特許第6836357号(P6836357)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836357液体ポンプ、モータ及びその軸スリーブ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836357
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】液体ポンプ、モータ及びその軸スリーブ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/24 20060101AFI20210222BHJP
   H02K 5/167 20060101ALI20210222BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20210222BHJP
   F16C 17/10 20060101ALI20210222BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20210222BHJP
   F16C 19/04 20060101ALI20210222BHJP
   F16C 27/06 20060101ALI20210222BHJP
   F04D 29/046 20060101ALI20210222BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   H02K5/24 B
   H02K5/167 A
   H02K5/173 A
   F16C17/10 Z
   F16C33/20 Z
   F16C19/04
   F16C27/06 A
   F16C27/06 B
   F04D29/046 D
   F04D29/00 B
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-166892(P2016-166892)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2017-51088(P2017-51088A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2019年6月21日
(31)【優先権主張番号】201510548296.5
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ミン リ
(72)【発明者】
【氏名】チー ピン フー
(72)【発明者】
【氏名】ムーラ マリカージュナ レディ
(72)【発明者】
【氏名】コク アン チョン
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−224948(JP,A)
【文献】 特開平04−281349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/24
F04D 29/00
F04D 29/046
F16C 17/10
F16C 19/04
F16C 27/06
F16C 33/20
H02K 5/167
H02K 5/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
出力端を有する回転軸を備えるロータと、
ベース本体と、
前記ベース本体に収容され、前記ロータを支持して回転させるようになっている軸スリーブ装置であって、前記ベース本体に固定される固定部材と、前記固定部材に収容され、前記回転軸を取り囲む軸受と、前記固定部材と前記軸受との間に配設される弾性を有する緩衝部材とを備える軸スリーブ装置と、
を備え、
前記緩衝部材は内面とこの内面の反対側の外面とを有し、前記緩衝部材の内面には環状溝が形成され、前記軸受の外面には環状突出部が形成され、前記環状突出部は前記環状溝と係合して前記軸受を前記緩衝部材に接続し、前記固定部材と前記緩衝部材の外面との間には溝−突出部構造が形成され、前記緩衝部材の前記環状溝と前記環状突出部の位置は互いに対応し、前記緩衝部材の前記環状溝と前記緩衝部材の外面との間の半径方向の厚さは、その他の領域における前記緩衝部材の半径方向の厚さよりも小さいことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記固定部材の外面及び前記ベース本体の内面の一方には、突出部が形成され、前記固定部材の前記外面及び前記ベース本体の前記内面の他方には、スロットが形成され、前記突出部は、前記スロットに係合されて、前記固定部材を前記ベース本体に連結することを特徴とする、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記溝−突出部構造は、前記固定部材の内面に形成された環状溝と、前記緩衝部材の外面に形成された環状突出部を含み、前記固定部材の内面に形成された環状溝は、前記緩衝部材の外面に形成された環状突出部と係合して前記固定部材と前記緩衝部材とを接続し、前記緩衝部材の内面に形成された環状溝と前記緩衝部材の外面に形成された緩衝突出部の位置は互いに対応することを特徴とする、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記溝−突出部構造は、外方に突出して環状突出部を形成する前記緩衝部材の外面と、内方に凹んで環状溝を形成する前記固定部材の内面とを含み、前記緩衝部材の前記環状突出部は前記固定部材の前記環状突出部と係合し、前記緩衝部材の前記環状突出部と前記緩衝部材の前記環状溝の位置は互いに対応し、前記緩衝部材の前記環状突出部と前記緩衝部材の前記環状溝との間の半径方向の距離は、前記軸受の外面と前記固定部材の内面との間のよりも大きくないことを特徴とする、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記回転軸の前記出力端に隣接する前記緩衝部材の一端は、半径方向内方に突出して、ストッパリングを形成し、前記ストッパリングは、前記回転軸の外壁面に密接することを特徴とする、請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記回転軸の前記出力端から離れた前記緩衝部材の一端は、半径方向外方に突出して、フランジを形成し、前記フランジは、前記固定部材の端面に当接することを特徴とする、請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のモータと、前記モータのロータに結合されるインペラとを備えることを特徴とする液体ポンプ。
【請求項8】
固定部材と、
前記固定部材に収容される軸受と、
前記固定部材と前記軸受との間に配設される弾性を有する緩衝部材と、
を備え、
前記固定部材の半径方向内面と前記緩衝部材の半径方向外面との間に、第1の溝−突出部構造が形成され、前記軸受の半径方向外面と前記緩衝部材の半径方向内面との間に、第2の溝−突出部構造が形成され、前記第1の溝−突出部構造と前記第2の溝−突出部構造との間の前記緩衝部材の半径方向の厚さは、前記軸受の前記半径方向外面と前記固定部材の前記半径方向内面との間の半径方向の距離以下であ
前記第1の溝−突出部構造は、外方に突出して環状突出部を形成する前記緩衝部材の半径方向外面と、内方に凹んで環状溝を形成する前記固定部材の半径方向内面とを含み、前記固定部材の環状溝は前記緩衝部材の環状突出部と係合し、
前記第2の溝−突出部構造は、外方に突出して環状突出部を形成する前記軸受の半径方向外面と、内方に凹んで環状溝を形成する前記緩衝部材の半径方向内面とを含み、前記軸受の環状突出部は前記緩衝部材の環状溝と係合し、
前記緩衝部材の半径方向内面の環状溝と前記緩衝部材の半径方向外面の環状突出部の位置は互いに対応する
ことを特徴とする軸スリーブ装置。
【請求項9】
前記緩衝部材の一端には半径方向内方に突出するストッパリングが形成され、前記ストッパリングは、前記固定部材と前記軸受の軸方向端面との間に斜めに形成されていることを特徴とする請求項8に記載の軸スリーブ装置。
【請求項10】
前記ストッパリングは、前記緩衝部材の他の部分の厚さよりも小さい厚さを有する請求項9に記載の軸スリーブ装置。
【請求項11】
前記緩衝部材の環状溝と前記溝−突出部構造との間の半径方向の距離は、前記軸受と前記固定部材との間の半径方向の距離以下である請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0002]
本開示は、液体ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]
洗濯機又は食器洗浄機などの家庭用電気機器では、液体ポンプを用いて、水を加圧・吐出して、清浄水を機器に導入して、機器内で衣類又は食器を洗浄し、最終的に、洗浄水を機器から排出するようになっている。
【0003】
[0004]
液体ポンプでは、ロータの同軸度を確保し、ロータの円滑な作動を維持し、騒音を低減するため、モータの回転軸に対する効果的な支持が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0005]
したがって、回転軸を支持するための軸スリーブ装置、より円滑な作動が可能であり、騒音が低減された軸スリーブ装置を用いるモータ及び液体ポンプが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0006]
一態様では、軸スリーブ装置を提供するものであり、この軸スリーブ装置は、固定部材と、前記固定部材に収容される軸受と、前記固定部材と前記軸受との間に配設される弾性緩衝部材とを含む。前記固定部材の半径方向内面と前記弾性緩衝部材の半径方向外面との間に、第1の溝−突出部構造が形成され、前記軸受の半径方向外面と前記弾性緩衝部材の半径方向内面との間に、第2の溝−突出部構造が形成される。前記第1の溝−突出部構造と前記第2の溝−突出部構造との間の前記弾性緩衝部材の半径方向の厚さは、前記軸受の前記半径方向外面と前記固定部材の前記半径方向内面との間の半径方向の距離以下である。
【0006】
[0007]
別の態様では、モータを提供するものであり、このモータは、ステータと、ロータと、ベース本体と、前記ベース本体に収容され、前記ロータを支持して回転させるようになっている軸スリーブ装置とを含む。前記ロータは、回転軸を備える。前記回転軸は、前記ベース本体から延出する出力端を有する。前記軸スリーブ装置は、前記ベース本体に固定される固定部材を備える。軸受が、前記固定部材に収容され、前記回転軸を取り囲む。弾性緩衝部材が、前記固定部材と前記軸受との間に配設される。
【0007】
[0008]
更に別の態様では、液体ポンプを提供するものであり、この液体ポンプは、上記のモータと、前記モータによって駆動されるインペラとを含む。
【0008】
[0009]
本開示の液体ポンプは、回転軸の出力端に配設されて、回転軸を支持する軸スリーブ装置を含み、これにより、ロータとステータとの間の同軸度を確保する。更に、軸スリーブ装置は、ロータの振動を吸収するための緩衝部材を含むことにより、ロータの振動が外方に伝わるのを防止し、騒音を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による液体ポンプを示す図である。
図2図1の分解図である。
図3図2の液体ポンプのモータの軸スリーブ装置の拡大図である。
図4図3の軸スリーブ装置の分解図である。
図5図3の軸スリーブ装置の断面図である。
図6】軸スリーブ装置、モータのロータ及びベース本体の断面組立図である。
図7】別の実施形態による軸スリーブ装置を示す図である。
図8図7の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0018]
各図は、縮尺通りではなく、図全体を通して、例示の目的で、同様の構造又は機能の要素は、概して、同じ符号で表記される点に留意されたい。また、各図は、好ましい実施形態の説明を容易にすることを意図するものにすぎない点にも留意すべきである。各図は、説明された実施形態の全ての態様を示すものではなく、本開示の範囲を限定するものではない。
【0011】
[0019]
図1及び図2を参照すると、本開示の一実施形態による液体ポンプは、モータ10と、モータ10によって駆動されるインペラ12とを含む。
【0012】
[0020]
モータ10は、好ましくは、単相永久磁石モータであり、ステータ14と、ステータ14に挿入されるベース本体16と、ベース本体16に収容されるロータ18と、ロータ18を支持して回転させるための軸スリーブ装置20とを含む。好ましくは、ステータ14は、U字状の磁気コア22と、磁気コア22の周りに巻き付けられる巻線24とによって形成される。磁気コア22は、1対の磁極を形成する。ロータ18は、永久磁石ロータであり、回転軸26と、回転軸26に固定される1対の永久磁石28とを含む。ベース本体16は、開口端及び閉塞端を有する円筒構造である。ベース本体16は、ステータ14の1対の磁極の間に挿入され、開口端は、インペラ12側に面している。ロータ18の一端は、ベース本体16の閉塞端に回転可能に収容され、他端は、出力端34であり、ベース本体16の開口端32を貫通して、インペラ12と連結する。軸スリーブ装置20は、ベース本体16に収容され、ベース本体16の開口端32に配設されて、回転軸26の出力端34を支持して、ロータ18の安定した回転を維持する。
【0013】
[0021]
また、図3図5を参照すると、軸スリーブ装置20は、軸受36と、緩衝部材38と、固定部材40とを含み、これらは、互いの周囲にスリーブ嵌合される。
【0014】
[0022]
固定部材40は、ベース本体16の開口端32に配設されて、軸スリーブ装置20全体をベース本体16に取り付ける。固定部材40全体は、中空円筒構造であり、ベース本体16の内径に実質的に等しい外径を有する。また、図6を参照すると、この実施形態では、固定部材40の外面には、突出部42が形成され、ベース本体16の内面には、突出部42に対応する係合スロット44が形成され、組立時、突出部42は、係合スロット44に係合されて、軸スリーブ装置20をベース本体16に固定する。固定部材40に、係合スロット44を形成することができ、ベース本体16に、突出部42を形成することができ、同様に、係合スロット44と突出部42との間の係合によって、軸スリーブ装置20を固定することができることを理解されたい。
【0015】
[0023]
ベース本体16の開口端32に対向する、すなわち、インペラ12に対向する固定部材40の1つの側には、エンドプレート46が形成される。エンドプレート46は、ベース本体16の開口端32を実質的に閉じる。エンドプレート46には、中心貫通穴48が形成される。回転軸26の出力端34は、貫通穴48を貫通した後、インペラ12に連結される。ベース本体16の内側に面する固定部材40の一端は、開いていて、緩衝部材38及び軸受36は、固定部材40の開口端を介して、固定部材40に取り付けられる。軸受36は、玉軸受、滑り軸受、又はセラミック軸受にして、回転軸26を支持して回転させることができる。軸受36の材料は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PTEF等などの一定の硬度及び耐摩耗性を有するものにすることができる。緩衝部材38は、一定の弾性を有するゴム材料から形成することができる。組立時、最初に、緩衝部材38は、軸受36の周囲にスリーブ嵌合され、組み付けられた緩衝部材38及び軸受36は、一緒に、固定部材40に挿入される。
【0016】
[0024]
この実施形態では、緩衝部材38は、締まり嵌めによって、固定部材40及び軸受36の両方に連結される。組立時、緩衝部材38は、変形して、軸受36及び固定部材40の許容差を効果的に補償することにより、軸スリーブ装置20全体の同軸度を確保する。したがって、軸受36及び固定部材40の精度が十分に高くなくても、それでもなお、緩衝部材38によって、軸スリーブ装置20全体の同軸度を確保することができる。好ましくは、緩衝部材38は、軸受36及び固定部材40とスナップ嵌合されて、これらの部材の軸方向の位置を制限する。
【0017】
[0025]
具体的には、緩衝部材38の半径方向外面は、外方に突出して、環状突出部50を形成し、半径方向内面は、内方に凹んで、環状溝52を形成する。好ましくは、緩衝部材38の環状突出部50及び環状溝52は、位置が互いに対応して、緩衝部材38が、環状溝52の領域で変形するのに十分な空間を確保するのに十分な厚さを有するようになっている。好ましくは、環状突出部50/環状溝52の領域における、緩衝部材38の半径方向の厚さd1、すなわち、外面と内面との間の半径方向の間隔は、その他の領域における緩衝部材38の半径方向の厚さd2よりもわずかに小さい、すなわち、d1<d2である。これに対応して、軸受36の半径方向外面は、外方に突出して、環状突出部54を形成し、固定部材40の半径方向内面は、内方に凹んで、環状溝56を形成する。
【0018】
[0026]
組立時、軸受36の環状突出部54は、緩衝部材38の環状溝52に係合されて、軸受36を緩衝部材38と固定連結して、緩衝部材38の内面と軸受36の外面との間に、1つの溝−突出部構造が形成される。次に、組み付けられた軸受36及び緩衝部材38は、固定部材40の開口端を介して、固定部材40に挿入され、緩衝部材38の環状突出部50は、固定部材40の環状溝56に係合されていて、緩衝部材38の外面と固定部材40の内面との間に、別の溝−突出部構造が形成される。これにより、軸スリーブ装置20全体が、互いに組み付けられる。環状突出部50/環状溝52の領域における緩衝部材38の半径方向の厚さd1、すなわち、第1の溝−突出部構造と第2の溝−突出部構造との間の半径方向の厚さは、軸受36の外面と固定部材40の内面との間の半径方向の距離d3以下である、すなわち、d1≦d3である。
【0019】
[0027]
好ましくは、緩衝部材38の一端は、半径方向外方に突出して、フランジ58を形成し、他端は、半径方向内方に突出して、ストッパリング60を形成する。ストッパリング60の内径は、回転軸26の外径に実質的に等しい、すなわち、軸受36の外径以上である。ストッパリング60は、斜めに延在し、緩衝部材38のその他の部分(この実施形態では、主に、軸受36と固定部材40との間の部分)の半径方向の厚さよりも小さい厚さを有する。ストッパリング60は、回転軸26と組み付けられた後、回転軸26の外壁面に密接し、塵埃が軸スリーブ装置20に入るのを防止する。軸受36を緩衝部材38に係合する際、軸受36は、ストッパリング60に接触するまで、フランジ58を形成する緩衝部材38の端部を介して、緩衝部材38に挿入される。ストッパリング60は、軸受36が緩衝部材38を貫通しないように、軸受36を位置決めする。緩衝部材38及び軸受36を固定部材40に係合する際、ストッパリング60を形成する緩衝部材38の端部は、緩衝部材38のフランジ58が固定部材40に接触するまで、開口端を介して、固定部材40に挿入される。これによって、確実に、緩衝部材38の環状突出部50が、固定部材40の環状溝56に係合されることにより、軸スリーブ装置20を形成する。
【0020】
[0028]
ロータ18との組み付け時、最初に、ロータ18は、ベース本体16に挿入され、ロータ18の回転軸26の出力端34は、ベース本体16の開口端32から延出している。組み付けられた軸スリーブ装置20は、回転軸26の周囲にスリーブ嵌合され、固定部材40の突出部42がベース本体16の係合スロット44に係合されるまで、軸スリーブ装置20は、ベース本体16の開口端32に押し込められ、これによって、軸スリーブ装置20は、ベース本体16と連結される。回転軸26の出力端34は、軸受36、緩衝部材38のストッパリング60、及び固定部材40のエンドプレート46を貫通して、インペラ12と連結する。モータ10に電源が投入されると、ステータ14の巻線は付勢され、ロータ18の磁界と相互に作用して、ロータ18を回転駆動し、その結果、インペラ12を回転させて、水を流す。
【0021】
[0029]
ロータ18の回転時、軸スリーブ装置20が、回転軸26の出力端34に配設されて、回転軸26を支持するので、確実に、回転軸26は、ぶれることがなく、これにより、ロータ18とステータ14との間の同軸度を維持し、ロータ18の回転をより円滑にし、騒音を低減する。更に、回転時のロータ18の振動は、軸スリーブ装置20の緩衝部材38によって吸収されるので、外方に伝わる振動は、実質的に無く、これにより、騒音を更に低減する。軸スリーブ装置20の構造は、この実施形態で説明したものに限定されることを意図しておらず、必要に応じて変更可能であることを理解されたい。
【0022】
[0030]
図7及び図8は、別の実施形態による軸スリーブ装置20を示す。相違点として、主に、緩衝部材38の半径方向の外面及び内面には、それぞれ、環状突出部50,54が形成される点がある。軸受36は、その外面に、対応する環状溝52を形成し、環状溝52は、緩衝部材38の内面の環状突出部54を係合収容する。図面に示す緩衝部材38の内面及び外面の環状突出部54,50は、位置が互いに対応する。他の実施形態では、環状突出部50,54は、互いに異なる位置に形成することもできる。更に、緩衝部材38の厚さが許せば、緩衝部材38の内面及び外面の両方に、環状溝を形成することができる。この場合、軸受の外面及び固定部材の内面に、それぞれ、環状溝が形成される。
【0023】
[0031]
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して説明されるが、当業者であれば種々の変更が可能であるものと理解される。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲を参照することにより決定されるべきである。
【符号の説明】
【0024】
10 モータ
12 インペラ
14 ステータ
16 ベース本体
18 ロータ
20 軸スリーブ装置
22 磁気コア
24 巻線
26 回転軸
28 永久磁石
32 開口端
34 出力端
36 軸受
38 緩衝部材
40 固定部材
42 突出部
44 係合スロット
46 エンドプレート
48 貫通穴
50 環状突出部
52 環状溝
54 環状突出部
56 環状溝
58 フランジ
60 ストッパリング
d1,d2 半径方向の厚さ
d3 半径方向の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8