(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
一態様では、本発明は、改良されたAEIゼオライト合成方法である。好ましくは、本発明は、従来の反応物の使用と比較してシリカ及び/又はSDAの相対収率を向上させる特定の反応物の使用を含む。一実施例で、効率的にリサイクルできるSDAを選択することによって総相対収率を向上させることができ、これにより連続的なマルチバッチAEI合成工程に要するSDAの総量を低減させる。
【0015】
ある実施態様で、本方法は、(a)AEI合成工程からの母液を含むAEIゼオライト反応混合物を形成することであって、母液がAEI構造指向剤を含む、形成すること、並びに、(b)混合物を結晶化条件下で反応させて、AEI骨格を有するゼオライト結晶のバッチと後続の母液とを形成すること、の連続的なステップを含む。沈降したゼオライト結晶は、当該後続の母液から、ろ過などの任意の既存の技術によって分離されるのが好ましい。工程全体としての効率を高めるために、当該後続の母液もしくはその一部が、AEI骨格を有するゼオライト結晶の一以上の連続的なバッチの合成に用いられる。
【0016】
本明細書で使用する語「AEI」は、国際ゼオライト学会(IZA)の構造委員会(Structure Commission)によって認定されるようにAEI型骨格を表し、用語「AEIゼオライト」は、主要な結晶相がAEIであるアルミノケイ酸塩を意味する。ある実施態様ではFAUなどの他の結晶相が存在してもよいが、主要な結晶相は、少なくとも約90重量パーセントのAEI、好ましくは少なくとも約95重量パーセントのAEI、及び更に好ましくは少なくとも約98もしくは少なくとも約99重量パーセントのAEIを含む。モレキュラーシーブは、好ましくは5重量パーセント未満、より好ましくは約2重量パーセント未満、又は約1重量パーセント未満の少量のFAUを含有し得る。好ましくは、AEIモレキュラーシーブは実質的に他の結晶相を含まず、2以上の骨格型のインターグロース(intergrowth)ではない。他の結晶相に関して「実質的に含まない」というとき、モレキュラーシーブが少なくとも99重量パーセントのAEIを含有することを意味する。
【0017】
本明細書で使用する語「ゼオライト」は、アルミナ及びシリカ(即ち、SiO
4及びAlO
4の4面体単位の繰り返し)で構成された骨格を有し、好ましくは少なくとも8、例えば、約8〜約50のシリカ/アルミナ比(SAR)を有する合成アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを意味する。
【0018】
本発明のゼオライトはシリカ−アルミノリン酸塩(SAPO)ではないので、骨格中に相当量のリンを有さない。すなわち、ゼオライト骨格が規則的な繰り返し単位としてリンを有さず、且つ/又は、特に広範囲の温度でNOxを選択的に低減することができるという材料の能力に関して、材料の物理的及び/又は化学的特性に影響し得る量のリンを有さない。ある実施態様で、骨格リンの量が、ゼオライトの総重量に対して0.1重量パーセント未満であり、好ましくは0.01未満もしくは0.001重量パーセント未満である。
【0019】
本明細書でいうゼオライトは、アルミニウム以外の骨格金属を含まないか又は実質的に含まない。従って、「ゼオライト」は、ゼオライトの骨格に置換された一以上の非アルミニウム金属を含有する「金属置換型ゼオライト」とは異なる。ある実施態様では、ゼオライト骨格又はゼオライト全体が、銅、ニッケル、亜鉛、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ニオブ、及びスズ、ビスマス、並びにアンチモンを含む遷移金属を含まないか又は本質的に含まず、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、インジウム、白金などの白金族金属(PGM)を含む貴金属(noble metals)、並びに金及び銀などの貴金属(precious metals)を含まないか又は本質的に含まず、
ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ユウロピウム、テルビウム、エルビウム、イッテルビウム、及びイッテリウムなどの希土類金属を含まないか又は本質的に含まない。
【0020】
本方法によって合成されたゼオライトは、一以上の非骨格アルカリ及び/又はアルカリ土類金属を含み得る。これら金属は、典型的に、水酸化物イオン源とともに反応混合物中に導入される。そのような金属の例は、ナトリウム及びカリウムを含み、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リチウム、セシウム、及びルビジウムも含む。
【0021】
通常、イオン交換によりアルカリ金属カチオンを除去し、これを水素、アンモニウム、又は任意の所望の金属イオンに置き換えることが望ましい。従って、本発明のゼオライトは、Na型ゼオライト、K型ゼオライトなどであり得るか、もしくはH型ゼオライト、アンモニウム型ゼオライト、又は金属交換型ゼオライトであり得る。典型的なイオン交換技術は、所望の交換カチオン(一又は複数)の塩を含有する溶液に合成ゼオライトを接触させることを含む。多様な塩が用いられ得るが、塩化物及び他のハロゲン化物、硝酸塩、及び硫酸塩が特に好ましい。当技術分野では代表的なイオン交換技術が周知である。イオン交換は合成後に発生し、ゼオライトが焼成する前又は後に行われ得る。所望の交換カチオン塩溶液と接触させた後、典型的には、ゼオライトが水洗浄され、65°C〜約315°Cの範囲の温度で乾燥される。洗浄後、ゼオライトは、触媒活性を有しかつ安定な生成物を生産するために、大気中又は不活性ガス中で約200°C〜820°Cの範囲の温度で、1〜48時間の範囲もしくはそれ以上の期間、焼成され得る。
【0022】
ゼオライト反応混合物及び/又はAEI合成工程に由来する母液は、典型的に、少なくとも一のシリカ源、少なくとも一のアルミナ源、AEI骨格の形成に有用な少なくとも一のSDA、及び少なくとも一の水酸化物イオン源を含有する。しかしながら、本明細書に記載の合成方法は必ずしもアルミノケイ酸塩に限定されず、フェロシリケート、チタノシリケート、バナドシリケート、及びボロシリケートなどのAEI構造を有する他のモレキュラーシーブの合成に応用されてもよいことを理解されたい。従って、より一般的には、モレキュラーシーブの結晶化が起こる反応混合物が、少なくとも一の4価の酸化物の活性源、又は4価の酸化物(例えば、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウムもしくはそれらの混合物)の混合物と、少なくとも一の3価の酸化物又は3価の酸化物の混合物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ガリウム、酸化バナジウム、酸化鉄もしくはこれらの混合物)の混合物とを含む。
【0023】
図1A〜Cを参照すると、本発明の実施態様による方法が示されている。ここでは、AEI合成工程からの母液112を含むAEIゼオライト反応混合物114を、結晶化条件下で反応器100内で反応させて、AEI骨格102を有するゼオライト結晶のバッチと後続の母液122とを形成する。他の実施態様では、本方法は更に、AEI骨格102を有するゼオライト結晶を後続の母液122から分離させ、後続の母液122又はその一部を用いて、AEI骨格を有するゼオライト結晶の一以上の連続的なバッチを合成するステップを更に含む。好ましくは、母液112と後続の母液122とが、AEIゼオライトの形成に有用な少なくとも一のSDAを含有する。母液112及び/又は後続の母液122は、少なくとも一のシリカ源、少なくとも一のアルミナ源、及び少なくとも一の水酸化物イオン源を更に含み得る。混合物114中の反応物の望ましい割合を得るには、母液112が、少なくとも一のシリカ源、少なくとも一のアルミナ源、AEI骨格の形成に有用な少なくとも一のSDA、及び/又は少なくとも一の水酸化物イオン源を含有する供給流110と組み合され得る。同様に、反応物の適正なバランスを得るために、後続の母液122が、少なくとも一のシリカ源、少なくとも一のアルミナ源、AEI骨格の形成に有用な少なくとも一のSDA、及び/又は少なくとも一の水酸化物イオン源を含有する補充供給130と組み合わされてもよい。供給流110及び/又は130は、シリカ源、アルミナ源、及びSDA源を、沈降物として反応器から除去される(例えばゼオライト結晶内に組み込まれる)これら成分と等しい量、含有するのが典型的である。
【0024】
一実施態様では、後続の母液122が反応器内に残留し、補充供給を受ける。次いで、この第2のAEIゼオライト反応混合物を反応器100内で結晶化条件下で反応させ、AEI骨格を有するゼオライト結晶の連続的なバッチを形成する。代替的な実施態様を
図1Cで示す。ここでは、後続の母液122が反応器100から除去されて、反応器100に入る前に補充供給130と混合され、第2のAEIゼオライト反応混合物132を形成する。
【0025】
図2は、さらに別の実施態様を示す。ここでは、第1の供給流110がAEI合成工程からの母液112と組み合わされ、第1のAEIゼオライト反応混合物114を形成する。第1の供給流と母液112との組み合わせは、反応器100内への導入の前に起こってもよく、反応器100内で起こってもよい。第1のAEIゼオライト反応混合物114を反応器100内で結晶化条件下で反応させ、AEI骨格120を有するゼオライト結晶の第1のバッチと、第1の後続の母液122とを形成する。第1の後続の母液122が第1の補充流210と組み合わされ、第2のAEIゼオライト反応混合物214を形成する。第1の供給流と第2の母液122との組み合わせは、反応器200内への導入の前に起こってもよく、反応器200内で起こってもよい。第2のAEIゼオライト反応混合物214を反応器200内で結晶化条件下で反応させ、AEI骨格220を有するゼオライト結晶の第2のバッチと、第2の後続の母液222とを形成する。第2の後続の母液222が第2の補充流310と組み合わされ、第3のAEIゼオライト反応混合物314を形成する。第2の供給流と第3の母液222との組み合わせは、反応器300内への導入の前に起こってもよく、反応器300内で起こってもよい。第3のAEIゼオライト反応混合物314を反応器300内で結晶化条件下で反応させ、AEI骨格320を有するゼオライト結晶の第3のバッチと、第2の後続の母液322とを形成する。
【0026】
図2に示す工程は、連続して実施される3つのAEIゼオライト合成を示しており、ここで、1つのAEI合成からの母液又はその一部が、後続するAEIゼオライト合成で再利用される。しかしながら、本発明の方法は、AEIゼオライトの合成及び母液の再利用を特定の数に限定しない。むしろ、連続して実施されるAEIゼオライト合成及び母液再利用の数は、反応物の望ましい総相対収率に依存する。一般的に、母液の再利用の回数が増えると反応物の総相対収率が増す。好ましくは、工程全体が、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、約60〜99%、約60〜80%、約80〜90%、約90〜99%、約90〜95%、又は約95〜99%のシリカ総相対収率を有するであろう。好ましくは、工程全体が、少なくとも約40%、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、約40〜99%、約40〜60%、約60〜80%、約80〜90%、約90-95%、又は95‐99%のSDA総相対収率を有するであろう。
【0027】
適切なシリカ源は、フュームドシリカ、シリケート、沈降シリカ、コロイダルシリカ、シリカゲル、脱アルミニウムY型ゼオライトなどの脱アルミニウムゼオライト、並びにシリコン水酸化物及びアルコキシドを含むが、これらに限定されない。高い相対収率が得られるシリカ源が好ましい。典型的なアルミナ源もまた一般的に既知であり、これらは、アルミン酸塩、アルミナ、FAUゼオライトなどの他のゼオライト、アルミニウムコロイド、ベーマイト、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム及び塩化アルミニウム(alumina chloride)などのアルミニウム塩、水酸化アルミニウム及びアルコキシド、アルミナゲルを含む。
【0028】
典型的には、アルカリ金属水酸化物などの水酸化物イオン源及び/又はナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、ルビジウム、カルシウム、及びマグネシウムの水酸化物を含むアルカリ土類金属水酸化物が反応混合物に用いられる。しかしながら、同等の塩基度が維持される限りこの成分は省略されてもよい。ある実施態様では、水酸化物イオンの提供にテンプレート剤が用いられる。従って、例えば、ハロゲン化物を水酸化物イオンでイオン交換することが有益であり得、これによりアルカリ金属水酸化物の必要量を低減或いは削除することができる。合成したままの(as−synthesized) 結晶性酸化物材料内の価電子の電荷を均衡させるために、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類カチオンが、当該材料の一部であり得る。
【0029】
塩、具体的には塩化ナトリウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物が、反応混合物中に添加されるか或いは反応混合物中に形成されてもよい。AEIゼオライト反応混合物が、フッ素、含フッ素化合物、及びフッ素イオンを含まないか実質的に含まないことが好ましい。
【0030】
反応混合物は溶液、ゲル、又はペーストの形態であり得、ゲルが好ましい。AEIは、表1で示す組成を有する反応混合物から調製され得る。含シリコン及び含アルミニウム反応物はそれぞれ、SiO
2及びAl
2O
3と表されている。
【0031】
好ましくは、補充供給が、再利用される母液と組み合わせたときに所望の成分比が得られるような量のシリカ、アルミナ、SDA、アルカリ金属カチオン、及び/又は水を含有する。適切な成分バランスを達成するために、一以上の成分又は副生成物の濃縮物が、補充供給と組み合わせる前に母液から除去され得る。例えば、AEI合成反応混合物中の所望の成分比を得るために、アルカリ金属カチオン又は水の濃度が母液中で低減され得る。
【0032】
従来式のCHA合成技術において適切な反応温度、混合時間及び速度、並びに他の処理パラメータは、本発明においても一般的に適切である。一般的に、AEIゼオライト結晶が形成されるまで、反応混合物は高温で維持される。水熱結晶化は通常、自己発生圧力下、約75〜220°C、例えば約120〜160°Cの温度で、数時間、例えば、約0.1〜20日間、好ましくは約0.25〜3日間行われる。ゼオライトは、緩やかな攪拌(stirring)又は揺動攪拌(agitation)を用いて調製されるのが好ましい。
【0033】
水熱結晶化ステップ中、AEI結晶は、反応混合物から自発的に核生成させられ得る。種材料としてAEI結晶を用いることは、完全結晶化の発生の所要時間短縮に有利であり得る。AEI結晶が種として用いられる場合、AEI結晶は、反応混合物中に用いられるシリカの重量の約0.1〜10%の量、添加される。
【0034】
ゼオライト結晶が形成されると、この固相生成物は、ろ過などの標準的な機械的分離技術によって反応混合物から分離される。結晶が水洗浄されて、数秒間から数分間(例えば、気流乾燥で5秒間〜10分間)又は数時間(例えば、オーブン乾燥で約4〜24時間、75〜150°Cで)乾燥され、合成したままのAEIゼオライト結晶が得られる。乾燥ステップは大気圧下で実施されてもよく、減圧下で実施されてもよい。
【0035】
上記の連続的ステップ、及び上述の期間及び温度値の各々は例示に過ぎず、変化し得ることを理解されたい。
【0036】
本発明の合成方法により、AEI型ゼオライトのユニークなモルフォロジー(形態)(morphology)を有する新規な形態のAEIゼオライト結晶が生産される。具体的には、新規なAEIゼオライト結晶は、長さ対直径(L/D)アスペクト比の平均が3以下、例えば、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下である。L/Dアスペクト比は、下記の顕微鏡観察法を用いて、これら2つの結晶次元の測定に基づき算出されるのが好ましい。
【0037】
好ましい顕微鏡観察法は、SEM及びTEMを含む。これらの方法は、典型的に、多数の結晶の測定を要し、且つ測定された各結晶について、双方の次元において値が評価され得る。更に、結晶のバッチの結晶サイズをより完全に特徴付けるためには、平均のL/Dアスペクト比とともに、結晶サイズ分布に関して、この平均からの変動の度合もまた算出されるべきである。例えば、SEMによる測定は、材料のモルフォロジーを高倍率(典型的には1000倍〜10,000倍)で観察することを含む。SEM方法は、ゼオライト粉末の代表部分を、個々の粒子が1000倍〜10,000倍の倍率の視野全体に均一に適度に分布するよう、適切なマウント上に分散させることによって実施され得る。この母集団から、無作為の個々の結晶(例えば50)の統計的に有意なサンプル(n)が観察されて、個々の結晶の直線端の水平な線に平行な最長寸法(双晶境界は無視する)が測定され、結晶長として記録される。次いで、結晶の長軸に沿った直径が同様の技術を用いて測定される。これら測定に基づき、サンプルの算術平均及び分散が算出される。ある実施態様では、サンプルが、約1未満、好ましくは、未満、及びより好ましくは0.2未満の平均の数理的分散(mathematical variance)も有する。
【0038】
この工程により生産されたAEIゼオライト結晶は均一であり、双晶を有さないかほとんど有さず、且つ/又は複数の双晶を有し、且つ凝集(agglomeration)をほとんど有さない。結晶のモルフォロジーと、とりわけ低L/D比により、幾つかの用途において触媒性能の向上がもたらされると期待される。
【0039】
本明細書に記載の方法により生産されたAEIゼオライト結晶は約0.05〜約5μm、例えば、約0.5〜約5μm、約0.1〜約1μm、及び約1〜約5μmの平均結晶サイズを有する。ある実施態様では、ジェットミル又はその他の粒子間(particle−on−particle)粉砕技術を用いて、大きな結晶が約1.0〜約1.5ミクロンの平均サイズまで粉砕されて、触媒を含有するスラリをフロースルーモノリスなどの基材へウォッシュコートすることが容易となる。
【0040】
本明細書に記載の方法で合成されたAEIゼオライトは、好ましくは、少なくとも8、例えば、約8〜約50、約10〜約35、又は約15〜約25のシリカ/アルミナ比(SAR)を有する。合成出発混合物の組成に基づき、及び/又は工程における他の変数を調整することによって、SARは選択的に達成可能である。ゼオライトのシリカ/アルミナ比は、従来式の解析によって判定され得る。この比は、ゼオライト結晶のリジッドな(rigid)原子骨格中の比を可能な限り近似的に表し、且つ、(触媒用途における)結合剤中の又はチャネル内のカチオンもしくはその他の形態のシリコン又はアルミニウムを除くとされている。
【0041】
幾つかの用途で、AEIゼオライトは触媒として有用である。乾燥されたAEI結晶は焼成されるのが好ましいが、焼成なしで使用されてもよい。AEI触媒はまた、合成後の金属交換なしで、又は合成後の金属交換を伴って使用されてもよい。従って、本発明のある態様では、交換された金属、具体的には合成後に交換されるかもしくは含浸された金属を含まないか又は本質的に含まないAEIゼオライトを含む触媒が提供される。他の実施態様では、交換されるかもしくは他の方法でチャネル内に及び/又はゼオライトの細孔内に含浸された一以上の触媒金属イオンを含有するAEIゼオライトを含む触媒が提供される。ゼオライト合成後に交換されるかもしくは含浸され得る金属の例は、銅、ニッケル、亜鉛、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ニオブ、並びにスズ、ビスマス、及びアンチモンを含む遷移金属と、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、インジウム、白金などの白金族金属(PGM)を含む貴金属と、金及び銀などの貴金属と、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムなどのアルカリ土類金属と、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ユウロピウム、テルビウム、エルビウム、イッテルビウム、及びイッテリウムなどの希土類金属とを含む。合成後の交換において好ましい遷移金属は卑金属であり、好ましい卑金属は、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものを含む。
【0042】
遷移金属は、約0.1〜約10重量パーセント、例えば、約0.5〜約5重量パーセント、約0.1〜約1.0重量パーセント、約2.5〜約3.5重量パーセント、及び約4.5〜約5.5重量パーセントの量で存在し得る。重量パーセントはゼオライト材料の総重量に対してである。
【0043】
交換する金属で特に好ましいものは、特にカルシウム及び/又はセリウムと組み合わせる場合、及び特に遷移金属(TM)とアルカリ金属(AM)とが約15:1〜約1:1(例えば、約10:1〜約2:1、約10:1〜約3:1、又は約6:1〜約4:1)のTM:AMモル比で存在する場合には、銅及び鉄を含む。
【0044】
合成後に組み込まれる金属は、イオン交換、含浸、同型置換などの任意の既知の技術によってモレキュラーシーブに添加され得る。
【0045】
これら交換された金属カチオンはゼオライトの分子骨格を構成する金属とは異なるので、金属交換されたゼオライトは金属置換されたゼオライトとは異なる。
【0046】
触媒がウォッシュコート組成の一部である実施態様では、ウォッシュコートが、Ce又はセリアを含有する結合剤を更に含み得る。そのような実施態様では、結合剤中のCe含有粒子が触媒中のCe含有粒子よりも大幅に大きい。
【0047】
本発明の触媒は、不均一系触媒反応システム(即ち、ガス反応物と接触する固体触媒)に特に応用可能である。接触表面積、機械的安定性、及び/又は流動特性を向上させるため、触媒は、基材(好ましくは多孔性の基材)上に及び/又は内部に配置される。ある実施態様では、触媒を含有するウォッシュコートが波形の金属プレート又はハニカムコーディエライト塊などの不活性基材に塗布される。代替的に、触媒が、充填剤、結合剤、強化剤などの他の成分と共に押出し可能なペースト中に練り込まれ、次いで、型を通って押し出されてハニカム塊を形成する。従って、ある実施態様では、基材を被覆し且つ/又は基材に組み込まれる本明細書に記載のAEI触媒を含む触媒物品が提供される。
【0048】
本発明の幾つかの態様は触媒ウォッシュコートを提供する。本明細書に記載のAEI触媒を含むウォッシュコートは、好ましくは、溶液、懸濁液、又はスラリである。適切なコーティングは、表面コーティング、基材の一部分を貫通するコーティング、基材に浸透するコーティング、又はそれらの何らかの組み合わせを含む。
【0049】
ウォッシュコートは、充填剤、結合剤、安定剤、流動性改質剤、及び、アルミナ、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、チタン、ジルコニア、セリアのうちの一以上を含む他の添加物などの非触媒成分も含み得る。ある実施態様で、触媒組成物は、グラファイト、セルロース、デンプン、ポリアクリレート、及びポリエチレンなどの細孔形成剤を含み得る。これらの添加成分は必ずしも所望の反応を触媒しないが、例えば、動作温度範囲の拡大、触媒の接触表面積の増大、触媒の基材への接着性向上など、触媒材料の効率を向上させる。好ましい実施態様では、ウォッシュコートのローディングが>0.3g/in
3、例えば、>1.2g/in
3、>1.5g/in
3、>1.7g/in
3、又は>2.00g/in
3などであり、好ましくは<3.5g/in
3、例えば<2.5g/in
3などである。ある実施態様では、ウォッシュコートが、約0.8〜1.0g/in
3、1.0〜1.5g/in
3、又は1.5〜2.5g/in
3のローディングで基材に塗布される。
【0050】
触媒が塗布される基材のデザインのうち最もよく用いられる2種は、プレート及びハニカムである。特に移動用途に使用するための好適な基材は、両端が開口し一般に基材の入口面から出口面にほぼ延びる多数の近接した平行チャネル(流路)を含み結果として表面積対体積の比が大きいいわゆるハニカム構造を有する、フロースルーモノリスを含む。幾つかの用途では、ハニカムフロースルーモノリスが、例えば、好ましくは1平方インチあたり約600〜800セルの高いセル密度を有し、且つ/又は、約0.18〜0.35mm、好ましくは約0.20〜0.25mmの平均内部壁厚さを有する。幾つかの用途では、ハニカムフロースルーモノリスが、好ましくは1平方インチあたり約150〜600セル、より好ましくは1平方インチあたり約200〜400セルの低いセル密度を有する。ハニカムモノリスは多孔性であることが好ましい。コーディエライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、セラミック、及び金属に加えて、基材に使用可能な他の材料は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム、αアルミナ、ムライト、例えば、針状ムライト、ポルサイト、Al
2OsZFe、Al
2O
3/NiもしくはB
4CZFeなどのサーメット、又はこれらのうちの2以上のセグメントの複合体を含む。好ましい材料は、コーディエライト、炭化ケイ素、及びチタン酸アルミナを含む。
【0051】
プレート型触媒は圧力低下が小さく且つハニカム型よりも閉塞及び汚損を受けにくく、静止状態の用途では高効率であるという利点があるが、プレート構成はより大型且つより高価となり得る。ハニカム構成は典型的にプレート型より小型であり、移動用途において有利であるが、圧力低下が大きく閉塞がより起こりやすい。ある実施態様では、プレート基材が金属、好ましくは波形金属で構成される。
【0052】
ある実施態様で、本発明は、本明細書に記載の工程で作製された触媒物品である。特定の実施態様では、触媒物品がある工程により生産される。本工程は、他の組成物の少なくとも一の追加の層が、排ガス処理のために塗布される前又は後の何れかに、AEI触媒組成物を、好ましくはウォッシュコートとして、基材に層として塗布するステップを含む。AEI触媒層を含む基材上の一以上の触媒層は、連続した層状に配置される。基材上の触媒層に関して本明細書で使用する語「連続した」は、各層が隣接する層(一又は複数)に接触していること、及び、触媒層全体が基材上に互いに重なって配置されていることを意味する。
【0053】
ある実施態様では、AEI触媒が第1の層もしくはゾーンとして基材上に配置されており、酸化触媒、還元触媒、捕捉成分、又はNOx吸蔵成分などの他の組成物が、第2の層もしくはゾーンとして基材上に配置されている。本明細書で使用する語「第1の層」及び「第2の層」は、排ガスが触媒物品を貫通、通過、及び/又は越えて流れる通常の方向に対する、触媒物品中の触媒層の相対的な位置を示すために用いられている。通常の排ガス流条件では、排ガスが、第2の層に接触する前に第1の層に接触する。ある実施態様では、第2の層が底部層として不活性基材に塗布され、第1の層は、一連の副層として第2の層の上に塗布される上部層である。そのような実施態様では、排ガスは、第2の層に接触する前に第1の層に浸透(従って接触)し、次いで、第1の層を通って戻り触媒成分を出る。他の実施態様では、第1の層が基材の上流部分に配置された第1のゾーンであり、第2の層は第1よりも下流である第2のゾーンとして基材上に配置されている。
【0054】
別の実施態様では、AEI触媒組成物を、好ましくはウォッシュコートとして、第1のゾーンとして基材に塗布し、次いで、排ガスを処理するための少なくとも一の追加の組成物を第2のゾーンとして基材に塗布するステップを含む工程によって、触媒物品が生産され、第1のゾーンの少なくとも一部分は第2のゾーンの下流にある。代替的に、AEI触媒組成物が、追加の組成物を含有する第1のゾーンの下流にある第2のゾーンにおいて基材に塗布されてもよい。追加の組成物の例は、酸化触媒、還元触媒、(例えば、硫黄、水などの)捕捉成分、又はNOx吸蔵成分を含む。
【0055】
排気システムが必要とする空間の量を減らすために、ある実施態様での個々の排気成分が一以上の機能を実施するように設計される。例えば、SCR触媒をフロースルー基材ではなくウォールフローフィルタ基材に塗布することにより、排ガス中のNOx濃度を触媒化により低減し且つ排ガスからスートを機械的に除去するという2つの機能を1つの基材が有することが可能となり、これにより排気処理システムの全体としてのサイズが低減する。従って、ある実施態様では、基材がハニカムウォールフローフィルタ又はパーシャルフィルタである。ウォールフローフィルタは、複数の隣接する平行なチャネルを含むという点においてフロースルーハニカム基材と同様である。しかしながら、フロースルーハニカム基材のチャネルは両端が開いているのに対し、ウォールフロー基材は一端が被蓋されており、且つ被蓋が、隣接するチャネルの対向する端部で交互になされている。チャネルの交互端部が被蓋されることで、基材の入口面に入るガスが、チャネルを直進流通して出ることが防止される。その代わりに、排ガスは基材の前面に入ってチャネルの約半分まで移動して、チャネルのあとの半分に入って基材の背面から出る前に、チャネル壁を通流させられる。
【0056】
基材の壁は、ガスが透過可能な空隙率と細孔径とを有しているが、ガスが壁を通過する際に、スート等のパティキュレートマターの大部分をガスから捕捉する。好ましいウォールフロー基材は、高効率フィルタである。本発明と共に使用されるウォールフローフィルタは、好ましくは、少なくとも70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は、少なくとも約90%の効率を有する。ある実施態様では、効率は、約75〜約99%、約75〜約90%、約80〜約90%、又は、約85〜約95%であろう。ここで、効率は、スート及び他の同様の粒径の粒子、及び通常のディーゼル排ガス中に典型的に見出される粒子濃度に対するものである。例えば、ディーゼル排気中の粒子は、0.05ミクロン〜2.5ミクロンの範囲であり得る。よって、効率は、この範囲か部分的範囲、好ましくは0.1〜0.25ミクロン、より好ましくは0.25〜1.25ミクロン、又は最も好ましくは1.25〜2.5ミクロンに基づき得る。
【0057】
空隙率は、多孔性基材中の空隙のパーセンテージであり、排気システム中の背圧に関連する。一般的に、空隙率が小さい程背圧が大きい。好ましくは、多孔性の基材は、約30〜約80%、例えば、約40〜約75%、約40〜約65%、又は約50〜約60%の空隙率を有する。
【0058】
細孔の相互接続性は、基材の総空隙容積のパーセンテージとして表され、細孔、空隙、及び/又はチャネルが結合されて多孔性基材を貫通している、即ち入口面から出口面までの連続的な通路を形成している度合である。対照的に、細孔の相互接続性が、閉塞している細孔容積と基材表面のうちの1つのみへの導管を有する細孔の容積との和である。好ましくは、多孔性基材が、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%の細孔相互接続容積を有する。
【0059】
多孔性基材の平均孔サイズも、ろ過にとって重要である。平均孔サイズは、水銀ポロシメトリーを含む、受容可能な任意の手段によって決定され得る。多孔性基材の平均孔サイズは、基材自体によって、スートケーキ層の基材表面上への促進によって、もしくは両方の組み合わせによって、妥当な効率を提供する一方で、低背圧を促進するに十分大きな値であるべきである。好ましい多孔性基材は、約10〜約40μm、例えば約20〜約30μm、約10〜約25m、約10〜約20μm、約20〜約25μm、約10〜約15μm、及び、約15〜約20μmの、平均孔サイズを有する。
【0060】
一般的に、AEI触媒を含むハニカムフロースルー型又はウォールフロー型フィルタなどの押出し成形される固体の生産は、AEI触媒、結合剤、オプションとして有機増粘化合物を、均質なペーストへとブレンドし、次いで、結合剤/母材成分もしくはその前駆体、及びオプションとして一以上の安定化セリア、及び無機繊維に添加することを含む。ブレンドは、混合装置もしくは練成装置又は押し出し機内に詰められる。混合物は、濡れ性を向上させることにより均一なバッチを生産するための処理補助剤として、結合剤、細孔形成剤、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤などの有機添加物を有する。次いで、得られた塑性材料が、具体的には押出しダイを含む押出しプレス又は押出し機を用いて成形され、得られた成型品が乾燥及び焼成される。押出し成形された固体の焼成中、有機添加物は「焼失(burnt out)」する。AEIゼオライト触媒はまた、押出し成形された固体の表面上に存在するか又は完全にもしくは部分的に浸透する一以上の副層として、ウォッシュコート又は他の方法で、押出し成形された固体に塗布される。
【0061】
結合剤/母材成分は、好ましくは、コーディエライト、窒素、炭化物、ホウ化物、金属間化合物、リチウムアルミノケイ酸塩、スピネル、オプションとしてドープされたアルミナ、シリカ源、チタン、ジルコニア、チタン−ジルコニア(titania−zirconia)、ジルコン、及びそれらのうちの任意の2以上の混合物からなる群から選択される。オプションとして、ペーストが、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ/アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、カリウムチタン繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、及びセラミック繊維からなる群から選択される無機強化繊維を含有してもよい。
【0062】
アルミナ結合剤/母材成分は、好ましくはガンマアルミナであるが、任意の他の遷移アルミナ、即ち、αアルミナ、βアルミナ,χ(chi)アルミナ,η(eta)アルミナ,ρ(rho)アルミナ,κ(kappa)アルミナ,θ(theta)アルミナ,δアルミナ,ランタンβアルミナ、及びこれらの遷移アルミナのうちの任意の2以上の混合物であってもよい。アルミナの熱安定性向上のために、アルミナに少なくとも一の非アルミニウム要素がドープされているのが好ましい。適切なアルミナドーパントは、シリコン、ジルコニウム、バリウム、ランタニド、及びそれらのうち任意の2以上の混合物を含む。適切なランタニドドーパントは、La,Ce,Nd,Pr,Gd、及びそれらのうち任意の2以上の混合物を含む。
【0063】
好ましくは、AEI触媒が、押出し成形された触媒体の全体に、好ましくは均一に分散されている。
【0064】
上述の押出し成形された固形体のうちの何れかがウォールフローフィルタとされる場合、ウォールフローフィルタの空隙率は30〜80%、例えば40〜70%であり得る。空隙率及び細孔容積並びに細孔径は、例えば水銀圧入法を用いて測定され得る。
【0065】
本明細書に記載のAEI触媒が、還元剤(好ましくはアンモニア)の窒素酸化物との反応を促進し、元素としての窒素(N
2)及び水(H
2O)を選択的に形成し得る。一実施態様において、該触媒は、窒素酸化物の還元剤との反応(即ちSCR触媒)に有利となる組成とされ得る。そのような還元剤の例は、炭化水素(例えば、C
3-C
6炭化水素)、及びアンモニア及びアンモニアヒドラジン(ammonia hydrazine)などの窒素系還元剤、又は、尿素((NH
2)
2CO)、カルボミン酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、又はギ酸アンモニウムなどの任意の適切なアンモニア前駆体を含む。
【0066】
本明細書に記載のAEI触媒はまた、アンモニアの酸化も促進する。従って、他の実施態様では、触媒が、酸素によるアンモニアの酸化を促進するような組成とされ得る。具体的には、アンモニアの濃縮物が、SCR触媒(例えば、アンモニアスリップ触媒(ASC)などのアンモニア酸化(AMOX)触媒)の下流で遭遇するのが典型的である。特定の実施態様において、AEI触媒は酸化作用のある下層の上の最上層として配置され、下層は、白金族金属(PGM)触媒又は非PGM触媒を含む。好ましくは、下層中の触媒成分が、アルミナを含むがこれに限定されない、表面積の大きい支持体上に配置される。
【0067】
更に別の実施態様では、SCR及びAMOXの作用が連続して実施され、両方の工程が、本明細書に記載のAEI触媒を含む触媒を用い、SCR工程はAMOX工程の上流で起こる。例えば、触媒のSCR組成物がフィルタの入口側に配置され、触媒のAMOX組成物がフィルタの出口側に配置され得る。
【0068】
従って、ガス中のNOx化合物の還元又はNH
3の酸化方法が提供され、本方法は、ガス中のNOx化合物及び/又はNH
3のレベルを低減するのに十分な期間、NOx化合物を触媒還元するために、本明細書に記載の触媒組成物にガスを接触させることを含む。ある実施態様で、選択式還元(SCR)触媒の下流に配置されたアンモニアスリップ触媒を有する触媒物品が提供される。そのような実施態様では、アンモニアスリップ触媒が、選択式還元触媒工程で消費されない任意の窒素系還元剤の少なくとも一部分を酸化する。例えば、ある実施態様で、アンモニアスリップ触媒がウォールフローフィルタの出口側に配置され、SCR触媒がフィルタの上流側に配置される。幾つかの他の実施態様では、アンモニアスリップ触媒がフロースルー基材下流端に配置され、SCR触媒がフロースルー基材の上流端に配置される。他の実施態様では、アンモニアスリップ触媒及びSCR触媒が、排気システム内の別個の塊上に配置される。これら別個の塊は、互いに流体連通している限り、且つSCR触媒塊がアンモニアスリップ触媒塊の上流にある限り、互いに隣接するか互いに接触しているか、或いは特定の距離をおいて離れていてよい。
【0069】
ある実施態様では、SCR及び/又はAMOX工程が温度少なくとも100°Cの温度で実施される。他の実施態様では、SCR及び/又はAMOX工程が温度約150°C〜約750°Cの温度で起こる。特定の実施態様では、温度範囲が約175〜約550°Cである。他の実施態様では、温度範囲が約175〜400°Cである。更に別の実施態様では、温度範囲が450〜900°C、好ましくは500〜750°C、500〜650°C、450〜550°C、又は650〜850°Cである。450°Cよりも高い温度を用いる実施態様は、例えば、フィルタの上流で排気システムに炭化水素を注入することによってactiveに再生される(オプションとして触媒化された)ディーゼルパティキュレートフィルタを含む排気システムを装備する大型及び小型ディーゼルエンジンからの排ガス処理に特に有用である。本発明で用いるゼオライト触媒はフィルタの下流に位置している。
【0070】
本発明の他の態様によれば、ガス中のNO
X化合物の還元及び/又はNH
3の酸化方法が提供される。本方法は、ガス中のNOx化合物のレベルを低下させるのに十分な期間、ガスを本明細書に記載の触媒に接触させることを含む。本発明の方法は、次のステップのうちの一以上を含む。(a)触媒フィルタの入口と接触しているスートを蓄積及び/又は燃焼するステップ、(b)触媒フィルタと接触する前に、好ましくはNO
X処理と還元剤を含む触媒化ステップの介在なく、窒素系還元剤を排ガス流中に導入するステップ、(c)NO
X吸着触媒上でNH
3を生成するステップ、及び好ましくは下流のSCR反応で還元剤としてNH
3を使用するステップ、(d)排ガス流をDOCと接触させ、炭化水素系の可溶性有機成分(SOF)及び/又は一酸化炭素をCO
2へと酸化し、且つ/又はNOをNO
2へと酸化するステップであって、それらがパティキュレートフィルタ中のパティキュレートマターを酸化するために使用され得るステップ、及び/又は排ガス中のパティキュレートマター(PM)を還元するステップ、(e)還元剤の存在下、排ガスを一以上のフロースルーSCR触媒デバイスと接触させ、排ガス中のNO
X濃度を減少させるステップ、並びに、(f)好ましくはSCR触媒の下流で、排ガスをアンモニアスリップ触媒と接触させ、全てではなくとも大部分のアンモニアを排ガスが大気中に放出される前に酸化するステップ、又は排ガスがエンジンに入る/再入する前に、排ガスを再循環ループに通すステップ、を含み得る。
【0071】
別の実施態様において、全て又は少なくとも一部の窒素系還元剤、特にSCR工程で消費されるNH
3は、SCR触媒、例えば、ウォールフローフィルタ上に配置される本発明のSCR触媒の上流に配される、NO
X吸収触媒(NAC)、リーンNO
Xトラップ(LNT)、又はNO
X吸蔵/還元触媒(NSRC)により供給され得る。本発明に有用なNAC成分は、塩基性材料(アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、及びこれらの組み合わせを含むアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属など)及び貴金属(白金等)、及び任意にロジウムのような還元性触媒成分を含む。NACにおいて有用な塩基性材料の具体的な種類は、酸化セシウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、及びこれらの組み合わせを含む。貴金属は、好ましくは約10〜約200g/ft
3、例えば、20〜60g/ft
3存在する。あるいは、触媒の貴金属は、約40〜約100グラム/ft
3までであり得る平均濃度を特徴とする。
【0072】
特定の条件下、周期的にリッチな再生現象の間、NH
3は、NO
X吸収触媒上で生成され得る。NO
X吸収触媒の下流のSCR触媒は、NO
X還元効率のシステム全体を改善し得る。該複合システムにおいて、SCR触媒は、NAC触媒から放出されるNH
3を吸蔵することが可能であり、通常のリーン操作条件中、NAC触媒をすり抜けるNO
Xのいくらか又は全てを選択的に還元するために吸蔵されたNH
3を利用する。
【0073】
本明細書に記載の排ガス処理方法は、燃焼過程由来、例えば、内燃機関(移動式又は固定式)、ガスタービン、及び石炭又は石油火力発電所からの排ガスに対して実施され得る。該方法は、精錬所のヒータ及びボイラ、燃焼炉、化学プロセス工業、コークス炉、都市廃棄物プラント、及び焼却炉などの精錬などの工業工程からのガスを処理するためにも使用され得る。特定の実施態様において、該方法は、車両のリーンバーン内燃機関、例えば、ディーゼルエンジン、リーンバーンガソリンエンジン、又は液化石油ガス若しくは天然ガスにより駆動されるエンジンから排ガスを処理するために使用される。
【0074】
有る態様では、本発明は、内燃エンジン(可動、静止に関わらず)、ガスタービン、石炭又は石油火力発電所などの燃焼プロセスによって発生する排ガスを処理するシステムである。そのようなシステムは、本明細書に記載のAEI触媒と、排ガス処理用の少なくとも一の追加の成分とを含む触媒物品を含み、当該触媒物品と少なくとも一の追加の成分とは、ひとまとまりの単位として機能するように設計されている。
【0075】
ある実施態様で、システムは、本明細書に記載のAEI触媒を含む触媒物品と、排ガス流を案内する導管と、触媒物品の上流に配置された窒素系還元剤源とを含む。システムは、ゼオライト触媒が所望の効率以上で、例えば、100℃より高温、150℃より高温、又は175℃より高温でNO
Xの還元を触媒することが可能であると判定される場合にのみ、排ガス流中に導入する窒素系還元剤を計量するための制御装置を含み得る。窒素系還元剤の計量は、NH
3/NOが1:1、及びNH
3/NO
2が4:3で計算される場合にSCR触媒に入る排ガス中に60%〜200%の理論上のアンモニアが存在するように設定され得る。
【0076】
更なる実施態様において、システムは、排ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化する酸化触媒(例えば、ディーゼル酸化触媒(DOC))を含み、当該触媒は排ガス中への窒素系還元剤を計量する地点の上流に設置され得る。一実施形態で、酸化触媒は、SCRゼオライト触媒に入るガス流であって、体積で約4:1〜約1:3のNO対NO
2比を有し且つ酸化触媒入口における排気ガス温度が例えば250oC〜450oCであるガス流が得られるように適合されている。当該酸化触媒は、フロースルーモノリス基材を被覆する白金、パラジウム、又はロジウムなどの少なくとも一の白金族金属(又はこれらの何らかの組み合わせ)を含む。一実施態様では、少なくとも1つのプラチナ族金属は、プラチナ、パラジウム、又は、プラチナとパラジウムの両方の組み合わせである。
プラチナ族金属は、アルミナ、アルミノケイ酸塩ゼオライトのようなゼオライト、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、又は、セリアとジルコニアの両方を含有する混合酸化物或いは複合酸化物といった高表面積ウォッシュコート成分上で支持されることが可能である。
【0077】
更なる実施態様において、適切なフィルタ基材は、酸化触媒とSCR触媒の間に設置される。フィルタ基材は、上記のうちの任意のものから(例えば、ウォールフローフィルタから)選択され得る。例えば、上述の種類の酸化触媒を用いてフィルタが触媒化される場合、好ましくは、窒素系還元剤を計量する地点がフィルタとゼオライト触媒との間に位置する。あるいは、フィルタが触媒化されない場合、窒素系還元剤の計量手段は、酸化触媒とフィルタの間に配置され得る。
【実施例】
【0078】
実施例:N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムを用いた、リサイクル母液中でのAEIゼオライトの合成
10.7のSARを有する約36グラムの脱アルミニウムUSYゼオライトが、約
1093グラムの水と混合される。この混合物に、約195グラムのN,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤と約427グラムの液体ケイ酸ナトリウム(28.8wt%SiO
2)が上記の混合物に、攪拌しながら低速で注入される。次いで、得られた混合物が、密閉されたステンレス鋼の反応器内で200rpmで攪拌しながら145°cまで加熱される。2日間の結晶化の後、得られた結晶化された混合物が別のファンネルに移される。静止状態で、固相沈殿物と上澄み液体層とが数時間後に分離する。清澄な母液のバルクが収集されて、第1の過程の(first pass)母液(ML−P1)に指定される。
【0079】
底部スラリ中の固体が回収され、XRDによってAEIであることが確認される。この生成物の化学的解析によると、SARが20.0である。母液の解析は、合成後の未使用テンプレートの検知可能な分解物がないことを示す。
【0080】
SAR30の脱アルミニウムUSYゼオライト約38グラム、及びSAR10.7のUSYゼオライト約21グラムが、1582グラムのML−P1と混合される。この混合物に、約45グラムのN,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウム テンプレート剤と約31グラムの水が連続的に添加される。攪拌下で、約34グラムの液体ケイ酸ナトリウム(28.8wt%SiO
2)が上記の混合物に低速で注入される。次いで、反応混合物が、ステンレス鋼の反応器内で200rpmの攪拌と共に約145°Cまで加熱される。20〜35時間の結晶化の後、得られた固体が取り除かれ、AEIゼオライトであるかをXRDによって評価される。当該生成物の化学的解析によれば、SARが20.0であることが示される。母液が収集され、第2の過程の母液(ML−P2)と指定される。ML−P2が同様の方式で利用されてML−P3が生成され、次いでML−P3を用いてML−P4が生成され、ML−P4を用いてML−P5が生成された。
【0081】
これら合成試験の結果を表2に示す。
【0082】
これら結果は、シリカの総相対収率とSDAの総相対収率とを向上させるために、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムのテンプレート剤が複数回リサイクル可能であることを示している。リサイクルされる母液の割合、ゲルの組成、リサイクルの反復回数、温度、時間、攪拌速度、圧力などの反応パラメータを変化させることによって、比較可能な結果が得られる。更に、異なるSAR値などの異なる特性を有するAEIゼオライト結晶を得るためにゲルの組成及び工程パラメータを変化させてもよい。
【0083】
比較例:N,N−Diエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムを用いたAEIゼオライトの合成
SAR10.7の脱アルミニウムUSYゼオライト約35グラムが、約9548グラム水と混合される。この混合物に、約302グラムのN,N−Diエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤と約415グラムの液体ケイ酸ナトリウム(28.8wt%SiO
2)が、上記の混合物に攪拌下で注入される。次いで、得られた混合物が、密閉されたステンレス鋼の反応器内で200rpmで攪拌しながら145°cまで加熱される。7日間の結晶化の後、得られた結晶化された混合物が別のファンネルに移される。静止状態で2〜4日後、底部沈殿物と上澄み液体層とは十分に分離する。上澄み液体層は、水性の底部部分と、上部部分に分離された薄い油状の層とを含有する。
【0084】
底部スラリ中の固体が回収され、XRDによってAEIであることが確認される。この生成物の化学的解析によると、SARが25.2である。母液の水性な底部部分の解析は、未使用のテンプレート剤の35〜40%が分解されていることが示す。上部の油状部分の解析は、テンプレート剤の分解物と一致した分子を主に示す。
【0085】
これらの結果は、従来型のテンプレート剤であるN,N−Diエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムを用いたAEIゼオライト合成反応に由来する母液が、連続的なAEIゼオライト合成バッチにおいて効果的に使用できないことを示している。対照的に、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムがAEI合成反応のテンプレート剤として用いられる場合、母液は、連続的なAEIゼオライト合成バッチで再利用可能である。
【0086】
本発明の更なる態様は以下の通りである。
【0087】
AEI合成工程からの母液もしくはその一部を含む、AEIゼオライト反応混合物を形成することであって、母液もしくはその一部がAEI構造指向剤を含む、形成すること、及び
混合物を結晶化条件下で反応させて、AEI骨格を有するゼオライト結晶のバッチと後続の母液とを形成すること
を含む、ゼオライト合成方法。
【0088】
AEI骨格を有するゼオライト結晶を、後続の母液から分離すること、及び
後続の母液もしくはその一部を用いて、AEI骨格を有するゼオライト結晶の一以上の連続的なバッチを合成すること
を更に含む、上記のゼオライト合成方法。
【0089】
後続の母液もしくはその一部を用いて、AEI骨格を有するゼオライト結晶のXの連続的なバッチが合成され、Xは、少なくとも約60パーセントのシリカの総相対収率及び/又は少なくとも約40パーセントの構造指向剤の総相対収率を得るのに有効な値を有する整数である、上記のゼオライト合成方法。
【0090】
Xが1から20である、上記のゼオライト合成方法。
【0091】
構造指向剤が環状又は多環状四級アンモニウムカチオンである、上記のゼオライト合成方法。
【0092】
構造指向剤が、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウム、N,N−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジニウム、N,N−ジメチル−2−エチルピペリジニウム、及び2,2,4,6,6−ペンタメチル−2−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンから選択される一以上のカチオンである、上記のゼオライト合成方法。
【0093】
構造指向剤がN,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムカチオンである、上記のゼオライト合成方法。
【0094】
混合物が、シリカ源、アルミナ源、及び水酸化物イオン源を更に含む、上記のゼオライト合成方法。
【0095】
一連の連続的なAEIゼオライト合成バッチ反応における、母液もしくはその一部の使用により、結果として、シリカの総相対収率が少なくとも約60パーセント、且つ/又は構造指向剤の総相対収率が少なくとも約40パーセントである、上記のゼオライト合成方法。
【0096】
シリカの総相対収率が少なくとも75%である、上記のゼオライト合成方法。
【0097】
シリカの総相対収率が少なくとも90%である、上記のゼオライト合成方法。
【0098】
構造指向剤の総相対収率が少なくとも60%である、上記のゼオライト合成方法。
【0099】
構造指向剤の総相対収率が少なくとも80%である、上記のゼオライト合成方法。
【0100】
a.(a)少なくとも一のアルミニウム源、(b)少なくとも一のシリカ源、(c)少なくとも一の水酸化物イオン源、及び(d)AEI構造指向剤(SDA)を含む混合物を調製することと、
b.混合物を結晶化条件下で反応させ、AEI骨格を有しシリカ/アルミナ比(SAR)が8から50であるゼオライト結晶、及び母液を形成することと
を含み、反応により、結果として、シリカの総相対収率が少なくとも約60パーセントである、上記のゼオライト合成方法。
【0101】
混合物がフッ素、フッ素イオン、及び含フッ素化合物を実質的に含まない、上記の方法。
【0102】
約3以下の平均アスペクト比(L/D)を有するアルミノケイ酸塩AEIゼオライト結晶を含む、組成物。
【0103】
アルミノケイ酸塩ゼオライトが約15から約35のシリカ/アルミナ比を有する、上記の組成物。
【0104】
アルミノケイ酸塩ゼオライトが、合成後に交換された一以上の遷移金属イオンを含む、上記の組成物。
【0105】
アルミノケイ酸塩ゼオライトが、ゼオライトの総重量に基づき約0.5から5重量パーセントの合成後に交換された銅イオンを含む、上記の組成物。
【0106】
上記の方法で生産されたAEIゼオライト組成物。