(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、前記稼働情報の内容に応じて優先順位を定義したデータベースを保持しており、前記データベースを参照して、前記ノイズの発生原因である蓋然性の高い前記稼働情報を抽出する
請求項4記載のノイズ監視装置。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ノイズ監視装置100の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】ノイズ監視装置100を含むシステムの構成を示すブロック図である。
【
図5】ノイズ監視装置100の動作例を示す図である。
【
図6】ノイズ監視装置100の動作例を示す図である。
【
図7】ノイズ監視装置100の動作例を示す図である。
【
図8】ノイズ監視装置100の動作例を示す図である。
【0011】
本発明の実施の形態にかかるノイズ監視装置100について図面を用いて説明する。
図1は、ノイズ監視装置100の機能構成を示すブロック図である。ノイズ監視装置100は、ノイズ情報取得部110、稼働情報取得部120、判定部130、表示部140を有する。ノイズ監視装置100は、中央処理装置(CPU)、記憶装置、入出力装置等を有する情報処理装置であり、典型的にはパーソナルコンピュータ(PC)である。ノイズ監視装置100は、記憶装置に格納されたプログラムをCPUが実行することによって上記処理部を論理的に実現する。
【0012】
ノイズ情報取得部110は、工場内の機械等(数値制御装置(CNC)、周辺機器、工作機械等を含む、ノイズの発生を検知可能な装置)それぞれについて、ノイズの発生状況を監視する。
図2に示すように、機械等は、通信インフラを介してノイズ監視装置100と接続されており、その通信機能を用いて、ノイズの発生を検知したことをノイズ情報取得部110に対して通知する。ノイズ情報取得部110は、当該通知を受信したならば、ノイズの発生を検知した機械等の識別情報、ノイズの発生時刻やレベル等を含むノイズ情報を保存する。ここでノイズ情報取得部110は、ノイズレベルが所定のしきい値を超える場合にのみ、ノイズ情報を保存することとしても良い。
【0013】
稼働情報取得部120は、工場内の機械等それぞれについて、稼働状況を監視する。すなわち、各機械等は、自機やその管理下にある装置等の稼働状況を示す稼働情報を定期的に稼働情報取得部120に対して送信する。稼働情報には、例えば機械等の識別情報、時刻、当該時刻における機械等の動作内容等が含まれ得る。動作内容には、例えばスピンドルの加速、アクチュエータの動作等が含まれる。稼働情報取得部120は、受信した稼働情報を保存する。
【0014】
判定部130は、新たなノイズが発生した(すなわちノイズ情報取得部110がノイズ情報を保存した)場合、稼働情報取得部120が保存した、ノイズ発生と略同時刻における稼働情報を抽出する。そして、当該ノイズ情報と、抽出された稼働情報と、を表示部140に出力する。ここで抽出される稼働情報は、全ての機械等に関するものであって良い。あるいは、所定の基準により選定された一部の機械等に関するものであっても良い。
【0015】
例えば判定部130は、
図3に示すようなデータベース131を有していても良い。データベース131では、機械等の動作内容に対し、優先順位、保守情報等が関連付けられている。例えば、「M03 S10000」「M03 S5000」「M03 S1000」(スピンドル(主軸)の回転数が10000、5000、1000)という動作内容に対しては、それぞれ優先順位3、2、1が割り当てられている。そして保守情報として「ノイズ発生箇所の確認」「ケーブルがクランプされているか」といった情報がそれぞれ記録されている。同様に、「メモリY100.0 0→1」「メモリY200 1→0」(CNCが外部機器に対して指令を出力した。例えばアクチュエータの動作を指示した)、「G00 パラメータ1020=30000」(速度30000で早送り)等の動作内容に対しても、優先順位や保守情報が関連付けて保存されている。
【0016】
ここで優先順位は、ノイズの発生原因である蓋然性に応じて予め設定しておくことができる。例えば、ユーザの経験に鑑みて、ノイズの発生原因となる蓋然性がより高い動作についてはより大きい(あるいは小さい)優先順位を付与することができる。また、保守情報には、その動作が原因となってノイズが発生した場合にとることができる対応策を記載することができる。例えば、確認事項やノイズ抑制のための作業内容等である。
【0017】
判定部130は、ノイズ発生と略同時刻における全ての機械等の稼働情報に含まれる動作内容をキーとしてデータベース131を検索し、動作内容に対応付けられている優先順位を取得することができる。そして、優先順位が所定のしきい値を超える(例えば優先順位が2を超える)又は超えない(例えば優先順位が2を超えない)動作内容を特定し、当該動作内容を含む稼働情報のみを抽出することができる。
【0018】
表示部140は、判定部130から受け取ったノイズ情報と稼働情報とを、表示装置に表示する。
図4に、表示部140が表示するノイズ情報と稼働情報との一例を示す。
図4Aは、ノイズ情報と、略同時刻における全ての機械等の稼働情報とを同時に表示した例である。
図4Bは、ノイズ情報と、略同時刻における一部の機械等(ノイズの発生原因となる蓋然性の高い動作をしていた機械等)の稼働情報とを同時に表示した例である。
【0019】
<実施例1>
図5を用いて、ノイズ発生時に全ての機械等の稼働情報を表示する場合のノイズ監視装置100の動作について説明する。
【0020】
ノイズ監視装置100にはNo.1からNo.12までの12の機械等が接続されており、No.11の機械において、時刻9:44:15にしきい値を超えるノイズの発生を検知したものとする。ノイズ情報取得部110は、No.11の機械等からノイズの発生の通知を受け、ノイズ情報を生成、保存する。
【0021】
稼働情報取得部120は、工場内の全ての機械等から常時、定期的に稼働情報を収集、蓄積している。ノイズ監視装置100における新たなノイズ情報の保存を受け、判定部130は、蓄積された稼働情報の中から、ノイズ発生時刻近傍に収集された稼働情報を抽出する。例えば、各機械等それぞれについて、ノイズ発生時刻以前の稼働情報であって、ノイズ発生時刻に最も近いものを1つ抽出し、出力することができる。あるいは、例えば、各機械等それぞれについて、ノイズ発生時刻直前の所定の長さの時間(例えば3sec)にわたり取得された複数の稼働情報を抽出する。そして、その時間内に動作内容が変化しているか否かを検査する。変化している場合は、変化後の稼働情報を出力する。変化していない場合は、いずれかの稼働情報を出力する。
【0022】
表示部140は、ノイズ情報取得部110が新たに保存したノイズ情報と、判定部130から出力された稼働情報とを同時に表示する。例えば
図5に示すように、ノイズレベルの時系列的な変化等が判読できるようグラフ形式で表示されたノイズ情報と、当該時刻近傍における全ての機械等の動作内容を示すコードとを表示することができる。このとき、ノイズ発生時刻直前に動作内容が変化している機器等については強調表示する、すなわち他の機器等と表示形態を変えることができる。これにより、ノイズの発生原因である可能性が高い機器等を際立たせることができる。
【0023】
<実施例2>
図6を用いて、ノイズが原因と疑われるアラームが機械等において発生したときに、全ての機械等の稼働情報を表示する場合のノイズ監視装置100の動作について説明する。実施例1では、実際にノイズが発生した場合に、全ての機械等の稼働情報を表示した。これに対し実施例2は、ノイズ情報取得部110がノイズ発生を検知していなくても、ノイズが原因となって発生することが多いアラームが機器等において発生した場合に、ノイズ発生時と同様の処理を行うものである。
【0024】
ノイズ監視装置100にはNo.1からNo.12までの12の機械等が接続されており、No.11の機械において、時刻9:44:15にアラームが発生したものとする。ノイズ情報取得部110は、No.11の機械等からアラーム発生の通知を受信し、アラーム情報を保存する。アラーム情報には、例えばアラームの発生を検知した機械等の識別情報、アラームの発生時刻やその内容等を含む。
【0025】
稼働情報取得部120は、工場内の全ての機械等から常時、定期的に稼働情報を収集、蓄積している。ノイズ監視装置100における新たなアラーム情報の保存を受け、判定部130は、実施例1と同様に、アラーム発生時刻近傍に収集された稼働情報を抽出する。
【0026】
表示部140は、判定部130から出力された稼働情報を表示する。例えば
図6に示すように、アラームが発生した機器等及びその内容と、当該時刻近傍における全ての機械等の動作内容を示すコードとを表示することができる。実施例1と同様に、ノイズ発生時刻直前に動作内容が変化している機器等については、他の機器等と表示形態を変えることができる。
【0027】
<実施例3>
図7を用いて、ノイズ発生時に、ノイズの発生原因である蓋然性が高い機械等の稼働情報のみを表示する場合のノイズ監視装置100の動作について説明する。
【0028】
ノイズ監視装置100にはNo.1からNo.12までの12の機械等が接続されており、No.11の機械において、時刻9:44:15にしきい値を超えるノイズの発生を検知したものとする。ノイズ情報取得部110は、No.11の機械等からノイズの発生の通知を受け、ノイズ情報を生成、保存する。
【0029】
稼働情報取得部120は、工場内の全ての機械等から常時、定期的に稼働情報を収集、蓄積している。また、判定部130は、
図3に示すデータベース131を予め保持しているものとする。データベース131において、優先順位は数が大きいほど高いものとし、判定部130は、優先度が2を超える動作内容を含む稼働情報を抽出するよう予め設定されているものとする。ノイズ監視装置100における新たなノイズ情報の保存を受け、判定部130は、蓄積された稼働情報の中から、ノイズ発生時刻近傍に収集された稼働情報の中から、優先順位の高いものから順にリストアップする。ここで、データベース131において、経時的な動作内容の変化が定義されている場合は、判定部130は、まずノイズ発生時刻直前の所定の長さの時間(例えば3sec)にわたり取得された複数の稼働情報を取得し、取得された稼働情報の変化を検査する必要がある。例えば、データベース131に記述された「メモリY100.0 0→1」とは、「メモリY100.0」の内容が「0から1に変化する」ことを示すものである。よって、判定部130は、ノイズ発生時刻直前の各機械等の「メモリY100.0」の内容を複数取得し、その変化を確認する。そして内容が「0から1に変化」していた機械等の、変化後の稼働情報を抽出、出力する。本実施例では、データベース131に定められた条件に適合するNo.4及びNo.6の稼働情報が抽出、出力される。
【0030】
表示部140は、ノイズ情報取得部110が新たに保存したノイズ情報と、判定部130から出力された稼働情報とを同時に表示する。例えば
図7に示すように、ノイズ発生が検知された機械等(No.11)、及びノイズの発生原因である蓋然性が高い機械等(No.4とNo.6)について、ノイズレベルが判読できるようグラフ形式で表示されたノイズ情報と、当該時刻近傍における動作内容を示すコードとを表示することができる。
【0031】
この際、表示部140は、データベース131に保守情報が定義されていれば、保守情報を合わせて表示することが好ましい。本実施例では、No.4、No.6及びNo.11の保守情報が、稼働情報に並んで表示されている。これにより、ノイズに対する対策を効果的に実施することが可能となる。
【0032】
<実施例4>
図8を用いて、ノイズが原因と疑われるアラームが機械等において発生したときに、ノイズの発生原因である蓋然性が高い機械等の稼働情報のみを表示する場合のノイズ監視装置100の動作について説明する。実施例3では、実際にノイズが発生した場合に、ノイズの発生原因である蓋然性が高い機械等の稼働情報のみを表示した。これに対し実施例4は、ノイズ情報取得部110がノイズ発生を検知していなくても、ノイズが原因となって発生することが多いアラームが機器等において発生した場合に、ノイズ発生時と同様の処理を行うものである。
【0033】
ノイズ監視装置100にはNo.1からNo.12までの12の機械等が接続されており、No.11の機械において、時刻9:44:15にアラームが発生したものとする。ノイズ情報取得部110は、No.11の機械等からアラーム発生の通知を受信し、アラーム情報を保存する。
【0034】
稼働情報取得部120は、工場内の全ての機械等から常時、定期的に稼働情報を収集、蓄積している。また、判定部130は、実施例3と同様、
図3に示すデータベース131を予め保持しているものとする。ノイズ監視装置100における新たなノイズ情報の保存を受け、判定部130は、蓄積された稼働情報の中から、ノイズ発生時刻近傍に収集された稼働情報の中から、優先順位の高いものから順にリストアップする。
【0035】
表示部140は、判定部130から出力された稼働情報を表示する。例えば
図8に示すように、ノイズ発生が検知された機械等(No.11)、及びノイズの発生原因である蓋然性が高い機械等(No.4とNo.6)について、アラームが発生した機器等及びその内容と、当該時刻近傍における全ての機械等の動作内容を示すコードとを表示することができる。この際、表示部140は、データベース131に保守情報が定義されていれば、保守情報を合わせて表示することができる。
【0036】
本実施の形態によれば、ノイズ監視装置100は、ノイズが発生したときに、ノイズを検知した機械等のみならず、ノイズ監視装置100に接続された全ての機械等の稼働状況を表示することができる。これにより、ある機械等で発生したノイズが原因となって、他の機械等で異常が発生する場合において、ノイズの発生原因を容易に追及することが可能となる。
【0037】
また、ノイズ監視装置100は、ノイズが発生したときに、ノイズの発生原因である蓋然性が高い機械等のみを抽出し、それらの機械等の稼働状況を表示することができる。これにより、ノイズの発生原因をより効率的に追及することが可能となる。
【0038】
また、ノイズ監視装置100は、ノイズが発生したときに、機械等の稼働状況に加え、保守情報を併せて表示することができる。これにより、蓄積されたノウハウを効果的に利用して、ノイズの発生原因の調査や対策を実施することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態又は実施例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。