特許第6836381号(P6836381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836381
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】液体柔軟剤組成物
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/328 20060101AFI20210222BHJP
   D06M 15/03 20060101ALI20210222BHJP
   D06M 13/17 20060101ALI20210222BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20210222BHJP
   D06M 15/356 20060101ALI20210222BHJP
   D06M 15/285 20060101ALI20210222BHJP
   D06M 15/267 20060101ALI20210222BHJP
   D06M 13/463 20060101ALI20210222BHJP
   D06M 13/144 20060101ALI20210222BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   D06M13/328
   D06M15/03
   D06M13/17
   D06M15/53
   D06M15/356
   D06M15/285
   D06M15/267
   D06M13/463
   D06M13/144
   D06M13/224
【請求項の数】8
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-238339(P2016-238339)
(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公開番号】特開2018-95975(P2018-95975A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】橋本 亮
(72)【発明者】
【氏名】小倉 英史
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−101795(JP,A)
【文献】 特開2016−113705(JP,A)
【文献】 特開2014−118640(JP,A)
【文献】 特開2014−062344(JP,A)
【文献】 特開2014−001490(JP,A)
【文献】 特開2009−057656(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/192971(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/003180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00−15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体柔軟剤組成物であって、
(A)質量平均分子量が1万〜200万の非イオン性高分子、
(B)質量平均分子量が2,000〜500万のカチオン性高分子、
(C)エステル基(−COO−)及び/又はアミド基(−NHCO−)で分断されてもよい、炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、及び
(D)ノニオン界面活性剤
を含み、
(D)成分に対する(A)成分と(B)成分との合計の質量比(〔(A)+(B)〕/(D))が0.15〜0.5であり
(B)成分の含量が、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.01〜0.2質量%であり、かつ
pHが2.75〜3.5である
ことを特徴とする、液体柔軟剤組成物。
【請求項2】
(A)成分が、質量平均分子量が5万〜100万の非イオン性高分子である、請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項3】
(A)成分が、高度分岐環状デキストリン、環状構造保有分岐グルカン、高分子デキストリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びグリコーゲンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項4】
(B)成分が、質量平均分子量が3,000〜1,000,000のカチオン性高分子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項5】
(B)成分が、
塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドとの共重合体、
ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムとの共重合体、
ビニルピロリドンと四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合体、及び、
下記(b1−1)式で表されるラジカル重合性モノマー(b1−1)、その酸塩及び4級塩から選ばれる1種以上と、下記(b1−2)式で表されるラジカル重合性モノマー(b1−2)、その酸塩及び4級塩から選ばれる1種以上とからなる共重合体
1−CR2=CR3−Y−N(R4)R5 ・・・(b1−1)
(式中、
1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、
4及びR5は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜3の炭化水素基又は水素原子であり、
Yは、−COO−R8−、−CONR9−R10−又は−CH2−であり、
8は、ヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルキレン基であり、
9は、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、
10は、ヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルキレン基である。)

6CH=C(Z)R7 ・・・(b1−2)
(式中、
6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、
Zは、アリール基、−O−CO−R11、−COO−R11、又は−CON(R12)R13であり、
11及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜22の炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアリール基であり、
12は、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基である。)
からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項6】
(C)成分が、下記一般式(C1−1)〜(C1−7)で表されるアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。
【化1】
〔(C1−1)〜(C1−7)の各式中、R9及びR10はそれぞれ独立に、炭素数7〜21の炭化水素基である。〕
【請求項7】
(D)成分が、アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項8】
機能性カプセルを更に含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体柔軟剤組成物に関する。詳細には、本発明は、分散安定性と凍結復元性とを兼ね備えている液体柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、柔軟剤の機能として香りの持続性を求める消費者が増えており、かかるニーズに応えるべく様々な手段が採られている。香りの持続性を高める手段として、例えば、香料成分を内包したマイクロカプセル(カプセル化香料)を液体柔軟剤へ配合する技術が存在する(特許文献1)。
特許文献1は、特定の製造方法を採用してチキソトロピー値や粘度を特定範囲に設定することで、柔軟剤中のカプセル化香料の優れた分散安定性を向上させる技術を記載している。
また、香りの持続性とは異なる機能に着目した技術として、デキストリン等の配合により消臭性を向上させる技術(特許文献2及び3)や、特定種類の水溶性高分子等の配合により貯蔵安定性を向上させる技術(特許文献4)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−129922号公報
【特許文献2】特開2015−101795号公報
【特許文献3】特開2014−1490号公報
【特許文献4】特開2000−129570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の液体柔軟剤には、分散安定性の低下(経時により液体柔軟剤の分離が起こる)や、低温下での保存安定性の低下、特に凍結復元性の低下(冬期に液体柔軟剤が凍結し、その後、解凍した後に、凍結により増加した粘度が凍結前の粘度に戻らないこと)が起こることを本発明者は見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題について本発明者は鋭意検討した結果、特定範囲の分子量を有する非イオン性高分子と、特定範囲の分子量を有するカチオン性高分子と、特定種類のカチオン界面活性剤と、ノニオン界面活性剤とを特定の割合で配合しつつ、かつ、pHを特定範囲へ設定すると、分散安定性と凍結復元性とを兼ね備えた液体柔軟剤組成物が得られることを見いだした。本発明はこの知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明は下記〔1〕〜〔10〕に関するものである。

〔1〕液体柔軟剤組成物であって、
(A)質量平均分子量が1万〜200万の非イオン性高分子、
(B)質量平均分子量が2,000〜500万のカチオン性高分子、
(C)エステル基(−COO−)及び/又はアミド基(−NHCO−)で分断されてもよい、炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、及び
(D)ノニオン界面活性剤
を含み、
(D)成分に対する(A)成分と(B)成分との合計の質量比(〔(A)+(B)〕/(D))が0.15〜5であり、かつ
pHが2.5〜4.0(2.5及び4.0は含まない))である
ことを特徴とする、液体柔軟剤組成物。

〔2〕(A)成分が、質量平均分子量が5万〜100万の非イオン性高分子である、前記〔1〕に記載の液体柔軟剤組成物。

〔3〕(A)成分が、高度分岐環状デキストリン、環状構造保有分岐グルカン、高分子デキストリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びグリコーゲンからなる群より選ばれる1種以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の液体柔軟剤組成物。

〔4〕(B)成分が、質量平均分子量が3,000〜1,000,000のカチオン性高分子である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。

〔5〕(B)成分が、
塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドとの共重合体、
ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムとの共重合体、
ビニルピロリドンと四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合体、及び、
下記(b1−1)式で表されるラジカル重合性モノマー(b1−1)、その酸塩及び4級塩から選ばれる1種以上と、下記(b1−2)式で表されるラジカル重合性モノマー(b1−2)、その酸塩及び4級塩から選ばれる1種以上とからなる共重合体
1−CR2=CR3−Y−N(R4)R5 ・・・(b1−1)
(式中、
1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、
4及びR5は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜3の炭化水素基又は水素原子であり、
Yは、−COO−R8−、−CONR9−R10−又は−CH2−であり、
8は、ヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルキレン基であり、
9は、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、
10は、ヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルキレン基である。)

6CH=C(Z)R7 ・・・(b1−2)
(式中、
6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、
Zは、アリール基、−O−CO−R11、−COO−R11、又は−CON(R12)R13であり、
11及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜22の炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアリール基であり、
12は、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基である。)
からなる群より選ばれる1種以上である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。

〔6〕(C)成分が、下記一般式(C1−1)〜(C1−7)で表されるアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。
【化1】
〔(C1−1)〜(C1−7)の各式中、R9及びR10はそれぞれ独立に、炭素数7〜21の炭化水素基である。〕

〔7〕(D)成分が、アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。

〔8〕(D)成分に対する(A)成分と(B)成分との合計の質量比(〔(A)+(B)〕/(D))が0.15〜1である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。

〔9〕pHが2.75〜3.5である、前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。

〔10〕機能性カプセルを更に含む、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の液体柔軟剤組成物。
【発明の効果】
【0006】
後述の実施例で示されるように、本発明の液体柔軟剤組成物は、優れた分散安定性と優れた凍結復元性とを兼ね備えている。したがって、本発明は従来製品にはない付加価値を有する液体柔軟剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の液体柔軟剤組成物は、下記(A)〜(D)成分を必須成分として含有する。
(A)質量平均分子量が1万〜200万の非イオン性高分子。
(B)質量平均分子量が2,000〜500万のカチオン性高分子。
(C)エステル基(−COO−)及び/又はアミド基(−NHCO−)で分断されてもよい、炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(D)ノニオン界面活性剤。
以下、各必須成分について説明する。
【0008】
[(A)成分]
(A)成分は、質量平均分子量が1万〜200万の範囲にある非イオン性高分子である。
(A)成分は、液体柔軟剤組成物へ、消臭効果や風合改善効果等の機能を付与する目的で配合する。
(A)成分の質量平均分子量(重量平均分子量)は、1万〜200万、好ましくは5万〜100万、より好ましくは10万〜50万である。質量平均分子量が1万以上であると、優れた消臭効果を発揮することができる。質量平均分子量が200万以下であると、優れた分散安定性を有する液体柔軟剤組成物を得ることができる。
(A)成分の質量平均分子量は、ゲルパーミエーション法等により測定することができる。
【0009】
(A)成分の具体例としては、
高度分岐環状デキストリン(例えば、グリコ栄養食品株式会社製 商品名:クラスターデキストリン)、
環状構造保有分岐グルカン(例えば、特開2012−120471号公報に記載の製造方法により得られるものもの)、
高分子デキストリン(例えば、三和澱粉工業株式会社 商品名:サンデック#30)、
ポリエチレングリコール(例えば、和光純薬工業株式会社 ポリエチレングリコール20,000)、
ポリプロピレングリコールや、
グリコーゲン(例えば、グリコ栄養食品株式会社 商品名:バイオグリコーゲン)
等が挙げられる。
【0010】
以下、高度分岐環状デキストリン、環状構造保有分岐グルカン及び高分子デキストリンについて詳述する。
【0011】
高度分岐環状デキストリンとは、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重量平均重合度が50から10000の範囲にあるグルカンをいう。
内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有するグルカンは、高度分岐環状デキストリン又はクラスターデキストリンとも呼ばれている物質である。
高度分岐環状デキストリンは、1つの内分岐環状構造部分に複数(例えば、100個)の非環状のグルコース鎖(外分岐構造部分)が結合した構造を有している。
内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分をいう。高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分は10〜100個程度のグルコースで構成されている。すなわち、内分岐環状構造部分の重合度は10〜100の範囲である。
外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分をいう。高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分を構成する非環状グルコース鎖における平均重合度は10〜20である。但し、1本の非環状グルコース鎖における重合度は40以上であってもよい。
高度分岐環状デキストリンにおけるグルコースの重量平均重合度は50〜10000、具体的には50〜5000の範囲、更に具体的には2500程度である。
【0012】
高度分岐環状デキストリンは、例えば、デンプンを原料として、ブランチングエンザイムという酵素を作用させて製造することができる。
原料であるデンプンは、グルコースがα−1、4−グルコシド結合によって直鎖状に結合したアミロースと、α−1,6−グルコシド結合によって複雑に分岐した構造をもつアミロペクチンからなる。アミロペクチンは、クラスター構造が多数連結された巨大分子である。
使用酵素であるブランチングエンザイムは、動植物や微生物中に広く見いだされるグルカン鎖転移酵素である。ブランチングエンザイムは、アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目部分に作用し、これを環状化する反応を触媒する。
【0013】
高度分岐環状デキストリンの具体例としては、特開平8−134104号公報に記載の、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンが挙げられる。本発明において、高度分岐環状デキストリンは、特開平8−134104号公報の記載を参酌して理解され得る。
【0014】
環状構造保有分岐グルカンとは、環状構造と、α−1,6−グルコシド結合およびα−1,4−グルコシド結合に基づく少なくとも1つの分岐状構造とを有し、その環状構造を構成する糖鎖中に少なくとも1つのα−1,6−グルコシド結合が存在している構造を有するグルカンである。
環状構造保有分岐状グルカンにおいて、その分岐頻度は、高度分岐環状デキストリンよりも高く、通常8%以上であり、高度分岐環状デキストリンとは区別される。
ここで、環状構造保有分岐状グルカンの分岐頻度は、α−1,6分岐の割合によって示される。α−1,6分岐の割合は例えば約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、約15%以上、約16%以上、約17%以上、約20%以上などであり得る。α−1,6分岐の割合に上限はないが、例えば、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下などであり得る。
なお、分岐頻度は、以下の式によって計算される:
分岐頻度(%)={(分岐数)/(分子全体のグルコース単位数)}×100
【0015】
環状構造保有分岐状グルカンの質量平均分子量は、好ましくは約3万以上であり、さらに好ましくは約5万以上であり、特に好ましくは約10万以上であり、また、好ましくは約50万以下であり、さらに好ましくは約30万以下であり、特に好ましくは約20万以下である。
環状構造保有分岐状グルカン中の環状構造部分の平均重合度は、好ましくは約10以上であり、より好ましくは約15以上であり、さらに好ましくは約20以上であり、また、好ましくは約500以下であり、より好ましくは約300以下であり、さらに好ましくは約100以下である。
環状構造保有分岐状グルカン中の分岐構造部分の平均重合度は、好ましくは約40以上であり、より好ましくは約100以上であり、さらに好ましくは約300以上であり、さらにより好ましくは約500以上であり、また、好ましくは約4×103以下であり、より好ましくは約3×103以下であり、さらに好ましくは約2×103以下であり、さらにより好ましくは約1×103以下である。
【0016】
環状構造保有分岐状グルカンの環状構造部分のα−1,6−グルコシド結合は少なくとも1個あればよく、例えば1個以上、5個以上、10個以上などであり得、例えば約200個以下、約50個以下、約30個以下、約15個以下、約10個以下などであり得る。
環状構造保有分岐状グルカンは、1種類の重合度のものを単独で用いてもよいし、種々の重合度のものの混合物として用いてもよい。好ましくは、環状構造保有分岐状グルカンの重合度は、最大の重合度のものと最小の重合度のものとの重合度の比が約100以下、より好ましくは約50以下、さらにより好ましくは約10以下である。
環状構造保有分岐状グルカンは、好ましくは、分岐グルカン構造の一部が環を形成している。ここで、環状構造部分とはα−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、そして分岐構造部分とは、該環状構造部分に結合した非環状構造部分である。この分岐構造部分の各単位鎖の重合度は、好ましくは約2以上であり、より好ましくは約4以上であり、さらに好ましくは約6以上であり、また、好ましくは約20以下であり、より好ましくは18以下であり、さらに好ましくは15以下である。
【0017】
環状構造保有分岐状グルカンの平均重合度は、好ましくは約50以上であり、より好ましくは約70以上であり、さらに好ましくは約100以上であり、最も好ましくは約150以上であり、また、好ましくは約5×103以下であり、より好ましくは約4×103以下であり、さらに好ましくは約3×103以下であり、最も好ましくは約2×103以下である。
環状構造保有分岐状グルカンの分岐の数(すなわち、α−1,6−グルコシド結合の数)は、好ましくは約10個以上であり、より好ましくは約15個以上であり、さらに好ましくは約20個以上であり、また、好ましくは約1000個以下であり、より好ましくは約800個以下であり、さらに好ましくは約500個以下である。
環状構造保有分岐状グルカンにおいては、α−1,6−グルコシド結合の数に対するα−1,4−グルコシド結合の数の比(「α−1,6−グルコシド結合の数」:「α−1,4−グルコシド結合の数」)は、好ましくは1:3〜1:13であり、より好ましくは1:4〜1:12であり、さらに好ましくは1:5〜1:10であり、さらに好ましくは1:5〜1:9である。
環状構造保有分岐状グルカンは、i)基質である分岐状グルカンにブランチングエンザイムを作用させ、次いで4−α−グルカノトランスフェラーゼを作用させるか;
ii)基質である分岐状グルカンに4−α−グルカノトランスフェラーゼを作用させ、次いでブランチングエンザイムを作用させるか;または
iii)基質である分岐状グルカンにブランチングエンザイムおよび4−α−グルカノトランスフェラーゼを同時に作用させる
ことにより製造される。
より詳細には、環状構造保有分岐状グルカンは、特開2012−120471号に記載のものである。本明細書において、環状構造保有分岐状グルカンは、特開2012−120471号の記載を参酌して理解され得る。
尚、(A)成分として用いる「質量平均分子量が1万〜200万の非イオン性高分子」は非イオン性の化合物であるので、グルカンの一部が変性されたカチオン性グルカン(例えば、カチオン化デンプンや、カチオン化セルロース等)は(A)成分に該当しない。
【0018】
高分子デキストリンとは、デンプンまたはグリコーゲンの加水分解で得られる高分子量(重量平均分子量1万〜200万)の炭水化物をいい、α-グルコースがα-1,4またはα-1,6グリコシド結合によって重合した分子構造を有する。
環状構造を有さない点で前述の「高度分岐環状デキストリン」及び「環状構造保有分岐グルカン」と異なる。
【0019】
(A)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0020】
(A)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
(A)成分の含量は、後述する配合比の要件(〔(A)+(B)〕/(D))を満たす限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、さらに好ましくは0.8〜2質量%である。
(A)成分の含量が0.01質量%以上であると、より優れた配合効果を発揮し得る。(A)成分の含量が5質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の凍結復元性や分散安定性をより優れたものとしつつ、更に液体柔軟剤組成物の粘度を使用性の観点でより適切なものとすることができる。
【0022】
[(B)成分]
(B)成分は、質量平均分子量が2,000〜500万のカチオン性高分子である。
(B)成分は、繊維製品(特に化学繊維製品)への(A)成分の吸着性を高めて、(A)成分の機能を向上させるために配合する。
【0023】
(B)成分の質量平均分子量(重量平均分子量)は、2,000〜5,000,000、好ましくは3,000〜1,000,000、より好ましく5,000〜800,000、最も好ましくは10,000〜600,000である。上記範囲内であると、配合目的を達成しつつ、液体柔軟剤組成物を適度な粘度とし、その使用性をより高めることができる。
(B)成分の質量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーション法により測定される値である。
【0024】
(B)成分は、水に溶解させたときに化合物全体として正に帯電するもの(カチオン性)である。
(B)成分は、カチオン性基のみを有するカチオン性モノマーのみで構成された高分子化合物であってもよい。この場合、カチオン性モノマーは1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
具体例としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体等が挙げられる。
カチオン性基としては、アミノ基、アミン基及び第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上の基が挙げられ、これらのカチオン性基を含む高分子化合物が(B)成分として好ましい。
【0025】
(B)成分は、カチオン性基のみを有するカチオン性モノマーと、他のモノマー(アニオン性基のみを有するアニオン性モノマー及び/又はノニオン性基のみを有するノニオン性モノマー)とから構成された高分子化合物であってもよい。
但し、(B)成分が、カチオン性モノマーとその他のモノマーとから構成されている場合、当該(B)成分の荷電の総和は、正である。
具体例としては、
カチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの2元共重合体、
ノニオン性重合体の一部を、カチオン性基で変性又は置換したもの(例えば、カチオン化セルロース等)、
カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの2元共重合体や、
カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの3元共重合体等
が挙げられる。
上記の高分子化合物において、カチオン性、ノニオン性及びアニオン性の各構成モノマーは、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
カチオン性基としては、アミノ基、アミン基及び第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上の基が挙げられ、これらのカチオン性基を含む高分子化合物が(B)成分として好ましい。
アニオン性基としては、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基や、スルホン酸基等が挙げられる。例えば、アクリル酸中のカルボキシル基等である。
【0026】
(B)成分の具体例としては、
塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体(例えば、MERQUAT100(NALCO社製)、アデカカチオエースPD−50(株式会社ADEKA製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業株式会社製)等);

塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(例えば、MERQUAT740(日本ルーブリゾール社製)、MERQUAT550 JL5(NALCO社製)等);

塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(例えば、MERQUAT280(日本ルーブリゾール社製)等);

カチオン化セルロース(例えば、レオガードMGP(ライオン株式会社製)、レオガードKGP(ライオン株式会社製)等);

ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体(例えば、GAFQUAT HS−100(ISP社製)等);

ビニルピロリドン・四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(例えば、GAFQUAT 755N(ISP社製)等);

塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体(例えば、LUVIQUAT−FC905(BASF社製)等);

ポリエチレンイミン(例えば、LUGALVAN−G15000(BASF社製)等);

アルコキシ化ポリエチレンイミン(例えば、Sokalan HP20(BASF社製)等);

カチオン化ポリビニルアルコール(例えば、ポバールCM318(クラレ製)等);

アミノ基を有する天然系の高分子誘導体(例えば、キトサン等);

ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体や;

下記(b1−1)式で表されるラジカル重合性モノマー(b1−1)、その酸塩及び4級塩から選ばれる1種以上と、
下記(b1−2)式で表されるラジカル重合性モノマー(b1−2)、その酸塩及び4級塩から選ばれる1種以上と、からなる共重合体(以下、共重合体(b1)ということがある)等が挙げられる。
【0027】
1−CR2=CR3−Y−N(R4)R5 ・・・(b1−1)
(式中、
1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、
4及びR5は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜3の炭化水素基又は水素原子であり、
Yは、−COO−R8−、−CONR9−R10−又は−CH2−であり、
8は、ヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルキレン基であり、
9は、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、
10は、ヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルキレン基である。)
【0028】
6CH=C(Z)R7 ・・・(b1−2)
(式中、
6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、
Zは、アリール基、−O−CO−R11、−COO−R11、又は−CON(R12)R13であり、
11及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜22の炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアリール基であり、
12は、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基である。)
【0029】
ラジカル重合性モノマー(b1−1)の内、(b1−1)式中のYが−COO−R8−であるモノマーとしては、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノブチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノブチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノブチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノメチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノブチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル等が挙げられる。
【0030】
ラジカル重合性モノマー(b1−1)の内、(b1−1)式中のYが−CONR9−R10−であるモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノメチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノブチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド等が挙げられる。
ラジカル重合性モノマー(b1−1)の酸塩としては、例えば、1級、2級、3級アミンの塩酸塩、硫酸塩等の無機塩の中和塩や各種有機酸の中和塩が挙げられる。
ラジカル重合性モノマー(b1−1)の4級塩としては、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル塩、炭素数1〜3のアルキル硫酸塩等が挙げられる。具体例としては、N,N,N−トリメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムエチルサルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0031】
ラジカル重合性モノマー(b1−2)としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル(炭素数1〜22)(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよいアリール(メタ)アクリレート、直鎖又は分岐鎖のアルキル(炭素数1〜22)(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよいアリール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
直鎖又は分岐鎖のアルキル(炭素数1〜22)(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、又はベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
直鎖又は分岐鎖のアルキル(炭素数1〜22)(メタ)アクリルアミドとしては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール(メタ)アクリルアミドとしては、フェニル(メタ)アクリルアミド、トルイル(メタ)アクリルアミド、キシリル(メタ)アクリルアミド、ベンジル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0032】
共重合体(b1)としては、ラジカル重合性モノマー(b1−1)がメタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチルであり、ラジカル重合性モノマー(b1−2)がメタクリル酸アルキル(炭素数4〜14)エステルである共重合体が好ましい。
この共重合体においては、ラジカル重合性モノマー(b1−1)とラジカル重合性モノマー(b1−2)との合計100モル%中、ラジカル重合性モノマー(b1−1)の量が50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上あることがより好ましい。
【0033】
上記(B)成分の中でも、
ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、ビニルピロリドン・四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、カチオン化セルロース、カチオン化ポリビニルアルコールや、共重合体(b1)が好ましく、
ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、ビニルピロリドン・四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体等のジメチルアリルアンモニウムを用いた重合体(以下、重合体(b2)ということがある)や、共重合体(b1)がより好ましく、
ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、ビニルピロリドン・四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体や、共重合体(b1)が最も好ましい。
【0034】
重合体(b2)としては、下記(b2−1)式に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られるカチオン性高分子が挙げられる。
【化2】
【0035】
重合体(b2)の構造単位は、通常、下記(b2−2)式、又は、下記(b2−3)式で表わされる。
なお、重合体(b2)には、(b2−2)式で表される構造単位と、(b2−3)の表される構造単位とが共に含まれていてもよい。
【0036】
【化3】
【0037】
(b2−1)〜(b2−3)の各式中、X-は対イオンを表す。
-としては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲンイオン等が挙げられる。
(b2−2)及び(b2−3)の各式中、c及びdは平均重合度を表す数であり、各々6〜30000が好ましく、より好ましくは20〜6000、さらに好ましくは30〜3000である。
このような高分子化合物としては、
塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリルアミド共重合体(例えば、MERQUAT100(Nalco社製)、アデカカチオエースPD−50(株式会社ADEKA製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業株式会社製)、MERQUAT550(Nalco社製)等)や;
塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリル酸共重合体(例えば、MERQUAT280(Nalco社製)等)
等が挙げられる。
【0038】
(B)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0039】
(B)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
(B)成分の含量は、後述する配合比の要件(〔(A)+(B)〕/(D))を満たす限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%、更に好ましくは0.01〜0.2質量%である。
(B)成分の含量が0.01質量%以上であると、(A)成分との組み合わせにより、ポリエステル等の化学繊維に対する消臭効果をより高めることができる。
(B)成分の含量が5質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の凍結復元性や分散安定性をより優れたものとしつつ、更に後述の(C)成分の配合効果(柔軟性付与効果)をより高めることができる。
【0041】
[(C)成分]
(C)成分は、「エステル基(−COO−)及び/又はアミド基(−NHCO−)で分断されてもよい、炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物」である、カチオン界面活性剤である。
(C)成分は、繊維製品へ柔軟性(風合い)を付与する効果(すなわち、柔軟剤本来の機能)を液体柔軟剤組成物へ付与するために配合される。
炭素数10〜26の炭化水素基(以下、本明細書において「長鎖炭化水素基」ということがある)の炭素数は10〜26であり、17〜26が好ましく、19〜24がより好ましい。炭素数が10以上であると柔軟性付与効果が良好であり、26以下であると液体柔軟剤組成物のハンドリング性が良好である。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央値を中心に分布していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても、構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0042】
長鎖炭化水素基は、エステル基(−COO−)及び/又はアミド基(−NHCO−)で分断されていてもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、その炭素鎖中に、エステル基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、該分断基によって炭素鎖が分断されたものであってもよい。該分断基を有すると、生分解性が向上する等の点から好ましい。
該分断基を有する場合、1つの長鎖炭化水素基が有する分断基の数は1つであっても2つ以上であってもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、長鎖炭化水素基がその炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
アミン化合物としては、2級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が2個)又は3級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が3個)が好ましく、3級アミン化合物がより好ましい。
【0043】
アミン化合物としては、下記一般式(C−1)で表される化合物が挙げられる。
【化4】
[式中、R1〜R3はそれぞれ独立に、−CH2CH(Y)OCOR4(Yは水素原子又はCH3であり、R4は炭素数7〜21の炭化水素基である。)、−(CH2nNHCOR5(nは2又は3であり、R5は炭素数7〜21の炭化水素基である。)、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH3である)、又は、−(CH2nNH2(nは2又は3である)であり、
1〜R3のうちの少なくとも1つは、−CH2CH(Y)OCOR4、又は−(CH2nNHCOR5である。]
【0044】
一般式(C−1)中、−CH2CH(Y)OCOR4におけるYは水素原子又はCH3であり、水素原子が特に好ましい。R4は炭素数7〜21の炭化水素基、好ましくは炭素数15〜19の炭化水素基である。一般式(C−1)で表される化合物中にR4が複数存在するとき、該複数のR4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0045】
4の炭化水素基は、炭素数8〜22の脂肪酸(R4COOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R4のもととなる脂肪酸(R4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。なかでも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、R4のもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10〜0/100が好ましく、80/20〜0/100より好ましい。
4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60〜100/0が好ましく、70/30〜90/10が特に好ましい。
【0046】
4のもととなる脂肪酸として具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)や、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)〜(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10〜0/100、より好ましくは80/20〜0/100である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60〜100/0、より好ましくは70/30〜90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21〜22の脂肪酸が1質量%未満である。
【0047】
一般式(C−1)における、基「−(CH2nNHCOR5」中、nは2又は3であり、3が特に好ましい。
5は炭素数7〜21の炭化水素基、好ましくは炭素数15〜19の炭化水素基である。一般式(C−1)で表される化合物中にR5が複数存在するとき、該複数のR5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
5としては、R4と同様のものが具体的に挙げられる。
【0048】
一般式(C−1)において、R1〜R3のうち、少なくとも1つは−CH2CH(Y)OCOR4、又は−(CH2nNHCOR5であり、R1〜R3のうち2つが−CH2CH(Y)OCOR4、又は−(CH2nNHCOR5であることが好ましい。
1〜R3のうち、1つ又は2つが−CH2CH(Y)OCOR4、又は−(CH2nNHCOR5である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH2CH(Y)OH、又は−(CH2nNH2であり、炭素数1〜4のアルキル基、−CH2CH(Y)OH、又は−(CH2nNH2であることが好ましい。ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。−CH2CH(Y)OHにおけるYは、−CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。−(CH2nNH2におけるnは、−(CH2nNHCOR5中のnと同様である。
【0049】
一般式(C−1)で表される化合物の好ましい例として、下記一般式(C1−1)〜(C1−7)で表される化合物が挙げられる。
【化5】
【0050】
〔(C1−1)〜(C1−7)の各式中、R9及びR10はそれぞれ独立に、炭素数7〜21の炭化水素基である。〕
【0051】
9及びR10における炭素数7〜21の炭化水素基としては、前記一般式(C−1)のR4における炭素数7〜21の炭化水素基と同様のものが挙げられる。なお、式中にR9が複数存在するとき、該複数のR9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0052】
(C)成分は、アミン化合物の塩であってもよい。
アミン化合物の塩は、該アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸や、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
【0053】
(C)成分は、アミン化合物の4級化物であってもよい。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキルや、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
【0054】
(C)成分としては、
一般式(C−1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
一般式(C1−1)〜(C1−7)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
一般式(C1−1)〜(C1−5)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
特に、一般式(C1−1)で表される化合物の4級化物と(C1−2)で表される化合物の4級化物とを併用すること、又は、一般式(C1−3)で表される化合物の4級化物と、(C1−4)で表される化合物の4級化物と、(C1−5)で表される化合物の4級化物とを併用することが好ましい。
【0055】
一般式(C−1)及び(C1−1)〜(C1−7)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
【0056】
例えば、一般式(C1−1)で表される化合物(以下「化合物(C1−1)」という)と、一般式(C1−2)で表される化合物(以下「化合物(C1−2)」という)とを含む組成物は、一般式(C−1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物、または該脂肪酸組成物における脂肪酸を該脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物と、メチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性付与を良好にする観点から、「化合物(C1−1)/化合物(C1−2)」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性付与の観点から「化合物(C1−1)の4級化物/化合物(C1−2)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
【0057】
一般式(C1−3)で表される化合物(以下「化合物(C1−3)」という)と、一般式(C1−4)で表される化合物(以下「化合物(C1−4)」という)と、一般式(C1−5)で表される化合物(以下「化合物(C1−5)」という)とを含む組成物は、一般式(C−1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(C1−3)、(C1−4)及び(C1−5)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性付与の観点から、化合物(C1−3)が1〜60質量%、化合物(C1−4)が5〜98質量%、化合物(C1−5)が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(C1−3)が30〜60質量%、化合物(C1−4)が10〜55質量%、化合物(C1−5)が5〜35質量%であることがより好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(C1−3)、(C1−4)及び(C1−5)の各4級化物の存在比率は、柔軟性付与の観点から質量比で、化合物(C1−3)の4級化物が1〜60質量%、化合物(C1−4)の4級化物が5〜98質量%、化合物(C1−5)の4級化物が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(C1−3)の4級化物が30〜60質量%、化合物(C1−4)の4級化物が10〜55質量%、化合物(C1−5)の4級化物が5〜35質量%であることがより好ましい。
なお、化合物(C1−3)、(C1−4)及び(C1−5)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30〜99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
【0058】
一般式(C1−6)で表される化合物(以下「化合物(C1−6)」という)及び一般式(C1−7)で表される化合物(以下「化合物(C1−7)」という)は、一般式(C−1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物と、N−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、「化合物(C1−6)/化合物(C1−7)」で表される存在比率が質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(C1−6)の4級化物/化合物(C1−7)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
【0059】
(C)成分の質量平均分子量は、300〜1,500、好ましくは500〜1,000である。
(C)成分の質量平均分子量は、HPLC法により測定される値である。
【0060】
(C)成分は、1種類のアミン化合物、その塩又はその4級化物を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物、例えば、一般式(C1−3)〜(C1−5)で表される化合物の混合物として用いてもよい。
【0061】
(C)成分の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは8〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。(C)成分の含量が5質量%以上であると、繊維製品に対するより優れた柔軟効果を発揮し得る。(C)成分の含量が50質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の粘度を使用性の観点でより適切なものとすることができる。
【0062】
[(D)成分]
(D)成分はノニオン界面活性剤である。
(D)成分は、液体柔軟剤組成物の凍結復元性及び分散安定性の向上のために配合する。
ノニオン界面活性剤としては、液体柔軟剤組成物に一般的に使用されているものを特に制限なく使用することができる。例えば、アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。
アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物において、アルコール及び脂肪酸の各炭素鎖部分は、分岐していてもよく直鎖であってもよく、又、不飽和があってもよい。また、炭素鎖に分布があってもよい。炭素鎖の炭素数は、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜18である。炭素鎖が直鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6〜14、より好ましくは8〜12、最も好ましくは10〜12である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6〜18、より好ましくは9〜18、最も好ましくは13である。
ノニオン界面活性剤の原料としては、エクソンモービル社製エクサール、BASF社製LUTENSOL(ルテンゾール)シリーズ、協和発酵工業製オキソコールや、Shell社製DOBANOLシリーズなどを使用することができる。ノニオン界面活性剤がアルコールのアルキレンオキシド付加物である場合には、1級アルコール及び2級アルコールのいずれも使用することができる。炭素数13のアルコールは、例えばドデセンを原料として製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでもよい。
炭素鎖が不飽和基を含む場合、その炭素数は18であるものが特に好ましい。不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75〜100/0(質量比)であることが好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、EOとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加したものであってもよい。EOの平均付加モル数としては10〜100モルが好適であり、より好ましくは20〜80モル、特に好ましくは40〜70モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1〜5が好適であり、より好ましくは1〜3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPO又はBOを付加した後、EOを付加してもよい。
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ノニルアルコールの平均EO9PO1付加物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO60モル付加物、トリデシルアルコールの平均EO50モル付加物や、ラウリン酸の平均EO20モル付加物などが挙げられる。市販品としては、日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズや、BASF社製LUTESOLシリーズなどを使用することができる。
【0063】
(D)成分は市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0064】
(D)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
(D)成分の含量は、後述する(A)及び(B)成分に関する配合比の要件(〔(A)+(B)〕/(D))を満たす限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
(D)成分の含量が0.1〜5質量%であると、より優れた配合効果を得ることができる。
【0066】
本発明の液体柔軟剤組成物では、(D)成分に対する(A)成分と(B)成分との合計の質量比(〔(A)+(B)〕/(D))が0.15〜5であり、好ましくは0.15〜1であり、より好ましくは0.15〜0.5である。
〔(A)+(B)〕/(D)を0.15〜5に設定することにより、分散安定性と凍結復元性とを兼ね備えた液体柔軟剤組成物を得ることができる。
【0067】
[任意成分]
本発明の液体柔軟剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)〜(D)の必須成分以外の任意成分を配合してもよい。
任意成分としては、液体柔軟剤組成物に一般的に配合される成分を挙げることができる。具体例としては、香料((E)成分)、水溶性塩類((F)成分)、機能性カプセル((G)成分)水溶性溶剤、染料・顔料、防腐剤、水、紫外線吸収剤や、抗菌剤などが挙げられる。以下、いくつかの任意成分について詳細に説明する。
【0068】
[(E)成分]
(E)成分は、香料である。
液体柔軟剤組成物には、香料を任意成分として配合することができる。
(E)成分の香料としては当該技術分野で汎用の香料を使用可能であり特に限定されないが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
(E)成分は、1種類の香料を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
(E)成分の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.1〜3%質量%であり、より好ましくは0.5〜2質量%、更に好ましくは0.5〜1.5質量%である。
【0069】
[(F)成分]
(F)成分は水溶性塩類である。
(F)成分は、液体柔軟剤組成物の粘度をコントロールする目的で配合することができる。
水溶性塩類としては、無機塩及び有機塩のいずれも使用可能である。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用いることができるが、中でも塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。
水溶性塩類は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
水溶性塩類の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.01〜1質量%である。なお、水溶性塩類は、液体柔軟剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
【0070】
[(G)成分]
(G)成分は機能性カプセルである。(G)成分は、カプセル内に内包された芯物質に起因する様々な機能を液体柔軟剤組成物へ付与するために配合される。
機能性カプセルは、芯物質と、当該芯物質を覆う壁物質とから構成される。
【0071】
芯物質としては、液体柔軟剤組成物分野においてカプセル封入物質として一般的に用いられているものを特に制限なく用いることができる。具体例としては、香料、精油、増白剤、虫除け剤、シリコーン、ワックス、香味料、ビタミン、スキンケア剤、酵素、プロバイオティクス、染料、顔料、香料前駆体、冷感剤、温感剤、フェロモン等の誘引剤、抗菌剤、漂白剤、香味料、甘味料、ワックス、薬剤、肥料や、除草剤等が挙げられる。
芯物質は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせてもよい。
【0072】
壁物質としては、液体柔軟剤組成物分野においてカプセル化材料として一般的に用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、ゼラチンや寒天等の天然系高分子、油脂やワックス等の油性膜形成物質、ポリアクリル酸系、ポリビニル系、ポリメタクリル酸系、メラミン系、ウレタン系等の合成高分子物質などを挙げることができ、それら1種を単独又は2種以上を適宜併用することができる。
【0073】
香料を芯物質として用いた機能性カプセルは、カプセル化香料とも呼ばれる。カプセル化香料の具体例としては、フィルメニッヒ社製のBLUEFLOWERPOP「FFMHN2814」、ジボダン社製のGREEN BREEZE CAPS、ORCHARD GARDEN CAPS、RAINBOW CAPS、VELVET CAPS、AURORACAPS、およびCOSMICCAPS;IFF社製のUNICAP101、およびUNICAP503等が挙げられる。
冷感剤を芯物質として用いた機能性カプセルは、冷感カプセルとも呼ばれる。冷感カプセルの具体例としては、ウイルバー・エリス社製のMultiSal FreshCool等が挙げられる。
温感剤を芯物質として用いた機能性カプセルは、温感カプセルとも呼ばれる。温感カプセルの具体例としては、三木理研株式会社製のリケンレジンRMC−TOや、SALVONA Technologies社製のHydrosal Heatなどが挙げられる。
その他の機能性カプセルの具体例としては、三木理研株式会社製のリケンレジンNFHO−W(抗菌効果)、リケンレジン、RMC−HBP(防虫効果)およびRMC−PT(防虫効果)などが挙げられる。
【0074】
機能性カプセルの粒子径は10μm〜30μmであることが好ましい。粒子径が10μm〜30μmの機能性カプセルは、衣類への吸着性に優れ、かつ、液体柔軟剤組成物中に安定に分散させることができる。
【0075】
機能性カプセルは、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0076】
(G)成分は、1種類の機能性カプセルを単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
(G)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。
【0077】
[水溶性溶剤]
水溶性溶剤は、液体柔軟剤組成物の安定性の更なる向上のために配合することができる。
水溶性溶剤としては、炭素数1〜4のアルコール、グリコールエーテル系溶剤及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。具体的には、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコールや、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等が挙げられる。
水溶性溶剤の含量は特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01〜25質量%、より好ましくは0.1〜20質量%である。
【0078】
[染料及び/又は顔料]
染料及び顔料は、それぞれ液体柔軟剤組成物の外観を向上するために配合することができる。
染料及び顔料共に、液体柔軟剤分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。また、特開平6−123081号公報、特開平6−123082号公報、特開平7−18573号公報、特開平8−27669号公報、特開平9−250085号公報、特開平10−77576号公報、特開平11−43865号公報、特開2001−181972号公報や特開2001−348784号公報などに記載されている染料も用いることができる。
染料及び顔料のそれぞれについて、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。また、染料と顔料とを併用してもよい。
染料及び顔料の各配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、例えば0.001〜0.01質量%である。
【0079】
[防腐剤]
防腐剤は、液体柔軟剤組成物の防腐力や殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために配合することができる。
防腐剤としては、液体柔軟剤分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物やその希釈液(例えば、イソチアゾロン液)が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
防腐剤の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001〜1質量%である。
【0080】
[水]
液体柔軟剤組成物は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、精製水、純水、蒸留水、イオン交換水など、いずれも用いることができる。なかでもイオン交換水が好適である。
水の配合量は特に限定されず、所望の成分組成を達成するために適宜配合することができる。
【0081】
[液体柔軟剤組成物のpH]
液体柔軟剤組成物のpH(25℃)は、当該組成物の分散安定性の観点から、2.5〜4.0の範囲(2.5及び4.0は含まない)であり、好ましくは2.75〜3.5、より好ましくは2.75〜3.25である。
pHを2.5超とすることにより液体柔軟剤組成物の優れた分散安定性を得ることができ、pHを4未満とすることにより(C)成分(柔軟基材)のエステル基の分解を抑制することができる。
液体柔軟剤組成物のpH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0082】
[液体柔軟剤組成物の粘度]
液体柔軟剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、25℃における粘度が1000mPa・s未満であることが好ましい。保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の液体柔軟剤組成物の粘度は800mPa・s未満であることがより好ましく、400mPa・s未満であることがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。
なお、凍結と解凍とを経た後(凍結復元後)の液体柔軟剤組成物の粘度は、製造直後の粘度よりも高くなることが多いが、凍結復元後の本発明の液体柔軟剤組成物の粘度は800mPa・s未満であることがより好ましく、400mPa・s未満であることがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。
なお、液体柔軟剤組成物の粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定することができる。
【0083】
[液体柔軟剤組成物の製造方法]
本発明の柔軟剤組成物は、公知の方法、例えば主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の液体柔軟剤組成物の製造方法と同様の方法により製造できる。
例えば、(C)成分及び(D)成分を含む油相と、水相とを、(C)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後、得られた乳化物に(A)成分及び(B)成分と必要に応じて他の成分を添加し、混合することにより製造することができる。
油相は、(C)成分の融点以上の温度で、(C)成分及び(D)成分と必要に応じて任意成分とを混合することにより調製できる。
水相は、水と必要に応じて任意成分とを混合することにより調製できる。
【0084】
[液体柔軟剤組成物の使用方法]
本発明の液体柔軟剤組成物の使用方法に特に制限はなく、一般の柔軟剤組成物と同様の方法で使用することができる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水へ本発明の液体柔軟剤組成物を溶解させて繊維製品を柔軟処理する方法や、本発明の液体柔軟剤組成物をたらいのような容器中の水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する方法がある。
【実施例】
【0085】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0086】
[(A)成分]
下記のA−1〜A−3を使用した。A−1〜A−3のいずれも本発明の(A)成分に該当する物質であった。なお、A−1〜A−3の質量平均分子量は、ゲルパーミエーション法により測定された値である。

A−1:高度分岐環状デキストリン(グリコ栄養食品株式会社製 商品名:クラスターデキストリン)。A−1は、内分岐環状構造部分(16〜100個程度のグルコースで構成)と外分岐構造部分とを有する高度分岐環状デキストリン(重量平均重合度:2500程度。質量平均分子量:約30万)である。

A−2:高分子デキストリン(三和澱粉工業株式会社 商品名:サンデック#30)。A−2は、質量平均分子量:10万のデキストリンであった。

A−3:PEG20000(和光純薬株式会社製 商品名:ポリエチレングリコール20000)。A−3は、質量平均分子量:2万のポリエチレングリコールであった。
【0087】
[(B)成分]
下記のB−1〜B−4を使用した。B−1〜B−4のいずれも本発明の(B)成分に該当する物質であった。なお、B−1〜B−4の質量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーション法により測定された値である。

B−1:ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムとの共重合体(ISP社製のGAFQUAT HS−100)。B−1は、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの2元共重合体(質量平均分子量:約70万)であった。

B−2:ビニルピロリドンと四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合体(ISP社製のGAFQUAT 755N)。B−2は、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの2元共重合体(質量平均分子量:約100万)であった。

B−3:塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドとの共重合体(日本ルーブリゾール社製のMERQURT 740)。B−3は、カチオン性高分子(質量平均分子量:約10万)であった。

B−4:メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルとラウリルメタクリレートとの共重合体(8/2(モル比)、質量平均分子量:5万)。B−4は、下記合成方法によって合成した。
【0088】
≪B−4の合成方法≫
メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル(一般式(b1−1)(式中、R1及びR2は水素原子であり、R3はメチル基であり、Yは−COO−R8−であり、R8は炭素数2のアルキレン基であり、R4及びR5はメチル基である)で表されるラジカル重合性モノマー)(分子量:157)42.37gと、ラウリルメタクリレート(一般式(b1−2)(式中、R6は水素原子であり、Zは−COO−R11であり、R11は炭素数12の炭化水素基であり、R7はメチル基である)で表されるラジカル重合性モノマー)(分子量:254)7.62gと、エタノール180.0gとを混合し、内容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに入れ、窒素雰囲気下で攪拌した。そこに重合開始剤液(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)(V−65、和光純薬工業株式会社製)0.7gをエタノール30.0gに溶解した溶液)を2時間かけて連続的に添加して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温した後、エタノール100.0gを加えて希釈し、室温まで降温した。この反応溶液をイオン交換水4000.0g中に滴下して再沈殿によって精製し、沈殿物を乾燥してB−4を得た。B−4の質量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で50,000であった。
【0089】
[(C)成分]
下記のC−1〜C−4を使用した。C−1〜C−4のいずれも本発明の(C)成分に該当する物質であった。

C−1:カチオン界面活性剤(特開2003−12471の実施例4に記載の化合物)。C−1は、一般式(C1−3)、(C1−4)及び(C1−5)で表される化合物(各式中、R9は炭素数15〜17のアルキル基及びアルケニル基である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物であった。

C−2:カチオン界面活性剤(東南合成(株)製、商品名:HITEX RO16E)。C−2は、一般式(C1−3)、(C1−4)及び(C1−5)で表される化合物(各式中、R9は炭素数15〜17のアルキル基及びアルケニル基である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物であった。

C−3:カチオン界面活性剤(Stepan製、商品名:Stepantex SE-88)。C−3は、一般式(C1−3)、(C1−4)及び(C1−5)で表される化合物(各式中、R9は炭素数15〜17のアルキル基及びアルケニル基である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物であった。

C−4:カチオン界面活性剤(脂肪酸とメチルジエタノールアミンとのモル比1.5:1での反応生成物を塩化メチルで四級化して得られる、N,N−ビス(ステアロイル−オキシ−エチル)N,N−ジメチルアンモニウムクロライドとN−(ステアロイル−オキシ−エチル)N−ヒドロキシエチルN,Nジメチルアンモニウムクロライドとの1:1モル混合物。)。C−4は、一般式(C1−1)及び(C1−2)で表される化合物(各式中、R9は炭素数15〜17のアルキル基及びアルケニル基である)を塩化メチルで4級化したものを含む組成物であった。
【0090】
[(D)成分]
下記のD−1〜D−2を使用した。D−1〜D−2のいずれも本発明の(D)成分に該当する物質であった。

D−1:ノニオン界面活性剤(1級イソトリデシルアルコールのエチレンオキシド60モル付加物(炭素数13のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が60モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテル)。BASF社製ルテンゾールTO3にエチレンオキサイドを付加させたもの。

D−2:ポリオキシエチレンラウリルエーテルEO20モル(日本エマルジョン社製、商品名エマレックス720。ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物)
【0091】
[(E)成分]
(E)成分(香料)として、表1に記載の香料組成物E−1又はE−2を使用した。
【0092】
表1−1:E−1
【表1-1】
【0093】
表1−2:E−2
【表1-2】
【0094】
[(F)成分]
(F)成分(水溶性塩類)として、F−1:塩化カルシウム(商品名:粒状塩化カルシウム、(株)トクヤマ製)を使用した。
【0095】
[(G)成分]
(G)成分として、G−1:カプセル冷感剤(ウイルバー・エリス社製 商品名:Multisal Fresh Cool)を使用した。
【0096】
[その他の任意成分]
表2記載の共通成分1を使用した。
表2:共通成分1
【表2】
【0097】
[液体柔軟剤組成物の調製方法]
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)とを用い、各成分の配合量を、下記表3に記載の通り調整して、次の手順により液体柔軟剤組成物及びベース組成物を調製した。
まず(C)成分、(D)成分及び(E)成分を混合攪拌して、油相混合物を得た。
一方、共通成分1をバランス用イオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、980gから油相混合物、(A)成分((A)成分を溶解するのに必要なイオン交換水を含む)、(B)成分、及び(F)成分((F)成分を溶解するのに必要なイオン交換水を含む)の合計量を差し引いた残部に相当する。
次に、(C)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(C)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、(A)成分、(B)成分及び(F)成分を添加した。尚、(A)成分は添加前にイオン交換水に溶解し、30%wt水溶液として用いた。また(F)成分は添加前にイオン交換水に溶解し、15%wt水溶液として用いた。また必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpHを調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の液体柔軟剤組成物(実施例1〜22及び比較例1〜4)を得た。
【0098】
表3中、各成分の数値は、液体柔軟剤組成物の総質量に対する含量(質量%)である。
表3中、液体柔軟剤組成物のpHは25℃における値である。
表3中、液体柔軟剤組成物の粘度は、B型粘度計において測定した25℃における値である。
表3中、「〔(A)+(B)〕/(D)」は、(D)成分に対する(A)成分と(B)成分との合計の質量比を示す。
【0099】
[分散安定性の評価]
各液体柔軟剤組成物を軽量PSガラスビン(PS−No.11、田沼硝子工業所製)に80mL入れて密栓したものを評価用サンプルとした。
評価用サンプルを、25℃条件下で1ヶ月保管して、保管後の状態(柔軟剤組成物の分離の程度)を、以下に示す5段階評価法により評価した。
評価は、専門パネル5名により、下記の基準に基づき目視により行った。5名の平均値で表した評価結果を、表3の「分散安定性」の欄に示す。3点以上を合格であると判定した。

<評価基準>
4:保存前のサンプルと比較して、同等
3:下層にわずかに半透明層が確認できる
2:下層にやや半透明層が確認できる
1:下層に明らかに半透明層が確認できる
0:下層に明らかに透明層が確認できる
【0100】
[凍結復元性の評価]
各液体柔軟剤組成物を軽量PSガラスビン(PS−No.11、田沼硝子工業所製)に90mL入れて密栓したものを評価用サンプルとした。
評価用サンプルを、凍結溶解処理(−15℃で40時間の凍結処理と、続く25℃で8時間の溶解処理とで1サイクル)に付した後、各液体柔軟剤組成物の粘度を、B型粘度計(TOKIMEC社製 BL粘度計)により25℃下で測定した。本実験では、回転数30回転/分で10回転目の値を粘度測定値とした。
なお、測定する液体柔軟剤組成物の粘度が1000mPa・s 以下の場合はNo.2 ローターを使用し、粘度が1000mPa・sを越える場合にはNo.3 ローターを使用した。
測定された粘度を表3の「凍結復元性」の欄に示す。同欄の括弧内の数値は、粘度測定値である。更に、測定された粘度を下記の基準で分類した。評価結果を表3の「凍結復元性」の欄に示す。○及び◎を商品価値上合格であると判定した。

<評価基準>
×:1000mPa・s以上
△:800mPa・s以上1000mPa・s未満
○:400mPa・s以上800mPa・s未満
◎:400mPa・s未満
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、繊維製品用の柔軟剤分野において利用可能である。
【表3】