(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のドライシャンプー組成物は、成分(A)として、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースを0.3質量%以上5質量%以下含有する。かかる成分(A)は親油性が高く、毛髪に付着した皮脂等の汚れを効果的に吸着することができるため、洗い流すことなく拭き取るのみで、高い汚れ除去効果を発揮することができるものと推定される。また、乾燥後において、清拭しきれずにわずかに残った剤は、毛髪表面に存在する油分を包埋しつつ、べたつき感のない柔軟な被膜を形成することができるので、優れた使用感をもたらすことが可能である。
【0012】
成分(A)のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースは、具体的には、下記一般式(1)で表される。
【0014】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立に下記一般式(2)又は一般式(3)で表されるカチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を有する置換基を示し、nはアンヒドログルコースの平均重合度を示す50〜5000の数である。カチオン化エチレンオキシ基の置換度は0.05〜1であり、プロピレンオキシ基の置換度は0.1〜4である。)
【0016】
(式中、Y
1及びY
2は、一方が水素原子であり、他方が下記一般式(4)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pは一般式(2)及び一般式(3)中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y
1)−CH(Y
2)−O−)の数を示し、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、p及びqはそれぞれ0又は正の数である。p及びqのどちらもが0でない場合、カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加順序は問わず、更にp及び/又はqが2以上である場合は、ブロック結合又はランダム結合のいずれであってもよい。)
【0018】
(式中、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
【0019】
本発明で用いられる成分(A)は、上記一般式(1)で表されるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースであり、アンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.05〜1であり、プロピレンオキシ基の置換度が0.1〜4であるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「C−HPC」ともいう)である。
【0020】
一般式(1)において、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立に一般式(2)又は一般式(3)で表される置換基であり、R
1、R
2及びR
3は、同一であっても、異なっていてもよい。また、n個のR
1、n個のR
2、n個のR
3は、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
【0021】
また、毛髪に付着した皮脂等の汚れを効果的に吸着させる観点、及び毛髪表面に存在する油分を包埋しつつ、べたつき感のない柔軟な被膜を良好に形成させる観点から、一般式(1)における平均重合度nは、50〜5000であり、100〜2000が好ましく、300〜1500がより好ましい。
なお、本発明において平均重合度とは、銅−アンモニア法により測定される粘度平均重合度をいい、具体的には実施例に記載の方法により算出される。
【0022】
一般式(1)におけるR
1、R
2、R
3である一般式(2)又は(3)で表される置換基は、上記一般式(2)又は(3)で表されるとおり、カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を有する。
【0023】
一般式(2)又は(3)において、Y
1及びY
2は、一方が水素原子であり、他方が下記一般式(4)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。
pは一般式(2)又は(3)中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y
1)−CH(Y
2)−O−)の数を示し、0又は正の数である。製造又は入手の容易さの観点から、pは0又は1であることが好ましい。
qは一般式(2)又は(3)中に含まれるプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、0又は正の数である。製造の容易さの観点から、qは0〜4の数であることが好ましく、01〜2の数であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。
C−HPC分子内に複数の一般式(2)又は(3)で表される置換基が存在する場合、該置換基間においてp、qの値はそれぞれ異なっていてもよい。
【0024】
pとqの合計は、製造又は入手の容易さの観点から、1〜5の数であることが好ましく、1〜4の数であることがより好ましく、1〜3の数であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましい。
p及びqのどちらもが0でない場合、前記カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加順序は問わないが、製造効率の観点から、一般式(3)に記載した順序であることが好ましい。
また、p及びqのどちらもが0でなく、かつp及び/又はqが2以上である場合は、ブロック結合又はランダム結合のいずれであってもよいが、製造又は入手の容易さの観点から、ブロック結合であることが好ましい。
n個のR
1、n個のR
2、n個のR
3において、少なくとも1つは、一般式(2)又は(3)のpが1以上であり、また、少なくとも1つは、一般式(2)又は(3)のqが1以上である。
【0025】
一般式(2)又は(3)におけるY
1、Y
2である一般式(4)で表されるカチオン性基は、上記一般式(4)で表される構造を有する。
【0026】
一般式(4)において、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。これらの中では、C−HPCに良好な水溶性をも付与する観点から、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(4)において、X
-は、アンモニウム基の対イオンであるアニオン性基を示す。X
-はアニオン性基であれば限定されない。その具体例としては、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、アルキル炭酸イオン、ハロゲン化物イオン等が挙げられる。これらの中では、製造又は入手の容易さの観点から、ハロゲン化物イオンが好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられるが、C−HPCに良好な水溶性をも付与する観点、及び化学的安定性を確保する観点から、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
【0027】
一般式(1)で表されるC−HPCにおいて、毛髪に付着した皮脂等の汚れを効果的に吸着させる観点、及び毛髪表面に存在する油分を包埋しつつ、べたつき感のない柔軟な被膜を良好に形成させる観点から、カチオン化エチレンオキシ基の置換度は、0.05〜1であり、0.1〜0.3が好ましい。
本発明において、カチオン化エチレンオキシ基の置換度とは、セルロース主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1モルあたりのC−HPCの分子中に存在するカチオン化エチレンオキシ基の平均モル数をいう。カチオン化エチレンオキシ基の置換度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0028】
また、毛髪に付着した皮脂等の汚れを効果的に吸着させる観点、及び毛髪表面に存在する油分を包埋しつつ、べたつき感のない柔軟な被膜を良好に形成させる観点から、プロピレンオキシ基の置換度は、0.1〜4であり、1〜2.5が好ましい。
本発明において、プロピレンオキシ基の置換度とは、セルロース主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1モルあたりのC−HPC分子中に存在するプロピレンオキシ基の平均モル数をいう。プロピレンオキシ基の置換度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0029】
成分(A)のC−HPCは、例えば、以下の(X)〜(Z)の製造方法により得ることができる。
(X)セルロースと大量の水及び大過剰のアルカリ金属水酸化物をスラリー状態で混合し、カチオン化剤及び酸化プロピレンと反応させる方法。
(Y)塩化リチウムを含むジメシルアセトアミドを溶媒として用い、さらにアミン類やアルコラート触媒を添加してセルロースを溶解させ、カチオン化剤及び酸化プロピレンと反応させる方法。
(Z)上記(X)や(Y)のように、過剰の水や溶媒を用いず、粉末、ペレット状又はチップ状のセルロースと、カチオン化剤及び酸化プロピレンを塩基共存下に反応させる方法。
上記(X)〜(Z)の製造方法において、カチオン化剤との反応、及び酸化プロピレンとの反応はどちらを先に行っても良く、同時に行っても良い。
これらの製造方法の中では、製造の容易さの観点から、上記(Z)の製造方法が好ましい。さらに具体的には、特開2012−246288号公報に記載の方法によりC−HPCを製造することができる。
また、反応終了後は、必要に応じてメタノール、エタノール、アセトン等による再沈殿、塩のイオン交換や透析膜を利用した透析等による精製を行うことができる。
【0030】
成分(A)のC−HPCの含有量は、皮脂等の汚れを効果的に吸着して高い汚れ除去効果を保持する観点、及びべたつき感のない柔軟な被膜を形成させる観点から、本発明のドライシャンプー組成物中に、0.3質量%以上であって、好ましくは0.4質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、5質量%以下であって、好ましくは4.5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下である。また、成分(A)のC−HPCの含有量は、本発明のドライシャンプー組成物中に、0.3〜5質量%であって、好ましくは0.4〜4.5質量%であり、より好ましくは0.5〜4質量%である。
【0031】
本発明のドライシャンプー組成物は、成分(B)として、炭素数2以上4以下のアルコールを25質量%以上68質量%以下含有する。これにより、毛髪に塗布して拭き取った後、良好に乾燥させることが可能になるとともに、上記成分(A)とも相まって、べた付き感や毛束感のないさらさらとした毛髪にすることができる。
【0032】
成分(B)のアルコールの炭素数は、2以上4以下であって、好ましくは2以上3以下であり、より好ましくは2である。
成分(B)のアルコールの含有量は、毛髪に塗布して拭き取った後に素早く良好に乾燥させる観点、及び使用後の毛髪に優れた使用感を付与する観点から、本発明のドライシャンプー組成物中に、25質量%以上であって、好ましくは26質量%以上であり、より好ましくは27質量%以上であり、68質量%以下であって、好ましくは67質量%以下であり、より好ましくは65質量%以下である。また、成分(B)のアルコールの含有量は、本発明のドライシャンプー組成物中に、25〜68質量%であって、好ましくは26〜67質量%であり、より好ましくは27〜65質量%である。
【0033】
成分(B)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((B)/(A))は、皮脂等の汚れ除去効果を充分に発揮しつつ、使用後において素早い乾燥を実現する観点、及び使用後の毛髪に優れた使用感を付与する観点から、好ましくは6以上であり、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは28以上であり、好ましくは120以下であり、より好ましくは115以下であり、さらに好ましくは110以下である。
【0034】
本発明のドライシャンプー組成物は、油性成分(C)の含有量が1質量%以下である。このように、成分(C)の油性成分の含有を制限することにより、成分(A)による毛髪に付着した皮脂等の汚れ吸着効果を充分に発揮させて、皮脂等の汚れ除去効果を高めることができるとともに、使用後の毛髪表面における過度なべたつき感や油性感を抑制することが可能となり、快適な使用感を確保することができる。
【0035】
かかる成分(C)の油性成分としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;高重合ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン及びアルキル変性シリコーン等のシリコーン油;エステル油;流動パラフィン、スクワラン、スクワレン等の炭化水素油;グリセリド類;ヒマワリ油、ヒマシ油等の植物油、及びそれらの水素添加物や混合物;動物油;ラノリン誘導体;パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、及びパルミチン酸イソプロピル等の高級脂肪酸エステル類;(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル等の多価アルコール縮合物の有機酸エステル等が挙げられる。
【0036】
成分(C)の油性成分の含有量は、優れた皮脂等の汚れ除去効果を確保する観点、及び快適な使用感をもたらす観点から、本発明のドライシャンプー組成物中に、1質量%以下であって、好ましくは0.8質量%以下であり、より好ましくは0.6質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、本発明のドライシャンプー組成物は、成分(C)の油性成分を含有しないのが好ましい。
【0037】
また、本発明のドライシャンプー組成物は、成分(A)による効果を充分に発揮させて、皮脂等の汚れ除去効果を高める観点、及びべたつき感や油性感を抑制して良好な使用感を確保する観点から、成分(A)以外の皮脂形成性ポリマーの含有を制限するのが好ましい。
かかる皮脂形成性ポリマーとしては、アニオン性、両性、カチオン性、又は非イオン性の皮脂形成性ポリマーが挙げられる。
アニオン性の皮膜形成性ポリマーとしては、具体的には、例えば、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸エチルコポリマー、アクリル酸/エチルアクリレート/N-t-ブチルアクリルアミドコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリル酸コポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニルコポリマー、水分散性ポリエステル、アクリレート/メタクリレート/アクリル酸/メタクリル酸コポリマー、アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミドコポリマーAMP、ビニルアルコール/イタコン酸コポリマー、ポリアクリル酸、カラギーナン、キサンタンガム等が挙げられる。
【0038】
両性の皮膜形成性ポリマーとしては、具体的には、例えば、ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド/アクリル酸コポリマー、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、(メタ)アクリルエチルベタイン/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミドコポリマーなどが挙げられる。
【0039】
カチオン性の皮膜形成性ポリマーとしては、具体的には、例えば、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、アクリルアミド/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー、t-ブチルアクリルアミド/エチルアクリレート/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体、t-ブチルアクリルアミド/ジメチルアクリルアミド/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/メトキシポリエチレングリコールメタクリレートコポリマー、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドンコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーのジエチル硫酸塩、ビニルアルコール/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース/2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、グアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、アミノアルキルジメチルポリシロキサン/ポリエチレンオキサゾリンコポリマー等が挙げられる。
【0040】
非イオン性皮膜形成性ポリマーとしては、具体的には、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/ビニルアミンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、アクリレート/ビニルピロリドンコポリマー、高重合度ポリエチレングリコール、グアーガム、ヒドロキシプロピルキトサン、キトサン-dl-ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
【0041】
成分(A)以外の皮脂形成性ポリマーの含有量は、成分(A)による効果を充分に発揮させて、皮脂等の汚れ除去効果を高める観点、及びべたつき感や油性感を抑制して良好な使用感を確保する観点から、本発明のドライシャンプー組成物中に、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、本発明のドライシャンプー組成物は、成分(A)以外の皮脂形成性ポリマーを含有しないのが好ましい。
【0042】
本発明のドライシャンプー組成物は、各種界面活性剤を含有することができるが、なかでもアニオン界面活性剤(D)は、発泡性を付与する成分又は洗浄効果を発揮する成分等として、適用後に洗い流すタイプの、通常のシャンプー組成物に広く用いられてはいるが、本発明のドライシャンプー組成物では、適用後に洗い流すことなく拭き取りを行うのみで優れた皮脂等の汚れ除去効果を発揮することができるため、発泡性を付与する必要性がなく、また使用後における使用感の低下を招くおそれがあることから、かかる成分(D)のアニオン界面活性剤の含有を制限するのが好ましい。
【0043】
成分(D)のアニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;としは、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート等のスルホン酸塩;としては、高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩等のカルボン酸塩;アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、アミノ酸塩としては、アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等のリン酸エステル塩が挙げられる。
【0044】
かかる成分(D)のアニオン界面活性剤の含有量は、不要な発泡がもたらされることによって、適用後に拭き取りを行うのみで発揮される優れた皮脂等の汚れ除去効果が阻害されるのを回避する観点、及び使用後において快適な使用感を確保する観点から、本発明のドライシャンプー組成物中に、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、本発明のドライシャンプー組成物は、成分(D)のアニオン界面活性剤を含有しないのが好ましい。
【0045】
成分(D)のアニオン界面活性剤以外の用い得る界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリアルキレングリコールと、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型及び脂肪酸アルカノールアミド等のノニオン界面活性剤;
ベタイン系界面活性剤及びアミンオキサイド型界面活性剤等の両性界面活性剤;
アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数12〜28の炭化水素基を有する第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、又は3級アミンの鉱酸又は有機酸の塩が挙げられる。具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化オクダデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム等の塩化モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウムや、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジイソテトラデシルジメチルアンモニウム等の塩化ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウムや、ステアリルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、オクタデシロキシプロピルジメチルアミンの塩酸、クエン酸又は乳酸塩等のモノ長鎖アルキルジメチルアミン塩等のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0046】
ノニオン界面活性剤の含有量は、本発明のドライシャンプー組成物中に、好ましくは0.01〜2.5質量%であり、より好ましくは0.2〜1.5質量%であり、両性界面活性剤の含有量は、本発明のドライシャンプー組成物中に、好ましくは0.01〜1質量%であり、より好ましくは0.05〜0.5質量%であり、カチオン界面活性剤の含有量は、本発明のドライシャンプー組成物中に、好ましくは0.01〜1質量%であり、より好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0047】
本発明のドライシャンプー組成物には、上記成分のほか、本発明の効果を阻害しない範囲内で、水等の溶媒のほか、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール;保湿剤;ビタミン等の薬剤;紫外線吸収剤;パール剤;防腐剤;殺菌剤;抗フケ剤;pH調整剤;色素;香料等を適宜含有させてもよい。
【0048】
本発明のドライシャンプー組成物の30℃における粘度は、毛髪における所望の領域において隅々まで塗布する観点、毛髪に良好に付着させて皮脂等の汚れ除去効果を充分に発揮させる観点、及び成分(A)による被膜の形成を阻害させない観点から、好ましくは1〜10000mPa・sであり、より好ましくは5〜5000mPa・sである。
なお、ドライシャンプー組成物の粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0049】
本発明のドライシャンプー組成物は、スプレー、ミスト、ローション等の形態とすることができる。
使用の際には、本発明のドライシャンプー組成物を充填した容器から手に吐出させ、或いは容器から噴射させて、毛髪に塗布し、必要に応じてマッサージ等することにより、塗布したドライシャンプー組成物を延展及び馴染ませ、毛髪全域にわたって充分に行き渡らせる。次いで、水等により洗い流すことなく、タオル等を用いて塗布したドライシャンプー組成物を拭き取り、乾燥させればよい。
【実施例】
【0050】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
なお、各種物性の測定法は、以下のとおりである。
【0051】
《C−HPCの置換度の算出》
C−HPCを透析膜(分画分子量1000)により精製後、水溶液を凍結乾燥して精製C−HPCを得た。得られた精製C−HPC単位量中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y
1)−CH(Y
2)O−)の量(a(mol/g))を、対イオンである塩素含有量(%)を元素分析によって測定し、C−HPC中に含まれるカチオン性基の数と対イオンである塩素イオンの数を同数であると近似して、下記計算式(i)から求めた。
a(mol/g)=
元素分析から求められる塩素含有量(%)/(35.5×100)・・・(i)
次に、プロピレンオキシ基の量(b(mol/g))を、分析対象がヒドロキシプロピルセルロースではなく精製C−HPCであることを除き、日本薬局方記載の「ヒドロキシプロピルセルロースの分析法」に従って測定したヒドロキシプロポキシ基含有量〔分子量(OC3H6OH=75.09〕の値を元に、下記計算式(ii)から求めた。
b(mol/g)=ガスクロ分析から求められるヒドロキシプロポキシ基含有量(%)/ (75.09×100)・・・(ii)
得られたa,bと下記計算式(iii)、(iv)から、カチオン化エチレンオキシ基の置換度(k)及びプロピレンオキシ基の置換度(m)を算出した。
a=k/(162+k×K+m×58)・・・(iii)
b=m/(162+k×K+m×58)・・・(iv)
〔式中、k、Kはそれぞれ、カチオン化エチレンオキシ基の置換度、分子量を示し、mはプロピレンオキシ基の置換度を示す。〕
【0052】
《平均重合度の測定(銅アンモニア法)》
(a)測定用溶液の調製
メスフラスコ(100mL)に塩化第一銅0.5g、25%アンモニア水20〜30mLを加え、完全に溶解した後に、水酸化第二銅1.0g、及び25%アンモニア水を加えて標線の一寸手前までの量とした。これを30〜40分撹拌して、完全に溶解した。その後、精製C−HPCを加え、標線まで上記アンモニア水を満たした。空気の入らないように密封し、12時間、マグネチックスターラーで撹拌して溶解し、測定用溶液を調製した。添加する精製C−HPC量を20〜500mgの範囲で変えて、異なる濃度の測定用溶液を調製した。
【0053】
(b)粘度平均重合度の測定
上記(a)で得られた測定用溶液(銅アンモニア溶液)をウベローデ粘度計に入れ、恒温槽(20±0.1℃)中で1時間静置した後、液の流下速度を測定した。種々の精製C−HPC濃度(g/dL)の銅アンモニア溶液の流下時間(t(秒))と精製C−HPC無添加の銅アンモニア水溶液の流下時間(t0(秒))から、下記式により相対粘度ηrを求めた。
ηr=t/t0
次に、それぞれの濃度における還元粘度(ηsp/c)を下記式により求めた。
ηsp/c=(ηr−1)/c (c:セルロース換算濃度(g/dL)
更に、還元粘度をc=0に外挿して固有粘度[η](dL/g)を求め、下記式により粘度平均重合度(DP)を求めた。
DP=2000×[η]
【0054】
ここで、セルロース換算濃度(ccell)とは、測定溶液1dL中に含まれるセルロース骨格部分の質量(g)をいい、下記計算式(v)で定義する。
ccell=u×162/(162+k×K+m×58)・・・(v)
〔式中、uは測定溶液の調製時に用いた精秤したC−HPCの質量(g)を示し、k、K、mは、それぞれ上記計算式(iii)及び(iv)と同じ意味を表す。〕
【0055】
《ドライシャンプー組成物の粘度測定》
デジタル型粘度計TVB-10(東機産業製)を用いて測定した。測定条件は、ロータM2,30℃、6rpmで行った。評価サンプルは、30℃の水浴に1時間静置した後、サンプルの温度が一定した時点で測定した。
【0056】
[実施例1]
表1に示す処方にしたがい、ドライシャンプーを調製した。具体的には、成分(A)のC−HPC(1)と成分(C)の水とを混合し、50℃に加熱して撹拌し、成分(A)を成分(C)に溶解させた。その後、室温まで冷却した後、成分(B)のエタノールを撹拌しながら滴下して均一にし、ドライシャンプーを得た。
【0057】
[実施例2]
C−HPC(1)の代わりにC−HPC(2)を用いた以外、実施例1と同様にしてドライシャンプーを得た。
【0058】
[比較例1〜3]
比較例1ではC−HPC(1)の代わりにデンプンを用い、比較例2ではC−HPC(1)の代わりにゼラチンを用い、比較例3ではC−HPC(1)の代わりにカチオン化ヒドロキシエチルセルロースを用いた以外、いずれも実施例1と同様にしてドライシャンプーを得た。
【0059】
[比較例4]
成分(B)のエタノールを表1に示す量とした以外、実施例1と同様にしてドライシャンプーを得た。
【0060】
[試験例1]
得られたドライシャンプーを用い、以下の方法にしたがって各評価を行った。
結果を表1に示す。
【0061】
《外観の評価》
調製直後のドライシャンプーの外観について、目視で観察し、均一なものを○、不均一なものを×として評価した。
【0062】
《被膜形成性、及び被膜表面の感触の評価》
得られたドライシャンプー20gに対し、モデル皮脂としてオレイン酸(和光純薬製)0.08gを加え、撹拌して均一にした。次いで、直径7.6cmのPFA(ポリフルオロアルキルアクリレート)シャーレ(75型、品番7−255−02、アズワン製)に流し込み、40℃で2晩減圧乾燥させた。
その後、シャーレ上に形成された被膜を目視により観察し、被膜が形成されたものを○、そうでないものを×として、皮膜形成性を評価した。
さらに、形成された被膜の表面を指で触り、油じみが無いものを○、油にじみがあるものを×として、被膜表面の感触を評価した。
【0063】
【表1】
【0064】
表1の結果によれば、比較例1では、デンプンが成分(C)の水にも成分(C)と成分(B)の混合溶媒にも全く溶解せず、粉末が分離して沈降し、被膜が形成されることなく粉末が得られたのみであった。比較例2は被膜が収縮し、過度に厚みがあった。比較例4では、成分(A)が成分(C)の水には溶解したものの、成分(B)のエタノールを加えるとゲル化して分離した。
そして、比較例1〜3で形成された被膜は、指で触ると油性感があり、手に油が付着した。
これに対し、実施例1〜2では、成分(A)が均一に溶解しており、指で触っても油性感のない被膜が形成されていた。
【0065】
[実施例3〜4、比較例5]
表2に示す処方にしたがい、実施例1と同様にしてドライシャンプーを調製した。
【0066】
[試験例2]
得られたドライシャンプーを用い、実施例1〜2及び比較例2〜3で得られたドライシャンプーも含め、以下の方法にしたがって各評価を行った。
結果を表2に示す。
【0067】
《洗髪前トレス、及び洗髪後トレスの作製》
精製水を80℃に加温した後、下記各成分を混合し、撹拌して均一に溶解したことを確認した後、冷却して、プレーンシャンプーを得た。
(プレーンシャンプーの組成) (成分) (質量%)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na 11.3
(エマールE-27C(花王株式会社製、有効分27重量%)として42.0%)
ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド 3.0
(アミノーン C−11S(花王株式会社製))
クエン酸 0.2
メチルパラベン 0.3
精製水 バランス
合計 100.0
【0068】
まず、7gの毛束を複数用意し、各毛束を上記プレーンシャンプーで1回洗浄してタオルドライした後、ドライヤー(Panasonic製 TURBODRY1200)の温風(設定はTURBO)で乾燥し、仕上げに櫛で毛束を整えた。
次に、この毛束に30%オレイン酸エタノール溶液2.0gを均一に塗布し、櫛と手で毛束全体になじませた。次に、ドライヤーの冷風(設定はCOLD)を2分間あて、エタノールを揮発させた。このように処理した毛束を、長期間洗髪をしていない人のモデルトレス(洗髪前トレス)とした。
また、洗髪前トレスを上記プレーンシャンプー3gで2回洗浄してタオルドライした後、ドライヤーの温風で乾燥し、仕上げに櫛で毛束を整えた。これを洗髪後の人のモデルトレス(洗髪後トレス)とした。
【0069】
《乾燥後の髪の乾き具合の評価》
洗髪前トレスに対し、各ドライシャンプーを1.8g塗布し、櫛で均一になじませた後、タオルプロワイプ(大王製紙(株)製、エリエール(登録商標) プロワイプ ソフトタオル ホワイト)でふき取った。このトレスを、ドライヤーの吹き出し口から、毛束の長さ方向の中心までの距離が約15cmとなるように配置し、温風が真横から当たるように、ドライヤーを固定した。毛束に指を通しながら90秒間ドライヤーで乾燥させた。
乾燥後の髪の乾き具合について、完全に乾燥していると感じたものを○、乾燥が不十分であると感じたものを×として評価した。
【0070】
《毛束感のなさの評価》
上記乾燥後の髪の乾き具合の評価と同様の処理を行った後、3人の専門パネラーによる各毛束の毛束感のなさについて目視観察を行い、「洗髪前トレス」と「洗髪後トレス」を基準として、以下の4段階で評価を行った。そして、3人の評価の平均値を評価結果とした。
4:洗髪後トレスに近い
3:やや洗髪後トレスに近い
2:やや洗髪前トレスに近い
1:洗髪前トレスに近い
【0071】
《さらさら感の評価》
上記乾燥後の髪の乾き具合の評価と同様の処理を行った後、3人の専門パネラーにより各毛束のさらさら感について、「洗髪前トレス」と「洗髪後トレス」を基準として、以下の4段階で評価を行った。そして、3人の評価の平均値を評価結果とした。
4:洗髪後トレスに近い
3:やや洗髪後トレスに近い
2:やや洗髪前トレスに近い
1:洗髪前トレスに近い
【0072】
《柔らかさの評価》
上記乾燥後の髪の乾き具合の評価と同様の処理を行った後、3人の専門パネラーにより各毛束の柔らかさについて、以下の4段階で評価を行った。そして、3人の評価の平均値を評価結果とした。
4:柔らかい
3:やや柔らかい
2:やや硬い
1:硬い
【0073】
【表2】
【0074】
表2の結果によれば、実施例1〜4及び比較例2では、トレスが完全に乾燥していたのに対し、比較例3及び5では、乾燥が不十分であり、依然として湿り気があった。
また、実施例1〜4では、洗髪後トレスと同等の毛束感のなさ、さらさら感を有し、柔らかい感触であったのに対し、比較例2〜3及び比較例5では、洗髪前トレスと同様の毛束感、油っぽさを有し、硬い感触であった。
【0075】
[実施例5〜7]
以下の処方にしたがって、各ドライシャンプーを調製した。得られたドライシャンプーを用い、試験例2と同様の方法で7gの毛束で評価を行った。
毛束への適用時におけるドライシャンプーの使用感、及び乾燥時から乾燥後における毛髪の状態や仕上がり感等について、官能評価を行った。
【0076】
[実施例5]
(ドライシャンプーの組成) (成分) (質量%)
C-HPC(1) 2
エタノール 30
L−メントール 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ひまし油 0.75
グリセリン 0.5
セチルトリメチルアンモニウムクロライド 0.25
パラオキシ安息香酸メチル 0.15
精製水 バランス
合計 100.0
粘度 1889mPa・s(30℃、6rpm)、(B)/(A)=15
実施例5のドライシャンプーは、手に取った時に液だれ感がなく、毛髪に塗布しやすかった。またタオルでふき取った後、素早く毛髪が乾燥した。乾燥後の毛髪は、使用前のような毛束感もなく、さらさらした感じで油性感がなく、柔らかい仕上がりであった。
【0077】
[実施例6]
(ドライシャンプーの組成) (成分) (質量%)
C-HPC(1) 1
エタノール 45
L−メントール 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ひまし油 0.75
グリセリン 0.5
セチルトリメチルアンモニウムクロライド 0.25
パラオキシ安息香酸メチル 0.15
精製水 バランス
合計 100.0
粘度 160mPa・s(30℃、6rpm)、(B)/(A)=45
実施例6のドライシャンプーは、毛髪に馴染ませ易く、毛髪に浸透しやすかった。またタオルでふき取った後、素早く毛髪が乾燥した。乾燥後の毛髪は、使用前のような毛束感がなく、さらさらした感じで油性感がなく、柔らかい仕上がりであった。
【0078】
[実施例7]
(ドライシャンプーの組成) (成分) (質量%)
C-HPC(1) 1
エタノール 45
L−メントール 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ひまし油 0.5
ラウレス硫酸Na 0.2
グリセリン 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.15
精製水 バランス
合計 100.0
(B)/(A)=45
実施例7のドライシャンプーは、毛髪に馴染ませ易く、毛髪に浸透しやすかった。またタオルでふき取った後、素早く毛髪が乾燥した。乾燥後の毛髪は、使用前のような毛束感がなく、さらさらした感じで油性感がなく、やや滑らかで柔らかい仕上がりであった。