(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動部材は、弾性支持部と回転部とをさらに含み、前記弾性支持部と前記ケースとの間に弾性部材が設けられ、前記弾性支持部が外力を受けて前記弾性部材の圧縮を駆動することにより、前記可動部材が前記回転部回りに回転することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のインクカートリッジ。
前記可動部材は、弾性支持部と摺動部とをさらに含み、前記弾性支持部と前記ケースとの間に弾性部材が設けられ、前記摺動部が前記ケースに密着し、前記弾性支持部が外力を受けて前記弾性部材の圧縮を駆動することにより、前記摺動部が前記ケースに対して摺動することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のインクカートリッジ。
前記弾性支持部が前記弾性部材の圧縮を駆動することにより、前記摺動部が前記ケースに対して摺動し、これにより、前記弾性部材及び前記可動部材全体が−X軸方向へ移動し、前記接合部が前記取付空間から抜け出すことを特徴とする請求項8に記載のインクカートリッジ。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、よく用いられるプリント印刷用の器具である。現在、レーザプリンタが普及されているが、レーザプリンタのメンテナンスためのコストが高いので、インクジェットプリンタが依然として非常に大きな市場割合を占めている。特に、家庭や店舗、オフィスなどの場所に設けられる。インクカートリッジは、インクジェットプリントの消耗品として、市場での需要量もとても大きい。
【0003】
インクカートリッジは、インクジェットプリンタの消耗品であり、実際の使用において、インクカートリッジがプリンタの装着部に取り付けられる。現在、インクカートリッジと装着部との一般の固定方式として、インクカートリッジにハンドルを設け、ハンドルに凸の接合部を設けて、接合部を装着部における対応位置の接合孔に接合することにより、インクカートリッジの取り付けを完了させる。例えば、中国出願CN200710146624.4の
図7Cと
図14Bに示すものは、普通のインクカートリッジである。インクカートリッジ10において、ハンドルにおける接合部(第2接合部)23と装着部(ホルダーユニット)50における溝(第2装着部)51とが接合されるように、インクカートリッジが固定される。
【0004】
しかし、以下のいくつかの場合に、インクカートリッジは、装着部に安定的に固定することができない。
(1)インクカートリッジのハンドルに製造誤差がある。
(2)インクカートリッジの着脱時、ハンドルを引く必要があり、長期間にわたって使用された後、ハンドルに位置ずれが生じ、接合部と接合孔とが完全に接合されなくなってしまう。
(3)長期間にわたって使用された後、接合部と接合孔とのぞれぞれが摩耗によって変形し、例えば、接合部と接合孔との密着する境界面が滑らかになって、最終的に、接合部と接合孔とが完全に接合されなくなる。
【0005】
以上の欠陥により、装着部がインクカートリッジを安定的に固定できない。さらに、インクカートリッジの欠陥により、チップに認識されなくなるか、インク供給口のシールが不完全になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の図面を参照して制限的ではない実施例に対する詳細な記載により、本発明の他の特徴や目的、利点などがさらに明瞭になる。
【
図1】
図1は、本発明の具体的な実施形態における装着部を1つの方向から見た場合の構成の模式図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の具体的な実施形態における装着部を他の方向から見た場合の構成の模式図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の具体的な実施形態における装着部の第1種類の取付ホルダーの構成の模式図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の具体的な実施形態における装着部の第2種類の取付ホルダーの構成の模式図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の1つの具体的な実施形態におけるインクカートリッジを1つの方向から見た場合の構成の模式図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の1つの具体的な実施形態におけるインクカートリッジを他の方向から見た場合の構成の模式図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の1つの具体的な実施形態におけるインクカートリッジと装着部とが結合された構成の模式図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の他の具体的な実施形態におけるインクカートリッジの構成の模式図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の他の具体的な実施形態におけるインクカートリッジと装着部とが結合された構成の模式図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の具体的な実施形態における可動部材の構成の模式図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の第3実施例におけるインクカートリッジと装着部とが結合された局所構成の1つの態様の模式図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の第3実施例におけるインクカートリッジと装着部とが結合された構成の1つの態様の模式図を示す。
【
図14】
図14は、本発明の第3実施例におけるインクカートリッジと装着部とが結合された局所構成の他の態様の模式図を示す。
【
図15】
図15は、本発明の第3実施例におけるインクカートリッジと装着部とが結合された構成の他の態様の模式図を示す。
【
図16】
図16は、本発明の第3実施例における可動部材の構成の1つの態様の模式図を示す。
【
図17】
図17は、本発明の第3実施例における可動部材の構成の他の態様の模式図を示す。
【
図18】
図18は、本発明の第4実施例における、異なる可動部材が設けられたインクカートリッジの局所構成の模式図を示す。
【
図19】
図19は、本発明の第4実施例における、異なる可動部材が設けられたインクカートリッジを1つの方向から見た場合の構成の模式図を示す。
【
図20】
図20は、本発明の第4実施例における、異なる可動部材が設けられたインクカートリッジを他の方向から見た場合の構成の模式図を示す。
【
図21】
図21は、本発明の第4実施例における、異なる可動部材が設けられたインクカートリッジと装着部とが結合された構成の模式図を示す。
【
図22】
図22は、従来技術のインクカートリッジ内における各室の分布の模式図を示す。
【
図23】
図23は、従来技術のインクカートリッジ内における各室の分布の模式図を示す。
【
図24】
図24は、本発明の第5実施例のインクカートリッジ内における各室の分布の模式図を示す。
【
図25】
図25は、本発明の第5実施例におけるインクカートリッジの吸気口の位置の模式図を示す。
【
図26】
図26は、本発明の第5実施例におけるインクカートリッジの連通口の位置の模式図を示す。
【
図27】
図27は、本発明の第5実施例におけるインクカートリッジの各室とインク供給口との連通の模式図を示す。
【
図28】
図28は、本発明の第5実施例のインクカートリッジ内における各室の分布の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の目的と、技術案と利点とが更に明らかになるように、本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明確で完全に記述する。記述された実施例は、本発明の実施例の全部ではなく、一部であることが無論である。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造性の労働をしない前提で得られる他の実施例のすべては、本発明の請求の範囲に属する。
【0024】
本発明にかかる係合式のインクカートリッジは、装着部に着脱可能に取り付けられる。
図1と
図2に示す具体的な実施形態において、装着部は、ホルダー35と、接触ピン31と、インク管36と、回転レバー34と、係合溝37とを含み、具体的には、ホルダー35が全体として直方体状のキャビティを呈し、インク管36がホルダー35の底面に設けられ、係合溝37がホルダー35におけるインク管36に近い側面に設けられ、回転レバー34がホルダー35におけるインク管36に対向する側面に設けられており、回転レバー34と接触ピン31とが隣接して設けられ、接触ピン31がある程度の角度で傾斜して設けられる。水平方向においてインク管36が回転レバー34にポインティングする方向を+X軸方向とし、鉛直方向において上向きの方向を+Z軸方向とし、+X軸方向と+Z軸方向との両方に直交する方向をY軸方向とする。
図1及び
図2から見えるように、回転レバー34が、相互に交差して設けられた取付ホルダー32と支持ホルダ33との間に設けられ、取付ホルダー32がZ軸方向に沿って取付穴38と取付翼382、383を介して装着部に取付けられ、支持ホルダ33がY軸方向に沿って前記装着部に設けられ、前記取付ホルダー32がY軸方向に隣接する回転レバー34同士を隔て、即ち、取付ホルダー32と回転レバー34とが間隔を隔てて設けられる。当業者は、回転レバー34と、接触ピン31と、取付ホルダー32と、インク管36と共に1個のインクカートリッジ取付位置を構成していることが理解できる。
図1に示す装着部に総計6個のインクカートリッジ取付位置が設けられ、これに応じて、装着部に6個のインクカートリッジが取付けられることができる。当業者は、装着部におけるインクカートリッジ取付位置の数が変化可能であることが理解できる。
【0025】
更に、
図3に示すように、取付ホルダー32には、水平面に対して傾斜する取付面39が設けられている。具体的には、
図3に示す取付ホルダー32は、鉛直方向に第1斜面391と第2斜面392とを備え、第1斜面391と第2斜面392とが立設面によって接続され、
図3に示す第2斜面392が取付面39とされるが、実際の使用中、第1斜面391と第2斜面392とのいずれも取付面39とされてもよい。具体的には、取付面39は、+X及び+Z軸方向へ徐々に上向きに傾斜し、取付面39の−X、−Z軸方向の端が近端393とされ、取付面39の+X、+Z軸方向の端が遠端394とされる。インクカートリッジが装着部に取り付けられた後、近端393がインクカートリッジに近く、遠端394がインクカートリッジから遠くなり、且つ+Z軸方向に遠端394が近端393よりも高く、即ち、遠端394が近端393の+Z軸方向に位置する。
【0026】
更に、
図7にインクカートリッジが装着部に取付けらた構成の模式図を示す。
図1を参照して見えるように、水平方向においてインクカートリッジが取付面39にポインティングする方向が+X軸方向であり、鉛直方向において上向きの方向が+Z軸方向であり、+X軸方向と+Z軸方向との両方に直交する方向がY軸方向である。インクカートリッジは、ケース2を含み、
図5〜9に示すように、ケース2が略直方体状を呈し、具体的には、実際のニーズによって、ケース2が楕円形や円形などの形状を呈してもようい。より具体的には、
図5〜7に示すケース2は、6つの面により構成され、そのうち、第1面2aと第2面2bとが相互に対向し、第3面2cと第4面2dとが相互に対向するとともに、第1面2aに対して略垂直となる。より具体的には、ケース2がキャビティとカバーと(図示しない)を含むことは一般であり、キャビティにインクを貯留可能なインク室25が設けられ、カバーがキャビティに溶接されることにより、インク室25が密閉状態になることが可能である。
【0027】
更に、第1面2aにはインク供給口21が設けられ、インク供給口21とインク管36とが密封に接続され、係合溝37に対向するケース2の第4面2dに、係合部22が設けられ、係合部22が係合溝37に係合する。ケース2の接触ピン31に対向する位置にチップ26がさらに設けられている。具体的には、
図7に示すように、取付面39が第2斜面392であり、チップ26が、第1面2aと第3面2cとの間に傾斜して設けられた斜面に設けられ、且つチップホルダに固定されており、チップ26には、インク量情報や、インクのタイプ、製造メーカーなどの情報を記憶する記憶手段及び端子が設けられ、端子が装着部における接触ピン31と電気的に連続されることが可能である。具体的には、第2斜面392と装着部との間に取付空間395が形成され、取付空間395の輪郭形状が、第2斜面392と装着部における第2斜面392に対向する対向面により形成されている。より具体的には、
図7、9に示す対向面も傾斜する斜面であり、これに応じて、取付空間395が全体として傾斜する空間を呈す。取付空間395の上面は取付面39である、即ち、取付空間395の上面の遠端394が近端393の+Z軸方向に位置する。いくつかの変化例では、取付面39の傾斜角度が変化し、または対向面の形状が変化したことに伴って、取付空間395の輪郭形状も変化する。
【0028】
1つの変化例では、取付ホルダー32は、中実の形状を呈し、即ち、
図3に示す第1斜面391と第2斜面392との間の空間がなくなり、これに応じて、取付ホルダー32の−Z軸方向の傾斜端面(第2斜面392の位置に相当)が取付面39とされ、傾斜端面と装着部との間の空間が取付空間395とされる。
【0029】
更に、
図7、9に示すように、ケース2の取付面39に対向する側には、可動部材23が設けられ、可動部材23は、弾性支持部231と、回転部232と、接合部233とを含み、具体的には、弾性支持部231とケース2との間に弾性部材24が設けられ、好ましくは、弾性部材24はばねであり、接合部233が+X軸方向へ延び取付空間395に進入して係合する。インクカートリッジの取り出しが必要である時、弾性支持部231に外力Fを与え、弾性支持部231が外力を受けたことに伴って、弾性部材24が圧縮されることにより、可動部材23が回転部232回りに回転する。可動部材23の回転に伴って、接合部233が取付空間395から取り出される。好ましくは、
図6に示すように、弾性支持部231が操作部234にも接続され、外力Fが操作部234に与えられてから、操作部234が外力Fを弾性支持部231に伝達することにより、同様の目的を達する。
【0030】
具体的には、
図5、6、9に示すように、弾性支持部231は、力受け部2311を含み、本実施例における力受け部2311は、傾斜する面であり、以下、力受け面と称し、力受け面は、インクカートリッジが取り出される際に接合部233が動作する方向(
図6に示す動作方向S)に垂直となり、力受け面のケースから離間する端が−Z軸及び+X軸の方向へ傾斜する。インクカートリッジの取り出しが必要である時、外力Fが力受け部2311に与えられ、回転部232が可動部材23の回転軸心であり、Z軸方向において弾性部材24が弾性支持部231と接合部233との間に位置し、即ち、力受け部2311と接合部233との間に位置して、この場合、外力Fの方向が動作方向Sと一致することにより、接合部233と取付面39とが相対的に抜き出すことに寄与する。そのうち、X軸方向において弾性支持部231と接合部233とが回転部232の+X軸方向に位置し、力受け部2311は、傾斜方向が−Z軸及び+X軸方向へ傾斜する面であり、接合部233の動作方向Sは−Z軸と−X軸方向に沿い、即ち、動作方向Sは、接合部233が回転部232を軸心として回転してなる円において接合部233での接線方向であることにより、接合部233と取付面39との分離がさらに容易である。
【0031】
加工誤差及び組立誤差があるので、接合部233と取付面39との接合時の接合位置の誤差が大きいと、チップ26が元の位置からずれ、チップ26と接触ピン31とが接触不良になるおそれがあるため、接合部233の方が回転部232よりもチップ26に近くなることにより、チップ26の位置誤差をできるだけ小さくする。
【0032】
更に、X軸方向においてチップ26がインク供給口21と接合部233との間に位置し、即ち、インク供給口21よりもチップ26の方が接合部233に近い。インク供給口21とチップ26との間にある程度の距離を設けることにより、インク供給口21からインクが漏れる場合にチップ26に影響を与えることを防止し、チップ26と接触ピン31との接触不良が避けられる。同様に、Z軸方向において、チップ26がインク供給口21と接合部233との間に位置し、即ち、インク供給口21とチップ26とが面一ではない。
【0033】
上記実施例では、X軸の方向において、
図8〜9の実施例におけるインク供給口21と接合部233との距離が、
図5〜7の実施例におけるインク供給口21と接合部233との距離よりも小さく、Z軸方向において、
図8〜9の実施例における力受け部2311と回転部232との距離D1が、
図5〜7の実施例中における力受け部2311と回転部232との距離D1よりも大きく、
図8〜9の実施例における接合部233と回転部232との距離D2が、
図5〜7の実施例における接合部233と回転部232との距離D2よりも大きい。オプションとして、
図5〜7において、D1=9.26mm、D2=19.41mmとされ、
図8〜9において、D1=11.41mm、D2=22.23mmとされる。
図8〜9実施例におけるアームが比較的に長いので、小さい外力Fでもインクカートリッジを取り出すことが可能あり、インクカートリッジの取り出しが容易になる。
【0034】
1つの変化例では、回転部232が省略されてもよい。これに応じて、インクカートリッジの取り出しが必要である時、依然として弾性支持部231に外力Fを与え、弾性支持部231が外力を受けて弾性部材24の圧縮を駆動することにより、可動部材23全体が−Z軸方向へ移動して、インクカートリッジに−X軸方向の作用力を与えて、インクカートリッジ全体が−X軸方向へ移動する。この場合、接触ピン31がインクカートリッジに+Z軸方向への弾性力を与えることにより、インクカートリッジが上方に跳ね上げ、接合部233が取付空間395から抜け出す。このようにしても、インクカートリッジの取り出しが完了することができる。
【0035】
第1実施例として、取付ホルダー32が省略し、これに応じて、取付面は、装着部に設けられる斜面である。具体的には、
図3を参照して説明すると、第1斜面391のみを残り、これに応じて、第2斜面392は、装着部の一部であり、即ち、第2斜面392は、装着部における取付面に対向する対向面であり、第1斜面391と対向面との間の空間が取付空間395とされる。
【0036】
第2実施例として、
図4に示すように、取付ホルダー32が省略し、取付面39は、Y軸方向に延在するとともに、装着部におけるY軸方向に対して垂直となる2つの側面を連結し、即ち、取付面39は、Y軸方向に装着部全体に亘る斜面であり、これに応じて、取付面39の−Z軸方向の端面(図示しない)と装着部との間の空間が取付空間395とされる。1種の変化として、
図4に示す装着部全体に亘る取付面39が複数段の斜面(図示しない)に分割されてもよく、これに応じて、複数段の斜面と装着部とにより複数個の取付空間395が形成される。
【0037】
更に、上述した実施例にかかる取付面39のいずれも装着部とともに取付空間395を形成することができ、当業者は、
図7、9に示す構成の模式図を参照して上述した実施例における接合部233と取付空間395との係合態様を理解することができる。具体的には、上述した実施例では、インクカートリッジの装着部からの取り出しの態様は、
図7、9に示す実施例と類似するので、ここで重複しない。
【0038】
第3実施例として、
図11、
図16に示すように、可動部材23は、被付勢部235と、弾性支持部231と、接合部233と、摺動部236とを備え、被付勢部235が回転レバー34に対向して設けられ、被付勢部235が回転レバー34による押動で動くすることができ、弾性支持部231とケース2との間に弾性部材24が設けられている。具体的には、
図3に示すものと類似し、
図11から見えるように、取付ホルダー(
図11において番号が付けられない)は、第1斜面391と、第2斜面392とを備え、ただし、本実施例では、第1斜面391そのものは取付面39であり、第1斜面391と第2斜面392との間に取付空間395が形成され、第1斜面391の−X軸側が近端393であり、+X軸側が遠端394であり、インクカートリッジが装着部に取り付けられた後、近端393がインクカートリッジに近く、遠端394がインクカートリッジから遠いとともに、+Z軸方向において遠端394が近端393よりも高く、即ち、遠端394が近端393の+Z軸方向に位置する。より具体的には、取付空間395の上面は、第1斜面391であり、即ち、取付空間395の上面の遠端394が近端393の+Z軸方向に位置する。
【0039】
具体的には、回転レバー34は、押付部342と手押部343とを含み、押付部342が被付勢部235に対向して設けられ、押付部342は、インクカートリッジが取り出される際、可動部材23における被付勢部235に外力を与える部分であり、手押部343は、装着部からインクカートリッジを取り出す際に、使用者に操作される部分である。外力が回転レバー34に与えられるにより、より良好に被付勢部235に伝達されることができ、インクカートリッジの取り出しが容易になる。
【0040】
図12、15に示すように、インクカートリッジの取り出し中、使用者が回転レバー34の手押部343に外力Gを与え、回転レバー34の回転作用により、押付部342が被付勢部235に接触して被付勢部235に作用力Hを与え、被付勢部235が可動部材23の上半部に位置すると、A点(可動部材23の下方とケース2との接触部位)を回転中心とするモーメントが発生する。発生したモーメントは、A点を回転中心とする反時計回りのモーメントM1であり、そのモーメントによって可動部材23が抜け出す恐れがあり、または、A点がひどく磨耗することにより接合部233の位置が変化してしまう。この場合、接合部233が第1斜面391に接合され、接合部233が第1斜面391からの作用力Jを受け、作用力JによってA点を回転中心とする時計回りのモーメントM2が発生し、M2とM1とが相殺する作用を有する。
【0041】
上記の分析に基づいて、外力G及び被付勢部235が受けた作用力Hを小さくするために、被付勢部235が回転レバー34による押動で回転支点(A点)回りに回転可能であり、接合部233が被付勢部235よりも回転支点(A点)に近く、即ち、被付勢部235が接合部233よりも回転支点から遠い。
図12、15において、被付勢部235からA点までの距離D2が接合部233からA点までの距離D1よりも長い。インクカートリッジの取り出し中、接合部233と第1斜面391との間の摩擦力及び可動部材23とケース2との間の摩擦力に抗する必要があるので、接合部233と第1斜面391との間の摩擦力、可動部材23とケース2との間の摩擦力が一定である場合に、D2>D1とすると、作用力Hの低減に寄与し、インクカートリッジの取り出しが更に容易である。そのうち、Z軸方向において、Hの外力と接合部233との距離がD3とされ、作用力Hと回転支点との距離がD4とされ、X軸の方向において、接合部233と回転支点との距離がD5とされる。
図11〜13において、D1=6.82mm、D2=13.48mm、D3=5.1mm、D4=6.22mm、D1のD2に対する比が0.6よりも小さいことが好ましい。
図14〜15において、D1=13.63mm、D2=14.23mm、D3=6.27mm、D4=17.89mm、D5=7.12mm、D1のD2に対する比が1よりも小さいことが好ましい。
【0042】
図11〜13において、接合部233が第1斜面391に接合される一方、
図14〜15において、接合部233が第2斜面392に接合されるので、
図14〜15において、接合部233がチップ26により近い。
【0043】
第3実施例のいくつかの変化として、取付面39が装着部に直接設けられ、即ち、
図11における第1斜面391が取付面39とされるとともに、第2斜面392が装着部の一部(即ち、装着部における取付面に対応する対向面)であり、これに応じて、取付面39と対向面との間に取付空間395が形成され、接合部233が取付空間395内に係合する。より具体的には、
図11は、可動部材23がケース2内に取り付けられた状態を示し、
図16を参照して、可動部材23がケース2内に取り付けられ、摺動部236がケース2(
図11では視線の原因で見えられない)に密着し、これに対して、
図7、
図11と比較して見えるに、
図7における弾性部材24と
図11における弾性部材24の設置態様が異なり、
図7における弾性部材24の軸線方向がZ軸方向に設けられる一方、
図11における弾性部材24の軸線方向がX軸方向に設けられる。
図11に示す実施例における弾性部材24の設置態様を参照して、インクカートリッジの取り出しが必要である時、外力Gが回転レバー34に与えられ、回転レバー34が受けた外力を弾性支持部231に伝達して、弾性支持部231によって弾性部材24が圧縮されることにより、摺動部236がケース2に対して摺動し、弾性部材24全体が−X軸方向へ動いてから、接合部233が取付空間395から抜き出し、インクカートリッジが接触ピン31の弾性力で跳ね上げ、その後、インクカートリッジが装着部から取り出される。
【0044】
1種の変化として、
図17は、他の種類の可動部材23の構成の模式図を示す。
図16と
図17とを比較して見えるように、2種類の可動部材23は、接合部233が異なる点で相違し、
図16における接合部233は、可動部材23の+X軸方向の端部に設けられる塊状の凸部のみである一方、
図17における接合部233は、+X軸方向に延在する棒状物であり、且つ棒状物の+X軸方向の端部に塊状の凸部が形成される。当業者は、以下のことを理解することができる。即ち、
図17に示す可動部材23と取付空間395との係合方式が、
図16における可動部材23と取付空間395との係合方式に類似し、ただし、
図17に示す可動部材23の強度が
図16における可動部材23よりも高く、これに応じて、
図17における可動部材23が取り付けられたインクカートリッジの取付及び取り出しの方式が第3実施例に類似するので、ここで重複しない。
【0045】
第4実施例として、
図18に示すように、可動部材23は、操作部234と、回転部232と、接合部233とを含み、可動部材23が回転部232を介してケース2に接続され、操作部234は、外力を受けて可動部材23が回転部232回りに回転するように駆動する。具体的には、
図18に示す可動部材23には、Y軸方向に2つの接合部233が設けられている。当業者は、1つの接合部233でも、または複数の接合部233でも、本発明の目的を達成できることが、理解できる。より具体的には、
図18における可動部材23が取り付けられたインクカートリッジが同様に装着部に取り付けられ、且つ、可動部材23が前記いずれの実施例における取付面39にかみ合うことが可能であり、これに応じて、インクカートリッジの取り出しが必要である時、操作部234に−X軸方向への作用力を与え、可動部材23が−X軸方向に回転してから、可動部材23と取付面39とが離れ、インクカートリッジが接触ピン31の弾性力で跳ね上げ、その後、インクカートリッジが装着部から取り出される。
【0046】
図19〜21に示すように、X軸方向において接合部233が操作部234と回転部232との間に位置し、Z軸方向において接合部233が操作部234と回転部232との間に位置することにより、可動部材23の可動空間を小さくさせる。
【0047】
この実施例では、X軸方向においてチップ26がインク供給口21と接合部233との間に位置し、即ち、インク供給口21よりも、チップ26の方が接合部233に近い。Z軸方向においてチップ26がインク供給口21と接合部233との間に位置する。
【0048】
そのうち、X軸の方向において、
図21の実施例におけるインク供給口21と接合部233との距離が、
図19の実施例におけるインク供給口21と接合部233との距離よりも小さく、Z軸方向において、操作部234と接合部233との距離がD1とされ、操作部234と回転部232との距離がD2とされ、操作部234とチップ26との距離がD3とされる。
図19において、D1=9.19mm、D2=16.76mm、D3=23.07mmとされ、
図21において、D1=20.75mm、D2=23.16mm、D3=28.46mmとされることが好ましい。
【0049】
明らかに、上述した各実施例では、取付面39が回転レバー34に設けられないことにより、回転レバー34の作動による接合部233への影響が低減される。
【0050】
図22及び
図23は、従来技術の1種のインクカートリッジ(詳細は中国出願CN200710146624.4の記載を参照)を示す。従来技術のインクカートリッジは、負圧室102とインク室103とを備え、負圧室102では、負圧スポンジを負圧機構として、インクカートリッジ内部の負圧が制御される。しかし、使用者のインクカートリッジのインク量に対する要求が高くなることに伴って、負圧スポンジの新材質に対する研究開発により、負圧室102の体積を低減するとともにインク室103の体積を増加することができる。インクカートリッジ内部の負圧を更に安定させるように、インクカートリッジの吸気口104から気体を導入することにより、インクカートリッジ内部の気体を均一にさせるようにする。具体的には、
図22に示すように、従来技術のインクカートリッジは、+X軸方向に空気室101と、負圧室102と、インク室103とに順次に分割され、図面から見えるように、インクカートリッジの内部空間の大半が空気室101及び負圧室102とされるので、インク室103の空間が低減される。実際の使用中、インク供給口がインクカートリッジのX軸の側辺に位置せず、且つ、インクカートリッジの技術の発展に伴って、製造メーカーがインク供給口をインクカートリッジの底部の中央に近い位置に設置して行くので、負圧室とインク供給口との連通を確保するため、インクカートリッジにおけるインク供給口の−X軸側にある領域がインク貯留のために利用されない。この技術課題から見れば、インクカートリッジのインク量にまだ広がる空間がある。
【0051】
更に、
図24は、第5実施例を示す。本実施例のX軸、Y軸、Z軸が第1実施例のX軸、Y軸、Z軸と一致する。インクカートリッジのケース2内には、空気室251と、負圧室252と、第1インク室253と、第2インク室254とが設けられている。第1インク室253と第2インク室254とが、上述した各実施例におけるインクカートリッジのインク室を構成している。空気室251と、負圧室252と、第2インク室254とが、この順で+X軸方向に設けられる。第1インク室253がY軸方向に空気室251と負圧室252とに隣接して設けられる。具体的には、負圧室252内に負圧スポンジが充填され、インク供給口21内にインク供給口スポンジが充填されている。好ましくは、インク供給口スポンジと負圧スポンジとの密度が一致し、これにより、両方の密度の相違によりプリンタが無駄にプリントすること、または待機際にインクが落下することを防止することができる。
図22と
図24とを比較して見えるように、
図22に示す従来技術と比べ、
図24におけるケース2のY軸方向の一部に空気室251と、負圧室252と、第1インク室253とが設けられることにより、空気室251の体積が低減されるとともに、インク室の体積が増加され、インクカートリッジのインク貯留量が増加される。そして、X軸方向に、インク室がインクカートリッジのケース2全体に亘る。
【0052】
更に、Y軸方向にいて、第1インク室253が広すぎると、負圧室252が狭すぎになる。すると、インクカートリッジの内部の負圧が足りなくなってします。1つの好適な案として、インクカートリッジのY軸方向の幅をD、第1インク室253の少なくとも一部のY軸方向の幅をD
1、負圧室252のY軸方向の幅をD2とする場合に、D
1≦D/3、D
2≧2D/3である。具体的には、第1インク室253の+X軸方向の幅が均等ではないと、D
1が第1インク室253のY軸方向の幅の最も狭い部分であり、第1インク室253の+X軸方向の幅が均等であると、第1インク室253のY軸方向の幅がD
1そのものであることが好ましい。
【0053】
更に、第1インク室253は、+X軸方向に順次に分布される第1部分2531と第2部分2532とを備え、
図24に示すように、Y軸方向において第1部分2531の幅が第2部分2532の幅よりも大きく、第1部分2531がY軸方向に負圧室252に隣接して設けられ、第2部分2532がY軸方向に空気室251に隣接して設けられる。具体的には、第2部分2532は、一本の通路であり、
図26に示すように、第2部分2532と第2インク室254との間に連通口256が設けられることにより、第2部分2532が第1部分2531と第2インク室254とを連通することができ、そのような設計により、第1インク室253の空間を充分に利用するという目的が達成することができる。より具体的には、
図25に示すように、第5実施例におけるインクカートリッジにも吸気口255が設けられ、その作用が
図22に示す従来技術のインクカートリッジに類似するので、ここで重複しない。
【0054】
更に、
図27及び
図28を参照すると、第1インク室253が第1連通路257を介してインク供給口21に連通され、第2インク室254が第2連通路258を介してインク供給口21に連通され、負圧室252が第3連通路259を介してインク供給口21に連通される。具体的には、
図24を参照して見えるように、前記D
1は第2部分2532の幅であり、これに応じて、第1連通路257の形状は長細いスリットである。第1連通路257により、第1インク室253がインク供給口21に直接連通することができ、これにより、インクをインク供給口スポンジに供給することができる。すると、プリンタが連続してプリントする場合に、負圧スポンジの吸収能力不足によるインク供給不良を防止することができる。そして、第1連通路257が長細いものであるので、インクカートリッジが待機する場合にインクが落下することを防止することができる。
【0055】
以上、本発明の具体的な実施例について記述しました。理解すべきことは、本発明が上述した特定の実施形態に限られず、当業者であれば特許請求の範囲でさまざまの変形や変更を実施可能であり、本発明の実質内容に影響を与えない。