(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照明装置は、発光素子として発光ダイオードを備え、前記発光ダイオードが前記客室内を照明する照明部と前記第1送信部とを兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の車内通信システム。
前記第2送信部は、第1受信部が受信した情報に基づいて制御された自身の回転又はリクライニングを戻す動作が正常に完了した場合は、当該動作が正常に完了したことを示す情報を送信し、当該動作に異常が発生した場合は、当該動作に異常が発生したことを示す情報を送信することを特徴とする請求項3に記載の車内通信システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、
図1〜
図7を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる車内通信システムの概略構成図である。
【0021】
車内通信システム10は、照明装置としての通信機能付室内灯1と、車内設備としての座席3及び表示装置4と、を備えている。車内通信システム10は、例えば鉄道車両の客室内等の車内に設けられている
。
【0022】
通信機能付室内灯1は、例えば鉄道車両の客室内に設置され、当該車内を照明する。また、通信機能付室内灯1は、可視光通信により座席3や表示装置4に所定の情報を送信する。また、通信機能付室内灯は、赤外光通信により座席3や表示装置4からの情報を受信する。
【0023】
通信機能付室内灯1は、有線通信ネットワーク5と接続されている。有線通信ネットワーク5は、例えば鉄道車両であれば予め配設されている配線による通信ネットワークであり、車両間に亘り情報の送受信が行われる場合もある。
【0024】
なお、通信機能付室内灯1は、
図1では2つ記載しているが、2つに限らず、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。但し、可視光通信が客室内のどの位置でも可能となるように複数設けることが望ましい。
【0025】
また、本車内通信システム10が設置される客室内には、通信機能付室内灯1だけでなく、
図1に示したように通信機能を持たない室内灯2が設置されていてもよい。
【0026】
図2に通信機能付室内灯1の機能構成図を示す。通信機能付室内灯1は、車両側送受信部11と、制御部12と、発光制御部13と、LED14と、受光部15と、を備えている。
【0027】
車両側送受信部11は、有線通信ネットワーク5と通信をし、例えば先頭車両等に設置されたホスト機器から送信された情報を受信して制御部12へ出力し、制御部12から出力された情報を車両側へ送信する。
【0028】
制御部12は、通信機能付室内灯1の全体制御を司る。制御部12は、車両側送受信部11から入力された情報に基づいて発光制御部13を制御して可視光通信を行わせる。また、受光部15が受光した赤外光に基づいてホスト機器へ送信する情報を生成して車両側送受信部11へ出力する。
【0029】
発光制御部13は、制御部12からの制御によりLED14の点灯制御を行う。つまり、可視光通信により送信する情報を所定の変調方式により変調してLED14を点灯させる。
【0030】
LED14は、発光ダイオードであり、通信機能付室内灯1の発光素子である。LED14は、発光制御部13により情報を送信する場合は、上述したように可視光通信用の送信部として機能し、そうでない場合は通常の照明として機能する。即ち、LED14は、車内設備に対して可視光通信により情報を送信する第1送信部として機能する。
【0031】
受光部15は、例えばフォトダイオードで構成され、座席3や表示装置4から送信された赤外光を受光する。受光した赤外光は電気信号に変換され制御部12へ出力される。即ち、受光部15は、発光部36、46(第2送信部)が送信した情報を受信する第2受信部として機能する。
【0032】
座席3は、例えば鉄道車両の客室内に設置されている。座席3は、例えば2人掛けや3人掛け等複数人が横に並んで着席することができる周知のものである。また、座席3は、乗客が進行方向に向かって着席できるように、鉄道車両の進行方向に合わせて回転させることができるようになっている。また、座席3は、着席した乗客の好みに合わせて背もたれの角度を変化(リクライニング)させることができる。なお、
図1では、座席は1つしか記載していないが、複数設置されているのは勿論である。また、座席3は複数人掛けに限らず1人掛けであってもよい。
【0033】
図3に、座席3の機能構成図を示す。座席3は、受光部31と、制御部32と、制御モータ33、34と、圧力センサ35と、発光部36と、を備えている。
【0034】
受光部31は、例えばフォトダイオードで構成され、通信機能付室内灯1から送信された可視光を受光する。受光した可視光は電気信号に変換され制御部32へ出力される。即ち、受光部31は、通信機能付室内灯1(照明装置)から送信された情報を受信する第1受信部として機能する。
【0035】
制御部32は、座席3の全体制御を司る。制御部32は、受光部31が受光した可視光から変換された電気信号から通信機能付室内灯1が送信した情報を復調する。そして、復調された情報に基づいて制御モータ33、34等の制御を行う。また、制御部32は、圧力センサ35の出力信号に基づいて座席に乗客が着席しているか否かを判断し、判断結果を発光部36を介して通信機能付室内灯1へ赤外光通信により送信する。即ち、制御部32は、受光部31(第1受信部)が受信した情報に基づいて座席3(自身)の動作を制御する。
【0036】
制御モータ33は、例えば進行方向や乗客の好みに応じて座席3の回転を行うモータである。制御モータ33は、制御部32からの制御により座席3を回転させる。制御モータ34は、座席3の背もたれのリクライニングを行うモータである。制御モータ34は、制御部32からの制御により背もたれをリクライニングさせる。
【0037】
圧力センサ35は、座席3の座面に設けられている。圧力センサ35は、座席に乗客が着席している場合と着席していない場合とで異なる信号を制御部32へ出力する。
【0038】
発光部36は、赤外光を発光する発光素子から構成されている。発光部36は、制御部32により所定の情報を送信するように発光制御される。即ち、発光部36は、通信機能付室内灯1(照明装置)へ無線により情報を送信する第2送信部として機能する。
【0039】
表示装置4は、例えば鉄道車両の客室内の扉近傍等に設置されている。表示装置4は、例えば当該列車の目的地や次の停車駅あるいは広告等を表示する。
【0040】
図4に、表示装置4の機能構成図を示す。表示装置4は、受光部41と、制御部42と、記憶部43と、LCDドライバ44と、LCD45と、発光部46と、を備えている。
【0041】
受光部41は、例えばフォトダイオードで構成され、通信機能付室内灯1から送信された可視光を受光する。受光した可視光は電気信号に変換され制御部42へ出力される。即ち、受光部31は、照明装置から送信された情報を受信する第1受信部として機能する。
【0042】
制御部42は、表示装置4の全体制御を司る。制御部42は、受光部41が受光した可視光から変換された電気信号から通信機能付室内灯1が送信した情報を復調する。そして、復調された情報を記憶部43に格納する。そして、記憶部43に格納した情報を読み出してLCD45に情報を表示させる。また、制御部32は、例えば記憶部43に情報の記憶が完了した旨等の制御情報等を発光部46を介して赤外光通信により通信機能付室内灯1へ送信する。即ち、制御部42は、受光部41(第1受信部)が受信した情報に基づいて表示装置4(自身)の動作を制御する。
【0043】
記憶部43は、制御部42が復調した情報が格納される。記憶部43に格納される情報としては、LCD45に表示するコンテンツ情報(目的地や停車駅、広告)や、このコンテンツ情報を表示するタイミング等を制御する制御情報等が挙げられる。
【0044】
LCDドライバ44は、制御部42からの制御に基づいてLCD45を駆動する周知の駆動回路である。
【0045】
LCD45は、周知の液晶ディスプレイであり、上述した目的地や停車駅、広告等のコンテンツ情報が表示される。なお、本実施形態では、表示部として液晶ディスプレイで説明するが、有機EL等の他のディスプレイでもよい。
【0046】
発光部46は、赤外光を発光する発光素子から構成されている。発光部46は、制御部42により所定の情報を送信するように発光制御される。発光部36は、通信機能付室内灯1(照明装置)へ無線により情報を送信する第2送信部として機能する。
【0047】
なお、本実施形態では、発光部46や座席3の発光部36は、赤外光を発光しているが可視光であってもよい。また、発光部46や発光部36に代えて電波を送信するようにしてもよい。この場合は通信機能付室内灯1の受光部15も電波を受信するように変更する。要するに無線により座席3や表示装置4から通信機能付室内灯1へ送信できればよい。
【0048】
次に、上述した構成の車内通信システム10の動作について
図5〜
図7を参照して説明する。まず、座席3を回転させる際の動作について
図5のシーケンス図を参照して説明する。
図5は、例えば鉄道車両が終点等で折り返す際に座席を一斉に回転させる動作を示すものである。なお、
図5〜
図7において「室内灯」とは通信機能付室内灯1を示す。
【0049】
まず、通信機能付室内灯1は、上述したホスト機器から送信された座席回転指令を車両側送受信部11を介して受信する(ステップS101)。そして、制御部12は、受信した座席回転指令を座席3へ送信すべく発光制御部13を制御する。すると、発光制御部13は、座席回転指令を変調してLED14を点灯させて可視光通信にて座席3へ送信させる(ステップS102)。
【0050】
なお、可視光通信や赤外光通信により通信をする際には、ハンドシェイク等により通信路を確立してから情報の送受信をするようにしてもよい。
【0051】
次に、座席3は、通信機能付室内灯1から送信された可視光通信による座席回転指令を受光部31で受光することにより受信する(ステップS201)。そして、制御部32は、受信した座席回転指令に基づいて制御モータ33を制御して座席3を回転させる(ステップS202)。そして、座席の回転が完了したら、制御部32は、回転完了応答を変調して発光部36を発光させて赤外光通信により通信機能付室内灯1へ送信させる(ステップS203)。
【0052】
次に、通信機能付室内灯1は、座席3から赤外光通信により送信された回転完了応答を受光部15で受光することにより受信する(ステップS103)。そして、制御部12は、受信した回転完了応答を車両側送受信部11を介してホスト機器へ送信する(ステップS104)。なお、
図5では、座席3の回転が正常に行われる場合のみについて説明したが、回転時に何らかの異常が発生した場合は、回転完了応答に代えて異常発生を示す情報を座席3から通信機能付室内灯1へ送信してもよい。
【0053】
図5においては、座席回転指令が車内設備へ可視光通信により送信される情報、回転完了応答が照明装置へ無線により送信される情報となる。
【0054】
次に、座席3のリクライニングを戻す際の動作について
図6のシーケンス図を参照して説明する。
図6は、例えばリクライニングさせて着席していた乗客が降車した後や終着駅等で、自動的にリクライニングをデフォルトの角度へ戻す動作を示すものである。
【0055】
まず、座席3では、制御部32が圧力センサ35の出力に基づいて座席に乗客が着席しているか否か判断する(ステップS401)。判断の結果、着席している場合は再度判断を継続し(ステップS401:YES)、着席していない場合は(ステップS401:NO)、制御部32は、着席なし情報を変調して発光部36を発光させて赤外光通信により通信機能付室内灯1へ送信させる(ステップS402)。なお、ステップS401においては、一時的な離席と区別するために、例えば一定時間以上着席なしであった場合にNOと判断するようにしてもよい。或いは終着駅のみで
図6を実行するようにしてもよい。
【0056】
次に、通信機能付室内灯1は、座席3から送信された赤外光通信による着席なし情報を受光部15で受光することにより受信する(ステップS301)。そして、制御部12は、受信した着席なし情報を車両側送受信部11を介してホスト機器へ送信する(ステップS302)。そして、ホスト機器から送信されたリンクライニング戻し指令を車両側送受信部11を介して受信する(ステップS303)。そして、制御部12は、受信したリクライニング戻し指令を座席3へ送信すべく発光制御部13を制御し、発光制御部13は、リクライニング戻し指令を変調してLED14を点灯させて可視光通信にて座席3へ送信させる(ステップS304)。
【0057】
次に、座席3は、通信機能付室内灯1から送信された可視光通信によるリクライニング戻し指令を受光部31で受光することにより受信する(ステップS403)。そして、制御部32は、受信したリクライニング戻し指令に基づいて制御モータ34を制御して座席3のリクライニングを戻す(ステップS404)。そして、リクライニングの戻しが完了したら、制御部32は、リクライニング戻し完了応答を変調して発光部36を発光させて赤外光通信により通信機能付室内灯1へ送信させる(ステップS405)。
【0058】
次に、通信機能付室内灯1は、座席3から赤外光通信により送信されたリクライニング戻し完了応答を受光部15で受光することにより受信する(ステップS305)。そして、制御部12は、受信したリクライニング戻し完了応答を車両側送受信部11を介してホスト機器へ送信する(ステップS306)。なお、
図6では、座席3のリクライニング戻しが正常に行われる場合のみについて説明したが、リクライニング戻し時に何らかの異常が発生した場合は、リクライニング戻し完了応答に代えて異常発生を示す情報を座席3から通信機能付室内灯1へ送信してもよい。
【0059】
なお、
図6のシーケンス図では、通信機能付室内灯1は、リクライニング戻し指令をホスト機器から受信しているが、通信機能付室内灯1の制御部12でリクライニング戻し指令を発行するようにしてもよい。
【0060】
図6においては、リクライニング戻し指令が車内設備へ可視光通信により送信される情報、着席なし情報及びリクライニング戻し完了応答が照明装置へ無線により送信される情報となる。
【0061】
次に、表示装置4に表示されるコンテンツ情報を格納する際の動作について
図7のシーケンス図を参照して説明する。
図7は、例えば走行する路線の変更や広告の更新時等における動作を示すものである。
【0062】
まず、通信機能付室内灯1は、ホスト機器から送信されたコンテンツ情報を車両側送受信部11を介して受信する(ステップS501)。このコンテンツ情報には、広告等の映像情報そのものだけでなく映像情報の表示タイミング等の制御情報が含まれていてもよい。そして、制御部12は、受信したコンテンツ情報を表示装置4へ送信すべく発光制御部13を制御し、発光制御部13は、コンテンツ情報を変調してLED14を点灯させて可視光通信にて表示装置4へ送信させる(ステップS502)。
【0063】
次に、表示装置4は、通信機能付室内灯1から送信された可視光通信によるコンテンツ情報を受光部41で受光することにより受信する(ステップS601)。そして、制御部42は、受信したコンテンツ情報を記憶部43に格納する(ステップS602)。そして、コンテンツ情報の格納が完了したら、制御部42は、コンテンツ情報格納完了応答を変調して発光部46を発光させて赤外光通信により通信機能付室内灯1へ送信させる(ステップS603)。
【0064】
次に、通信機能付室内灯1は、表示装置4から赤外光通信により送信されたコンテンツ情報格納完了応答を受光部15で受光することにより受信する(ステップS503)。そして、制御部12は、受信したコンテンツ情報格納完了応答を車両側送受信部11を介してホスト機器へ送信する(ステップS504)。なお、
図7では、コンテンツ情報の格納が正常に行われる場合のみについて説明したが、コンテンツ情報の格納時に何らかの異常が発生した場合は、コンテンツ情報格納完了応答に代えて再送等の異常発生を示す情報を表示装置4から通信機能付室内灯1へ送信してもよい。
【0065】
図7においては、コンテンツ情報が車内設備へ可視光通信により送信される情報、コンテンツ情報格納完了応答が照明装置へ無線により送信される情報となる。
【0066】
本実施形態によれば、通信機能付室内灯1と、座席3と、表示装置4と、を有する車内通信システム10において、通信機能付室内灯1は、座席3及び表示装置4に対して可視光通信により情報を送信するLED14を備え、座席3及び表示装置4は、通信機能付室内灯1から送信された情報を受信する受光部31、41と、受光部31、41が受信した情報に基づいて座席3や表示装置4自身の動作を制御する制御部32、42と、を備えている。このようにすることにより、可視光通信により、通信機能付室内灯1から座席3及び表示装置4へ情報を伝達することができる。可視光通信は、照射範囲が限られるため、セキュリティに強く、光の届く範囲であれば一様に感度を良くすることができる。また、通信機能付室内灯1の光源を利用するため、ランニングコストを低下させることができる。したがって、セキュリティ対策が容易で、感度良く、さらに低コストに通信することができる。
【0067】
また、通信機能付室内灯1は、照明と第1送信部を兼ねる発光素子として発光ダイオードで構成されているので、室内を照明するだけでなく可視光通信も可能となり、通信用の素子を別途設ける必要が無くなる。
【0068】
また、通信機能付室内灯1は、座席3に対して当該座席3の回転又はリクライニングの指令を送信するので、可視光通信により座席3の回転やリクライニングをさせることが可能となる。
【0069】
また、通信機能付室内灯1は、表示装置4に対して当該表示装置4で表示するコンテンツ情報を送信するので、可視光通信により表示装置4に表示するコンテンツの入れ替え等を行うことができる。
【0070】
また、座席3及び表示装置4は、通信機能付室内灯1へ赤外線により情報を送信する発光部36、46が設けられ、通信機能付室内灯1は、発光部36、46が送信した情報を受信する受光部15が設けられているので、座席3や表示装置4から通信機能付室内灯1へ無線により情報を伝達することができる。したがって、座席3及び表示装置4から情報を送信するための配線が不要となる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の車内通信システムの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。