(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
1.搭載装置1の全体構成
搭載装置1は、
図1に示すように、基台11と、基板Pを搬送する搬送コンベア20と、バックアップ装置25と、ヘッドユニット60と、ヘッドユニット60を基台11上にて平面方向(XY方向)に移動させる駆動装置30と、第1カメラ81と、第2カメラ85を備えている。尚、以下の説明において、基台11の長手方向(
図1の左右方向)をX方向と呼ぶものとし、基台11の奥行方向(
図1の上下方向)をY方向、
図2の上下方向をZ方向とする。また、ヘッドユニット60が、本発明の「ヘッド部」、「引離装置」の一例である。
【0021】
搬送コンベア20は、基台11の中央に配置されている。搬送コンベア20はX方向に循環駆動する一対の搬送ベルト21を備えており、搬送ベルト21上の二点鎖線で示した基板Pを、ベルトとの摩擦によりX方向に搬送する。
【0022】
本実施形態では、
図1に示す左側が入り口となっており、基板Pは、
図1に示す左側より搬送コンベア20を通じて上流機から基台11上へ搬入される。搬入された基板Pは、搬送コンベア20により基台中央の作業位置Gまで運ばれ、そこで停止される。
【0023】
作業位置Gには、バックアップ装置25が設けられている。バックアップ装置25は、
図2に示すように、基板Pの下面を支えるバックアッププレート26と昇降装置28を有している。バックアッププレート26は、昇降装置28により、Z方向に移動することが出来る。バックアップ装置25は、作業位置Gにて基板Pの下面を支えることで、搭載時に基板Pが撓むように変形することを抑制する。
【0024】
また、バックアッププレート26には、加熱用のヒータ27が内蔵されていてもよい。ヒータ27は、柱状電極170を基板Pのランド100に加熱接合(リフロー)するために設けられている。尚、
図2において、バックアップ装置25、基板P、コンベア20は、X方向から見た図としてある。
【0025】
基台11上には、作業位置Gの周囲を囲むようにして、供給部13A〜13Cが設けらている。供給部13Aには、後述する柱状電極170を保持した保持プレート150が配置されている。供給部13Bには、LSIチップ等のIC部品180が配置されている。また、供給部13Cには、チップ抵抗などの小型電子部品を供給するフィーダが横並び状に多数設置されている。
【0026】
そして、作業位置Gでは、供給部13A〜13Cに配置された各パーツ、すなわち柱状電極170、IC部品180、小型電子部品を、基板P上に搭載する搭載処理が、ヘッドユニット60に搭載された搭載ヘッド63により行われる。尚、搭載装置1での全工程を終えた実装基板Psはコンベア20を通じて、
図1における右方向に運ばれ、下流機に搬出される構成になっている。尚、実装基板Psは、上流機から搬入された基板Pに対して柱状電極170やIC部品180、小型部品などの必要なパーツを搭載した基板を意味する。
【0027】
駆動装置30は、大まかには一対の支持脚41、ヘッド支持体51、Y軸ボールネジ45、Y軸モータ47、X軸ボールネジ55、X軸モータ57から構成される。具体的に説明してゆくと、
図1に示すように基台11上には一対の支持脚41が設置されている。両支持脚41は作業位置の両側に位置しており、共にY方向にまっすぐに延びている。
【0028】
両支持脚41にはY方向に延びるガイドレール42が支持脚上面に設置されると共に、これら左右のガイドレール42に長手方向の両端部を嵌合させつつヘット支持体51が取り付けられている。
【0029】
また、右側の支持脚41にはY方向に延びるY軸ボールねじ45が装着され、更にY軸ボールねじ45にはボールナット(不図示)が螺合されている。そして、Y軸ボールねじ45にはY軸モータ47が付設されている。
【0030】
Y軸モータ47を通電操作すると、Y軸ボールねじ45に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体51、ひいては次述するヘッドユニット60がガイドレール42に沿ってY方向に移動する(Y軸サーボ機構)。
【0031】
ヘッド支持体51は、X方向に長い形状である。ヘッド支持体51には、
図2に示すように、X方向に延びるガイド部材53が設置され、更に、ガイド部材53に対してヘッドユニット60が、ガイド部材53の軸に沿って移動自在に取り付けられている。このヘッド支持体51には、X方向に延びるX軸ボールねじ55が装着されており、更にX軸ボールねじ55にはボールナットが螺合されている。
【0032】
そして、X軸ボールねじ55にはX軸モータ57が付設されており、同モータ57を通電操作すると、X軸ボールねじ55に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット60がガイド部材53に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0033】
従って、X軸モータ57、Y軸モータ47を複合的に制御することで、基台11上においてヘッドユニット60を平面方向(XY方向)に移動操作出来る構成となっている。
【0034】
係るヘッドユニット60には、各パーツの搭載作業を行う搭載ヘッド63が列をなして複数個搭載されている。各搭載ヘッド63はR軸モータによる軸回りの回転と、Z軸モータの駆動によりヘッドユニット60に対して昇降可能な構成となっている。また、各搭載ヘッド63には図外の負圧手段から負圧が供給されるように構成されており、ヘッド先端に吸引力を生じさせるようになっている。
【0035】
搭載装置1は、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータを所定のタイミングで作動させることにより、供給部13A〜13Cから各パーツ、すなわち柱状電極170、IC部品180、小型電子部品を、搭載ヘッド63により取り出して、基板P上に搭載する処理を実行することが出来る。
【0036】
基台11上には、第1カメラ81が設置されている。第1カメラ81は、基台11上において撮像面を上に向けて固定されている。第1カメラ81は、各供給部13A〜13Cから取り出した保持プレート150やIC部品180などを画像認識するために設けられている。
【0037】
また、ヘッドユニット60には、撮像面を下に向けた状態で、第2カメラ85が固定されている。第2カメラ85は、上述のX軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を駆動させることで、基台11上をヘッドユニット60と一体的に移動することから、基板P上の任意の位置の画像を撮像することが出来る。搭載装置1は、第2カメラ85により撮影した基板Pの画像に基づいて、作業位置Gに停止した基板Pの位置や、基板P上に形成された各ランド100の位置を認識する。
【0038】
2.搭載装置1の電気的構成
次に、搭載装置1の電気的構成を、
図3を参照して説明する。搭載装置1はコントローラ210により装置全体が制御統括されている。尚、コントローラ210は、本発明の「判断部」の一例である。また、コントローラ210、第1カメラ81、第2カメラ85が、「検査装置5」である。
【0039】
コントローラ210はCPU等により構成される演算処理部211を備える他、搭載プログラム記憶手段213、モータ制御部215、画像処理部216、記憶部217、入出力部219を設けている。演算処理部211には、操作パネル220が接続されていて、操作パネル220を介して、各種の入力操作ができるようになっている。
【0040】
搭載プログラム記憶手段213には、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータ、R軸モータなどからなるサーボ機構を制御するための搭載プログラムが格納されている。
【0041】
モータ制御部215は演算処理部211と共に、搭載プログラムに従って各種モータを駆動させるものであり、同モータ制御部215には、各種モータが電気的に連なっている。
【0042】
また、画像処理部216には、第1カメラ81、第2カメラ85が電気的に連なっており、これら各カメラ81、85から出力される画像データがそれぞれ取込まれるようになっている。そして、画像処理部216では、取り込まれた画像の解析が行われる。
【0043】
3.基板Pに対する柱状電極170の搭載と検査工程
柱状電極170は、
図4に示すように基板Pのランド100上に搭載され、IC部品180との接続用の端子として機能する。
【0044】
搭載装置1は、
図5、6に示す保持プレート150を用いて、基板Pに対して複数の柱状電極170を一括搭載する。尚、保持プレート150が本発明の「保持体」の一例である。
【0045】
保持プレート150は、
図5に示すように、平板状をなす樹脂製のプレート本体151と、プレート本体151の下面に設けられた粘着層155とから構成されている。
【0046】
柱状電極170は、銅製であって、円柱形状である。柱状電極170は、保持プレート150の粘着層155により保持されている。具体的には、柱状電極170は、保持プレートの粘着層155に上面を突き当てており、保持プレート150に対して直立した状態(軸線を直交させた状態)に保持されている。柱状電極170の下面171は、基板Pへの接合面である。
【0047】
図6に示すように、保持プレート150には、複数の柱状電極170が所定の配列で粘着保持されている。
図6の例では、保持プレート150に対して、12個の柱状電極170が、プレート外縁に沿って四角形状に配置されている。柱状電極170の数と位置は、搭載対象となる基板Pのランド100の数と位置に対応している。
【0048】
図7、
図8は、実装基板Psの製造工程を示す図である。実装基板Psは、基板Pに対して柱状電極170やIC部品を搭載した基板である。
【0049】
実装基板Psの製造工程は、(A)〜(H)の8つの工程から構成されており、全て搭載装置1にて実行される。
【0050】
(A)の工程では、基板Pの搬入及び撮影が行われる。具体的には、作業対象となる基板Pは、上流機にて印刷処理(基板表面のランド上にゾルダペーストを印刷する処理)を行った後、コンベアにより、基台11上の作業位置Gに送られる。
【0051】
その後、バックアップ装置25のバックアッププレート26が上昇して、作業位置Gに停止した基板Pの下面を支える。基板Pの搬入後、コントローラ210は、作業位置Gに停止した基板Pの上方にヘッドユニット60を移動し、基板Pを第2カメラ85により、撮影する。
【0052】
(B)の工程では、柱状電極170の取り出し及び検査が行われる。具体的には、コントローラ210は、供給部13Aの上方にヘッドユニット60を移動する。そして、保持プレート150の上面の中央を搭載ヘッド63により吸着保持し、供給部13Aから柱状電極170を保持した保持プレート150を取り出す。
【0053】
その後、コントローラ210は、第1カメラ81の上方にヘッドユニット60を移動する。そして、搭載ヘッド63により保持した保持プレート150を、第1カメラ81により、撮影する。
【0054】
図9は、第1カメラ81により撮影した保持プレート150の画像(本発明の第1画像に相当)300である。尚、画像300のうち、12個の白い部分は輝度が高い部分(光の反射が強い部分)であり、柱状電極を示している。
【0055】
コントローラ210は、保持プレート150の画像300から、搭載ヘッド63による保持プレート150の吸着状態、すなわち吸着位置や吸着角度のずれを確認する。
【0056】
具体的には、
図10に示すように、搭載ヘッド63の中心O2に対する保持プレート150の中心O1のずれ量dx、dyと、保持プレート150の傾きθを検出する。ずれ量dx、dyと傾きθは、保持プレート150を基板Pに搭載する際に、位置や角度のずれを補正するために算出している。
【0057】
尚、保持プレート150の中心O1は、例えば、
図10に示すように、保持プレート150の外形を認識し、外形線の中心を結ぶ直線Lx、Lyの交点から求めることが出来る。また、傾きθは、直線Lxの傾きから求めることが出来る。
【0058】
また、コントローラ210は、保持プレート150の画像300から、柱状電極170を認識し、保持プレート150による柱状電極170の保持状態の良否を検査する。
【0059】
具体的に説明すると、検査フローは、
図11に示すように、S10〜S120から構成されており、コントローラ210は、まず、第1カメラ81により撮影した保持プレート150の画像300から、柱状電極170を認識する処理を行う(S10)。
【0060】
保持プレート150の画像300は、
図9に示すように、柱状電極170の部分だけが白く光り(輝度が高い)、周囲は概ね暗い画像となる。そのため、コントローラ210は、保持プレート150の画像を解析して、輝度の高い認識することで、柱状電極170を認識することが出来る。
【0061】
次に、コントローラ210は、保持プレート150上の電極中心位置C1〜C12に、柱状電極170が全てあるか、確認する処理を行う(S20)。
【0062】
具体的には、搭載装置1は、
図12に示すように、各柱状電極170の検査用データとして、保持プレート150の中心O1を基準とした、電極中心位置C1〜C12の座標のデータと、円形状(例えば半径R)の大きさのデータを、記憶部217に保持している。
【0063】
そして、コントローラ210は、第1カメラ81により撮影した保持プレート150の画像300から、各電極中心位置C1〜C12について、その位置に重なる柱状電極170が認識できているか、判定する。
【0064】
全ての電極中心位置C1〜C12について、その位置に重なる柱状電極170が認識できている場合(S20:YES)、コントローラ210は、電極中心位置C1〜C12に対して重なる柱状電極170の他に、余分な柱状電極170を認識していないか、確認する処理を行う(S30)。
【0065】
余分な柱状電極170を認識していない場合(S30:YES)は、コントローラ210は、電極中心位置C1〜C12に対して重なる各柱状電極170について、形状の異常はないか、確認する処理を行う(S40)。具体的には、第1カメラ81により撮影した保持プレート150の画像300から各柱状電極170の外形を認識し、真円度や円形寸法をチェックする。そして、真円度や円形寸法が正常範囲であれば、異常なしと判断する。尚、真円度は周長と面積から算出することが出来る。また、円形寸法は半径Rである。
【0066】
全ての柱状電極170について形状の異常がない場合(S40:YES)、コントローラ210は、電極中心位置C1〜C12に対して重なる各柱状電極170について、位置の異常はないか、確認する処理を行う(S50)。具体的には、第1カメラ81により撮影した保持プレート150の画像300から、保持プレート150の中心O1を基準として、各柱状電極170の中心位置を認識する。そして、認識された中心位置と、検査データとして記憶されている電極中心位置C1〜C12とを比較し、位置のずれが所定値以内であれば、異常なしと判断する。
【0067】
全ての柱状電極170について位置の異常がない場合(S50:YES)、コントローラ210は、保持プレート150による柱状電極170の保持状態は「正常」と判断する(S70)。すなわち、検査用データとして記憶されている各電極中心位置C1〜C12に対して、柱状電極170が正規の数だけ正しく配置されていると判断する。
【0068】
そして、保持プレート150による柱状電極170の保持状態は、正常と判断した場合、
図7に示す(C)の工程が行われる。
【0069】
一方、検査フローにおいて、S20〜S50でNO判定された場合、コントローラ210は、操作パネル220に対して、エラーの種類に応じたエラー表示(エラー表示の詳細は後述する)を行い、当該保持プレート150は、生産に使用せず、リペア品(修復後、再使用品)として扱われる。
【0070】
図7に示す(C)の工程では、保持プレート150に保持された複数の柱状電極170を基板Pの上面に一括搭載する。具体的には、コントローラ210は、基板Pの上方に、ヘッドユニット60を移動する。そして、保持プレート150が基板Pの真上まで移動すると、搭載ヘッド63を下降し、保持プレート150上に保持された複数の柱状電極170を、基板Pの各ランド100上に一括搭載する。
【0071】
尚、搭載ヘッド63に対する保持プレート150の吸着位置や吸着角度にずれがある場合、コントローラ210は、位置や角度のずれを補正する補正処理を行う。具体的には、中心O1のずれ量dx、dyを見込んで、搭載位置を補正する処理を行う。また、搭載ヘッド63をR軸方向に回転し、傾きθを補正する処理を行う。
【0072】
図7に示す(D)の工程では、搭載された柱状電極170と基板Pのランド100が加熱接合(リフロー)される。具体的には、コントローラ210は、バックアッププレート26に内蔵されたヒータ27を通電し、基板Pを加熱する。これにより、ランド100上に印刷されたゾルダペーストが溶解し、基板Pの各ランド100に柱状電極170が一括して接合される。
【0073】
図8に示す(E)の工程では、接合した柱状電極170から、保持プレート100が引き離される。具体的には、コントローラ210は、保持プレート150を吸着した状態を維持したまま、
図7の(D)に示す高さから搭載ヘッド63を上昇する。これにより、接合された柱状電極170から保持プレート150を引き離すことが出来る。すなわち、粘着層155の粘着力に抗して、保持プレート150を剥離することが出来る。
【0074】
図8に示す(F)の工程では、保持プレート100の認識及び検査が行われる。具体的には、コントローラ210は、引き離した保持プレート150を、第1カメラ81の上方に移動して撮影する。
【0075】
そして、コントローラ210は、第1カメラ81により撮影した保持プレート150の画像400から、保持プレート150上に残されている柱状電極170の有無を検査する。
【0076】
図15は、引き離し後の保持プレート150を第1カメラ81により撮影した画像であり、400Aは正常時の画像、400Bは異常時の画像を示している。尚、画像400A、400Bが本発明の第2画像に相当する。
【0077】
引き離し後の保持プレート150の画像から柱状電極170が認識されない場合(画像400Aの場合)、コントローラ210は、保持プレート150に保持された全ての柱状電極170は基板Pに正しく搭載されたと判断する(正常)。一方、引き離し後の保持プレート150の画像から柱状電極170が認識される場合(画像400Bの場合)、保持プレート150に保持された一部の柱状電極170が基板Pに搭載されなかったと判断する(異常)。
【0078】
そして、「正常」と判断した場合、保持プレート150を図外の廃棄場所に廃棄した後、
図8に示す(G)の工程が行われる。尚、「異常」と判断した場合、
図8に示す(G)、(H)の工程は実行されず、当該基板Pは不良品として扱われる。
【0079】
図8に示す(G)の工程では、基板P上に搭載された柱状電極170の位置を認識する処理が行われる。具体的には、コントローラ210は、基板Pの上方にヘッドユニット60を移動して、柱状電極170を搭載した基板Pを第2カメラ85により撮影する。そして、コントローラ210は、第2カメラ85により撮影された画像から、基板P上に搭載された各柱状電極170の位置を認識する。
【0080】
図8に示す(H)の工程では、IC部品180を搭載する処理が行われる。具体的には、コントローラ210は、供給部13Bの上方にヘッドユニット60を移動する。そして、供給部13BからIC部品180を搭載ヘッド63により取り出す。
【0081】
そして、コントローラ210は、搭載ヘッド63により保持したIC部品180を第1カメラ81により撮影し、その後、ヘッドユニット60を制御して、IC部品180を基板P上に搭載する。すなわち、
図8の(H)に示すように、基板Pに接合した各柱状電極170上に、端子190が重なるように、IC部品180を搭載する。
【0082】
尚、搭載ヘッド63によるIC部品180の吸着位置や吸着角度にずれがある場合、基板Pへの搭載時に、位置や角度のずれを補正する補正処理を行うとよい。
【0083】
IC部品180の搭載後、コントローラ210は、IC部品以外の電子部品を基板Pに搭載する処理を実行する。そして、基板Pに対して全ての部品が搭載完了すると、搭載装置1で行われる全工程が終了し、製造後の実装基板Psは下流機に搬出される。
【0084】
次に、上記した
図11に示す検査フローにおいて、S20〜S50でNO判定された場合、コントローラ210は、操作パネル220の表示部(図略)に対して、エラーの種類に応じた表示を行う。
【0085】
図13は、エラー発生時において、第1カメラ81により撮影された保持プレート150の各画像310A〜310Eを示している。例えば、
図13の(A)に示す画像310Aのように、一部の電極中心位置C2について、その位置に重なる柱状電極170が存在しない場合(S20:NO)、
図14の(A)に示すように、電極中心位置C2に×印を付加した画像330Aを操作パネル220に表示し、これと併せて、「電極中心位置C2に柱状電極が不足しています。不足分を補充するリペア作業を行ってください」などのメッセージを表示する。尚、同表示が「リペア方法を教示する表示の一例」である。
【0086】
図13の(B)に示す画像310Bように、一部の電極中心位置C9について、その位置に重なる柱状電極170の形状に異常である場合(S40:NO)、
図14の(B)に示すように、電極中心位置C9に×印を付加した画像330Bを操作パネル220に表示し、これと併せて、「電極中心位置C9の柱状電極が倒れています。倒れを修復するリペア作業を行ってください」などのメッセージを表示する。尚、同表示が「リペア方法を教示する表示の一例」である。
【0087】
図13の(C)に示す画像310Cように、一部の電極中心位置C2について、その位置に重なる柱状電極170の位置に異常がある場合(S50:NO)、
図14の(C)に示すように、電極中心位置C2に×印を付加した画像330Cを操作パネル220に表示し、これと併せて、「電極中心位置C2の柱状電極の位置がずれています。位置のずれを修正するリペア作業を行ってください」などのメッセージを表示する。尚、同表示が「リペア方法を教示する表示の一例」である。
【0088】
図13の(D)に示す画像310Dように、電極中心位置C1〜C12に対して重なる柱状電極170の他に、余分な柱状電極170を認識している場合(S30:NO)、
図14の(D)に示すように、余分な柱状電極170に×印を付加した画像330Dを操作パネル220に表示し、これと併せて、「余分な柱状電極が存在しています。余分を取り除くリペア作業を行ってください」などのメッセージを表示する。尚、同表示が「リペア方法を教示する表示の一例」である。
【0089】
尚、
図13の(E)に示す画像310Eは、2枚重なった状態で供給部13Aから保持プレート150が取り出された場合を示している。このような場合、検査フローのS60でNO判定となり、その後、
図14(E)に示すように、一方の保持プレート150に×印を付加した画像330Eを操作パネル220に表示し、これと併せて、「保持プレートを同時吸着しています。同時吸着した保持プレートを取り除くリペア作業を行ってください」などのメッセージを表示する。尚、同表示が「リペア方法を教示する表示の一例」である。
【0090】
3.効果説明
搭載装置1は、供給部13Aからの取り出し後、保持プレート150を画像認識して、保持プレート150による柱状電極170の保持状態の良否を検査する(
図8の(B)工程)。そして、検査の結果、異常がない場合にだけ、保持プレート150上に保持された柱状電極170を基板P上に一括して搭載する。従って、柱状電極170の保持に異常がある保持プレート150が生産に使用されることを回避できるので、不良基板の製造を抑制することが出来る。
【0091】
しかも、搭載ヘッド63に対する保持プレート150の吸着状態(中心位置のずれや傾きの有無)を確認するために取得された画像300を利用して、柱状電極170の保持状態を検査する。そのため、柱状電極170の保持状態の検査用として、保持プレート150を撮影する必要もない。
【0092】
また、搭載装置1は、柱状電極170の基板Pへの搭載後、保持プレート150を画像認識して、保持プレート150上に残されている柱状電極170の有無を検査する。そして、柱状電極170が残されてない場合は、その基板Pに対するIC部品180の搭載作業を行う。一方、柱状電極170が残されている場合、その基板Pは、不良品として取り扱う。このようにすることで、不良基板の流出を抑制することが出来る。
【0093】
また、搭載装置1は、保持プレート150による柱状電極170の保持状態に異常がある場合、異常の種類に応じたリペア方法を教示する表示を行う。このようにすることで作業者が、柱状電極170のリペア作業を容易に行うことが出来る。
【0094】
<実施形態2>
実施形態2において、コントローラ210は、基板Pに対する柱状電極170の搭載状態の良否を検査する処理を行う。具体的には、
図7に示す(A)の工程において、柱状電極170の一括搭載前に基板Pを第2カメラ85により撮影した画像と、
図8に示す(G)の工程において、柱状電極170の搭載後に基板Pを第2カメラ85により撮影した画像とから、2つの画像を比較する方法の一例として、2つの画像の差画像を作る。
【0095】
図16の(A)に示す画像510は、柱状電極170の一括搭載前に基板Pを第2カメラ85により撮影した画像(本発明の第4画像に相当)である。
図16の(B)に示す画像520は、柱状電極170の搭載後に基板Pを第2カメラ85により撮影した画像(本発明の第3画像に相当)である。また、
図16の(C)に示す画像530は、2つの画像510、520の差画像である。
【0096】
差画像530は、配線パターンなど、搭載前後で変化のない部位は消え、変化のある部位だけ残る画像となることから、柱状電極170が認識し易く、基板Pに対する柱状電極170の搭載状態の良否を精度よく判断することが出来る。
【0097】
図16は、正常時の画像であり、基板Pに対して12本の柱状電極170がミスなく、搭載されている。
図17は、搭載不良時の各画像510〜520であり、差画像530から明らかなように、基板Pに対して柱状電極170が11本しか搭載されておらず、未搭載の柱状電極170が存在している。
【0098】
コントローラ210は、差画像530から柱状電極170を認識して、搭載不良の良否を判定する。そして、正常時は、
図8に示す(H)の工程に進み、柱状電極170を搭載した基板Pに対してIC部品180を搭載する作業を行う。一方、柱状電極170の搭載不良がある場合、その基板Pは不良品として処理する。
【0099】
このようにすることで、不良基板が下流機へ流出することを抑制することが出来る。尚、基板Pに対する柱状電極170の搭載状態の良否を検査する方法は、保持プレート150による柱状電極170の保持状態の良否を検査する方法と同様の方法で行うことが出来る。
【0100】
<実施形態3>
図18は実施形態3における搭載装置1の平面図である。実施形態3は、実施形態1に対して、レーザ変位計600が追加されている点が相違している。レーザ変位計600は、本発明の「第1検出部」の一例である。
【0101】
レーザ変位計600は、保持プレート150に保持された柱状電極170の下面171の高さを計測する機器である。下面171は、基板Pに対する接合面である。
図18に示すように、レーザ変位計600は、基台11上において、検出面を上方に向けた状態で配置されている。
【0102】
実施形態3において、コントローラ210は、
図7の(B)の工程で、第1カメラ81により保持プレート150の画像を撮影した後、保持プレート150をレーザ変位計600の上方に移動し、保持プレート150に保持されている各柱状電極170の下面171の高さHをレーザ変位計600により計測する。
【0103】
レーザ変位計600は、いわゆる三角測量を利用したものであり、レーザを出射する投光部と、対象物で反射したレーザを受光する受光部を有している。本例では、
図19に示すように、レーザ変位計600により、保持プレート150の下面を基準として、各柱状電極170の下面171の高さHを計測する。
【0104】
その後、コントローラ210は、計測結果に基づいて、各柱状電極170について、下面171の高さHの良否、すなわち、高さHのバラつきの良否を判断する。具体的には、全柱状電極170の高さHの平均を算出する。そして、各柱状電極170について、平均に対する高さHの差を求め、求めた差が閾値よりも小さい場合、高さHは「正常」と判断し、平均との差が閾値より大きい場合、「異常」と判断する。
【0105】
そして、全ての柱状電極170とも「正常」である場合、
図7の(C)に示すように、コントローラ210は、基板Pに対して、柱状電極170を一括搭載する。
【0106】
一方、いずれか一つでも高さHに「異常」がある場合、その保持プレート150はリペア品として取り扱い、生産に使用しない。このようにすることで、基板Pへの搭載時に、高さHのバラつきによる、柱状電極170の搭載不良を抑制することが出来る。そのため、不良基板の製造を抑制することが出来る。
【0107】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0108】
(1)実施形態1では、基板Pに対して柱状電極170を搭載した例を示したが、柱状電極170の搭載対象は、基板Pに限定されるものではなく、ICなどの部品でもよい。すなわち、ICなどの部品に対して柱状電極170を搭載するようにしてもよい。
【0109】
(2)また、基板Pは、
図20に示すように、複数の小基板P1〜P4からなる集合基板Prでもよい。集合基板Prの場合、
図21に示すように、保持プレート150に対して、小基板P1〜P4に対応した柱状電極グループG1〜G4を、小基板の数分だけ一括して保持する。そして、集合基板Prの各小基板P1〜P4に対して、保持プレート150を用いて、複数の柱状電極グループG1〜G4を、一括搭載するとよい。
【0110】
(3)実施形態1では、柱状電極170の搭載後、バックアッププレート26に内蔵したヒータ27で基板Pを下から加熱することにより、基板Pのランド100と柱状電極170を接合(以下、リフロー工程)した。そして、接合後に、基板Pに接合した柱状電極170から保持プレート150を引き離す工程を行った。
【0111】
保持プレート150の引き離しは、搭載した柱状電極170が基板Pに対して、何等かの手段で固定されている状態であれば、行うことが出来る。そのため、柱状電極170から保持プレート150を引き離した後に、リフロー工程を行ってもよい。更に言えば、リフロー工程やIC部品180の搭載工程は、搭載装置1の下流側に配置された別の装置で行うようにしてもよい。すなわち、搭載装置1は、少なくとも、保持プレート150を用いて、基板Pに対して柱状電極170を搭載する工程を行う装置であればよい。
【0112】
柱状電極170とランド100の固定方法の一例として、紫外線硬化性の樹脂剤を使用する方法がある。すなわち、基板Pのランド100に対して予め硬化性の樹脂剤を塗布しておく。そして、柱状電極170を基板Pに搭載した後、例えば、ヘッドユニット60に設けた紫外線照射装置から紫外線を照射して接着剤を硬化させる。これにより、柱状電極170を基板Pのランド100に固定できる。尚、樹脂剤の塗布は、例えば、搭載装置1へ基板Pを搬入する前に上流機で行うことが出来る。
【0113】
(4)実施形態1では、ヘッドユニット60の搭載ヘッド63を用いて、基板Pに搭載した柱状電極170から保持プレート150を引き離した例を示した。保持プレート150の引き離しは、必ずしも、搭載ヘッド63を用いて行う必要はなく、専用の引離装置を設けて行うようにしてもよい。尚、引離装置は、保持プレート150を固定した状態で上方に引き上げることができる構造であればよく、また、設置場所も搭載装置1上に限定されない。すなわち、搭載装置1に設置されていてもよいし、搭載装置1とは別に設けられていてよい。
【0114】
(5)実施形態1では、基板Pに対して柱状電極170を搭載した後、保持プレート150を第1カメラ81で撮影し、得られた画像400A、400Bから、保持プレート150に残された柱状電極170の有無を検査したが、この検査は、任意である。
【0115】
(6)実施形態1では、柱状電極170の形状を円柱状としたが、角柱状でもよい。
【0116】
(7)実施形態2では、柱状電極170の搭載前後における基板Pの差画像530に基づいて、基板Pに対する柱状電極170の搭載状態の良否を検査した。差画像を利用する以外にも、柱状電極170の搭載後に、基板Pを第2カメラ85により撮影した画像520のみに基づいて、基板Pに対する柱状電極170の搭載状態の良否を検査してもよい。
【0117】
(8)実施形態3では、基台11上にレーザ変位計600を設けて、保持プレート150に保持された柱状電極170の下面171の高さを計測した。この他にも、レーザ変位計を別に設けて、基板Pに搭載された柱状電極170の上面172の高さを計測するようにしてもよい。上面172は、相手部品であるIC部品180の搭載面である。
図22の例では、ヘッドユニット60に対して、検出面を下方に向けた状態で、レーザ変位計700を設けている。レーザ変位計700は本発明の「第2検出部」の一例である。
【0118】
コントローラ210は、
図8の(E)の工程で、保持プレート150を柱状電極から引き離した後、
図8の(F)の工程で、保持プレート150に残されている柱状電極170の有無を検査する。そして、コントローラ210は、残されている柱状電極170が存在しない場合、ヘッドユニット60を基板Pの上方に移動し、基板P上に搭載されている各柱状電極170の上面171の高さをレーザ変位計700により計測する。尚、上面171の高さは、例えば、基板Pの上面を基準として計測するとよい。
【0119】
その後、コントローラ210は、計測結果に基づいて、各柱状電極170について、上面172の高さの良否、すなわち、高さのバラつきの良否を判断する。尚、高さのばらつきの判断方法は、実施形態3と同様である。
【0120】
そして、全ての柱状電極170とも、高さが「正常」である場合、
図8の(H)に示すように、コントローラ210は、柱状電極170を搭載した基板P上に、相手部品であるIC部品180を搭載する。一方、いずれか一つでも高さに「異常」がある場合、その基板Pは、不良基板として取り扱い、以降の生産に使用しない。このようにすることで、上面171の高さのバラつきによる、IC部品180の搭載不良を抑制することが出来、併せて、不良基板の流出を抑制することが出来る。
【0121】
尚、レーザ変位計700による柱状電極170の上面172の高さの検査と合わせて、実施形態2にて説明した差画像530に基づく柱状電極170の搭載状態の検査を行い、2つの検査とも正常な場合に、
図8の(H)の工程を行い、柱状電極170を搭載した基板P上にIC部品180を搭載するようにしてもよい。また、レーザ変位計600、700は対象物を異なる複数の方向から同時に撮影するステレオカメラ等により代用することも可能である。
【0122】
実施形態1では、粘着層155を用いて柱状電極170を保持プレート150に保持した例を示した。保持の方法は、粘着以外に、例えば、フックや爪など機構的な保持でもよい。