特許第6836386号(P6836386)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836386
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】パスワード不要のユーザ認証装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20210222BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20210222BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20210222BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20210222BHJP
   G06F 3/0489 20130101ALI20210222BHJP
   H03M 11/08 20060101ALI20210222BHJP
   H03M 11/10 20060101ALI20210222BHJP
   H03M 11/12 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   G05B19/18 X
   G06F21/31
   G06F3/02
   G06F3/023
   G06F3/0489
   H03M11/08
   H03M11/10
   H03M11/12
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-248257(P2016-248257)
(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-101355(P2018-101355A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】萱沼 怜
(72)【発明者】
【氏名】佐古田 恭庸
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−022110(JP,A)
【文献】 特開2015−191309(JP,A)
【文献】 特開2002−278938(JP,A)
【文献】 特開平10−269182(JP,A)
【文献】 特開2012−212300(JP,A)
【文献】 特開2015−118663(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0373119(US,A1)
【文献】 米国特許第5557686(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0245151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18 − 19/19
G05B 19/418
B23Q 15/00 − 15/28
G06F 21/31
G06F 3/02 − 3/023
G06F 3/0487− 3/0489
H03M 11/06 − 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の数値制御装置のユーザ認証に用いられるユーザ認証装置であって、
正当な利用権者による数値制御装置の操作端末に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報を予め取得する取得部と、
検査対象利用者が前記操作端末に対して行ったキー入力操作におけるキー利用情報と前記取得部が取得した前記正当な利用権者のキー利用情報とに基づいて、前記検査対象利用者が前記正当な利用権者であるか否かを判定する認証部と、
を備え
前記取得部は、
前記正当な利用権者による前記操作端末に対するキー入力操作に関連する状態変数を観測して前記状態変数を出力する状態観測部と、
前記状態観測部が出力する前記状態変数に基づいて、前記正当な利用権者のキー利用情報を学習する学習部と、
を有する機械学習装置からなり、
前記学習部は、
前記状態観測部が出力する前記状態変数に基づいて、前記正当な利用権者のキー利用情報の分布及び規則性を表す学習モデルを生成する学習モデル生成部と、
前記学習モデルに基づいて、前記正当な利用権者のキー利用情報を示す正常時スコア、及び、前記検査対象利用者のキー利用情報を示す検査対象スコア、を出力するスコア生成部と、
を有し、
前記状態変数は、前記操作端末のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、前記操作端末の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、前記操作端末にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む、ユーザ認証装置。
【請求項2】
前記認証部は、前記検査対象スコアが前記正常時スコアの範囲に含まれる場合、前記検査対象利用者を前記正当な利用権者として認証するスコア判定部を有する、請求項1に記載のユーザ認証装置。
【請求項3】
工作機械の数値制御装置のユーザ認証に用いられるユーザ認証装置であって、
正当な利用権者による数値制御装置の操作端末に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報を予め取得する取得部と、
検査対象利用者が前記操作端末に対して行ったキー入力操作におけるキー利用情報と前記取得部が取得した前記正当な利用権者のキー利用情報とに基づいて、前記検査対象利用者が前記正当な利用権者であるか否かを判定する認証部と、
を備え、
前記取得部は、
前記正当な利用権者による前記操作端末に対するキー入力操作に関連する状態変数を観測して前記状態変数を出力する状態観測部と、
前記正当な利用権者が複数の前記数値制御装置の前記操作端末に対して入力操作を行った場合における前記状態観測部が出力する前記状態変数に基づいて、当該正当な利用権者のキー利用情報を学習する学習部と、
を有する機械学習装置からなり、
前記状態変数は、前記操作端末のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、前記操作端末の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、前記操作端末にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む、ユーザ認証装置。
【請求項4】
工作機械の数値制御装置のユーザ認証に用いられるユーザ認証装置であって、
正当な利用権者による数値制御装置の操作端末に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報を予め取得する取得部と、
検査対象利用者が前記操作端末に対して行ったキー入力操作におけるキー利用情報と前記取得部が取得した前記正当な利用権者のキー利用情報とに基づいて、前記検査対象利用者が前記正当な利用権者であるか否かを判定する認証部と、
を備え、
前記取得部は、
前記正当な利用権者による前記操作端末に対するキー入力操作に関連する状態変数を観測して前記状態変数を出力する状態観測部と、
前記状態観測部が出力する前記状態変数及び前記正当な利用権者の識別情報に基づいて、複数の前記正当な利用権者のそれぞれについてのキー利用情報を学習する学習部と、
を有する機械学習装置からなり、
前記状態変数は、前記操作端末のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、前記操作端末の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、前記操作端末にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む、ユーザ認証装置。
【請求項5】
前記機械学習装置は、少なくとも1つの他の機械学習装置と接続可能であり、少なくとも1つの前記他の機械学習装置との間で学習の結果を相互に交換または共有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のユーザ認証装置。
【請求項6】
前記学習部は、前記正当な利用権者のキー利用情報を、ニューラルネットワークにより学習する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のユーザ認証装置。
【請求項7】
前記検査対象利用者に対して前記所定のキー入力操作を促す画面を、前記数値制御装置の表示装置に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載のユーザ認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワード不要のユーザ認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者(オペレータ)に応じて操作実行のレベルを制限するために、操作端末に対するキー操作を用いたユーザ認証機能を備えた工作機械の数値制御(Numerical Control:NC)装置がある。なお、本明細書において、数値制御装置(NC装置)には、コンピュータ数値制御(Computerized Numerical Control:CNC)装置やロボットコントローラも含まれる。
【0003】
例えば、ユーザにより予め設定されたパスワードに対する認証のためにユーザが文字列を入力するための入力メカニズムを提供する認証システムにおいて実行されるパスワードの入力及び認証システムにおいて、該ユーザが該入力メカニズムにより入力した文字列を得るステップと、該文字列が以下の四つの条件、即ち、該パスワードが全体として該文字列の前に付けられている、該パスワードが全体として該文字列中に付けられている、該パスワードが全体として該文字列の後ろに付けられている、該パスワードが全体として完全に該文字列と同一である、のいずれかを満たせば該ユーザを認証するステップ、を具えたことを特徴とする、パスワードの入力及び認証システムが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−293804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工作機械の数値制御装置の操作端末に対するキー操作を用いたユーザ認証では、認証に必要なパスワード情報が流失してしまうと、数値制御装置に対して操作権限が与えられていない利用者が、パスワード情報を入手して、操作権限が与えられている正当な利用権者に成りすまして数値制御装置にログインできてしまう問題がある。例えば、操作権限が与えられていない成りすましの利用者が、ログインできた数値制御装置の操作端末を悪意を持って操作し、工作機械及びこれを含む生産ラインを故意に誤動作させたり停止させる可能性がある。この結果、工作機械により製造した製品に不良が発生したり、深刻な事故が発生することもある。このため、ユーザ認証機能を備えた工作機械の数値制御装置において、パスワードを用いることなく、操作権限が与えられた正当な利用権者であるか否かを容易に判定できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、工作機械の数値制御装置のユーザ認証に用いられるユーザ認証装置であって、正当な利用権者による数値制御装置の操作端末に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報を予め記憶する記憶部と、検査対象利用者が操作端末に対して行ったキー入力操作におけるキー利用情報と記憶部に記憶された前記正当な利用権者のキー利用情報とに基づいて、検査対象利用者が前記正当な利用権者であるか否かを判定する認証部と、を備えるユーザ認証装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、ユーザ認証機能を備えた工作機械の数値制御装置において、パスワードを用いることなく、操作権限が与えられた正当な利用権者であるか否かを容易に判定するユーザ認証装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】工作機械を制御する数値制御装置の一例を概略的に示すブロック図である。
図2】一実施形態によるユーザ認証装置を示すブロック図である。
図3】第1形態によるユーザ認証装置を示すブロック図である。
図4】第1形態によるユーザ認証装置の動作フローを示すフローチャートである。
図5】第1形態によるユーザ認証装置において、検査対象利用者に対して数値制御装置の表示装置に表示された文字を消去するよう促す画面を例示する図である。
図6】第1形態によるユーザ認証装置において、検査対象利用者に対して数値制御装置の表示装置に表示されたカーソルを移動させるよう促す画面を例示する図である。
図7】第1形態によるユーザ認証装置において、検査対象利用者に対して数値制御装置の表示装置に表示された特定の文字を入力するよう促す画面を例示する図である。
図8】第1形態によるユーザ認証装置において、検査対象利用者の認証に用いられる評価値データについて説明する図であり、(A)は操作端末のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況についての評価値データに関し、(B)は操作端末の上下左右の各カーソルキーの押下順についての評価値データに関し、(C)は操作端末にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せに関する図である。
図9】第2形態によるユーザ認証装置を示すブロック図である。
図10】ニューロンのモデルを示す模式図である。
図11】D1〜D3の3層の重みを有するニューラルネットワークを示す模式図である。
図12】一実施形態による機械学習装置において入力データから正常時スコアを得るまでの一例を説明する図である。
図13】自己符号化器(オートエンコーダ)を示す図である。
図14】第2形態によるユーザ認証装置の動作フローを示すフローチャートである。
図15】第2形態によるユーザ認証装置を備える数値制御装置を示すブロック図である。
図16】通信ネットワークに接続された第2形態によるユーザ認証装置を示すブロック図である。
図17】第2形態によるユーザ認証装置を有する生産システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
図18】第2形態によるユーザ認証装置を有する生産システムの第2の実施形態を示すブロック図である。
図19】第2形態によるユーザ認証装置を有する生産システムの第3の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、ユーザ認証装置について説明する。各図面において、同様の部材には同様の参照符号が付けられている。また、異なる図面において同じ参照符号が付されたものは同じ機能を有する構成要素であることを意味するものとする。なお、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。
【0010】
ユーザ認証装置を説明するに先立ち、一般的な数値制御装置の構成について簡単に説明する。図1は、工作機械を制御する数値制御装置の一例を概略的に示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、数値制御装置40は、例えば、バス1009により繋がれたCPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003、I/O(Input/Output)1004、不揮発性メモリ1005、軸制御回路1006、PMC(Programmable Machine Controller)1007、及び表示装置/MDI(Manual Data Input)パネル1008などを含む。表示装置/MDI1008は、操作端末1011及び表示装置1012などを含む。操作端末111は、例えば、キーボードやタッチパネルからなる。キーボードには、数字キー、文字キー、カーソルキー、Backspaceキー、Deleteキー、ファンクションキーなどが配列されている。
【0012】
例えば、CPU1001は、ROM1002に格納されたシステムプログラムに従って数値制御装置40全体を制御する。RAM1003には、各種データまたは入出力信号が格納され、また、不揮発性メモリ1005には、例えば、位置情報、速度情報、加速度情報、位置偏差、トルク指令、及び負荷電流値などの各情報が格納される。PMC1007は、例えば、工作機械50から状態信号を受け取って、CPU1001に対して所定の入力信号を転送する。軸制御回路1006は、CPU1001から各軸の移動指令を受け取って、軸の指令をサーボアンプ152に出力し、サーボアンプ152は、軸制御回路1006からの移動指令に基づいて、工作機械50に設けられたサーボモータ151を駆動する。
【0013】
数値制御装置40には、コンピュータ数値制御装置も含まれる。また、数値制御装置40が制御する工作機械50の例としては、例えば、旋盤、ボール盤、中ぐり盤、フライス盤、研削盤、歯切り盤・歯車仕上げ機械、マシニングセンタ、放電加工機、パンチプレス、レーザ加工機、搬送機及び射出成形機などといった様々なものが含まれるが、これら以外のものを工作機械に含めてもよい。
【0014】
図2は、一実施形態によるユーザ認証装置を示すブロック図である。一実施形態によるユーザ認証装置1は工作機械50の数値制御装置のユーザ認証に用いられる。ユーザ認証装置1は、正当な利用権者による数値制御装置40の操作端末1011に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報を予め取得する取得部11と、検査対象利用者が操作端末1011に対して行ったキー入力操作におけるキー利用情報と取得部11が取得した正当な利用権者のキー利用情報とに基づいて、検査対象利用者が正当な利用権者であるか否かを判定する認証部12とを備える。また、ユーザ認証装置1は、検査対象利用者に対して所定のキー入力操作を促す画面を、数値制御装置40の表示装置1012に表示させる表示制御部13を備える。
【0015】
ここで、「正当な利用権者」とは、工作機械50の数値制御装置40に対して操作権限を有すると認証された者を意味する。利用者が数値制御装置40の操作端末1011を用いて入力操作する際、利用者ごとに、例えば、数値制御装置40の操作端末1011であるキーボードのDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、数値制御装置40の操作端末1011であるキーボードの上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、操作端末1011であるキーボードを用いて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、などに特徴的な相違(換言すれば、入力操作の癖)が現れる。
【0016】
例えば、数値制御装置40の操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況については、表示装置1012に表示された文字を消去(削除)する場合、操作端末1011のDeleteキーを使う傾向が多いかBackspaceキーを使う傾向が多いかといった、DeleteキーとBackspaceキーとの利用頻度が、利用者ごとに違う。また、DeleteキーもしくはBackspaceキーを、長押しするか連打するかも、利用者ごとに違う。
【0017】
また、数値制御装置40の操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順については、例えば表示装置1012に表示されたカーソルを右斜め上方向に移動させる場合、操作端末1011のカーソルキーを「右、上」の順に押下するか「上、右」の順に押下するか、利用者ごとに違う。
【0018】
また、例えばローマ字入力キーボードを用いた日本語の文字入力は、「あ」、「い」、「う」、「え」及び「お」を除いて、ローマ字(アルファベット)を2回以上打ち込むことで行われる。このうち、例えば「し」は、「si」、「shi」もしくは「ci」のキーの組合せを打ち込むことで入力される。例えば「しゅ」は「syu」または「shu」のキーの組合せを打ち込むことで入力される。例えば「ち」は「ti」または「chi」のキーの組合せを打ち込むことで入力される。例えば「つ」は「tu」または「tsu」のキーの組合せを打ち込んで入力される。例えば「ふ」は「fu」または「hu」のキーの組合せを打ち込むことで入力される。このように、ある特定の文字については、入力する際に用いられるキーの組合せが複数あり、利用者ごとに用いられるキーの組合せが異なる。なお、日本語に限らず、他の言語についても、特定の文字については入力する際に用いられるキーの組合せが複数存在する場合があり、同じく利用者ごとに用いられるキーの組合せが異なり得る。
【0019】
このように、数値制御装置40の操作端末1011に対するキー入力操作の特徴は、利用者ごとに異なるものである。同一人物であれば毎回のキー入力操作に同様の特徴が現われる傾向が強く、異なる人物であればキー入力操作の特徴が異なる傾向が強い。そこで、一実施形態によるユーザ認証装置1では、利用者によって相違が現われるキー入力操作の特徴に着目し、数値制御装置40の操作端末1011に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報(特徴)を、パスワードの代わりとして用いる。
【0020】
取得部11が取得する正当な利用権者の上記所定のキー入力操作におけるキー利用情報は、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
取得部11による正当な利用権者のキー利用情報の取得処理の完了後、表示制御部13は、検査対象利用者に対して所定のキー入力操作を促す画面を、数値制御装置40の表示装置1012に表示させる制御を行う。検査対象利用者(すなわち、数値制御装置40の利用許可を求めようとする利用者)は、この画面の指示に従って、所定のキー入力操作を行う。認証部12は、検査対象利用者が操作端末1011に対して行ったキー入力操作におけるキー利用情報と取得部11が取得した正当な利用権者のキー利用情報とに基づいて、検査対象利用者が正当な利用権者であるか否かを判定する。検査対象利用者が正当な利用権者であると認証されると、当該検査対象利用者は、数値制御装置40の利用が可能となる。
【0022】
以下、上述の一実施形態によるユーザ認証装置1における取得部11及び認証部12の形態を列記する。
【0023】
図3は、第1形態によるユーザ認証装置を示すブロック図である。第1の形態によれば、取得部11は、取得された正当な利用権者のキー利用情報を記憶する記憶部21、及び、正当な利用権者による操作端末1011に対するキー入力操作の履歴の中から、当該正当な利用権者のキー利用情報を抽出する特徴抽出部22を備える。なお、特徴抽出部22を省略して、正当な利用権者の、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び/または、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せを、直接に記憶部に登録しておいてもよい。
【0024】
図4は、第1形態によるユーザ認証装置の動作フローを示すフローチャートである。
【0025】
ステップS101において、記憶部21は、取得された正当な利用権者のキー利用情報を記憶する。上記の通り、正当な利用権者のキー利用情報は、直接に記憶部に登録してもよく、あるいは、特徴抽出部22により、正当な利用権者による操作端末1011に対する大量のキー入力操作の履歴を監視し、この中から正当な利用権者のキー利用情報を抽出し、これを記憶部21に記憶(登録)してもよい。
【0026】
ステップS101における記憶部21における正当な利用権者のキー利用情報の記憶処理の完了後、ステップS102において、表示制御部13は、検査対象利用者に対して所定のキー入力操作を促す画面を、数値制御装置40の表示装置1012に表示させる制御を行う。これにより、数値制御装置40の表示装置1012は、検査対象利用者に対して所定のキー入力操作を促す画面を表示する。ステップS103において、検査対象利用者(すなわち、数値制御装置40の利用許可を求めようとする利用者)は、数値制御装置40の表示装置1012の画面の指示に従って、所定のキー入力操作を行う。
【0027】
ここで、検査対象利用者に対して所定のキー入力操作を促す画面の表示例について図5図7を参照して説明する。
【0028】
図5は、第1形態によるユーザ認証装置において、検査対象利用者に対して数値制御装置の表示装置に表示された文字を消去するよう促す画面を例示する図である。図5(A)に示すように、例えば、数値制御装置40の表示装置1012の画面上方に、「AAAAを消去するキー操作をして下さい」と表示し、画面左上に、文字列「AAAAA」を表示する。なお、図5(A)に示した文字列「AAAAA」は一例であり、その他の文字列であってもよい。また、文字列「AAAAA」の画面上における表示位置は一例であり、その他の表示位置であってもよい。検査対象利用者は図5(A)に示す画面の指示に従って、文字列「AAAAA」を消去することになる。検査対象利用者は、操作端末1011のDeleteキーまたはBackspaceキーを使い、これらキーの長押しまたは連打を行い、文字列「AAAAA」を消去するキー操作を行う。検査対象利用者による操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況に関する情報は、後述のステップS104における認証部12の認証処理に用いられるため、メモリ(図示せず)に一時的に記憶しておく。
【0029】
図6は、第1形態によるユーザ認証装置において、検査対象利用者に対して数値制御装置の表示装置に表示されたカーソルを移動させるよう促す画面を例示する図である。図6に示すように、例えば、数値制御装置40の表示装置1012の画面上方に、「カーソルIを移動させて下さい」と表示し、画面左上に、カーソル(プロンプト)「I」を表示する。なお、図6に示した、カーソル「I」の画面上における表示位置は一例であり、その他の表示位置であってもよい。また、図6に示す例ではカーソル「I」を移動すべき位置(目的地)は表示していないが、カーソル「I」の移動元及び移動先を表示することで、これら移動元と移動先との間でのカーソル「I」の移動を促すようにしてもよい。検査対象利用者は図6に示す画面の指示に従って、数値制御装置40の操作端末1011の上下左右の各カーソルキーを押下することになる。検査対象利用者は、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーを適宜操作し、これらキーの長押しまたは連打を行い、カーソル「I」を移動させるキー操作を行う。検査対象利用者による数値制御装置40の操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順に関する情報は、後述のステップS104における認証部12の認証処理に用いられるため、メモリ(図示せず)に一時的に記憶しておく。
【0030】
図7は、第1形態によるユーザ認証装置において、検査対象利用者に対して数値制御装置の表示装置に表示された特定の文字を入力するよう促す画面を例示する図である。図7に示すように、例えば、数値制御装置40の表示装置1012の画面上方に、「『ししゅちつふ』とローマ字で入力して下さい」と表示する。なお、図7に示した入力すべき文字列「ししゅちつふ」は一例であり、その他の文字列であってもよい。また、図7に示す例では、文字列「ししゅちつふ」の入力場所を画面右下としたが、その他の場所であってもよい。検査対象利用者は図7に示す画面の指示に従って、数値制御装置40の操作端末1011のキーを打ち込むことになる。検査対象利用者は、操作端末1011であるローマ字入力キーボードのキーを適宜打ち込み、指示された文字列を入力する。検査対象利用者による操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せに関する情報は、後述のステップS104における認証部12の認証処理に用いられるため、メモリ(図示せず)に一時的に記憶しておく。
【0031】
なお、ステップS102において表示される、図5図7に例示したキー入力操作を促す画面については3項目ともすべて表示してもよく、あるいはこれらのうちの1項目もしくは2項目を表示してもよい。これら各表示画面の項目数に応じてステップS104における認証処理が実行される。
【0032】
ステップS104において、認証部12は、検査対象利用者が操作端末1011に対して行ったキー入力操作(ステップS103)におけるキー利用情報と取得部11が取得した正当な利用権者のキー利用情報とに基づいて、検査対象利用者が正当な利用権者であるか否かを判定する。本第1形態では、認証部12は、検査対象利用者が操作端末1011に対して行ったキー入力操作におけるキー利用情報と正当な利用権者のキー利用情報との一致度を数値化した評価値データが所定の閾値以上である場合、検査対象利用者を正当な利用権者として認証する(ステップS105)。この結果、当該検査対象利用者は、正当な利用権者として数値制御装置40の利用が可能になる。また、認証部12は、検査対象利用者が操作端末1011に対して行ったキー入力操作におけるキー利用情報と正当な利用権者のキー利用情報との一致度を数値化した評価値データが所定の閾値未満である場合、検査対象利用者を正当な利用権者として認証しない(ステップS106)。この結果、当該検査対象利用者は、数値制御装置40の利用はできない。
【0033】
図8は、第1形態によるユーザ認証装置において、検査対象利用者の認証に用いられる評価値データについて説明する図であり、(A)は操作端末のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況についての評価値データに関し、(B)は操作端末の上下左右の各カーソルキーの押下順についての評価値データに関し、(C)は操作端末にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せに関する図である。評価値データは、例えば、検査対象利用者が操作端末1011に対して行ったキー入力操作におけるキー利用情報と正当な利用権者のキー利用情報との一致度が高いほど加点され一致度が低いほど減点される点数にて表される。なお、図8において、「○」のついた点数は、獲得した点数を示している。
【0034】
例えば、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況(図5)、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順(図6)、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ(図7)の全てを表示装置1012に表示させ(S102)、検査対象利用者に対してキー入力操作を促した場合、これら3つの情報を用いて認証部12の認証処理を行う。一致度が高いほど点数が高いと評価する場合、例えば、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況の一致度を30点満点、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順を30点満点、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せの一致度を40点満点として項目ごとに点数を配分し、これら各項目の合計点数(100点満点)を、所定の閾値と比較し、認証処理を行う。図8(A)では、検査対象利用者と正当な利用権者のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況が完全に一致している例を示している。この場合、利用頻度の一致度に関する評価値データとして15点、キー長押しまたはキー連打による消去方法の一致度に関する評価値データとして15点としており、よって、Deleteキー及びBackspaceキーの利用状況については、評価値データとして30点満点(=15点+15点)を獲得している。また、図8(B)では、検査対象利用者と正当な利用権者の操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順が完全に一致するとして、評価値データとして30点満点を獲得している。また、図8(C)では、一例として、検査対象利用者と正当な利用権者の所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せについて、「し」及び「ち」については一致し、「しゅ」については一致しない例を示している。この場合、所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せの一致度に関する評価値データとしてとして30点(=20点+10点)を獲得している。よって、これら各項目の合計点数は、100点満点中90点となる。ここで、例えば閾値の点数を80点とすると、図8に示す例では検査対象利用者の獲得点数(90点)はこの閾値を超えているので、認証部12は、検査対象利用者を正当な利用権者として認証する。
【0035】
なお、図8を参照して説明した例における閾値や各項目についての満点の点数配分はあくまで一例であり、適宜設定すればよい。設定行為は、例えば、工作機械50や工場などの管理者により行われてもよい。例えば、数値制御装置40の動作環境に応じて設定してもよく、数値制御装置40を利用する利用者の人選に応じて設定してもよく、数値制御装置40が制御する工作機械50に応じて設定してもよく、数値制御装置40(もしくは工作機械50)の動作時期(例えば繁盛期、閑散期、展示会期間中、外部業者による保守期間中などの違い)に応じて設定してもよい。閾値や満点の点数配分の設定の仕方によって、ユーザ認証装置の認証精度が変更され得る。図8を参照して説明した例では、キー利用情報のうちの3項目について認証処理を実行したが、1項目のみについて認証処理を実行してもよく、あるいは、2項目について認証処理を実行してもよい。この場合の閾値や各項目についての満点の点数配分も、3項目の場合同様、適宜設定すればよい。また、認証部12の認証処理に用いられる評価値データを、上述の加算方式の点数に代えて、減算方式の点数にて表してもよく、あるいは偏差値にて表してもよい。
【0036】
なお、認証部12における認証(すなわちスコア判定部25における判定)の結果は、数値制御装置の利用の可否に利用されるが、これ以外にも、ユーザに対し、現在の利用者は正当な利用権者であるか否かを報知してもよい。認証部12にはこのための報知部(図示せず)を接続してもよい。報知部の例としては、パソコン、携帯端末、タッチパネルなどのディスプレイや数値制御装置に付属のディスプレイ(図1の表示装置1012)などがあり、例えば「正当な利用権者である/ではない」を文字や絵柄でディスプレイに表示することができる。また例えば、報知部を、スピーカ、ブザー、チャイムなどのような音を発する音響機器にて実現してもよい。またあるいは、報知部について、プリンタを用いて紙面等にプリントアウトして表示させる形態をとってもよい。またあるいは、これらを適宜組み合わせて報知部を実現してもよい。なお、認証部12における認証(すなわちスコア判定部25における判定)の結果を、記憶装置に格納し、当該データを何らかの用途に使用してもよい。このように、ユーザ認証装置1に報知部を設けることより、工作機械50の管理者や生産管理者は、操作権限が与えられていない利用者が、正当な利用権者に成りすまして数値制御装置40の操作端末1011を操作してログインしようと試みていることを知ることもできる。ユーザ認証装置1が「正当な利用権者でではない」との結果を出力することで、工作機械の管理者や生産管理者は、例えば、即座に数値制御装置のある現場に駆けつけたり、あるいは、警察に通報したりといったような対応を取ることができる。
【0037】
なお、上述した認証部12、表示制御部13及び特徴抽出部22は、例えばソフトウェアプログラム形式で構築されてもよく、あるいは各種電子回路とソフトウェアプログラムとの組み合わせで構築されてもよい。例えばこれらをソフトウェアプログラム形式で構築する場合は、このソフトウェアプログラムに従って動作させるための演算処理装置を設けたり、クラウドサーバ上においてこのソフトウェアプログラムを動作させたりすることで、上述の各部の機能を実現することができる。
【0038】
以上説明した第1形態によるユーザ認証装置1によれば、工作機械50の数値制御装置40において、パスワードを用いることなく、操作権限が与えられた正当な利用権者であるか否かを容易に判定することができる。
【0039】
続いて、第2形態によるユーザ認証装置について説明する。第2形態によるユーザ認証装置では、取得部11に機械学習装置を用いる。
【0040】
図9は、第2形態によるユーザ認証装置を示すブロック図である。第2形態では、取得部11は機械学習装置30からなる。機械学習装置30は、入力されるデータの集合から、その中にある有用な規則や知識表現、判断基準などを解析により抽出し、その判断結果を出力すると共に、知識の学習を行う機能を有する。第2形態では、機械学習装置30は、教師なし学習を適用したものである。教師なし学習とは、入力データのみを大量に機械学習装置30に与えることで、入力データがどのような分布をしているか学習し、対応する教師データを与えなくても、入力データに対して圧縮、分類、整形などを行う装置を学習する手法である。例えば、それらのデータセットにある特徴を似たものどうしにクラスタリング(clustering)することなどができる。この結果を使って、それらのデータセットにある特徴を学習し、入力から結果を推定するモデル(学習モデル)、すなわち、その関係性を帰納的に獲得するものである。
【0041】
機械学習装置30は、工作機械50の数値制御装置40(図9では図示しない。)の正当な利用権者であるか否かの判定に用いられる、正当な利用権者のキー利用情報を学習する。より具体的には、機械学習装置30では、工作機械50の数値制御装置40の操作端末1011に対する正当な利用権者の入力操作の特徴であるキー利用情報について、分布及び規則性を表す学習モデルを生成する。機械学習装置30ではさらに、学習モデルに基づいて、数値制御装置40の操作端末1011に対する正当な利用権者のキー利用情報を示す正常時スコア、及び、数値制御装置40の操作端末1011に対する検査対象利用者のキー利用情報を示す検査対象スコア、を出力する。そして、機械学習装置30により得られた正常時スコアと検査対象スコアとを比較し、検査対象スコアが、正常時スコアの範囲に含まれるときは検査対象利用者を正当な利用権者として認証し、正常時スコアの範囲に含まれないときは検査対象利用者は正当な利用権者として認証されない。
【0042】
図9に示すように、取得部11を構成する機械学習装置30は、状態観測部23及び学習部24を備える。また、認証部12は、スコア判定部25を備える。
【0043】
状態観測部23は、正当な利用権者による操作端末1011に対するキー入力操作に関連する状態変数を観測する。状態変数は、操作端末1011の1つのキーに対する押下継続時間、操作端末1011の複数回のキーの押下における押下時間間隔、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む。これら各状態変数は、状態観測部23が数値制御装置40から取得するものであるが、数値制御装置40の動作として、これら状態変数を状態観測部23に対して送るよう予めプログラムされていてもよい。また、状態観測部23が観測する状態変数は、上記のものを必ずしも全て含んでいる必要はなく、少なくとも1つ含んでいればよい。また、上記した状態変数以外にも、数値制御装置40の操作端末に対する入力操作の特徴が現われるものを状態変数として含んでいてもよい。また、観測される状態変数(もしくはこれらの組み合せ)は、状況に応じて適宜設定すればよい。例えば、数値制御装置の動作環境に応じて設定してもよく、数値制御装置を利用する利用者の人選に応じて設定してもよく、数値制御装置が制御する工作機械に応じて設定してもよく、数値制御装置(もしくは工作機械)の動作時期(例えば繁盛期、閑散期、展示会期間中、外部業者による保守期間中などの違い)に応じて設定してもよい。設定行為は、例えば、工作機械50や工場などの管理者により行われてもよい。
【0044】
学習部24は、状態観測部23の出力に基づいて、正当な利用権者のキー利用情報を学習する。学習部24は、学習モデル生成部31及びスコア生成部32を備える。
【0045】
学習モデル生成部31は、状態観測部23の出力に基づいて、正当な利用権者のキー利用情報の分布及び規則性を表す学習モデルを生成する。学習モデル生成部31による学習モデルの生成に用いられる学習アルゴリズムとしては、教師なし学習が適用される。教師なし学習の詳細については後述する。
【0046】
スコア生成部32は、学習モデル生成部31により生成された学習モデルに基づいて、正当な利用権者のキー利用情報を示す正常時スコア、及び、検査対象利用者のキー利用情報を示す検査対象スコア、を出力する。
【0047】
機械学習装置30は、例えば、数値制御装置40内に設けることができる。また、機械学習装置30を、例えば、通信ネットワークを介したクラウドサーバ上に設けてもよく、複数の数値制御装置40を制御するセルコントローラ上に設けてもよく、あるいは、セルコントローラのさらに上位の生産管理装置上に設けてもよい。
【0048】
認証部12は、検査対象スコアが正常時スコアの範囲に含まれる場合、検査対象利用者を正当な利用権者として認証する。また、認証部12は、検査対象スコアが正常時スコアの範囲に含まれない場合、検査対象利用者は正当な利用権者として認証されない。
【0049】
教師なし学習が適用される機械学習装置30は、例えば、ニューラルネットワークやサポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)などのアルゴリズムを用いて実現する。また、教師なし学習が適用される機械学習装置30は、GPGPU(General−Purpose computing on Graphics Processing Units)や大規模PCクラスター等を適用すると、より高速な処理を実現することができる。
【0050】
ここで、ニューラルネットワークについて説明する。ニューラルネットワークは、たとえば図10に示すようなニューロンのモデルを模したニューラルネットワークを実現する演算装置及びメモリ等で構成される。図10は、ニューロンのモデルを示す模式図である。
【0051】
図10に示すように、ニューロンは、複数の入力x(図10では、一例として、入力x1〜入力x3)に対する出力yを出力するものである。各入力x1〜x3には、この入力xに対応する重みw(w1〜w3)が掛けられる。これにより、ニューロンは、式1により表現される出力yを出力する。なお、入力x、出力y及び重みwは、すべてベクトルである。また、下記の式1において、θはバイアスであり、fkは活性化関数である。
【0052】
【数1】
【0053】
次に、上述したニューロンを組み合わせた3層の重みを有するニューラルネットワークについて、図11を参照して説明する。図11は、D1〜D3の3層の重みを有するニューラルネットワークを示す模式図である。
【0054】
図11に示すように、ニューラルネットワークの左側から複数の入力x(ここでは一例として、入力x1〜入力x3)が入力され、右側から結果y(ここでは一例として、結果y1〜結果y3)が出力される。
【0055】
具体的には、入力x1〜入力x3は、3つのニューロンN11〜N13の各々に対して対応する重みが掛けられて入力される。これらの入力に掛けられる重みはまとめてw1と標記されている。
【0056】
ニューロンN11〜N13は、それぞれ、z11〜z13を出力する。図5において、これらz11〜z13はまとめて特徴ベクトルz1と標記され、入力ベクトルの特徴量を抽出したベクトルとみなすことができる。この特徴ベクトルz1は、重みw1と重みw2との間の特徴ベクトルである。z11〜z13は、2つのニューロンN21、N22の各々に対して対応する重みが掛けられて入力される。これらの特徴ベクトルに掛けられる重みは、まとめてw2と標記されている。
【0057】
ニューロンN21、N22は、それぞれ、z21、z22を出力する。図11において、これらz21、z22は、まとめて特徴ベクトルz2と標記されている。この特徴ベクトルz2は、重みw2と重みw3との間の特徴ベクトルである。特徴ベクトルz21、z22は、3つのニューロンN31〜N33の各々に対して対応する重みが掛けられて入力される。これらの特徴ベクトルに掛けられる重みは、まとめてw3と標記されている。
【0058】
最後に、ニューロンN31〜N33は、それぞれ、結果y1〜結果y3を出力する。
【0059】
機械学習装置30におけるニューラルネットワークの動作には、学習モードと検査モードとがある。例えば、学習モードにおいて、学習モデル生成部31は、状態変数を用いて重みwを学習して学習モデルを生成し、スコア生成部32は、その学習モデルを用いて数値制御装置40の操作端末1011に対する正当な利用権者の入力操作の特徴であるキー利用情報を示す正常時スコアを出力する。また、検査モードにおいて、スコア生成部32は、学習モードにおいて学習モデル生成部31が生成した学習モデルを用いて、数値制御装置の操作端末に対する検査対象利用者の入力操作の特徴であるキー利用情報を示す検査対象スコアを出力する。学習モードと検査モードとの切替えは、例えば、数値制御装置へのログイン前を検査モードとしログイン後を学習モードとしたときのログイン前後での自動切替え、数値制御装置40の操作端末1011に対する特定のキー操作による切替え指示、数値制御装置の上位にあるセルコントローラからの切替え指示、あるいはセルコントローラの上位にある生産管理装置からの切替え指示などにより行われる。この切替え指示は、正当な利用権者のキー利用情報の取得(学習)を開始する場合は検査モードから学習モードへ切り替える指示であり、学習モードにおける正当な利用権者のキー利用情報の取得(学習)が完了した後は学習モードから検査モードへ切り替える指示である。
【0060】
このようなニューラルネットワークは、3層以上にさらに層を増やすことも可能である。
【0061】
ここで、教師なし学習について説明する。教師なし学習の適用例では、「全てのデータを選り好みなく入力し、学習器に入力データを分類させる」というような例が多いが、機械学習装置30では「正当な利用権者のデータ」のみを入力して学習を行う。すなわち、入力データに基づいて「正当な利用権者である/ない」の2通りを判別するため、どちらか一方のデータのみを用いてその特徴を学習すれば、自ずと他方の判別も可能になる。また、全てのデータを選り好みなく入力して分類させる場合には、当然、入力データとして「正当な利用権者でないデータ」を加えなければ十分な学習を行えないが、判定を学習するのに十分な量の「正当な利用権者でないデータ」を収集するのは困難であり、現実的ではない。そこで、一実施形態では、「正当な利用権者のデータ」のみを入力として用いて、その特徴量を学習させるという教師なし学習を適用し、正当な利用権者についての正常時スコアを生成する。
【0062】
以下、入力データから出力(正常時スコア)を得るまでを説明する。図12は、一実施形態による機械学習装置において入力データから正常時スコアを得るまでの一例を説明する図である。ここでは、「ニューラルネットワーク」を機械学習装置30として用いるが、ニューラルネットワークのモデルは、一般的なものを適用することができる。
【0063】
ニューラルネットワークは、入力部、中間層及び出力部を含み、中間層は、複数層で構成される。ニューラルネットワークの入力部に入力Xを与えると、ニューラルネットワークの出力部からは特徴量であるスコアZが出力される。よって、工作機械50の数値制御装置40に対して操作権限を有すると認証された者である「正当な利用権者」の、数値制御装置40の操作端末1011に対する所定のキー入力操作のキー利用情報である「正常時の入力データXn」を入力Xとして、ニューラルネットワークの入力部に与えると、正常なスコア(正常時スコア)の集合が得られることになる。ここで、ニューラルネットワークにおける正常時の入力データXnは、状態観測部23によって観測された状態変数が対応する。すなわち、正当な利用権者の入力データXnは、正当な利用権者による操作端末1011の1つのキーに対する押下継続時間、正当な利用権者による操作端末1011の複数回のキーの押下における押下時間間隔、正当な利用権者による操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、正当な利用権者による操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、正当な利用権者による操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む。
【0064】
図13は、自己符号化器(オートエンコーダ)を示す図である。図13に示すように、自己符号化器は、ニューラルネットワークの入力部、中間層及び出力部からなる学習モデルに、この学習モデルのうちの入力部及び中間層を反転したものを追加した構成を有する。自己符号化器において、正当な利用権者の入力データXnを入力Xとしてニューラルネットワークの入力部に与えると、追加した中間層及び入力部(すなわち学習モデルのうちの入力部及び中間層を反転したもの)を経由して出力Yが出力される。これにより、正当な利用権者の入力データXn(入力X)と出力データYn(出力Y)の誤差を、||X2n−Yn||2として求めることができる。学習モデル生成部31は、教師なし学習において、正当な利用権者の入力データXnをそのまま正解ラベルとして使用して誤差||X2n−Yn||2を計算し、この誤差が最小となるような学習モデルを生成することで、学習モデルの精度を高める。
【0065】
スコア生成部32は、学習モードにおいては、学習モデル生成部31により生成された学習モデルに基づいて、工作機械50の数値制御装置40に対して操作権限を有すると認証された者である「正当な利用権者」の、数値制御装置40の操作端末1011に対する所定の入力操作におけるキー利用情報である「正当な利用権者の入力データXn」に対して、正常時スコアを出力する。一方、検査モードにおいては、状態観測部23は、工作機械50の数値制御装置40に対する検査対象利用者の所定のキー入力操作におけるキー利用情報を状態変数として観測し、スコア生成部32は、学習モデル生成部31により生成された学習モデルと状態観測部23が観測した状態変数に基づいて、工作機械50の数値制御装置40に対する検査対象利用者の所定のキー入力操作におけるキー利用情報を示す検査対象スコアを出力する。
【0066】
なお、機械学習装置30にューラルネットワークを適用する場合、汎用の計算機若しくはプロセッサを用いることもできるが、例えば、GPGPUや大規模PCクラスター等を適用すると、より高速に処理することが可能になる。また、教師なし学習の手法としては、上述したものに限定されず、例えば、k平均(k−means)法による非階層型クラスタリング、あるいは、階層型クラスタリングにおける次元圧縮等の様々な手法を適用することができるのはいうまでもない。
【0067】
図14は、第2形態によるユーザ認証装置の動作フローを示すフローチャートである。
【0068】
まず、ステップS201において、状態観測部23は、正当な利用権者による操作端末1011に対するキー入力操作に関連する状態変数を観測する。状態変数は、操作端末1011の1つのキーに対する押下継続時間、操作端末1011の複数回のキーの押下における押下時間間隔、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む。
【0069】
次いで、ステップS202において、学習モデル生成部31は、状態観測部23の出力に基づいて、正当な利用権者のキー利用情報の分布及び規則性を表す学習モデルを生成する。
【0070】
ステップS203では、スコア生成部32は、学習モデル生成部31により生成された学習モデルに基づいて、正当な利用権者のキー利用情報を示す正常時スコアを出力する。
【0071】
ステップS204では、スコア生成部32は、機械学習装置30が検査モードにあるか学習モードにあるかを判定する。なお、学習モードと検査モードとの切替え指示については既に説明した通りである。
【0072】
ステップS204において機械学習装置30が検査モードにあると判定された場合は、ステップS205において、表示制御部13は、検査対象利用者に対して所定のキー入力操作を促す画面を、数値制御装置40の表示装置1012に表示させる制御を行う。これにより、数値制御装置40の表示装置1012は、検査対象利用者に対して所定のキー入力操作を促す画面を表示する。所定のキー入力操作を促す画面の一例については図5図7を参照して説明した通りである。ステップS206において、検査対象利用者(すなわち、数値制御装置40の利用許可を求めようとする利用者)は、数値制御装置40の表示装置1012の画面の指示に従って、所定のキー入力操作を行う。
【0073】
ステップS207において、スコア生成部32は、学習モデル生成部31により生成された学習モデルに基づいて、数値制御装置の操作端末に対する検査対象利用者の入力操作の特徴であるキー利用情報を示す検査対象スコアを出力する。
【0074】
ステップS207において、スコア判定部25は、検査対象スコアが、正常時スコアの範囲に含まれるか否かを判定する。検査対象スコアが正常時スコアの範囲に含まれる場合は、ステップS209へ進み、認証部12により検査対象利用者は正当な利用権者として認証される。この結果、当該検査対象利用者は、正当な利用権者として数値制御装置40の利用が可能になる。一方、検査対象スコアが正常時スコアの範囲に含まれない場合は、ステップS210へ進み、検査対象利用者を正当な利用権者として認証しない。この結果、当該検査対象利用者は、数値制御装置40の利用はできない。
【0075】
ここで、スコア判定部25による判定方法の一例を説明する。仮に、機械学習装置30内の学習部22内のスコア生成部32の出力スコアがA、B及びCの3要素ある場合を考える。
【0076】
学習モデル生成部31による学習モデル生成後、数値制御装置40の正当な利用権者による操作端末1011に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報以外のキー利用情報を用意し、機械学習装置30のスコア生成部32に入力する。「正当な利用権者による操作端末1011に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報以外のキー利用情報」は、当該正当な利用権者が普段の自身のキー入力操作とは意識的に違ったキー入力操作を行うことで取得してもよく、あるいは、当該正当な利用権者以外の第三者に操作端末1011を操作させて取得してもよい。スコア生成部32は、正当な利用権者による操作端末1011に対するキー入力操作におけるキー利用情報以外のキー利用情報に基づいてスコア(以下、調整用スコア)を出力する。そして、調整用スコアと正常時スコアとを比較し正常時のスコア範囲を決める。仮に、正常時スコアにおける各特徴をAt、Bt及びCtとしたとき、スコア判定部25により「正当な利用権者である」と判定されるときの条件1を下記のように決めた場合を考える。なお、At、Bt及びCtは、正当な利用権者についての、操作端末1011の1つのキーに対する押下継続時間、操作端末1011の複数回のキーの押下における押下時間間隔、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せいずれかに関するものである。
【0077】
1<At<A2、B1<Bt<B2、C1<Ct<C2 ・・・ (条件1)
【0078】
正常時スコアの特徴AtについてはA1及びA2、特徴BtについてはB1及びB2、特徴CtについてはC1及びC2を適宜設定すれば、スコア判定部25による「正当な利用権者である/ではない」の判定結果は異なってくるので、要求されるユーザ認証精度に応じてこれらマージンを適宜設定し、正常時のスコア範囲を調整してもよい。スコア判定部25は、検査対象スコアが上述の条件1の範囲に入らないスコアになったとき、「現在の利用者は正当な利用権者ではない」との判定結果を出力する。
【0079】
なお、「正当な利用権者による操作端末1011に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報以外のキー利用情報」の一例を挙げると、操作端末1011の1つのキーに対する押下継続時間についていえば、例えば、正当な利用権者による操作端末の1つのキーに対する押下継続時間よりも、長くもしくは短く設定した押下継続時間である。操作端末1011の複数回のキーの押下における押下時間間隔についていえば、例えば、正当な利用権者による複数回のキーの押下における押下時間間隔よりも、長くもしくは短く設定した押下時間間隔である。操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況についていえば、例えば、文字を消去する際に正当な利用権者が多用するキーがDeleteキーであるところを、Backspaceキーを多めに利用することである(あるいはその逆もある)。また、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順についていえば、カーソルを移動させる際に正当な利用権者が利用する上下左右のカーソルキーの押下順を、普段とは異なる押下順にすることである。また、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せについていえば、例えば「し」について、正当な利用権者は「si」とキーを打ち込むところを、「shi」とキーを打ち込むことである。
【0080】
なお、認証部12における認証(すなわちスコア判定部25における判定)の結果は、数値制御装置の利用の可否に利用されるが、これ以外にも、ユーザに対し、現在の利用者は正当な利用権者であるか否かを報知してもよい。認証部12にはこのための報知部(図示せず)を接続してもよい。報知部の例としては、パソコン、携帯端末、タッチパネルなどのディスプレイや数値制御装置に付属のディスプレイ(図1の表示装置1012)などがあり、例えば「正当な利用権者である/ではない」を文字や絵柄でディスプレイに表示することができる。また例えば、報知部を、スピーカ、ブザー、チャイムなどのような音を発する音響機器にて実現してもよい。またあるいは、報知部について、プリンタを用いて紙面等にプリントアウトして表示させる形態をとってもよい。またあるいは、これらを適宜組み合わせて報知部を実現してもよい。なお、認証部12における認証(すなわちスコア判定部25における判定)の結果を、記憶装置に格納し、当該データを何らかの用途に使用してもよい。このように、ユーザ認証装置1に報知部を設けることより、工作機械50の管理者や生産管理者は、操作権限が与えられていない利用者が、正当な利用権者に成りすまして数値制御装置40の操作端末1011を操作してログインしようと試みていることを知ることもできる。ユーザ認証装置1が「正当な利用権者でではない」との結果を出力することで、工作機械の管理者や生産管理者は、例えば、即座に数値制御装置のある現場に駆けつけたり、あるいは、警察に通報したりといったような対応を取ることができる。
【0081】
なお、上述した表示制御部13、状態観測部23、学習モデル生成部31及びスコア生成部32を備える学習部24、並びにスコア判定部25(認証部12)は、例えばソフトウェアプログラム形式で構築されてもよく、あるいは各種電子回路とソフトウェアプログラムとの組み合わせで構築されてもよい。例えばこれらをソフトウェアプログラム形式で構築する場合は、このソフトウェアプログラムに従って動作させるための演算処理装置を設けたり、クラウドサーバ上においてこのソフトウェアプログラムを動作させたりすることで、上述の各部の機能を実現することができる。またあるいは、状態観測部23及び学習部24を備える機械学習装置30を、各部の機能を実現するソフトウェアプログラムを書き込んだ半導体集積回路として実現してもよい。またあるいは、状態観測部23及び学習部24を備える機械学習装置30のみならずスコア判定部25も含めた形で、各部の機能を実現するソフトウェアプログラムを書き込んだ半導体集積回路を実現してもよい。
【0082】
以上説明した第2形態によるユーザ認証装置1によれば、工作機械50の数値制御装置40において、パスワードを用いることなく、操作権限が与えられた正当な利用権者であるか否かを容易に判定することができる。
【0083】
なお、機械学習装置30内の学習部24は、正当な利用権者が複数の数値制御装置の操作端末に対して所定のキー入力操作を行った場合における状態観測部23の出力に従って、当該正当な利用権者による数値制御装置の操作端末に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報を学習するように構成されてもよい。この場合、状態観測部23は、正当な利用権者が複数の数値制御装置の操作端末に対して入力操作を行った場合における状態変数を、効率よくかつ大量に観測することができ、結果として、学習モデル生成部31は、大量の状態変数に基づいて学習モデルを生成することができるので、機械学習装置30の学習効果が向上する。機械学習装置30の学習効果が向上すると、ユーザ認証装置の認証精度が向上する。
【0084】
また、機械学習装置30内の学習部24は、状態観測部23の出力及び正当な利用権者の識別情報に基づいて、複数の正当な利用権者のそれぞれについてのキー利用情報を学習するように構成されてもよい。この場合、学習モデル生成部31は、複数の正当な利用権者のそれぞれについての学習モデルを生成する。
【0085】
なお、機械学習装置30は、少なくとも1つの他の機械学習装置と接続可能であり、少なくとも1つの他の機械学習装置との間で機械学習の結果を相互に交換または共有するようにしてもよい。複数の機械学習装置30を接続する実施形態の詳細については後述する。
【0086】
第2形態によるユーザ認証装置1を、数値制御部内に設けてもよい。図15は、第2形態によるユーザ認証装置を備える数値制御装置を示すブロック図である。一実施形態によれば、数値制御装置41は、ユーザ認証装置1を備える。数値制御装置41による工作機械50に対する数値制御処理を実行する数値制御部40’の構成自体は、図1を参照して説明した数値制御装置40の構成と同じであるので説明は省略する。状態観測部23は、数値制御部40’内の操作端末1011(図1参照。)の1つのキーに対する押下継続時間、操作端末1011の複数回のキーの押下における押下時間間隔、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む状態変数を観測する。学習部24、スコア判定部25及び出力部14については、既に説明した通りであるので説明は省略する。なお、第2形態によるユーザ認証装置1同様、第1形態によるユーザ認証装置1を数値制御部内に設けてもよい。
【0087】
また、第2形態によるユーザ認証装置1は、通信ネットワークを介して数値制御装置に接続されてもよい。図16は、通信ネットワークに接続された第2形態によるユーザ認証装置を示すブロック図である。第2形態によるユーザ認証装置1内の機械学習装置30は、通信ネットワーク90を介して複数の数値制御装置40に通信可能に接続され、状態観測部23は、通信ネットワーク90を介して状態変数を観測する。またさらに、機械学習装置30をクラウドサーバ上に設けてもよい。なお、この場合、スコア判定部25については、機械学習装置30に付随してクラウドサーバ上に設けてもよく、あるいは、通信ネットワーク90を介して接続されるクラウドサーバ以外の独立の装置として設けてもよい。なお、第2形態によるユーザ認証装置1同様、第1形態によるユーザ認証装置1は通信ネットワークを介して数値制御装置に接続されてもよい。
【0088】
続いて、製造セル、セルコントローラ及び生産管理装置を生産システムに上述のユーザ認証装置1を設けた実施形態について、図17図19を参照して説明する。以下で説明する図17図19の生産システムにおける製造セル及びセルコントローラの各個数は一例であり、その他の個数であってもよい。
【0089】
製造セルは、製品を製造する複数の工作機械をフレキシブルに組合せた集合である。製造セルは、例えば複数個もしくは複数種類の工作機械により構築されているが、製造セルにおける工作機械の個数は限定されない。例えば、製造セルは、あるワークが複数の工作機械により順次に処理されることによって最終的な製品となる製造ラインでありうる。また例えば、製造セルは、2つ以上の工作機械の各々により処理された2つ以上の工作物(部品)を製造工程の途中で別の工作機械によって組み合せることにより最終的な工作物(製品)を完成させる製造ラインであってもよい。また例えば、2つ以上の製造セルにより処理された2つ以上の工作物を組み合せることにより、最終的な工作物(製品)を完成させてもよい。製造セルとセルコントローラとは、例えばイントラネットなどのような通信ネットワークを介して通信可能に相互接続される。製造セルは、製品を製造する工場に配置されている。これに対して、セルコントローラは、製造セルが配置された工場に配置されてもよく、あるいは工場とは異なる建屋に配置されてもよい。例えば、セルコントローラは、製造セルが配置された工場の敷地にある別の建屋に配置されていてもよい。
【0090】
また、セルコントローラの上位には生産管理装置が設けられる。生産管理装置は、セルコントローラと相互通信可能に接続され、セルコントローラに生産計画を指示する。生産管理装置は、例えば、工場から遠隔地にある事務所に配置されていてもよい。この場合には、セルコントローラと生産管理装置とは、例えばインターネットの通信ネットワークを介して通信可能に相互接続される。
【0091】
このような生産システムについて、ユーザ認証装置1を、各数値制御装置内に設けた場合を第1の実施形態(図17)とし、各セルコントローラ内に設けた場合を第2の実施形態(図18)とし、生産管理装置内に設けた場合を第3の実施形態(図19)として説明する。なお、これら各実施形態は適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0092】
図17は、第2形態によるユーザ認証装置を有する生産システムの第1の実施形態を示すブロック図である。第1の実施形態による生産システムにおいて、図9に示したユーザ認証装置1が各数値制御装置内に設けられる。
【0093】
第1の実施形態による生産システム101は、複数の製造セル60A、60B、60C、・・・と、セルコントローラ70A、70B、70C、・・・と、生産管理装置80とを備える。
【0094】
製造セル60Aは、複数の工作機械50A−1、50A−2、・・・と、これら各工作機械に対応して設けられる数値制御装置41A−1、41A−2、・・・とで構成される。同様に、製造セル60Bは、複数の工作機械50B−1、50B−2、・・・と、これら各工作機械に対応して設けられる数値制御装置41B−1、41B−2、・・・とで構成される。製造セル60Cは、複数の工作機械50C−1、50C−2、・・・と、これら各工作機械に対応して設けられる数値制御装置41C−1、41C−2、・・・とで構成される。
【0095】
数値制御装置41A−1、41A−2、・・・、41B−1、41B−2、・・・、41C−1、41C−2、・・・は、それぞれ、図9を参照して説明した第2形態によるユーザ認証装置1を備える。すなわち、各数値制御装置41A−1、41A−2、・・・、41B−1、41B−2、・・・、41C−1、41C−2、・・・を単体で見れば、図15を参照して説明した数値制御装置41と同一といえる。各数値制御装置41A−1、41A−2、・・・、41B−1、41B−2、・・・、41C−1、41C−2、・・・内に設けられた機械学習装置30における状態観測部23(図16では図示せず)は、操作端末1011の1つのキーに対する押下継続時間、操作端末1011の複数回のキーの押下における押下時間間隔、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む状態変数を観測する。各数値制御装置41A−1、41A−2、・・・、41B−1、41B−2、・・・、41C−1、41C−2、・・・内に設けられたユーザ認証装置1内のスコア判定部25(図11では図示せず)による「正当な利用権者である/ではない」という判定結果に関するデータは、当該数値制御装置を制御するために設けられた対応するセルコントローラ70A、70B、70C、・・・へ出力される。
【0096】
各製造セル60A、60B及び60Cは、セルコントローラ70A、70B及び70Cと通信ネットワークを介して相互通信可能に接続される。セルコントローラ70Aは、製造セル60A内の数値制御装置41A−1、41A−2、・・・を制御する。セルコントローラ70Bは、製造セル60B内の数値制御装置41B−1、41B−2、・・・を制御する。セルコントローラ70Cは、製造セル60C内の数値制御装置41C−1、41C−2、・・・を制御する。
【0097】
生産管理装置80は、通信ネットワークを介してセルコントローラ70A、70B、70C、・・・と相互通信可能に接続され、セルコントローラ70A、70B、70C、・・・に生産計画を指示する。
【0098】
第1の実施形態による生産システム101において、セルコントローラ70A、70B、70C、・・・、またはセルコントローラ70A、70B、70C、・・・の上位にある生産管理装置80は、各機械学習装置30の出力部14から出力された「正当な利用権者である/ではない」という判定結果に関するデータに基づいて、各セルコントローラ70A、70B、70C、・・・または生産管理装置に設けられた表示装置に「正当な利用権者である/ではない」という判定結果を表示させることができる。その際、複数の数値制御装置のうちのどの数値制御装置についてユーザ認証が行われたかについても表示する。またあるいは、表示装置に代えてあるいは表示装置と共に、音響機器にて警報音やブザーを発生させて「正当な利用権者である/ではない」という判定結果を報知してもよい。これにより、工場で働く作業者や管理者は容易に、現在の数値制御装置の認証情報を知ることができる。
【0099】
また、第1の実施形態による生産システム101によれば、各数値制御装置41A−1、41A−2、・・・、41B−1、41B−2、・・・、41C−1、41C−2、・・・に設けられた機械学習装置30より、当該数値制御装置の操作端末に対する正当な利用権者による所定のキー入力操作におけるキー利用情報が分散学習される。同一製造セル内において、機械学習装置30は、当該製造セルのためのセルコントローラを介して他の機械学習装置と相互通信可能に接続されているので、当該他の機械学習装置との間で機械学習の結果を相互に交換または共有してもよい。またあるいは、機械学習装置30は、セルコントローラ70A、70B、70C、・・・の上位にある生産管理装置80を介して他の機械学習装置と相互通信可能に接続されているので、当該他の機械学習装置との間で機械学習の結果を相互に交換または共有してもよい。機械学習装置間で機械学習の結果を相互に交換または共有することで、学習効果をさらに向上させることができる。機械学習装置30の学習効果が向上すると、ユーザ認証装置1によるユーザ認証精度が向上する。
【0100】
図18は、第2形態によるユーザ認証装置を有する生産システムの第2の実施形態を示すブロック図である。第2の実施形態では、生産システムにおいて、図9に示した第2形態によるユーザ認証装置1が各セルコントローラ内に設けられる。
【0101】
第2の実施形態による生産システム102は、複数の製造セル61A、61B、61C、・・・と、セルコントローラ71A、71B、71C、・・・と、生産管理装置80とを備える。
【0102】
製造セル61Aは、複数の工作機械50A−1、50A−2、・・・と、これら各工作機械に対応して設けられる数値制御装置40A−1、40A−2、・・・とで構成される。同様に、製造セル61Bは、複数の工作機械50B−1、50B−2、・・・と、これら各工作機械に対応して設けられる数値制御装置40B−1、40B−2、・・・とで構成される。製造セル61Cは、複数の工作機械50C−1、50C−2、・・・と、これら各工作機械に対応して設けられる数値制御装置40C−1、40C−2、・・・とで構成される。数値制御装置40A−1、40A−2、・・・、40B−1、40B−2、・・・、40C−1、40C−2、・・・の構成は、図1を参照して説明した数値制御装置40の構成と同じである。
【0103】
各製造セル61A、61B及び61Cは、セルコントローラ71A、71B及び71Cと通信ネットワークを介して相互通信可能に接続される。セルコントローラ71Aは、製造セル61A内の数値制御装置40A−1、40A−2、・・・を制御する。セルコントローラ71Bは、製造セル61B内の数値制御装置40B−1、40B−2、・・・を制御する。セルコントローラ71Cは、製造セル61C内の数値制御装置40C−1、40C−2、・・・を制御する。セルコントローラ71A、71B、71C,・・・は、それぞれ、図9を参照して説明した第2形態によるユーザ認証装置1を備える。セルコントローラ71A、71B、71、・・・内に設けられた機械学習装置30における状態観測部23(図12では図示せず)は、当該セルコントローラが制御する数値制御装置の、操作端末1011の1つのキーに対する押下継続時間、操作端末1011の複数回のキーの押下における押下時間間隔、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む状態変数を観測する。セルコントローラ71A、71B、71、・・・内に設けられた機械学習装置30内のスコア判定部25(図18では図示せず)による、当該セルコントローラが制御する数値制御装置の利用者についての「正当な利用権者である/ではない」という判定結果に関するデータを、生産管理装置80へ出力する。
【0104】
生産管理装置80は、通信ネットワークを介してセルコントローラ71A、71B、71C、・・・と相互通信可能に接続され、セルコントローラ71A、71B、71C、・・・に生産計画を指示する。
【0105】
第2の実施形態による生産システム102において、セルコントローラ71A、71B、71C、・・・、またはセルコントローラ71A、71B、71C、・・・の上位にある生産管理装置80は、各機械学習装置30から出力された「正当な利用権者である/ではない」という判定結果に係るデータに基づいて、各セルコントローラ71A、71B、71C、・・・または生産管理装置に設けられた表示装置に「正当な利用権者である/ではない」という判定結果を表示させることができる。その際、複数の数値制御装置のうちのどの数値制御装置についてユーザ認証が行われたかについても表示する。またあるいは、表示装置に代えてあるいは表示装置と共に、音響機器にて警報音やブザーを発生させて「正当な利用権者である/ではない」という判定結果を報知してもよい。これにより、工場で働く作業者や管理者は容易に、現在の数値制御装置の認証情報を知ることができる。
【0106】
また、第2の実施形態による生産システム102によれば、各セルコントローラ71A、71B、71C、・・・内に設けられた機械学習装置30により、当該セルコントローラにより制御される数値制御装置の操作端末に対する正当な利用権者による所定のキー入力操作のキー入力情報が分散学習される。機械学習装置30は、セルコントローラ71A、71B、71C、・・・の上位にある生産管理装置80を介して他の機械学習装置と相互通信可能に接続されているので、当該他の機械学習装置との間で機械学習の結果を相互に交換または共有してもよい。機械学習装置間で機械学習の結果を相互に交換または共有することで、学習効果をさらに向上させることができる。機械学習装置30の学習効果が向上すると、ユーザ認証装置1によるユーザ認証精度が向上する。
【0107】
図19は、第2の形態によるユーザ認証装置を有する生産システムの第3の実施形態を示すブロック図である。第3の実施形態では、生産システムにおいて、図9に示した第2携帯によるユーザ認証装置1が生産管理装置81内に設けられる。
【0108】
第3の実施形態による生産システム103は、複数の製造セル61A、61B、61C、・・・と、セルコントローラ70A、70B、70C、・・・と、生産管理装置81とを備える。
【0109】
製造セル61Aは、複数の工作機械50A−1、50A−2、・・・と、これら各工作機械に対応して設けられる数値制御装置40A−1、40A−2、・・・とで構成される。同様に、製造セル61Bは、複数の工作機械50B−1、50B−2、・・・と、これら各工作機械に対応して設けられる数値制御装置40B−1、40B−2、・・・とで構成される。製造セル61Cは、複数の工作機械50C−1、50C−2、・・・と、これら各工作機械に対応して設けられる数値制御装置40C−1、40C−2、・・・とで構成される。数値制御装置40A−1、40A−2、・・・、40B−1、40B−2、・・・、40C−1、40C−2、・・・の構成は、図1を参照して説明した数値制御装置40の構成と同じである。
【0110】
各製造セル61A、61B及び61Cは、セルコントローラ70A、70B及び70Cと通信ネットワークを介して相互通信可能に接続される。セルコントローラ70Aは、製造セル61A内の数値制御装置40A−1、40A−2、・・・を制御する。セルコントローラ70Bは、製造セル61B内の数値制御装置40B−1、40B−2、・・・を制御する。セルコントローラ70Cは、製造セル61C内の数値制御装置40C−1、40C−2、・・・を制御する。
【0111】
生産管理装置81は、通信ネットワークを介してセルコントローラ70A、70B、70C、・・・と相互通信可能に接続され、セルコントローラ70A、70B、70C、・・・に生産計画を指示する。生産管理装置81は、図9を参照して説明した第2形態によるユーザ認証装置1を備える。生産管理装置81内に設けられた機械学習装置30における状態観測部23(図19では図示せず)は、各数値制御装置の、操作端末1011の1つのキーに対する押下継続時間、操作端末1011の複数回のキーの押下における押下時間間隔、操作端末1011のDeleteキー及びBackspaceキーの利用状況、操作端末1011の上下左右の各カーソルキーの押下順、及び、操作端末1011にて所定の文字を入力する際に用いられるキーの組合せ、のうちの少なくとも1つを含む状態変数を観測する。生産管理装置81内に設けられた内に設けられた機械学習装置30内のスコア判定部25(図18では図示せず)による「正当な利用権者である/ではない」という判定結果を出力する。
【0112】
第3の実施形態による生産システム103において、生産管理装置81は、機械学習装置30の「正当な利用権者である/ではない」という判定結果に係るデータに基づいて、生産管理装置81に設けられた表示装置に「正当な利用権者である/ではない」という判定結果を表示させることができる。その際、複数の数値制御装置のうちのどの数値制御装置についてユーザ認証が行われたかについても表示する。またあるいは、表示装置に代えてあるいは表示装置と共に、音響機器にて警報音やブザーを発生させて「正当な利用権者である/ではない」という判定結果を報知してもよい。これにより、工場で働く作業者や管理者は容易に、現在の数値制御装置の認証情報を知ることができる。またあるいは、生産管理装置81内の機械学習装置30の「正当な利用権者である/ではない」という判定結果に係るデータを、各セルコントローラ71A、71B、71C、・・・に転送し、各セルコントローラ71A、71B、71C、・・・に設けられた表示装置に「正当な利用権者である/ではない」という判定結果を表示させたり、表示装置に代えてあるいは表示装置と共に、音響機器にて警報音やブザーを発生させて「正当な利用権者である/ではない」という判定結果を報知してもよい。
【0113】
第3の実施形態による生産システム103によれば、生産管理装置81内に設けられた機械学習装置30により、正当な利用権者による数値制御装置の操作端末に対する所定のキー入力操作におけるキー利用情報が学習される。機械学習装置30は、数多くの数値制御装置にて観測された大量の状態変数に基づいて学習モデルを生成することができるので、機械学習装置30の学習効果が向上する。機械学習装置30の学習効果が向上すると、ユーザ認証装置1のユーザ認証精度が向上する。
【0114】
以上説明した生産システムは、製造セル、セルコントローラ、及び生産管理システムの3層のネットワークシステムで構成されたものである。この変形として、生産管理システムを省略し、製造セル及びセルコントローラで構成される2層のネットワークシステムにて生産システムを構成してもよく、この場合は、ユーザ認証装置1は製造セル内の数値制御装置またはセルコントローラに設ければよい。またあるいは、4層以上のネットワークシステムにて生産システムを構成してもよく、この場合は、ユーザ認証装置1は、製造セル内の数値制御装置、セルコントローラ、生産管理装置、またはさらに上位の装置に設ければよい。またあるいは、生産システムをさらに外部の通信ネットワークに接続してもよく、この場合、ユーザ認証装置1を、通信ネットワークを介したクラウドサーバ上に設けてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 ユーザ認証装置
11 取得部
12 認証部
21 記憶部
22 特徴抽出部
23 状態観測部
24 学習部
25 スコア判定部
30 機械学習装置
31 学習モデル生成部
32 スコア生成部
40、41 数値制御装置
40’ 数値制御部
41A−1、41A−2 数値制御装置
41B−1、41B−2 数値制御装置
41C−1、41C−2 数値制御装置
50 工作機械
50A−1、50A−2 工作機械
50B−1、50B−2 工作機械
50C−1、50C−2 工作機械
60A、60B、60C 製造セル
61A、61B、61C 製造セル
70A、70B、70C セルコントローラ
71A、71B、71C セルコントローラ
80、81 生産管理装置
90 通信ネットワーク
101、102、103 生産システム
151 サーボモータ
152 サーボアンプ
1001 CPU
1002 ROM
1003 RAM
1004 I/O
1005 不揮発性メモリ
1006 軸制御回路
1007 PMC
1008 表示装置/MDIパネル
1009 バス
1011 操作端末
1012 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19