特許第6836669号(P6836669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6836669耐サージ巻線低温ヒューズ抵抗器およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836669
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】耐サージ巻線低温ヒューズ抵抗器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 3/16 20060101AFI20210222BHJP
   H01C 3/00 20060101ALI20210222BHJP
   H01C 13/00 20060101ALI20210222BHJP
   H01C 17/04 20060101ALI20210222BHJP
   H01H 69/02 20060101ALI20210222BHJP
   H01H 85/17 20060101ALI20210222BHJP
   H01H 85/175 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   H01C3/16
   H01C3/00 W
   H01C13/00 F
   H01C17/04
   H01H69/02
   H01H85/17
   H01H85/175
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-572714(P2019-572714)
(86)(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公表番号】特表2020-526042(P2020-526042A)
(43)【公表日】2020年8月27日
(86)【国際出願番号】CN2017090733
(87)【国際公開番号】WO2019000306
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2020年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】519461406
【氏名又は名称】リー シャン−ヨー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】リー シャン−ヨー
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3208923(JP,U)
【文献】 実開昭62−190305(JP,U)
【文献】 特開平08−250301(JP,A)
【文献】 実開昭58−184805(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 3/00
H01C 3/16
H01C 13/00
H01C 17/04
H01H 69/02
H01H 85/17
H01H 85/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのヒューズ抵抗器であって巻線抵抗器として、前記ヒューズ抵抗器は、
第一端部および第二端部を有する絶縁棒を含
前記絶縁棒上にある切断される巻線は、
前記絶縁棒の前記第一端部から前記絶縁棒を巻き付ける第一巻線と、
前記絶縁棒の前記第二端部から前記絶縁棒を巻き付ける第二巻線とを形成し、
第一巻線は第二巻線とそれぞれに分けられ、
接続は、前記第一巻線および前記第二巻線との間に配置され、
前記接続の融点は、前記第一巻線および前記第二巻線の融点よりも低く、
前記第一巻線および前記第二巻線はお互いに分離され、
前記接続を介して電気接続され、
前記絶縁棒の前記第一端部から閉めて、前記第一巻線の端部に電気溶接される第一キャップと、
前記絶縁棒の前記第二端部から閉めて、前記第二巻線の端部に電気溶接される第二キャップと、
前記第一巻線の一端を前記第一キャップに電気接続する第一電気カバー層と、
前記第二巻線の一端を前記第二キャップに電気接続する第二電気カバー層とを含み、
前記第一電気カバー層と第二電気カバー層および接続部は、
同じプロセスによって一緒に形成される、ヒューズ抵抗器。
【請求項2】
第一絶縁層をさらに含み、前記第一巻線および前記第二巻線を覆い、前記第一絶縁層は絶縁棒の一部を露出する開口部を有する、請求項1に記載のヒューズ抵抗器。
【請求項3】
前記第一絶縁層の材料は、エポキシ樹脂、シリコーン不燃性塗料、またはエナメル塗料を含む、請求項2に記載のヒューズ抵抗器。
【請求項4】
前記開口部はスロット開口部を含み、前記絶縁棒を囲んで部分的に露出させる、請求項2に記載のヒューズ抵抗器。
【請求項5】
前記開口部はドット開口部を含み、前記絶縁棒を部分的に露出させる、請求項2に記載のヒューズ抵抗器。
【請求項6】
前記接続は、前記第一絶縁層の前記開口部を介して、前記第一巻線および第二巻線と接触している、請求項2に記載のヒューズ抵抗器。
【請求項7】
前記第一絶縁層と前記接続を覆う第二絶縁層をさらに含み、前記第一絶縁層の前記開口部に充填する、請求項6に記載のヒューズ抵抗器。
【請求項8】
前記第二絶縁層の材料は、エポキシ樹脂、シリコーン不燃性塗料、またはエナメル塗料を含む、請求項7に記載のヒューズ抵抗器。
【請求項9】
前記第一電気カバー層および前記第二電気カバー層の材料は、スズ、銅、鉄、銀、ニッケル、またはそれらの合金を、それぞれ含む、請求項に記載のヒューズ抵抗器。
【請求項10】
前記第一電気カバー層および前記第二電気カバー層の厚さが、それぞれ1マイクロメートルから20マイクロメートルの間である、請求項に記載のヒューズ抵抗器。
【請求項11】
一つヒューズ抵抗器の製造方法であって
絶縁棒を提供し、
前記絶縁棒に巻線を巻き、
前記巻線を切断して、互いに分離された第一巻線と第二巻線を形成し
前記第一巻線を前記第二巻線に電気接続する接続を形成し、
前記接続の融点は、前記第一巻線および前記第二巻線の融点よりも低く、
前記絶縁棒の第一端部に第一キャップを覆い、
前記絶縁棒の第二端部に第二キャップを覆い、
前記巻線の一端を第一キャップに電気溶接することと、
前記巻線の他端を第二キャップに電気溶接することと、
第一電気カバー層を使用して前記第一巻線の一端を前記第一キャップに電気接続することと、
第二電気カバー層を使用して前記第二巻線の一端を前記第二キャップに電気接続することとを含み、
前記第一電気カバー層と前記第二電気カバー層および前記接続部は、
同じプロセスによって一緒に形成される、ヒューズ抵抗器の製造方法。
【請求項12】
前記巻線を切断する前に、前記絶縁棒および前記巻線上に第一絶縁層を形成することと、
前記第一絶縁層に開口部を形成し、前記巻線を切断することとをさらに含む、請求項11に記載のヒューズ抵抗器の製造方法。
【請求項13】
前記開口部はスロット開口部を含み、前記絶縁棒を囲んで部分的に露出させる、請求項12に記載のヒューズ抵抗器の製造方法。
【請求項14】
前記開口部はドット開口部を含み、前記絶縁棒を部分的に露出させる、請求項12に記載のヒューズ抵抗器の製造方法。
【請求項15】
第二絶縁層を形成し、
前記第一絶縁層および接続を覆い、
前記第一絶縁層の前記開口部に充填することをさらに含む、請求項12に記載のヒューズ抵抗器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒューズ抵抗器およびその製造方法に関し、より具体的には、耐サージ巻線低温ヒューズ抵抗器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路が正常に動作している場合、ヒューズ抵抗器は固定抵抗として機能する。動作電流が定格電流を超えると、回路を保護するために過熱によりヒューズのように溶断する。一般に、巻線ヒューズ抵抗器の溶断温度は巻線の融点である。ただし、抵抗値およびその他の電気的特性を考慮すると、従来のヒューズ抵抗器の巻線材料は、主に高融点合金でできている。溶断温度が高すぎ、赤変プロセスがあり、この赤変プロセスは回路や他のコンポーネントを燃やしたり破壊したりする可能性があり、回路保護効果に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様は、耐サージ巻線低温ヒューズ抵抗器を提供することである。
【0004】
本開示の実施形態は、絶縁棒、第一巻線、第二巻線、および接続を含むヒューズ抵抗器を提供する。絶縁棒は、第一端部と第二端部を有する。第一巻線は、絶縁棒の第一端部から絶縁棒を巻き付ける。 第二巻線は、絶縁棒の第二端部から絶縁棒を巻き付ける。接続は、第一巻線と第二巻線の間に配置され、接続の融点は、第一巻線と第二巻線の融点よりも低く、第一巻線と第二巻線は互いに分離され、接続を介して電気接続される。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒューズ抵抗器は、第一巻線および第二巻線を覆う第一絶縁層をさらに含み、第一絶縁層は、絶縁棒の一部を露出する開口部を有する。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第一絶縁層の材料は、エポキシ樹脂、シリコーン不燃性塗料、またはエナメル塗料を含む。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態によれば、開口部はスロット開口部を含み、絶縁棒を囲んで部分的に露出させる。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態によれば、開口部はドット開口部を含み、絶縁棒を部分的に露出させる。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態によれば、接続は第一絶縁層の開口部を介して、第一巻線及び第二巻線と接触している。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第一絶縁層と接続を覆う第二絶縁層を備え、第一絶縁層の開口部に充填する。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第二絶縁層の材料は、エポキシ樹脂、シリコーン不燃性塗料、またはエナメル塗料を含む。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒューズ抵抗器は、第一キャップおよび第二キャップをさらに含み、第一キャップは、絶縁棒の第一端部から第一巻線の一端に電気溶接され、第二キャップは、絶縁棒の第二端部から第二巻線の一端に電気溶接される。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒューズ抵抗器は、第一巻線の一端を第一キャップに電気接続する第一電気カバー層と、第二巻線の一端を第二キャップに電気接続する第二電気カバー層とをさらに含む。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第一電気カバー層および第二電気カバー層の材料は、スズ、銅、鉄、銀、ニッケル、またはそれらの合金をそれぞれ含む。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第一電気カバー層および第二電気カバー層の厚さが、それぞれ1マイクロメートルから20マイクロメートルの間である。
【0016】
本開示の別の実施形態は、一つヒューズ抵抗器の製造方法を提供し、その製造方法は、絶縁棒を提供し、絶縁棒に巻線を巻き、巻線を切断して、互いに分離された第一巻線と第二巻線を形成することと、接続を形成し、第一巻線を第二巻線に電気接続することとを含み、接続の融点は、第一巻線および第二巻線の融点よりも低い。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒューズ抵抗器の製造方法は、巻線を切断する前に絶縁棒および巻線上に第一絶縁層を形成することと、第一絶縁層に開口部を形成して巻線を切断することとをさらに含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態によれば、開口部はスロット開口部を含み、絶縁棒を囲んで部分的に露出させる。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態によれば、開口部はドット開口部を含み、絶縁棒を部分的に露出させる。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒューズ抵抗器の製造方法は、第二絶縁層を形成し、第一絶縁層および接続を覆い、第一絶縁層の開口部に充填することをさらに含む。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒューズ抵抗器を製造する方法は、絶縁棒の第一端部に第一キャップを形成すること、および絶縁棒の第二端部に第二キャップを形成することをさらに含む。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒューズ抵抗器の製造方法は、巻線の一端を第一キャップに電気溶接すること、および巻線の他端を第二キャップに電気溶接することをさらに含む。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒューズ抵抗器の製造方法は、第一電気カバー層を使用して、第一巻線の一端を第一キャップに電気接続すること、および第二電気カバー層を使用して、第二巻線の一端を第二キャップに電気接続することをさらに含む。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第一電気カバー層、第二電気カバー層、および接続は、同じプロセスによって一緒に形成される。
【0025】
最もよく理解できるため、添付の図面とその詳細なテキストの説明を参照しながら本開示を読むことを推奨する。業界標準に準拠するために、この特許明細書の図面は必ずしも正しい縮尺で描かれていない。一部の図面では、読者が内容を理解しやすくするために、寸法を意図的に拡大、又は縮小する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本開示の実施形態によるヒューズ抵抗器を示す。
【0027】
図2図2は、本開示の実施形態によるヒューズ抵抗器の製造方法を示す概略図である。
図3図3は、本開示の実施形態によるヒューズ抵抗器の製造方法を示す概略図である。
図4図4は、本開示の実施形態によるヒューズ抵抗器の製造方法を示す概略図である。
図5図5は、本開示の実施形態によるヒューズ抵抗器の製造方法を示す概略図である。
【0028】
図6図6は、本開示の別の実施形態によるヒューズ抵抗器を示す。
【0029】
図7図7は、本開示の別の実施形態によるヒューズ抵抗器の製造方法を示す概略図である。
図8図8は、本開示の別の実施形態によるヒューズ抵抗器の製造方法を示す概略図である。
図9図9は、本開示の別の実施形態によるヒューズ抵抗器の製造方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、本開示のさまざまな特徴を実装するため、多くの異なる実施形態または例を提供する。説明を簡略化するために、本開示は特定のコンポーネントおよび配置の例も説明する。これらの例は、デモンストレーションのみを目的として提供されており、限定することを意図したものではない。例えば、以下の説明における第一特徴が第二特徴の上または上にある方法では、第一特徴が第二特徴と直接接触する特定の実施形態が含まれる場合があり、又は第一特徴および第二特徴が直接接触しないように第一特徴および第二特徴の間に他の特徴が形成される異なる実施形態が含まれる場合がある。加えて、本開示の様々な例は、繰り返し参照番号および/またはテキスト注釈を使用し、文書を単純化かつ明確化を目的とするものであり、これらの繰り返し参照番号および注釈は、異なる実施形態および構成間の関係を規定するものではない。
【0031】
さらに、本開示において、空間的に相対的な用語である「の下に(beneath)」、「の下方に(below)」、「下部の(lower)」、「の上に(above)」、「上部の(upper)」、「上(on)」などは、説明を簡単にするために、図に示されるように、一つの要素又は特徴と、別の単数若しくは複数の要素又は特徴との相対的な関係を記述する。図に示されている角度の向きに加え、これらの空間的に相対的な用語は、使用中または操作中のデバイスの可能な角度と方向を記述するためにも使用される。デバイスの角度の向きは、変化する可能性があり(90度または他の方向に)、本開示で使用される空間的に相対的な記述も同様に解釈され得る。
【0032】
図1を参照する。図1は、本開示の一実施形態のヒューズ抵抗器を示す図である。図1に示されるように、本実施形態のヒューズ抵抗器1は、絶縁棒10と、第一巻線22と、第二巻線24と、接続26とを備えている。絶縁電線10は、第一端部101と第二端部102とを有する。本実施形態の絶縁棒10は、セラミックロッドを含んでもよいが、その材料はセラミック材料に限定されず、本開示の目的を達成できるガラス繊維などの任意の絶縁材料が使用され得る。加えて、本実施形態の絶縁棒10は、円筒形状を有しているが、これに限定されない。
【0033】
第一巻線22は、第一端部101から絶縁棒10に巻かれ、第二巻線24は、第二端部102から絶縁棒10に巻かれており、第一巻線22と第二巻線24は直接接続されておらず、それらの間にギャップを有している。いくつかの実施形態では、第一巻線22および第二巻線24は、絶縁棒10に螺旋状に巻かれる。いくつかの実施形態では、第一巻線22および第二巻線24は、絶縁棒10に螺旋状に巻かれる。いくつかの実施形態では、第一巻線22と第二巻線24との間のギャップは、約0.05ミリメートル(mm)から約2ミリメートルの間である。接続26は、第一巻線22と第二巻線24との間に配置され、第一巻線22と第二巻線24とを接続するために、接続26の長さは、第一巻線22と第二巻線24との間のギャップよりもわずかに大きくてもよい。接続26の融点は、第一巻線22および第二巻線24の融点よりも低く、第一巻線22と第二巻線24とは互いに分離され、接続26を介して電気接続される。
【0034】
本実施形態において、第一巻線22および第二巻線24の材料は、融点が接続26よりも高い材料を含むか、またはそれから選択することができる。例えば、第一巻線22および第二巻線24の融点は、約摂氏800度から1500度の間であり、接続26の融点は、約摂氏500度未満、または約摂氏300度未満であり得る。約摂氏200度から摂氏300度の間であるが、これに限定されない。第一巻線22、第二巻線24および接続26の材料は、抵抗器の電気的仕様および安全仕様に従って決定することができる。いくつかの実施形態では、第一巻線22および第二巻線24の材料は、ニッケル銅合金、または他の適切な高融点導電性金属、または合金材料を含み得るか、またはそれらから選択され得る。また、接続26の材料は、スズ、銅、または他の低融点導電性金属、または合金材料を含み得るか、またはそれらから選択され得る。以上の構成により、本実施形態のヒューズ抵抗器2の動作電流が定格電流を超えると、低融点の接続26は溶断温度が低く、溶断速度が速くなるため、回路を保護するために最初に溶断される。また、通常の動作では、ヒューズ抵抗器1の動作温度は約70度未満であるため、低融点を有する接続26がヒューズ抵抗器1の通常の動作に影響を与えないことも注目に値する。
【0035】
いくつかの実施形態では、ヒューズ抵抗器1は、第一巻線22および第二巻線24を覆う第一絶縁層12をさらに含むことができる。第一絶縁層12は、絶縁棒10の一部を露出させる開口部12Sを有する。いくつかの実施形態では、第一絶縁層12の材料は、エポキシ樹脂、または他の絶縁材料などの絶縁塗料を含むか、またはそれらから選択することができる。いくつかの実施形態では、接続26は、第一絶縁層12の開口部12Sを介して第一巻線22および第二巻線24と接触している。いくつかの実施形態では、第一絶縁層12の開口部12Sは、絶縁棒10を囲み、絶縁棒10を部分的に露出させるスロット開口部を含むことができる。いくつかの実施形態では、第一絶縁層12のスロット開口部の幅は、約0.05mmから約2mmの間であるが、これに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態では、ヒューズ抵抗器1は、第一絶縁層12および接続層26を覆い、第一絶縁層12の開口部12Sを充填する第二絶縁層14をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、第二絶縁層14の材料は、エポキシ樹脂、シリコーン不燃性塗料、エナメル塗料、または他の絶縁材料などの絶縁塗料を含むか、それらから選択することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ヒューズ抵抗器1は、第一キャップ32および第二キャップ34をさらに含むことができる。第一キャップ32は、絶縁棒10の第一端部101を覆い、第一巻線22に電気接続され、第二キャップ34は、絶縁棒10の第二端部102を覆い、第二巻線24に電気接続される。いくつかの実施形態では、第一キャップ32および第二キャップ34の材料は、鉄、鋼、アルミニウム、銅、他の金属、合金、またはグラファイト材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第一巻線22の一端が第一キャップ32に最初に溶接され、第二巻線24の一端が第二キャップ34に最初に溶接され得る。いくつかの実施形態では、ヒューズ抵抗器1は、第一巻線22の一端を第一キャップ32に電気接続する第一電気カバー層361と、第二巻線24の一端を第二キャップ34に電気接続する第二電気カバー層362とをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、第一電気カバー層361および第二電気カバー層362の材料は、スズ、銅、鉄、銀、ニッケル、または他の合金を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第一電気カバー層361および第二電気カバー層362は、電気めっきによって形成され得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、第一電気カバー層361、第二電気カバー層362、および接続26は、製造手順を簡素化するために、同じプロセスによって製造することができる。いくつかの実施形態では、第一電気カバー層361および第二電気カバー層362の厚さは、それぞれ約1マイクロメートルと約20マイクロメートルの間であるが、これに限定されない。サージショック状態では、従来の巻線抵抗器の破損の約90%以上が、巻線とキャップの間の溶接点で発生し、開回路障害が発生する。そのため、第一電気カバー層361および第二電気カバー層362は、それぞれ第一巻線22および第二巻線24の溶接部分を補強するために使用でき、溶接部分の堅さを高め、生産不良率を減らし、さらに溶接点の信頼性を向上させる。第一巻線22と第二巻線24の溶接強度は、第一電気カバー層361と第二電気カバー層362によって確保され、ヒューズ抵抗器1の耐サージ(anti−surge)効果を高めることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、ヒューズ抵抗器1は、第一キャップ32から外側に延び、第一キャップ32に電気接続された第一ワイヤー42と、第二キャップ34から外側に延び、第二キャップ34に電気接続された第二ワイヤー44とをさらに含むことができる。第一ワイヤー42および第二ワイヤー44は、プリント回路基板などの外部回路に電気接続することができる。
【0039】
表1を参照する。比較例および本開示の実施形態におけるヒューズ抵抗器の溶断試験の結果を表1に列挙する。
【表1】
【0040】
表1の溶断試験において、比較例のヒューズ抵抗器および本開示の実施形態のヒューズ抵抗器の抵抗値仕様は、両方とも1Ωであり、電力仕様は2ワット(W)である。比較例のヒューズ抵抗器の第一巻線と第二巻線は直接接続され、本開示の実施形態におけるヒューズ抵抗器の第一巻線と第二巻線は低融点接続を介して電気接続される。例えば、接続の材料はスズであり、電気めっきによって形成され得る。表1に示すように、比較例のヒューズ抵抗器および本開示の実施形態のヒューズ抵抗器の抵抗値の誤差は、両方とも許容誤差範囲内(±5%)であり、溶断電力を40倍に設定した状態では、本開示の実施形態のヒューズ抵抗器の溶断時間および溶断温度は、いずれも比較例のヒューズ抵抗器よりも低く、本開示の実施形態におけるヒューズ抵抗器が回路に対する保護効果を効果的に高めることを証明する。
【0041】
図2、3、4、5を参照する。図2から図5は、本開示の実施形態に係るヒューズ抵抗器の製造方法を示す概略図である。図2に示すように、絶縁棒10が提供される。絶縁棒10は、第一端部101および第二端部102を有する。続いて、絶縁棒10に巻線21を巻き付ける。いくつかの実施形態では、第一キャップ32および第二キャップ34は、絶縁棒10の両側に形成され得るが、第一キャップ32および第二キャップ34の外側に、それぞれ第一ワイヤー42および第二ワイヤー44を外側に向かって形成することができる。いくつかの実施形態では、巻線21の両端部は、電気溶接によって第一キャップ32および第二キャップ34にそれぞれ溶接することができる。例えば、最初に巻線21の一端を第一キャップ32に電気溶接し、次に、絶縁棒10に巻線21を巻き付け、続いて、巻線21の他端を第二キャップ34に電気溶接することができる。
【0042】
図3に示すように、絶縁棒10および巻線21上に第一絶縁層12が形成される。次に、図4に示すように、第一絶縁層12に開口部12Sを形成し、巻線21を切断して、互いに分離した第一巻線22と第二巻線24を形成する。いくつかの実施形態では、第一絶縁層12の開口部12Sは、絶縁棒10を囲み、絶縁棒10を部分的に露出させるスロット開口部である。いくつかの実施形態では、第一絶縁層12のスロット開口部の形成と、巻線21の切断の形成とを同時に実行することができる。いくつかの実施形態では、第一絶縁層12のスロット開口部を形成することおよび巻線21を切断することは、切削工具を使用して実行され得るが、これに限定されない。図5に示すように、第一巻線22と第二巻線24とを電気接続する接続26が形成されている。いくつかの実施形態では、接続26は、電気めっき、浸漬スズ浴、または他の適切なプロセスによって形成され得る。いくつかの実施形態では、第一巻線22と第一キャップ32の溶接点、および第二巻線24と第二キャップ34の溶接点の強度を強化するために、第一電気カバー層361を使用して、第一巻線22の一端を第一キャップ32に電気接続(例えば電気めっき)することと、第二電気カバー層362を使用して、第二巻線24の一端を第二キャップ34に電気接続(例えば電気めっき)することができ、溶接点の信頼性を高める。図1に示すように、次いで、第一絶縁層12および接続26を覆うように第二絶縁層14を形成し、第一絶縁層12の開口部12Sに充填して、本開示の実施形態のヒューズ抵抗器1を製造する。
【0043】
本開示のヒューズ抵抗器は、上述の実施形態に限定されず、他の異なる実施形態を有する場合がある。説明を簡略化し、本開示の各実施形態間の比較を容易にするために、以下の各実施形態の同一構成要素には同一番号を付けている。実施形態間の差異をより容易に比較するために、以下の説明では、異なる実施形態間の相違点について詳述し、同一特徴および関連する詳細を繰り返さない。
【0044】
図6を参照する。図6は、本開示の別の実施形態によるヒューズ抵抗器を示す概略図である。図6に示すように、図1のヒューズ抵抗器1と異なり、本実施形態のヒューズ抵抗器2の第一絶縁層12の開口部12Sは、絶縁棒10を部分的に露出するドット開口部を含む。いくつかの実施形態では、ドット開口部の形状は、任意の規則的または不規則な幾何学的形状を含むことができる。いくつかの実施形態では、ドット開口部の幅または直径は、約0.05mmから約2mmの間であるが、これに限定されない。本実施形態では、第一絶縁層12の材料は、エポキシ樹脂、シリコーン不燃性塗料、エナメル塗料、または他の絶縁材料などの絶縁塗料を含むか、それらから選択することができる。接続26は、第一絶縁層12の開口部12Sを介して第一巻線22および第二巻線24と接触している。また、第二絶縁層14は、第一絶縁層12および接続層26を覆い、第一絶縁層12の開口部12Sを充填する。本実施形態では、第二絶縁層14の材料は、エポキシ樹脂、シリコーン不燃性塗料、エナメル塗料、または他の絶縁材料などの絶縁塗料を含むか、それらから選択することができる。本実施形態におけるヒューズ抵抗器2の絶縁棒10、第一巻線22、第二巻線24、接続層26、第一キャップ32、第二キャップ34、第一電気カバー層361、第二電気カバー層362、第一ワイヤー42、および第二ワイヤー44などのコンポーネントの位置、接続方法、材料、および他の特性は、図1のヒューズ抵抗器1のものと同様であり、ここでは繰り返さない。
【0045】
図7、8、9を参照する。図7から図9は、本開示の別の実施形態に係るヒューズ抵抗器の製造方法を示す概略図である。図2に示すように、絶縁棒10が提供される。絶縁棒10は、第一端部101および第二端部102を有する。続いて、絶縁棒10に巻線21を巻き付ける。いくつかの実施形態では、第一キャップ32および第二キャップ34は、絶縁棒10の両側に形成され得るが、第一キャップ32および第二キャップ34の外側に、それぞれ第一ワイヤー42および第二ワイヤー44を外側に向かって形成することができる。いくつかの実施形態では、巻線21の両端部は、電気溶接によって第一キャップ32および第二キャップ34にそれぞれ溶接することができる。例えば、最初に巻線21の一端を第一キャップ32に電気溶接し、次に、絶縁棒10に巻線21を巻き付け、続いて、巻線21の他端を第二キャップ34に電気溶接することができる。続いて、絶縁棒10および巻線21上に第一絶縁層12が形成される。
【0046】
図8に示すように、第一絶縁層12に開口部12Sを形成し、巻線21を切断して、互いに分離した第一巻線22と第二巻線24を形成する。いくつかの実施形態では、第一絶縁層12の開口部12Sは、絶縁棒10を部分的に露出するドット開口部である。いくつかの実施形態では、第一絶縁層12のドット開口部の形成と、巻線21の切断の形成とを同時に実行することができる。いくつかの実施形態では、例えば、第一絶縁層12のドット開口部を形成することおよび巻線21を切断することは、切削工具を使用して実行されることができる。図9に示すように、第一巻線22を第二巻線24に電気接続するために、接続26がドット開口に形成されている。いくつかの実施形態では、接続26は、電気めっき、浸漬スズ浴、または他の適切なプロセスによって形成され得る。いくつかの実施形態では、第一巻線22と第一キャップ32の溶接点、および第二巻線24と第二キャップ34の溶接点の強度を強化するために、第一電気カバー層361を使用して、第一巻線22の一端を第一キャップ32に電気接続(例えば電気めっき)することと、第二電気カバー層362を使用して、第二巻線24の一端を第二キャップ34に電気接続(例えば電気めっき)することができ、溶接点の信頼性を高める。図6に示すように、次いで、第一絶縁層12および接続26を覆うように第二絶縁層14を形成し、第一絶縁層12の開口部12Sに充填して、本開示の実施形態のヒューズ抵抗器2を製造する。
【0047】
本開示のヒューズ抵抗器では、接続を使用して第一巻線と第二巻線を電気接続するため、抵抗器の溶断温度と溶断速度を制御でき、抵抗器の適用範囲と安全性を向上させる。加えて、本開示のヒューズ抵抗器において、電気カバー層は、巻線とキャップとの間の溶接点を補強するために使用され、溶接の堅さを高め、巻線の緩みを避け、製造不良を低減する。したがって、本開示のヒューズ抵抗器は、耐サージ溶接点の故障率が0.1ppm未満である。本開示のヒューズ抵抗器は、ヒューズ抵抗器の耐サージ効果を改善することができ、自動車およびオートバイの耐サージ回路、点火プラグ、および点火システムなどの回路に適用することができる。
【0048】
本開示は、その特定の実施形態を参照して、かなり詳細に説明してきたが、これらの説明および例示は、本開示を限定するものではない。当業者は、様々な変更を行うことができ、実施形態において、添付の特許請求項に定める本開示の精神および範囲から逸脱することなく、同等の要素を置き換えることが可能であることが当業者に明確に理解されるだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9