特許第6836412号(P6836412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836412
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20210222BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   G08B17/10 H
   G08B17/00 G
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-21792(P2017-21792)
(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公開番号】特開2018-128878(P2018-128878A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達彦
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−073019(JP,A)
【文献】 特開2012−068152(JP,A)
【文献】 特開2004−139785(JP,A)
【文献】 特開2016−128944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00−17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
確認灯を備えた火災感知器であって、
前記確認灯は、発報時に点灯する発光素子と、筐体の外周面部に設置されて前記発光素子の光を導入して光る光ガイドとを有し、
該光ガイドは、前記発光素子の光を導入する光導入部と、該光導入部と交差部で交差して前記筐体の周方向に延びると共に前記光導入部から導入された光を放出する光放出部とを有し、
該光放出部は前記光導入部から導入された光を前記交差部において前記光放出部の厚み方向前面側から背面側に誘導する誘導面部と、該誘導面部によって誘導された光を反射する反射面部と、該反射面部によって反射された光を外方に放出する放出面部とを備え
前記光ガイドは前記筐体の外周面部の円周上に少なくとも2箇所以上設けられ、前記光ガイドの前記光放出部は同一円周上に配置されていることを特徴とする火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災時に火災による煙や熱を感知すると点灯する確認灯を筐体の外周面部に備えた火災感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
火災感知器には、発報時に点灯する確認灯が筐体の外周面部に設けられている。従来、特許文献1に開示されたような砲弾型の確認灯を1個設け、火災感知器の下方から見上げたときに点灯を確認できるようにするのが一般的であった。
しかしながら、火災感知器の中央には煙導入部やサーミスタ等からなる熱感知部が下方に突出して設けられるため、確認灯が火災感知器の外周面の一カ所に設けられていたのでは、下方から見上げたときにも煙導入部や熱感知部によって確認灯が隠れ、視認性が悪いという問題を有していた。
【0003】
このような問題を解決するものとして、特許文献2に開示されたように、発光素子の光を光ガイドでガイドして火災感知器の筐体の3箇所から視認できるようにしたものや、特許文献3に開示されたもののように、リング状の光ガイドを用いたものがある。
特許文献2、3に開示の確認灯は、火災感知器の下方から見ることを前提として、ただ、下方から見たときに煙導入部や熱感知部があっても点灯を確認できるようにすることを主な目的としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭55−61798号公報
【特許文献2】特開平9−128666号公報
【特許文献3】特許第4625046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確認灯が点灯するのは火災感知器が発報したときであるが、この火災感知器が発報する場合としては、実際に火災が発生したとき、火災感知器の点検時、さらには火災ではない原因、例えば湯気等によって火災感知器が発報するいわゆる非火災報の場合である。
【0006】
このような火災感知器の発報状況のうち、実際の火災の場合には避難が優先のためどの火災感知器が発報しているかを確認する必要性は少なく、即ち現場確認に行った結果火事であれば、確認灯による確認をせずに避難する。また点検時においては点検対象となっている火災感知器が判っているので、この場合もどの感知器の確認灯が点灯したかを探す必要性は少なく、この場合には確認灯は下方から見たときに見えればよいとも言える(図11(C)参照)。
【0007】
これに対して、非火災報の場合には少し違った事情があるので、この点を以下説明する。
火災感知器が発報すると、火災受信機が設置されている管理室に通知されるので、管理人が発報した火災感知器のある部屋に確認に行く。このとき、非火災報の場合、火炎や煙は生じていないため、部屋に到着した管理人は火災ではないとすぐに判るが、どの火災感知器が発報したのかについては、確認灯の点灯によって確認する必要がある。
【0008】
ところが、特許文献2、3に開示のものでは、基本的に火災感知器の下方からの確認に主眼を置いているため、図11(A)(B)において「非火災報発生時など」と記載して示したように部屋の入口近くや火災感知器の真下から離れた位置から天井を見上げたような場合には必ずしも視認性に優れるとは言えない。
特許文献3のものはリング状の光ガイドを用いているため全周方向から視認ができるが、あくまでも火災感知器の真下から見ることが前提であり、光ガイドの光放出面も下方を向いている。発光素子の数を増やすか、発光素子の発光強度を高めれば、確認灯を真下近くでなくても容易に視認できるが、火災感知器の消費電流には限りがあるためそれはできない。その結果、光ガイドは、火災感知器から例えば10m程度離れた斜め下方からでも一見して確認灯の点灯が判るとまでは言えない。
【0009】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、火災感知器の真下近くにいなくても点灯していることが容易に判るような確認灯を有する火災感知器を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る火災感知器は、確認灯を備えたものであって、前記確認灯は、発報時に点灯する発光素子と、筐体の外周面部に設置されて前記発光素子の光を導入して光る光ガイドとを有し、該光ガイドは、前記発光素子の光を導入する光導入部と、該光導入部と交差部で交差して前記筐体の周方向に延びると共に前記光導入部から導入された光を放出する光放出部とを有し、該光放出部は前記光導入部から導入された光を前記交差部において前記光放出部の厚み方向前面側から背面側に誘導する誘導面部と、該誘導面部によって誘導された光を入射方向に対して鋭角となる方向に反射する反射面部と、該反射面部によって反射された光を外方に放出する放出面部とを備えてなることを特徴とするものである。
【0011】
(2)また、前記光放出部は、前記光導入部との交差部から前記筐体の周方向の両側に延出していることを特徴とするものである。
【0012】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記誘導面部は前記光放出部の前面側から背面側に凹陥するように設けられた第1傾斜面部からなり、前記反射面部は背面側から前面側に凹陥するように設けられた第2傾斜面部からなることを特徴とするものである。
【0013】
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記光ガイドは前記筐体の外周面部の円周上に少なくとも2箇所以上設けられ、前記光ガイドの前記光放出部は同一円周上に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る火災感知器は、確認灯として、発報時に点灯する発光素子と、前記筐体の外周面部に設置されて前記発光素子の光を導入して光る光ガイドとを有し、該光ガイドは、前記発光素子の光を導入する光導入部と、該光導入部と交差して前記筐体の周方向に延びると共に前記光導入部から導入された光を放出する光放出部とを有し、該光放出部は前記光導入部から導入された光を前記光導入部との交差部において前記光放出部の厚み方向前面側から背面側に誘導する誘導面部と、該誘導面部によって誘導された光を入射方向に対して鋭角となる方向に反射する反射面部と、該反射面部によって反射された光を外方に放出する放出面部とを備えてなることにより、火災感知器の真下近くにいなくても確認灯が点灯していることを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る火災感知器の斜視図である。
図2図1に示した火災感知器における光ガイドを取り外した状態の斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る光ガイドの説明図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は背面図、図3(c)は斜視図である。
図4図2に示した火災感知器の筐体内部側の斜視図である。
図5図1に示した火災感知器の断面図であり、内部に設けられる機器類は図示を省略している。
図6】本発明の実施の形態に係る火災感知器の作用を説明する説明図である。
図7】光ガイドによる光の放出方向を説明する説明図である(その1)。
図8】光ガイドによる光の放出方向を説明する説明図である(その2)。
図9】本発明の実施の形態に係る火災感知器の効果を説明する説明図である。
図10】本発明の実施の形態に係る火災感知器のより好ましい形態を説明する説明図である。
図11】発明が解決しようとする課題を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施の形態を図面に基づいて説明するが、以下の説明において、方向を表す「上」「下」は火災感知器を天井面に取り付けた状態における方向であり、「上」とは天井面側であり、「下」とは床側である。
本実施の形態の火災感知器1は、例えば煙感知器であり、図1図2に示すように、筐体3の下面の中央には煙導入部5が設けられ、煙導入部5を挟んで対称となる位置に配置される確認灯7が2個設けられている。確認灯7は、火災感知器1の発報時に点灯するものである。
確認灯7は、筐体3の外周面部に形成された光ガイド取付部9に装着された光ガイド11によって構成されている。
以下、光ガイド11と光ガイド取付部9について詳細に説明する。
【0017】
<光ガイド>
発光素子(図示なし)の光をガイドして外部に放出するものであって、透明の樹脂によって形成されている。本発明の光ガイド11は、発光素子の光を意図した方向、すなわち確認灯7を天井面に設置された火災感知器1の真下から離れた斜め下方から見たときにも視認性が向上する方向に積極的に放出するように構成されている。
以下、光ガイド11の形状及び機能を具体的に説明する。
【0018】
まず、光ガイド11の形状について、図3に基づいて説明する。なお、図3(a)は光ガイド11を前面側(筐体3に装着した状態での外面側)から見た状態を示しており、図3(b)は光ガイド11を背面側(筐体3に装着した状態で内面側)から見た状態を示しており、図3(c)は光ガイド11を前面側の斜めから見た状態を示している。
【0019】
光ガイド11は、図3に示すように、基端側(設置状態における上方)に設けられた発光素子の光を導入する光導入部13と、光導入部13と交差して筐体3の周方向に延びると共に光導入部13から導入された光を放出する光放出部15とを有している。本実施の形態の光ガイド11の光放出部15は、光導入部13との交差部から両側に延出しており、全体形状が略T字状をしている。
【0020】
光導入部13と光放出部15との交差部には、光ガイド11を筐体3に装着する際に筐体3に設けた光ガイド取付部9の嵌合孔部31(図2参照)に嵌合する前面視で略三角形の嵌合凸部17が形成されている。
また、光導入部13の上端部には、光ガイド11を筐体3に装着する際に筐体3に係止して光ガイド11を保持する係止部19が設けられている。
【0021】
光導入部13の上端面には凹部20が設けられて、光導入部13の上端面側に設けられる発光素子の光が導入されやすくなっている。
光放出部15は、光導入部13から導入された光を光導入部13との交差部において光放出部15の厚み方向前面側から背面側に誘導する誘導面部としての第1傾斜面部21と、誘導面部によって誘導された光を入射方向に対して鋭角となる方向に反射する反射面部としての第2傾斜面部23と、第2傾斜面部23によって反射された光を外方に放出する放出面部25とを備えている。
【0022】
本実施の形態の光放出部15は光導入部13との交差部から両側に延出しているため、第1傾斜面部21は、導入された光を双方に誘導する必要から2面設けられている。これら、2面の第1傾斜面部21は、図3(a)に示すように、光放出部15には厚み方向の前面側から背面側に凹陥するようにV字状の切欠きを設けることで形成されている。
【0023】
第2傾斜面部23は、光放出部15の両端側に厚み方向背面側から前面側に凹陥するように設けられている。なお、本実施の形態の光放出部15の各第2傾斜面部23は3面ずつ設けられており、これら3面の第2傾斜面部23は光放出部15における中央から端部に向かって面積が大きくなるように設定されている。換言すれば、第2傾斜面部23を形成するための切り込みの深さが中央側から端部側に離れるに従って深くなっている。なお、光放出部15に設けられる各第2傾斜面部23は片側に3面でなくても良く、少なくとも1面以上あれば良い。
放出面部25は、図3(a)(c)に示すように、光放出部15の前面側から背面側に向かって下方に傾斜するように設けられている。
【0024】
<光ガイド取付部>
光ガイド取付部9は、図2図4に示すように、筐体3の外周面部において、煙導入部5を挟んで対称位置に2箇所設けられている。光ガイド取付部9は筐体3の周方向に延びる横長の溝形状部27と、溝形状部27の中央に筐体3の内部方向に延びる筒形状部29と、筒形状部29と溝形状部27の交差部において光ガイド11の嵌合凸部17が嵌合する嵌合孔部31とを備えている。筒形状部29は、筐体3の径方向外側に1つの溝部29aがあり、筐体3の円周方向に1対の溝部29bがある。溝部29aは筒形状部29の高さの半分程度の深さの溝であり、溝部29bは筒形状部29の高さと同じ深さの溝である。
【0025】
溝形状部27の溝壁の上部は、図1図2図5に示すように、角が面取りされて下方に向かって傾斜する傾斜面部33となっており、これによって溝形状部27の開口面積が広くなっている。このように、傾斜面部33を設けて開口面積を広くすることで、装着されている光ガイド11を光放出部15の幅方向上面側における斜め下方から見やすくしている。
【0026】
光ガイド取付部9に光ガイド11を取り付けるには、図5に示すように、光ガイド11の光導入部13を光ガイド取付部9の筒形状部29に挿入すると共に、光放出部15を溝形状部27に収容する。このとき、光ガイド11の嵌合凸部17が嵌合孔部31に嵌合すると共に係止部19が筒形状部29の溝部29aに係合する。また、筒形状部29の径と光導入部13の円柱部の径はほぼ同等に形成されるが、さらに係止部19の厚みも加えると、光導入部13の径は光導入部13の径は筒形状部29の内径より大きくなる。筒形状部29に設けられる1対の溝部29bにより撓みができるので、光導入部13の挿入時に筒形状部29が押し広げられるため、光導入部13を挿入することができ、係止部19を溝部29aに係合できる。これによって、光ガイド11は別途固定手段を設けることなく光ガイド取付部9に保持される。
なお、光導入部13は係止部19を有さず円柱形状から形成されていても良く、その場合は光導入部13の径と筒形状部29の内径を同等もしくは若干光導入部13の径を大きくする。これにより、1対の溝部29bにより筒形状部29が撓み、圧入により固定することができる。
【0027】
光ガイド11を光ガイド取付部9に取り付けた状態では、図5に示すように、光ガイド11の放出面部25が筐体外周面の傾斜よりも急傾斜になるようになっている。即ち、放出面部25は、筐体外周面に沿った状態で設けた場合よりもその高さ方向の長さを長くしている。このため、筐体外周面を緩やかな傾斜にしても光ガイド11の放出面部25を遠くから視認できるようになっている。
この点について図6に基づいてさらに詳しく説明する。
【0028】
図6(a)は筐体50の外周面部が急傾斜の火災感知器51を示し、図6(b)は筐体53の外周面部の傾斜が緩やかな火災感知器55を示している。
火災感知器51、55の中央には煙導入部5が設けられており、天井面の近くを天井面に沿って流れる煙は、図6に示すように、筐体50、53の外周面を伝わって煙導入部5に導入される。そのため、図6(a)のように、筐体外周面の傾斜角度が急傾斜になっていると煙の流れが下方に向けて方向を変えられるため、煙導入部5へ導入されにくい煙の流れとなる。これに対して、図6(b)のように、筐体外周面の傾斜角度が緩い場合には、煙の流れが変えられないので、スムーズに煙導入部5に導入される。このように、筐体外周面の傾斜角度は煙導入の観点からは緩やかな方が好ましい。
なお、上記は煙感知器を例にしたが熱感知器でも良く、その場合でも熱気流は筐体外周面の傾斜角度が緩やかな方が熱感知部に熱気流が当たりやすいため好ましい。
【0029】
しかし、筐体外周面の傾斜角度を緩やかにして光ガイド11の放出面部25を筐体外周面の傾斜に合わせると、放出面部25の向きがほぼ真下方向に向くことになり、斜め下方からの光ガイド11の視認性が悪くなる。
特許文献3のリング状の光ガイドは筐体の外周面に沿うように設けられており、筐体の外周面部の傾斜と光ガイドの傾斜とが同じ傾斜角度になっているため、火災感知器から離れた場所からの視認性、即ち斜め下方からの光ガイドの視認性が悪い。
この点、本実施の形態では、光ガイド11の放出面が筐体外周面の傾斜よりも急傾斜になっており、筐体外周面の傾斜を緩やかにして煙導入をスムーズにすると共に斜め下方からの光ガイド11の視認性を向上することができる。
【0030】
上記のように構成された光ガイド11に発光素子の光が導入されたときの光路について図7図8に基づいて説明する。図7図8における点線は光路を示している。
光導入部13に導入された発光素子の光は光放出部15側に進み、第1傾斜面部21において反射されて両側の第2傾斜面部23側にそれぞれ誘導される。誘導された光は、図7に示すように、主として第2傾斜面部23によって第2傾斜面部23側に向かう光路に対して鋭角となる向きに反射され、放出面部25から内側方向へ光を放出するが、筐体3の溝形状部27(図2参照)によって、図8に示すように、放出面部25に対して直交する方向にも反射される。
【0031】
そのため、放出面部25からは、図7に示すような幅方向において横向きの斜め下方と、図8に示すような幅方向において正面向きの斜め下方に光が放出される。すなわち、図7に示すような光ガイド11の横方向の斜め下方に光が積極的に放出されることで、取り付けられた火災感知器1の斜め下方の横方向に広い範囲から確認灯7を視認することができる。また、図8に示すような光ガイド11の正面方向の斜め下方にも光が放出されるので、広い範囲から確認灯7を視認することができる。
【0032】
また、本実施の形態では、光ガイド11が煙導入部5を挟んで対称位置に設けられているので、図9に示すように、火災感知器1を360°いずれの方向からみても視認することができる。特に、図9(b)に示すような位置関係にあった場合、通常であれば光ガイド11の視認性は悪くなるのであるが、本実施の形態の光ガイド11は光を斜め下方の横方向に方向性を持って積極的に放出するので、図9(b)のような位置関係であっても視認性に優れる。
なお、本実施の形態では、光ガイド11が筐体3の外周面部の円周上に2個設けられ、光ガイド11の光放出部15が同一円周上に配置されているものを示しているが、視認性を向上する観点から、光ガイド11の数は2個以上で全ての光放出部15が同一円周上に配置されることが好ましい。
【0033】
前述したように、本実施の形態では、光ガイド11の放出面部25が筐体外周面の傾斜よりも急傾斜になっており、煙の導入を円滑にすると共に光ガイド11の視認性が向上しているが、放出面部25のより好ましい傾斜角度について図10に基づいて説明する。
図10(a)に示すように、天井高さ2600mm(一般的なオフィスの天井高さ)の部屋で、15000mm(15m)離れた位置から天井面に設置された火災感知器の確認灯7を見た時の角度は約4.2度(目の高さ1500mm)となる。煙感知器(2種)の感知面積(監視する面積)は天井高さが4m未満の場合150m2のため、15m×10mの部屋を想定し、人の位置を15m離れた位置とした。
【0034】
図10(a)の位置関係からすると、人が光ガイド11の放出面部25に正対するには、放出面部25の傾斜角度は、図10(b)に示すように94.2°となる。つまり、図10(a)に示すような部屋において15m離れた位置から最も視認性を良くする放出面部25の傾斜角度は94.2°と言え、傾斜角度がこれ以下になると視認性が悪くなる。したがって、放出面部25の傾斜角度の下限値は95°ということができる。
【0035】
もっとも、人は常に15m離れた位置から確認灯7を見るわけではなく、通常はもっと近づいて見るし、正対せずとも確認灯7の視認はできることから、どの程度であれば視認性に優れるかを調査したところ、傾斜角度の最大値として145°以下であればよいことが判った。つまり、図10(c)に示すように、放出面部25の好ましい傾斜角度θとしては、95°以上145°以下ということができる。なお、傾斜角度θは放出面部25の天井面(取付面)に対する傾斜角度であり、本例では図10(c)に示すように、天井面(取付面)と放出面部25の延長線とが成す角度のうちの鈍角となる側の角度である。
【0036】
なお、上記の実施の形態では、光放出部15は光導入部13に対して両側に延出する略T字状のものを示したが片側に延出する略L字状のものでもよい。この場合、第1傾斜面部(誘導面部)は2面の傾斜面からなるV字状のものではなく、1つの傾斜面で足りる。
また、第2傾斜面部23を2個設けたものを示したが、第2傾斜面部23は単数であってもよいし、同一円周上に3個以上配置しても良い。
また、本発明の確認灯7は、煙を感知する火災感知器1だけではなく、熱を感知する熱感知器や、炎の波長を感知する炎感知器にも適用できることは言うまでもない。さらに、火災を感知して鳴動する火災警報器やガスを感知するガス警報器など、異常を感知した際に点灯する確認灯が必要な機器には適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 火災感知器
3 筐体
5 煙導入部
7 確認灯
9 光ガイド取付部
11 光ガイド
13 光導入部
15 光放出部
17 嵌合凸部
19 係止部
20 凹部
21 第1傾斜面部(誘導面部)
23 第2傾斜面部(反射面部)
25 放出面部
27 溝形状部
29 筒形状部
29a 溝部
29b 溝部
31 嵌合孔部
33 傾斜面部
50、53 筐体
51、55 火災感知器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11