(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836758
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】ハンガーフックとそれを用いた壁面活用システム
(51)【国際特許分類】
F16B 35/06 20060101AFI20210222BHJP
F16B 45/00 20060101ALI20210222BHJP
F16B 37/04 20060101ALI20210222BHJP
A47G 29/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
F16B35/06 G
F16B35/06 D
F16B45/00 G
F16B45/00 Z
F16B37/04 F
A47G29/00 H
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-254508(P2017-254508)
(22)【出願日】2017年12月28日
(65)【公開番号】特開2019-120301(P2019-120301A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2019年6月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517400269
【氏名又は名称】株式会社コア
(73)【特許権者】
【識別番号】595106969
【氏名又は名称】大東建託株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒倉 昌和
(72)【発明者】
【氏名】千田 大貢
(72)【発明者】
【氏名】青木 巧貴
【審査官】
竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3036765(JP,U)
【文献】
実開平03−102974(JP,U)
【文献】
実開昭58−013181(JP,U)
【文献】
実開平02−026565(JP,U)
【文献】
実開昭53−039636(JP,U)
【文献】
実開昭58−043270(JP,U)
【文献】
実開昭49−076896(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3147484(JP,U)
【文献】
特開2008−157443(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0183866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/16
A47G 29/00−19/30
F16B 23/00−43/02
F16B 45/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の取付部に開口する取付穴に取り付けられるハンガーフックであって、
前記取付部の取付穴に基端部が該取付部の表面に露出した状態で挿入されて取付固定され、基端面に有底状のインサート係合穴部が設けられたインサート部材と、
先端部に前記インサート部材のインサート係合穴部と係合可能なフック係合部が設けられている一方、基端側にフック部が設けられ、前記フック係合部とインサート係合穴部との係合によってインサート部材に一体的に取付可能なフック部材と、
先端部にジョイント係合部が設けられている一方、基端面にジョイント係合穴部が設けられたジョイント部材と
を備え、
前記フック部材のフック部には、先端側フランジ部と基端側フランジ部とが設けられ、
前記先端側フランジ部は、前記インサート係合穴部とフック係合部との係合の際に前記インサート部材の基端面と当接し、
前記インサート係合穴部とジョイント係合部との係合、及び、前記ジョイント係合穴部とフック係合部との係合によってインサート部材とフック部材との間にジョイント部材が一体的に取付固定される構成、並びに、前記インサート係合穴部とフック係合部との係合によってフック部材がインサート部材に取付固定される構成のうち、いずれか一方を選択可能であり、
前記フック部材の前記先端側フランジ部は、前記ジョイント係合穴部とフック係合部との係合の際に前記ジョイント部材の基端面と当接する、
ことを特徴とするハンガーフック。
【請求項2】
請求項1に記載したハンガーフックにおいて、
前記インサート部材は、前記取付部の取付穴に対して螺合により取付固定される雄ネジを有する
ことを特徴とするハンガーフック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載したハンガーフックにおいて、
前記インサート係合穴部及びジョイント係合穴部はネジ穴であり、且つ、前記フック係合部及びジョイント係合部は前記ネジ穴と螺合締結されるネジ部である
ことを特徴とするハンガーフック。
【請求項4】
請求項2に記載したハンガーフックにおいて、
前記インサート部材のインサート係合穴部の開口部周りの壁部に、インサート部材を回転させるための工具が係合される工具係合部が形成されている
ことを特徴とするハンガーフック。
【請求項5】
請求項3に記載したハンガーフックにおいて、
前記ジョイント部材のジョイント係合穴部の開口部周りの壁部に、ジョイント部材を回転させるための工具が係合される工具係合部が形成されている
ことを特徴とするハンガーフック。
【請求項6】
請求項3又は5に記載したハンガーフックにおいて、
前記フック部材の前記フック部の基端面には、フック部材を回転させるための工具が係合される工具係合凹部が形成されている
ことを特徴とするハンガーフック。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載したハンガーフックが建物の壁部の取付穴にインサート部材により取付固定されている
ことを特徴とする壁面活用システム。
【請求項8】
請求項7に記載した壁面活用システムにおいて、
吊下げ物を引っ掛けて吊り下げるための引掛部を有する水平方向に長い板状の吊下部材が前記ハンガーフックに固定又は吊り下げられている
ことを特徴とする壁面活用システム。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載したハンガーフックが建物の壁部の取付穴にインサート部材により取付固定されている壁面活用システムであって、
吊下げ物を引っ掛けて吊り下げるための引掛部を有する水平方向に長い板状の吊下部材が前記ハンガーフックに固定又は吊り下げられ、
前記吊下部材は前記インサート部材又は前記ジョイント部材と前記フック部材との間に挟み込まれて固定されている
ことを特徴とする壁面活用システム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載した壁面活用システムにおいて、
板状体が前記ハンガーフック又は前記吊下部材に固定若しくは吊り下げられている
ことを特徴とする壁面活用システム。
【請求項11】
請求項7に記載した壁面活用システムにおいて、
上面に係合溝部が形成され、前記ハンガーフックに載置されて支持される水平部を有する取付対象物と、
前記ハンガーフックのインサート部材とフック部材との間に昇降移動可能に挟持され、上部に、前記取付対象物の水平部上面に当接する当接部と、前記係合溝部に係合可能な爪部とを有する係合片とを備え、
前記取付対象物は、水平部の係合溝部に、下降位置にある前記係合片の爪部が係合し且つ該水平部が係合片の当接部と前記フック部材との間に挟みこまれて固定されるように構成されている
ことを特徴とする壁面活用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面等に用いる取付対象物を取り付けるハンガーフック及びそれを用いた壁面活用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の壁面を収納領域等として利用する技術として、例えば特許文献1や特許文献2に示されるものが提案されている。特許文献1の壁掛けタイプのマガジンラックは、マガジン収納領域を形成する線材フレーム取付用のパネルの裏面に面材側のフック片を、壁面に壁面側フック片をそれぞれ固定し、上下の面材側及び壁面側のフック片同士の係合によってパネルを壁面に支持するようにしている。
【0003】
特許文献2の衣類掛け等の壁取付部品は、外周面に雄ネジが形成されたコア体と、このコア体の挿通孔に挿入したネジと、このネジの頭部に係合する係合部とコア体の雄ネジに螺合される雌ネジが形成された内周面とを有し、コア体に螺合されて取り付けられるキャップとを備え、コア体にキャップ体を螺合させることにより、コア体とネジとキャップ体とが一体となって、壁等に取り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−155658号公報
【特許文献2】特開2011−163378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のマガジンラックや特許文献2の壁取付部品は、設置するためにネジ等で壁面に穴をあけることとなる。そのため、上記のマガジンラックや壁取付部品が一旦取り付けられると、それらを取り外した後にも壁に穴があいたままとなり、取り外した後に建物の美観が損なわれてしまう。それを避けるには、壁面にあいた穴を元通りに埋める修復工事が必要となる。また、特許文献1のマガジンラックを取り付けたままでは、その壁を他の用途として利用できないので不便である。
【0006】
そして、特許文献2の壁取付部品は、部屋の利用者が壁の好きな場所に簡単に設置することができる。その反面、壁のあらゆる位置に設置されると、建物の美観が損なわれてしまう可能性が大きくなる。これは、賃貸住宅などのように利用者が変わることが想定されている場合、特に顕著な問題となる。
【0007】
さらに、特許文献2の壁取付部品のように利用者が容易に取り付けることができることが想定されているものは、ネジ等の取付部品のサイズが制限されるので、壁に取り付ける対象物は比較的軽量なものに限定されてしまう。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、建物の美観を保ちつつ、その建物の一部である壁などに、比較的重い物をも保持できるようにすることにより、その壁などの建物の一部を多様な用途に利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、建物の施工時に壁などに挿入しておくことができるインサート部材と、物を引っ掛けるためのフック部材とを分離することとした
。
【0010】
具体的には、第1の発明は、建物の取付部に開口する取付穴に取り付けられるハンガーフックであって、前記取付部の取付穴に基端部が該取付部の表面に露出した状態で挿入されて取付固定され、基端面に有底状のインサート係合穴部が設けられたインサート部材と、先端部に前記インサート部材のインサート係合穴部と係合可能なフック係合部が設けられている一方、基端側にフック部が設けられ、前記フック係合部とインサート係合穴部との係合によってインサート部材に一体的に取付可能なフック部材と、
先端部にジョイント係合部が設けられている一方、基端面にジョイント係合穴部が設けられたジョイント部材とを備え、前記フック部材のフック部には、先端側フランジ部と基端側フランジ部とが設けられ、前記先端側フランジ部は、前記インサート係合穴部とフック係合部との係合の際に前記インサート部材の基端面と当接
し、前記インサート係合穴部とジョイント係合部との係合、及び、前記ジョイント係合穴部とフック係合部との係合によってインサート部材とフック部材との間にジョイント部材が一体的に取付固定される構成、並びに、前記インサート係合穴部とフック係合部との係合によってフック部材がインサート部材に取付固定される構成のうち、いずれか一方を選択可能であり、前記フック部材の前記先端側フランジ部は、前記ジョイント係合穴部とフック係合部との係合の際に前記ジョイント部材の基端面と当接する、ことを特徴とする。
【0011】
この第1の発明では、建物の取付部に取付固定するためのインサート部材と、物を引っ掛けるためのフック部材とを分離しておくことで、建物の施工時にインサート部材のみを予め取付固定しておき、建物の利用者が必要なときに限りフック部材をインサート部材に係合させて一体にするということができる。これによって、美観の観点から、ハンガーフックを建物のどこに取り付けるようにしておくかを建物の施工時に予め検討することができるので、美観を損なわないで取り付けて使用できるハンガーフックを提供できる。また、建物の施工時にインサート部材を取付固定するので、寸法が大きく、比較的重い物でも引っ掛けることのできるハンガーフックを取り付けることができ、使用用途の広いハンガーフックを提供できる。
また、このハンガーフックは、ジョイント部材を備え、インサート部材とフック部材との間にジョイント部材が一体的に取付固定される構成、及び、フック部材がインサート部材に取付固定される構成のうち、いずれか一方を選択可能である。すなわち、ジョイント部材を備えることで、ハンガーフックにおけるインサート部材からフック部材までの長さを長くする構成と、インサート部材からフック部材までの長さを変えない構成とを選択できる。これによって、ハンガーフックは用途に応じて長さを変えられるから、使用用途のさらに広いハンガーフックを提供できる。
【0012】
以上より、美観を損なわずに、使用用途の広いハンガーフックを提供できる。
【0013】
第
2の発明は、第
1の発明において、前記インサート部材は、前記取付部の取付穴に対して螺合により取付固定される雄ネジを有することを特徴とする。
【0014】
この第
2の発明では、インサート部材を雄ネジの螺合により取付穴に固定するので、ハンガーフックは取付部に確実に安定して固定され、比較的重い物でも引っ掛けることができる。
【0015】
第
3の発明は、第
1又は第2の発明において、前記インサート係合穴部及びジョイント係合穴部はネジ穴であり、且つ、前記フック係合部及びジョイント係合部は前記ネジ穴と螺合締結されるネジ部であることを特徴とする。
【0016】
この第
3の発明では、インサート部材又はジョイント部材と、ジョイント部材又はフック部材とを、ネジ穴とネジ部との螺合により結合することができるので、ジョイント部材及びフック部材の取り付けを簡単且つ確実にすることができる。
【0017】
第
4の発明は、第
2の発明において、前記インサート部材のインサート係合穴部の開口部周りの壁部に、インサート部材を回転させるための工具が係合される工具係合部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
第
5の発明は、第
3の発明において、前記ジョイント部材の前記係合穴部の開口部周りの壁部に、ジョイント部材を回転させるための工具係合部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
これらの第
4又は第
5の発明では、インサート部材又はジョイント部材の前記係合穴部の開口部周りの壁部に工具係合部が形成されていることから、インサート部材又はジョイント部材を取付穴又はインサート係合穴部に取り付ける際に、工具を使用して回転させることができる。これによって、インサート部材又はジョイント部材を取付穴又はインサート係合穴部にねじ込んで取り付けることができる。
【0020】
第
6の発明は、第
3又は第
5の発明において、前記フック部材の前記フック部の基端面には、フック部材を回転させるための工具が係合される工具係合凹部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
この第
6の発明では、フック部材の基端面に工具係合凹部が形成されていることから、フック部材をインサート係合穴部又はジョイント係合穴部に取り付ける際に、工具を使用して回転させることができる。これによって、フック部材をインサート係合穴部又はジョイント係合穴部にねじ込んで取り付けることができる。
【0022】
第
7の発明は壁面活用システムに係り、この壁面活用システムは、第1乃至第
6の発明のいずれか1つのハンガーフックが建物の壁部の取付穴にインサート部材により取付固定されていることを特徴とする。
【0023】
この第
7の発明は、第1乃至第
6の発明の作用効果を奏する壁面活用システムを得ることができる。
【0024】
第
8の発明は、第
7の発明において、吊下げ物を引っ掛けて吊り下げるための引掛部を有する水平方向に長い板状の吊下部材が前記ハンガーフックに固定又は吊り下げられていることを特徴とする。
【0025】
この第
8の発明は、ハンガーフックに固定又は吊り下げられた吊下部材を利用することで、ハンガーフックの使用用途を広げることができる。
【0026】
第
9の発明は、第
1乃至第6の発明のいずれか1つに係るハンガーフックが建物の壁部の取付穴にインサート部材により取付固定されている壁面活用システムに係り、吊下げ物を引っ掛けて吊り下げるための引掛部を有する水平方向に長い板状の吊下部材が前記ハンガーフックに固定又は吊り下げられ、前記吊下部材は前記インサート部材又は前記ジョイント部材と前記フック部材との間に挟み込まれて固定されていることを特徴とする。
【0027】
この第
9の発明では、吊下部材をインサート部材又は前記ジョイント部材と前記フック部材との間に挟み込んで固定することによって、板状部材をハンガーフックに確実に固定することができる。
【0028】
第1
0の発明は、第
8又は第
9の発明において、板状体が前記ハンガーフック又は前記吊下部材に固定若しくは吊り下げられていることを特徴とする。
【0029】
この第1
0の発明では、板状体をハンガーフック又は吊下部材に固定若しくは吊り下げて使用することで、ハンガーフックの使用用途を広げることができる。
【0030】
第1
1の発明は、第
7の発明において、上面に係合溝部が形成され、前記ハンガーフックに載置されて支持される水平部を有する取付対象物と、前記ハンガーフックのインサート部材とフック部材との間に昇降移動可能に挟持され、上部に、前記取付対象物の水平部上面に当接する当接部と、前記係合溝部に係合可能な爪部とを有する係合片とを備え、前
記取付対象物は、水平部の係合溝部に下降位置にある前記係合片の爪部が係合し且つ該水平部が係合片の当接部と前記フック部材との間に挟みこまれて固定されるように構成されていることを特徴とする。
【0031】
この第1
1の発明では、水平部を有する取付対象物を、係合片の当接部とフック部材との間に水平部が挟みこまれ、水平部の係合溝部に係合片の爪部が係合されるようにして固定することから、その取付対象物を容易にハンガーフックに固定することができる。また、係合片の爪部を取付対象物の水平部の係合溝部に係合させることから、固定された取付対象物を確実に安定して固定保持することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明によると、施工時に取付部に挿入しておくことができるインサート部材と、物を引っ掛けるためのフック部材とを分離したので、建物の施工時にインサート部材のみを予め取り付けておき、建物の施工後に建物の利用者が必要なときに限りフック部材をインサート部材に取り付けて一体にすることができ、建物の美観を損なわずに取り付けられ、比較的重い物でも引っ掛けることができる。従って、建物の美観を損なわずに、使用用途の広いハンガーフックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係るハンガーフックを示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態2に係るハンガーフックを示す
図1相当図である。
【
図6】
図6は、実施形態3に係るハンガーフックのフック部材を示す図である。
【
図7】
図7は、壁面活用システムにおいて、ハンガーフックに取り付けられる長押を示す正面図である。
【
図8】
図8は、ハンガーフックに長押を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、ハンガーフックに板状体を吊り下げた状態を示す断面図である。
【
図10】
図10は、ハンガーフックに額縁を取り付ける状態を分解して示す斜視図である。
【
図11】
図11は、ハンガーフックに額縁が取り付けられる直前の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係るハンガーフックHを示し、このハンガーフックHは、
図8に示すように、建物の取付部である例えば室内の壁60の壁面61に開口している取付穴62に取り付けられる。ハンガーフックHは、インサート部材Iとフック部材Fとを備えている。このハンガーフックHは、例えば鋼材により構成されている。
【0036】
図2は、前記インサート部材Iを示している。インサート部材Iは棒状のもので、その先端側(
図2において右側)において、壁60に穿設された取付穴62に対して螺合により取付固定されるための雄ネジ10を有している。また、インサート部材Iは、雄ネジ1
0の基端側(
図2において左側)において、雄ネジ10と同心の中間部11を有し、この中間部11は、先端側から基端側に向かって外径が段階的に大きくなるように形成されている。インサート部材Iは、中間部11のさらに基端側に外径が徐々に拡がっている円錐台状の拡径部12を有し、この拡径部12は、その基端面13において径方向に最も大きく拡がっている。
【0037】
インサート部材Iには、基端面13においてフック部材Fと係合するためのネジ穴14(インサート係合穴部)が形成されている。インサート部材Iのネジ穴14の開口部周りの壁部には、例えば6角形状に形成されてなる工具係合部15が形成され、この工具係合部15に、インサート部材Iを回転させるために6角レンチなどの工具を差し込むことができるようになっている。
【0038】
すなわち、ハンガーフックHは、例えば建物の室内の壁60に穿設された取付穴62に取付固定して用いられるので、壁60の施工時にインサート部材Iに対応する形状の取付穴62を、壁面61の所定位置に予めドリルなどによって形成しておき、その取付穴62にインサート部材Iを挿入して取り付ける。このとき、工具係合部15に6角レンチなどの工具を差し込み、インサート部材Iを回転させて取付穴62に取り付けることができるようになる。
【0039】
インサート部材Iは、取付穴62に取り付けたとき、その拡径部12の基端面13が壁面61に露出しており、仮にインサート部材Iが壁に埋め込まれて隠れている場合に比べて、視認しやすくて容易にフック部材Fを取り付け得ると共に、美観の上でも好ましい。
【0040】
壁面61において取付穴62を形成する位置には、その内側に柱などの頑丈な部材が配置されていることが必要であり、インサート部材Iは、その柱などの頑丈な部材にまで到達するように挿入される。このようにして、ハンガーフックHは、頑丈な柱などによって強固に支持された状態で壁に取付固定される。
【0041】
尚、インサート部材Iを取り付ける取付穴62は、壁面61に限らず壁面61の外に露出した柱などに形成してもよい。また、インサート部材Iを取り付ける方法は、取付穴62に直接ねじ込む方法に限らず、例えば、インサート部材Iと係合可能な埋込部材を予め取付穴62に埋め込んでおき、インサート部材Iをその埋込部材に係合させる方法でもよい。
【0042】
インサート部材Iの寸法は、例えば、全体の長さが50mm、雄ネジの長さが26〜29mm、雄ねじの径が12mm、拡径部の径が14mmである。
【0043】
図3は、フック部材Fを示している。フック部材Fは、その先端側(
図3において右側)においてネジ部20(フック係合部)を有している。このネジ部20は、インサート部材Iのネジ穴14と螺合締結するように、該ネジ穴14に対応した形状に形成されている。フック部材Fは、そのネジ部20においてインサート部材Iのネジ穴14に螺合締結したときに、インサート部材Iと一体となりハンガーフックHを構成する。
【0044】
フック部材Fは、基端側(
図3において左側)において、フック部21を有している。フック部21は、ネジ部20との接続部及び基端部においてそれぞれ径方向に拡がった先端側フランジ部22及び基端側フランジ部23を有している。両フランジ部22,23の間には径の大きさが両フランジ部22,23よりも小さい円柱状の中間部24が形成されている。フランジ部22,23は、インサート部材Iの基端面13と同等か又は大きな径で形成されている。尚、フック部材Fは、基端側フランジ部23と中間部24との間に径がネジ部20の径と同等の接続部25を有していてもよく、基端側フランジ部23と中間部24とが直接繋がっていてもよい。
【0045】
フック部材Fをインサート部材Iに取り付けるとき、インサート部材Iはその基端面13においてもっとも径が大きく形成されており、また、フック部材Fは先端側フランジ部22を有するので、インサート部材Iの基端面13とフック部材Fの先端側フランジ部22とが当接し、フック部材Fが安定してインサート部材Iに取り付けられるようになっている。
【0046】
また、フック部材Fの基端面26には、例えば断面6角形状の凹部からなる工具係合凹部(図示しない)が形成されていてもよい。この場合、工具係合凹部に6角レンチなどの工具を差し込み、フック部材Fを回転させてインサート部材Iに取り付けることができる。
【0047】
フック部材Fの寸法は、例えば、全体の長さが34〜35mm、ネジ部20の長さが15〜18mm、先端側フランジ部22の径が16mm、基端側フランジ部23の径が20mmである。
【0048】
前述のように、使用者は、壁面61の所定位置に取付穴62を形成して、その取付穴62に予めハンガーフックHのインサート部材Iが埋め込まれた状態にしておく。ハンガーフックHは、使用者が使用する場合には、既に壁60に埋め込まれているインサート部材Iにフック部材Fを取り付ける。そして、フック部材Fのフック部21に衣類や帽子などの吊下げ物を吊り下げて使用すればよい。
【0049】
インサート部材Iは壁面61に複数取付固定してもよい。複数のインサート部材I,I,…は、例えば、455mmの間隔で複数の柱が内部に配された壁において、当該複数の柱が配された位置であって高さ略1900mmの位置の壁面61に複数の取付穴62,62,…を穿設し、その各取付穴62,62,…にインサート部材Iを雄ネジ10が柱に達するように挿入して取付固定するのが好ましい。
【0050】
そして、建物の施工後、使用者が複数のハンガーフックH,H,…を使用する際には、取付固定された複数のインサート部材I,I,…に対して、必要な位置のインサート部材Iにフック部材Fを、そのネジ部20がインサート部材Iのネジ穴14に螺合締結されるようにして取り付ける。
【0051】
上記で説明したように各インサート部材I,I,…が頑丈な柱等によって支持されることによって、比較的重い物を複数のハンガーフックH,H,…のフック部21,21,…に同時に引っ掛けて使用することができる。複数のハンガーフックH,H,…を利用することによって、一つのハンガーフックHのみを利用する場合に比べて使用用途が広がる。
【0052】
(実施形態2)
図4は実施形態2に係るハンガーフックHを示す(尚、以下の実施形態では、
図1〜
図3と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)。ハンガーフックHは、実施形態1のものに加え、ジョイント部材Jをさらに備えており、インサート部材Iとフック部材Fとの間にジョイント部材Jを挟み込んで取り付ける。
【0053】
ジョイント部材Jは、
図5に示すようにその先端側(
図5において右側)においてネジ部30(ジョイント係合部)を有している。このネジ部30は、インサート部材Iのネジ穴14と螺合締結するように、インサート部材Iのネジ穴14に対応した形状に形成されている。ジョイント部材Jは、そのネジ部30がインサート部材Iのネジ穴14と螺合締結することにより、インサート部材Iと一体となる。
【0054】
ジョイント部材Jは、そのネジ部30の基端側において、径方向に拡がったフランジ部31を有しており、さらにその基端側に円柱状のジョイント部32を有している。ジョイント部材Jのフランジ部31は、インサート部材Iの基端面13と同等か又は大きな径で形成されている。尚、ジョイント部材Jは、そのフランジ部31とジョイント部32との間に径がネジ部の径と同等の接続部35を有していてもよく、フランジ部31とジョイント部32とが直接繋がっていてもよい。
【0055】
ジョイント部材Jにおけるジョイント部32の基端面33には、ネジ穴34(ジョイント係合穴部)が形成されている。ジョイント部材Jのネジ穴34は、フック部材Fのネジ部20が螺合締結するように、フック部材Fのネジ部20に対応する形状に形成されている。インサート部材Iに取り付けられたジョイント部材Jのネジ穴34に対して、フック部材Fのネジ部20が螺合締結することにより、フック部材Fがインサート部材I及びジョイント部材Iと一体となりハンガーフックHを構成する。すなわち、ジョイント部材Jのネジ部30はフック部材Fのネジ部20と、またジョイント部材Jのネジ穴34はインサート部材Iのネジ穴14とそれぞれ同じものとなる。
【0056】
また、ジョイント部材Jは、そのネジ穴34の開口部周りの壁部に例えば断面6角形状の穴部からなる工具係合部(図示しない)が形成されていてもよい。この場合、その工具係合部に6角レンチなどの工具を差し込み、ジョイント部材Jを回転させてインサート部材Iのネジ穴14に取り付けることができる。
【0057】
ハンガーフックHは、ジョイント部材Jをフック部材Fとインサート部材Iとの間に介在させることにより、壁面から突出する長さを長くすることが出来る。これによって、以下で説明するように、ハンガーフックHの使用用途が広くなる。
【0058】
ハンガーフックHの使用時には、
図4に示すように、インサート部材Iにジョイント部材Jを取り付け、そのジョイント部材Jにフック部材Fを取り付ける。これによって、ハンガーフックHは、ジョイント部材Jの分だけ壁面から長く突出することとなる。この場合、ハンガーフックHは、フック部材Fのフック部21や、ジョイント部材Jのジョイント部32に吊下げ物を吊り下げて使用することができる。
【0059】
ジョイント部材Jの寸法は、例えば全体の長さが40mm、連結部の径が12mmである。
【0060】
(実施形態3)
図6は実施形態3に係るハンガーフックHのフック部材Fを示し、実施形態1とはフック部材Fを変えたものである。すなわち、この実施形態では、実施形態1と異なり、フック部材Fは、いわゆるアイボルトからなり、その先端側(
図6において右側)においてネジ部20(フック係合部)を有している。このネジ部20は、実施形態1のものと同じであり、インサート部材Iのネジ穴14又はジョイント部材Jのネジ穴34と螺合締結するように、該ネジ穴14に対応した形状に形成されている。フック部材Fは、そのネジ部20においてインサート部材Iのネジ穴14に螺合締結したときに、インサート部材Iと一体となりハンガーフックHを構成する。
【0061】
これに対し、フック部材Fのフック部21は、実施形態1とは異なり、円環状に湾曲した棒状体からなり、その外周の一部で前記ネジ部の基端部に溶接されて一体化されている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0062】
(ハンガーフックの壁面活用システム)
次に、以上のハンガーフックHを用いた本発明の実施形態に係る壁面活用システムについて説明する。
【0063】
実施形態1に係るハンガーフックHを用い、その複数のハンガーフックH,H,…を壁60に取り付けて、これらに、例えば子供の遊具としての縄梯子を引っ掛けて使用する。この場合は、壁面61の縄梯子の幅に相当する距離だけ離間した2箇所にハンガーフックH,Hを取り付け、その2つのハンガーフックH,Hに縄梯子の両側の縄を吊り下げる。
【0064】
また、実施形態3に係るハンガーフックHを用い、その複数のハンガーフックH,H,…を壁面61に取り付けて、これらにハンモックを引っ掛けて使用する。例えば、ハンモックの両端部を室内の向かい合う壁面61,61に架け渡す場合には、各壁面61に2つずつのハンガーフックH,Hを取り付ける。そして、一方の壁面61の2つのハンガーフックH,Hのフック部21,21(円環状に湾曲した棒状体)にハンモックの一端部と繋がった紐を通して連結し、同様に他方の壁面61の2つのハンガーフックH,Hのフック部21,21にハンモックの他端部と繋がった紐を通して連結する。このようにして、ハンモックをその両端部が両壁面61,61のハンガーフックH,H,…から紐で吊り下げられた状態として使用する。
【0065】
また、
図10乃至
図12に示すように、実施形態1に係る例えば2つのハンガーフックH,Hに、2つの係合片70,70を組み合わせて額縁71を固定することもできる。額縁71の上枠部72は、ハンガーフックH,Hに載置されて支持される本発明でいう水平部を構成する。この上枠部72の断面構造を特定することで、その上面に係合溝部73が形成されている。また、上枠部72の下面はフック部21における中間部24及びフランジ部22,23に対応する断面形状となっており、その下面には、フック部21の中間部24に載置される支持部72aと、その支持部72aの前側に位置し、フック部21の基端側フランジ部23に係合する係合凹部72bと、支持部72aの後側に位置し、フック部21の先端側フランジ部22に係合する係合段部72cとが形成されている。
【0066】
各係合片70は板状の金属部材をL字状に折り曲げて形成されたものであり、上下方向に延びる縦部70dと、その縦部70dの上端から水平方向に延びる当接部としての横部70cとを有する。その横部70cの先端部には下方に折れ曲がった爪部70aが形成されており、縦部70dに上下方向の長孔70bが貫通形成されている。各係合片70は、
図10に示すように、その爪部70aを下方に向け、上下長孔70bをインサート部材Iのネジ穴14に重ね合わせ、フック部材Fのネジ部20をインサート部材Iのネジ穴14に螺合締結させて取り付けられる。
【0067】
各係合片70の長孔70bは上下方向に長いので、各係合片70は、
図11に示すようにハンガーフックHのインサート部材Iとフック部材Fとの間に昇降移動可能に挟持される。
【0068】
額縁71をハンガーフックH,Hに取り付けるときには、まず、
図11に示すように、額縁71は、各係合片70を上げた状態で、上枠部72をその下部の支持部72aが各フック部材Fの中間部24に載置され、係合段部72c及び係合凹部72bがそれぞれ先端側フランジ部22及び基端側フランジ部23に係合されるようにフック部21の上部に載置する。
【0069】
そして、
図12に示すように各係合片70を下ろして下降位置に位置付け、各係合片の爪部70aを係合溝部73に係合させる。各係合片70は、上部に位置する横部70cの下面で、額縁71の上枠部72に当接する。このようにして、額縁71は、上枠部72が係合片70の当接部70cとフック部材Fとの間に挟みこまれて固定される。
【0070】
尚、ハンガーフックHには、額縁71に限らず、その上枠部72に代わるような水平部を有しているものであれば、そのような水平部をハンガーフックHに固定して、上記と同様に取り付けることができる。
【0071】
実施形態2に係るハンガーフックHを用いた壁面活用システムについて説明する。ハンガーフックHは、例えば、
図7に示されるような長押40をハンガーフックHに固定して使用することもできる(
図8参照)。長押40は、水平方向に長い板状に形成されており、長手方向に沿って、例えば5つの水平長孔41,41,…を有している。尚、長押40の裏面には、その上側縁部及び下側縁部に、裏面側(
図8において左側)に突出する補強リブ42,42が形成されており、この補強リブ42,42によって長押40が変形しにくくなっている。
【0072】
長押40は、その裏面をインサート部材Iに取り付けられたジョイント部材Jの基端面33に向け、ジョイント部材Jとの間にワッシャー50を介した状態で取り付けられ、表面側からフック部材Fのネジ部20を長押40の水平長孔41とワッシャー50とに挿通させ、ジョイント部材Jのネジ穴34に螺合締結させることにより固定する。水平長孔41,41,…は、ジョイント部材Jの位置が多少ずれていても、そのずれを吸収してフック部材Fのネジ部20をジョイント部材Jのネジ穴34に螺合できるように、水平方向に長く形成されている。
【0073】
長押40に吊下げ物を吊り下げるときには、長押40の上縁に吊り下げてもよいし、水平長孔41に吊り下げてもよい。ハンガーフックHのジョイント部材Jの分だけ、長押40と壁面61との間に空間ができるので、長押40の上縁又は水平長孔41,41,…に、例えば衣類を掛けたハンガーを引っ掛けることができる。また、長押40の上縁及び水平長孔41,41,…は水平方向に長いので、衣類を掛けたハンガーを複数吊り下げることができる。
【0074】
また、ハンガーフックHには、長押40以外にも、様々な機能を有する板状体80を固定することができる。そのような板状体80として、例えばホワイトボード、マグネットボード、ボルダリング用のボード、ねこステップが取り付けられたボード、ハンギングレールが取り付けられたパネル、檜パネル、有孔ボードなどを挙げることができる。さらに、板状体80と一体となった収納ボックスなども、板状体80をハンガーフックHに固定することで壁面61に取り付けることができる。
【0075】
尚、板状体80は、上記のようにフック部材Fとジョイント部材J又はインサート部材Iとの間に固定する方法に限らず、例えば、板状体80をハンガーフックHのフック部21に吊して使用してもよい。例えば、
図9に示すように、板状体80の上部裏面に左右2つのリンク状の吊金具81,81を板状金具82,82と固定ネジ83,83(これらは
図9で左右一方のみ示す)により固定して設け、この吊金具81,81をフック部21,21に引っ掛けることで板状体80を吊り下げて使用してもよい。また、長押40も板状体80と同様に、例えば吊金具81、板状金具82、及び固定ネジ83を用いてフック部21に引っ掛けて使用することもできる。
【0076】
以上示したように、本発明に係るハンガーフックHを用いることで、壁面61を多様な用途のために利用できる壁面活用システムが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、美観を損なわずに多様な機能を有するハンガーフック及びそれを用いた壁面活用システムとして極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0078】
H ハンガーフック
I インサート部材
10 雄ネジ
12 拡径部(基端部)
14 ネジ穴(インサート係合穴部)
15 工具係合部
F フック部材
20 ネジ部(フック係合部)
21 フック部
22 先端側フランジ部
23 基端側フランジ部
J ジョイント部材
30 ネジ部(ジョイント係合部)
34 ネジ穴(ジョイント係合穴部)
40 長押(吊下げ部材)
60 壁(取付部)
61 壁面
62 取付穴
70 係合片
70a 爪部
70c 当接部
71 額縁(取付対象物)
72 上枠部(水平部)
73 係合溝部
80 板状体