(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
伝達機構は、かごに取り付けられた滑車と、滑車に巻きかけられた線状体であって、両端がドアパネルと作動部材とに連結された線状体とを含み、弾性部材は、作動部材に対して線状体との連結位置とは反対側の位置に直接的又は間接的に連結された引っ張りコイルバネである請求項2に記載のエレベータ用ドア装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0019】
エレベータは、
図1に示す如く、二階以上の階層1を有する構造物(採番しない)に設けられた昇降路Rを昇降可能且つ指定された階層1で停止可能なかご2を備える。また、エレベータEは、指定された階層1に停止したかご2に対して利用者が乗り降りする乗降口10,20と、乗降口10,20を開閉するドア装置(エレベータ用ドア装置)3,4を備える。
【0020】
本実施形態では、構造物の階層1及びかご2のそれぞれが乗降口10,20とドア装置3,4とを備える。なお、以下の説明において、便宜上、上下方向をZ軸方向といい、Z軸方向と直交する方向であって、乗降口10,20の開口幅に対応する方向をX軸方向といい、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向であって、利用者が乗降する乗降口10,20の開口する方向と対応する方向をY軸方向ということとする。これに伴い、各図には、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す直交三軸、或いは、X軸、Y軸、及びZ軸のうちの二つの軸を示す直交二軸が補助的に図示されている。
【0021】
階層1のドア装置(以下、階層側ドア装置という)3及びかご2のドア装置(以下、かご側ドア装置という)4の構成は、一部を除き、共通している。
【0022】
具体的には、
図2乃至
図5に示す如く、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれは、共通の構成として、X軸方向に移動可能なドアパネル30,40であって、乗降口10,20を開放させる全開位置P1と、乗降口10,20を閉じる全閉位置P2とに位置変更可能に設けられたドアパネル30,40と、ドアパネル30,40の下方に配置され且つドアパネル30,40をX軸方向に案内する敷居31,41と、ドアパネル30,30,40,40の下端に取り付けられたブラシ32,42であって、敷居31,41に摺接可能に設けられたブラシ32,42とを備える。
【0023】
また、本実施形態において、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれは、共通の構成として、ドアパネル30,40による乗降口10,20の開閉に連動して敷居31,41のゴミ排出孔310,410(
図6及び
図7参照)を開閉する開閉装置33,43をさらに備える。
【0024】
本実施形態において、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれは、ドアパネル30,40を一対備える。一対のドアパネル30,30,40,40は、X軸方向において互い接離可能に設けられる。これに伴い、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4は、
図2及び
図4に示す如く、一対のドアパネル30,30,40,40の開閉動作を連動させるための連動装置35,45を備える。
【0025】
図2乃至
図5に示す如く、一対のドアパネル30,30,40,40のそれぞれは、板状のパネル本体300,400と、パネル本体300,400の下端に取り付けられたガイドシュー301,401とを備える。
【0026】
パネル本体300,400は、乗降口10,20の上端縁にそって配置されたレール(採番しない)に対して吊り下げられ、該レールに沿って移動可能である(
図2及び
図4参照)。
【0027】
敷居31,41は、X軸方向に延びる。敷居31,41は、ドアパネル30,40の移動範囲に対応して配置される。本実施形態において、敷居31,41は、一対のドアパネル30,30,40,40の移動範囲に配置される。
【0028】
敷居31,41は、
図6及び
図7に示す如く、Z軸方向に貫通したゴミ排出孔310…,410…を有する。
【0029】
具体的には、敷居31,41は、上面と下面とを有するとともに、X軸方向に延びる溝311,411を上面に有する。溝311,411は、ドアパネル30,40(一対のドアパネル30,30,40,40)の移動範囲に設けられる。ゴミ排出孔310…,410…は、溝311,411内に配置され、Z軸方向に敷居31,41を貫通している。
【0030】
本実施形態において、敷居31,41は、X軸方向に間隔をあけて配置された複数のゴミ排出孔310…,410…を有する。具体的には、敷居31,41は、三つのゴミ排出孔310…,410…を有する。
【0031】
三つのゴミ排出孔310…,410…のうちの一つのゴミ排出孔310,410は、X軸方向における敷居31,41(溝311,411)の中央に配置され、残りの二つのゴミ排出孔310…,410…は、中央のゴミ排出孔310,410から所定距離離れた位置であって、中央のゴミ排出孔310,410を基準としたX軸方向における一方側及び他方側のそれぞれの位置に配置される。
【0032】
すなわち、三つのゴミ排出孔310…,410…のうちの一つのゴミ排出孔310,410は、一対のドアパネル30,30,40,40の移動領域に跨るように配置され、残りのゴミ排出孔310…,410…は、各ドアパネル30,30,40,40の移動領域(異なる移動領域)内に配置される。なお、ゴミ排出孔310…,410…の開口形状は、適宜設定可能であるが、本実施形態において、各ゴミ排出孔310…,410…は、X軸方向に延びる長穴状に形成される。
【0033】
図6に示す如く、ブラシ32,42は、多数の毛を含む毛束(採番しない)を有し、毛束(毛)の先端が敷居31,41の溝311,411の底に接触するように配置される。ブラシ32は、取り付けの対象となるドアパネル30,40の下端のうちのX軸方向の端部であって、全開位置P1から全閉位置P2に向けて移動する際の先頭となる端部に取り付けられる。
【0034】
本実施形態において、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれは、上述の如く、一対のドアパネル30,30,40,40を備えている。これに伴い、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれは、
図2及び
図4に示す如く、それぞれのドアパネル30,30,40,40に対応した開閉装置33,43を備える。すなわち、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれは、一対の開閉装置33,43を備える。
【0035】
図8乃至
図12に示す如く、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれにおいて、開閉装置33,43は、敷居31,41の下方に配置される閉塞部材34a,34b,44a,44bを備える。
【0036】
具体的には、
図9、
図10、
図12、及び
図13に示す如く、開閉装置33,43は、ゴミ排出孔310,410を閉塞可能な閉塞部340a,340b,440a,440bを有する閉塞部材34a,34b,44a,44bであって、X軸方向の力の作用により、閉塞部340a,340b,440a,440bがゴミ排出孔310…,410…を閉塞した閉塞状態と閉塞部340a,340b,440a,440bがゴミ排出孔310…,410…を開放させた開放状態とに状態変更可能に設けられた閉塞部材34a,34b,44a,44bと、X軸方向に移動可能に設けられた作動部材360,460を含む作動部36,46であって、X軸方向に移動することで、作動部材360,460が閉塞部材34a,34b,44a,44bに対してX軸方向の力を作用させる作動部36,46と、ドアパネル30,40が全開位置P1から全閉位置P2に移動するときの力及びドアパネル30,40が全閉位置P2から全開位置P1に移動するときの力の少なくとも何れか一方の力を、X軸方向の力として作動部材360,460に伝達する伝達機構37,47(
図2及び
図4参照)とを備える。
【0037】
本実施形態において、敷居31,41が複数のゴミ排出孔310…,410…を有するため、開閉装置33,43は、ゴミ排出孔310…,410…の配置に対応する複数の閉塞部材34a,34b,44a,44bを備える。具体的には、開閉装置33,43は、閉塞部材34a,34b,44a,44bとして、敷居31,41の中央にあるゴミ排出孔310,410に対応した閉塞部材(以下、第一閉塞部材という)34a,44aと、敷居31,41の中央以外にあるゴミ排出孔310…,410…に対応した閉塞部材(以下、第二閉塞部材という)34b,44bとを備える。
【0038】
図9及び
図10に示す如く、第一閉塞部材34a,44aは、対象となるゴミ排出孔310,410を閉塞可能なサイズに設定された閉塞部(以下、第一閉塞部という)340a,440aと、該第一閉塞部340a,440aに連設された作用部(以下、第一作用部という)341a,441aとを備える。第一閉塞部材34a,44aは、敷居31,41の下面に対してY軸方向にスライド可能に取り付けられている。これにより、第一閉塞部材34a,44aは、第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310…,410…を閉じた状態と、第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310…,410…から外れた状態(ゴミ排出孔310…,410…を開放させた状態)とに位置変更可能になっている。
【0039】
第一作用部341a,441aは、第一閉塞部340a,440aに対して連続する第一本体部342a,442aと、第一本体部342a,442aから下方に突出した係合片343a,443aとを含む。係合片343a,443aは、Z軸方向と直交する面を有し、該面がX軸方向に対して交差する方向に広がっている。すなわち、係合片343a,443aは、X軸方向に対して傾斜した状態で設けられる。
【0040】
第一閉塞部材34a,44aは、敷居31,41の中央のゴミ排出孔310…,410…に対応して設けられるため、一方のドアパネル30,40に対応する一方の開閉装置33,43の第一閉塞部材34a,44aと他方のドアパネル30,40に対応する他方の開閉装置33,43の第一閉塞部材34a,44aとに兼用される。これに伴い、本実施形態に係る第一閉塞部材34a,44aは、Z軸方向及びY軸方向に沿った仮想面を基準に対称的に配置された二つの係合片343a,443aを備える。すなわち、第一閉塞部材34a,44aは、一方の開閉装置33,43の第一閉塞部材34a,44aの一構成としての係合片343a,443aと、他方の開閉装置33,43の第一閉塞部材34a,44aの一構成としての係合片343a,443aとを備える。
【0041】
図12及び
図13に示す如く、第二閉塞部材34b,44bは、対象となるゴミ排出孔310,410を閉塞可能なサイズに設定された閉塞部(以下、第二閉塞部という)340b,440bと、該第二閉塞部340b,440bに連設された作用部(以下、第二作用部という)341b,441bとを備える。第二閉塞部材34b,44bは、敷居31,41の下面に対してZ軸方向に延びる軸回りで回転可能に取り付けられている。これにより、第二閉塞部材34b,44bは、第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310…,410…を閉じた状態と、第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310…,410…から外れた状態(ゴミ排出孔310…,410…を開放する状態)とに状態変更可能になっている。
【0042】
第二作用部341b,441bは、第二閉塞部340b,440bに対して連続する第二本体部342b,442bと、第二本体部342b,442bからZ軸方向に突設された係合部343b,443bとを含む。本実施形態において、係合部343b,443bは、第二本体部342b,442bからZ軸方向に突出した軸部344b,444bと、該軸部344b,444bに取り付けられたローラ345b,445bとを含む。本実施形態において、第二閉塞部材34b,44bは、第二閉塞部340b,440bと第二本体部342b,442bとの境界部分に回転支点を有する。第二閉塞部340b,440b及び第二本体部342b,442bは、回転支点から異なる方向に延出している。本実施形態において、第二閉塞部340b,440b及び第二本体部342b,442bは、Z軸方向から見て略L字状になるように配置される。
【0043】
図2乃至
図5に示す如く、作動部36,46は、X軸方向に移動可能に設けられた作動部材360,460の他、作動部材360,460に直接的又は間接的に連結された弾性部材361,461であって、伝達機構37,47によって伝達される力とは反対向きの力を作動部材360,460に作用させる弾性部材361,461を備える。
【0044】
図10及び
図13に示す如く、作動部材360,460は、X軸方向に移動可能に配置された作動本体部362,462と、作動本体部362,462に取り付けられたストライカ363,364,463,464とを備える。
【0045】
本実施形態において、作動本体部362,462は、
図9及び
図12に示す如く、敷居31,41に設けられた案内溝312,412に沿って移動可能に設けられる。すなわち、作動本体部362,462は、敷居31,41の案内溝312,412に案内される被案内部367,467を備え、X軸方向(敷居31,41の延びる方向)の設定された軌道上で往復動可能に設けられる。なお、階層側ドア装置3の敷居31の案内溝312は、該敷居31の下面に設けられるのに対し、かご側ドア装置4の敷居41の案内溝412は、該敷居41の階層1側を向く面上に設けられるが、基本的な機能は同じである。
【0046】
本実施形態において、上述の如く、開閉装置33,43が第一閉塞部材34a,44a及び第二閉塞部材34b,44bを含むため、
図10及び
図13に示す如く、作動部材360,460は、第一閉塞部材34a,44a及び第二閉塞部材34b,44bに対応するストライカ363,364,463,464を備える。
【0047】
具体的には、作動本体部362,462は、X軸方向に延び、敷居31,41に取り付けられた第一閉塞部材34a,44a及び第二閉塞部材34b,44bに跨る長さに設定される(
図3及び
図5参照)。そして、作動本体部362,462には、第一閉塞部材34a,44aと対応するストライカ(以下、第一ストライカという)363,463と、第二閉塞部材34b,44bに対応するストライカ(以下、第二ストライカという)364,464とが取り付けられている。
【0048】
本実施形態において、作動部36,46は、
図10に示す如く、第一閉塞部材34a,44aと対応する第一ストライカ363,463として、第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310,410を閉じた位置に第一閉塞部材34a,44aを移動させる第一閉用ストライカ363a,463aと、第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310,410を開放する位置に第一閉塞部材34a,44aを移動させる第一開用ストライカ363b,463bとを備える。
【0049】
また、作動部36,46は、
図13に示す如く、第二閉塞部材34b,44bと対応する第二ストライカ364,464として、第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310,410を閉じた位置に第二閉塞部材34b,44bを移動させる第二閉用ストライカ364a,464aと、第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310,410を開放する位置に第二閉塞部材34b,44bを移動させる第二開用ストライカ364b,464bとを備える。
【0050】
図10に示す如く、第一閉用ストライカ363a,463a及び第一開用ストライカ363b,463bは、Z軸方向に延びる軸線回りで回転可能なローラ365a,365b,465a,465bと、ローラ365a,365b,465a,465bを支持する支持片366a,366b,466a,466bであって、作動本体部362,462からY軸方向に延出した支持片366a,366b,466a,466bとを含む。
【0051】
第一閉用ストライカ363a,463a及び第一開用ストライカ363b,463bのそれぞれにおいて、支持片366a,366b,466a,466bは、X軸方向に移動したときに、第一閉塞部材34a,44aの係合片343a,443aと干渉しない位置に配置される。これに対し、ローラ365a,365b,465a,465bは、X軸方向に移動したときに、X軸方向から係合片343a,443aと干渉可能な位置に配置されている。
【0052】
第一閉用ストライカ363a,463aのローラ365a,465aと、第一開用ストライカ363b,463bのローラ365b,465bとは、Y軸方向における位置を異にしている。
【0053】
具体的には、本実施形態において、第一開用ストライカ363b,463bが第一閉用ストライカ363a,463aよりも乗降口10,20の中央側に配置されることを前提に、第一開用ストライカ363b,463bのローラ365b,465bは、Y軸方向において、第一閉用ストライカ363a,463aのローラ365a,465aよりも敷居31,41から遠い位置に配置される。
【0054】
すなわち、第一閉用ストライカ363a,463aのローラ365a,465aは、第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310,410を開放させる位置にある第一閉塞部材34a,44aの係合片343a,443aに対してX軸方向で干渉可能な位置に配置され、第一開用ストライカ363b,463bのローラ365b,465bは、第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310,410を閉じる位置にある第一閉塞部材34a,44aの係合片343a,443aに対してX軸方向で干渉可能な位置に配置される。
【0055】
図13に示す如く、第二閉用ストライカ364a,464a及び第二開用ストライカ364b,464bは、作動本体部362,462からY軸方向に延出している。
【0056】
第二閉用ストライカ364a,464aと、第二開用ストライカ364b,464bとは、Y軸方向における延出量を異にしている。具体的には、本実施形態において、第二開用ストライカ364b,464bが第二閉用ストライカ364a,464aよりも乗降口10,20の中央側に配置され、且つ、第二閉塞部材34b,44bの第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310,410を閉じた状態において、第二閉用ストライカ364a,464aと第二開用ストライカ364b,464bとの間に第二閉塞部材34b,44bの係合部343b,443bが介在することを前提に、第二開用ストライカ364b,464bの延出量が、第二閉用ストライカ364a,464aの延出量よりも少なく設定される。
【0057】
すなわち、第二開用ストライカ364b,464bは、第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310,410を閉じる位置にある第二閉塞部材34b,44bの係合部343b,443bに対してX軸方向で干渉可能に構成され、第二閉用ストライカ364a,464aは、第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310,410を開放させた位置にある第二閉塞部材34b,44bの係合部343b,443bに対してX軸方向で干渉可能に構成される。
【0058】
図3及び
図5に示す如く、作動部36,46は、作動部材360,460に直接的又は間接的(本実施形態においては、採番しない線材を介して間接的)に連結された弾性部材361,461であって、伝達機構37,47によって伝達される力とは反対向きの力を作動部材360,460に作用させる弾性部材361,461を備える。
【0059】
弾性部材361,461は、一方向に第一端と第二端とを有する。本実施形態において、弾性部材361,461は、一方向に伸縮可能な引っ張りコイルバネである。弾性部材361,461は、敷居31,41の下方に配置される。すなわち、弾性部材361,461は、ドアパネル30,40の全開位置P1の下方に配置される。
【0060】
本実施形態において、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれは、二つの開閉装置33,43を備える。これに伴い、二つの開閉装置33,43の作動部材360,460は、X軸方向(敷居31,41の延びる方向)において横並びに配置される。すなわち、二つの開閉装置33,43の作動部材360,460は、乗降口10,20におけるX軸方向の中央を境にした二つの領域のそれぞれに配置される。二つの開閉装置33,43(作動部36,46)の作動部材360,460は、X軸方向で接離可能に配置され、互いに接近した状態において、乗降口10,20におけるX軸方向の中央で突合せ状態になるように配置される。
【0061】
本実施形態において、乗降口10,20におけるX軸方向の中央を境にした二つの領域(一方のドアパネル30,40の移動領域及び他方のドアパネル30,40の移動領域と対応する二つの領域)を基準にすることを前提に、一方の開閉装置33,43の作動部36,46においては、弾性部材361,461が一方の領域に配置されるとともに作動部材360,460が他方の領域に配置される。これに対し、他方の開閉装置33,43の作動部36,46においては、弾性部材361,461が他方の領域に配置されるとともに作動部材360,460が一方の領域に配置される。
【0062】
弾性部材361,461は、自身の伸縮方向をX軸方向と一致させた状態で配置される。この状態において、弾性部材361,461の第一端は、敷居31,41の下面に固定され、弾性部材361,461の第二端は、作動部材360,460に連結される。弾性部材361,461のX軸方向の伸び代(伸縮量)は、ドアパネル30,40の移動量と同等又はそれ以上に設定される。
【0063】
図2及び
図4に示す如く、本実施形態の伝達機構37,47は、かご2に取り付けられた滑車370,470と、滑車370,470に巻きかけられた線状体371,471であって、両端がドアパネル30,40と作動部材360,460とに連結された線状体371,471とを含む。本実施形態に係る伝達機構37,47において、線状体371,471は、ドアパネル30,40の上端側と、敷居31,41の下方に配置された作動部材360,460とに連結される。これに伴い、本実施形態に係る伝達機構37,47において、滑車370,470は、少なくともかご2の上部及び下部に配置される。
【0064】
本実施形態において、かご側ドア装置4及び階層側ドア装置3のそれぞれにおいて、開閉装置33,43は、二つの伝達機構37,47を有する。これに伴い、二つの伝達機構37,47のうちの一方の伝達機構37,47の滑車370,470は、X軸方向におけるかご2の一側面の上部及び下部に取り付けられる。これに対し、二つの伝達機構37,47のうちの他方の伝達機構37,47の滑車370,470は、X軸方向におけるかご2の他側面の上部及び下部に取り付けられる。
【0065】
一方の開閉装置33,43の伝達機構37,47において、線状体371,471は、一対のドアパネル30,30,40,40のうちの一方のドアパネル30,40の上端部と、該一方の開閉装置33,43の作動部材360,460であって、一方のドアパネル30,40の移動領域と対応する範囲にある作動部材360,460とに連結される。
【0066】
これに対し、他方の開閉装置33,43の伝達機構37,47において、線状体371,471は、一対のドアパネル30,30,40,40のうちの他方のドアパネル30,40の上端部と、該他方の開閉装置33,43の作動部材360,460であって、他方のドアパネル30,40の移動領域と対応する範囲にある作動部材360,460とに連結される。
【0067】
これに伴い、弾性部材361,461は、ドアパネル30,40が全閉位置P2にある状態において、最大に或いは余裕をもって伸長し、ドアパネル30,40の全開位置P1と対応する領域にある作動部材360,460をドアパネル30,40の全閉位置P2と対応する領域側に向けて引き付ける(移動させる)力を生じさせる。
【0068】
図2及び
図4に示す如く、連動装置35,45は、乗降口10,20の上方位置に配置された一対のプーリー350,450であって、X軸方向に間隔をあけて配置された一対のプーリー350,450と、該一対のプーリー350,450に巻き替えられた無端環状の伝達ベルト351,451とを含む。これに伴い、連動装置35,45の伝達ベルト351,451は、プーリー350,450に巻き掛けられた一対のターン部351a,451aと、一対のターン部351a,451aに繋がる一対のストレート部351b,451bとを含む。一対のドアパネル30,30,40,40のうちの一方のドアパネル30,40は、一方のストレート部351b,451bに連結され、一対のドアパネル30,30,40,40のうちの他方のドアパネル30,40は、他方のストレート部351b,451bに連結される。これにより、何れか一方のドアパネル30,40がX軸方向に移動したときに、伝達ベルト351,451が回転し、他方のドアパネル30,40が一方のドアパネル30,40の移動方向とは逆方向に移動する。
【0069】
階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4の共通する構成は、以上の通りである。次に、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4の異なる構成について説明する。
【0070】
本実施形態において、
図9、
図10、
図12、及び
図13に示す如く、かご側ドア装置4は、自身の敷居41と階層側ドア装置3の敷居31との間に配置可能な隙間部材48を備える。隙間部材48は、かご側ドア装置4の開閉装置43の作動部材460に連結されている。これにより、隙間部材48は、作動部材460と同様に、ドアパネル30,30,40,40の移動に併せてX軸方向に移動する。すなわち、隙間部材48は、ドアパネル30,40が全開位置P1にある状態において、乗降口10,20と対応する範囲にあるかご側ドア装置4の敷居31,41と階層側ドア装置3の敷居31,41との間に位置し、ドアパネル30,30,40,40が全閉位置P2にある状態において、乗降口10,20と対応する範囲から外れた範囲に位置する。なお、階層側ドア装置3は、隙間部材48を備えていない(隙間部材48を支持する必要がない)ため、階層側ドア装置3の作動部材360のX軸方向の長さは、かご側ドア装置4の作動部材360,460のX軸方向の長さよりも短く設定されている(
図3及び
図5参照)。
【0071】
さらに、本実施形態において、かご側ドア装置4は、
図4に示す如く、ドアパネル30をX軸方向に往復動させる駆動装置49を備える。本実施形態において、駆動装置49は、連動装置45の一方のプーリー450を正逆転させるモータ(採番しない)を含む。
【0072】
これに伴い、エレベータEは、
図2、
図4、
図8及び
図11に示す如く、かご側ドア装置4の駆動装置49の駆動を、階層側ドア装置3に伝達する駆動伝達装置5を備える。本実施形態において、駆動伝達装置5は、かご2のドアパネル40に取り付けられた第一係合体50と、階層1のドアパネル30に取り付けられた第二係合体51であって、かご2が指定された階層1で停止した状態で、第一係合体50と係合可能な第二係合体51とを含む。
【0073】
本実施形態に係るエレベータEは、以上の通りである。次に、本実施形態に係るエレベータE(階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4)の作動について説明する。なお、昇降路Rにおけるかご2の昇降については、一般的な作動であるため、ここでの説明は割愛し、昇降していたかご2が指定された階層1に到着(停止)するときから、その階層1に停止したかご2が別の階層1に向けて昇降を開始するまでの作動について説明することとする。
【0074】
かご2が昇降路Rを昇降する間、
図14に示す如く、階層側ドア装置3のドアパネル30,30及びかご側ドア装置4のドアパネル40,40は、全閉位置P2に位置し、それぞれの乗降口10,20を閉じている。本実施形態では、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれにおいて、ドアパネル30,30,40,40が乗降口10,20を閉じている状態において、開閉装置33,43の第一閉塞部材34a,44a及び第二閉塞部材34b,44bは、対象となるゴミ排出孔310,410を開放させている。
【0075】
従って、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれにおいて、第一閉塞部材34a,44a及び第二閉塞部材34b,44bが対象となるゴミ排出孔310,410を開放させた状態で、かご2は、指定された階層1に到着する。そうすると、
図4に示すかご側ドア装置4の駆動装置49(モータ)が駆動(正転駆動)する。そうすると、かご側ドア装置4において、駆動装置49(モータ)の回転駆動が連結装置の一方のプーリー450に伝達され、該プーリー450に巻き掛けられた伝達ベルト451が周回する。
【0076】
そうすると、伝達ベルト451の一対のストレート部451b,451bがX軸方向において逆方向に移動し、これに伴って、ストレート部451b,451bに連結されたドアパネル40,40がストレート部451b,451bの移動に追従し、全閉位置P2から全開位置P1に向けて移動する。本実施形態において、かご側ドア装置4は、一対のドアパネル40,40を備えるため、かご側ドア装置4の一対のドアパネル40,40は、X軸方向で逆向きに移動し、それぞれが全閉位置P2から全開位置P1に向けて移動する。
【0077】
本実施形態において、昇降路Rを昇降するかご2が指定された階層1に到着した状態において、駆動伝達装置5の第一係合体50と第二係合体51とがX軸方向の力を相互に伝達可能に係合する(
図8及び
図11参照)。従って、上述の如く、かご側ドア装置4のドアパネル40,40が、X軸方向に移動すると、その移動に伴うX軸方向の力が、駆動伝達装置5(第一係合体50、第二係合体51)を介し、階層側ドア装置3のドアパネル30,30,40,40に伝達される。これに伴い、階層側ドア装置3のドアパネル30,30がX軸方向に移動する。本実施形態において、階層側ドア装置3は、一対のドアパネル30,30と、これを連動させる連動装置35を備えるため、駆動伝達装置5を介して一方のドアパネル30にX軸方向の力が伝達されると、該一方のドアパネル30の連結された伝達ベルト351の一方のストレート部351bが、該一方のドアパネル30とともにX軸方向に移動する。すなわち、無端環状の伝達ベルト351が一対のプーリー350,350の回りを周回する。これにより、他方のストレート部351bに連結された他方のドアパネル30は、一方のドアパネル30,30,40,40に対してX軸方向で逆向きに移動する。
【0078】
従って、階層側ドア装置3において、一対のドアパネル30,30は、全閉位置P2から全開位置P1に向けて移動する。
【0079】
このように、駆動伝達装置5を介してかご側ドア装置4のドアパネル40,40の力を階層側ドア装置3のドアパネル30,30に伝達されることで、かご側ドア装置4の一対のドアパネル40,40による乗降口20の開放と、階層側ドア装置3の一対のドアパネル30,30による乗降口10の開放とが連動する。
【0080】
本実施形態では、かご側ドア装置4及び階層側ドア装置3のそれぞれにおいて、
図15に示す如く、ドアパネル30,30,40,40が全閉位置P2から全開位置P1に移動するときのX軸方向の力が伝達機構37,47によって、作動部36,46の作動部材360,460に伝達され(
図2及び
図4参照)、作動部材360,460がX軸方向に移動する。
【0081】
より具体的には、伝達機構37,47の線状体371,471が滑車370,470を介してドアパネル30,30,40,40と作動部材360,460とに連結されているため、ドアパネル30,30,40,40が全閉位置P2から全開位置P1に移動すると、その移動に伴うX軸方向の力が線状体371,471に伝わり、作動部材360,460がX軸方向においてドアパネル30,30,40,40とは逆方向に移動する。
【0082】
そうすると、第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310…,410…を開放している第一閉塞部材34a,44aの第一作用部341a,441aの係合片343a,443aに対し、第一閉用ストライカ363a,463aのローラ365b,465bがX軸方向に付勢する。係合片343a,443aにおける第一閉用ストライカ363a,463a側の面は、X軸方向に対して傾斜しているため、第一閉用ストライカ363a,463aのローラ365a,465aが係合片343a,443aを付勢すると、作動部材360,460に作用するX軸方向の分力(Y軸方向の力)によって、第一閉塞部材34a,44aがY軸方向に移動する。また、第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310,410を開放している第二閉塞部材34b,44bの係合部343b,443bに対し、第二閉用ストライカ364a,464aがX軸方向に押圧(付勢)する。これに伴い、第二閉塞部材34b,44bは、Z軸方向に延びる軸回りで回転する。
【0083】
これにより、
図16に示す如く、第一閉塞部材34a,44aの第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310,410を閉塞し、第二閉塞部材34b,44bの第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310…,410…を閉塞する。
【0084】
本実施形態において、かご側ドア装置4は、作動部材360,460に連結された隙間部材48を備えるため、隙間部材48は、作動部材360,460の移動に併せてX軸方向に移動し、階層側ドア装置3の敷居31と、かご側ドア装置4の敷居41との間に到達する。これにより、隙間部材48は、ドアパネル30,30,40,40が乗降口10,20を開放した状態において、階層側ドア装置3の敷居31と、かご側ドア装置4の敷居41との間の隙間を閉じる或いは狭める。
【0085】
従って、利用者がかご2に対して乗り降りする際に、所有物を落としたとしても、所有物がゴミ排出孔310…,410…を通って下方に落下したり、敷居31,41の間を通って落下したりすることが防止される。
【0086】
そして、ドアパネル30,30,40,40が乗降口10,20を開放してから所定時間が経過し、或いは、利用者からドアパネル30,30,40,40で乗降口10,20を全閉にする旨の指示(別の階層1に移動する旨の指示も含む)があると、
図4に示すかご側ドア装置4の駆動装置49(モータ)が駆動(逆転駆動)する。そうすると、かご側ドア装置4において、駆動装置49(モータ)の回転駆動が連結装置の一方のプーリー450に伝達され、該プーリー450に巻きかけられた伝達ベルト451が周回する。
【0087】
そうすると、伝達ベルト451の一対のストレート部451b,451bがX軸方向において逆方向に移動し、これに伴って、ストレート部451b,451bに連結されたドアパネル40,40がストレート部451b,451bの移動に追従し、全開位置P1から全閉位置P2に向けて移動する。本実施形態において、かご側ドア装置4は、一対のドアパネル40,40を備えるため、かご側ドア装置4の一対のドアパネル40,40は、X軸方向で逆向きに移動し、それぞれが全開位置P1から全閉位置P2に向けて移動する。
【0088】
上述の如く、昇降路Rを昇降するかご2が指定された階層1に到着(停止)した状態において、駆動伝達装置5の第一係合体50と第二係合体51とがX軸方向の力を相互に伝達可能に係合するため、かご側ドア装置4のドアパネル40,40が、X軸方向に移動すると、その移動に伴うX軸方向の力が、駆動伝達装置5(第一係合体50、第二係合体51)を介し、階層側ドア装置3のドアパネル30,30に伝達される。これに伴い、階層側ドア装置3のドアパネル30,30がX軸方向に移動する。本実施形態において、階層側ドア装置3は、一対のドアパネル30,30と、これを連動させる連動装置35を備えるため、駆動伝達装置5を介して一方のドアパネル30にX軸方向の力が伝達されると、該一方のドアパネル30の連結された伝達ベルト351の一方のストレート部351bが、該一方のドアパネル30とともにX軸方向に移動する。すなわち、無端環状の伝達ベルト351が一対のプーリー350,350の回りを周回する。これにより、他方のストレート部351bに連結された他方のドアパネル30は、一方のドアパネル30に対してX軸方向で逆向きに移動する。
【0089】
従って、階層側ドア装置3において、一対のドアパネル30,30は、全開位置P1から全閉位置P2に向けて移動する。
【0090】
このように、駆動伝達装置5を介してかご側ドア装置4のドアパネル40,40の力を階層側ドア装置3のドアパネル30,30に伝達することで、かご側ドア装置4の一対のドアパネル40,40による乗降口20の閉塞と、階層側ドア装置3の一対のドアパネル30,30による乗降口10の閉塞とが連動する。
【0091】
本実施形態では、かご側ドア装置4及び階層側ドア装置3のそれぞれにおいて、ドアパネル30,30,40,40が全開位置P1から全閉位置P2に移動すると、作動部36,46の弾性部材361,461の弾性力(引っ張り力)によって、作動部材360,460がX軸方向に移動する。
【0092】
より具体的には、伝達機構37,47の線状体371,471が滑車370,470を介してドアパネル30,30,40,40と作動部材360,460とに連結され、作動部36,46の弾性部材361,461が作動部材360,460に連結されているため、ドアパネル30,30,40,40が全開位置P1から全閉位置P2に移動すると、
図3及び
図5に示す如く、線状体371,471による引っ張り力が弱まり、弾性部材361,461の引っ張り力によって、作動部材360,460がX軸方向においてドアパネル30,30,40,40の移動方向とは逆方向に移動する。
【0093】
そうすると、第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310,410を閉塞している第一閉塞部材34a,44aの第一作用部341a,441aの係合片343a,443aに対し、第一開用ストライカ363b,463bのローラ365b,465bがX軸方向に付勢する。
【0094】
係合片343a,443aにおける第一開用ストライカ363b,463b側の面は、X軸方向に対して傾斜しているため、第一開用ストライカ363b,463bのローラ365b,465bが係合片343a,443aを付勢すると、作動部材360,460に作用するX軸方向の分力(Y軸方向の力)によって、第一閉塞部材34a,44aがY軸方向に移動する。また、第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310,410を閉塞している第二閉塞部材34b,44bの第二作用部341b,441bの係合部343b,443bに対し、第二開用ストライカ364b,464bが押圧する。これに伴い、第二閉塞部材34b,44bは、Z軸方向に延びる軸回りで回転する。
【0095】
これにより、第一閉塞部材34a,44aの第一閉塞部340a,440aがゴミ排出孔310,410を開放し、第二閉塞部材34b,44bの第二閉塞部340b,440bがゴミ排出孔310,410を開放する。
【0096】
そして、ドアパネル30,30,40,40の下端には、ブラシ32,42が取り付けられているため、全開位置P1から全閉位置P2に向けてドアパネル30,30,40,40が移動すると、ブラシ32,42は、溝311,411内でX軸方向の中央に向けて移動し、溝311,411内にあるゴミをゴミ排出孔310…,410…に誘導する。この状態において、既にゴミ排出孔310…,410…は、開放しているため、ゴミ排出孔310…,410…に誘導されたゴミは、ゴミ排出孔310…,410…から落下する。従って、溝311,411内にはゴミが無くなり、ドアパネル30,40(ガイドシュー301,401)の移動の円滑性が確保される。
【0097】
そして、かご側ドア装置4は、作動部材360,460に連結された隙間部材48を備えるため、隙間部材48は、作動部材360,460の移動に併せてX軸方向に移動し、かご側ドア装置4の敷居41と、階層側ドア装置3の敷居31との間から外れた位置に到達する(
図14参照)。これにより、かご2が昇降するに当たり、駆動伝達装置5(階層1側にある第二係合体51)とかご2との干渉が防止される。
【0098】
以上のように、本実施形態に係るエレベータ用ドア装置3,4(かご側ドア装置4、階層側ドア装置3)は、二階以上の階層1を有する構造物に設けられた昇降路Rを昇降可能且つ指定された階層1で停止可能なかご2に対して利用者が乗り降りする乗降口10,20を開閉するドアパネル30,40であって、X軸方向に移動可能であり、乗降口10,20を開放させる全開位置P1と、乗降口10,20を閉じた全閉位置P2とに位置変更可能に設けられたドアパネル30,40と、ドアパネル30,40の下方に配置され且つドアパネル30,40をX軸方向に案内する敷居31,41であって、Z軸方向に貫通したゴミ排出孔310,410を有する敷居31,41と、敷居31,41に対して摺接可能なブラシ32,42であって、ドアパネル30,40の下端に取り付けられたブラシ32,42と、ドアパネル30,40による乗降口10,20の開閉に連動してゴミ排出孔310,410を開閉する開閉装置33,43とを備え、開閉装置33,43は、ゴミ排出孔310,410を閉塞可能な閉塞部340a,340b,440a,440b(第一閉塞部340a,440a、第二閉塞部340b,440b)を有する閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)であって、X軸方向の力の作用により、閉塞部340a,340b,440a,440b(第一閉塞部340a,440a、第二閉塞部340b,440b)がゴミ排出孔310,410を閉塞した閉塞状態と閉塞部340a,340b,440a,440bがゴミ排出孔310,410を開放させた開放状態とに状態変更可能に設けられた閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)と、X軸方向に移動可能に設けられた作動部材360,460を含む作動部36,46であって、X軸方向に移動することで、作動部材360,460が閉塞部材34a,34b,44a,44bに対してX軸方向の力を作用させる作動部36,46と、ドアパネル30,40が全開位置P1から全閉位置P2に移動するときの力及びドアパネル30,40が全閉位置P2から全開位置P1に移動するときの力の少なくとも何れか一方の力を、X軸方向の力として作動部材360,460に伝達する伝達機構37,47とを備え、作動部36,46は、ドアパネル30,30,40,40が全開位置P1にあるときに、閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)を閉塞状態にする一方、ドアパネル30,40が全開位置P1から全閉位置P2に向けて移動するときに閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)を開放状態にする。
【0099】
上記構成によれば、作動部36,46は、ドアパネル30,30,40,40が全開位置P1にあるときに、閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)を閉塞状態にするため、かご2に対して乗り降りする利用者が所持品を落としとしても、その所持品がゴミ排出孔310,410から落下してしまうことが阻止される。また、作動部36,46は、ドアパネル30,40が全開位置P1から全閉位置P2に向けて移動するときに閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)を開放状態にするため、ドアパネル30,40の下端に取り付けられたブラシ32,42が誘導した敷居31,41上のゴミが、ゴミ排出孔310,410から落下する。これにより、ドアパネル30,40の円滑な移動が確保される。
【0100】
特に、上記構成においては、伝達機構37,47が、ドアパネル30,40が全開位置P1から全閉位置P2に移動するときの力及びドアパネル30,40が全閉位置P2から全開位置P1に移動するときの力の少なくとも何れか一方の力を、X軸方向の力として作動部材360,460に伝達するため、作動部材360,460が伝達された力によってX軸方向に移動する。すなわち、作動部材360,460は、ドアパネル30,40の移動(乗降口10,20の開閉)に対応してX軸方向に移動する。これに伴い、作動部材360,460は、閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)に対してX軸方向の力を作用させる。
【0101】
従って、閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)は、作動部材360,460からのX軸方向の力を作用により、ドアパネル30,40の移動(位置)に対応して、閉塞状態及び開放状態の少なくともいずれか一方の状態にすることができる。
【0102】
本実施形態において、伝達機構37,47は、ドアパネル30,30,40,40が全開位置P1から全閉位置P2に移動するときの力又はドアパネル30,30,40,40が全閉位置P2から全開位置P1に移動するときの力の何れか一方の力を、X軸方向の力として作動部材360,460に伝達可能に構成され、作動部36,46は、作動部材360,460に直接的又は間接的に連結された弾性部材361,461であって、伝達機構37,47によって伝達される力とは反対向きの力を作動部材360,460に作用させる弾性部材361,461を備える。
【0103】
このようにすれば、ドアパネル30,30,40,40の移動に伴う力と弾性部材361,461の引っ張り力によって、作動部材360,460をX軸方向に移動させる(押し引きする)ことができる。これにより、閉塞部材34a,34b,44a,44bの開閉をドアパネル30,30,40,40の状態に応じて行うことができる。
【0104】
特に、伝達機構37,47は、かご2に取り付けられた滑車370,470と、滑車370,470に巻きかけられた線状体371,471であって、両端がドアパネル30,30,40,40と作動部36,46とに連結された線状体371,471とを含み、弾性部材361,461は、作動部36,46に対して線状体371,471との連結位置とは反対側の位置に直接的又は間接的に連結された引っ張りコイルバネである。
【0105】
このようにすれば、簡易な構成でありながら、ドアパネル30,30,40,40の移動に伴う力及び弾性部材361,461の弾性力を、作動部材360,460に対して確実に伝達できる。
【0106】
また、本実施形態においては、開閉装置43は、階層1の乗降口10の下端(敷居31)とかご2の乗降口20の下端(敷居41)との間に配置可能な隙間部材48であって、作動部材460に連結された隙間部材48を備え、作動部材460は、X軸方向に移動することで、ドアパネル30,40が全開位置P1にあるときに、全閉位置P2と対応する位置に配置される一方、ドアパネル30,40が全閉位置P2にあるときに、全開位置P1と対応する位置に配置される。
【0107】
上記構成によれば、隙間部材48は、作動部材360,460に対して追従してX軸方向に移動する。従って、ドアパネル30,40が全開位置P1にあるときに、作動部材460が全閉位置P2と対応する位置に配置されることで、隙間部材48も全閉位置P2と対応する位置に配置される。すなわち、ドアパネル30,40が全開位置P1に位置し、乗降口10,20を開放し、閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)がゴミ排出孔310,410を閉塞している状態において、隙間部材48は、階層1の乗降口10の下端(敷居31)とかご2の乗降口20の下端(敷居41)との間に配置され、階層1の乗降口10の下端(敷居31)とかご2の乗降口20の下端(敷居41)との間の隙間を狭め或いは略無くす。従って、かご2に対して乗り降りする利用者が所持品を落としとしても、その所持品がゴミ排出孔310,410や階層1とかご2との間から落下してしまうことが阻止される。
【0108】
そして、隙間部材48は、ドアパネル30,40が全閉位置P2にあるときに、全開位置P1と対応する位置に配置されるため、かご2が昇降路Rを昇降するときに、かご2と階層1(構造物)との干渉が防止される。
【0109】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0110】
上記実施形態において、作動部材360,460のストライカ363,364,463,464(第一ストライカ363,463(第一閉用ストライカ363a,463a、第一開用ストライカ363b,463b)、第二ストライカ364,464(第二閉用ストライカ364a,464a、第二開用ストライカ364b,464b))によって閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)を付勢することで、ゴミ排出孔310,410を開閉したが、これに限定しない。
【0111】
例えば、
図18及び
図19に示す如く、作動部36,46が閉塞部材34a,34b,44a,44bを閉塞状態又は開放状態にするため、閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)を移動する方向の一方側に直接付勢する弾性部材368,369,468,469を備えてもよい。すなわち、作動部材360,460が閉塞状態又は開放状態の何れか一方の状態にある閉塞部材34a,34b,44a,44bを閉塞状態又は開放状態の何れか他方の状態にするように付勢し、この付勢が解除された状態で、閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)を付勢する弾性部材368,369,468,469の付勢力によって、閉塞部材34a,34b,44a,44bが閉塞状態又は開放状態の何れか一方の状態に復帰させるようにしてもよい。
【0112】
上記実施形態において、第一閉塞部材34a,44aがY軸方向にスライドすることで、ゴミ排出孔310…,410…を開閉し、第二閉塞部材34b,44bがZ軸方向に延びる軸回りで回転することで、ゴミ排出孔310,410を開閉するようにしたが、これに限定されない。例えば、
図20に示す如く、閉塞部材34a,34b,44a,44bは、X軸方向にスライドすることで、ゴミ排出孔310,410を開閉してもよい。また、
図21に示す如く、Y軸方向に延びる軸回りで回転(傾倒)することで、ゴミ排出孔310,410を開閉してもよい。これらの何れの場合においても、閉塞部材34a,34b,44a,44bは、作動部材360,460からX軸方向の力を受ける部位を含む作用部341a,341b,441a、441bを有し、作動部材360,460は、閉塞部材34a,34b,44a,44bの作用部341a,341b,441a,441b(X軸方向の力を受ける部位)に対してX軸方向の力を伝達するストライカ363,364,463,464(図示しない)を有することは勿論である。
【0113】
上記実施形態において、伝達機構37,47の線状体371,471が、ドアパネル30,30,40,40の上端側と作動部材360,460とに連結されたが、これに限定されない。例えば、
図22に示す如く、伝達機構37,47の線状体371,471は、ドアパネル30,30,40,40の下端側と作動部材360,460とに連結されてもよい。この場合においても、線状体371,471は、かご2に取り付けられた滑車370,470に巻き掛けられることになるため、滑車370,470は線状体371,471の配置に応じて設けられる。
【0114】
上記実施形態において、伝達機構37,47が、かご2に取り付けられた滑車370,470と、滑車370,470に巻き掛けられた線状体371,471であって、両端がドアパネル30,30,40,40と作動部材360,460とに連結された線状体371,471とを含んだが、これに限定されない。例えば、
図23に示す如く、X軸方向のドアパネル30,30,40,40の端面に当接可能に配置される第一端と、敷居31,41の下方側に位置する第二端とを有するレバー375であって、第一端と第二端との間がかご2に対してY軸方向に延びる軸回りで回転可能に取り付けられたレバー375と、X軸方向に延びるシャフト376であって、作動部材360,460(
図23においは図示しない)とレバー375の第二端とに連結されたシャフト376とを備えてもよい。
【0115】
この場合、ドアパネル30,30,40,40が全開位置P1に向けて移動する際に、レバー375の第一端がドアパネル30,40に押されることで、レバー375が回転し、その回転力がシャフト376に伝達される。これにより、シャフト376がX軸方向に移動し、シャフト376に連結された作動部材360,460もX軸方向に移動させることができる。この場合、ドアパネル30,30,40,40が全閉位置P2に向けて移動するに当たり、レバー375が元の位置に復帰するように、シャフト376を付勢する付勢部材(例えば、コイルバネ)377を設けることが好ましい。
【0116】
上記実施形態において、伝達機構37,47は、ドアパネル30,30,40,40が全開位置P1から全閉位置P2に移動するときの力又はドアパネル30,30,40,40が全閉位置P2から全開位置P1に移動するときの力の何れか一方の力を、上下方向と直交する方向の力として作動部材360,460に伝達可能に構成され、作動部36,46は、作動部材360,460に直接的又は間接的に連結された弾性部材361,461であって、伝達機構37,47によって伝達される力とは反対向きの力を作動部材360,460に作用させる弾性部材361,461を備えたが、これに限定されない。
【0117】
例えば、伝達機構37,47は、
図24及び
図25に示す如く、作動部材360,460とドアパネル30,40のX軸方向における一端とに連結される第一の線状体371,471と、作動部材360,460とドアパネル30,30,40,40のX軸方向における他端とに連結される第二の線状体372,472とを備えてもよい。
【0118】
このようにすれば、全閉位置P2から全開位置P1に向けて移動する際の力が、第一の線状体371,471又は第二の線状体372,472の何れか一方を介してX軸方向の力として作動部材360,460に伝達され、全開位置P1から全閉位置P2に向けて移動する際の力が、第一の線状体371,471又は第二の線状体372,472の何れか他方を介してX軸方向の力として作動部材360,460に伝達される。
【0119】
従って、弾性部材361,461の引っ張り力に頼ることなく、ドアパネル30,40の移動に伴う力のみで作動部材360,460をX軸方向に移動させ、閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)を閉塞状態と開放状態とに切り替えることができる。
【0120】
上記実施形態において、かご側ドア装置4及び階層側ドア装置3のそれぞれが、種類の異なる閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)を備えたが、これに限定されない。例えば、同一形態の閉塞部材34a,34b,44a,44bを複数備えてもよい。この場合、作動部材360,460のストライカ363,364,463,464は、閉塞部材34a,34b,44a,44bの形態に応じたものにされることは言うまでもない。
【0121】
上記実施形態において、X軸方向の中央にあるゴミ排出孔310,410を開閉する第一閉塞部材34a,44aが、二つの開閉装置33,43の閉塞部材34a,44aとして兼用されたが、これに限定されない。例えば、二つの開閉装置33,43のそれぞれが、ゴミ排出孔310,410の半分の領域(自身の担当する領域)を開閉する閉塞部材34a,44aを備えてもよい。
【0122】
上記実施形態において、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれの敷居31,41がゴミ排出孔310,410を有したため、かご側ドア装置4及び階層側ドア装置3のそれぞれが、開閉装置33,43を備えたが、これに限定されない。例えば、かご側ドア装置4及び階層側ドア装置3の何れか一方の敷居31,41がゴミ排出孔310,410を有する場合、その敷居31,41を備えたドア装置3,4のみが開閉装置33,43を備えればよい。
【0123】
この場合において、上記実施形態と同様に、作動部36,46は、作動部材360,460をX軸方向の何れか一方側に移動させるための弾性部材361,461を備えてもよいし、伝達機構37,47が、作動部材360,460をX軸方向の一方側及び他方側に移動させるための線状体371,372,471,472(第一の線状体371,471、第二の線状体372,472)を備えてもよい。
【0124】
上記実施形態において、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれが、X軸方向で相反する方向に移動する一対のドアパネル30,30,40,40を備えた両開きのドア装置とされたが、これに限定されない。例えば、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれは、一枚のドアパネル30,40がX軸方向に移動する片開きのドア装置とされてもよいし、複数枚のドアパネル30,40がX軸方向で同方向に移動する片開きのドア装置であってもよい。また、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれは、X軸方向における乗降口10,20の一部の領域を閉じる一枚又は複数枚のドアパネル30,40と、X軸方向における乗降口10,20の残りの領域を閉じる複数枚のドアパネル30,40とを備え、乗降口10,20の一部の領域を閉じる一枚又は複数枚のドアパネル30,40と、乗降口10,20の残りの領域を閉じる複数枚のドアパネル30,40とがX軸方向で相反する方向に移動する両開きのドア装置であってもよい。
【0125】
上記実施形態において、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれが、一対のドアパネル30,30,40,40を備え、この一対のドアパネル30,30,40,40に対応して二つの開閉装置33,43を備えたが、これに限定されない。例えば、階層側ドア装置3及びかご側ドア装置4のそれぞれが、一つの開閉装置33,43を備え、一対のドアパネル30,30,40,40の一方のドアパネル30,40の移動に伴う力を、伝達機構37,47を介して作動部材360,460に伝達してもよい。このようにしても、ドアパネル30,40の移動に伴う力をよって作動部材360,460がX軸方向に移動することで、閉塞部材34a,34b,44a,44b(第一閉塞部材34a,44a、第二閉塞部材34b,44b)の開閉を行うことができる。