特許第6836690号(P6836690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836690スペーサエキスパンダ及びこれを備えるオイルコントロールリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836690
(24)【登録日】2021年2月9日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】スペーサエキスパンダ及びこれを備えるオイルコントロールリング
(51)【国際特許分類】
   F16J 9/06 20060101AFI20210222BHJP
   F16J 9/20 20060101ALI20210222BHJP
   F02F 5/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   F16J9/06 B
   F16J9/20
   F02F5/00 301E
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-512223(P2020-512223)
(86)(22)【出願日】2019年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2019014225
(87)【国際公開番号】WO2019194104
(87)【国際公開日】20191010
【審査請求日】2020年7月13日
(31)【優先権主張番号】特願2018-73679(P2018-73679)
(32)【優先日】2018年4月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000139023
【氏名又は名称】株式会社リケン
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】清水 大志
(72)【発明者】
【氏名】小泉 智史
(72)【発明者】
【氏名】須藤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】徳永 茂
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 優一朗
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−083450(JP,A)
【文献】 特開2011−185383(JP,A)
【文献】 特開2015−124805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 9/06
F02F 5/00
F16J 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のサイドレールと、
前記一対のサイドレールの間に配置されるスペーサエキスパンダと、
を備え、
前記スペーサエキスパンダは、前記サイドレールの内周面が当接する複数の耳部と、前記耳部と隣接して設けられており、前記サイドレールの側面と対面する複数のレール対面部とを有し、
前記複数の耳部の全部又は少なくとも一部が以下の不等式(1)で表される条件を満たし、
前記レール対面部は、径方向に延びるように形成された窪みと、前記スペーサエキスパンダの外周側の縁部に沿って形成され且つ前記サイドレールの側面が当接する平坦部とを有し、
前記レール対面部において、前記平坦部とその他の領域とが連続している部分に貫通孔が形成されていない、オイルコントロールリング。
1.5≦W/H≦5.0…(1)
式中、Wは前記耳部の周方向の輪郭形状測定から求められる耳部の最も高い位置から前記レール対面部の方向に0.05mm移動した位置における前記耳部の幅(単位:mm)を示し、Hは前記レール対面部における前記耳部と隣接する領域の最も高い位置と前記耳部の最も高い位置の高低差(単位:mm)を示す。
【請求項2】
一対のサイドレールと、
前記一対のサイドレールの間に配置されるスペーサエキスパンダと、
を備え、
前記スペーサエキスパンダは、前記サイドレールの内周面が当接する複数の耳部と、前記耳部と隣接して設けられており、前記サイドレールの側面と対面する複数のレール対面部とを有し、
前記複数の耳部の全部又は少なくとも一部が以下の不等式(1)で表される条件を満たし、
前記レール対面部は、径方向に延びるように形成された隆起部を有する、オイルコントロールリング。
1.5≦W/H≦5.0…(1)
式中、Wは前記耳部の周方向の輪郭形状測定から求められる耳部の最も高い位置から前記レール対面部の方向に0.05mm移動した位置における前記耳部の幅(単位:mm)を示し、
Hは前記レール対面部における前記耳部と隣接する領域の最も高い位置と前記耳部の最も高い位置の高低差(単位:mm)を示す。
【請求項3】
前記レール対面部は、前記サイドレールの側面が当接する平坦部を有し、
前記平坦部は、前記スペーサエキスパンダの外周側の縁部に沿って形成されている、請求項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項4】
前記スペーサエキスパンダが、前記耳部と、前記レール対面部とによって構成される開口を有する、請求項2又は3に記載のオイルコントロールリング。
【請求項5】
前記耳部の側面側の形状は連続した曲率の異なる曲面で構成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項6】
前記耳部は、前記サイドレールの内周面が当接する面に、前記スペーサエキスパンダの厚さ方向に延びるように形成された凸部を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項7】
一つの前記耳部において、少なくとも5本の前記凸部が並ぶように形成されている、請求項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項8】
前記スペーサエキスパンダは表面処理が施されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項9】
ディーゼルエンジン用である、請求項1〜のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項に記載のオイルコントロールリングにおけるスペーサエキスパンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スペーサエキスパンダ及びこれを備えるオイルコントロールリングに関する。
【背景技術】
【0002】
オイルコントロールリングはシリンダボアの内面に適度な油膜を形成するためのものであり、ピストンが往復動するに伴って過剰なエンジンオイルを掻き落とす役割を果たす。オイルコントロールリングとして、スリーピースオイルリングと称される態様が知られている(特許文献1,2参照)。スリーピースオイルリングは、一対のサイドレールと、これらの間に配置されるスペーサエキスパンダとを備える。スペーサエキスパンダは、サイドレールの内周面が当接する耳部と、サイドレールの側面と対面するサイドレール支持部とを有する(特許文献1の図1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/159269号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2365233号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自動車エンジンに代表される内燃機関は、環境保護の観点から、高出力化、燃費の向上及び低エミッション化が図られている。これに伴い、オイルコントロールリングが使用される条件がよりシビアとなりつつある。例えば、高出力化の観点から、従来と比較してエンジンの回転数が高い傾向にあり、オイルコントロールリングがより高速でシリンダボア内を往復動する。これにより、サイドレールとの接触によって耳部が摩耗しやすい。耳部におけるサイドレールとの接触面が摩耗すると、シリンダボアの内壁に対するサイドレールの面圧が低下してオイル掻き性能が低下する。また、燃費向上の観点から、より潤滑性に優れるエンジンオイルが使用される傾向にあり、サイドレールとスペーサエキスパンダの相対的な位置が周方向にずれる現象が生じやすい。これもサイドレールによる耳部の摩耗及びオイル掻き性能の低下を招来する。
【0005】
本開示は、サイドレールとの接触による耳部の摩耗を抑制できるオイルコントロールリング及びこれに適用可能なスペーサエキスパンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るオイルコントロールリングは、一対のサイドレールと、一対のサイドレールの間に配置されるスペーサエキスパンダとを備え、上記スペーサエキスパンダはサイドレールの内周面が当接する複数の耳部と、耳部と隣接して設けられており、サイドレールの側面と対面する複数のレール対面部とを有し、複数の耳部の全部又は少なくとも一部が以下の不等式(1)で表される条件を満たす。
W/H≧1.5…(1)
式中、Wは耳部の最も高い位置からレール対面部の方向に0.05mm移動した位置における耳部の幅(単位:mm)を示し、Hはレール対面部における耳部と隣接する領域の最も高い位置と耳部の最も高い位置の高低差(単位:mm)を示す。
【0007】
本発明者らの評価試験によれば、W/Hの値が1.5以上の耳部を有するスペーサエキスパンダは、W/Hの値が1.5未満のものと比較して耳部の摩耗量を抑制できる(図16参照)。また、耳部の幅に比して耳部の高さを制限した寸法比になっているため、耳部の強度や加工性の観点からも好適である。W/Hの値の上限値は、スペーサエキスパンダで発生させる張力の観点から、例えば、5.0である。
【0008】
レール対面部は、径方向に延びるように形成された窪み又は隆起部を有することが好ましい。かかる構成を採用することで、サイドレールに付着したエンジンオイルが速やかに流れやすくなる。このため、サイドレール内周面と耳部の間(摺動面)に残留するスラッジを従来と比較して減らすことができ、エンジンオイルに含まれる異物が介在することによるアグレッシブ摩耗を十分に抑制できる。
【0009】
レール対面部は、サイドレールの側面が当接する平坦部を有し、この平坦部がスペーサエキスパンダの外周側の縁部に沿って形成されていることが好ましい。レール対面部が上記平坦部を有し、この平坦部の高さを耳部よりも低く且つレール対面部の耳部と隣接した領域(窪み又は隆起部)よりも高く形成することで、サイドレールが平坦部に当接した状態において、レール対面部における耳部と隣接した領域とサイドレールとの間に隙間が形成される。これにより、エンジンオイルの流速が促進され、サイドレール内周面と耳部の間(摺動面)に残留するスラッジを従来と比較して減らすことができ、アグレッシブ摩耗をより一層抑制できる。
【0010】
耳部は、サイドレールの内周面が当接する面に、スペーサエキスパンダの厚さ方向に延びるように形成された凸部を有することが好ましい。かかる構成を採用することで、サイドレールとスペーサエキスパンダの相対的な位置が周方向にずれる現状を十分に抑制することができる。つまり、凸部がサイドレールに対する滑り止めとして機能する。一つの耳部において、少なくとも5本の凸部が並ぶように形成されていることが好ましい。
【0011】
スペーサエキスパンダは、耐摩耗性、スラッジ等の耐凝着性等の向上の観点から、表面処理が施されたものであってもよい。
【0012】
本開示に係るオイルコントロールリングは、上述のとおり、耳部の摩耗を十分に抑制できることから、ディーゼルエンジンに適用可能である。従来のスリーピースオイルリングは、ガソリンエンジンに広く適用されているものの、耳部の耐摩耗性が不十分であることから、ディーゼルエンジンには一般に適用されていない。これは、ディーゼルエンジンにおいては、燃焼時に発生するカーボンなどの硬質粒子がエンジンオイル中に多く含まれた状態で潤滑されるため、各部位の摩耗がガソリンエンジンと比較して顕著であり、スペーサエキスパンダの耳部も比較的早期に摩耗して、オイル掻き性能が低下しやすいことが理由として挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、サイドレールとの接触による耳部の摩耗を抑制できるオイルコントロールリング及びこれに適用可能なスペーサエキスパンダが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本開示に係るスペーサエキスパンダの第1実施形態を示す平面図である。
図2図2図1に示す一点鎖線で囲った領域を拡大して示す斜視図である。
図3図3図1に示すスペーサエキスパンダを備えたオイルコントロールリングがピストン溝に装着された状態を示しており、図2に示すIII−III線に相当する位置における断面図である。
図4図4は本開示に係るスペーサエキスパンダの第2実施形態を部分的に示す斜視図である。
図5図5は本開示に係るスペーサエキスパンダの第3実施形態を部分的に示す斜視図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、図5に示すスペーサエキスパンダ及びこれに装着されたサイドレールの断面図であって、スペーサエキスパンダの互いに異なる態様を示した断面図である。
図7図7は本開示に係るスペーサエキスパンダの第4実施形態を部分的に示す斜視図である。
図8図8は本開示に係るスペーサエキスパンダの第5実施形態を部分的に示す斜視図である。
図9図9は本開示に係るスペーサエキスパンダの第6の実施形態を部分的に示す斜視図である。
図10図10(a)はサイドレールの内周面が当接する面に凸部を有する耳部の一例を示す図であり、図10(b)及び図10(c)は図10(a)におけるA−A断面図であって、図10(b)は凸部が高い態様を示す断面図であり、図10(c)は凸部が低い態様を示す断面図である。
図11図11は実施例及び比較例に係るスペーサエキスパンダの耳部の輪郭形状測定結果(周方向)を示すグラフである。
図12図12(a)は図11において実線で示す実施例に係る耳部の幅Wを示す図であり、図12(b)は図11において破線で示す比較例に係る耳部の幅Wを示す図である。
図13図13(a)は図2に示す耳部の高さHを示す図であり、図13(b)は図4に示す耳部の高さHを示す図であり、図13(c)は図5に示す耳部の高さHを示す図であり、図13(d)は図7に示す耳部の高さHを示す図であり、図13(e)は図8に示す耳部の高さHを示す図であり、図13(f)は図9に示す耳部の高さHを示す図である。
図14図14は耳部の輪郭形状測定結果(径方向)を示すグラフであって、摩耗試験前の形状(実線)及び摩耗試験後の形状(破線)を示すグラフである。
図15図15はサイドレールのスペーサエキスパンダに対する回転の評価に使用した装置の構成を示す模式図である。
図16図16はW/Hの値と耳部の摩耗量の関係をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本開示の複数の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
<第1実施形態>
図1は本実施形態に係るスペーサエキスパンダの平面図である。同図に示すとおり、スペーサエキスパンダ10Aは環状であり、二つの端面10a,10bによって構成される合口部10cを有する。スペーサエキスパンダ10Aは、例えば、鋼板をプレス加工(切り曲げ加工及び打ち抜き加工)することによって、あるいは、バネ鋼からなる線材を複数の歯車によりかみ合わせながら塑性変形させることによって製造される。
【0017】
スペーサエキスパンダ10Aは、耐摩耗性、耐凝着性等の向上の観点から、表面処理が施されたものであってもよい。例えば、無電解めっき及び電解めっき、硬質塗料コーティング、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、スパッタ法により、スペーサエキスパンダ10Aの表面に膜を形成してもよい。膜の材質としては、非晶質炭素膜、窒化クロム膜(CrN)、窒化チタン膜(TiN)、炭化チタン(TiC)、窒化アルミチタン(TiAlN)、窒化クロム(CrN)、TiCN、AlCrN、TiC、又はニッケル(Ni)やニッケルリン(NiP)などのニッケル合金からなるメッキ等が挙げられる。また、無機材料による皮膜以外にもポリイミド等の高分子皮膜を形成することでもよい。なお、高分子皮膜にはカーボンファイバーやグラスファイバーなどのフィラーを混入させたものであっても構わない。
【0018】
図2図1に示す一点鎖線で囲った領域を拡大して示す斜視図である。図3はスペーサエキスパンダ10Aにサイドレール1,2が組み合わされたオイルコントロールリング50がピストンPの溝Paに装着された状態を示しており、図2に示すIII−III線に相当する位置における断面図である。図3に示すとおり、オイルコントロールリング50は、一対のサイドレール1,2と、一対のサイドレール1,2の間に配置されるスペーサエキスパンダ10Aとを備える。サイドレール1,2の外周部がシリンダボアBの内面Baに接している。図3においてハッチングで示した部分の厚さ(スペーサエキスパンダの板厚)は、例えば、0.1mm〜0.7mmである。この部分をなるべく厚くすることで、より高い張力が得られるとともに、サイドレール1,2との接触面積を確保できるので、より優れた摩耗低減効果が得られる。また、スペーサエキスパンダ10Aの後述する各部の剛性も増強できる。なお、サイドレール1,2としては従来公知のものを使用することができる。サイドレールの外周面形状や内周面形状は本実施形態に係るサイドレール1,2と異なるものであってもよく、例えば、必ずしも図3に示すような対称性を有する断面形状でなくてもよい。
【0019】
スペーサエキスパンダ10Aは、サイドレール1,2の内周面1a,2aがそれぞれ当接する複数の耳部5と、サイドレール1,2の側面1b,2bとそれぞれ対面する複数のレール対面部7とを有する。レール対面部7は、耳部5よりも外周側であって耳部5と隣接した位置に形成されている。スペーサエキスパンダ10Aにサイドレール1,2が組み合わされた状態において、耳部5にサイドレール1,2の内周面1a,2aが当接し且つレール対面部7とサイドレール1,2の側面1b,2bが対面するため、耳部5はレール対面部7よりも高く形成されている。スペーサエキスパンダ10Aは、耳部5と、レール対面部7とによって構成される開口5hを有する。
【0020】
スペーサエキスパンダ10Aは、例えば、作業台に置かれたときに、山部10Mと谷部10Vが交互に連なる形状を有する。本実施形態においては、スペーサエキスパンダ10Aの山部10M(図2における上側)に位置する耳部5と、谷部10V(図2における下側)に位置する耳部5は実質的に同じ形状である。また、スペーサエキスパンダ10Aの山部10M(図2における上側)に位置するレール対面部7と、谷部10V(図2における下側)に位置するレール対面部7も実質的に同じ形状である。よって、作業台の上に置かれたスペーサエキスパンダ10Aの上下を逆さにすれば、図2に示す山部10Mが谷部10Vとなり、谷部10Vが山部10Mとなる。
【0021】
以下、スペーサエキスパンダ10Aの山部10Mに位置する耳部5及びレール対面部7について説明し、谷部10Vに位置する耳部5及びレール対面部7の説明は省略する。なお、以下でいう耳部5及びレール対面部7における「最も高い位置」等の高さに関する記述はスペーサエキスパンダ10Aを作業台に置いた状態において、上側に位置する山部10Mの耳部5及びレール対面部7を対象としたものである。この状態において、下側に位置する谷部10Vの耳部5及びレール対面部7については、厳密には、例えば、耳部5及びレール対面部7における「最も低い位置」と称すべきとも言えるが、上述のとおり、スペーサエキスパンダ10Aの上下を単に逆さすれば、谷部10Vは山部10Mとなることから、本開示において「最も高い位置」等の表現は谷部10Vの耳部5及びレール対面部7に対しても適用されるものである。
【0022】
耳部5はサイドレール1の内周面1aが当接する部分である。耳部5の形状は、不等式(1)で表される条件を満たすことが好ましく、不等式(2)で表される条件を満たすことがより好ましい。
W/H≧1.5…(1)
W/H≧1.7…(2)
Wは耳部5の最も高い位置からレール対面部7の方向(スペーサエキスパンダ10Aの厚さ方向)に0.05mm移動した位置における耳部5の幅(単位:mm)を示し(図12(a)参照)、Hはレール対面部7における耳部と隣接する領域の最も高い位置と耳部の最も高い位置の高低差(単位:mm)を示す(図13(a)参照)。なお、幅Wの位置を特定するにあたり、耳部5の最も高い位置からレール対面部7の方向(図12(a)のグラフにおける下方)に0.05mm移動した位置としたのは、オイルコントロールリング50の使用初期において、耳部5の当該位置にサイドレール1,2が当接する頻度が高いと推察されるからである。
【0023】
W/Hの値が1.5以上である耳部5は、W/Hの値が1.5未満のものと比較して、サイドレール1との接触による摩耗量を抑制できる。W/Hの値の上限値は、スペーサエキスパンダ10Aから発生する張力の観点から、例えば、5.0である。耳部5の頂部は、平坦な部分を有していてもよい。あるいは、耳部5の頂部は平坦な部分を有していなくてもよい。すなわち、耳部5の側面の形状は連続的な曲面から形成されていてもよく、換言すれば、耳部5の側面形状は曲率の異なる曲面が連続した形状であってもよい。かかる構成を採用することで、スペーサエキスパンダの製造が容易になるとともに、塑性変形時に応力集中が発生しにくい形状にすることができる。それゆえ、折損などの発生を低減することが可能となる。
【0024】
耳部5の幅Wが例えば0.7〜1.8mmであるとき、耳部5の高さHは0.2〜0.75であることが好ましい。幅Wが例えば1.0〜1.8mmであるとき、高さHは0.2〜0.65mmであることが好ましい。幅Wが例えば1.3〜1.8mmであるとき、高さHは0.35〜0.7mmであることが好ましい。これらの値は、スペーサエキスパンダ10Aの径、材料の強度及び耳部のピッチ等に応じて適宜設定すればよい。
【0025】
上述のとおり、W/Hの値が1.5以上である(耳部5が比較的平たい)ことで、耳部の幅に比して耳部の高さが抑えられた形状となるため、スペーサエキスパンダ10Aの耳部の機械的強度を高くすることができる。このため、ピストンの往復運動に伴ってスペーサエキスパンダ10Aが外力を受けても、スペーサエキスパンダ10Aの張力をサイドレール1,2に安定して伝達することができ、スペーサエキスパンダ10Aに支持されるサイドレール1,2の姿勢を安定した状態に維持することができる。ひいては、サイドレール1,2によるオイル掻き性能が安定し、その結果、オイル消費量も安定する。また、板材や線材から塑性変形させて、スペーサエキスパンダ10Aを得るような製造方法の場合、耳部5の高さが高くなるにつれて塑性変形により形状変化をさせる体積が大きくなるので、製造上困難さを増すことになるが、本実施形態に係る耳部5は、その幅に比して高さが抑えられているため、そのような製造上の困難さについては従来のスペーサエキスパンダに比べて低い。
【0026】
上述のとおり、耳部5の高さHは、レール対面部7における耳部5と隣接する領域の最も高い位置と、耳部5の最も高い位置の高低差である。レール対面部7における「最も高い位置」の探索範囲は、レール対面部7のうち耳部5に隣接する領域の範囲内となる。図13(a)は、本実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Aのレール対面部7における耳部5に隣接する領域の最も高い位置と、耳部5の最も高い位置の高低差(耳部5の高さH)の求め方を示したものである。なお、図13(b)〜図13(f)は後述の他の実施形態に係るスペーサエキスパンダの耳部5の高さHの求め方を示したものである。いずれの図においても、耳部5の最も高い位置を通る直線をh2とし、レール対面部7における耳部と隣接する領域の最も高い位置を通る直線をh1として示している。直線h1,h2はいずれも、各々の山部においてスペーサエキスパンダ10の接線方向に平行な直線である。
【0027】
なお、後述する第3実施形態のように、耳部5から離れた外周端にサイドレール側面に当接する凸部(平坦部7c)を設けた場合、レール対面部7のうち、凸部以外の領域において最も高い位置となる場所を探すことになる。この場合、レール対面部7における最も高い位置の探索方法は、複数の山部におけるそれぞれの耳部5の最も高い位置を概略直線でつないだ包絡線を基準に、レール対面部7の耳部5と隣接した領域における、その包絡線と最も距離が近い位置を最も高い位置としている。
【0028】
本実施形態に係るレール対面部7は、図2に示すとおり、平坦な面で構成されている。平坦な面にサイドレール1,2が当接し、これによりサイドレール1,2が支持される。
【0029】
<第2実施形態>
本実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Bは、レール対面部7が平坦な面を有する代わりに、径方向に延びるように形成された隆起部7bを有することの他は、第1実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Aと同様の構成を有する(図4参照)。レール対面部7が隆起部7bを有することで、エンジンオイルやこれに含まれる異物がレール対面部7の表面上に滞留することを十分に抑制できるとともに、レール対面部7とサイドレール1の固着を十分に抑制することができる。本実施形態において、隆起部7bはスペーサエキスパンダ10Bの外周側の端部にまで延びている。
【0030】
<第3実施形態>
本実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Cは、レール対面部7が平坦な面を有する代わりに、外周側に平坦部7cを有するとともに、耳部5と平坦部7cとの間に径方向に延びるように形成された窪み7aを有することの他は第1実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Aと同様の構成を有する(図5参照)。かかる構成を採用することで、レール対面部7とサイドレール1,2の間におけるスラッジ等の燃焼生成物の滞留を防ぐことができる。また、固着の抑制にも寄与する。窪み7aの深さ(レール対面部7の最も高い位置と窪み7aの最も低い位置の高低差)は、例えば、50〜500μmである。平坦部7cは、スペーサエキスパンダ10Cの外周側の縁部に沿って形成されている。平坦部7cの高さを耳部5よりも低く且つレール対面部7の他の部分よりも高く形成することで、サイドレール1が平坦部7cに当接した状態において、レール対面部7における他の部分とサイドレール1との間に隙間が形成される。なお、平坦部7cは「突起部」とも称され、レール対面部7における平坦部7c以外の領域(耳部5と平坦部7cとをつなぐ部分)は「中手部」とも称される。レール対面部7が平坦部7cを有することで、サイドレール1,2の側面1b,2bとスペーサエキスパンダ10Dとの間に空間が形成され、サイドレール1,2でシリンダボアから掻き落されたオイルが耳部5とレール対面部7の間に掻き落され、効率的にスペーサエキスパンダ10Dの内周側に流すことができるという効果が奏される。
【0031】
図6(a)及び図6(b)は、図5に示すスペーサエキスパンダ10C及びこれに装着されたサイドレール1,2の断面図であり、互いに異なる態様を図示したものである。いずれの態様においても、レール対面部7において平坦部7cとその他の領域7d(中手部)に段差が設けられている。図6(a)に示す態様は、レール対面部7において平坦部7cとその他の領域7dの間が切断されておらず、部材が連続している。つまり、この部分に貫通孔は形成されていない。これに対し、図6(b)に示す態様においては、レール対面部7において平坦部7cとその他の領域7dの間が切断されており、この部分に貫通孔7hが形成されている。貫通孔7hは形成されていても、形成されていなくてもよいが、ディーゼルエンジン内のように異物が存在しやすい環境で使用される場合、異物によって貫通孔7hが閉塞されるおそれがあるとともに、貫通孔7hを設けることで張力の経年劣化の程度が大きくなる場合がある。内燃機関の環境により、これらの懸念がある場合、図6(a)に示すように、貫通孔7hが形成されていないスペーサエキスパンダを使用することが好ましい。他方、貫通孔7hを設けることで、シリンダボアから掻き落されたオイルは効率的にスペーサエキスパンダ10Dの内周側に流すことができる機会が多くなる。なお、貫通孔7hは、例えば、窪み7aの最深部と平坦部7cとによって形成されるものであってもよい。
【0032】
<第4実施形態>
本実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Dは、レール対面部7が平坦な面を有する代わりに、外周側に平坦部7cを有するとともに耳部5と平坦部7cとの間に径方向に延びるように形成された隆起部7bを有することの他は第1実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Aと同様の構成を有する(図7参照)。平坦部7cは、スペーサエキスパンダ10Dの外周側の縁部に沿って形成されている。スペーサエキスパンダ10Dにサイドレール1,2が組み合わされた状態において、耳部5にサイドレール1,2の内周面1a,2aが当接し且つレール対面部7の平坦部7cにサイドレール1,2の側面1b,2bが対面するため、平坦部7cは耳部5よりも低く形成されている。
【0033】
<第5実施形態>
本実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Eは、レール対面部7が平坦な面を有する代わりに、レール対面部7が径方向に延びる窪み7aを有することの他は第1実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Aと同様の構成を有する(図8参照)。本実施形態において、窪み7aはスペーサエキスパンダ10Eの外周側の端部にまで延びている。かかる構成のスペーサエキスパンダ10Eは、上述の第1〜4の実施形態に係るスペーサエキスパンダと比較して塑性変形による加工がしやすいというメリットがある。
【0034】
<第6実施形態>
本実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Fは、レール対面部7が平坦な面を有する代わりに、外周側に平坦部7cを有することの他は、第1実施形態に係るスペーサエキスパンダ10Aと同様の構成を有する(図9参照)。かかる構成のスペーサエキスパンダ10Fは、上述の第5実施形態に係るスペーサエキスパンダと同様、塑性変形による加工がしやすいというメリットがある。
【0035】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、耳部5におけるサイドレール1の内周面1aが当接する面が平坦である場合を例示したが、耳部5の内周面1aが当接する面は、スペーサエキスパンダの厚さ方向(耳部5の高さ方向)に延びる複数の凸部5bを有し、これらの凸部5bが耳部5の幅方向に並ぶように形成されていてもよい。
【0036】
図10(a)は、スペーサエキスパンダを外周側から見た図であり、軸方向に波形形状(山部及び谷部)を有しており、一方のサイドレール1を押圧する山部10Mの耳部5と、他方のサイドレール2を押圧する谷部10Vの耳部5が形成されている。耳部5には、凹部及び凸部が略軸方向に延長する周方向凹凸形状の凹凸部が形成されている。凸面の接触面積を小さくして接触面圧を高めることで、サイドレールの単独回転を防止することができる。図10(b)及び図10(c)は図10(a)におけるA−A断面図であって、図10(b)は凸部が高い態様を示す断面図であり、図10(c)は凸部が低い態様を示す断面図である。これらの図に示すように、凸部5bは、凹面61から突出するように形成されており、凸面62と、凸面62と凹面61とを繋ぐ側面63とからなる。
【0037】
一つの耳部5において、少なくとも5本(より好ましくは7本)の凸部5bが耳部5の幅方向に並ぶように形成されていることが好ましい。凸部5bは、例えば、隣り合う二つの凸部5bの間を切削することによって凹部を形成することで形成される。
【0038】
上記各実施形態は、すべての耳部5及びレール対面部7が実質的に同じ形状である場合を想定したものであるが、これらが必ずしも実質的に同じ形状でなくてもよい。また、スペーサエキスパンダの一方の側面側に形成されている複数の耳部5のうち、すべての耳部5が不等式(1)又は不等式(2)で表される条件を満たさなくてもよい。例えば、一方の面側に形成されている複数の耳部5のうち、少なくとも半分が不等式(1)又は不等式(2)で表される条件を満たすものであってもよい。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
スペーサエキスパンダ(SUS304製)、一対のサイドレール(SUS304製)を準備し、オイルコントロールリング(呼び径:83mm、組合せ幅寸法:2.0mm、組合せ厚さ:2.3mm)を作製した。なお、スペーサエキスパンダの態様として、レール対面部が凹部(図8参照)を有し且つ耳部が6本の凸部(図10参照)を有するものを採用した。耳部の形状を輪郭形状測定機(株式会社東京精密製)を使用して計測した。この測定結果から、耳部の高さH及び幅Wを求めた(図11参照)。耳部の幅Wと高さHの比(W/H)の値は2.1であった。
【0040】
(比較例1)
スペーサエキスパンダ(SUS304製)、一対のサイドレール(SUS304製)を準備し、オイルコントロールリング(呼び径:83mm、組合せ幅寸法:2.0mm、組合せ厚さ:2.3mm)を作製した。なお、スペーサエキスパンダの態様として、レール対面部が凹部及び平坦部(図5参照)を有し且つ耳部が3本の凸部(図10参照)を有するものを採用した。耳部の形状を実施例1と同様にして計測した。この測定結果から、耳部の高さH及び幅Wを求めた(図11参照)。耳部の幅Wと高さHの比(W/H)の値は1.45であった。
【0041】
<耳部の摩耗量の測定>
ディーゼルエンジンのオイルコントロールリング用の溝の実施例1又は比較例1のリングを装着し、以下の条件でエンジンを運転させたときに生ずるスペーサエキスパンダとサイドレールとの摺動条件を概略再現した。摺動試験を行い、その摺動試験前後の耳部の形状を計測することで、運転後の耳部の摩耗量(mm)を求めた(図14参照)。
エンジン:水冷4サイクルの過給機付ディーゼルエンジン(排気量3.0L、6気筒)
回転数:4000rpm
負荷:全負荷(Wide Open Throttle)
運転時間:500時間
図14における実線はエンジン運転前のスペーサエキスパンダ(径方向の断面)の形状を示し、破線は摺動試験後の耳部の形状を示す。図14における距離Dが摩耗量(mm)である。
【0042】
比較例1の耳部の摩耗量を100とすると、実施例1の耳部の摩耗量は20であり、80%の摩耗量の低減が確認された。
【0043】
<サイドレールの回転の評価>
図15に示す装置を用いてサイドレール単独回転(スペーサエキスパンダに対するサイドレールの回転)を評価した。図15に示す装置100は、疑似オイルリング溝101を有するホルダー(擬似ピストン)102に、オイルコントロールリングを装着し、円筒(擬似シリンダ)103内で、支柱104に設けた支点105を中心に首振り運動させ、サイドレールの単独回転を評価するものである。なお、ホルダー102の中心軸と円筒103の中心軸をずらして配置した。これにより、両者の中心軸をずらさない場合と比較して厳しい条件で評価を行った。試験は、スペーサエキスパンダのジョイント位置に対して、上下二枚のサイドレールを、スペーサエキスパンダのジョイント(合口部)位置からそれぞれ反対方向に30°ずらして組み付けたオイルコントロールをホルダー102に装着し、首振り角度αを0.5°毎に、0.5°から7.5°まで、10往復/秒の速度で10分間ずつ首振り運動させることによって行い、サイドレールの単独回転が起こる首振り角度によって、サイドレール単独回転防止能力を評価するものである。回転が開始する首振り角度が大きいほどサイドレールが回転しづらい構造であると評価できる。実施例1のオイルコントロールリングのサイドレール単独回転開始角度は7.5°以上であったのに対し、比較例1のオイルコントロールリングのサイドレール単独回転開始角度は6.0°であった。
【0044】
<W/Hの値と耳摩耗量の関係>
以下のスペーサエキスパンダ(計80種類)を作製し、上述の実施例1と同様にして耳部の摩耗量を測定した。図16に結果(上記比較例1の摩耗量に対する相対値)を示す。同図に示されたとおり、W/Hの比が1.5以上であると、比較例1と比較して摩耗量を大幅に低減することができる。
リング外径:φ30〜240mm
W/Hの比:0.47〜5.1
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示によれば、サイドレールとの接触による耳部の摩耗を抑制できるオイルコントロールリング及びこれに適用可能なスペーサエキスパンダが提供される。
【符号の説明】
【0046】
1,2…サイドレール(一対のサイドレール)、1a,2a…サイドレールの内周面、1b,2b…サイドレールの側面、5…耳部、5b…凸部、5h…開口、7…レール対面部、7a…窪み、7b…隆起部、7c…平坦部、10A〜10E…スペーサエキスパンダ、10M…山部、10V…谷部、50…オイルコントロールリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16