特許第6836367号(P6836367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836367周面発光型導光棒の製造方法、周面発光型導光棒、発光機能付き製品の製造方法、及び発光機能付き製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836367
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】周面発光型導光棒の製造方法、周面発光型導光棒、発光機能付き製品の製造方法、及び発光機能付き製品
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20210222BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20210222BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20210222BHJP
   G09F 13/18 20060101ALN20210222BHJP
   G09F 13/00 20060101ALN20210222BHJP
【FI】
   G02B6/44 301B
   G02B6/00 326
   G02B6/02 391
   G02B6/44 331
   !G09F13/18 Q
   !G09F13/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-197351(P2016-197351)
(22)【出願日】2016年10月5日
(65)【公開番号】特開2017-90899(P2017-90899A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2019年8月1日
(31)【優先権主張番号】特願2015-200476(P2015-200476)
(32)【優先日】2015年10月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076484
【弁理士】
【氏名又は名称】戸川 公二
(72)【発明者】
【氏名】金森 尚哲
【審査官】 山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−069808(JP,A)
【文献】 特開2013−205735(JP,A)
【文献】 特開2009−145763(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0067902(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00−6/036、6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系樹脂から成るコア層(1)と、その周囲に形成されたフッ素系樹脂から成るクラッド層(2)とを有する周面発光型導光棒の製造方法において、
前記コア層(1)及びクラッド層(2)を一体に成形する工程と;一体成形後、前記クラッド層(2)の表面にコロナ放電処理またはプラズマ処理を行う工程と;表面処理後、前記クラッド層(2)の表面上の全体又は任意の露出する部分に、透明粘着剤から成る粘着層(3)または透明接着剤から成る接着層を形成すると共に、当該粘着層(3)または接着層の外側に、可視領域におけ全光線透過率が10〜65%の有色フィルムまたはハーフミラーフィルムから成る装飾フィルム層(4)を形成する工程とを含むことを特徴とする周面発光型導光棒の製造方法。
【請求項2】
表面処理されたクラッド層(2)上に、基材を持たないアクリル系粘着剤から成る両面テープを貼り付けて粘着層(3)を形成することを特徴とする請求項1記載の周面発光型導光棒の製造方法。
【請求項3】
両面テープの一方の面を有色フィルムまたはハーフミラーフィルムに貼り付けた後、前記両面テープの他方の面をクラッド層(2)の表面に貼り付けて、クラッド層(2)上に粘着層(3)と装飾フィルム層(4)を同時に形成することを特徴とする請求項1または2に記載の周面発光型導光棒の製造方法。
【請求項4】
両面テープを貼り付けた有色フィルムまたはハーフミラーフィルムをクラッド層(2)に加熱圧着して、クラッド層(2)と粘着層(3)と装飾フィルム層(4)とを強固に一体化することを特徴とする請求項3記載の周面発光型導光棒の製造方法。
【請求項5】
有色フィルムまたはハーフミラーフィルムの可視領域における全光線透過率が20〜50%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の周面発光型導光棒の製造方法。
【請求項6】
アクリル系樹脂から成るコア層(1)と、その周囲に形成されたフッ素系樹脂から成るクラッド層(2)とを有する周面発光型導光棒において、
前記クラッド層(2)の表面コロナ放電処理またはプラズマ処理面であり、更にこのクラッド層(2)の外側の全体又は任意の露出する部分に、透明な粘着剤から成る粘着層(3)または透明接着剤から成る接着層を介して、可視領域における全光線透過率が10〜65%の有色フィルムまたはハーフミラーフィルムから成る装飾フィルム層(4)が形成されて、クラッド層(2)と装飾フィルム層(4)のT型剥離試験による剥離強度が5N/10mm以上となっていることを特徴とする周面発光型導光棒。
【請求項7】
粘着層(3)が、基材を持たないアクリル系粘着剤から成る両面テープによって形成されていることを特徴とする請求項6記載の周面発光型導光棒。
【請求項8】
アクリル系樹脂から成るコア層(1)と、その周囲に形成されたフッ素系樹脂から成るクラッド層(2)とを有する周面発光型導光棒(R)が組み込まれた発光機能付き製品の製造方法であって、
前記導光棒(R)を、部分的に露出させた状態で製品基材(6)に組み込む工程と;この導光棒(R)の組込み後または組込み前に、クラッド層(2)の表面にコロナ放電処理またはプラズマ処理を行う工程と;この表面処理後、前記クラッド層(2)の露出部並びに製品基材(6)の表面上に対し、粘着層(3)または接着層を介して、可視領域における全光線透過率が10〜65%の白色フィルム、有色フィルムまたはハーフミラーフィルムから成る被覆フィルム(7)を貼り付けて、前記導光棒(R)の露出部を覆う工程とを含むことを特徴とする発光機能付き製品の製造方法。
【請求項9】
アクリル系樹脂から成るコア層(1)と、その周囲に形成されたフッ素系樹脂から成るクラッド層(2)とを有する周面発光型導光棒(R)が組み込まれた発光機能付き製品であって、
前記導光棒(R)が部分的に露出した状態で組み込まれた製品基材(6)の表面上並びに前記クラッド層(2)の露出部に、可視領域における全光線透過率が10〜65%の白色フィルム、有色フィルムまたはハーフミラーフィルムから成る被覆フィルム(7)を、前記導光棒(R)の露出部を覆うように貼り付けて構成されている一方、
前記導光棒(R)の露出部分については、クラッド層(2)表面コロナ放電処理またはプラズマ処理面であり、更にこのクラッド層(2)の外側に、粘着層(3)または接着層を介して前記被覆フィルム(7)が貼り付けられて、当該クラッド層(2)と被覆フィルム(7)のT型剥離試験による剥離強度が5N/10mm以上となっていることを特徴とする発光機能付き製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周面発光型導光棒、並びに周面発光型導光棒を利用した発光機能付き製品の改良、詳しくは、発光性能を維持しつつ非発光時の外観の装飾性を高めることができ、更に金属光沢の付与も可能で、しかも、装飾フィルムの剥がれも防止できる周面発光型導光棒、及びその製造方法、並びに被覆フィルムの剥がれを防止できる発光機能付き製品、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、飾り具やイルミネーション、電飾看板等の多くの光装飾品に線状発光体が利用されているが、線状発光体として古くから使用されているネオンライトは、本体が可撓性の乏しいガラス管から構成されているため、直線状の発光体を屈曲させて壁面の湾曲部に沿わせたり、装飾文字や装飾模様を描いたりすることができない。
【0003】
そこで、従来においては、線状発光体を自由に湾曲させて使用できるように、光ファイバ状のプラスチック成形品から成る周面発光型導光棒も開発されている(特許文献1参照)。また本件出願人も以前に、透明樹脂から成るコア層と、半透明樹脂から成るクラッド層から成る周面発光型導光棒について特許出願を行っている(特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、上記光ファイバ型の周面発光型導光棒は、非発光時の外観が白色系のものしかなかったため、室内装飾や車内装飾(特に豪華な装飾)に上手く調和させることができなかった。またクラッド層自体に色を付ける方法では、色違いの周面発光型導光棒を作るためにその都度成形材料を変える必要があったため、製造効率が悪かった。またクラッド層自体に色を付ける方法では、複雑な模様な金属光沢を出すことも難しかった。
【0005】
一方、上記周面発光型導光棒に半透明の装飾フィルムを貼り付けて装飾する方法では、クラッド層にフッ素系樹脂を用いた場合に、ポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂から成る装飾フィルムとの接着の相性が悪くなって、クラッド層に貼り付けた装飾フィルムがすぐに剥がれてしまう問題があった。またフッ素系樹脂用の特殊な接着剤(例えば特許文献3参照)を用いる方法では、材料コストが嵩む欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000―131530号公報
【特許文献2】特開2013―57924号公報
【特許文献3】特開2009―191193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、発光性能を維持しつつ非発光時の外観を室内装飾や車内装飾に合った意匠に仕上げることができ、特に金属光沢や複雑な模様も付与可能で、しかも、装飾フィルムの剥がれも防止できる周面発光型導光棒、及びその効率的な製造方法、並びに被覆フィルムの剥がれを防止できる発光機能付き製品、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
即ち、本発明は、アクリル系樹脂から成るコア層1と、その周囲に形成されたフッ素系樹脂から成るクラッド層2とを有する周面発光型導光棒の製造方法において、前記コア層1及びクラッド層2を一体に成形する工程と;一体成形後、前記クラッド層2の表面の全体又は任意の露出する部分にコロナ放電処理またはプラズマ処理を行う工程と;表面処理後、前記クラッド層2の表面上に、透明粘着剤から成る粘着層3または透明接着剤から成る接着層を形成すると共に、当該粘着層3または接着層の外側に、可視領域における全光線透過率が10〜65%の有色フィルム又はハーフミラーフィルムから成る装飾フィルム層4を形成した点に特徴がある。
【0010】
なお本明細書中において、上記「有色」は、無色透明と白色以外の色を指す意味で使用し、この「有色」の中には、赤色や青色等の有彩色のほか、黒色や灰色等の無彩色も含まれるものとする。
【0011】
また上記有色フィルムまたはハーフミラーフィルムの可視領域における全光線透過率については、装飾性と発光性能のバランスを考慮して20〜50%(より好ましくは25〜40%)とすることが好ましい。
【0012】
また、上記粘着層3については、周面発光型導光棒の発光性能の低下を抑制するためにも、表面処理されたクラッド層2上に、基材を持たないアクリル系粘着剤から成る両面テープを貼り付けて形成するのが好ましい。
【0013】
また上記両面テープを使用する場合には、両面テープの一方の面を有色フィルムまたはハーフミラーフィルムに貼り付けた後、前記両面テープの他方の面をクラッド層2の表面に貼り付けて、クラッド層2上に粘着層3と装飾フィルム層4を同時に形成することによって製造工程を効率化することができる。
【0014】
加えて、上記両面テープを使用する場合には、両面テープを貼り付けた有色フィルムまたはハーフミラーフィルムをクラッド層2に加熱圧着して、クラッド層2と粘着層3と装飾フィルム層4とを強固に一体化することによって、装飾フィルムの剥がれ防止効果を高めることもできる。
【0015】
一方、本発明においては、上記アクリル系樹脂から成るコア層1と、その周囲に形成されたフッ素系樹脂から成るクラッド層2とを有する周面発光型導光棒において、前記クラッド層2の表面を、コロナ放電処理またはプラズマ処理とし、更にこのクラッド層2の外側の全体又は任意の露出する部分に、透明な粘着剤から成る粘着層3または透明接着剤から成る接着層を介して、可視領域における全光線透過率が10〜65%の有色フィルムまたはハーフミラーフィルムから成る装飾フィルム層4を形成することによって、クラッド層2と装飾フィルム層4のT型剥離試験による剥離強度が5N/10mm以上となるように周面発光型導光棒を構成できる。なお粘着層3については、発光性能と剥離強度を考慮して、基材を持たないアクリル系粘着剤から成る両面テープによって形成するのが好ましい。
【0016】
また本発明では、アクリル系樹脂から成るコア層1と、その周囲に形成されたフッ素系樹脂から成るクラッド層2とを有する周面発光型導光棒Rが組み込まれた発光機能付き製品を製造する際に、前記導光棒Rを、部分的に露出させた状態で製品基材6に組み込む工程と;この導光棒Rの組込み後または組込み前に、クラッド層2の表面にコロナ放電処理またはプラズマ処理を行う工程と;この表面処理後、前記クラッド層2の露出部並びに製品基材6の表面上に対し、粘着層3または接着層を介して、可視領域における全光線透過率が10〜65%の白色フィルム、有色フィルムまたはハーフミラーフィルムから成る被覆フィルム7を貼り付けて、前記導光棒Rの露出部を覆う工程とを含む方法を採用することができる。
【0017】
他方、本発明では、上記発光機能付き製品を、導光棒Rが部分的に露出した状態で組み込まれた製品基材6の表面上並びに前記クラッド層(2)の露出部に、可視領域における全光線透過率が10〜65%の白色フィルム、有色フィルムまたはハーフミラーフィルムから成る被覆フィルム7を、前記導光棒Rの露出部を覆うように貼り付けて構成する一方、前記導光棒Rの露出部分については、コロナ放電処理またはプラズマ処理とし、更にこのクラッド層2の外側に、粘着層3または接着層を介して前記被覆フィルム7を貼り付けて、当該クラッド層2と被覆フィルム7のT型剥離試験による剥離強度が5N/10mm以上とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、光ファイバ型の周面発光型導光棒において、フッ素系樹脂から成るクラッド層の表面をコロナ放電処理またはプラズマ処理した後、この表面改質されたクラッド層上に粘着層(または接着層)を介して装飾フィルムを貼り付けて構成したことにより、クラッド層と装飾フィルムの剥離強度を向上させることができるため、貼り付けた装飾フィルムの剥がれを防止できる。
【0019】
しかも、本発明では、上記装飾フィルムに半透明の有色フィルム(単色フィルムや模様付きフィルム)を使用することによって、周面発光型導光棒の非発光時の外観を室内装飾や車内装飾に合った意匠に仕上げられることができる。一方、上記装飾フィルムにハーフミラーフィルムを使用すれば、周面発光型導光棒の外観に金属光沢を付与して高級感を出すことも可能となる。
【0020】
また本発明では、上記装飾フィルムに、可視領域における全光線透過率が10〜65%のフィルムを使用しているため、周面発光型導光棒の発光性能の低下も抑制できる。また製造面においても、成形材料を変えずに貼り付ける装飾フィルムを変えるだけで色違いの周面発光型導光棒を製造することができるため、製造コストも抑えられる。
【0021】
一方、本発明では、光ファイバ型の周面発光型導光棒を発光機能付き製品の基材に組み込んで、それらの表面に被覆フィルムを貼り付ける場合にも、導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理またはプラズマ処理をしておくことで、クラッド層と被覆フィルムの剥離強度を向上させることができるため、貼り付けた被覆フィルムの剥がれを防止することができる。
【0022】
したがって、本発明により、従来の光ファイバ型周面発光型導光棒にあった非発光時の外観の問題を、発光性能に大きな悪影響を及ぼすことなく解消でき、更に長期間使用しても装飾フィルムの剥がれによる外観不良も起こり難い耐久性に優れた周面発光型導光棒、並びに被覆フィルムの剥がれが生じ難い発光機能付き製品を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明における第一実施形態の周面発光型導光棒を表す全体斜視図である。
図2】本発明における第一実施形態の周面発光型導光棒の構造を表すX-X’断面図である。
図3】本発明における第一実施形態の周面発光型導光棒の変形例を表す断面図である。
図4】本発明における第二実施形態の発光機能付き製品を表す説明断面図である。
図5】本発明における第三実施形態の発光機能付き製品を表す説明断面図である。
図6】本発明における第四実施形態の発光機能付き製品を表す説明断面図である。
図7】本発明の周面発光型導光棒の輝度評価試験の結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
『第一実施形態』
次に、本発明の第一実施形態について、図1及び図2に基づいて以下に説明する。なお図中、符号Rで指示するものは、周面発光型導光棒である。また符号1で指示するものは、コア層であり、符号2で指示するものは、クラッド層である。また符号3で指示するものは、粘着層であり、符号4で指示するものは、装飾フィルム層である。
【0025】
「周面発光型導光棒の構成」
[1]基本構成
まず本実施形態では、棒状の周面発光型導光棒R(図1参照)を、図2に示すように、中心部のコア層1と、このコア層1の周囲に形成されたクラッド層2と、このクラッド層2の外側に形成された粘着層3(または接着層)と、この粘着層3(または接着層)の外側に形成された装飾フィルム層4とから構成している。これにより周面発光型導光棒Rの非発光時の外観を室内装飾や車内装飾に合わせることができる。
【0026】
[2]コア層の材料
また上記コア層1の材料には、透明性に優れたアクリル系樹脂を使用することができ、具体的には、PMMAやアクリル系エラストマー等から用途に適したものを選択して使用することができる。またコア層1の樹脂材料中には、必要に応じて発光性能を向上させるために光散乱粒子を添加することもできる。
【0027】
[3]クラッド層の材料
一方、上記クラッド層2の材料には、コア層1よりも屈折率が小さいフッ素系樹脂を使用することができ、具体的には、ETFE(エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体)やEFEP(ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等を使用できる。またクラッド層2の樹脂材料中にも、必要に応じて発光性能を向上させるために光散乱粒子を添加することができる。
【0028】
[4]導光棒の形態
また上記コア層1とクラッド層2から構成される導光棒Rの形態に関しては、断面形状が円形状の丸棒や断面形状が多角形状の角棒、長手方向に溝部が形成された溝付き棒などの形態を採用することができ、またこれ以外にも縦横比が大きい矩形断面の板状の形態を採用することもできる。
【0029】
[5]クラッド層の表面状態
また上記クラッド層2の表面については、コロナ放電処理またはプラズマ処理によって改質された状態としておく必要がある。これはクラッド層2と粘着層3(または接着層)との接着強度を高めるためであり、本発明の周面発光型導光棒Rでは、クラッド層2と装飾フィルム層4のT型剥離試験による剥離強度が5N/10mm以上(好ましくは10N/10mm以上)となるようにしている。これにより装飾フィルムの剥がれを防止できる。
【0030】
[6]粘着層または接着層の材料
また上記粘着層3については、透明(半透明含む)な粘着剤であれば使用することができるが、基材を持たないアクリル系粘着剤から成る両面テープ(具体的にはOCAフィルム)を使用するのが好ましい。これにより、周面発光型導光棒Rの発光性能を損なわずに装飾フィルムの剥がれを防止できる。また下記で説明するが、両面テープを使用することによって周面発光型導光棒Rの製造工程も効率化できる。また粘着層3の代わりに接着層を形成する場合には、透明(半透明含む)な接着剤、例えば二液硬化型の接着剤等を使用することができる。
【0031】
[7]装飾フィルム層の材料
また上記装飾フィルム層4については、可視領域における全光線透過率が10〜65%(好ましくは、20〜50%、より好ましくは25〜40%)の有色フィルムまたはハーフミラーフィルムを使用することができる。なお有色フィルムには、金属光沢のある有色フィルムや再帰性反射フィルムなどの反射層が形成されたフィルム、単色フィルム以外の複数色の模様が形成されたフィルムも使用できる。またハーフミラーフィルムについては、入射した光の一部を透過し、一部を反射する機能を有するものであれば、数百から数千の層がナノスケールで積層されて成る光学樹脂フィルムや、透明樹脂フィルムから成る基材層に金属薄膜をミラー層として積層した金属蒸着フィルム等を使用できる。また装飾フィルムの主材料については、樹脂フィルムに使用される一般的な樹脂材料(ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル樹脂等)を使用できる。
【0032】
[8]粘着層および装飾フィルム層の形成領域
また上記粘着層3及び装飾フィルム層4については、クラッド層2表面の一部(周面発光型導光棒Rを取り付けたときに露出する部分)のみに形成することもできるが、図3(a)に示すようにクラッド層2の表面全体(周面発光型導光棒Rの全周)に形成することもできる。また図3(b)に示すように、周面発光型導光棒Rのクラッド層2に長さ方向に伸びる凸部21を形成して、凸部21以外のクラッド層2上に光反射層5を形成する場合には、発光面となる凸部21上に粘着層2及び装飾フィルム層3を部分的に形成するのが好ましい。また他にも、図3(c)に示すように、周面発光型導光棒Rを異形断面に成形して一部に取付け部Mを設ける場合には、取付け部M以外の発光面上に粘着層2及び装飾フィルム層3を部分的に形成するのが好ましい。
【0033】
「周面発光型導光棒の製造方法」
[1]コア層とクラッド層とを一体成形する工程
次に上記周面発光型導光棒の製造方法について以下に説明する。まず本実施形態では、アクリル系樹脂から成るコア層1と、その周囲に形成されるフッ素系樹脂から成るクラッド層2とを一体に成形する。具体的には、押出成形機を用いてコア層1とクラッド層2を共押出成形した後、これらを冷却賦形して一体化する。但し、コア層1とクラッド層2の成形方法はこれに限らず、先に成形した筒状のクラッド層2の中空部にコア層1を注型成形することもできる。
【0034】
[2]クラッド層を表面処理する工程
そして次に、上記クラッド層2の表面にコロナ放電処理またはプラズマ処理を行い、クラッド層2の表面を改質する。具体的には、コア層1とクラッド層2が一体となった棒状体を、コロナ放電処理装置またはプラズマ処理装置内に導入し、所定の線速で通過させて表面処理を行う。なお、本工程における棒状体の線速や、表面処理装置への投入電力、出力される放電量に関しては、装置の種類や処理方法等に応じて適宜調整する。
【0035】
[3]クラッド層の表面上に粘着層と装飾フィルム層を形成する工程
そして次に、上記クラッド層2の表面上に、透明粘着剤から成る粘着層3(または透明接着剤から成る接着層)を形成すると共に、この粘着層3(または接着層)の外側に、可視領域における全光線透過率が10〜65%の有色フィルムまたはハーフミラーフィルムから成る装飾フィルム層4を形成する。この際、クラッド層2と装飾フィルム層4のT型剥離試験による剥離強度が5N/10mm以上(好ましくは10N/10mm以上)となるように貼り付けを行う。
【0036】
《粘着層と装飾フィルム層の同時形成》
なお、上記工程時において、粘着層3に両面テープを使用する場合には、両面テープの一方の面を有色フィルムまたはハーフミラーフィルムに貼り付けた後、両面テープの他方の面をクラッド層2の表面に貼り付けて、クラッド層2上に粘着層3と装飾フィルム層4を同時に形成することによって製造工程を効率化できる。
【0037】
《加熱圧着による貼付け工程》
加えて、上記工程時において、上記粘着層3に両面テープを使用する場合には、両面テープを貼り付けた有色フィルムまたはハーフミラーフィルムをクラッド層2に加熱圧着して、クラッド層2と粘着層3と装飾フィルム層4とを強固に一体化することによって、クラッド層2と装飾フィルム層4の剥離強度を一層高めることができる。なお加熱圧着の方法としては、100℃以上の温度でゴムローラを用いて圧着する方法等を採用できる。
【0038】
『第二実施形態』
次に本発明の第二実施形態について、図4に基づいて以下に説明する。なお図中、符号6で指示するものは、製品基材であり、符号7で指示するものは、被覆フィルムである。また符号Aで指示するものは、階段Sの出隅部分に取り付ける滑止め部材(発光機能付き製品)である。
【0039】
「発光機能付き製品の構成及び効果」
[1]基本構成
まず本実施形態では、図4に示すように、アングル型の製品基材6の角部表面上に、部分的に露出した状態で導光棒Rが組み込むと共に、この製品基材6の表面上に、導光棒Rの露出部を覆うように被覆フィルム7を貼り付けて滑止め部材A(発光機能付き製品)を構成している。
【0040】
また上記導光棒Rの露出部分については、クラッド層2表面をコロナ放電処理またはプラズマ処理によって改質された状態とし、更にこのクラッド層2の外側に、粘着層3または接着層を介して被覆フィルム7を貼り付けて、クラッド層2と被覆フィルム7のT型剥離試験による剥離強度が5N/10mm以上となるようにしている。
【0041】
[2]基本構成から得られる効果
そして上記のように滑止め部材Aを構成したことにより、導光棒Rの端部に光源を配置して使用すれば、部分的に露出した導光棒Rの周面を発光させることができるため、暗闇でも滑止め部材Aの位置を視認することが可能となる。また不使用時においても、導光棒Rの露出部分が被覆フィルム7によって隠蔽されるため、滑止め部材Aの見栄えが損なわれる心配もない。しかも、クラッド層の表面処理によって被覆フィルム7の剥がれも防止できる。次に発光機能付き製品の各構成要素について説明する。
【0042】
[3]製品基材の形状・材質
上記製品基材6の形状に関しては、滑止め部材Aとして公知の形状であれば、本実施形態以外の形状を採用することもでき、また発光機能付き製品に滑止め部材A以外の製品を採用する場合には、その製品に応じた形状を採用できる(別製品の実施形態については後述する)。また製品基材6の材質に関しても、本実施形態ではプラスチック材料を採用しているが、製品の種類に合わせて金属材料や木材等の他の材料を採用することもできる。
【0043】
[4]被覆フィルムの材料
また上記被覆フィルム7の材料に関しては、可視領域における全光線透過率が10〜65%(好ましくは、20〜50%、より好ましくは25〜40%)の白色フィルム、有色フィルムまたはハーフミラーフィルムを使用することができる。なお白色フィルムや有色フィルムには、金属光沢のある有色フィルムや再帰性反射フィルムなどの反射層が形成されたフィルム、単色フィルム以外の複数色の模様が形成されたフィルムも使用できる。またハーフミラーフィルムについては、入射した光の一部を透過し、一部を反射する機能を有するものであれば、数百から数千の層がナノスケールで積層されて成る光学樹脂フィルムや、透明樹脂フィルムから成る基材層に金属薄膜をミラー層として積層した金属蒸着フィルム等を使用できる。また装飾フィルムの主材料については、樹脂フィルムに使用される一般的な樹脂材料(ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル樹脂等)を使用できる。
【0044】
[5]周面発光型導光棒
本実施形態で使用される周面発光型導光棒Rについては、コア層1及びクラッド層2が第一実施形態と同様の条件を満たすものを使用することができ、クラッド層2の表面についても、第一実施形態と同様、コロナ放電処理またはプラズマ処理によって改質された状態とする必要がある。
【0045】
[6]粘着層または接着層の材料
また上記粘着層3についても、第一実施形態と同様、透明(半透明含む)な粘着剤であれば使用することができ、基材を持たないアクリル系粘着剤から成る両面テープ(具体的にはOCAフィルム)を好適に使用できる。また両面テープを使用することによって発光機能付き製品の製造工程も効率化できる。また粘着層3の代わりに接着層を形成する場合には、透明(半透明含む)な接着剤、例えば二液硬化型の接着剤等を使用できる。
【0046】
[7]製品基材に対する被覆フィルムの貼り付け
また上記製品基材6の表面上に対する被覆フィルム7の貼り付けに関しては、透光性などの光学的機能は求められないため、製品基材6と被覆フィルム7の材質の組合せに応じて一定の接着強度を有する粘着剤または接着剤であれば、自由に選択して使用することができる。
【0047】
「発光機能付き製品の製造方法」
[1]導光棒を製品基材に組み込む工程
次に上記発光機能付き製品の製造方法について以下に説明する。まず第一実施形態の製造方法と同様の方法でコア層とクラッド層とを一体成形して導光棒Rを作製した後、この導光棒Rを製品基材6に対し部分的に露出させた状態で組み込む。具体的には、製品基材6の作製時に溝部を形成して、この溝部に導光棒Rを嵌め込むことによって両者を簡単に一体化することができる。またそれ以外にも、製品基材6に熱可塑性樹脂を採用して、導光棒Rを埋め込んだ状態でインサート押出成形する方法を採用することもできる。
【0048】
[2]クラッド層を表面処理する工程
そして、上記のように製品基材6に導光棒Rを組み込んだ後、第一実施形態の製造方法と同様の方法でクラッド層2の表面にコロナ放電処理またはプラズマ処理を行い、クラッド層2の表面を改質する。なお当該表面処理については、製品基材6に導光棒Rを組み込む前に行うこともできる。
【0049】
[3]被覆フィルムを貼り付ける工程
そして次に、上記クラッド層2の表面上に、透明粘着剤から成る粘着層3(または透明接着剤から成る接着層)を介して、可視領域における全光線透過率が10〜65%の白色フィルム、有色フィルムまたはハーフミラーフィルムから成る被覆フィルム7を貼り付ける。この際、クラッド層2と被覆フィルム7のT型剥離試験による剥離強度が5N/10mm以上(好ましくは10N/10mm以上)となるように貼り付けを行う。また製品基材6の表面上に対しても、粘着層または接着層を介して被覆フィルム7を貼り付けて、導光棒Rの露出部が被覆フィルム7によって覆われるようにする。
【0050】
『第三実施形態』
次に本発明の第三実施形態について、図5に基づいて以下に説明する。本実施形態では、手摺り部材Hを発光機能付き製品とし、棒状の製品基材6の表面に、長手方向に沿って周面発光型導光棒Rを組み込んでいる。そして被覆フィルム7を、導光棒Rの露出部分と製品基材6の外周面全体に貼り付けて手摺り部材Hを構成している。これにより第二実施形態と同様、非発光時の外観を改善すると共に、被覆フィルム7の剥がれも防止できる。なおその他の構成や条件については、第二実施形態と同様である。
【0051】
『第四実施形態』
次に本発明の第四実施形態について、図6に基づいて以下に説明する。この第四実施形態では、表示器具Dを発光機能付き製品とし、板状の製品基材6の表面に形成した蛇行した溝部に、周面発光型導光棒Rを湾曲させた状態で組み込んでいる。そして被覆フィルム7を、導光棒Rの露出部分と製品基材6の表面に貼り付けている。これにより第二実施形態と同様、非発光時の外観を改善すると共に、被覆フィルム7の剥がれも防止できる。その他の構成や条件については、第二実施形態と同様である。
【実施例】
【0052】
「効果の実証試験」
次に、本発明の効果の実証試験について説明する。本試験では、製造条件(粘着層及び装飾フィルム層の材質やコロナ放電処理の有無等)が異なる複数の周面発光型導光棒(下記比較例1〜3及び実施例1〜8)をサンプルとして作製し、これらの各サンプルについて、クラッド層と化粧フィルム層の剥離強度試験、発光輝度評価試験、並びに非発光時の外観評価試験を行った。
【0053】
<本試験で粘着層に使用した粘着テープ>
本試験では、厚みが50μm、可視領域における全光線透過率が92.1%、ヘイズ値が0.3%、T型剥離試験によるガラスに対する接着力が11.3N/25mmの粘着テープ[日栄化工社製MHM-GA50]をテープ(A);厚みが50μm、可視領域における全光線透過率が92.5%、ヘイズ値が0.4%、T型剥離試験によるガラスに対する接着力が15.5N/25mmの粘着テープ[パナック社製PD-S1]をテープ(B);厚みが25μm、可視領域における全光線透過率が99%、ヘイズ値が1%未満、T型剥離試験法によるガラスに対する接着力が26.7N/25mmの粘着テープ[大王製紙社製EHW1202-A1]をテープ(C)として使用した。以下に各テープの特性を表にまとめたものを記載する。
【表1】
【0054】
<本試験で化粧フィルム層に使用した化粧フィルム>
本試験では、厚さが0.1mmで可視領域における全光線透過率30%のポリエステル製ハーフミラーフィルム[東レ社製PICASUS100-GH30]をフィルム(a);厚さが0.1mmで可視領域における全光線透過率50%のポリエステル製ハーフミラーフィルム[東レ社製PICASUS100-GH50]をフィルム(b);厚さが0.2mmで可視領域における全光線透過率30%のポリエチレン製金色調フィルムをフィルム(c);厚さが0.2mmで可視領域における全光線透過率30%のポリプロピレン製金色調フィルムをフィルム(d);厚さが0.3mmで可視領域における全光線透過率30%のポリエチレン製金色調フィルムをフィルム(e);厚さが0.05mmで可視領域における全光線透過率25%のアルミ蒸着フィルム[尾池工業社製エコモールド]をフィルム(f);可視領域における全光線透過率5%のフッ素樹脂製有色フィルム[日東電工社製ニトフロン9700UL]をフィルム(g)として使用した。以下に各フィルムの特性を表にまとめたものを記載する。
【表2】
【0055】
<本試験で作製したサンプル>
『比較例1』
この比較例1では、コア層の主原材料にPMMAを使用すると共に、クラッド層の主原材料にETFEを使用して周面発光型導光棒を共押出成形により作製した。またこの比較例1では、クラッド層の厚みを0.26mmとし、更にクラッド層に着色剤(光拡散粒子)として酸化チタンを1.30wt%添加した。
『比較例2』
この比較例2では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面に、コロナ放電処理を行わずにテープ(B)及びフィルム(c)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
『比較例3』
この比較例3では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理を行った後、この改質されたクラッド層表面上にテープ(A)及びフィルム(g)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
【0056】
『実施例1』
この実施例1では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理を行った後、この改質されたクラッド層表面上にテープ(A)及びフィルム(a)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
『実施例2』
この実施例2では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理を行った後、この改質されたクラッド層表面上にテープ(B)及びフィルム(a)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
『実施例3』
この実施例3では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理を行った後、この改質されたクラッド層表面上にテープ(C)及びフィルム(a)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
【0057】
『実施例4』
この実施例4では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理を行った後、この改質されたクラッド層表面上にテープ(A)及びフィルム(c)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
『実施例5』
この実施例5では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理を行った後、この改質されたクラッド層表面上にテープ(A)及びフィルム(d)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
『実施例6』
この実施例6では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理を行った後、この改質されたクラッド層表面上にテープ(A)及びフィルム(b)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
【0058】
『実施例7』
この実施例7では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理を行った後、この改質されたクラッド層表面上にテープ(A)及びフィルム(e)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
『実施例8』
この実施例8では、上記比較例1と同様の条件で作製された周面発光型導光棒のクラッド層表面にコロナ放電処理を行った後、この改質されたクラッド層表面上にテープ(A)及びフィルム(f)を貼り付けて粘着層と化粧フィルム層を形成した。
【0059】
<剥離強度試験>
次に上記比較例2並びに実施例1〜8のサンプルに対して行ったクラッド層と化粧フィルム層の剥離強度試験について説明する。本試験では、一体化されたクラッド層と粘着層と化粧フィルム層とをシート状の形態にしてT型剥離試験を行い剥離強度の測定を行った。その結果、クラッド層にコロナ放電処理を行わなかった比較例2のサンプルよりも、クラッド層にコロナ放電処理を行った実施例1〜8のサンプルの方が、クラッド層と化粧フィルム層の剥離強度が格段に大きくなることが確認できた。以下に試験結果を表にまとめたものを記載する。
【表3】
【0060】
また上記化粧フィルム層を被覆フィルムとして発光機能付き製品を作製した場合にも、上記[表3]と同様の剥離強度となるため、上記試験結果から、導光棒のクラッド層を表面処理することにより発光機能付き製品の被覆フィルムが剥がれ難くなる効果が得られることも確認できた。
【0061】
<輝度評価試験>
次に上記比較例1及び3、並びに実施例1〜8のサンプルに対して行った輝度評価試験について説明する。まず本試験では、各サンプルの寸法を長さ300mm、直径6.3mmとして、光源からの距離が30〜180mmの部位の発光輝度を30mm間隔で測定した。また本試験では、発光輝度の測定を、サンプルの被測定部位から垂直方向に600mm離れた位置に分光放射輝度計(CS-2000コニカミノルタ製)を配置して行った。また光源には、駆動電流300mA、消費電力1.5W、輝度37.7cd/m2、光束135lm,指向特性120°のものを使用した。以下に測定条件を表にまとめたものを記載する。
【表4】
【0062】
そして、上記輝度評価試験の結果、図7に示すように、可視領域の全光線透過率が10%未満の化粧フィルムを使用した比較例3のサンプルよりも、可視領域の全光線透過率が10%以上の化粧フィルムを使用した実施例1〜8のサンプルの方が、発光輝度が格段に大きくなることが確認できた。以下に測定結果を表にまとめたものを記載する。
【表5】
【0063】
<非発光時の外観評価試験>
次に、上記実施例1〜8に対して行った非発光時の外観評価試験について説明する。本試験では、可視領域の全光線透過率が60%超の化粧フィルムを使用して周面発光型導光棒を作製し、上記比較例1及び実施例1〜8のサンプルとの非発光時の外観比較を行ったところ、比較例1のサンプル及び全光線透過率が60%超の装飾フィルムを使用したサンプルは装飾効果が低かったのに対し、実施例1〜8のサンプルは装飾効果が充分に発揮されていた。
【符号の説明】
【0064】
1 コア層
2 クラッド層
21 凸部
3 粘着層
4 装飾フィルム層
5 光反射層
6 製品基材
7 被覆フィルム
R 周面発光型導光棒
M 取付け部
A 滑止め部材
H 手すり部材
D 表示部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7