッド68に固定されている。プッシュロット68は、ガイドハウジング74内を移動しタペットまたはバルブ組立体22と関連付けられたタペットまたはバルブ要素76の上方ヘッド部76aにもたれている下方ヘッド部68aを有している。ガイドハウジング74は、図2A及び図2Bに最も良く示されているように、ピン75でハウジング18内に保持されている。プッシュロッド68、ガイドブッシュ74及びピン75の組立体は、動作中にプッシュロッド68の適切な運動を保証するための幾つかの「柔軟性」を許容する。また、プッシュロッド68は、タペットまたはバルブ要素76及びレバー24を伴うその往復動作中に、僅かに側方に弾性的に撓む材料で作られている。タペット組立体は、更に、環状要素80を用いてハウジング18の下方部内に取り付けられたコイルバネ78を含んでいる。タペットまたはバルブ組立体22は、更に、Oリング84によって流体本体部16内に保持された挿入部82を含んでいる。環状要素80及び挿入部82は、本実施形態では、一体要素、すなわちカートリッジ本体部、である。横断方向に穿孔された滲出孔85は、バネ78の下端に略合致して、Oリング86を漏洩通過した液体が脱出することを許容する。付加的なOリング86は、流体本体部16の流体孔88内に収容された圧縮流体が漏洩しないように、タペットまたはバルブ要素76をシールしている。流体は、流体供給部20から流体本体部16の入力部90及び通路92、94を通って流体孔88に供給される。Oリング84は、環状要素80及び挿入部82によって形成されたカートリッジ本体部の外側を、孔88及び通路94内の圧縮流体からシールする。流体通路92、94は、流体本体部16内に螺合されたプラグ部材96によってシールされている。プラグ部材96は、内部通路94を洗浄するためのアクセスを許容するべく、取り外され得る。
【0034】
流体の液滴または小量を噴射するための前記システム10の動作は、図2A及び図2Bとの関連で図2乃至図4を参照することで、最も良く理解されるであろう。図2Aは、圧電スタック40への電圧が十分に除去された時の、開放位置に上昇されたタペットまたはバルブ要素76を示している。これは、スタック40を収縮させる。スタック40が収縮する時、平坦なバネ要素42、44は、アーマチュア50を上方に引き上げ、レバー24の第2端24bを上昇させ、プッシュロッド68を上昇させる。これにより、タペットまたはバルブ組立体22のコイルバネ78は、タペットまたはバルブ要素76のヘッド部76aを上方に押し上げることができ、タペットまたはバルブ要素76の先端76bを流体本体部16に固定されたバルブシート100から離れるように上昇されることができる。この位置では、流体孔88及びタペットまたはバルブ要素76の先端76b下方の領域は、噴射を「チャージ」するべく追加の流体で満ちる。
【0035】
圧電スタック40が起動される時、すなわち、電圧がメイン制御部14(図1)によって圧電スタック40に適用される時、スタック40は拡張して機械的なアーマチュア50を押し下げる。これは、レバー24を時計回りに回転させ、第2端24bを下方に移動させ、プッシュロッド68を下方に移動させる。プッシュロッド68の下方ヘッド部68aは、図2Bに示されるように、タペットまたはバルブ要素76のヘッド76aを押し下げ、タペットまたはバルブ要素76は、先端76bがバルブシート100に係合するまで、コイルバネ78の力に抗して下方に迅速に移動する。この移動の過程において、タペットまたはバルブ要素76の先端76bは、流体滴102を強制的に排出出口104から排出させる。その後、電圧が圧電スタック40から除去されると、これらの構成要素の各々の運動が逆転して、タペットまたはバルブ要素76が次の噴射サイクルのために上昇する。
【0036】
圧電式アクチュエータ26は、液滴を噴射するために反対に利用されてもよい、ということが理解される。この場合、レバー24を含む様々な機械的な起動構造は、電圧が圧電スタック40から除去された時に結果としてのスタック40の収縮がタペットまたはバルブ要素76のバルブシート100及び排出出口104に向かう移動を引き起こして流体滴102を排出するというように、様々に設計され得る。この時、スタック40への電圧の適用(印加)時、増幅システム及び他の起動要素は、タペットまたはバルブ要素76を上昇させて、次の噴射動作のために流体孔88を追加の流体でチャージする。この実施形態では、圧電スタック40に電圧が適用されない時に、タペットまたはバルブ要素76が正常に閉鎖される、すなわち、バルブシート100に係合する。
【0037】
図2に更に示されているように、上方アクチュエータ部26aは、下方アクチュエータ部26bから分離していて、これらの各部26a、26bは、異なる材料から形成されている。具体的には、上方アクチュエータ部26aは、下方アクチュエータ部26bを形成する材料よりも低い熱膨張計数を有する材料から形成されている。アクチュエータ部26a、26bの各々は、下方アクチュエータ部26bから上方アクチュエータ部26a内に延びるネジ締結具(不図示)を用いて堅固に締結されている。上方及び下方アクチュエータ部26a、26bの組立体は、その後、複数のボルト110によってハウジングに締結される。より具体的には、下方アクチュエータ部26bは、PH17−4ステンレススチールから形成され得て、上方アクチュエータ部26aは、インバールのようなニッケル鉄合金から形成され得る。17−4PHステンレススチールは、大変高い疲労限度ないし疲労強度を有していて、そのことが湾曲可能部60の寿命を増大させている。このステンレススチールの熱膨張係数は、約10μm/m−Cであり、一方、インバールの熱膨張係数は、約1μm/m−Cである。熱膨張の比は、これらの材料の約10:1という比より、高くてもよいし、低くてもよい。上方及び下方アクチュエータ部26a、26bと関連付けられた熱膨張係数は、互いに対するオフセット特性を効果的に提供する。上方及び下方アクチュエータ部26a、26bの異なる熱膨張係数は、それによって、アクチュエータ26が広い温度範囲に亘って一貫して動作すること許容する。また、圧電スタックは、高いデューディサイクルで動作される時、顕著な熱を生成し得る。インバールの使用は、アクチュエータ26の端部のより絶対的な位置決め、従ってより正確で使用に適したストローク、を提供する。
【0038】
図1及び図2との関連で図6A図6B及び図7を参照することで、流体本体部ハウジング19は、図2に示される位置に流体本体部16を保持するように機能する。この点において、図2及び図6Aは、一端でヒンジ部122によって他端の近傍で回転可能なコネクタ124aによってアクチュエータハウジング18に結合された流体本体部ハウジング19を示している。回転可能なコネクタ124aは、流体本体部ハウジング19のフック形のフランジ部126aと接続及び接続解除する。回転可能なコネクタ124aは、コネクタハウジング127内に延びる回転シャフト124またはカムロックの一部である。回転シャフト124は、反対側端部に同一のコネクタ(不図示)を有しており、それは、後述されるように、回転シャフト124が回転される時に他のフック形のフランジ部126bと係合及び係合解除する。回転シャフト124を係合ないし係止位置に係止するために、止めネジ128が、溝129との摩擦係合状態に螺合される(図2)。溝129は、回転シャフト124の軸方向位置を維持する。コネクタハウジング127は、アクチュエータハウジング18に堅固に固定されている。流体本体部16が流体本体部ハウジング19によって固定される時、タペットまたはバルブ組立体22は、図示のように、アクチュエータハウジング18の孔130内に保持される(図2A及び図2B参照)。付加的な通路131、132、133が、アクチュエータハウジング18及び流体本体部ハウジング19内に設けられ、例えば、1以上の温度センサや1以上のヒータ(不図示)の配線の提供を許容する。1以上の加熱要素(不図示)は、そこにある流体を加熱する目的で、流体本体部ハウジング19内に直接的に設けられ得る。これらの加熱要素は、流体本体部ハウジング19がメンテナンス及び/または他のサービスのためにアクチュエータハウジング18から取り外される時、取り外されたり他に処置される必要がない。
【0039】
図6A及び図6Bに示されるように、回転シャフト124は、流体本体部ハウジング19がアクチュエータハウジング18に対して堅固に保持される位置(図6A)と、流体本体部ハウジング19が当該流体本体部ハウジング19を取り外すためにヒンジ部122(図7)回りに下向きに回転され得る位置と、の間で回転され得る。図6A及び図6Bに示された位置の間でシャフトを回転するために、工具(不図示)が六角孔134に係合される。一旦取り外されると、流体本体部16が、図7に更に示されるように、流体本体部ハウジング19から取り外され得る。流体本体部ハウジング19の上面は、流体漏洩用ないし過圧状況用の通路を提供するT字溝140を含んでいる。Oリング84及び/または86を通過して漏洩する流体は、T字溝140(図2)を出てベント(排出)可能である。図2及び図7に最も良く示されているように、流体本体部16の取り外しは、当該流体本体部16が流体本体部ハウジング19内に再挿入される前に、構成要素の容易な洗浄、及び/または、他のメンテナンスや交換、を許容する。この点に関して、タペットまたはバルブ組立体22は、流体本体部16から容易に取り外され得て、1以上の新しい部品と交換され得る、及び/または、再利用のために洗浄され得る。また、通路92、94が、容易に洗浄され得る。通路92は、流体本体部16が取り外されている時、容易に洗浄され得るし、通路94は、プラグ部材96が取り外されている時、容易に洗浄され得る。
【0040】
図8及び図8Aは、流体本体部ハウジング19をアクチュエータハウジング18に結合するために用いられるコネクタの別の実施形態を示している。この実施形態では、可動ピン150が、アクチュエータハウジング18のコネクタハウジング127に結合されている。このピン150が、図8の双方向矢印152の方向に、一対のバネ154(図8A参照)の付勢力に抗して、一対のスロット151a、151b内を前後に移動可能である。かくして、ピン150は、バネ154の付勢力に抗して、アクチュエータハウジング18に向かって移動され得て、スロット151a、151bから出て、流体本体部ハウジング19をアクチュエータハウジング18から取り外して前述のような流体本体部16のメンテナンス及び/または交換を許容するべく、流体本体部ハウジング19が下向きに回動することを許容する。流体本体部16が流体本体部ハウジング19内で交換されると、流体本体部16と流体本体部ハウジング19との組立体は上向きに回転されて、流体本体部ハウジング19のカム面160がバネ154の付勢力に抗して強制的にピン140をアクチュエータハウジング18に向けて移動させる。流体本体部ハウジング19が図8に示された位置に到達する時、バネ付勢されたピン150は、バネ154の付勢力のために、アクチュエータハウジング18から遠ざかるように付勢され、スロット151a、151b内にスナップインする。これにより、流体本体部16は、噴射ディスペンサとしての動作目的のために、図2に示された位置に係止される。
【0041】
本発明は、特定の実施形態についての記述によって説明され、当該実施形態は、かなり詳しく説明された。しかしながら、添付の特許請求の範囲の請求項の範囲を、そのような詳細に制限することや、何らかの態様で限定することは、意図されていない。ここで説明された様々な特徴は、単独でも、任意の組合せでも、利用可能である。付加的な利点及び修正は、当業者にとって容易である。本発明は、その広い観点では、特定の詳細や代表的な装置及び方法や図示の例に限定されない。従って、本発明の概念の範囲または精神から逸脱することなく、そのような詳細からの発展がなされ得る。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図8A