特許第6836374号(P6836374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836374
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】中継装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/26 20090101AFI20210222BHJP
   H04W 48/02 20090101ALI20210222BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   H04W16/26
   H04W48/02
   H04M3/42 U
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-224020(P2016-224020)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2018-82334(P2018-82334A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平塚 浩二
(72)【発明者】
【氏名】竹田 真二
【審査官】 田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−166690(JP,A)
【文献】 特開2012−054632(JP,A)
【文献】 特開2014−187595(JP,A)
【文献】 特開2014−033293(JP,A)
【文献】 特開2008−131302(JP,A)
【文献】 特開2007−088624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04M 3/42
DB名 3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局を含む移動通信網と通信する第1通信部と、
外部の無線通信端末と通信する第2通信部と、
前記複数の基地局の各々により送信される識別子のうち、前記第1通信部によって受信された識別子を取得する取得部と、
所定の第1期間内に前記取得部が取得した識別子の数が閾値を超えた場合に、所定の第2期間を開始させ、当該第2期間内に、前記取得部が前記第1期間内に取得した前記識別子とは異なる識別子を新たに取得したときは、前記無線通信端末と前記移動通信網との間で行われる通信を中継する中継処理を停止させる一方で、当該第2期間内に、前記取得部が前記第1期間内に取得した前記識別子とは異なる識別子を新たに取得しないときは、前記無線通信端末と前記移動通信網との間で行われる通信を中継する中継処理を停止させない停止制御部と
を備える中継装置。
【請求項2】
前記停止制御部は、
前記第1通信部を介して接続した1以上の基地局から取得した前記識別子の数が、前記閾値を超えた場合に、前記中継処理を停止させる
ことを特徴とする請求項に記載の中継装置。
【請求項3】
前記停止制御部は、
前記第1通信部を介して接続中でない基地局を含む1以上の基地局から取得した前記識別子の数が、前記閾値を超えた場合に、前記中継処理を停止させる
ことを特徴とする請求項に記載の中継装置。
【請求項4】
前記第1通信部を介して接続した1以上の基地局から取得した前記識別子の数に基づいて、前記閾値を設定する設定部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項5】
前記第1通信部を介して接続中でない基地局を含む1以上の基地局から取得した前記識別子の数に基づいて、前記閾値を設定する設定部を備える
ことを特徴とする請求項から請求項4のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項6】
前記識別子が取得されたときの自中継装置の位置を特定する位置特定部を備え、
前記設定部は、
前記位置特定部が特定した位置が変化していない期間に取得された前記識別子に基づいて、前記閾値を設定する
ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の中継装置。
【請求項7】
前記設定部は、
前記第1期間を複数の単位期間に区分し、当該複数の単位期間のうち、一の単位期間に取得された前記識別子の数が、他の単位期間に取得された前記識別子の数に対して所定の基準以上に乖離する場合には、当該一の単位期間における前記識別子の取得結果を用いないで、前記閾値を設定する
ことを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項8】
前記停止制御部は、
前記取得部が取得する2以上の前記識別子が一斉に変化した場合には、前記中継処理を停止させない
ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の中継装置。
【請求項9】
複数の基地局を含む移動通信網と通信する第1通信部と、
外部の無線通信端末と通信する第2通信部と、
を備える中継装置のコンピュータに、
前記複数の基地局の各々により送信される識別子のうち、前記第1通信部によって受信された識別子を取得するステップと、
所定の第1期間内に取得した前記識別子の数が閾値を超えた場合に、所定の第2期間を開始させ、当該第2期間内に、前記第1期間内に取得した前記識別子とは異なる識別子を新たに取得したときは、前記無線通信端末と前記移動通信網との間で行われる通信を中継する中継処理を停止させる一方で、当該第2期間内に、前記第1期間内に取得した前記識別子とは異なる識別子を新たに取得しないときは、前記無線通信端末と前記移動通信網との間で行われる通信を中継する中継処理を停止させないステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用できる場所を制限した中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を行うことが許可されている場所に通信機器が置かれているかどうかを、その通信機器が基地局から受信した信号に基づいて判定する技術が、従来から提案されている。特許文献1には、無線中継装置が、初期動作において登録した領域識別情報とは異なる領域識別情報を取得した場合に、外部の携帯端末から位置情報を取得して、実際の移動の有無を判定することが記載されている。特許文献2には、予め電子機器の使用範囲の設定に用いる基地局を決めておき、電子機器が1又は複数の基地局から受信した電波強度、及び位置情報に基づいて、その電子機器が使用範囲内にあるかどうかを判定することが記載されている。特許文献3には、基地局を用いた三角測量により、携帯型PCが非警戒領域内にあるかどうかを判定し、非警戒領域外にあると判定した場合は使用者認証を行うことが記載されている。特許文献4には、情報処理装置が、基地局にダイヤルアップ接続した後に、その基地局の無線サービスエリアから外れた場合には、強制ログオフすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−187595号公報
【特許文献2】特開2014−33293号公報
【特許文献3】特開2008−131302号公報
【特許文献4】特開2007−88624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基地局によって送信されるその基地局に固有の識別子(以下「基地局ID」という。)のうち、通信機器が受信する基地局IDは、その通信機器の移動だけでなく、基地局IDの更新(例えば、収容替え)により変化することもある。よって、事前に決めておいた基地局IDと、実際に基地局から取得した基地局IDとの異同に基づいて、移動の有無を判定するだけでは、実際に通信機器が移動したかどうかを正確に判定することは難しい。特許文献1には、移動によって基地局IDが変化したのか、更新によって基地局IDが変化したのかを判別する仕組みについて記載されている。しかし、この仕組みでは、基地局からの信号以外に、近くに存在する携帯端末から位置情報を取得して、実際の移動の有無を判別しなければならない。特許文献2〜4には、基地局IDが変化した原因を判別することについて記載されていない。
これに対し、本発明は、基地局から取得した識別子に基づいて、中継装置が所定の場所に存在することを条件として中継処理を行うための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の中継装置は、複数の基地局を含む移動通信網と通信する第1通信部と、外部の無線通信端末と通信する第2通信部と、前記複数の基地局の各々により送信される識別子のうち、前記第1通信部によって受信された識別子を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記識別子に基づいて、前記無線通信端末と前記移動通信網との間で行われる通信を中継する中継処理を停止させる停止制御部とを備える。
【0006】
本発明の中継装置において、前記停止制御部は、所定の第1期間内に取得された前記識別子の数が閾値を超えた場合に、前記中継処理を停止させてもよい。
この場合において、前記停止制御部は、前記第1通信部を介して接続した1以上の基地局から取得した前記識別子の数が、前記閾値を超えた場合に、前記中継処理を停止させてもよい。
また、前記停止制御部は、前記第1通信部を介して接続中でない基地局を含む1以上の基地局から取得した前記識別子の数が、前記閾値を超えた場合に、前記中継処理を停止させてもよい。
更に、本発明の中継装置において、前記第1通信部を介して接続した1以上の基地局から取得した前記識別子の数に基づいて、前記閾値を設定する設定部を備えてもよい。
また、前記第1通信部を介して接続中でない基地局を含む1以上の基地局から取得した前記識別子の数に基づいて、前記閾値を設定する設定部を備えてもよい。
【0007】
本発明の中継装置において、前記識別子が取得されたときの自中継装置の位置を特定する位置特定部を備え、前記設定部は、前記位置特定部が特定した位置が変化していない期間に取得された前記識別子に基づいて、前記閾値を設定してもよい。
【0008】
本発明の中継装置において、前記設定部は、前記第1の期間を複数の単位期間に区分し、当該複数の単位期間のうち、一の単位期間に取得された前記識別子の数が、他の単位期間に取得された前記識別子の数に対して所定の基準以上に乖離する場合には、当該一の単位期間における前記識別子の取得結果を用いないで、前記閾値を設定してもよい。
【0009】
本発明の中継装置において、前記停止制御部は、前記取得部が取得した前記識別子の時間的な変化に基づいて、前記中継処理を停止させてもよい。
この場合において、前記停止制御部は、前記取得部が新たに第1識別子を取得した場合に、所定の第2期間を開始させ、当該第2期間内に、前記取得部が前記第1識別子とは異なる第2識別子を新たに取得したときは、前記中継処理を停止させてもよい。
また、前記停止制御部は、前記第2期間内に前記中継処理を停止させなかった場合には、その後は、前記第1識別子とは異なる第3識別子が取得されたときに、前記第2期間を開始させてもよい。
更に、前記停止制御部は、前記第1識別子、前記第2識別子又は前記第3識別子を含む無線信号のレベルの変化に基づいて、前記中継処理を停止させてもよい。
更に、前記停止制御部は、前記取得部が取得する2以上の前記識別子が一斉に変化した場合には、前記中継処理を停止させなくてもよい。
更に、前記停止制御部は、前記取得部が取得した前記識別子の数が閾値を超えた場合に、前記識別子の時間的な変化に基づいて前記中継処理を停止させてもよい。
てもよい。
【0010】
本発明のプログラムは、複数の基地局を含む移動通信網と通信する第1通信部と、外部の無線通信端末と通信する第2通信部と、を備える中継装置のコンピュータに、前記複数の基地局の各々により送信される識別子のうち、前記第1通信部によって受信された識別子を取得するステップと、取得した前記識別子に基づいて、前記無線通信端末と前記移動通信網との間で行われる通信を中継する中継処理を停止させるステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基地局から取得した識別子に基づいて、中継装置が所定の場所に存在することを条件として中継処理を行うための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るシステムを示す図。
図2】同実施形態に係る中継装置の構成を示すブロック図。
図3】同実施形態に係るテーブルTB1の構成を示す図。
図4】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例1)に係る制御を示すフローチャート。
図5】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例1)に係る制御の一例の説明図。
図6】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例2)に係る制御を示すフローチャート。
図7】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例2)に係る制御の一例の説明図。
図8】本発明の第2実施形態に係る中継装置の構成を示すブロック図。
図9】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例1)に係る制御を示すフローチャート。
図10】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例1)に係る制御の一例の説明図。
図11】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例2)に係る制御を示すフローチャート。
図12】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例2)に係る制御の一例の説明図。
図13】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例3)に係る制御を示すフローチャート。
図14】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例3)に係る制御の一例の説明図。
図15】本発明の第3実施形態に係る中継装置の構成を示すブロック図。
図16】同実施形態に係る中継装置が行う制御を示すフローチャート。
図17】本発明の第4実施形態に係る中継装置の構成を示すブロック図。
図18】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例1)に係る制御を示すフローチャート。
図19】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例1)に係る制御の一例の説明図。
図20】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例2)に係る制御を示すフローチャート。
図21】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例2)に係る制御の一例の説明図。
図22】同実施形態に係る中継装置が行う(動作例2)に係る制御の一例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
通信事業者は、LTE(Long Term Evolution)等の高速無線通信が可能なサービスを、利用者に提供する。利用者は、かかる通信サービスを利用するために、必要な設備を、当該サービスを利用する施設(例えば、自宅)に導入する。このような設備の導入前でも、利用者が通信サービスを利用できるようにするために、高速無線通信を利用するための中継装置(例えば、モバイルWi−Fiルータ)を、通信事業者が顧客に貸与する方法が考えられる。この場合、通信事業者は、利用者の自宅等の決められた場所での利用を意図して、その中継装置を顧客に貸与する。しかし、この種の中継装置は、利用者が自由に持ち運びできる程度に、軽量、且つ小型に構成されていることも多い。この場合、通信事業者の意図する場所外の場所で、この中継装置が利用されてしまう可能性がある。以下、このような目的外の利用の可能性を低くするための機能を有する中継装置について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
<構成>
図1は、第1実施形態に係るシステム1を示す図である。
システム1は、中継装置10と、無線通信端末20と、移動通信網30とを含む。中継装置10は、無線通信端末20、及び移動通信網30と無線により接続する。本実施形態において、接続とは、通信を行うための通信路(セッション)が確立した状態をいう。中継装置10は、中継処理を行う。中継処理は、無線通信端末20と移動通信網30との間で行われる通信を中継する処理である。中継処理は、無線通信端末20とのデータの送受信、及び移動通信網30とのデータの送受信等の処理を含む。無線通信端末20は、ここではスマートフォンであるが、フィーチャーフォンや、タブレット型端末等の無線通信端末であってもよい。
なお、図1には、中継装置10、及び無線通信端末20がそれぞれ1台ずつ示されているが、実際には複数台存在する。
【0015】
移動通信網30は、複数の基地局を含む通信網である。移動通信網30は、例えば、LTEの規格に準拠した通信網であるが、3G等の他の規格に準拠した通信網であってもよい。図1には、移動通信網30に含まれる基地局として、基地局BS1〜BS8が示されている。基地局BSi(iは自然数)によって形成されるセルを、以下では「セルCi」と称する。セルCi内に存在する中継装置10は、基地局BSiに無線により接続して、移動通信網30と通信する。
【0016】
また、複数のセルCiが重なり合う領域も存在する。図1の例では、利用者の自宅Hは、セルC1,C2,C3が重なり合う領域に存在する。この領域に存在する中継装置10は、基地局BS1,BS2,BS3のうちのいずれか1の基地局と接続して、通信を行う。中継装置10は、例えば、基地局から受信した無線信号のレベル(例えば、受信電界強度)が最大の基地局と接続する。中継装置10が接続する基地局は、その中継装置10の位置が固定されている場合でも、無線信号のレベルの変化等を原因として、変化することがある。
本実施形態では、中継装置10は、自宅Hで使用させることを目的として、通信事業者から利用者に貸与される中継装置である。
【0017】
図2は、中継装置10の構成を示すブロック図である。
中継装置10は、ハードウェア構成として、制御部11と、第1通信部12と、第2通信部13と、記憶部14と、操作部15とを備える。
制御部11は、中継装置10の各部を制御する。制御部11は、例えば、演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory)を含む。CPUは、ROM又は記憶部14に記憶されたプログラムを、RAMに読み出して実行することにより、中継装置10の各部を制御する。
【0018】
第1通信部12は、基地局と無線により接続して通信する。第1通信部12は、中継装置10が或るセル内に存在するときに、そのセルを形成する基地局と接続することがある。第1通信部12は、例えば、基地局から基地局IDを受信する。基地局により送信される基地局IDは、当該基地局に固有の識別子である。更に、第1通信部12は、基地局と接続中でない場合でも、その基地局から基地局IDを受信することがある。第1通信部12は、例えば、基地局と接続中でない場合でも、その基地局に或る距離以下に近接したときには、その基地局から基地局IDを受信することがある。第1通信部12は、例えば、無線通信回路、及びアンテナを含む。
【0019】
第2通信部13は、無線通信端末20と無線により接続して通信を行う。第2通信部13は、或る距離以下に近接した無線通信端末20と接続する。第2通信部13が行う通信の規格は特に問わないが、Wi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信がある。第2通信部13は、例えば、無線通信回路、及びアンテナを含む。
【0020】
記憶部14は、データを記憶する。記憶部14は、記憶装置として、例えば半導体メモリを含む。記憶部14は、制御部11により実行されるプログラム、テーブルTB1、及び閾値データを記憶する。テーブルTB1は、基地局IDの取得の履歴を管理するためのテーブルである。閾値データは、中継装置10が取得する基地局IDの数に対する閾値を示す。閾値は、中継装置10の設計段階、又は製造段階で決められた値である。
【0021】
図3は、テーブルTB1の構成を示す図である。
テーブルTB1は、基地局IDと、時刻とを対応付けたテーブルである。テーブルTBの基地局IDは、中継装置10が取得した基地局IDである。時刻は、その基地局IDが中継装置10により取得された時刻である。
【0022】
操作部15は、利用者の操作を受け付ける。操作部15は、例えば、物理キーやタッチセンサを含む。
【0023】
制御部11は、中継処理部111と、取得部112と、停止制御部113とに相当する機能を実現する。
中継処理部111は、第1通信部12、及び第2通信部13を制御して、中継処理を行う。取得部112は、移動通信網30に含まれる複数の基地局の各々により送信される基地局IDのうち、第1通信部12によって受信された基地局IDを取得する。取得部112は、取得した基地局IDを、停止制御部113に供給する。停止制御部113は、取得部112が取得した基地局IDに基づいて、中継処理を停止させる。停止制御部113は、この中継処理の停止に係る制御において、テーブルTB1、及び閾値データを用いた処理を行う。停止制御部113は、中継処理を停止させる場合、中継処理を停止させる旨の指示を中継処理部111に供給する。中継処理部111は、この停止の指示に応じて、第1通信部12、及び第2通信部13の少なくとも一方が行う通信を停止させる。
【0024】
<動作>
(動作例1)
図4は、中継装置10が行う(動作例1)に係る制御を示すフローチャートである。図5は、この(動作例1)に係る制御の一例の説明図である。
中継装置10において、中継処理部111は、中継処理を開始する(ステップS1)。中継処理の開始のトリガーは、例えば、中継装置10の電源オンや、操作部15の操作による利用者の指示である。
【0025】
次に、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局により送信された基地局IDを取得する(ステップS2)。次に、停止制御部113は、取得部112が取得した基地局IDを、その基地局IDが取得された時刻と対応付けて、テーブルTB1に記録する(ステップS3)。停止制御部113は、取得した基地局IDが既にテーブルTB1に格納されている場合、その基地局IDを取得した時刻により、テーブルTB1に格納された時刻を更新する。次に、停止制御部113は、基地局IDの取得数が、閾値データが示す閾値を超えたかどうかを判定する(ステップS4)。ここにおいて、基地局IDの取得数は、中継装置10が取得した基地局IDの種類の数である。例えば、基地局ID「ID001」のみが複数回取得された場合でも、基地局IDの取得数は「1」である。閾値は、中継装置10が自宅Hに置かれている場合に接続する可能性のある基地局の数に基づいて、決められている。図1に示す場合、自宅Hに置かれた中継装置10は、基地局BS1,BS2、BS3と接続し得る。このため、閾値は、少なくとも「3」以上、ここでは「4」に決められているものとする。
【0026】
ここで、自宅Hに中継装置10が置かれており、テーブルTB1が図5の上段に示す状態であった場合を考える。即ち、テーブルTB1には、基地局IDとして「ID001」、「ID002」、及び「ID003」の3つが格納されている。この場合、停止制御部113は、ステップS4で「NO」と判定する。そして、中継装置10の処理は、ステップS2に戻る。即ち、基地局IDの取得数が閾値以下である期間は、中継装置10が移動していないとして、ステップS2〜S4(ステップS4で「NO」)の処理が繰り返し実行されて、中継処理が継続される。
【0027】
次に、自宅Hに置かれていた中継装置10が利用者により持ち出された場合を考える。ここでは、中継装置10が、図5の下段に示すように、基地局BS4のセルC4と、基地局BS5のセルC5とが重なる領域に移動したとする。このとき、テーブルTB1には、基地局IDとして「ID001」、「ID002」、及び「ID003」に加え、中継装置10の移動中に取得された「ID004」、及び「ID005」の計5つが格納されている。この場合、停止制御部113は、ステップS4で、基地局IDの取得数が閾値を超えたと判定する(ステップS4;YES)。そして、停止制御部113は、中継処理を停止させる(ステップS5)。
なお、停止制御部113は、中継装置10が在圏しない基地局からの基地局であって、取得部112が取得しなくなった基地局IDを、テーブルTB1から削除してもよい。中継処理が開始されてからの期間(本発明の第1期間に相当)内に取得された基地局IDの数が特定可能であれば、テーブルTB1に格納されるデータ、及びテーブルTB1の管理の方法は問わない。また、停止制御部113は、中継処理開始時以外の時点以降の期間内に取得された基地局IDの数に基づいて、中継装置10の移動の有無を判定してもよい。この時点として、例えば、中継装置10における基地局IDの取得履歴(つまり、テーブルTB1)をリセットした時点がある。
【0028】
ところで、閾値の設定によっては、中継装置10が基地局BS4のセルC4内に移動した時点で、中継処理を停止させることも可能である。しかしながら、同一の地点において重なり合うセルの数は、その場所によって様々である。また、中継装置10が移動していないにも関わらず中継処理が停止してしまうと、利用者にとって不都合である。よって、本実施形態では、中継装置10が実際に接続し得る基地局の数よりも大きな閾値に設定してある。
【0029】
(動作例2)
図6は、中継装置10が行う(動作例2)に係る制御を示すフローチャートである。図7は、この(動作例2)に係る制御の一例の説明図である。
中継装置10において、中継処理部111は、中継処理を開始する(ステップS11)。中継処理の開始のトリガーは、例えば、中継装置10の電源オンや、操作部15の操作による利用者の指示である。
【0030】
次に、取得部112は、基地局から受信された基地局IDを取得する(ステップS12)。ステップS12では、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局だけでなく、第1通信部12が接続中でない基地局により送信された基地局IDも取得する。次に、停止制御部113は、取得した基地局IDを含む無線信号(電波)のレベルを特定する(ステップS13)。停止制御部113は、特定したレベルが所定レベルを超えている場合には、ステップS11で取得された基地局IDを、その基地局IDが取得された時刻と対応付けて、テーブルTB1に記録する(ステップS14)。停止制御部113は、取得した基地局IDが既にテーブルTB1に格納されている場合、その基地局IDを取得した時刻により、テーブルTB1に格納された時刻を更新する。一方で、停止制御部113は、特定したレベルが所定レベル以下である場合には、ステップS12で取得された基地局IDを、テーブルTB1に記録しないものとする。
【0031】
次に、停止制御部113は、基地局IDの取得数が、閾値データが示す閾値を超えたかどうかを判定する(ステップS15)。閾値は、中継装置10が自宅Hに置かれている場合に取得する可能性のある基地局IDの数に基づいて、決められている。この(動作例2)では、閾値は、(動作例1)の閾値よりも大きな値に設定される。閾値は、例えば、「6」である。
【0032】
ここで、自宅Hに中継装置10が置かれており、テーブルTB1が図7の上段に示す状態であった場合を考える。即ち、テーブルTB1には、基地局IDとして「ID001」、「ID002」、「ID003」、「ID004」、及び「ID007」の5つが格納されている。この場合、停止制御部113は、ステップS15で「NO」と判定する。そして、中継装置10の処理は、ステップS12に戻る。即ち、基地局IDの取得数が閾値以下である期間は、中継装置10では、ステップS12〜S15(ステップS15で「NO」)の処理が繰り返し実行されて、中継処理が継続される。
【0033】
次に、自宅Hに置かれていた中継装置10が利用者により持ち出された場合を考える。ここでは、中継装置10が、図7の下段に示すように、基地局BS3のセルC3と、基地局BS7のセルC7とが重なる領域に移動したとする。このとき、テーブルTB1には、基地局IDとして「ID001」〜「ID007」の7つが格納されている。この場合、停止制御部113は、ステップS15で、基地局IDの取得数が閾値を超えたと判定する(ステップS15;YES)。そして、停止制御部113は、中継処理部111が行う中継処理を停止させる(ステップS16)。
なお、この動作例2においても、停止制御部113は、中継装置10が在圏しない基地局からの基地局であって、取得部112が取得しなくなった基地局IDを、テーブルTB1から削除してもよい。また、停止制御部113は、中継処理開始時以外の時点以降の期間内に取得された基地局IDの数に基づいて、中継装置10の移動の有無を判定してもよい。
【0034】
この(動作例2)では、中継装置10は、接続中でない基地局により送信された基地局IDも、テーブルTB1に記録する。このため、中継装置10は、(動作例1)の場合よりも、周辺に存在する多くの基地局から基地局IDを取得する。よって、中継装置10のわずかな移動によっても、中継装置10が取得する基地局IDが変化しやすくなる。即ち、この(動作例2)によれば、中継装置10が移動した距離が短くとも、その移動に応じて中継処理を停止させやすい。
【0035】
ところで、無線信号のレベルが所定レベルを超えた基地局についてのみ、テーブルTB1に基地局IDを記録するようにしたのは、無線信号のレベルが常に一定というわけではなく、変動する場合があることによる。所定レベル以上の無線信号に含まれていた基地局IDの取得数に基づいて中継処理を停止させることで、中継装置10が移動していないにも関わらず中継処理が停止される可能性は低くなる。
【0036】
以上説明したシステム1では、中継装置10が、無線通信端末20等から現在位置を示す位置情報を取得しなくとも、基地局から取得した基地局IDに基づいて、自中継装置が所定の場所に存在することを条件として、中継処理を行うことができる。
【0037】
[第2実施形態]
本実施形態の中継装置は、基地局IDの取得数に対する閾値を可変とし、この閾値を設定する構成を有している。同一の地点において重なり合うセルの数は、その場所によって様々である。よって、本実施形態の中継装置は、自中継装置が置かれた場所に応じた閾値を設定する。
【0038】
<構成>
図8は、本実施形態の中継装置10Aの構成を示すブロック図である。中継装置10Aのハードウェア構成は、中継装置10と同じである。中継装置10Aの制御部11は、中継処理部111と、取得部112と、停止制御部113とに相当する機能に加え、設定部114に相当する機能を実現する。取得部112は、取得した基地局IDを、停止制御部113に加え、設定部114に供給する。設定部114は、第1通信部12を介して基地局から受信された基地局IDの数に基づいて、閾値を設定する。設定部114は、設定した閾値により、記憶部14に記憶された閾値データを更新する。
【0039】
更に、記憶部14は、テーブルTB2を記憶する。テーブルTB2は、テーブルTB1と同じく、基地局IDと、時刻とを対応付けたテーブルである。テーブルTB2は、閾値を設定するために用いられるデータが記録される点で、テーブルTB1と異なる。
【0040】
<動作>
(動作例1)
図9は、中継装置10Aが行う(動作例1)に係る制御を示すフローチャートである。図10は、この(動作例1)に係る制御の一例の説明図である。
中継装置10Aにおいて、中継処理部111は、中継処理を開始する(ステップS21)。この中継処理の開始のトリガーは、例えば、中継装置10Aの初回の電源オンや、操作部15の操作による利用者の指示である。次に、設定部114は、閾値を設定するかどうかを判定する(ステップS22)。設定部114は、例えば、中継装置10Aが初回の電源オン時のような閾値が未設定の場合や、所定の更新タイミングが到来した場合に、閾値を設定すると判定する。
【0041】
ステップS22で「YES」と判定されると、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局により送信された基地局IDを取得する(ステップS23)。次に、停止制御部113は、取得部112が取得した基地局IDを、その基地局IDが取得された時刻と対応付けて、テーブルTB2に記録する(ステップS24)。停止制御部113は、取得した基地局IDが既にテーブルTB2に格納されている場合、その基地局IDを取得した時刻により、テーブルTB2に格納された時刻を更新する。
【0042】
次に、設定部114は、閾値の設定に係る処理を開始してから、基地局IDの収集期間が経過したかどうかを判定する(ステップS25)。この基地局IDの収集期間は、中継装置10Aが周辺の基地局から基地局IDを収集する期間で、本発明の第1期間に相当する。この収集期間は、中継装置10Aが設置された場所の周辺における基地局の状況を把握するのに十分な長さに決められており、例えば24時間である。
【0043】
ステップS25で「NO」と判定された場合、中継装置10Aの処理は、ステップS23に戻る。即ち、基地局IDの収集期間が経過するまでは、中継装置10Aでは、ステップS23〜S25(ステップS25で「NO」)の処理が、繰り返し実行される。この基地局IDの収集期間においては、中継処理は継続して行われる。
【0044】
ステップS25で「YES」と判定した場合、設定部114は、基地局IDの収集期間における基地局IDの取得数に基づいて、閾値を設定する(ステップS26)。設定部114は、具体的には、テーブルTB2に基づいて、基地局IDの取得数を用いて所定の方法で閾値を設定する。閾値は、例えば、基地局IDの取得数に所定値を加算し又は乗算した値である。自宅Hに中継装置10Aが置かれている場合、テーブルTB2は、例えば図10に示す状態となる。即ち、テーブルTB2には、基地局IDとして「ID001」、「ID002」、及び「ID003」の3つが格納されている。この場合、設定部114は、例えば、基地局IDの取得数に「1」を加算し、閾値を「4」に設定する。閾値が設定されると、中継装置10Aの処理は、ステップS2に進む。ステップS22で閾値を設定しないと判定された場合も(ステップS22;NO)、中継装置10Aの処理は、ステップS2に進む。そして、上述した第1実施形態の(動作例1)と同じく、ステップS2〜S5の処理が実行される。
【0045】
(動作例2)
図11は、中継装置10Aが行う(動作例2)に係る制御を示すフローチャートである。図12は、この(動作例2)に係る制御の一例の説明図である。
中継装置10Aにおいて、中継処理部111は、中継処理を開始する(ステップS31)。この中継処理の開始のトリガーは、例えば、中継装置10Aの電源オンや、操作部15の操作による利用者の指示である。次に、設定部114は、閾値を設定するかどうかを判定する(ステップS32)。設定部114は、例えば、中継装置10Aが初回の電源オン時等の閾値が未設定の場合や、所定の更新タイミングが到来した場合に、閾値を設定すると判定する。
【0046】
ステップS32で「YES」と判定されると、取得部112は、第1通信部12により基地局から受信された基地局IDを取得する(ステップS33)。ステップS33では、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局だけでなく、第1通信部12が接続中でない基地局により送信された基地局IDも取得する。次に、設定部114は、取得した基地局IDを含む無線信号のレベルを特定する(ステップS34)。設定部114は、特定したレベルが所定レベルを超えている場合、ステップS33で取得された基地局IDを、その基地局IDが取得された時刻と対応付けて、テーブルTB2に記録する(ステップS35)。設定部114は、取得した基地局IDが既にテーブルTB2に格納されている場合、その基地局IDを取得した時刻により、テーブルTB2に格納された時刻を更新する。一方で、停止制御部113は、特定したレベルが所定レベル以下である場合には、ステップS33で取得された基地局IDを、テーブルTB2に記録しない。レベルを参照する理由は、上述した第1実施形態の(動作例2)と同じである。
【0047】
次に、設定部114は、基地局IDの取得数に基づいて、閾値を設定する(ステップS36)。設定部114は、具体的には、テーブルTB2に基づいて、基地局IDの取得数を用いて所定の方法で閾値を設定する。閾値は、例えば、基地局IDの取得数に所定値を加算し又は乗算した値である。自宅Hに中継装置10Aが置かれている場合、テーブルTB2は、図12に示す状態となる。即ち、テーブルTB2には、基地局IDとして「ID001」、「ID002」、「ID003」、「ID004」、及び「ID007」の5つが格納されている。設定部114は、例えば、基地局IDの取得数に「1」を加算し、閾値を「6」に設定する。閾値が設定されると、中継装置10Aの処理は、ステップS12に進む。ステップS32で閾値を設定しないと判定された場合も(ステップS32;NO)、中継装置10Aの処理は、ステップS12に進む。そして、上述した第2実施形態の(動作例1)と同じく、ステップS12〜S16の処理が実行される。
【0048】
(動作例3)
図13は、中継装置10Aが行う(動作例3)に係る制御を示すフローチャートである。図14は、この(動作例3)に係る制御の一例の説明図である。
中継装置10Aにおいて、中継処理部111は、中継処理を開始する(ステップS41)。この中継処理の開始のトリガーは、例えば、中継装置10Aの電源オンや、操作部15の操作による利用者の指示である。次に、設定部114は、閾値を設定するかどうかを判定する(ステップS42)。設定部114は、例えば、中継装置10Aが初回の電源オン時等の閾値が未設定の場合や、所定の更新タイミングが到来した場合に、閾値を設定すると判定する。
【0049】
ステップS42で「YES」と判定されると、取得部112は、基地局から受信された基地局IDを取得する(ステップS43)。ステップS43では、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局だけでなく、第1通信部12が接続中でない基地局により送信された基地局IDも取得する。このように第1通信部12が接続していない基地局の基地局IDも取得するので、周辺の基地局から基地局IDを収集するための時間は、(動作例1)のように接続を条件として基地局IDを取得する場合に比べて、短時間で済む。
【0050】
次に、設定部114は、この基地局IDを含む無線信号のレベルを特定する(ステップS44)。設定部114は、特定したレベルが所定レベルを超えている場合、ステップS43で取得された基地局IDを、その基地局IDが取得された時刻と対応付けて、テーブルTB2に記録する(ステップS45)。設定部114は、取得した基地局IDが既にテーブルTB2に格納されている場合、その基地局IDを取得した時刻により、テーブルTB2に格納された時刻を更新する。一方で、停止制御部113は、特定したレベルが所定レベル以下である場合には、ステップS43で取得された基地局IDを、テーブルTB2に記録しない。レベルを参照する理由は、(動作例2)と同じである。
【0051】
次に、設定部114は、基地局IDの取得数に基づいて、閾値を設定する(ステップS46)。ステップS46では、(動作例1)で説明したような中継装置10Aが基地局に接続して取得する基地局IDの数に対する閾値が設定される。設定部114は、ここでは、基地局IDの取得数を用いて所定の方法で閾値を設定する。図14に示すように、設定部114は、基地局IDの取得数が少ないほど閾値を小さく、基地局IDの取得数が多いほど閾値を大きくする。閾値が設定されると、中継装置10Aの処理は、ステップS2に進む。ステップS42で閾値を設定しないと判定された場合も(ステップS42;NO)、中継装置10Aの処理は、ステップS2に進む。そして、上述した第1実施形態の(動作例1)と同様、ステップS2〜S5の処理が実行される。
【0052】
この(動作例3)によれば、閾値の設定に係る処理に要する時間を(動作例1)よりも短くすることができる。
【0053】
[第3実施形態]
本実施形態の中継装置は、基地局IDと、自中継装置の位置とに基づいて閾値を設定する構成を有している。中継装置の位置を用いる理由は、閾値を設定するために取得された基地局IDが、中継装置が移動していないときに取得されたものかどうかを確認するためである。
【0054】
<構成>
図15は、本実施形態の中継装置10Bの構成を示すブロック図である。中継装置10Bのハードウェア構成は、中継装置10と同じである。中継装置10Bの制御部11は、中継処理部111と、取得部112と、停止制御部113と、設定部114とに相当する機能に加え、位置特定部115に相当する機能を実現する。
取得部112は、取得した基地局IDを、停止制御部113、及び設定部114に加え、位置特定部115に供給する。位置特定部115は、取得部112により基地局IDが取得されたときの中継装置10Bの位置を特定する。位置特定部115は、ここでは、基地局IDが示す基地局が存在する位置を、中継装置10Bの位置として特定する。位置特定部115は、取得部112により取得された基地局IDに基づいて、移動通信網30に接続された位置管理サーバ40に問い合わせることで、当該位置を特定する。設定部114は、位置特定部115が特定した位置が変化していない期間、つまり中継装置10Bが移動していない期間に取得された基地局IDに基づいて、閾値を設定する。
【0055】
図16は、中継装置10Bが行う制御を示すフローチャートである。
中継装置10Bにおいて、中継処理部111は、中継処理を開始する(ステップS51)。この中継処理の開始のトリガーは、例えば、中継装置10Bの電源オンや、操作部15の操作による利用者の指示である。次に、設定部114は、閾値を設定するかどうかを判定する(ステップS52)。設定部114は、例えば、中継装置10Bが初回の電源オン時等の閾値が未設定の場合や、所定の更新タイミングが到来した場合に、閾値を設定すると判定する。
【0056】
次に、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局から受信された基地局IDを取得する(ステップS53)。次に、位置特定部115は、中継装置10Bの位置を特定する(ステップS54)。位置特定部115は、ステップS53で取得した基地局IDを用いて位置管理サーバ40に問い合わせることで、基地局の位置を中継装置10Bの位置として特定する。ステップS54の処理において、位置管理サーバ40への問い合わせは、ステップS53で新たな基地局IDが取得された場合にだけ行われてもよい。新たな基地局IDが取得されたということは、中継装置10Bが移動した可能性があるからである。この場合、ステップS53で新たな基地局IDが取得されなかった場合は、位置特定部115は、位置管理サーバ40の問い合わせることなく、中継装置10Bの位置が、前回特定した位置と同じ位置であることを特定すればよい。
【0057】
次に、設定部114は、位置特定部115が特定した位置に基づいて、中継装置10Bが移動したかどうかを判定する(ステップS55)。設定部114は、位置特定部115が特定した位置が、それよりも前に特定した位置から変化していない場合には、中継装置10Bが移動していないと判定する(ステップS55;NO)。中継装置10Bが移動していないと判定した場合、設定部114は、ステップS53で取得部112が取得した基地局IDを、その基地局IDが取得された時刻と対応付けて、テーブルTB2に記録する(ステップS56)。
【0058】
次に、設定部114は、閾値の設定に係る処理を開始してから、基地局IDの収集期間が経過したかどうかを判定する(ステップS57)。ステップS57で「NO」と判定された場合、中継装置10Bの処理は、ステップS53に戻る。即ち、基地局IDの収集期間が経過するまでは、ステップS53〜S57(ステップS57で「NO」)の処理が、繰り返し実行されることになる。この基地局IDの収集期間においては、中継処理は継続して行われる。その後、ステップS57で「YES」と判定すると、設定部114は、基地局IDの取得数に基づいて、閾値を設定する(ステップS58)。閾値の設定は、ステップS26と同じ方法で行われてよい。
【0059】
一方、基地局IDの収集期間が経過する前に、中継装置10Bが移動したと判定した場合(ステップS55;YES)、設定部114は、閾値の設定に係る処理を中止する。そして、設定部114は、別の閾値に設定する(ステップS59)。設定部114は、位置特定部115が特定した位置が、それよりも前に特定した位置から変化した場合に、ステップS59の設定を行う。閾値は、例えば、予め決められた閾値である。閾値の更新(再設定)が定期的に行われる場合には、設定部114は、前回に設定した閾値に再設定してもよい。閾値が設定されると、中継装置10Bの処理は、ステップS2に進む。ステップS52で閾値を設定しないと判定された場合も(ステップS52;NO)、中継装置10Bの処理は、ステップS2に進む。そして、上述した第1実施形態の(動作例1)と同じく、ステップS2〜S5の処理が実行される。
【0060】
なお、位置特定部115は、基地局の位置情報ではなく、GPS(Global Positioning System)やSUPL(Secure User Plane Location)サーバからの情報取得等の中継装置10Bの測位機能により得た位置情報や、無線通信端末20から取得した位置情報を用いて、中継装置10Bの位置を特定してもよい。
【0061】
本実施形態の中継装置10Bによれば、閾値の設定中に中継装置10Bが移動させられることで、閾値が必要以上高い値に設定されてしまう可能性を低くすることができる。
【0062】
[第4実施形態]
基地局が送信する基地局IDは、前述したように、収容替え等による更新を原因として変化することがある。そこで、本実施形態の中継装置は、取得した基地局IDの時間的な変化に基づいて、基地局IDが中継装置の移動により変化した場合には、中継処理を停止させる制御を行う。
【0063】
<構成>
図17は、本実施形態の中継装置10Cの構成を示すブロック図である。中継装置10Cのハードウェア構成は、中継装置10と同じである。中継装置10Cの制御部11は、中継処理部111と、取得部112と、停止制御部113Cと、設定部114とに相当する機能を実現する。停止制御部113Cは、取得部112が取得した基地局IDの時間的な変化に基づいて、中継処理を停止させる。
なお、設定部114は、例えば、上述した第2実施形態又は第3実施形態と同じ方法で閾値を設定する。
【0064】
<動作>
(動作例1)
図18は、中継装置10Cが行う(動作例1)に係る制御を示すフローチャートである。図19は、この(動作例1)に係る制御の一例の説明図である。
中継装置10Cにおいて、中継処理部111は、中継処理を開始する(ステップS61)。この中継処理の開始のトリガーは、例えば、中継装置10Cの電源オンや、操作部15の操作による利用者の指示である。次に、設定部114は、第1通信部12により基地局から受信された基地局IDを取得する(ステップS62)。ステップS62では、例えば、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局だけでなく、第1通信部12が接続中でない基地局により送信された基地局IDも取得する。次に、停止制御部113Cは、取得した基地局IDを含む無線信号のレベルを特定する(ステップS63)。停止制御部113Cは、特定したレベルが所定レベルを超えている場合には、取得部112が取得した基地局IDを、その基地局IDが取得された時刻と対応付けて、テーブルTB1に記録する(ステップS64)。停止制御部113Cは、取得した基地局IDが既にテーブルTB1に格納されている場合、その基地局IDを取得した時刻により、テーブルTB1に格納された時刻を更新する。
【0065】
次に、停止制御部113Cは、基地局IDの取得数が閾値を超えたかどうかを判定する(ステップS65)。ステップS65で「NO」と判定した場合、中継装置10Cの処理は、ステップS62に戻る。ここでは、閾値は「4」であるものとする。
【0066】
ステップS65で「YES」と判定した場合、停止制御部113Cは、ステップS66に進む。ここでは、時刻t1の時点で、基地局ID「ID001」、「ID002」、及び「ID003」がテーブルTB1に記録されているものとする。更に、時刻t1よりも後の時刻t2に、ステップS62で、基地局ID「ID101」、「ID102」、及び「ID103」が取得されたとする。基地局ID「ID101」、「ID102」、及び「ID103」は、本発明の第1識別子に相当する。この場合、基地局ID「ID101」、「ID102」、及び「ID103」が、中継装置10Cが移動したことによって新たに取得されたのか、中継装置10Cは移動していないが、基地局IDの更新によって新たに取得されたのか、この時点では不明である。このため、本実施形態では、基地局IDの取得数が閾値を超えたとしても、中継装置10Cの中継処理を継続させる。この理由で中継処理が継続される期間を、以下では「猶予期間」と称する。猶予期間は、本発明の第2期間に相当する。猶予期間の長さは、予め決められている。
【0067】
ステップS65で「YES」と判定すると、停止制御部113Cは、タイマーを作動させて、計時を開始する(ステップS66)。このタイマーは、基地局IDの取得数が閾値を超えてからの経過時間を計る。
【0068】
次に、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局から受信された基地局IDを取得する(ステップS67)。ステップS67では、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局だけでなく、第1通信部12が接続中でない基地局により送信された基地局IDも取得する。次に、停止制御部113Cは、取得した基地局IDを含む無線信号のレベルを特定する(ステップS68)。停止制御部113Cは、特定したレベルが所定レベルを超えている場合には、取得部112が取得した基地局IDを、その基地局IDが取得された時刻と対応付けて、テーブルTB1に記録する(ステップS69)。停止制御部113Cは、猶予期間内において新たな基地局IDを取得したかどうかを判定する(ステップS70)。
【0069】
ステップS70で「NO」と判定した場合、停止制御部113Cは、猶予期間が経過したかどうかを判定する(ステップS71)。猶予期間が経過していないと判定した場合は、中継装置10Cの処理は、ステップS67に戻る。このように、猶予期間内で、且つ基地局IDに変化がない期間にあっては、ステップS67〜S71(ステップS70,S71で「NO」)の処理が、繰り返し実行されることになる。
【0070】
ここで、図19の上段のグラフに示すように、猶予期間内の時刻t3において、取得部112が新たな基地局ID「ID104」を取得した場合を考える。この場合、停止制御部113Cは、ステップS70で「YES」と判定し、中継処理を停止させる(ステップS72)。基地局ID「ID104」は、本発明の第2識別子に相当する。基地局IDの収容替えによる更新が行われる頻度はさほど高くないと推定される。よって、猶予期間を開始させるトリガーとなった時刻t2における基地局IDの変化と、猶予期間内の時刻t3における基地局IDの変化は、中継装置10Cの移動による変化とみなす。
【0071】
ステップS71で「YES」と判定した場合、つまり、猶予期間が経過するまでに取得部112が新たな基地局IDを取得しなかった場合、停止制御部113Cは、基地局IDの取得数の再設定を行う(ステップS73)。ここでは、停止制御部113Cは、猶予期間を開始させるトリガーとなった基地局IDを、更新により変化した基地局IDとするように、テーブルTB1を設定する。ここで、図19の下段のグラフに示すように、基地局ID「ID101」、「ID102」、及び「ID103」が取得された後、猶予期間内において新たな基地局IDが取得されなかった場合を考える。この場合、基地局ID「ID001」、「ID002」、及び「ID003」については、基地局IDの更新により既に使用されなくなったので、停止制御部113Cは、基地局IDの取得数には含めないようにする。このため、停止制御部113Cは、テーブルTB1から、基地局ID「ID001」、「ID002」、及び「ID003」を削除する。これにより、猶予期間後の時刻t4においては、中継装置10Cは、基地局IDの取得数を、基地局ID「ID101」、「ID102」、及び「ID103」の「3」とする。そして、中継装置10Cは、基地局ID「ID101」、「ID102」、及び「ID103」とは異なる基地局ID(本発明の第3識別子に相当する。)を取得し、更に、基地局IDの取得数が閾値を超えると、ステップS66以降の処理を行うこととなる。
【0072】
以上説明した(動作例1)によれば、中継装置10Cは、猶予期間内における基地局IDの変化に基づいて、基地局IDの更新か、中継装置10Cの移動かを判定することができる。この構成により、上述した第1〜第3実施形態よりも閾値を小さくしても、中継装置10が移動していないにも関わらず中継処理が停止される可能性は低くなる。
なお、ステップS62,S67では、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局から、基地局IDを取得してもよい。この場合、ステップS63,S68は省略可能である。
【0073】
(動作例2)
図20は、中継装置10Cが行う(動作例2)に係る制御を示すフローチャートである。図21は、この(動作例2)に係る制御の一例の説明図である。
取得部112は、第1通信部12により基地局から受信された基地局IDを取得する(ステップS81)。ステップS81では、取得部112は、第1通信部12が接続中の基地局だけでなく、第1通信部12が接続中でない基地局により送信された基地局IDも取得する。次に、停止制御部113Cは、取得された基地局IDを送信した基地局からの無線信号のレベルを特定する(ステップS82)。次に、停止制御部113Cは、取得部112が取得した基地局IDが変化したかどうかを判定する(ステップS83)。ステップS83で「NO」と判定した場合、中継装置10CはステップS81に処理を戻す。
【0074】
ステップS83で「YES」と判定した場合、つまり、取得部112が取得した基地局IDが変化したと判定した場合、停止制御部113Cは、変化した基地局IDが示す基地局からの無線信号のレベルの変化が、所定の条件を満たすかどうかを判定する(ステップS84)。ここで、図21の上段のグラフに示すように、基地局ID「ID001」、「ID002」、及び「ID003」が取得された状態から、基地局ID「ID002」、「ID003」、及び「ID101」が取得された状態に変化した場合を考える。この例では、基地局ID「ID001」を含む無線信号のレベルが瞬時的にゼロになり、また、基地局ID「ID101」を含む無線信号のレベルが瞬時的に増大している。このような場合、基地局IDが「ID001」から「ID101」に更新されたとみなす。このように、基地局IDを含む無線信号のレベルの単位時間の変化量が閾値を超えている場合、停止制御部113Cは、ステップS84で「YES」と判定し、中継処理を継続させる。そして、中継装置10Cは、処理をステップS81に戻す。
【0075】
一方、図22の上段のグラフに示すように、基地局ID「ID001」を含む無線信号のレベルが僅かに減少し、また、基地局ID「ID101」を含む無線信号のレベルが僅かに増大した場合を考える。このような場合、中継装置10Cの移動により、基地局IDが「ID001」が取得されなくなり、また、「ID101」が取得されるようになったとみなす。中継装置10Cの移動はその利用者の移動に伴ってするものであるから、或る基地局から離れるにつれて、その基地局からの無線信号のレベルは次第に低くなるはずだからである。このように、基地局IDを含む無線信号のレベルの単位時間の変化量が閾値以下の場合、停止制御部113Cは、ステップS84で「NO」と判定し、中継処理を停止させる(ステップS85)。
なお、この(動作例2)の制御は、基地局IDの取得数が閾値を超えた期間にだけ、行われてもよい。
【0076】
以上説明した(動作例2)によれば、基地局IDを含む無線信号のレベルの変化に基づいて、基地局IDの更新か、中継装置10Cの移動かを判定することができる。この構成により、中継装置10Cが取得した複数の基地局IDのうちの一部が更新された場合でも、中継処理の停止に係る制御を精度良く行うことができる。
なお、本実施形態において、閾値を固定値とする場合は、制御部11の機能から設定部114が省略されてよい。
【0077】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施してもよい。また、以下に示す変形例は、各々を組み合わせてもよい。
(変形例1)
上述した第2実施形態の(動作例2)に関し、設定部114は、基地局IDの収集期間を複数の単位期間に区分し、当該複数の単位期間のうち、一の単位期間における基地局IDの取得数が、他の単位期間における取得数に対して所定の基準以上に乖離する場合には、当該一の単位期間における基地局IDの取得結果を用いないで、閾値を設定してもよい。例えば、基地局IDの収集期間の長さを24時間とし、単位期間の長さを1時間としたとする。この場合において、一の単位期間における基地局IDの取得数が「6」で、それ以外の単位期間における基地局IDの取得数が「3」であった場合、当該一の単位期間に中継装置10Aが移動した可能性がある。そこで、設定部114は、当該一の単位期間を除外して、閾値を設定する。これにより、閾値が過剰に高く設定されるのを防ぐことができる。
【0078】
(変形例2)
上述した第4実施形態に関し、停止制御部113Cは、取得部112が取得する2以上の基地局IDが一斉に変化した場合には、収容替えとみなし、中継処理を停止せず継続させてもよい。2以上の基地局IDが一斉に変化するとは、2以上の基地局IDが同時、又は所定の時間内に全て変化することをいう。収容替えによって基地局IDが更新される場合、複数の基地局で同時にその更新が行われることがあるからである。一方で、停止制御部113Cは、いずれか1のみの基地局IDが変化した場合には、中継装置10Cが移動したとみなし、中継処理を停止させる。
なお、この変形例の制御は、基地局IDの取得数が閾値を超えた期間にだけ行われてもよい。
【0079】
(変形例3)
上述した第2実施形態に関し、中継装置10Aの初回の電源オンが、必ずしも、中継装置10Aが本来利用されるべき場所で行われるとは限らない。そこで、中継装置10Aの設定部114は、テーブルTB2に記録した基地局IDの取得履歴をリセットして、閾値を再設定してもよい。ただし、この再設定が頻繁に行われると、様々な場所で中継装置10Aを利用可能となる。このため、設定部114は、テーブルTB2のリセットをした場合は、一定期間内は中継処理を行わないようにしてもよい。また、設定部114は、リセット可能な回数を制限してもよい。
【0080】
(変形例4)
上述した第3実施形態に関し、停止制御部113は、基地局IDに基づいて中継装置10Bが移動したことを判定した後に、すぐに中継処理を停止させるのではなく、その移動の判定後に行われた測位の結果に基づいて、中継処理の停止の有無を判定してもよい。この測位は、例えば、位置特定部115により、GPSや、SUPLサーバからの情報の取得、基地局測位により行われる。停止制御部113は、この測位の結果に基づいて、中継装置10Bが移動したと判定した場合に、中継処理を停止させる。例えば、記憶部14に予め契約者住所の位置情報が記憶されており、停止制御部113は、測位の結果と、当該位置情報が示す位置との距離が所定距離以上である場合には、中継装置10Bが移動したと判定する。なお、常に契約者住所の位置情報を用いて移動の有無を判定することも考えられるが、このような測位を常時行うことは、サーバ負荷やトラフィックの観点から望ましくない場合がある。本変形例の中継装置10Bのように、基地局IDに基づいて移動があったことを判定した後に、測位を行えば、常時この測位を行わなくても、中継装置10Bが移動したことを速やかに検知することができる。
なお、本変形例の構成は、上述した第1,第2,第4実施形態の各動作例にも適用可能である。
【0081】
(変形例5)
上述した実施形態で説明した構成、及び動作の一部が省略されてもよい。例えば、上述した第4実施形態の中継装置10Cは、閾値を考慮せずに、新たな基地局IDを取得すると、猶予期間を開始させてもよい。
また、本発明の中継装置は、上述した2以上の動作例の動作を行ってもよい。
【0082】
(変形例6)
上述した実施形態の中継装置10,10A,10B,10Cの制御部11が実現する機能は、複数のプログラムの組み合わせによって実現され、又は、複数のハードウェア資源の連係によって実現され得る。制御部11の機能がプログラムを用いて実現される場合、このプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))等)、光記録媒体(光ディスク等)、光磁気記録媒体、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよいし、ネットワークを介して配信されてもよい。また、本発明は、中継装置の制御方法として実現することも可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…システム、10,10A,10B,10C…中継装置、11…制御部、111…中継処理部、112…取得部、113,113C…停止制御部、114…設定部、115…位置特定部、12…第1通信部、13…第2通信部、14…記憶部、15…操作部、20…無線通信端末、30…移動通信網、40…位置管理サーバ。
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