【文献】
青木孝良,ミルク成分の合成,New Food Industry,1993年,Vol.35, No.9,p.37-52,第42頁表2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いられる(A)グルコサミン塩は、グルコサミン(C
6H
13NO
5,分子量179.17)の塩である。グルコサミンは、D体であってもL体であってもよく、両異性体が混在するDL体であってもよいが、D体が好ましい。また、α型とβ型いずれであってもよい。
(A)グルコサミン塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩が挙げられる。なかでも、好ましくは無機酸塩であり、より好ましくは塩酸塩、硫酸塩である。
(A)グルコサミン塩は、カニやエビ等の甲殻等から得られるキチンの酵素処理、加水分解、微生物発酵、化学合成等の公知の方法により製造してもよいし、市販のものを用いることもできる。
【0011】
(A)グルコサミン塩は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の固形状組成物中、(A)グルコサミン塩の含有量は40〜70質量%(以下、単に「%」とする)であるが、生理効果を有効に発現する点、摂取形態として一度に少量の摂取で可能であるという点から、45%以上が好ましく、更に50%以上が好ましく、また、風味の点から、66%以下が好ましい。固形状組成物中の(A)グルコサミン塩の含有量は、45%以上66%以下、更に50%以上66%以下が好ましい。
固形状組成物中のグルコサミン塩の含有量は、高速液体クロマトグラフ法により測定することができる。
【0012】
本発明で用いられる(B)乳脂肪球皮膜成分は、乳脂肪球を被覆している膜、及び膜を構成する成分の混合物と定義される。乳脂肪球皮膜は、一般的に、乾燥重量の約半分が脂質で構成され、当該脂質としては、トリグリセライドやリン脂質、スフィンゴ糖脂質が含まれることが知られている(三浦晋、FOOD STYLE21、2009及びKeenan TW、Applied Science Publishers、1983、pp89−pp130)。リン脂質としては、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、ホスファチジルコリンやホスファチジルエタノールアミン等のグリセロリン脂質が含まれることが知られている。
また、脂質以外の成分としては、ミルクムチンと呼ばれる糖タンパク質が含まれることが知られている(Mather、Biochim Biophys Acta、1978)。
【0013】
本発明で用いられる(B)乳脂肪球皮膜成分は、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという点から、脂質の含有量が、10%以上、更に20%以上、更に30%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、100%以下、更に90%以下、更に60%以下であるのが好ましい。乳脂肪球皮膜成分中の脂質の含有量は、10〜100%、更に20〜90%、更に30〜60%が好ましい。
【0014】
(B)乳脂肪球皮膜成分は、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという点から、リン脂質の含有量が、5%以上、更に8%以上、更に10%以上、更に15%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、100%以下、更に85%以下、更に70%以下、更に60%以下であるのが好ましい。乳脂肪球皮膜成分中のリン脂質の含有量は、5〜100%、更に8〜85%、更に10〜70%、更に15〜60%が好ましい。
【0015】
(B)乳脂肪球皮膜成分は、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという点から、リン脂質としてスフィンゴミエリンを含むのが好ましい。乳脂肪球皮膜成分中のスフィンゴミエリンの含有量は、1%以上、更に2%以上、更に3%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、50%以下、更に30%以下、更に25%以下、更に20%以下であるのが好ましい。乳脂肪球皮膜成分中のスフィンゴミエリンの含有量は、1〜50%、更に2〜30%、更に3〜25%、更に3〜20%が好ましい。
また、同様の点から、乳脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、3%以上、更に5%以上、更に10%以上、更に15%以上であるのが好ましく、また、50%以下、更に40%以下、更に35%以下、更に30%以下であるのが好ましい。乳脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、3〜50%、更に5〜40%、更に10〜35%、更に15〜30%が好ましい。
なお、本明細書において、乳脂肪球皮膜成分中の脂質、リン脂質及びスフィンゴミエリンの含有量、並びに乳脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、乳脂肪球皮膜成分の乾燥物に対する質量割合とする。
【0016】
上記の(B)乳脂肪球皮膜成分は、原料乳から遠心分離法や有機溶剤抽出法等の公知の方法により得ることができる。例えば、特開平3−47192号公報に記載の乳脂肪球皮膜成分の調製方法を用いることができる。また、特許第3103218号公報、特開2007−89535号公報に記載の方法等を用いることができる。さらに、透析、硫安分画、ゲルろ過、等電点沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、溶媒分画等の手法により精製することにより純度を高めたものを用いてもよい。
なお、(B)乳脂肪球皮膜成分の形態は、特に限定されず、室温(15〜25℃)で液状、半固体状(ペースト等)、固体状(粉末、固形、顆粒等)等のいずれでもよく、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
(B)乳脂肪球皮膜成分の原料乳としては、牛乳やヤギ乳等が挙げられる。なかでも、食経験が豊富であり、安価な点から、牛乳が好ましい。また、原料乳には、生乳、全粉乳や加工乳等の乳の他、乳製品も含まれ、乳製品としては、バターミルク、バターオイル、バターセーラム、ホエータンパク質濃縮物(WPC)等が挙げられる。
バターミルクは、牛乳等を遠心分離して得られるクリームからバター粒を製造する際に得られ、当該バターミルク中に乳脂肪球皮膜成分が多く含まれているので、乳脂肪球皮膜成分としてバターミルクをそのまま使用してもよい。同様に、バターオイルを製造する際に生じるバターセーラム中にも乳脂肪球皮膜成分が多く含まれているので、乳脂肪球皮膜成分としてバターセーラムをそのまま使用してもよい。
【0018】
(B)乳脂肪球皮膜成分は、市販品を用いることもできる。斯かる市販品としては、メグレジャパン(株)「BSCP」、雪印乳業(株)「ミルクセラミドMC−5」、(株)ニュージーランドミルクプロダクツ「Phospholipid Concentrate シリーズ(500,700)」等が挙げられる。
【0019】
本発明の固形状組成物中、(B)乳脂肪球皮膜成分の含有量は10〜60%である。乳脂肪球皮膜成分を10%以上含有することで、グルコサミン塩の塩味を低減することができる。固形状組成物中の乳脂肪球皮膜成分の含有量は、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという点から、15%以上がより好ましく、更に20%以上、更に30%以上が好ましい。
他方、乳脂肪球皮膜成分の量が増えると摂食中にねとつきが生じ、口内、特に咀嚼して固形状組成物を摂食する場合は歯に付着して摂取し難くなる傾向がある。そのため、摂食時の口内や歯でのねとつき・付着が少ないという点、また、風味を考慮して、乳脂肪球皮膜成分は50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。
固形状組成物中の(B)乳脂肪球皮膜成分の含有量は、好ましくは15%以上60%以下であり、更に20%以上50%以下、更に30%以上45%以下が好ましい。
【0020】
また、本発明の固形状組成物中、リン脂質の含有量は、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという点から、1%以上、更に3%以上であるのが好ましく、また、後味が良好である点で30%以下、更に10%以下が好ましい。固形状組成物中のリン脂質の含有量は、1〜30%、更に3〜10%が好ましい。
【0021】
本発明の固形状組成物中、スフィンゴミエリンの含有量は、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという点から、0.3%以上、更に0.5%以上であるのが好ましく、また、5%以下、更に4%以下が好ましい。固形状組成物中のスフィンゴミエリンの含有量は、0.3〜5%、更に0.5〜4%が好ましい。
乳脂肪球皮膜成分中又は固形状組成物中の脂質、リン脂質、及びスフィンゴミエリンの含有量は、酸分解法、比色法又は薄層クロマトグラフ法により測定することができる。
【0022】
本発明の固形状組成物において、固形状組成物中の成分(A)と成分(B)の含有質量比[(B)/(A)]は、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという点から、0.15以上が好ましく、更に0.18以上、更に0.2以上、更に0.65以上が好ましい。また、摂食時の口内や歯でのねとつき・付着が少ないという点から、1.5以下が好ましく、更に0.8以下、更に0.7以下が好ましい。かかる質量比の範囲としては、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという観点と、摂食時の口内や歯でのねとつき・付着が少ないという観点のバランスから、0.15以上1.5以下が好ましく、更に0.18以上1.5以下、更に0.2以上0.8以下、更に0.2以上0.7以下、更に0.65以上0.7以下が好ましい。
固形状組成物の形態が後述する錠剤等の固形形態の場合、その中の成分(A)と成分(B)の含有質量比[(B)/(A)]は、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという点から、0.15以上が好ましく、更に0.18以上、更に0.2以上、更に0.6以上が好ましい。また、摂食時の口内や歯でのねとつき・付着が少ないという点から、1.5以下が好ましく、更に0.8以下、更に0.7以下が好ましい。
また、固形状組成物の形態が散剤や顆粒剤等の粉末形態、顆粒形態の場合、その中の成分(A)と成分(B)の含有質量比[(B)/(A)]は、グルコサミン塩に由来する塩味を少なくするという点から、0.65以上が好ましく、更に1以上が好ましい。また、摂食時の口内や歯でのねとつき・付着が少ないという点から、1.5以下が好ましい。
【0023】
本発明の固形状組成物において、乳脂肪球皮膜成分による摂食時の口内や歯でのねとつき・付着を改善する点から、固形状組成物中の(A)グルコサミン塩の2乗量と(B)乳脂肪球皮膜成分の量との質量比[(B)/(A)
2]は、0.02以下が好ましく、更に0.015以下、更に0.012未満が好ましい。また、かかる質量比は、0.002以上が好ましい。
【0024】
本発明の固形状組成物には、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、ミネラル(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、クロム、セレン、マンガン、モリブデン、銅、ヨウ素、リン、カリウム、ナトリウム)、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、葉酸及びそれらの塩、又はそれらのエステル)、甘味料(例えば、フルクトース、グルコース、ガラクトース、キシロース等の単糖;ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルツロース、カップリングシュガー等の少糖;糖アルコール、サッカリン、スクラロース、ステビア、アセスルファムカリウム等の合成甘味料)、界面活性剤、酸味料、香料、着色料、保存料等が適宜配合されていてもよい。
【0025】
本発明の固形状組成物は、室温(15〜25℃)で固形状態のものを意味し、粉末、固形、顆粒等の形態が挙げられる。更に、具体的な製剤(剤型)としては、例えば、カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、トローチ剤等が挙げられる。なかでも、摂取が簡便な点、食品として摂取する点から、錠剤、顆粒剤、散剤が好ましく、錠剤がより好ましい。
【0026】
固形状の組成物を調製するには、必要に応じて許容される担体を配合することができる。例えば、賦形剤(例えば、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等)、崩壊剤(例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等)、増量剤、分散剤、緩衝剤、希釈剤等の担体が挙げられる。
【0027】
本発明の固形状組成物は、特に制限はなく常法に従い製造される。
例えば、散剤を製造する場合、(A)グルコサミン塩、(B)乳脂肪球皮膜成分及び必要に応じて添加される添加剤を混合し、その混合物をそのまま用いてもよいし、混合物を粉砕して用いてもよい。散剤は、18号(850μm)ふるいを全量通過することが好ましく、300号(500μm)ふるいに残留するものが全量の5%以下であることがより好ましい。
顆粒剤は、(A)グルコサミン塩、(B)乳脂肪球皮膜成分及び必要に応じて添加される添加剤を混合し、その混合物を乾式造粒法、湿式造粒法等を用いて造粒することにより得ることができる。造粒法としては、円筒造粒機、球形整粒機、ペレッター等を使用する押し出し造粒法、スピードミル、パワーミル等を使用する破砕造粒法、転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法等が挙げられる。造粒物の平均粒子径は、45μm〜850μmとするのが好ましく、100μm〜500μmとするのが更に好ましい。
錠剤を製造する場合は、原料粉末を直接圧縮して成型(直接粉末圧縮法)しても、前記乾式造粒法、湿式造粒法等を用いて造粒してから、造粒物を打錠成型機で圧縮して成型(顆粒圧縮法)しても良い。なかでも、工程の簡便性の点から、直接粉末圧縮法を用いて錠剤とするのが好ましい。
直接又は造粒物を圧縮して成型して錠剤を製造する場合、打錠成型機としてはロータリー式打錠機や単発式打錠機等通常使用されるものを用いることができる。
【実施例】
【0028】
〔原料〕
次の原料を用いた。
グルコサミン塩酸塩:甲陽ケミカル株式会社
グルコサミン硫酸塩:JBiChem Vina-health Biochemical Co., Ltd.
マルチトール:アマルティMR−50、三菱商事フードテック株式会社
プルラン:重量平均分子量70,000、(株)林原
ステアリン酸カルシウム:オーラブライトCA−65、日油(株)
【0029】
乳脂肪球皮膜成分は牛乳から調製したものを使用した。
乳脂肪球皮膜成分の含水量は3.6%であった。乳脂肪球皮膜成分の組成は、乾燥物換算で、炭水化物:11.3%、脂質:25.1%、タンパク質:53.6%であった。また、乳脂肪球皮膜成分中、リン脂質の含有量は乾燥物換算で16.6%であり、スフィンゴミエリンの含有量は3.6%であった。
【0030】
上記の乳脂肪球皮膜成分の分析は次のとおり行った。
(1)タンパク質の分析
タンパク質量はケルダール法を用いて、窒素・タンパク質換算係数6.38として求めた。
【0031】
(2)脂質の分析
脂質量は酸分解法で求めた。試料を1g量りとり、塩酸を加え分解した後、ジエチルエーテル及び石油エーテルを加え、攪拌混和した。エーテル混合液層を取り出し、水洗した。溶媒を留去させ、乾燥させた後、重量を秤量することで脂質量を求めた、
【0032】
(3)炭水化物の分析
炭水化物量は試料の質量から試料中のタンパク質量、脂質質量、灰分量、及び水分量を除くことにより求めた。なお、灰分量は直接灰化法 (550℃で試料を灰化させ重量測定)、水分量は常圧加熱乾燥法 (105℃4時間乾燥させ重量測定)により求めた。
【0033】
(4)リン脂質の分析
試料1gを量りとり、クロロホルム及びメタノールの2:1(V/V)混液150mL、100mL、及び20mL中でホモジナイズ後、0.88質量%(W/V)塩化カリウム水溶液93mLを添加し、一晩室温で放置した。脱水ろ過、溶媒留去後、クロロホルムを添加し総量を50mLとした。そのうち2mLを分取し、溶媒留去後、550℃16時間加熱処理により灰化した。灰分を6M塩酸水溶液5mLに溶解後、蒸留水を添加し、総量を50mLとした。3mLを分取し、モリブデンブルー発色試薬5mL、5質量%(W/V)アスコルビン酸水溶液1mL及び蒸留水を添加し総量を50mLとし、710nmの吸光度を測定した。リン酸2水素カリウムを用いた検量線からリン量を求め、リン量に25.4をかけた値をリン脂質量とした。
【0034】
(5)スフィンゴミエリンの分析
試料1gを量りとり、クロロホルム及びメタノールの2:1(V/V)混液150mL、100mL、及び20mL中でホモジナイズ後、0.88質量%(W/V)塩化カリウム水溶液93mLを添加し、一晩室温で放置した。脱水ろ過、溶媒留去後、クロロホルムを添加し総量を50mLとした。そのうち10mLを分取し、シリカカートリッジカラムに添加した。カラムをクロロホルム20mLで洗浄後、メタノール30mLでリン脂質を溶出し、溶媒留去後クロロホルム1.88mLに溶解した。シリカゲル薄層プレートに20μLを負荷し、1次元展開溶媒としてテトラヒドロフラン:アセトン:メタノール:水=50:20:40:8(V/V)、2次元展開溶媒としてクロロホルム:アセトン:メタノール:酢酸:水=50:20:10:15:5(V/V)を用いて2次元展開を行った。展開後の薄層プレートにディトマー試薬を噴霧し、スフィンゴミエリンのスポットをかきとり、3質量%(V/V)硝酸含有過塩素酸溶液2mL添加後、170℃3時間の加熱処理を行った。蒸留水5mL添加後モリブデンブルー発色試薬5mL、5質量%(W/V)アスコルビン酸水溶液1mL及び蒸留水を添加し総量を50mLとし、710nmの吸光度を測定した。リン酸2水素カリウムを用いた検量線からリン量を求め、リン量に25.4をかけた値をスフィンゴミエリン量とした。
【0035】
実施例1〜11及び比較例1〜2
〔固形状組成物の調製〕
表1に記載の配合組成で各原料成分を均一に混合し、粉末状の組成物、顆粒又は錠剤を得た。
顆粒は、流動層造粒機(フロイント産業製)を用いて造粒した。造粒物を乾燥し、平均粒径約115μmの造粒物を得た。
錠剤は、単発式打錠機(RIKEN製)を用いて、穴径9mmのリング状杵で、錠剤重量360mg/1錠、10MPaの打錠圧で打錠し、9mmの円形の錠剤を得た。
【0036】
〔塩味の評価〕
上記で得た固形状組成物について官能評価を行なった。具体的には、錠剤・粉末・顆粒の咀嚼・摂食時のグルコサミン塩酸塩に由来する塩味について、比較例1の組成物を基準品として、下記評価基準により他の品(実施例1〜11)について相対評価を行った。専門パネル3名の平均値をもって評点とした。結果を表1に示す。
(塩味)
5:基準品(比較例1)に比べて塩味を弱く感じる
4:基準品(比較例1)に比べて塩味をやや弱く感じる
3:基準品(比較例1)と同等の塩味を感じる
2:基準品(比較例1)に比べて塩味をやや強く感じる
1:基準品(比較例1)に比べて酸味を強く感じる
【0037】
【表1】
【0038】
表1から明らかなように、所定量の乳脂肪球皮膜成分を含む実施例1〜11は、比較例1(基準品)に比べて、グルコサミン塩酸塩の塩味の低減が確認された。
【0039】
〔歯への付着性の評価〕
上記で得た固形状組成物のうち錠剤につき、咀嚼時の歯への付着性の評価を行なった。具体的には、比較例2の組成物を基準品として、下記評価基準により他の品(実施例1、2、4、5、7、8、10及び11)について相対評価を行った。専門パネル3名の平均値をもって評点とした。結果を表2に示す。
(歯への付着性)
5:基準品(比較例2)に比べて歯への付着性が弱い
4:基準品(比較例2)に比べて歯への付着性がやや弱い
3:基準品(比較例2)と同等の付着性
2:基準品(比較例2)に比べて歯への付着性がやや強い
1:基準品(比較例2)に比べて歯への付着性が強い
【0040】
【表2】
【0041】
表2から明らかなように、乳脂肪球皮膜成分を多く含むと咀嚼時に歯へ付着し易いところ(比較例2)、グルコサミン塩酸塩と組み合わせることで、歯への付着性も抑えられた。
【0042】
実施例12〜21及び比較例3
〔固形状組成物の調製〕
グルコサミン硫酸塩を用いて、表3に記載の配合組成に従い、実施例1〜11と同様にして粉末状の組成物、顆粒又は錠剤を得た。
【0043】
〔塩味の評価〕
上記で得た固形状組成物につき、比較例3の組成物を基準品とした以外は上記と同様にして塩味の相対評価を行った。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
〔歯への付着性の評価〕
上記で得た実施例21の錠剤につき、上記と同様に比較例2の組成物を基準品として咀嚼時の歯への付着性の相対評価を行った。結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
表3及び表4より、所定量の乳脂肪球皮膜成分を含む実施例12〜21は、比較例3(基準品)に比べて、グルコサミン硫酸塩の塩味の低減が確認された。また、比較例2と比べて、歯への付着性も抑えられた。