特許第6836434号(P6836434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836434
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20210222BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20210222BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20210222BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20210222BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   G01D11/28 L
   G09F9/00 358
   B60K35/00 Z
   B60R11/02 C
   G01D11/24 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-57640(P2017-57640)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-159660(P2018-159660A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2020年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 健蔵
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛生
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−151034(JP,A)
【文献】 特開2001−341551(JP,A)
【文献】 特開2004−233701(JP,A)
【文献】 特開2007−121822(JP,A)
【文献】 特開2006−3763(JP,A)
【文献】 特開2000−47612(JP,A)
【文献】 特開平8−219814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00 − 7/12
G01D 11/00 − 13/28
B60K 35/00 − 37/06
B60R 9/00 − 11/06
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する情報を表す表示光を出射する出射部、及び、前記出射部を囲う枠部を有する表示部と、
前記表示部から出射された前記表示光を予め定められた目視位置側に反射する反射表示部材と、
前記枠部の前記反射表示部材側を覆うマスク部、及び、前記出射部を前記反射表示部材側に露出させる露出開口部を有するマスク部材と、
前記マスク部材の前記反射表示部材側を覆い、可視光域成分の光を減光する半透明部材とを備えることを特徴とする、
表示装置。
【請求項2】
前記反射表示部材の前記目視位置側とは反対側に設けられる表示構造体を備え、
前記反射表示部材は、前記表示構造体からの可視光域成分の光を透過させると共に前記目視位置から視て前記表示構造体と重畳する位置に前記表示光による像を表示させる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記半透明部材は、前記目視位置から前記反射表示部材を介して視認可能な領域の全体を覆う、
請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部、前記反射表示部材、前記マスク部材、及び、前記半透明部材を収容すると共に、前記目視位置側に開口した目視側開口部、及び、前記半透明部材が嵌められる嵌合開口部を有する筐体を備え、
前記嵌合開口部は、縁が前記目視位置から前記反射表示部材を介して視認可能な領域の外側に位置する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記半透明部材は、前記反射表示部材側の表面に表面反射を低減する反射防止膜が施される、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に適用される従来の表示装置として、例えば、特許文献1には、照射ユニットを有する車両用表示装置が開示されている。照射ユニットは、反射部材と向き合うように位置する開口から表示光を照射し、当該反射部材に表示光を投射し乗員に情報を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−028934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の車両用表示装置は、例えば、照射ユニットおいて表示光を照射する表示器の枠部等が反射部材に映り込むなどして視認性が悪化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正な視認性を確保することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、車両に関する情報を表す表示光を出射する出射部、及び、前記出射部を囲う枠部を有する表示部と、前記表示部から出射された前記表示光を予め定められた目視位置側に反射する反射表示部材と、前記枠部の前記反射表示部材側を覆うマスク部、及び、前記出射部を前記反射表示部材側に露出させる露出開口部を有するマスク部材と、前記マスク部材の前記反射表示部材側を覆い、可視光域成分の光を減光する半透明部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記表示装置では、前記反射表示部材の前記目視位置側とは反対側に設けられる表示構造体を備え、前記反射表示部材は、前記表示構造体からの可視光域成分の光を透過させると共に前記目視位置から視て前記表示構造体と重畳する位置に前記表示光による像を表示させるものとすることができる。
【0008】
また、上記表示装置では、前記半透明部材は、前記目視位置から前記反射表示部材を介して視認可能な領域の全体を覆うものとすることができる。
【0009】
また、上記表示装置では、前記表示部、前記反射表示部材、前記マスク部材、及び、前記半透明部材を収容すると共に、前記目視位置側に開口した目視側開口部、及び、前記半透明部材が嵌められる嵌合開口部を有する筐体を備え、前記嵌合開口部は、縁が前記目視位置から前記反射表示部材を介して視認可能な領域の外側に位置するものとすることができる。
【0010】
また、上記表示装置では、前記半透明部材は、前記反射表示部材側の表面に表面反射を低減する反射防止膜が施されるものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る表示装置は、表示部の出射部から出射された表示光を反射表示部材によって目視位置側に反射させる。この構成により、表示装置は、当該反射表示部材に対して目視位置から視認可能なように表示光による表示を行う。この場合に、表示装置は、表示部の出射部を囲う枠部がマスク部材のマスク部によって覆われていることで、枠部や当該枠部と出射部との境界線が反射表示部材に映り込むことを防止することができる。その上で、表示装置は、当該マスク部材の反射表示部材側が可視光域成分の光を減光する半透明部材によって覆われていることで、マスク部材において出射部を露出させる露出開口部の縁が反射表示部材に映り込むことを抑制することができる。この結果、表示装置は、適正な視認性を確保することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る表示装置の概略構成を表す模式的な斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る表示装置の概略構成を表す模式的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[実施形態]
図1図2に示す本実施形態に係る表示装置1は、車両に適用され、車載メータを構成するものである。表示装置1は、例えば、車両のダッシュボードに設けられたインストルメントパネル内に搭載される。表示装置1は、車両の運転に供される情報として当該車両に関する種々の可視情報を表示する。以下、各図を参照して表示装置1の構成について詳細に説明する。
【0015】
なお、図1等に示す表示装置1の第1方向としての奥行き方向Xとは、典型的には、この表示装置1が適用される車両の前後方向、さらに言えば、車両の全長方向に相当する。また、表示装置1の前面側とは、奥行き方向Xにおいて車両の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者によって視認される側である。一方、表示装置1の背面側とは、奥行き方向Xにおいて前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側である。また、表示装置1の第2方向としての幅方向Yとは、典型的には、この表示装置1が適用される車両の車幅方向、さらに言えば、車両の全幅方向に相当する。以下の説明では、表示装置1の幅方向Yにおいて、当該表示装置1の前面に向かって左側を幅方向Y左側、向かって右側を幅方向Y右側という場合がある。表示装置1の第3方向としての高さ方向Zとは、典型的には、この表示装置1が適用される車両の高さ方向、さらに言えば、車両の車高方向に相当する。高さ方向Zは、車両が水平面に位置した状態で鉛直方向に沿った方向である。以下の説明では、表示装置1の高さ方向Zにおいて、鉛直方向上側を高さ方向Z上側、鉛直方向下側を高さ方向Z下側という場合がある。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、表示装置1の各構成が相互に組み付けられ当該表示装置1がインストルメントパネルに組み付けられた状態での方向を表す。
【0016】
表示装置1は、筐体2と、表示構造体3と、表示部4と、反射表示部材5と、マスク部材6と、半透明部材7とを備える。表示装置1は、筐体2内に各部が収容される。そして、表示装置1は、表示部4からマスク部材6、半透明部材7を介して反射表示部材5に向けて表示光を出射し、当該反射表示部材5で反射した表示光による像5Aによって運転者等に種々の視覚情報を提示するものである。このとき、表示装置1は、例えば、反射表示部材5において、表示構造体3に対して表示光による像5Aを重畳させて表示させる。
【0017】
具体的には、筐体2は、表示装置1の各部を収容すると共に、予め定められた目視位置(アイポイント)EP側に開口した目視側開口部25、及び、半透明部材7が嵌められる嵌合開口部26を有するものである。筐体2は、例えば、絶縁性の合成樹脂によって形成される。筐体2は、例えば、筐体本体、背面カバー、見返し、上面フード等の複数の部材が組み合わせられることで中空箱状に形成される。筐体2は、内部の収容空間部21に表示構造体3、表示部4、反射表示部材5、マスク部材6、半透明部材7等を収容する。筐体2は、この他、収容空間部21に制御回路や駆動回路等、表示装置1の各部を制御、駆動するための種々の部品も収容する。ここでは、収容空間部21は、見返し壁部22によって相互に区画された第1空間部23、及び、第2空間部24を含む。見返し壁部22は、奥行き方向Xに沿って延在し、高さ方向Zに対して収容空間部21を第1空間部23と第2空間部24とに区画する。第1空間部23は、見返し壁部22を境界として高さ方向Zの下側に位置し、第2空間部24は、見返し壁部22を境界として高さ方向Zの上側に位置する。第1空間部23、第2空間部24は、共に奥行き方向Xの背面側が閉塞している。そして、第2空間部24は、奥行き方向Xの前面側も閉塞している。一方、第1空間部23は、筐体2に形成された目視側開口部25を介して奥行き方向Xの前面側に向けて開口している。言い換えれば、目視側開口部25は、奥行き方向Xの前面側にて筐体2の内外を連通し、第1空間部23は、当該目視側開口部25の奥行き方向Xの背面側に位置する。第1空間部23は、奥行き方向Xの前面側、ここでは、目視位置EPから目視側開口部25を介して直接的に目視可能な位置に表示構造体3、反射表示部材5を収容する。一方、第2空間部24は、当該目視位置EPから直接的に目視不能な位置に表示部4を収容する。そして、筐体2は、第1空間部23と第2空間部24との間に介在する見返し壁部22に嵌合開口部26が形成されており、当該嵌合開口部26にマスク部材6、半透明部材7が組み付けられる。嵌合開口部26は、見返し壁部22を貫通し第1空間部23と第2空間部24とを連通している。
【0018】
ここで、上述の目視位置EPは、典型的には、車両におけるいわゆるアイレンジ内に位置するものとして予め想定される。ここで、アイレンジとは、「自動車の運転者アイレンジ」であり、車両に応じて予め定まる運転者の視点が位置する領域に相当する。アイレンジは、典型的には、車両において運転者の目の位置の分布を統計的に表したものであり、例えば、運転者が運転席に座った状態で所定割合(例えば、95%)の運転者の目の位置が含まれる領域に相当する。
【0019】
表示構造体3は、反射表示部材5と共に筐体2の第1空間部23内に収容されるものである。表示構造体3は、第1空間部23内において、目視位置EPから目視側開口部25を介して直接的に目視可能な位置に、種々の支持構造を介して支持される。ここでは、表示構造体3は、第1空間部23内において、後述する反射表示部材5の目視位置EP側とは反対側、すなわち、反射表示部材5の奥行き方向Xの背面側に設けられる。表示構造体3は、実体を伴う構造物である。表示構造体3は、例えば、種々の加飾を施すための加飾部材、指針によって種々の計測値を指し示すアナログ式計器、車両に関する種々の情報を実像画像として表示する画像表示器等である。ここでは、表示構造体3は、一例として、略円環状に形成された加飾リングであるものとして説明するがこれに限らない。またここでは、表示装置1は、第1空間部23内に、表示構造体3を照らすための加飾用光源31を備える。加飾用光源31は、例えば、第1空間部23内において、表示構造体3の高さ方向Zの上側に設けられる。加飾用光源31は、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子等によって構成されるがこれに限らない。表示装置1は、表示構造体3を加飾体として視認させる際に加飾用光源31から表示構造体3に向けて光を照射することで、当該加飾用光源31によって表示構造体3を照らすことができる。
【0020】
表示部4は、車両に関する情報を表す表示光を出射可能なものである。表示部4は、表示光を出射するデバイスとして、例えば、薄型の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いることができる。より具体的には、表示部4は、出射部41、及び、枠部42を有する。出射部41は、表示部4を構成する主たる部分であり、後述する反射表示部材5に向けて表示光を出射する部分である。出射部41が出射する表示光は、反射表示部材5に表示させる像5Aを表す表示光であり、少なくとも可視光域成分の光を含む。ここで、可視光域成分の光とは、人が視認できる可視光領域の波長成分の光であり、例えば、波長が360〜830nmの範囲の成分の光である。出射部41が表示光を出射する出射面(出射領域)41aは、例えば、略矩形状に形成される。枠部42は、出射部41を囲う枠状の部分である。枠部42は、略矩形状の出射面41aを有する出射部41を4方から囲うように略矩形枠状に形成される。ここでは、枠部42は、出射部41の出射面41a側とは反対側の面を覆う背板も含んで構成されている。表示部4は、出射部41、及び、枠部42の全体が第2空間部24内に収容される。表示部4は、第2空間部24内において、目視位置EPから直接的に目視不能な位置に、種々の支持構造を介して支持される。表示部4は、出射部41の出射面41aが見返し壁部22の嵌合開口部26と対向して第1空間部23側を向く位置関係で、第2空間部24内に支持される。表示部4は、第2空間部24側に位置する出射部41の出射面41aから、当該嵌合開口部26を介して、第1空間部23側に位置する反射表示部材5に向けて表示光を出射する。言い換えれば、嵌合開口部26は、第2空間部24側に位置する出射部41の出射面41aが出射した表示光を、反射表示部材5が位置する第1空間部23側に導出するための光路開口を構成する。
【0021】
反射表示部材5は、表示部4から出射された表示光を予め定められた目視位置EP側に反射するものである。反射表示部材5は、表示部4から出射された表示光によって種々の可視情報が表示される。反射表示部材5は、上述した表示構造体3と共に筐体2の第1空間部23内に収容されるものである。反射表示部材5は、第1空間部23内において、目視位置EPから目視側開口部25を介して直接的に目視可能な位置に、種々の支持構造を介して支持される。ここでは、反射表示部材5は、第1空間部23内において、上述した表示構造体3の目視位置EP側、すなわち、表示構造体3の奥行き方向Xの前面側に設けられる。反射表示部材5は、表示構造体3の奥行き方向Xの前面側の全体を覆うように設けられる。ここでは、反射表示部材5は、略板状に形成され、表示部4側を向くように傾斜して設けられる。すなわち、反射表示部材5は、高さ方向Zの上側から下側に向かうにしたがって奥行き方向Xの前面側に向かうように傾斜して設けられる。そして、反射表示部材5は、第1空間部23を、奥行き方向Xの前面側の空間部(目視位置EP側の空間部)と背面側の空間部(表示構造体3側の空間部)とに仕切っている。
【0022】
本実施形態の反射表示部材5は、入射する可視光域成分の光の一部を反射すると共に、入射する可視光域成分の光の他の一部を透過させる半透過性の部材、いわゆるハーフミラーである。反射表示部材5は、透明な合成樹脂やガラス等により形成された本体部と、ハーフミラー層とを有する。ハーフミラー層は、本体部の表面に蒸着等により形成された、金属又は無機多層薄膜などである。反射表示部材5は、表示構造体3からの可視光域成分の光を透過させ、目視位置EPにおいて表示構造体3を視認可能とする。その上で、反射表示部材5は、表示部4から出射された表示光を目視位置EP側に反射することで像5Aを虚像として表示する。像5Aは、反射表示部材5で目視位置EP側に反射した表示光による反射像であり、目視位置EPから視認可能ないわゆる虚像である。ここでは、反射表示部材5は、目視位置EPから視て表示構造体3と重畳する位置に表示光による像5Aを表示させる。つまり、反射表示部材5は、表示光による像5Aが表示構造体3とほぼ重なる位置に結像するように配置されている。像5Aは、車両に関する種々の可視情報を表す。図1に例示する像5Aは、例えば、軸線を回動中心として回動する指針の画像、及び、当該指針によって指し示される目盛等の指標部の画像を含み、当該表示構造体3が構成する加飾リングと共に種々の計測値を指し示す計器を構成する画像である。表示光による像5Aは、この他、例えば、車両の速度、積算走行距離、冷却水温、走行用動力源の出力回転数、燃料残量、バッテリ蓄電量、ナビゲーション情報、地図情報、交差点情報、各種の警告灯(ウォーニングランプ、いわゆるテルテール)、シフトポジションインジケータ、方向指示記号等の車両情報に応じた種々の図柄、記号、文字列等の画像を含んでいてもよい。
【0023】
マスク部材6は、表示部4による表示光の出射方向側、すなわち、反射表示部材5側から当該表示部4の一部を覆うものである。マスク部材6は、表示部4と反射表示部材5との間に介在する。マスク部材6は、例えば、略板状に形成された絶縁性の合成樹脂に、艶消しの黒色塗装が施されることで構成される。具体的には、マスク部材6は、マスク部61、及び、露出開口部62を有する。マスク部61は、表示部4の枠部42の反射表示部材5側を覆う部分である。マスク部61は、少なくとも枠部42の全体を反射表示部材5側から覆うように略矩形枠状に形成される。マスク部61は、表示部4の出射部41の一部(例えば、枠部42の近傍の部分)も反射表示部材5側から覆う構成であってもよい。一方、露出開口部62は、表示部4の出射部41を反射表示部材5側に露出させる部分である。露出開口部62は、マスク部材6を貫通する貫通孔として形成される。露出開口部62は、少なくとも出射部41の出射面41aの一部、ここでは、大部分を反射表示部材5側に露出させるように略矩形状に形成される。マスク部材6は、マスク部61が反射表示部材5側から枠部42を覆い、露出開口部62が反射表示部材5側から出射部41の出射面41aを露出させる位置関係で、見返し壁部22に組み付けられる。マスク部材6は、例えば、見返し壁部22に形成された嵌合開口部26内に嵌め込まれるようにして組み付けられる。露出開口部62は、嵌合開口部26と共に、第2空間部24側に位置する出射部41の出射面41aが出射した表示光を、反射表示部材5が位置する第1空間部23側に導出するための光路開口を構成する。
【0024】
半透明部材7は、マスク部材6の反射表示部材5側を覆い、可視光域成分の光を減光するものである。半透明部材7は、マスク部材6と反射表示部材5との間に介在する。半透明部材7は、可視光域成分の光を透過する光透過性を有しかつ透過する際に可視光域成分の光を減光する部材によって形成される。半透明部材7は、例えば、いわゆるスモークガラスによって構成されるがこれに限らず、透明ガラスにスモークフィルムを設けることで構成されてもよい。半透明部材7は、所定の透過率で光を透過する。つまり、半透明部材7は、入射する光の光量に対して出射する光の光量を低減し、輝度を抑制する。半透明部材7は、可視光域成分のうち、より減光したい成分の色彩、ここでは一例としてマスク部材6と同色系の暗色系のスモークガラスを使用することが好ましい。また、本実施形態の半透明部材7は、反射表示部材5側の表面に表面反射を低減する反射防止膜(Anti−reflective coating)7aが施されている。半透明部材7は、マスク部材6の全面を反射表示部材5側から覆う位置関係で、見返し壁部22に組み付けられる。半透明部材7は、例えば、見返し壁部22に形成された嵌合開口部26内に嵌め込まれるようにしてマスク部材6に対して反射表示部材5側に重ねて組み付けられる。
【0025】
本実施形態の半透明部材7は、少なくとも目視位置EPから反射表示部材5を介して視認可能な領域T1の全体を覆う大きさ、位置に設けられる。つまり、この表示装置1は、目視位置EPから反射表示部材5を介して視認可能な領域T1の全体が半透明部材7によって覆われている。これにより、この表示装置1は、反射表示部材5において目視位置EPから目視側開口部25を介して視認可能な領域T2の全体に半透明部材7が映り込むこととなる。ここでは、半透明部材7が嵌められる嵌合開口部26は、縁が目視位置EPから反射表示部材5を介して視認可能な領域T1の外側に位置するように形成される。言い換えれば、嵌合開口部26は、反射表示部材5で目視位置EP側に反射する当該嵌合開口部26の縁の像が反射表示部材5において目視位置EPから目視側開口部25を介して視認可能な領域T2の範囲外に位置するように形成される。
【0026】
上記のように構成される表示装置1は、表示部4の出射部41の出射面41aから出射された表示光が筐体2の嵌合開口部26、マスク部材6の露出開口部62、半透明部材7を介して反射表示部材5に至る。そして、表示装置1は、当該表示光が反射表示部材5によって目視位置EP側に反射される。この構成により、表示装置1は、表示光による像5Aが当該反射表示部材5に表示される。この場合、表示装置1は、当該反射表示部材5で反射した表示光による像5Aが表示構造体3に重畳されて表示され、運転者等に種々の視覚情報を提示する。
【0027】
以上で説明した表示装置1は、表示部4の出射部41から出射された表示光を反射表示部材5によって目視位置EP側に反射させる。この構成により、表示装置1は、当該反射表示部材5に対して目視位置EPから視認可能なように表示光による表示を行う。この場合に、表示装置1は、表示部4の出射部41を囲う枠部42がマスク部材6のマスク部61によって覆われていることで、枠部42や当該枠部42と出射部41との境界線が反射表示部材5に映り込むことを防止することができる。その上で、表示装置1は、当該マスク部材6の反射表示部材5側が半透明部材7によって覆われていることで、マスク部材6において出射部41を露出させる露出開口部62の縁(いわゆる見切り線)が反射表示部材5に映り込むことを抑制することができる。この結果、表示装置1は、反射表示部材5に映る表示光による表示を視認させる際に煩わしさを感じさせ難くすることができ、適正な視認性を確保することができる。
【0028】
ここでは、以上で説明した表示装置1は、反射表示部材5において、目視位置EPから視て表示構造体3と重畳する位置に表示光による像5Aが表示される。この構成により、表示装置1は、表示構造体3と像5Aとを組み合わせたより多様な表示を行うことができる。その上で、表示装置1は、例えば、仮に加飾用光源31が消灯し表示構造体3が照らされていないような状態であっても、上記のように枠部42や露出開口部62の縁の反射表示部材5への映り込みを抑制することができるので、適正な視認性を確保することができる。
【0029】
さらに、以上で説明した表示装置1は、半透明部材7が目視位置EPから反射表示部材5を介して視認可能な領域T1の全体を覆う。この構成により、表示装置1は、半透明部材7の縁(いわゆる見切り線)等が反射表示部材5の領域T2に映り込むことを防止することができるので、この点でも適正な視認性を確保することができる。
【0030】
さらに、以上で説明した表示装置1は、半透明部材7が嵌められる嵌合開口部26の縁が目視位置EPから反射表示部材5を介して視認可能な領域T1の外側に位置する。この構成により、表示装置1は、嵌合開口部26の縁(いわゆる見切り線)等が反射表示部材5に映り込むことを防止することができるので、この点でも適正な視認性を確保することができる。
【0031】
さらに、以上で説明した表示装置1は、半透明部材7の反射表示部材5側の表面に反射防止膜7aが施される。この構成により、表示装置1は、運転者等の顔や周囲の物体が反射表示部材5を介して半透明部材7に映り込むことを抑制することができるので、煩わしさを感じさせ難くすることができ、この点でも適正な視認性を確保することができる。
【0032】
なお、上述した本発明の実施形態に係る表示装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0033】
以上の説明では、表示装置1は、半透明部材7が嵌合開口部26に嵌められ、嵌合開口部26の縁が目視位置EPから反射表示部材5を介して視認可能な領域T1の外側に位置するものとして説明したがこれに限らない。例えば、表示装置1は、嵌合開口部26の縁が領域T1の内側に位置していてもよい。そして、表示装置1は、半透明部材7が嵌合開口部26に嵌められる構成ではなく、嵌合開口部26を超えて領域T1の全体を覆うように設けられてもよい。この場合、表示装置1は、嵌合開口部26の縁が領域T1の内側に位置しているものの、当該嵌合開口部26の縁が半透明部材7によって覆われていることで、当該縁が反射表示部材5の領域T2に映り込むことを抑制することができる。なお、表示装置1は、この場合に、半透明部材7が嵌合開口部26に嵌められて設けられる構成とされてもよい。この場合であっても、表示装置1は、上記のように少なくともマスク部材6の反射表示部材5側が半透明部材7によって覆われていることで、露出開口部62の縁が反射表示部材5に映り込むことを抑制することができる。
【0034】
以上の説明では、半透明部材7は、反射表示部材5側の表面に反射防止膜7aが施されるものとして説明したがこれに限らない。
【0035】
以上の説明では、反射表示部材5は、表示構造体3からの可視光域成分の光を透過させると共に目視位置EPから視て表示構造体3と重畳する位置に表示光による像5Aを表示させるハーフミラーであるものとして説明したがこれに限らない。反射表示部材5は、例えば、車両のウインドシールド(いわゆるフロントガラス)によって構成されてもよいし、ウインドシールドとは別体に形成されるコンバイナによって構成されてもよい。つまり、表示装置は、いわゆるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)を構成するものであってもよい。この場合、表示装置1は、表示構造体3を備えない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 表示装置
2 筐体
3 表示構造体
4 表示部
5 反射表示部材
5A 像
6 マスク部材
7 半透明部材
7a 反射防止膜
25 目視側開口部
26 嵌合開口部
41 出射部
42 枠部
61 マスク部
62 露出開口部
EP 目視位置
T1、T2 領域
図1
図2