(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、歯周病等の歯科疾患に罹患していない健常者であっても、加齢とともに歯肉が退縮することなど、歯肉の老化に伴う歯肉トラブルが発生することが知られており、特に中高年層において、歯肉を若々しく保つことに関心が寄せられている。
【0006】
こうしたなか、本発明者らは、歯肉の健常性の維持のため、二酸化炭素による血流促進効果に着目し、これを噴射剤とする口腔用エアゾール剤について検討したところ、二酸化炭素が共存することにより、エアゾール容器に充填された口腔用組成物の保存安定性が、温度変化に左右されて変動しやすい傾向にあることが新たに判明した。そして、上記特許文献に記載の技術を適用したとしても、これを充分に改善するには至らず、また泡の保持性も低下してしまうおそれがあることも判明したため、さらなる検討を要する状況にあった。
【0007】
すなわち、本発明は、二酸化炭素を含有する噴射剤を用いながらも、低温から高温なる幅広い温度域において高い保存安定性を確保するとともに、噴射される泡の保持性を高め、二酸化炭素による歯肉の健常性を充分に維持することのできる口腔用エアゾール剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、さらなる検討を進めたところ、原液と二酸化炭素を含有する噴射剤とを含む口腔用エアゾール剤において、ヒドロキシアルキルセルロースと水を特定量で含有しつつ、特定の増粘剤の含有を制限し、特定の限られた範囲の粘度を付与することにより、低温から高温なる幅広い温度域において高い保存安定性を確保しながら、噴射される泡の保持性を有効に高めることのできる口腔用エアゾール剤が得られることを見出した。
【0009】
したがって、本発明は、原液(X)と、二酸化炭素を80質量%以上含有する噴射剤(Y)とを含む口腔用エアゾール剤であって、
原液(X)が、次の成分(a)及び(b):
(a)ヒドロキシアルキルセルロース 0.2質量%以上2質量%以下、及び
(b)水 70質量%以上93質量%以下
を含有し、
キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン及びアルギン酸プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の増粘剤(c)の含有量が0.03質量%以下であり、かつ
25℃における粘度が50mPa・s以上8000mPa・s以下である口腔用エアゾール剤に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、二酸化炭素を噴射剤とする口腔用エアゾール剤が幅広い温度域において高い保存安定性を確保することができるだけでなく、エアゾール容器から噴射された直後から、口腔内において二酸化炭素を充分に作用させ得る時点に至るまで、泡を良好に保持することができるため、二酸化炭素の作用効果を充分に発揮させて、歯肉の健常性を良好に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本願では、口腔用エアゾール剤中、噴射剤(Y)以外の部分を原液(X)とする。
本発明の口腔用エアゾール剤に含まれる原液(X)は、成分(a)として、ヒドロキシアルキルセルロースを0.2質量%以上2質量%以下含有する。ヒドロキシアルキルセルロースは、セルロースにヒドロキシアルキル基を導入することにより得られる成分である。かかる成分(a)をこのような量で含有することにより、後述する特定の増粘剤である成分(c)の含有を制御することと相まって、温度変化にも左右されることのない良好な保存安定性の確保を可能とする適度な粘度を付与することができ、噴射される泡の保持性をも高めることができる。
【0012】
かかる成分(a)としては、具体的には、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシイソプロピルセルロースから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、適度な粘弾性をもたらし、原液(X)に所望の粘度を付与する観点から、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0013】
成分(a)の質量平均分子量(Mw)は、原液(X)に所望の粘度を効果的かつ効率的に付与する観点、及び製造を簡略化する観点から、好ましくは30万以上であり、より好ましくは50万以上であり、さらに好ましくは100万以上であり、好ましくは250万以下であり、より好ましくは200万以下であり、さらに好ましくは180万以下である。
なお、成分(a)の質量平均分子量(Mw)は、GPC法(ゲル濾過クロマトグラフィー法)により求めることができる。
【0014】
成分(a)の含有量は、幅広い温度域で良好な保存安定性を保持する観点から、原液(X)中に、0.2質量%以上であって、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.4質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上である。また、成分(a)の含有量は、適度な粘度をより効率的に確保する観点から、原液(X)中に、2質量%以下であって、好ましくは1.8質量%以下であり、より好ましくは1.6質量%以下である。そして、成分(a)の含有量は、原液(X)中に、0.2質量%以上2質量%以下であって、好ましくは0.3〜1.8質量%であり、より好ましくは0.4〜1.6質量%であり、さらに好ましくは0.7〜1.6質量%である。
【0015】
原液(X)は、成分(b)として、水を70質量%以上93質量%以下含有する。これにより、原液(X)中における各成分の良好な分散又は可溶化や良好な使用感を確保しつつ、噴射剤の良好な溶解性・分散性をも保持することができる。かかる水とは、精製水やイオン交換水等であり、成分(b)の水の含有量とは、各配合した各成分に含まれる水分をも含む、原液(X)中に含まれる全水分量を意味する。
成分(b)の含有量は、原液(X)中における各成分の良好な分散又は可溶化等を確保する観点から、原液(X)中に、70質量%以上であって、好ましくは73質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、93質量%以下であって、好ましくは91質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下である。また、成分(b)の含有量は、70質量%以上93質量%以下であって、好ましくは73〜91質量%であり、より好ましくは75〜90質量%である。
【0016】
原液(X)は、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、及びアルギン酸プロピレングリコールから選ばれる増粘剤(c)の含有量が0.03質量%以下である。このように、成分(c)の増粘剤の含有を制限することにより、成分(a)とも相まって、温度変化にも左右されることのない良好な保存安定性の確保を可能とする適度な粘度を付与することができ、泡の保持性をも高めることができる。
【0017】
成分(c)の含有量は、原液(X)中に、0.03質量%以下であって、好ましくは0.02質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、原液(X)中に成分(c)を含有しないのが好ましい。
【0018】
原液(X)中におけるグリセリン及びソルビトール(d)は、幅広い温度域における良好な保存安定性を確保する観点、及び原液(X)が有する所定の粘度を有効に保持する観点から、その含有を制限するのが好ましい。
かかる成分(d)の含有量は、具体的には、原液(X)中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、またさらに好ましくは4質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、原液(X)中に成分(d)を含有しないのが好ましい。
【0019】
原液(X)中における研磨性粉体は、二酸化炭素による歯肉の健常性維持効果を充分に確保する観点から、その含有を制限するのが好ましい。かかる研磨性粉体とは、いわゆるRDA値(Radioactive Dentine Abrasion values)が50〜200である粉体であって、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、研磨性シリカ(JIS K5101−13−2により測定される吸油量が50〜150mL/100g)、ハイドロキシアパタイト、複合アルミノケイ酸塩、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、セルロース、及び炭酸マグネシウム等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
なお、RDA値とは、歯磨きのRDA試験方法(Hefferren, Journal of Dental Research Vol.55,No.4(1976),p.563−573)により測定される値を意味する。
【0020】
かかる研磨性粉体の含有量は、具体的には、原液(X)中に、好ましくは0.01質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、原液(X)中に研磨性粉体を含有しないのが好ましい。
【0021】
原液(X)は、温度変化にも左右されることなく良好な保存安定性を確保する観点から、20℃で液体の2価アルコール(f)を含有するのが好ましい。かかる成分(f)としては、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、幅広い温度域で保存安定性を高める観点、及び口中に含んだ際における風味の観点から、プロピレングリコールが好ましい。
【0022】
成分(f)の含有量は、幅広い温度域で良好な保存安定性を保持する観点から、原液(X)中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上であり、さらに好ましくは7質量%以上であり、またさらに好ましくは8質量%以上である。また、成分(f)の含有量は、幅広い温度域、特に低温条件下での保存安定性を良好にする観点から、原液(X)中に、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは14質量%以下であり、さらに好ましくは13質量%以下であり、またさらに好ましくは12質量%以下である。そして、成分(f)の含有量は、原液(X)中に、好ましくは5〜15質量%であり、より好ましくは6〜14質量%であり、さらに好ましくは7〜13質量%であり、またさらに好ましくは8〜12質量%である。
【0023】
原液(X)は、各成分を良好に分散又は可溶化させる観点、及び泡の保持性を確保する観点から、アニオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤(g)を含有するのが好ましい。なかでも、良好な泡質を確保する観点から、アニオン性界面活性剤を含有することが好ましく、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を併用するのが好ましい。
【0024】
アニオン性界面活性剤としては、発泡性の観点から、アルキル硫酸エステル塩、アシルグルタミン酸ナトリウムやアシルサルコシンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、アルキルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、高級脂肪酸スルホン化モノグリセリド塩、イセチオン酸の脂肪酸エステル塩、N−メチル長鎖アシルタウリンナトリウム塩、及びポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アルキル硫酸エステル塩、アシルアミノ酸塩、N−メチル長鎖アシルタウリンナトリウム塩がより好ましく、N−メチル長鎖アシルタウリンナトリウム塩がさらに好ましい。
【0025】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸エタノールアミド、アルキルグリコシド及びソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
かかるノニオン界面活性剤のなかでも、炭酸ガスを含むエアゾール製剤の保存安定性の観点からは、ポリオキシエチレン基を有するノニオン界面活性剤が好ましく、かかるポリオキシエチレンの重合度は20〜80が好ましく、20〜60がより好ましい。さらにポリオキシエチレン基を有するノニオン界面活性剤のなかでも、幅広い温度域での保存安定性をより一層安定にする観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルがより好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
一方、ノニオン界面活性剤のなかでも、泡質を良好にする観点からは、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
そして、保存安定性と泡質とを両立させる観点からは、ノニオン界面活性剤として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用することが好ましい。
【0026】
アニオン性界面活性剤の含有量は、各成分を良好に分散又は可溶化させる観点、及び原液(X)を良好に発泡させる観点から、原液(X)中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、アニオン性界面活性剤の含有量は、為害性を抑制する観点、及び良好な使用感を確保する観点から、原液(X)中に、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下である。
【0027】
ノニオン性界面活性剤の含有量は、幅広い温度域での保存安定性をより一層安定にする観点、及び泡の保持性を有効に高める観点から、原液(X)中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上である。また、ノニオン性界面活性剤の含有量は、良好な使用感を確保する観点から、原液(X)中に、好ましくは5.0質量%以下であり、より好ましくは4.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
【0028】
かかる成分(g)の界面活性剤の合計含有量、すなわちアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤(g)の合計含有量は、良好な泡の保持性を確保する観点から、原液(X)中に、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは1.5質量%以上である。また、成分(g)の含有量は、二酸化炭素による高い歯肉の健常性維持効果を保持する観点、及び良好な使用感を確保する観点から、原液(X)中に、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3.5質量%以下であり、さらに好ましくは3.0質量%以下である。そして、成分(g)の合計含有量は、原液(X)中に、好ましくは0.3〜5質量%であり、より好ましくは1〜3.5質量%であり、さらに好ましくは1.5〜3.0質量%である。
【0029】
なお、アルカリ側へのpH調整剤としても作用する炭酸塩は、これらの混合後や水への溶解後に炭酸ガスを発生させ、噴射剤(Y)中の二酸化炭素による作用を不要に阻害しかねない観点から、原液(X)中におけるこれらの含有を制限するのが好ましい。かかる炭酸塩としては、具体的には、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、及び炭酸カルシウムから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
かかる炭酸塩の含有量は、原液(X)中に、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、或いは原液(X)は、炭酸塩を含有しないのが好ましい。
【0030】
原液(X)中における、20℃で固体であって成分(d)以外の多価アルコールは、幅広い温度域における良好な保存安定性を確保する観点から、その含有を制限するのが好ましい。かかる20℃で固体であって成分(d)以外の多価アルコールとしては、例えば、キシリトール、トレハロース、及びマルトース等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
かかる20℃で固体であって成分(d)以外の多価アルコールの含有量は、具体的には、原液(X)中に、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、またさらに好ましくは1質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、原液(X)中に20℃で固体であって成分(d)以外の多価アルコールを含有しないのが好ましい。
【0031】
本発明の口腔用エアゾール剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、原液(X)中に、上記成分のほか、例えば、フッ素供給源;殺菌剤;グリチルレチン酸、トコフェロール、トコフェロール誘導体、p−オキシ安息香酸エステル、アラントイン等の薬効成分;上記炭酸塩以外の、水酸化ナトリウム、有機酸等のpH調整剤;香料;顔料;色素等の各種成分を含有することができる。
【0032】
原液(X)の25℃における粘度は、温度変化にも左右されることなく良好な保存安定性を確保し、泡の保持性をも高める観点、原液(X)をエアゾール容器から良好に噴射させる観点、及び後述する噴射剤(Y)中の二酸化炭素を有効に包埋する観点から、50mPa・s以上であって、好ましくは100mPa・s以上であり、より好ましくは500mPa・s以上であり、さらに好ましくは700mPa・s以上であり、8000mPa・s以下であって、好ましくは7000mPa・s以下であり、より好ましくは6000mPa・s以下であり、さらに好ましくは5000mPa・s以下、さらに好ましくは3000mPa・s以下である。ここで、原液(X)の粘度は、BM型粘度計(東機産業(株)製)(ローターNo.1〜3、6〜60rpm、1分)にて測定することができる。
【0033】
原液(X)の25℃におけるpHは、噴霧剤中の二酸化炭素の一部を原液(X)中にも溶存させて歯肉の健常性維持効果を有効に高める観点、及び良好な使用感を確保する観点から、好ましくは7以下であり、より好ましくは4.0〜7であり、さらに好ましくは4.5〜6.5であり、よりさらに好ましくは5.0〜6.0である。
【0034】
本発明の口腔用エアゾール剤は、二酸化炭素を80質量%以上含有する噴射剤(Y)を含む。二酸化炭素は、気体として存在するだけでなく、保存中にその一部が原液(X)中にも溶存し得るため、使用時に噴射された後においても、成分(b)等のその他の成分とともに歯肉に適用させることができ、歯肉の健常性維持効果を有効に高めることが可能となる。二酸化炭素の含有量は、保存中においてその一部が原液(X)中に溶存し得るが、原液(X)中に二酸化炭素の一部が溶存する前の状態、すなわち、原液(X)と噴射剤(Y)の混合前、又はこれらをエアゾール容器に充填する前における噴射剤(Y)中での含有量を意味し、歯肉の健常性維持効果を良好に発揮させる観点から、噴射剤(Y)中に、80質量%以上であって、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは97質量%以上であり、好ましくは100質量%以下であり、さらに好ましくは100質量%である。
【0035】
なお、噴射剤(Y)において、上記二酸化炭素のほか、ジメチルエーテル、液化石油ガス、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン等の液化ガスを含有させ、二酸化炭素との混合ガスとして用いることもできる。
【0036】
本発明の口腔用エアゾール剤において、二酸化炭素の作用とともに原液(X)中の薬効成分等とも相まって、有効に歯肉の健常性を維持する観点から、原液(X)と噴射剤(Y)との質量比((X):(Y))は、好ましくは95:5〜99:1であり、より好ましくは97:3〜98.5:1.5である。
【0037】
本発明の口腔用エアゾール剤において、二酸化炭素の一部を原液(X)中にも溶存させて歯肉の健常性維持効果を有効に高める観点から、原液(X)中の成分(b)の水と二酸化炭素との質量比((b)/二酸化炭素)は、好ましくは15〜80であり、より好ましくは25〜53であり、さらに好ましくは30〜50である。
【0038】
本発明の口腔用エアゾール剤は、噴射剤(Y)を圧縮してエアゾール容器に充填されてなり、必要に応じて使用時に良好な泡を形成させることが可能となる観点から、かかるエアゾール容器は、泡吐出口を備えているのが好ましい。本発明の口腔用エアゾール剤を製造するにあたっては、上記原液(X)を調製した後、これを噴射剤(Y)とともにエアゾール容器に充填し、次いで必要に応じて加圧して封入すればよい。
【0039】
原液(X)と噴射剤(Y)を充填した後のエアゾール容器内における二酸化炭素の、原液(X)中への溶存量は、効果的に歯肉の健常性維持効果を高める観点から、25℃において、好ましくは3000〜15000ppmであり、より好ましくは9000〜14000ppmである。また、エアゾール容器内の圧力は、必要に応じて使用時に良好な泡を形成させる観点から、25℃において、好ましくは0.5〜0.9MPaであり、より好ましくは0.7〜0.8MPaである。
【0040】
本発明の口腔用エアゾール剤は、使用時に容器から内容物を吐出させた剤を、一旦歯ブラシや指先等に載置した後、所望の部位に適用するのが好ましい。使用1回あたりの本発明の口腔用エアゾール剤の適用量は、好ましくは0.4〜1.5gであり、より好ましくは0.5〜1.0gである。好ましくは、これを一日2〜3回実施し、少なくとも1〜3ヶ月間繰り返し適用すると、より効果的に歯肉の健常性を維持することができる。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0042】
[実施例1〜11、比較例1〜4]
表1に示す処方にしたがって各原液(A)を調製し、これをエアゾール容器(東洋製罐(株)製)に充填した後、表1に示す処方の噴射剤(B)を封入し、容器内の25℃における圧力を0.75MPaとして、各剤を製造した。
得られた剤を用い、以下の方法にしたがって各測定及び評価を行った。
結果を表1に示す。
【0043】
《原液(X)の粘度》
BM型粘度計(東機産業(株)製)(ローターNo.1〜3、6〜60rpm、1分)にて測定した。
【0044】
《保存安定性》
各剤の原液及び噴射剤を合計60gずつをガラス容器内に充填し、5℃の恒温槽と45℃の恒温槽の各々に保存し、1ヶ月間にわたり各々の槽における剤の性状を目視により観察し、下記基準にしたがって評価した。
AA:析出物も白濁も生じなかった
A:やや液に曇りがみられるが、透明であった。
B:白濁が生じた
C:析出物が生じた
【0045】
《泡保持性》
内径21.7mmのOリングを篩(5.5号、3350μm)の上に配置し、次いで各剤1gを容器から吐出させてOリング内に静置した。静置後、吐出した泡状の剤が篩を通過して下方に滴下するか否かを篩の上方から観察して、突出直後から泡状の剤が滴下するまでの時間を計測し、下記基準にしたがって評価した。
A:30秒以上(泡保持性が非常に良好)
B:15秒以上30秒未満(泡保持性が良好)
C:15秒未満(泡保持性が不十分)
【0046】
【表1】