特許第6836753号(P6836753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836753
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】荷重変換器
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20210222BHJP
【FI】
   G01L1/22 F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-65496(P2017-65496)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-169231(P2018-169231A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 璋好
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−110259(JP,A)
【文献】 米国特許第03413845(US,A)
【文献】 米国特許第03706349(US,A)
【文献】 特開昭53−064578(JP,A)
【文献】 実開平06−007030(JP,U)
【文献】 特開平10−332500(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0340537(US,A1)
【文献】 英国特許出願公告第922982(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/22,
G01G 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端面にて荷重を受ける略円柱形状の荷重受け部と、
円柱面の内周面によって構成される中空部を有する柱形状であって、前記荷重受け部を前記中空部内において囲うように、かつ前記荷重受け部の円柱側面と前記内周面が所定間隔となるように配置される固定部と、
前記荷重受け部の前記円柱側面及び前記固定部の前記内周面のそれぞれの軸方向における中間部間を薄肉形状にて連結して前記荷重受け部が受ける荷重で弾性変形する起歪部と、
前記起歪部に設けられ、前記荷重受け部が受ける荷重を検出する複数の荷重検出手段と、
前記荷重受け部と前記固定部との間で前記起歪部を相対して挟み、前記起歪部を塞ぐように前記荷重受け部と前記固定部に固定される可撓性の環状の蓋体と、
を備える荷重変換器であって、
前記蓋体が、前記荷重受け部の軸方向において前記第1の端面と前記起歪部との中間位置に設けられた第1の蓋体と、前記荷重受け部の軸方向において前記荷重受け部の前記第1の端面に対向する第2の端面と前記起歪部との中間位置に設けられた第2の蓋体と、を備え、
前記荷重受け部は、前記第1の蓋体から突出した前記荷重受け部の側周面と、前記第2の蓋体から突出した前記荷重受け部と、を繋ぐ通路を備えることを特徴とする荷重変換器。
【請求項2】
前記荷重受け部が、傘部と柄部を有して荷重印加物と前記傘部にて接するキノコ形状の第1の部材と、前記第1の部材の前記柄部の外周を囲んで前記第1の部材と係合する円筒形状の第2の部材と、を備え、
前記荷重受け部の前記通路は、前記第2の部材の円筒中空部と、前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも1つの係合面に設けられた凹部と、で構成されることを特徴とする請求項1に記載の荷重変換器。
【請求項3】
前記凹部は、前記第1の部材の前記傘部と前記第2の部材が軸方向で対向するそれぞれの面の少なくとも1つに半径方向にて設けられているものを含むことを特徴とする請求項2に記載の荷重変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重を電気信号に変換する荷重変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は従来の荷重変換器(ロードセル)の一例を示した断面図である。この荷重変換器は、荷重を受ける円柱形状の荷重受け部2と、この円柱面外側を囲むようにして設けられて固定構造物12にボルト7によって固定される円筒形状の固定部3と、荷重受け部2と固定部3を連結する薄肉部分からなる環状の起歪部6とを備えている。そして複数の荷重検出手段Gが、起歪部6の下面に貼付されている。荷重検出手段Gは例えば歪みゲージであって、外側寄りの歪みゲージは圧縮歪み検出用の歪みゲージで、内側寄りの歪みゲージは引張歪み検出用の歪みゲージである。荷重検出手段Gは起歪部6の最も肉厚の薄い薄肉部を挟んで、径方向に並んで貼付されている。これらの荷重検出手段Gから得られる荷重検出信号は、コネクタ5を介して出力される。
【0003】
荷重受け部2の天面は荷重を直接受ける面である。そして荷重受け部2の底面をなす第2の端面2e が、固定構造物12と固定部3の固定面より若干高い位置、すなわち起歪部6寄りとなるように形成されている。
【0004】
起歪部6を上下で挟んで固定部3の内側側面と荷重受け部2の側面との間に蓋体が設置されている。蓋体は、環状で薄肉の可撓性を有する金属製であって、荷重受け部2及び固定部3に、溶接若しくは接着されていて、起歪部6の弾性変形に影響を及ぼさないように設けられている。蓋体は、起歪部6の上方側の第1の蓋体4aと起歪部6の下方側の第2の蓋体4bで構成されている。この蓋体によって起歪部6に貼付けられている荷重検出手段Gは外部環境から保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−163877公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この荷重変換器において、荷重を受けた際の変形時の状態を示したものが図7である。ここで示す空間13は、荷重受け部2の第2の端面2eと、第2の蓋体4bと、固定部3の円筒内面3bと、固定構造物12の天面と、で画定されたものである。固定構造物12の天面と固定部3の底面の密閉性が低い場合は、荷重受け部2が荷重を受けると、空間13が押し縮められて固定構造物12の天面と固定部3の底面の界面から空気が放出される。その後荷重が取り除かれると空気がこの界面から空間13に流入して元に戻る。そして固定構造物12の天面と固定部3の底面の密閉性が高い場合においても、空間13は完全に密閉されるものではなくて僅かな空気の出入りは生ずるが、空気の出入りに時間を要することになる。
【0007】
したがって荷重を受けて空間13が押し縮められた後、荷重が取り除かれた際でも、空気が瞬時に空間13へ戻らず、この空間13が負圧となったままとなって、荷重受け部2が、その時加えられている荷重に対応した本来の位置まで戻るのに時間を要する場合が生ずるという課題があった。ゆえにこの荷重変換器には、荷重変動に対する応答性に改善する余地があった。
【0008】
このような問題に鑑みて、本発明は、荷重の変動に対する応答性に優れた荷重変換器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
第1の端面にて荷重を受ける略円柱形状の荷重受け部と、
円柱面の内周面によって構成される中空部を有する柱形状であって、荷重受け部を中空部内において囲うように、かつ荷重受け部の円柱側面と内周面が所定間隔となるように配置される固定部と、
荷重受け部の円柱側面及び固定部の内周面のそれぞれの軸方向における中間部間を薄肉形状にて連結して荷重受け部が受ける荷重で弾性変形する起歪部と、
起歪部に設けられ、荷重受け部が受ける荷重を検出する複数の荷重検出手段と、
荷重受け部と固定部との間で起歪部を相対して挟み、起歪部を塞ぐように荷重受け部と固定部に固定される可撓性の環状の蓋体と、
を備える荷重変換器であって、
蓋体が、荷重受け部の軸方向において第1の端面と起歪部との中間位置に設けられた第1の蓋体と、荷重受け部の軸方向において荷重受け部の第1の端面に対向する第2の端面と起歪部との中間位置に設けられた第2の蓋体と、を備え、
荷重受け部は、第1の蓋体から突出した荷重受け部の側周面と、第2の蓋体から突出した荷重受け部と、を繋ぐ通路を備えて構成されている。
【0010】
請求項2に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
荷重受け部が、傘部と柄部を有して荷重印加物と傘部にて接するキノコ形状の第1の部材と、第1の部材の柄部の外周を囲んで第1の部材と係合する円筒形状の第2の部材と、を備え、
荷重受け部の通路は、第2の部材の円筒中空部と、第1の部材及び第2の部材の少なくとも1つの係合面に設けられた凹部と、で構成されている。
【0011】
請求項3に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
凹部は、第1の部材の傘部と第2の部材が軸方向で対向するそれぞれの面の少なくとも1つに半径方向にて設けられているものを含んで構成されている。
【0012】
請求項1に記載の発明の荷重変換器によれば、荷重受け部が、第1の蓋体から突出した荷重受け部の側周面と、第2の蓋体から突出した荷重受け部と、を繋ぐ通路を備えている。よって荷重変換器が固定された状態の時、荷重の印加によって生ずる荷重受け部の移動と起歪部の弾性変形に起因して容積が変化する空間と、荷重変換器が置かれている外部空間と、でエアの出入りが容易となる。ゆえに荷重の変動に対して追従する空間の容積変化速度が大きくなり、荷重の変動に対する応答性に優れた荷重変換器を提供できる。
【0013】
請求項2に記載の発明の荷重変換器によれば上記効果に加えて、荷重受け部が複数の部材で構成され、それぞれに溝状の通路を配置していることから、部品の加工及び組立てが容易な荷重変換器を提供できる。
【0014】
請求項3に記載の発明の荷重変換器によれば上記効果に加えて、荷重受け部が複数の部材で構成されてその係合面が密着する形状であっても、その係合面に半径方向の通路を有していることから、空気の流通に優れ、応答性に優れた荷重変換器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の斜視外観図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器内の荷重検出手段で構成するホイートストンブリッジ回路図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の断面構成図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成分解図である。
図6】従来の荷重変換器を模式的に表した断面図構成である。
図7】従来の荷重変換器に荷重が加わった際の変形を模式的に表した断面図構成である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器について、図面を基に詳細な説明を行う。図1は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の斜視外観図である。
【0017】
荷重変換器1は、主なものとして、印加される荷重物に当接して荷重を受ける略円柱形状の荷重受け部2と、荷重受け部2の円柱側面に配置される略円筒形状の固定部3と、荷重受け部2と固定部3とを薄肉で繋ぐ起歪部6と、荷重受け部2と固定部3の間にあって内部を封止する第1の蓋体4aと、荷重を電気信号に変換して外部に送信するためのケーブル等を繋ぐ丸型のコネクタ5と、で構成されている。
【0018】
荷重受け部2は、測定する対象の荷重印加物が当接するキノコ形状の第1の部材2aと、第1の部材2aに係合する円筒状の第2の部材2dと、で構成されている。第1の部材2aの傘部の曲面は、印加される荷重物に当接して荷重を受ける部分である。そして第1の部材2aの柄部は、第2の部材2dに係合する部分である。
【0019】
固定部3は、円柱面の内周面によって構成される中空部を有する柱形状であって、荷重受け部2の円柱側面と中空部の内周面とが、所定間隔でかつ荷重受け部2と同軸で荷重受け部2を取り囲むように配置されている。
【0020】
図2は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の第1の蓋体4a等を省略して、内部構造を表した平面図である。
【0021】
固定部3はその円筒底部の固定面3aにて複数の例えば3本のボルト7にて固定構造物12(図4参照)に固定されている。固定構造物12は、ボルト7を取付けるネジ部が設けられていて、固定部3から伝達される荷重によって容易に変形しないものである。
【0022】
荷重受け部2の第2の部材2dは、円筒形状であって、円筒中空部の内壁面2fの一部に、キノコ形状の第1の部材2aの柄部に設けた雄ネジと螺合する雌ネジが設けられている。そして第2の部材2dの上面は第1の部材2aに係合し、その係合面には半径方向に通路溝2gが設けられている。
【0023】
荷重受け部2の第2の部材2dの外側の円柱面と、この外周を取り囲む固定部3の内側円筒面と、のそれぞれの軸方向における中間部間には、薄肉形状にてそれぞれを連結する梁状の起歪部6a、起歪部6bが設けられている。起歪部6aは、円周方向に120度の間隔で軸方向の第1の部材2a側(上面側)に3つの梁で構成されている。そして起歪部6bは、起歪部6aと回転方向でそれぞれ60度ずれた位置で軸方向の第1の部材2aの反対側(下面側)に3つの梁で構成されている。起歪部6a、起歪部6bは全て同一形状であって、起歪部6aの上面側及び起歪部6bの下面側は平面形状である。起歪部6a、起歪部6bは、固定構造物12にて固定されている容易に変形しない固定部3によって梁の一方が支持され、梁の他方と繋がった荷重受け部2から伝わる荷重によって弾性変形するものである。本実施形態の起歪部6の配置及び形状は例示であって、同等の機能を有するものであればこれに限定されるものではない。
【0024】
荷重受け部2から伝わる荷重を検出する荷重検出手段G1c〜G3c、荷重検出手段G1t〜G3tが、起歪部6aの上面側の平面に貼付けられている。荷重検出手段G1c〜G3c、荷重検出手段G1t〜G3tは本実施形態では歪みゲージであるが、弾性変形する起歪体の変形量から荷重検出の機能を有するものであればこれに限定されるものではない。
【0025】
起歪部6bの下面側の平面に置かれている荷重検出手段G4c〜G6c、荷重検出手段G4t〜G6tは破線で表されている。各荷重検出手段は、歪みに対する最大感度方向が半径方向になるように各起歪部に貼付けられている。そして荷重受け部2の第2の部材2dが紙面表から裏への方向の荷重を受けると、起歪部6aの内側に貼付けられている荷重検出手段G1c〜G3cが圧縮荷重を検出し、起歪部6aの外側に貼付けられている荷重検出手段G1t〜G3tが引張荷重を検出する。一方起歪部6bの内側に貼付けられている荷重検出手段G4t〜G6tが引張荷重を検出し、起歪部6bの外側に貼付けられている荷重検出手段G4c〜G6cが圧縮荷重を検出する。
【0026】
図3は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器内の荷重検出手段を含んで構成するホイートストンブリッジ回路図である。荷重検出手段G1t〜G3t、荷重検出手段G4t〜G6tは引張り荷重の検出であって、それぞれ直列に組まれて配置される。それぞれ直列に組まれた荷重検出手段G1t〜G3tの和と、荷重検出手段G4t〜G6tの和は、ホイートストンブリッジではそれぞれ向かい合う辺として配置される。一方で荷重検出手段G1c〜G3c、荷重検出手段G4c〜G6cは圧縮荷重の検出であって、これもそれぞれ直列に組まれて配置される。それぞれ直列に組まれた荷重検出手段G1c〜G3cの和と、荷重検出手段G4c〜G6cの和も、ホイートストンブリッジではそれぞれ向かい合う辺として配置される。そして電源Eを端子T1−T3間に印加すると、端子T2−T4間に出力S+、S−が電気信号である電圧に変換されて出力される。この構成は、各辺が3つの荷重検出手段で構成されていることから全体の抵抗値が大きくなり、電源Eの電圧を大きくすることができて、出力S+、S−を大きくすることができる。
【0027】
図4は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の内部構造を示す断面図である。
切断した断面は図2におけるAAであって、円形のコネクタ5の軸方向線を通る鉛直面である。
【0028】
環状の金属製の蓋体支持板9が、起歪部6aの上側の固定部3に接着されている。また環状で断面が矩形の金属製の蓋体支持リング10が第2の部材2dに接着されている。そして可撓性を有する金属製の薄板環状の第1の蓋体4aが、蓋体支持板9及び蓋体支持リング10を覆うように接着や溶接で、固定部3、第2の部材2d、蓋体支持板9、蓋体支持リング10に固定されている。
【0029】
配線基板11は、 起歪部6の下側にあって接着等にて固定され、荷重検出手段G1c〜G6c、荷重検出手段G1t〜G6tと繋がってホイートストンブリッジ回路を形成している。配線は配線基板11によってまとめられ、配線基板11とコネクタ5の端子間で配線(不図示)を行い、ホイートストンブリッジ回路への電源の供給及び荷重信号の出力はコネクタ5を介して行われる。
【0030】
一方、環状の金属製の蓋体支持板9が、配線基板11の下側に、固定部3に接着されている。また環状で断面が矩形の金属製の蓋体支持リング10が第2の部材2dに接着されている。そして可撓性を有する金属製の薄板環状の第2の蓋体4bが、蓋体支持板9及び蓋体支持リング10を覆うように接着や溶接で、固定部3、第2の部材2d、蓋体支持板9、蓋体支持リング10に固定されている。
【0031】
したがって蓋体4は第1の蓋体4aと第2の蓋体4bで構成され、起歪部6を相対して挟む配置となっていると共に、第1の蓋体4aは荷重受け部2の軸方向において第1の端面2bと起歪部6との中間位置に設けられ、第2の蓋体4bは荷重受け部2の軸方向において第2の端面2eと起歪部6との中間位置に設けられている。なお蓋体支持板9と蓋体支持リング10は第1の蓋体4aと第2の蓋体4bを支持固定する部材であって、形状や構成はこれに限るものではない。
【0032】
また荷重受け部2の第1の端面2bに対向する第2の端面2eは、固定構造物12に接する固定部3の固定面3aよりも起歪部6寄りに設けられている。したがって荷重受け部2の第1の部材2aに過大な力が加わった際に、この第2の部材2dの第2の端面2eが固定構造物12に当接してそれ以上の起歪部6の変形を防止するストッパの役割を成している。
【0033】
そして荷重受け部2は、第1の蓋体4aから突出した荷重受け部2の側周面2mと、第2の蓋体4bから突出した第2の端面2eと、を繋ぐ通路を備えている。この通路は、荷重受け部2の円筒中空部である通路穴2hを通り、第1の部材2aの柄の部分及び第2の部材2dの内壁面2fから延長したところに設けたネジ部によって凹部を形成している通路溝2cと、第2の部材2dに設けられた凹部を形成している通路溝2gで構成されている。ゆえに固定構造物12、固定部3の円筒内面3b、第2の蓋体4b、荷重受け部2の第2の蓋体4bから突出した側周面2n及び第2の端面2eで囲まれて画定される空間13は、この通路にて外部の空間に繋がっている。第1の部材2aの柄のネジ部には気密用のシールテープ等を巻回していないので、空気は流通する。なお第1の実施形態では第2の部材2dに通路溝2gを設けているが、第1の部材2aの傘の部分に凹部等を設けることでも良い。
【0034】
したがって、固定構造物12、固定部3の円筒内面3b、第2の蓋体4b、側周面2n、第2の端面2eで囲まれて画定されるこの空間13内の空気は、荷重受け部2の第1の端面2bに荷重が加わり起歪部6a、6bが鉛直下向きに弾性変形し、その後荷重が変動した場合においても、即座に出入りが行われることから、荷重の変化に対する応答性に優れた荷重変換器を実現できる。
【0035】
図5は本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器1の斜視構成分解図である。荷重受け部2の第1の部材2aの柄の部分には円柱面を一部カットして凹部をなす平面いわゆるDカット面2iが設けられ、傘の部分には凹部をなす通路溝2jが半径方向に設けられている。この場合荷重受け部2は、内壁面2fと円柱面2kはしまりばめなどの嵌め合いで嵌合するようにして、第1の部材2aは荷重を受けて回転しないように構成されている。
【0036】
この構造によれば、固定構造物12、固定部3の円筒内面3b、第2の蓋体4b、側周面2n、第2の端面2eで囲まれて画定されるこの空間13内の空気は、通路をなす通路穴2h、Dカット面2i、通路溝2jによって外部空間と出入りが可能となり、荷重の変化に対する応答性に優れた荷重変換器を実現できる。
【0037】
この他、荷重受け部2は、第1の部材2aの柄の部分を中空形状にして、傘の部分の側周面2mから半径方向に穴を設けて、第1の部材2aの柄の部分の中空部と繋げる等の変形が可能である。
【0038】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の活用例として、ロードセルなど荷重を測定する装置への適用が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 :荷重変換器
2 :荷重受け部
2a :第1の部材
2b :第1の端面
2c :通路溝
2d :第2の部材
2e :第2の端面
2f :内壁面
2g :通路溝
2h :通路穴
2i :Dカット面
2j :通路溝
2k :円柱面
2m :(第1の蓋体から突出した)側周面
2n :(第2の蓋体から突出した)側周面
3 :固定部
3a :固定面
3b :円筒内面
4 :蓋体
4a :第1の蓋体
4b :第2の蓋体
5 :コネクタ
6 :起歪部
7 :ボルト
9 :蓋体支持板
10 蓋体支持リング
11 :配線基板
12 :固定構造物
13 :空間
G、G1c〜G6c、G1t〜G6t :荷重検出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7