(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
消臭基材(A)、炭素数2以上4以下のアルコール(B)、及び下記(I)〜(III)群から選ばれる一種以上の昆虫忌避剤(C)及び水を含有する、液体消臭剤組成物。
(I)2−メトキシ−4−プロピルフェノール、2−イソプロピル−4−メチルチアゾール、イソシクロシトラール、9−デセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、1−デカノール、2−エチルヘキサン酸エチル、酢酸 トランス−2−ヘキセニル、2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、フェニル酢酸エチル及び2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール
(II)3−メチル−5−プロピル−2−シクロヘキセン−1−オン、オクタヒドロ−5
−メトキシ−4,7−メタノ−1H−インデン−2−カルボキシアルデヒド、フェノキシアセトアルデヒド、γ−オクタラクトン、9−エチリデン−3−オキサトリシクロ(6.2.1.02,7 )ウンデカン−4−オン、オクタヒドロ−7−メチル−1,4−メタノナフタレン−6(2H)−オン、2,3,3−トリメチル−2H−インデン−1−オン、4−メチル−5−チアゾールエタノール、7−メトキシ−3,7−ジメチルオクタナール、3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール及び2−フェニルプロピオンアルデヒド ジメチルアセタール
(III)1−オクタノール、2,4−ジメチルシクロヘキセ−3−エン−1−メタノー
ル、2−メチル酪酸、プロピオン酸ベンジル、3−メチル−2−ペンチルシクロペント−2−エン−1−オン、オクタヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−カルボアルデヒド、6−メチルキノリン、イソ酪酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロパナール及び2−メチル−4−フェニルブタン−2−オール
消臭基材(A)が(a1)アミンオキシド型界面活性剤、(a2)ポリヒドロキシアミン化合物、(a3)分子量500以下のポリカルボン酸、リン酸及びそれらの塩、並びに(a4)糖系包接化合物から選ばれる一種以上である、請求項1又は2に記載の液体消臭剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特定の昆虫忌避剤((C)成分)、消臭基材((A)成分)及び低級アルコール((B)成分)とを含有する液体消臭剤組成物は、繊維製品に適用することで、昆虫を効果的に忌避できる。
【0011】
<(A)成分:消臭基材>
後述するが、蚊等の吸血性昆虫が誘引される原因として体温や炭酸ガスが一般に言われているが、汗等に含まれる乳酸等の有機酸もまた誘引の原因として推測されている。したがって、(A)成分としては、消臭性能に加えて有機酸の揮発化を抑制することにより昆虫忌避性能を発揮するものが好ましい。斯かる観点から、本発明における消臭基材としては以下の4つから選ばれる一種以上を含有するのが好ましい。このうち、酸やアルカリに対してpH変動抑制能を有する基材である(a1)、(a2)及び(a3)成分から選ばれる一種以上の化合物を用いることがより好ましく、さらに、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分を含有する液体消臭剤組成物がより好ましい。
(a1)アミンオキシド型界面活性剤
(a2)ポリヒドロキシアミン化合物
(a3)分子量500以下のポリカルボン酸、リン酸及びそれらの塩
(a4)糖系包接化合物
【0012】
(a1)アミンオキシド型界面活性剤としては、下記一般式(1)で表されるアミンオキサイド化合物及び下記一般式(2)で表されるアミンオキシド化合物から選ばれる1種以上の化合物を含有することができる。
【0014】
(式中、R
1は炭素数7以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であり、R
2は炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数3以上22以下のアルケニル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基又はベンジル基であり、R
3は炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基又はベンジル基であり、R
4は炭素数1以上5以下のアルキレン基である。Yは−CONR
5−、−NR
5CO−、−COO−又は−OCO−である。ここで、R
5は水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。)
【0015】
式(1)又は(2)中、R
1は炭素数7以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数7以上22以下の直鎖のアルキル基であり、好ましくは炭素数9以上、より好ましくは11以上、そして好ましくは18以下、より好ましくは16以下の直鎖のアルキル基である。
【0016】
また、式(1)又は(2)中、R
2は炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数3以上22以下のアルケニル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基又はベンジル基であり、好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0017】
また、式(1)又は(2)中、R
3は炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基又はベンジル基であり、好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0018】
式(1)の更により好ましい構造は、以下構造1又は2である。
・構造1:R
1が炭素数12以上16以下の直鎖のアルキル基であって、R
2及びR
3は独立してメチル基又はヒドロキシエチル基、好ましくはR
2及びR
3両方がメチル基である化合物。
【0019】
・構造2:R
1及びR
2が炭素数10以上16以下の直鎖のアルキル基であって、R
3はメチル基又はヒドロキシエチル基、好ましくはR
3がメチル基である化合物。
【0020】
また、式(2)中、R
4は炭素数1以上5以下のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1以上4以下のアルキレン基、より好ましくはエチレン基又はプロピレン基である。
【0021】
また、式(2)中、Yは−CONR
5−、−NR
5CO−、−COO−又は−OCO−であり、好ましくは−CONR
5−である。ここで、R
5は水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。
【0022】
式(2)の最も好ましい構造は、以下の構造3である。
・構造3:R
1が炭素数9以上16以下の直鎖のアルキル基、好ましくは炭素数11の直鎖アルキル基であって、Yが−CONR
5−であり、R
5は水素原子であって、R
4はプロピレン基であり、R
2及びR
3はメチル基である化合物。
【0023】
(a1)成分の含有量は、昆虫忌避性能の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、泡立ち抑制などの噴霧特性の観点から、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
【0024】
(a2)成分のポリヒドロキシアミン化合物又はその塩としては、下記一般式(3)で示される化合物が好ましい。
【0026】
(式中、R
6は、水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のヒドロキシアルキル基を表し、R
7は、水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のヒドロキシアルキル基を表し、R
8及びR
9は、炭素数1以上5以下のアルキレン基を表す。R
8及びR
9は、同一でも異なっていてもよい。)
【0027】
式(3)において、R
6は、消臭性能、昆虫忌避性能及び入手性の観点から、水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、又は2−ヒドロキシエチル基が好ましく、水素原子、ヒドロキシメチル基、又は2−ヒドロキシエチル基がより好ましい。
【0028】
式(3)において、R
7は、消臭性能、昆虫忌避性能及び入手性の観点から、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0029】
式(3)中、R
8、R
9は、それぞれ、炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。炭素数1以上5以下のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0030】
(a2)成分の具体例としては、例えば、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−4−ヒドロキシプロピル−1,7−ヘプタンジオール、2−(N−エチル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−エチル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等、及びこれらを無機酸又は有機酸で中和した酸塩が挙げられる。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、炭素数1以上12以下の脂肪酸、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸から選ばれる1種以上が好ましい。2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとも称される。
【0031】
(a2)成分は、昆虫忌避性能等の観点から、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール、及びこれらと塩酸等の無機酸との塩から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0032】
(a2)成分の含有量は、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは、0.1質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
【0033】
(a3)成分の分子量500以下、好ましくは400以下、より好ましくは300以下であり、好ましくは100以上、より好ましくは150以上であるポリカルボン酸としては以下の化合物を挙げることができる。エチレンジアミン四酢酸(分子量292.24、EDTAという場合もある)、メチルグリシン二酢酸(分子量205.7、MGDAという場合もある)、ニトリロ三酢酸(分子量191.1、NTAという場合もある)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(分子量278.3、HEDTAという場合もある)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(分子量177.1、HIDAという場合もある)、シュウ酸(分子量90.03)、マロン酸(分子量104.1)、コハク酸(分子量118.09)、ジグリコール酸(分子量134.0)、リンゴ酸(分子量134.09)、クエン酸(分子量192.12)、及び酒石酸(分子量150.09)から選ばれる1種以上のポリカルボン酸又はその塩が挙げられる。塩はアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましい。
リン酸及びその塩としては、リン酸及びそのアルカリ金属塩を挙げることができ、特にはリン酸2水素アルカリ金属塩、リン酸水素2アルカリ金属塩を挙げることができる。
【0034】
(a3)成分は、好ましくは、クエン酸、ジグリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸、メチルグリシン二酢酸、及びニトリロ三酢酸から選ばれる1種以上のポリカルボン酸又はその塩、又はリン酸塩であり、より好ましくはクエン酸又はその塩、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、メチルグリシン二酢酸又はその塩、リン酸2水素アルカリ金属塩又はリン酸水素2アルカリ金属塩であって、塩はナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。
【0035】
(a3)成分の含有量は、酸型に換算して好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.25質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更により好ましくは0.7質量%以下である。
【0036】
(a4)成分の糖系包接化合物としては、シクロデキストリンが好ましく、シクロデキストリンは、d−グルコースがα−1,4結合により環状に結合したものであり、6個結合したものがα−シクロデキストリン、7個のものがβ−シクロデキストリン、8個のものがγ−シクロデキストリンである。本発明では、α型、β型、γ型−シクロデキストリンのいずれをも使用することができる。
【0037】
また、シクロデキストリンの水への溶解性を向上させる目的から誘導体化することも可能である。具体的にはヒドロキシメチルシクロデキストリン、ヒドロキシエチルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、ヒドロキシブチルシクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリン、トリメチルシクロデキストリン、ジエチルシクロデキストリン、トリエチルシクロデキストリン、カルボキシメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン、マルトシルシクロデキストリン、ジマルトシルシクロデキストリン、シクロデキストリンエピクロルヒドリンポリマー等が挙げられるが、中でもヒドロキシアルキルシクロデキストリンに属するものが好ましく、最も好ましいのはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを挙げることができる。
【0038】
(a4)成分の含有量は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、そして好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。
【0039】
<(B)成分:炭素数2以上4以下のアルコール>
(B)成分は、炭素数2以上4以下のアルコールである。(B)成分は、水溶性溶剤として機能し得る低級アルコールである。
(B)成分は、1価アルコールが好ましい。
(B)成分は、好ましくは炭素数2以上3以下のアルコール、より好ましくは炭素数2以上3以下の1価アルコールである。
(B)成分の具体例としては、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられるが、好ましくはエタノール、イソプロパノール、より好ましくはエタノールである。
【0040】
(B)成分の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
【0041】
<(C)成分:昆虫忌避剤>
本発明に用いられる昆虫忌避剤は、下記の下記(I)〜(III)群から選ばれる一種以上を用いる。一種又は二種以上であってもよい。
(I):
2−メトキシ−4−プロピルフェノール、2−イソプロピル−4−メチルチアゾール、イソシクロシトラール、9−デセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、1−デカノール、2−エチルヘキサン酸エチル、酢酸 トランス−2−ヘキセニル、2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、フェニル酢酸エチル及び2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール
【0042】
(II):
3−メチル−5−プロピル−2−シクロヘキセン−1−オン、オクタヒドロ−5−メトキシ−4,7−メタノ−1H−インデン−2−カルボキシアルデヒド、フェノキシアセトアルデヒド、γ−オクタラクトン、9−エチリデン−3−オキサトリシクロ(6.2.1.0
2,7 )ウンデカン−4−オン、オクタヒドロ−7−メチル−1,4−メタノナフタレン−6(2H)−オン、2,3,3−トリメチル−2H−インデン−1−オン、4−メチル−5−チアゾールエタノール、7−メトキシ−3,7−ジメチルオクタナール、3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール及び2−フェニルプロピオンアルデヒド ジメチルアセタール
【0043】
(III):
1−オクタノール、2,4−ジメチルシクロヘキセ−3−エン−1−メタノール、o−tert−ブチルシクロヘキシル アセテート、2−メチル酪酸、プロピオン酸ベンジル、3−メチル−2−ペンチルシクロペント−2−エン−1−オン、オクタヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−カルボアルデヒド、6−メチルキノリン、イソ酪酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロパナール及び2−メチル−4−フェニルブタン−2−オール
【0044】
(I)群の昆虫忌避剤は、主に昆虫の二酸化炭素応答抑制作用があり、(II)群の昆虫忌避剤は、主に昆虫の熱受容抑制作用があり、(III)群の昆虫忌避剤は、特に蚊の忌避性に優れ、二酸化炭素応答抑制作用及び/又は熱受容抑制作用がある。
【0045】
(I)〜(III)群から選ばれる昆虫忌避剤は、後記参考例に示すように、一般に入手可能である。中でも、2−メトキシ−4−プロピルフェノール(ジヒドロオイゲノール)、2,4−ジメチルシクロヘキセ−3−エン−1−メタノール(フロラロール)、3−メチル−5−プロピル−2−シクロヘキセン−1−オン(グラベノン)、及びオクタヒドロ−7−メチル−1,4−メタノナフタレン−6(2H)−オン(プリカトン)から選ばれる1種以上が好ましい。
本発明において、対象となる昆虫としては、二酸化炭素受容応答システムを備えたものであれば特に限定されず、吸血性又は非吸血性の何れでもよい。例えば、アカイエカ、コガタアカイエカ、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ、シナハマダラカ等の蚊(メス)類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ、クロバエ、ニクバエ、タネバエ、タマネギバエ、ミバエ、ショウジョウバエ、チョウバエ、チェチェバエ等のハエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類、ユスリカ科等が挙げられ、このうち、蚊類、ハエ類、ブユ類、サシバエ類が好ましい。
【0046】
後記参考例に示すように、本発明に用いられる昆虫忌避剤は、少なくともヒトスジシマカの二酸化炭素応答を神経レベルで抑制するか、或いは熱受容システムを抑制し、蚊の人体への誘引行動を抑制する。したがって、本発明の化合物は、昆虫、とりわけ蚊忌避剤となり得る。
ここで、「蚊忌避」とは、蚊を対象物へ寄せ付けないこと、或いは蚊が対象物へ寄り付かないことを意味する。
また、「二酸化炭素応答抑制」とは、蚊が有する二酸化炭素受容応答を無力化又は低減化して、二酸化炭素に対する認知感覚を制御し、二酸化炭素源への誘引行動を抑制することを意味する。また、「熱受容応答抑制」或いは「熱受容抑制」とは、蚊が有する熱受容応答を無力化又は低減化して、熱源に対する認知感覚を抑制し、熱源への誘引行動を抑制することを意味する。
尚、昆虫の二酸化炭素応答は、公知の単一感覚毛記録法(Nature 461, 277-281 (10 September 2009))を用いて、電極を感覚毛に刺入後、二酸化炭素刺激に対する神経発火パターンを確認することにより測定することができる。また、熱受容はプレートヒーターのような熱源を配置したケージの中に蚊を放ち、熱源へ誘引された蚊の数を計測することにより測定することができる
【0047】
(C)成分の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
【0048】
更に、本発明の液体消臭剤組成物には、更に下記成分を含有することが好ましい。
<(D)成分:非イオン界面活性剤>
本発明の(D)成分は、非イオン界面活性剤をさらに含有することで、スプレー処理する場合は低粘度で且つ液滴の細かい噴霧性に優れた液体消臭剤組成物を得ることができる。非イオン界面活性剤としては、下記に示す(d1)成分、(d2)成分及び(d3)成分を用いることが好ましい。
(d1)非イオン界面活性剤としては、エチレンオキシ基の平均3モル迄はオキシプロピレン基であってもよいアルキル基の炭素数が8以上22以下のポリオキシエチレンアルキルエーテル
(d2)アルキル基の炭素数が6以上18以下、好ましくは2−エチルヘキシル基であって、グリセロール縮合度が1以上3以下、好ましくは1つのモノアルキル(ポリ)グリセリルエーテル
(d3)アルキル基の炭素数が8以上22以下であってグリコース縮合度が1以上3以下であり、平均1.0以上2.0以下のアルキルポリグルコシド
(D)成分としては、下記一般式(D−1)で表される非イオン界面活性剤がより好ましい。(D)成分は洗浄力向上効果のみならず、洗浄剤組成物の配合安定性の向上に効果がある。
R
1d−O(C
2H
4O)
p・(C
3H
6O)
q−H (D−1)
〔式中、R
1dは炭素数8以上、22以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、pは平均付加モル数を示し、0.1以上、20以下の数、qは平均付加モル数を示し、0以上、3以下である。(C
2H
4O)
pと(C
3H
6O)
qは、何れかが先に付加されたブロック重合又はランダム重合であってもよい。〕
【0049】
一般式(D−1)中、R
1dは、洗浄力の観点から、炭素数8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下である。好ましくは分岐鎖のアルキル基である。本発明では、分岐鎖のアルキル基は、第2級アルキル基、直鎖型第2級アルキル基を含める。2級アルキル基は、R
1d−Oの酸素原子と結合する炭素原子が2級炭素原子であるアルキル基である。
【0050】
一般式(D−1)中、pは、洗浄力の観点から、0.1以上、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、そして、20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7以下の数である。qは0以上、3以下、好ましくは2以下、より好ましくは0の数である。
【0051】
(d1)成分の調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば炭素数8以上、22以下の脂肪族アルコール又は前記一般式(D−1)のR
1d−OHで示される、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を有するアルコール、好ましくは第2級アルコール、より好ましくは直鎖型第2級アルコールにエチレンオキシド及び任意のプロピレンオキシドを所定量付加して製造される。エチレンオキシドやプロピレンオキシドの付加反応は触媒が必要でありNaOH、KOHなどの水酸化アルカリを用いることができる。また、特開平8−323200号公報に記載の酸化マグネシウムを主成分とする触媒を用いることができる。前者はエチレンオキシドの付加モル数分布が比較的広いポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルエーテルを得ることができ、後者は比較的狭いエチレンオキシドの付加モル数分布を有する化合物を得ることができる。また、特開平10−158384号公報に開示されているようにアルカリ触媒と金属酸化物触媒を併用することにより、付加モル数分布を制御することもできる。
【0052】
(D)成分の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上、より更に好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0053】
<(E)成分:第4級アンモニウム化合物>
本発明の液体消臭剤組成物は、処理後の繊維製品に抗菌及び除菌効果のために(E)成分として、下記一般式(4)又は(5)で表される第4級アンモニウム化合物を含有することが好ましい。
【0055】
(式中、R
10は炭素数8以上16以下の炭化水素基であり、R
11、R
12は、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R
13は炭素数1以上3以下のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基である。)
【0057】
(式中、R
14、R
15は、それぞれ、炭素数8以上12以下の炭化水素基であり、R
16、R
17は、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。)
【0058】
式(4)中、R
10は、炭素数8以上16以下の炭化水素基である。R
10の炭化水素基は、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。R
10の炭素数は、12以上14以下が好ましい。R
10は、好ましくは炭素数8以上16以下のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12以上14以下のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基から選ばれる1種以上のアルキル基であり、更により好ましくは炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基から選ばれる1種以上の直鎖のアルキル基である。
【0059】
また、式(4)中、R
11、R
12は、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、好ましくはメチル基である。R
13は、炭素数1以上3以下のアルキレン基又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキレン基であり、好ましくはメチレン基である。
【0060】
式(5)中、R
14、R
15は、それぞれ、炭素数8以上12以下の炭化水素基であり、好ましくは炭素数10のアルキル基又は炭素数10のアルケニル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数10のアルキル基である。また、R
16、R
17は、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
【0061】
(E)成分の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
【0062】
<(F)成分>
本発明の液体消臭剤組成物は、(F)成分として、昆虫忌避目的以外の香料を含有してもよく、(C)成分を考慮した香料組成物を調製することで、昆虫忌避効果のみならず不快臭に有効な香調を設計することができる。
本発明の液体消臭剤組成物は、前記した(D)成分及び(E)成分の1種以上を併用することで繊維製品に付着する不快臭に対して消臭効果をより発揮することができるが、香料成分によるマスキング効果を利用してもよく、香料成分によっては、そのものが消臭性能を有する基材もしられている。また本発明の液体消臭剤組成物は、賦香のために香料を含有してもよい。
【0063】
(F)成分である香料成分としては、例えば「香料と調香の基礎知識、中島基貴編著、産業図書株式会社発行、2005年4月20日 第4刷」に記載の香料及び特表平10−507793号公報記載の香料を使用することができる。また特開2014−213072号公報に記載の賦香剤の技術を用いることができケイ酸エステル香料やマイクロカプセル香料もまた利用することができる。
【0064】
本発明の液体消臭剤組成物は、(F)成分を、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上であり、そして前記組成物中に香料成分を安定に溶解させる目的から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下、含有する。
【0065】
<その他成分>
前記したように、油剤、ゲル化剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、色素、紫外線吸収剤、その他消臭基材を含有することができる。
油剤としては炭化水素や脂肪族アルコール、アルコールの脂肪酸エステルを挙げることができる。ゲル化剤としては、ポリアクリル酸又はその架橋物等の高分子化合物等を挙げることができる。
pH調整剤としては、塩酸などの無機酸や水酸化ナトリウム等のアルカリ剤や、を使用することができる。また、(a2)成分のポリカルボン酸又はその塩がpHの調整に寄与してもよい。
酸化防止剤としてはBHT等の公知の芳香族化合物を挙げることができる。
防腐剤としては製品名プロキセルとして市販されているものを用いることができる。
色素としては組成物の着色剤を用いることができるが、本発明の液体消臭剤組成物は、繊維製品に直接付着して使用する、例えば塗布ないし噴霧して使用することから、処理対象品を着色させない基材が用いられる。
紫外線吸収剤としては公知の化合物を用いることができる。
【0066】
本発明の液体消臭剤組成物において、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び任意成分以外の残部は水である。本発明の液体消臭剤組成物は、水を好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下含有する。組成物の調製に使用する水は重金属や硬度成分を除去した精製水が挙げられ、イオン交換水を使用することが好ましい。
【0067】
本発明の液体消臭剤組成物のpHは、20℃で、5.0以上9.5以下であることが好ましく、皮膚刺激低減の観点から、pHは、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは6.5以上であり、より好ましくは9.0以下、更に好ましくは8.5以下である。pHは、塩酸等の酸、又は水酸化ナトリウム等のアルカリを添加することにより調整することができる。
pHはJIS K 3362;2008の項目8.3に従って20℃において測定する。
【0068】
本発明の液体消臭剤組成物は、処理対象物、好ましくは衣類等の繊維製品に付着させて用いる、例えば噴霧ないし塗布、好ましくは噴霧して用いることができる。
【0069】
<スプレー式液体消臭剤製品>
本発明により、本発明の液体消臭剤組成物を、スプレー容器に充填してなる、スプレー式液体消臭剤製品が提供される。
本発明のスプレー式液体消臭剤製品は、本発明の液体消臭剤組成物を、スプレイヤー付き容器、好ましくはミスト式或いはトリガー式のスプレイヤー付き容器に充填してなり、一回の噴霧量が0.1ml以上1ml以下であるものが好ましい。
【0070】
スプレー容器としては、トリガー式のスプレイヤーを備えた容器が好ましく、スプレイヤーの噴霧方式は、直圧型あるいは蓄圧型を用いることができるが、液滴を均一に発生させ、噴霧後の液だれの少なさから蓄圧式を用いることが好ましい。
本発明で使用するスプレー容器は、液体を微粒子に噴霧することが出来るスプレイヤー部と、液体を充填する容器部から構成されるものが挙げられ、一般的に知れているものを使用することができる。該容器のスプレイヤー部としては、トリガー式のものが好ましく、1回のストロークで0.2g以上、好ましくは0.25g以上、そして、1.2g以下、好ましくは1.0g以下噴出するものが良好である。また、対象物から15cm離れた場所から噴霧したとき、1回のストロークで布に該液体消臭剤が付着する面積が、50cm
2以上、好ましくは100cm
2以上、そして、800cm
2以下、好ましくは600cm
2以下になる容器が好ましい。実開平4−37554号公報に開示されているような蓄圧式トリガーを用いると良好である。容器部の容量は、使用用途や形態目的等によって好ましい容量が決められるが、通常は片手で保持可能な容量が好ましい。
【0071】
本発明のスプレー式液体消臭剤製品では、噴霧液滴の平均粒径を所望の範囲に調整する観点から、液体消臭剤組成物の20℃における粘度を、好ましくは15mPa・s以下、より好ましくは1mPa・s以上10mPa・s以下に調整することがより好ましい。粘度は、東京計器株式会社製、B型粘度計(モデル形式BM)に、ローター番号No.1のローターを備え付けたものを準備し、試料をトールビーカーに充填し、20℃の恒温槽内にて20℃に調製し、恒温に調製された試料を粘度計にセットし、ローターの回転数を60r/minに設定し、回転を始めてから60秒後に測定した粘度である。
【0072】
スプレー容器は、本発明の液体消臭剤組成物の噴霧に用いる噴霧器を備えたものが好ましい。該噴霧器としては、噴射口から噴射方向に10cm離れた地点における噴霧液滴の平均粒径が10〜200μmとなり、噴射口から噴射方向に15cm離れた地点における粒径200μmを超える液滴の数が噴霧液滴の総数の1%以下となり、噴射口から噴射方向に10cm離れた地点における粒径10μm未満の液滴の数が噴霧液滴の総数の1%以下となる噴霧手段を備えたものが好ましい。噴霧液滴の粒子径分布は、例えば、レーザー回折式粒度分布計(日本電子株式会社製)により測定することができる。
【0073】
好適なスプレー式液体消臭剤製品としては、水を含有する本発明の液体消臭剤組成物を手動トリガー型の噴霧器に充填したものが挙げられる。噴霧口径は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、好ましくは0.7mm以下である。噴霧口の形状、材質等は特に限定されない。
【0074】
本発明の液体消臭組成物は、繊維製品用として好適である。本発明の組成物の対象物としては、スーツ、セーター、スカート、コート等の衣類以外にも、カーテン等の布地、カーペット、ソファー、寝具、車の座席シート等の洗浄しにくい繊維製品が挙げられ、これらの繊維製品に本発明の液体消臭剤組成物を付着させることで、昆虫忌避させる作用を付与し、消臭効果を発現させることができる。
【0075】
昆虫の忌避方法では、スプレイヤー付き容器に前記液体消臭剤組成物を充填してなる製品を用いて、前記液体消臭剤組成物を繊維製品にスプレーすることにより、前記液体消臭剤組成物を繊維製品と接触させることが好ましい。また、昆虫の忌避方法では、乾燥させる工程は、50℃以下での自然乾燥が好ましい。
本発明の液体消臭剤組成物は消臭剤としての用途のみならず、消臭を必要としない、使用前又は衣類なら着用前の繊維製品に対して昆虫忌避剤組成物として使用できる。例えば(A)成分、(B)成分、(C)成分及び水を含有する水性組成物で繊維製品を付着処理することにより、繊維製品への昆虫忌避能の付与を主目的として使用することもできる。この場合には、消臭基材(A)として記載された化合物において、(C)成分とともに忌避効果を高めるためにpH変動抑制能を有する基材を用いることが好ましい。すなわち前記(a1)アミンオキシド型界面活性剤、(a2)ポリヒドロキシアミン化合物並びに(a3)分子量500以下のポリカルボン酸、リン酸及びそれらの塩、から選ばれる1種以上の化合物(A)、炭素数2以上4以下のアルコール(B)、下記(I)〜(III)群から選ばれる一種以上の昆虫忌避剤(C)及び水を含有する水性組成物は繊維製品に接触させることで繊維製品に昆虫忌避能を付与する方法、もまた本発明として提案することができる。この場合は、本発明の液体消臭剤組成物は、繊維製品用昆虫忌避剤組成物、としても扱うこともできる。pH変動抑制能を有する化合物と併用することで、汗に含まれる乳酸等の有機酸の揮発化を抑制し、昆虫のヒトへの誘引行動を弱らせることができると考えられる。
【0076】
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1>消臭基材(A)、炭素数2以上4以下のアルコール(B)、及び下記(I)〜(III)群から選ばれる一種以上の昆虫忌避剤(C)及び水を含有する、液体消臭剤組成物。
(I)2−メトキシ−4−プロピルフェノール、2−イソプロピル−4−メチルチアゾール、イソシクロシトラール、9−デセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、1−デカノール、2−エチルヘキサン酸エチル、酢酸 トランス−2−ヘキセニル、2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、フェニル酢酸エチル及び2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール
(II)3−メチル−5−プロピル−2−シクロヘキセン−1−オン、オクタヒドロ−5−メトキシ−4,7−メタノ−1H−インデン−2−カルボキシアルデヒド、フェノキシアセトアルデヒド、γ−オクタラクトン、9−エチリデン−3−オキサトリシクロ(6.2.1.0
2,7 )ウンデカン−4−オン、オクタヒドロ−7−メチル−1,4−メタノナフタレン−6(2H)−オン、2,3,3−トリメチル−2H−インデン−1−オン、4−メチル−5−チアゾールエタノール、7−メトキシ−3,7−ジメチルオクタナール、3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール及び2−フェニルプロピオンアルデヒド ジメチルアセタール
(III)1−オクタノール、2,4−ジメチルシクロヘキセ−3−エン−1−メタノール、o−tert−ブチルシクロヘキシル アセテート、2−メチル酪酸、プロピオン酸ベンジル、3−メチル−2−ペンチルシクロペント−2−エン−1−オン、オクタヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−カルボアルデヒド、6−メチルキノリン、イソ酪酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロパナール及び2−メチル−4−フェニルブタン−2−オール
<2>昆虫忌避剤(C)の含有量が、0.01質量%以上10質量%以下である、<1>記載の液体消臭剤組成物。
<3>消臭基材(A)が(a1)アミンオキシド型界面活性剤、(a2)ポリヒドロキシアミン化合物、(a3)分子量500以下のポリカルボン酸、リン酸及びそれらの塩、並びに(a4)糖系包接化合物から選ばれる一種以上である、<1>又は<2>に記載の液体消臭剤組成物。
<4>更に非イオン界面活性剤(D)を含有する<1>〜<3>の何れかに記載の液体消臭剤組成物。
<5>消臭基材(A)として(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分を含有する<1>〜<4>の何れかに記載の液体消臭剤組成物
<6><1>〜<5>の何れかに記載の液体消臭剤組成物を繊維製品に適用する、昆虫忌避方法。
<7>昆虫が蚊類である、<6>に記載の昆虫忌避方法。
【0077】
<8><3>〜<5>において、(a1)成分の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
<9><3>〜<5>において、(a2)成分の含有量は、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは、0.1質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
<10><3>〜<5>において、(a3)成分の含有量は、酸型に換算して0.1質量%以上、好ましくは0.15質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.25質量%以上、そして、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更により好ましくは0.7質量%以下である。
<11><3>〜<5>において、(a4)成分の含有量は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、そして5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。
<12><3>〜<5>において、(B)成分の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。
<13><4>〜<5>において、(D)成分の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上、より更に好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下である。
<14>(a1)アミンオキシド型界面活性剤、(a2)ポリヒドロキシアミン化合物、(a3)分子量500以下のポリカルボン酸、リン酸及びそれらの塩から選ばれる化合物(A)、炭素数2以上4以下のアルコール(B)、下記(I)〜(III)群から選ばれる一種以上の昆虫忌避剤(C)及び水を含有する水性組成物を繊維製品に接触させる工程を含む繊維製品に昆虫忌避能を付与する方法。
(I)2−メトキシ−4−プロピルフェノール、2−イソプロピル−4−メチルチアゾール、イソシクロシトラール、9−デセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、1−デカノール、2−エチルヘキサン酸エチル、酢酸 トランス−2−ヘキセニル、2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、フェニル酢酸エチル及び2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール
(II)3−メチル−5−プロピル−2−シクロヘキセン−1−オン、オクタヒドロ−5−メトキシ−4,7−メタノ−1H−インデン−2−カルボキシアルデヒド、フェノキシアセトアルデヒド、γ−オクタラクトン、9−エチリデン−3−オキサトリシクロ(6.2.1.0
2,7 )ウンデカン−4−オン、オクタヒドロ−7−メチル−1,4−メタノナフタレン−6(2H)−オン、2,3,3−トリメチル−2H−インデン−1−オン、4−メチル−5−チアゾールエタノール、7−メトキシ−3,7−ジメチルオクタナール、3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール及び2−フェニルプロピオンアルデヒド ジメチルアセタール
(III)1−オクタノール、2,4−ジメチルシクロヘキセ−3−エン−1−メタノール、o−tert−ブチルシクロヘキシル アセテート、2−メチル酪酸、プロピオン酸ベンジル、3−メチル−2−ペンチルシクロペント−2−エン−1−オン、オクタヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−カルボアルデヒド、6−メチルキノリン、イソ酪酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロパナール及び2−メチル−4−フェニルブタン−2−オール
【実施例】
【0078】
参考例 昆虫忌避剤の評価
参考例1 二酸化炭素応答抑制効果の評価(1)
(1)ヒトスジシマカの準備
ヒトスジシマカは、住友テクノサービス株式会社より購入した卵を成長させたものを使用した。透明なプラスチックパンに水を1cm程度張り、卵が産み付けられているろ紙を入れる。毎日、幼虫用餌として、熱帯魚用エサ(テトラミン)を与えた。約1週間後、蛹をスポイトで回収し、20mL用プラスチックカップに移し、網を張ったケージに移した。成虫用の餌として、10%スクロースを25mLプラスチックチューブに入れたものを与えた。羽化後、5日間オスとメスを同じケージで飼育することで交尾を行わせた。飼育5日後、成虫を吸虫管を用いて集め、氷上で5分間麻酔後に、目視下でオスとメスを分け、メスのみを回収した。メス蚊は麻酔下で、羽・肢を取り除き、スライドグラス上に貼り付けた両面テープに背中部を押し付けることで固定し、電極がアクセスしやすい位置に触角・小顎髭を配置した。
【0079】
(2)神経応答記録用電極の準備
10% 水酸化カリウムを50mLシリンジに注入し、シリンジをクランプでマグネットスタンドに水平に固定する。電極ホルダーに固定したタングステンワイヤーを水平方向からシリンジの中へと挿入し、顕微鏡下で観察しながら電気分解により、研磨を行なった。交流電源からワニ口クリップで、電極ホルダー、シリンジへと電流を供給した。
【0080】
(3)神経応答記録
スライドグラス上に準備したヒトスジシマカを顕微鏡下に置き、×10対物レンズで触角が視野の中心部に来るように位置を調節する。基準電極を昆虫の目に刺入した。匂い刺激用のピペットを小顎髭の近くに設置し、対物レンズを×100へと変換する。記録電極を感覚毛に近づけ、微動マニュピレーターを用いて慎重に感覚毛に刺入する。ヒトスジシマカの二酸化炭素感受性の感覚毛は、ペグ状の形状を持つことが顕微鏡下で確認できる。電極を感覚毛に刺入後、自発的な神経発火パターンを確認した。0.1%濃度に調整した二酸化炭素をシリコンチューブで匂い刺激装置につなぎ、小顎髭を1秒間刺激し、二酸化炭素応答を確認した。
【0081】
(4)二酸化炭素応答抑制効果の評価
試料は、表1に示す化合物を、パラフィンオイルを用いて濃度1%に調整したものを使用した。試料をフィルターペーパー(3mm×50mm)上に15μL滴下し、パスツールピペット内に挿入した。ビニールチューブを用いて、パスツールピペットと刺激装置を接続し、空気中の二酸化炭素への応答をモニターしながら、1秒間の匂い刺激を行い、二酸化炭素への応答抑制効果を評価した。応答抑制効果は、溶媒であるパラフィンオイルで刺激後1秒間の神経の発火数、それぞれの試料で刺激後1秒間の神経の発火数を計測し、その比率による評価を行った(N=1)。
(数1)
忌避率(%)=100×([パラフィンオイル刺激後の発火数−試料刺激後の発火数]/[パラフィンオイル刺激後の発火数])
結果を表2に示す。試料化合物は、ヒトスジシマカの二酸化炭素応答を神経レベルで抑制した。
【0082】
【表1】
【0083】
参考例2 蚊に対するヒト腕への誘引行動抑制評価
評価に用いた蚊は参考例1と同様に準備した。約150−200匹のメスヒトスジシマカをプラスチックケージ(30×30×30cm)に移す。プラスチックケージは1面のみに腕を通す穴が開いており、そこから腕を挿入し誘引試験を行う。他3面は網で覆われており、匂いはボックス内に留まらない。使い捨ておむつ用通気性シート(通気度(JIS P8117):2秒/300mL・32枚以上、透湿度(JIS Z0208):1g/100cm
2・1hr以上)を6cm×6cmに切り、5cm×5cmにカットしたクアラテック手袋(アズワン 8−4053−02)に内側からテープで固定し、評価試料は、エタノールで0.1%に濃度を調整し、30mLを均一に通気性シート上へ塗布した。塗布後、約5分静置し、誘引試験を行った。通気性シートを備えたクアラテック手袋を腕に装着し、腕をプラスチックケージへと挿入した。挿入後、5分間で通気性シート上に降りた蚊の数をカウントした。同一の蚊が何度も降着している場合も重複してカウントした。試料の蚊への影響を考慮し、同一ケージでは4回のみ試験を行い、以後の試験はケージを交換し新たな蚊を用いて行った。忌避効果は、エタノール溶媒のみを塗布した場合の降着数と比較して、忌避効果率を計算した。
(数2)
忌避率(%)=100×(1−[試料塗布時の降着数]/[エタノール塗布時の降着数])
結果を表2に併せて示す。試料化合物は、ヒトスジシマカに対して優れた忌避効果を示した。
【0084】
【表2】
【0085】
参考例3 熱受容抑制効果の評価
(1)ヒトスジシマカの準備
参考例1(1)と同様にして、メスのヒトスジシマカを準備した。
【0086】
(2)熱源への誘引行動抑制効果の評価
約150−200匹のメスヒトスジシマカをプラスチックケージ(30×30×30cm)に移す。メス蚊の行動をケージの上部からモニターするため、プラスチックケージの上面を透明なアクリル板に取り換えた。また、熱源となるプレートヒーター(小動物用マルチパネルヒーター16W ビバリア)はケージの一隅に5×3cm露出するように、メッシュの外側から配置した。上面から熱源が撮影できるように上部にビデオカメラ(ソニー製)を配置し、実験を行った。熱源に両面テープを用いて、試料塗布用のシートを固定した。
表3に示す化合物を、エタノールを用いて濃度0.1%に調整したものを試料とし、当該試料あるいは溶媒エタノール50μL投与して実験を行った。メス蚊の活性化のため、二酸化炭素1%を上部から1秒間投与し、その後、熱源をケージに接触させた。30秒間接触後の熱源を写真に撮り、誘引された蚊の数を数えた。アッセイが一度終了するたびに熱源に使用したシートは廃棄し、新たなシートを使用した。また、蚊への試料の影響を考え、一つのケージで行う評価は最大で(7試料+1コントロール)とした。抑制効果は、同じアッセイ(7試料+1コントロール)内でエタノール溶媒のみを塗布した場合の降着数と比較して、下記式により抑制効果率を計算した。
(数1)
抑制率(%)=100×(1−[試料塗布時の降着数]/[エタノール塗布時の降着数])
【0087】
結果を表4に示す。試料化合物は、ヒトスジシマカの熱源への誘引行動を抑制し、熱受容応答を抑制すると考えられる。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
参考例4 二酸化炭素応答抑制効果の評価(2)
(1)ヒトスジシマカの準備
表5に示す化合物を用い、参考例1及び参考例3と同様にして、二酸化炭素応答抑制効果及び熱受容抑制効果を評価した。
結果を表6に示す。
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
実施例1 液体消臭剤組成物の調製
表7に示す配合処方の液体消臭剤組成物である本発明品1〜2及び比較品1を調製し、それらの昆虫忌避効果を下記の方法で評価した。評価結果を表7に示す。なお本発明品1、2及び比較品1の液体消臭剤組成物は、皮脂臭及びタバコ臭が付着した衣類に対して、スプレー式容器を用いて噴霧すると、衣類への消臭効果が得られる。
<評価方法>
(1)忌避方法
一辺が30cmの小チャンバーと90cmの大チャンバーが小窓を介して連結されたアッセイ装置を用いる。蚊を10匹大チャンバー内に入れ、CO
2を0.1L/minで小チャンバーから注入し、排風機により小チャンバーから大チャンバーへの気流の流れを発生させ、昆虫忌避化合物を小チャンバー内に入れて、3分間でCO
2に誘引されて小チャンバー内へ誘引される蚊の数を計測する。
(剤の塗布)
10g布に液体消臭剤組成物3mL(※)、 忌避剤濃度0.4%の液体消臭剤組成物を噴霧し布を30cm小チャンバーに設置する。
昆虫忌避化合物使用量:3mL × 0.4% = 12uL
※:10g布に3g液体消臭剤組成物の噴霧を想定
【0094】
【表7】
【0095】
A成分(a1):(a−1)ラウリルアミドプロピルアミン−N,N−ジメチル−N−オキサイド
(a2):(a−2)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
(a3):(a−3−1)クエン酸
(a3):(a−3−2)エチレンジアミン四酢酸
B成分 :(b−1)エタノール
C成分 :(c−1)プリカトン(昆虫忌避化合物)[オクタヒドロ−7−メチル−1,4−メタノナフタレン−6(2H)−オン]
C成分 :(c−2)ジヒドロオイゲノール(昆虫忌避化合物)[2−メトキシ−4−プロピルフェノール]
D成分 :(d−1)ポリオキシエチレンの平均付加モル数が9である、ポリオキシエチレンラウリルエーテル
E成分 :(e−1)塩化ベンザルコニウム
E成分 :(e−2)塩化ジデシルジメチルアンモニウム
(a−1)〜(e−2)、水成分を混合し、pHが表記の値になるように、NaOHを添加した。