特許第6836627号(P6836627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836627水溶性塗布液及びそれを塗布したポリエステル光学フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836627
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】水溶性塗布液及びそれを塗布したポリエステル光学フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/04 20060101AFI20210222BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20210222BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20210222BHJP
   B05D 7/04 20060101ALI20210222BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20210222BHJP
   C09D 151/00 20060101ALI20210222BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20210222BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20210222BHJP
【FI】
   C09D175/04
   B32B27/36
   B32B27/40
   B05D7/04
   B05D7/24 301C
   B05D7/24 302T
   C09D151/00
   C09D7/62
   C08J7/04 BCFD
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-116015(P2019-116015)
(22)【出願日】2019年6月24日
(65)【公開番号】特開2020-2355(P2020-2355A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年6月24日
(31)【優先権主張番号】107121926
(32)【優先日】2018年6月26日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】廖 徳 超
(72)【発明者】
【氏名】曹 俊 哲
(72)【発明者】
【氏名】鄭 文 瑞
(72)【発明者】
【氏名】陳 政 宏
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101134865(CN,A)
【文献】 特開2009−234009(JP,A)
【文献】 特開2003−155366(JP,A)
【文献】 特開2003−171486(JP,A)
【文献】 特開2009−083223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
B05D
B32B
C08J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル薄膜基材の表面に塗布してコート層を形成し得る水溶性塗布液であって、前記水溶性塗布液に、
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂2〜40wt%と、
(2)架橋剤0.5〜30wt%と、
(3)充填粒子混合液0.05〜30wt%と、
(4)助剤、触媒、又は助溶剤から選ばれる1種以上の添加剤0.05〜10wt%と、
(5)水50〜85wt%と、を各成分の全量が100wt%となるように含有し、
前記(3)充填粒子混合液の組成として、
(a)シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又は硫酸バリウムから選ばれる1種以上の無機粒子20〜95wt%と、
(b)無機粒子表面を変性する表面変性剤0.5〜30wt%と、を含み、
前記アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂は、
(a)アルキル基含有(メタ)アクリレート90〜95wt%と、
(b)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート4〜9wt%と、
(c)カルボキシル基含有ビニルモノマー1〜5wt%と、を各成分の全量が100wt%となるようにして各アクリレートモノマーからグラフト変性されるものであることを特徴とする、水溶性塗布液。
【請求項2】
前記(3)の無機粒子の粒子径は、0.005〜3μmにある、請求項1に記載の水溶性塗布液。
【請求項3】
表面が変性された前記無機粒子の濃度は、水溶性塗布液の固形分含有量の0.01%〜6%を占める、請求項1又は2に記載の水溶性塗布液。
【請求項4】
前記カルボキシル基含有ビニルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、又はマレイン酸無水物からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性塗布液。
【請求項5】
成分(2)架橋剤は、メラミン架橋剤、ヒドロキシメチル変性メラミン誘導体架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、又はカルボンジイミド系架橋剤からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性塗布液。
【請求項6】
成分(3)の表面変性剤は、ビニルシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、スチリルシランカップリング剤、メタクリロイルオキシシランカップリング剤、アクリロイルオキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、イソシアヌレート基シランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、又はイソシアネートシランカップリング剤からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水溶性塗布液。
【請求項7】
成分(4)の助剤は、ケイ素含有添加剤、フッ素含有添加剤、又はケイ素・フッ素混合成分含有添加剤からなる群から選ばれるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水溶性塗布液。
【請求項8】
成分(4)の助溶剤は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、i−ブタノール、ジメチルスルホキシド、アセトン、又はテトラヒドロフラン溶剤からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水溶性塗布液。
【請求項9】
二軸延伸ポリエステルフィルム基材を有し、一方の表面にコート層を構成するように請求項1〜8のいずれか一項に記載の水溶性塗布液が塗布される、ポリエステル光学フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コート層を形成するようにポリエステル薄膜基材の表面に塗布できる水溶性塗布液及びそれを塗布したポリエステル光学フィルムに関し、特に、高い透明性及び低いヘイズの他、優れたスティッキング防止性、接着性、及び滑り性などの特性を持たせるコート層を形成し得る水溶性塗布液及びそれを塗布したポリエステル光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレーのバックライトモジュール基材、例えば、拡散膜又は輝度上昇フィルムなどは、ポリエステル光学フィルム、例えば、二軸延伸されたPET光学フィルムから作成された。ポリエステル光学フィルムの透明性、ヘイズ及び滑り性は、ポリエステル光学フィルムの結晶化度、及び添加されたマイクロオーダー滑り剤の種類と含有量に関係する以外、もう1つの重要な要因としてはポリエステル薄膜基材に塗布されたコート層の物性と密接に関連する。ポリエステル薄膜の滑り性を改良するために、コート層の成分において、ポリエステル樹脂の他、微細な無機粒子を添加することが行われている。コート層の屈折率と表面フラット性の他、コート層における微細な無機粒子の分散度も、ポリエステル光学フィルムの透明性に影響を与える。
【0003】
従来技術によるポリウレタン樹脂は、機械的強度が低くてUV光に弱く、耐熱性と耐水性が劣るという欠点がある。特に、ポリエステル光学フィルムのコート層成分においてポリウレタン樹脂と微細な無機粒子を含む場合、ポリウレタン樹脂と無機粒子との間の相溶性が悪い。無機粒子が均一に分散しないと、凝集現象が生じるようになる。例えば、中国特許公開CN103171223 A1号には、高透明性でスティッキング防止性が良いポリエステル光学フィルムが提出され、その塗布液の配合としては水溶性ポリウレタン樹脂が含まれ、また、0.04〜6μmの微細な無機粒子などが用いられるが、無機粒子はポリウレタン樹脂の間に均一に分散しなくて凝集しやすいようになる。ポリエステル光学フィルムが延伸された後、コート層のこのような凝集現象のため、凝集された無機粒子の周囲に隙間が生じ、コート層の表面フラット性が良くないようになり、ポリエステル光学フィルムの光透過率、ヘイズと滑り性に影響が与えられる。
【0004】
液晶ディスプレーのバックライトモジュール基材として用いられる場合、ポリエステル光学フィルムのコート層は、その塗布に供されるポリエステル薄膜基材、及び液晶表示材(以下、単にLCD材と称される)におけるUV硬化された高屈折率アクリレート樹脂コート層はのいずれに対しても優れた接着性を有する必要がある。
【0005】
しかしながら、ポリエステル光学フィルムのコート層は単にアクリレート樹脂で構成されれば、優れた耐候性が得られるが、LCD材におけるUV硬化された高屈折率アクリレート樹脂に対する接着性が悪くて、ポリエステル薄膜基材に対する接着性も良くない。同様に、ポリエステル光学フィルムのコート層は単にポリエステル樹脂で構成された場合、ポリエステル薄膜基材に対する接着性が非常に良好であるが、LCD材におけるUV硬化されたアクリレート樹脂に対する接着性は良くない。
【0006】
また、ポリエステル光学フィルムのコート層は、ポリエステル薄膜基材の片面又は両面に塗布されるが、コート層が優れたスティッキング防止性を備えていないと、ポリエステル光学フィルムが巻き取り時にくっつきやすくなる。このようなスティッキング現象は、ポリエステル光学フィルムの後加工、スリット、又は包装に影響を及ばす。特に、ポリエステル光学フィルムの表面はスティックした後、白濁、ストライプと細かい結晶子のスポットが形成され、ポリエステル光学フィルムの外観と応用に影響を与えるようになる。
【0007】
更に具体的には、ポリエステル光学フィルムが液晶ディスプレーのバックライトモジュール基材として用いられる場合、ポリエステル光学フィルムのコート層は、優れたスティッキング防止性、良い接着性と滑り性などの特性を備える必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、従来技術におけるポリエステル光学フィルムのコート層の問題を解決するために、ポリエステル光学フィルムのコート層が優れたスティッキング防止性、接着性と滑り性などの特性を持たせるように、アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂、及び表面が変性された無機粒子を利用することによって、ポリウレタン樹脂と無機粒子との間の相溶性を改良し、無機粒子を変性されたポリウレタン樹脂の間に均一に分散させる
【0009】
本発明の主な目的は、ポリエステル薄膜基材の表面に塗布してコート層を形成できる水溶性塗布液を提供する。該水溶性塗布液は各成分の全量が100wt%重量比率として、以下の成分を含む。
【0010】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 2〜40wt%
(2)架橋剤 0.5〜30wt%
(3)充填粒子混合液 0.05〜30wt%
(4)助剤、触媒、又は助溶剤から選ばれる1種以上の添加剤 0.05〜10wt%
(5)水 50〜85 wt%
【0011】
好ましい実施例としては、上記水溶性塗布液の成分(3)充填粒子混合液の組成は、以下の成分を含む。
【0012】
a)シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又は硫酸バリウムから選ばれる1種以上の無機粒子 20〜95wt%
b)無機粒子の表面を変性する表面変性剤 0.5〜30wt%
【0013】
好ましい実施例としては、上記水溶性塗布液の成分(3)充填粒子の粒子径は、0.005〜3μmにある。
【0014】
好ましい実施例としては、表面が変性された充填粒子の濃度は、上記水溶性塗布液の固形分含有量において、0.01〜6%を占める。
【0015】
好ましい実施例としては、上記水溶性塗布液の成分(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂は、各成分の全量が100wt%となるように以下の成分から構成されるアクリレートモノマーによってグラフト変性されるものである。
【0016】
(a)アルキル基含有(メタ)アクリレート 90〜95wt%
(b)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート 4〜9wt%
(c)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、又はマレイン酸無水物から選ばれる1種以上のカルボキシル基含有ビニルモノマー 1〜5wt%
【0017】
好ましい実施例としては、上記水溶性塗布液の成分(2)架橋剤は、メラミン架橋剤、ヒドロキシメチル変性メラミン誘導体架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、又はカルボンジイミド系架橋剤から選ばれる1種以上である。
【0018】
好ましい実施例としては、上記水溶性塗布液の成分(3)表面変性剤は、ビニルシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、スチリルシランカップリング剤、メタクリロイルオキシシランカップリング剤、アクリロイルオキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、イソシアヌレート基シランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、又はイソシアネートシランカップリング剤から選ばれる1種以上である。
【0019】
好ましい実施例としては、上記水溶性塗布液の成分(4)助剤は、ケイ素含有添加剤、フッ素含有添加剤、又はケイ素・フッ素混合成分含有添加剤から選ばれるものである。
【0020】
好ましい実施例としては、上記水溶性塗布液の成分(4)の助溶剤は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、i−ブタノール、ジメチルスルホキシド、アセトン、又はテトラヒドロフラン溶剤から選ばれる1種以上である。
【0021】
本発明によるもう1つの目的では、ポリエステル光学フィルムの透明性、ヘイズ、接着性、滑り性とスティッキング防止性などの特性を著しく改良するために、二軸延伸ポリエステルフィルム基材を有し、基材の表面にコート層を形成するように本発明に係る水溶性塗布液が塗布された光学フィルムを提供することである。
【0022】
本発明による有利な効果としては、
【0023】
1.ポリエステル光学フィルムのコート層は、優れたスティッキング防止性、接着性と滑り性などの特性を備える点と、
2.上記コート層が塗布された後、ポリエステル光学フィルムはスティックせずに巻き取られやすくて、後加工、スリット、又は包装に寄与する点と、
3.ポリエステル光学フィルムは高い透明性と低いヘイズを有し、液晶ディスプレーのバックライトモジュール基材としての用途に好適に用いられ、例えば、拡散膜、輝度上昇フィルム、反射防止膜、保護膜として利用されることができる点と、
いくつの利点が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ポリエステル薄膜基材の表面に塗布してポリエステル光学フィルムのコート層を形成する用途を有する水溶性塗布液を開示し、当該水溶性塗布液(又はコート層)の配合としては、各成分の全量は100wt%となるように以下の成分を含む。
【0025】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 2〜40wt%
(2)架橋剤0.5〜30wt%、好ましくは 5〜20wt%
(3)充填粒子混合液 0.05〜30wt%
(4)添加剤 0.05〜10wt%
(5)溶媒とした水 50〜85wt%
【0026】
その中、成分(3)充填粒子混合液は、以下の成分を含む。
(a)シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又は硫酸バリウムから選ばれる1種以上の無機粒子 20〜95wt%、好ましくは20〜90wt%、特に好ましくは50〜80wt%
(b)表面変性剤 0.5〜30wt%、好ましくは5〜20wt%
【0027】
本発明に係る水溶性塗布液において、表面が変性された充填粒子濃度は、水溶性塗布液の固形分含有量の0.01%〜6%を占める。
【0028】
上記成分(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂の合成方法としては、以下のステップを含む。以下の重量百分率は脱イオン水を含む原材料の総量を100%wt%としたものである。
【0029】
(1)プレポリマーの調製
ポリエステル(エーテル)ポリオール15〜25wt%を真空脱水し、攪拌機、温度計、及び冷却管を有する反応器に仕込み、油浴温度が70〜80℃に達した際に、脂肪族ジイソシアネート5〜12wt%を加え、合成反応した。
【0030】
(2)プレポリマーの希釈と鎖延長
プレポリマーを2〜3時間反応させた後、更に粘度を低減するようにアクリレートモノマー10〜30wt%を加えて希釈して、温度をNCO化学量論比(NCO/OH)が1.1〜2.3になるまで85〜90℃に維持し、更にエチルジアミノエタンスルホン酸ナトリウム(AAS)1.5〜3.0wt%を加え、25〜40分間反応を続けた。
【0031】
(3)水分散
ステップ(2)の反応で得られたポリマーを室温まで降温し、回転数500rpmの高速せん断力を加えながら、脱イオン水35〜55wt%を加え、更にエチレンジアミン0.1〜0.5wt%を加え、約30分間鎖延長反応し、溶剤を含まないスルホネート型水溶性ポリウレタン分散液を調製した。
【0032】
(4)アクリレート合成
ステップ(3)のスルホネート型水溶性ポリウレタン分散液に対して、ドデシル硫酸ナトリウム(SLS)乳化剤0.3〜1.0wt%を加えて混合して乳化液に形成し、50〜70℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム水溶液(APS)開始剤0.01〜0.10wt%を滴下して、アクリレートを重合し、そして75〜85℃に昇温し、同温度で1〜3時間維持し、50〜70℃に降温した後、還元剤0.01〜0.08wt%を加え、上記アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂を調製した。
【0033】
アクリレート(モノマー)のグラフト変性のための組成としては、各成分の全量が100wt%となるように、以下の成分を含む。
【0034】
(a)アルキル基含有(メタ)アクリレート90〜95wt%
(b)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート4〜9wt%
(c)カルボキシル基含有ビニルモノマー1〜5wt%
【0035】
上記アルキル基含有(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、又はエトキシメチル(メタ)アクリレートから選ばれる1種を単独に利用し、又は2種以上を混合して併用してもよい。
【0036】
上記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、クロロ2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、又はアリルアルコールから選ばれる1種を単独に利用し、又は2種以上を混合して併用してもよい。
【0037】
上記カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、又はマレイン酸無水物から選ばれる1種を単独に利用し、又は2種以上を混合して併用してもよい。
【0038】
上記成分(2)架橋剤としては、メラミン架橋剤、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合によりヒドロキシメチル変性されたメラミン誘導体架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、又はカルボンジイミド系架橋剤から選ばれる1種を単独に利用し、又は2種以上を混合して併用してもよい。
【0039】
上記充填粒子混合液における無機粒子は、その粒子径が0.005〜3μmにある。上記充填粒子混合液における無機粒子は、ポリエステル光学フィルムの物性要求、例えば、透明度、ヘイズ、滑り性、又はスティッキング防止性などの特性についての要求に応じて、粒子径が異なるサイズの無機粒子を組み合わせてもよい。無機粒子の粒子径が大きいほど、ポリエステル光学フィルムのコート層の高温でのスティッキング防止効果は良くなる。無機粒子の分散性が良いほど、無機粒子は凝集しにくくなり、ポリエステル光学フィルム及びそのコート層が透明でヘイズが低くなる。
【0040】
上記充填粒子混合液における表面変性剤としては、ビニルシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、スチリルシランカップリング剤、メタクリロイルオキシシランカップリング剤、アクリロイルオキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、イソシアヌレート基シランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、又はイソシアネートシランカップリング剤から選ばれる1種を単独に利用し、又は2種以上を混合して併用してもよい。
【0041】
無機粒子は表面変性剤で変性された後、粒子凝集、分散性の不良さ、低い相溶性及び低い接着性などの欠点が改良でき、特に、無機粒子はコート層において微小なバルーンを形成すると共に、コート層の表面に僅かに凸起することができ、ポリエステル光学フィルムのコート層のスティッキング防止性という問題を効果的に改良した。巻き取られる際に、無機粒子がコート層表面に僅かに凸起することによって、ポリエステル光学フィルムが巻き取られる状態での薄膜と薄膜の間にエア層が形成され、エア層の存在によって薄膜と薄膜の間の摩擦係数を低減でき、互いのスティッキング性も低減し、薄膜の間に生じるスティッキング現象を回避し、従来のポリエステル光学フィルムが巻き取られる際にスティッキングが現れしやすいという問題を解決した。
【0042】
上記成分(4)添加剤としては、助剤、触媒、又は助溶剤を含み、その中の1種を単独に利用し、又は2種以上を混合して併用してもよい。その中、添加助剤では、塗布液の表面張力を調整し、ポリエステル光学フィルムのコート層(又はコート膜)の平坦度、及びポリエステル基材との湿潤性を向上させることができる。添加触媒では、塗布液の架橋反応レートを制御できる。添加助溶剤では、塗布液における液体成分の揮発レートを制御できる。
【0043】
上記触媒は、無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、又は酸性物質であってもよい。上記助溶剤は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、i−ブタノール、ジメチルスルホキシド、アセトン、又はテトラヒドロフラン溶剤の中の1種以上である。
【0044】
上記助剤は、ケイ素含有添加剤、フッ素含有添加剤、又はケイ素・フッ素混合成分含有添加剤を含む。上記ケイ素含有添加剤としては、BYK社製BYK307、BYK325、BYK331、BYK380N、又はBYK381から選ばれる1種を単独に利用し、又は2種以上を混合して併用してもよい。
【0045】
上記フッ素含有添加剤としては、3M社製FC−4430、FC−4432、アメリカデュポン社製Zonyl FSN−100、又は日本ダイキン社製DSXから選ばれる1種を単独に利用し、又は2種以上を混合して併用してもよい。
【0046】
上記ケイ素・フッ素混合成分含有添加剤としては、BYK社製BYK346、BYK347、又はBYK348から選ばれる1種を単独に利用し、又は2種以上を混合して併用してもよい。
【0047】
本発明に係る水溶性塗布液(又はコート層)は、オフライン(off−line)又はインライン(in−line)塗布手段で、ポリエステル薄膜基材の表面に塗布してポリエステル光学フィルムのコート層を形成することができる。そして、製造されたポリエステル光学フィルムは、高い透明性、低いヘイズ、優れたスティッキング防止性、接着性と滑り性などの特性を有し、LCD又はCRT用のような拡散膜、輝度上昇フィルム、保護膜などに好適に適用される。
【実施例】
【0048】
以下の各実施例と各比較例のポリエステル光学フィルム(単に光学膜と称される)は、以下の評価方法により評価される。
【0049】
(1)光透過率及びヘイズ測定
Tokyo Denshoku Co., Ltd. Haze Meter(型式TC−HIII)を採用して、光学膜サンプルの光透過率及びヘイズ値を測定し、その方法はJIS K7705規格に準ずる。光透過率が高くてヘイズ値が低いほど、光学膜の光学性質が良くなると表す。
【0050】
(2)光学ゴムに対する密着性測定
LiangHong社製露光機(型式Model F300S+AJ−6−UVL)を採用し、光学膜サンプルの塗布面の、拡散膜又は輝度上昇フィルム用のアクリレートUVゴムに対する接着性を測定し、その方法はASTM D3359規格に準ずる。12号のコートバーによって、国内で生産された拡散膜又は輝度上昇フィルム用の光学ゴムを光学膜サンプルの塗布面に塗布した後、UV露光機で露光して乾燥し、クロスカッターで100の碁盤目を作製した後、更に3Mの600型テープで100の碁盤目の試料に貼り付け、密着させた後、テープを引き離して接着性評価を行った。
【0051】
(3)UV光で照射された後の光学ゴムに対する密着性測定
光学膜サンプルの塗布面については、まずUV光によって500mJ/cm2の露光エネルギーで露光し、その後、上記した測定方法(2)で光学ゴム密着性を測定し、光学ゴム密着性を評価した。
【0052】
(4)コート層の充填粒子分散性測定
光学膜サンプルの塗布面については、Hitachi S5000型走査型電子顕微鏡を利用してその充填粒子の分散性を測定し、まずサンプルをカーボンゴムに固定し、更に金属メッキ機で金又は白金の薄膜をメッキし、10000倍の測定倍率で観察した。
【0053】
(5)コート層のスティッキング防止性の温度
WIYI社のヒートシール測定機(型式HST−H3)によって、光学膜サンプルのコート層のスティッキング防止性の温度を測定した。測定条件:光学膜サンプルを2枚採取し、サンプルのコート膜の面を対向させ、ヒートシール圧力2MPa、ヒートシール時間2分間で、異なる温度でのスティッキング防止性測定を行った。ヒートシールした後、2枚のサンプルを容易に分離できて表面に跡もない場合の温度を、光学膜サンプルのコート層のスティッキング防止性の限界温度として記録した。
【0054】
アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂の予製
【0055】
(1)プレポリマーの調製
PTMG2000(ポリエーテルジオール、分子量2000)100g、1,4−BG(1,4−ブタンジオール、分子量90)6.5gを順に反応器に加え、均一速度の攪拌で80℃に昇温した後、イソホロンジイソシアネート43gを加え、85〜90℃に昇温して同温度で2〜3時間反応した。
【0056】
(2)プレポリマーの希釈と鎖延長
そして、粘度を低減させるように、メチルメタクリレート(MMA)140g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)8g、のエチルアクリレート(EA)4.8gをバッチで加えて希釈して、プレポリマーに更にエチルジアミノエタンスルホン酸ナトリウム(AAS)10gを加え、そして25〜40分間反応した。
【0057】
(3)水分散
反応が完了した後、ステップ(2)で得られたプレポリマーを室温まで降温し、500rpmの回転数で回転しながら、脱イオン水300gを加え、更にエチレンジアミン1gを加えて約30分間鎖延長反応し、スルホネート型水溶性ポリウレタンのエマルジョンを調製した。
【0058】
(4)アクリレート合成
高速攪拌で、乳化剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SLS)4.8gをステップ(3)スルホネート型水溶性ポリウレタンのエマルジョンに加え、50〜70℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム水溶液(APS)0.40gを滴下し、そして75〜85℃に昇温し、同温度で1〜3時間維持し、50〜70℃に降温した後、t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液(TBHP)0.12g、及びホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(SFS)0.12gを加え、30分間を反応してアクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂を得た。
【0059】
実施例1
PETパレットを十分に乾燥した後、押し出し機にフィードして溶融して押し出し、表面温度が25℃であるチルロールを経由して冷却及び硬化させ、未延伸のPETシート(Sheet)を得、加熱後、4倍の延伸倍率で縦方向一軸延伸し、一軸延伸PET膜を製造した。
【0060】
以下の成分を均一に攪拌して調製された水溶性塗布液を採取した。
【0061】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 8.5g
(2)メラミン系架橋剤 1.0g
(3)アニオン界面活性剤A0.05g、ノニオン界面活性剤B0.45g、ケイ素含有化合物0.05g、及び高分子ポリマー(ポリエステル樹脂)1.05gを処理剤として、100nmシリカ粒子A0.10gと30nmシリカ粒子B0.40gを変性した充填粒子混合液 2.1g
(4)触媒0.1g、i−プロパノール5g、ブチルセルロース1.4g、及びケイ素又はフッ素含有助剤化合物0.01g
(5)水溶媒 81.89g
【0062】
予め製造された一軸延伸PET膜の片面に塗布処理を行い、予製された水溶性塗布液を一軸延伸PET膜に均一に塗布した後、塗布が完了した一軸延伸PET膜を固定治具で105℃の加熱ゾーンにガイドし、乾燥してコート層の水分を除去した後、更に125℃の加熱ゾーンに送り、3.5倍で横方向延伸された後、片面にコート層を有する二軸延伸PET膜を製造し、更に235℃で8秒間処理し、膜厚50μmで片面にコート層を有するポリエステル光学フィルムを製造した。
【0063】
ポリエステル光学フィルムの物理的性質を測定し、測定結果を表1に示す。
【0064】
実施例2
実施例1と同じ製造方法で、膜厚50μmで片面にコート層を有するポリエステル光学フィルムを製造した。ただし、水溶性塗布液は、以下の成分を均一に攪拌して調製されたものに変更された。
【0065】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 8.75g
(2)メラミン系架橋剤0.8g、及びオキサゾリン系架橋剤0.5g
(3)アニオン界面活性剤A0.25g、ノニオン界面活性剤B0.25g、ケイ素含有化合物0.05g、及び高分子ポリマー(ポリエステル樹脂)1.05gを処理剤として、100nmシリカ粒子A0.10gと30nmシリカ粒子B0.25gを変性してなった充填粒子混合液 1.95g
(4)触媒0.1g、i−プロパノール5g、ブチルセルロース1.4g、及びケイ素又はフッ素含有助剤化合物0.01g
(5)水溶媒 81.49g
【0066】
ポリエステル光学フィルムの物理的性質を測定し、測定結果を表1に示す。
【0067】
実施例3
実施例1と同じ製造方法で、膜厚50μmで片面にコート層を有するポリエステル光学フィルムを製造した。ただし、水溶性塗布液は、以下の成分を均一に攪拌して調製されたものに変更された。
【0068】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂8.0g
(2)メラミン系架橋剤1.0g、及びオキサゾリン系架橋剤0.5g
(3)アニオン界面活性剤A0.45g、ノニオン界面活性剤B0.05g、ケイ素含有化合物0.05g、及び高分子ポリマー(ポリエステル樹脂)1.05gを処理剤として、100nmシリカ粒子A0.30gと30nmシリカ粒子B0.10gを変性して調製された充填粒子混合液 2.0g
(4)触媒0.1g、i−プロパノール5g、ブチルセルロース1.4g、及びケイ素又はフッ素含有助剤化合物0.01g
(5)水溶媒 81.99g
【0069】
ポリエステル光学フィルムの物理的性質を測定し、測定結果を表1に示す。
【0070】
実施例4
実施例1と同じ製造方法で、膜厚50μmで片面にコート層を有するポリエステル光学フィルムを製造した。水溶性塗布液は、以下の成分を均一に攪拌して調製されたものに変更された。
【0071】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 8.5g
(2)オキサゾリン系架橋剤 1.0g
(3)アニオン界面活性剤A0.45g、ノニオン界面活性剤B0.05g、ケイ素含有化合物0.1g、及びの高分子ポリマー(ポリエステル樹脂)1.0gを処理剤として、100nmシリカ粒子A0.40gと30nmシリカ粒子B0.10gを変性してなった充填粒子混合液 2.1g
(4)触媒0.1g、i−プロパノール5g、ブチルセルロース1.4g、及びケイ素又はフッ素含有助剤化合物0.01g
(5)水溶媒 81.89g
【0072】
ポリエステル光学フィルムの物理的性質を測定し、測定結果を表1に示す。
【0073】
実施例5
実施例1と同じ製造方法で、膜厚50μmで片面にコート層を有するポリエステル光学フィルムを製造した。ただし、水溶性塗布液は、以下の成分を均一に攪拌して調製されたものに変更された。
【0074】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 8.75g
(2)メラミン系架橋剤0.5g、及びオキサゾリン系架橋剤 0.8g
(3)アニオン界面活性剤A0.05g、ノニオン界面活性剤B0.45g、ケイ素含有化合物0.1g及び高分子ポリマー(ポリエステル樹脂)1.0gを処理剤として、100nmシリカ粒子A0.10gと30nmシリカ粒子B0.40gを変性して調製された充填粒子混合液 2.1g
(4)触媒0.1g、i−プロパノール5g、ブチルセルロース1.4g、及びケイ素又はフッ素含有助剤化合物0.01g
(5)水溶媒 81.34g
【0075】
ポリエステル光学フィルムの物理的性質を測定し、測定結果を表1に示す。
【0076】
実施例6
実施例1と同じ製造方法で、膜厚50μmで両面にコート層を有するポリエステル光学フィルムを製造した。ただし、水溶性塗布液は、以下の成分を均一に攪拌して調製されたものに変更された。
【0077】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 8.0g
(2)のメラミン系架橋剤0.5g、及びのオキサゾリン系架橋剤 1.0g
(3)アニオン界面活性剤A0.25g、ノニオン界面活性剤B0.25g、ケイ素含有化合物0.1g、及び高分子ポリマー(ポリエステル樹脂)1.0gを処理剤として、100nmシリカ粒子A0.15gと30nmシリカ粒子B0.30gを変性して調整された充填粒子混合液 2.05g
(4)触媒0.1g、i−プロパノール5g、ブチルセルロース1.4g、及びケイ素又はフッ素含有助剤化合物0.01g
(5)水溶媒 81.94g
【0078】
ポリエステル光学フィルムの物理的性質を測定し、測定結果を表1に示す。
【0079】
比較例1
実施例1と同じ製造方法で、膜厚50μmで片面にコート層を有するポリエステル光学フィルムを製造した。ただし、水溶性塗布液は、水溶性塗布液は、以下の成分を均一に攪拌して調製されたものに変更され、そして、充填粒子は変性されない。
【0080】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 8.5g
(2)メラミン系架橋剤 1.0g
(3)30nmシリカ粒子B 0.4g
(4)触媒0.1g、i−プロパノール5g、ブチルセルロース1.4g、及びケイ素又はフッ素含有助剤化合物0.01g
(5)水溶媒 83.59g
【0081】
ポリエステル光学フィルムの物理的性質を測定し、測定結果を表1に示す。
【0082】
比較例2
実施例1と同じ製造方法で、膜厚50μmで片面にコート層を有するポリエステル光学フィルムを製造した。ただし、水溶性塗布液は、水溶性塗布液は、以下の成分を均一に攪拌して調製されたものに変更され、そして、充填粒子は変性されない。
【0083】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 8.5g
(2)メラミン系架橋剤 1.0g
(3)100nmシリカ粒子A0.10gと30nmシリカ粒子B0.3g
(4)触媒0.1g、i−プロパノール5g、ブチルセルロース1.4g、及びのケイ素又はフッ素含有助剤化合物0.01g、
(5)水溶媒 83.59g
【0084】
ポリエステル光学フィルムの物理的性質を測定し、測定結果を表1に示す。
【0085】
比較例3
実施例1と同じ製造方法で、膜厚50μmで片面にコート層を有するポリエステル光学フィルムを製造した。ただし、水溶性塗布液は、以下の成分を均一に攪拌して調製されたものに変更された。
【0086】
(1)アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂 8.50g
(2)メラミン系架橋剤 0.1g
(3)のアニオン界面活性剤A0.05g、のノニオン界面活性剤B0.45g、のケイ素含有化合物0.05g及びの高分子ポリマー(ポリエステル樹脂)1.05gを処理剤として、100nmシリカ粒子A0.10gと30nmシリカ粒子B0.40gを変性して調製された充填粒子混合液 2.1g
(4)触媒0.1g、i−プロパノール5g、ブチルセルロース1.4g、及びケイ素又はフッ素含有助剤化合物0.01g
(5)水溶媒 82.79g
【0087】
ポリエステル光学フィルムの物理的性質を測定し、測定結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
結果の検討
1.実施例1〜6で製造されたポリエステル光学フィルムのコート層成分において、アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂が添加され、液晶ディスプレーのバックライトモジュール基材として利用される場合、ポリエステル光学フィルムのコート層の、光学ゴムに対する密着性及びUV光で照射された後の光学ゴムに対する密着性はいずれも好ましい。
また、コート層成分における無機粒子は表面変性剤で変性された後、コート層における分散性が良好であるため、ポリエステル光学フィルムによる製品の光透過率が好ましくてヘイズが好ましい。また、コート層成分における無機粒子として、異なる粒子径の無機粒子をブレンドして利用することによって、PET基材の滑り性を改良すると共に、ポリエステル光学フィルムのコート層についてスティッキング防止性の温度を向上させることができる。
比較例1〜2で製造されたポリエステル光学フィルムのコート層成分において、無機粒子は表面変性されないが、ポリエステル光学フィルム製品の光透過率が劣ってヘイズも劣る。
2.充填粒子混合液における無機粒子の粒子径が大きいほど、ポリエステル光学フィルム製品のコート層のスティッキング防止性の温度が高くなり、実施例3及び4のポリエステル光学フィルム製品は、コート層に大きい粒子径の無機粒子が用いられ、コート層のスティッキング防止性の温度が100℃以上と高いである。それに対して、比較例1のポリエステル光学フィルム製品は、コート層に大きい粒子径の無機粒子が用いられなく、表面変性剤を添加して変性することもなく、コート層のスティッキング防止性の温度が70℃と劣るが、本発明の改良しようとする主な項目の1つである。
3.比較例3で製造されたポリエステル光学フィルムは、コート層の成分において異なる粒子径の無機粒子をブレンドして利用し、表面変性剤も添加して変性し、コート層分散性が良好であるという効果を得たが、架橋剤の添加量の不足のため、コート層が反応し切れなく、コート層のスティッキング防止性の温度はやはい劣る。
【0090】
総じて言えば、本発明のポリエステル光学フィルム製品のコート層成分としては、アクリレートでグラフト変性されたポリウレタン樹脂、架橋剤、表面変性された無機粒子溶液、及び他の添加剤などからなり、ポリエステル光学基材に塗布して形成されるポリエステル光学フィルムのコート層によって、ポリエステル光学フィルムの透明性、ヘイズ、接着性、滑り性、及びスティッキング防止性などの特性を著しく改良できる。