【実施例】
【0053】
以下において、実施例を参照して本発明をより具体的に説明する。本発明の範囲は、これら実施例の記載によって限定して解釈されるものではない。
【0054】
以下の実施例・比較例において配合した成分は次のとおりである。
1)ポリウレタン水分散体
ポリウレタン水分散体(A)
タケラック(R)WR‐640(ポリエーテル系ポリウレタンアクリレートディスパージョン、固形分濃度40質量%、三井化学株式会社製)
ポリウレタン水分散体(B)
タケラック(R)WR‐620(ポリウレタンアクリレートディスパージョン、固形分濃度45質量%、三井化学株式会社製)
ポリウレタン水分散体(C)
タケラック(R)WS‐5000(ポリエステル系ポリウレタンディスパージョン、固形分濃度30質量%、三井化学株式会社製)
2)親水性(メタ)アクリレート
ライトエステル041MA(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、共栄社化学株式会社製)
3)コロイダルシリカ
スノーテックス(R)UP(鎖状コロイダルシリカ/固形分濃度20質量%、日産化学工業株式会社製)
4)ホウ素系ノニオン性界面活性剤
ハイボロン(R)LB120(アシルポリオキシエチレングリセリンエーテルボレート/固形分濃度20質量%、株式会社ボロンインターナショナル製)
5)ポリエーテル変性シラン
X12‐641K(短鎖ポリエーテル変性(アルコキシ)シラン、信越化学工業株式会社製)
6)レベリング剤
DOW CORNING(R) 67 ADDITIVE(3−(ポリオキシエチレン)プロピルヘプタメチルトリシロキサン、固形分濃度70〜80質量%、東レ・ダウコーニング株式会社製)
7)その他の添加剤
(造膜助剤A)
ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ダウ・ケミカル・カンパニー社製)
(造膜助剤B)
ダワノール(R)PnP(プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ダウ・ケミカル・カンパニー社製)
(抑泡剤)
SNデフォーマー777(疎水性シリカ系抑泡剤/サンノプコ株式会社製)
(光重合開始剤)
イルガキュア(R)2959(2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、BASF社製)
【0055】
[防曇コーティング組成物の調製および防曇皮膜の形成]
所定量の上述の各種成分を混練機に投入し、混練することにより防曇コーティング組成物を得た。得られた防曇コーティング組成物を、乾燥後の膜厚が約10μmになるように、基材であるポリカーボネートの透明なシート上に塗布し、80℃で10分間加熱乾燥して塗膜を形成した。出力密度120W/cmの高圧水銀灯を用い、光源下12cmの位置で形成された塗膜に、積算光量で1,000mJ/cm
2の紫外線を照射することにより塗膜を硬化させ、防曇皮膜を形成した。
【0056】
[防曇皮膜の評価]
得られた防曇皮膜を以下の評価項目に基づいて評価した。全評価項目について、ランクを、順にS、A、B、C、D、Fの6段階で評価した。ランクS〜Dを許容範囲とする。ランクFは要求される品質を満たさず不合格であることを意味する。
【0057】
(1)塗膜の外観評価
塗膜の外観を目視にて評価した。評価の際には、透明性、ヘイズの有無を調べた。無色透明なものをランクSとした。またヘイズが観察される皮膜のうち、ヘイズの度合いに基づいて許容レベル以上のものをヘイズが低い方から順にランクA〜Dとした。また不透明であり塗膜として許容できない外観を有するものをランクFとした。
【0058】
(2)密着性の評価
JIS K 5400に準拠したクロスカット試験により防曇皮膜の密着性を評価した。上述の方法で形成した防曇皮膜を次の条件1〜5の下で処理した。
条件1:(常態)室温(約20〜25℃)に静置
条件2:80℃の温水に12時間浸漬
条件3:湯中で2時間煮沸
条件4:室温(約20〜25℃)にて、1%塩素水に30分間浸漬
条件5:室温(約20〜25℃)にて、1%塩素水に120分間浸漬
【0059】
未処理(条件1)または処理後(条件2〜5)のサンプルを素地上に置き、カッターナイフを用いて、防曇皮膜上に素地に達する11本の切り傷をつけ100個の碁盤目を形成した。形成した碁盤目の部分にテープを強く圧着させた。その後、テープの端を、素地の表面に対して45°の角度で一気に引き剥がし、碁盤目の状態を目視で観察した。なお処理後(条件2〜5)のサンプルは試験前に浸漬液を十分洗浄し、室温にて12時間以上乾燥した。防曇皮膜の密着性は以下の基準(ランク)にしたがって評価した。
S:どの格子の目も剥がれない
A:剥がれている面積が全体の1%未満
B:剥がれている面積が全体の1%以上5%未満
C:剥がれている面積が全体の5%以上10%未満
D:剥がれている面積が全体の10%以上50%未満
F:剥がれている面積が全体の50%以上
【0060】
(3)高温防曇性の評価
上面が開放された容器を準備し、80℃±5の温水を入れた。評価対象の複合シート(シート状の基材の表面に防曇皮膜が形成されたもの)を準備し、容器の開放された面を、防曇皮膜側を下にしてその複合シートで覆った。このとき防曇皮膜の面と温水面の距離は100mm±5mmとした。そのまま静置し、2分経過した後のフィルム表面変化を観察した。高温防曇性を以下の基準により目視にて評価した。
S:曇らない、A:わずかに曇る、B:中程度の曇り有り、C:許容レベルの曇り有り、F:曇りにより完全に不透明
【0061】
(4)低温防曇性の評価
評価対象の複合シートを−20℃の環境に30分置いた後、室温20℃±5の環境に取り出した。室温環境に取り出してから、60秒経過した後の防曇皮膜の表面の曇りを観察した。低温防曇性を以下の基準により目視にて評価した。
S:曇らない、A:わずかに曇る、B:許容レベルの曇り有り、F:曇りにより完全に不透明
【0062】
(5)塗工性の評価
上述の方法により防曇皮膜の形成する際の、塗布時の塗布のしやすさおよび硬化前の状態における塗膜表面の外観を目視で観察した。塗布のしやすさおよび塗膜表面の外観ともに問題ないものをSランクとした。また許容範囲のうち、欠陥の発生頻度が少ないものから順にランクA、B、C、Dとした。塗布時に塗布がしにくいなどの問題がある場合、または塗膜表面の欠陥が許容範囲を超える程度に多い場合、ランクFとした。
【0063】
(実施例1〜3および比較例1〜3)
表1の配合に示す各成分を含む防曇コーティング組成物および防曇皮膜を形成した。表1に示す例のうち実施例1〜実施例3は、本発明の実施の形態にかかる防曇コーティング組成物および防曇皮膜である。実施例3は、実施例1の組成にレベリング剤5質量部を加えたもの、あるいは実施例2の組成にポリエーテル変性シラン2質量部を加えたものである。比較例1は、親水性メタクリレートを含有しない以外は実施例3と同じ組成である。比較例2は、コロイダルシリカおよびホウ素系ノニオン性界面活性剤を含有しない以外は実施例3と同じ組成である。比較例3は、ホウ素系ノニオン性界面活性剤を含有しない以外は実施例3と同じ組成である。評価結果を表1に示す。なお、下記表1〜6において、表中の数字は、ポリウレタン水分散体(A)〜(C)の合計量を100質量部としたときの各成分の質量部数を表す。ポリウレタン水分散体(A)〜(C)、コロイダルシリカ、ホウ素系ノニオン性界面活性剤、およびレベリング剤の部数は固形分濃度ではなく、溶媒などを含めた正味の量である。また「SC」は固形分濃度(単位:質量%)を表す。
【0064】
【表1】
【0065】
表1の評価結果からわかるように、実施例1の防曇コーティング組成物および防曇皮膜は塗膜外観、5つの条件下での基材への密着性、低温防曇性に関する特性を評価した結果いずれもSランクであった。またそれ以外の評価項目も全て許容範囲内であった。
【0066】
さらに実施例2および実施例3に示す防曇コーティング組成物および防曇皮膜は、全ての評価結果がSランクであった。すなわち実施例2および実施例3の防曇コーティング組成物および防曇皮膜は、塗膜外観に優れ、常温での静置後、温水への浸漬後、および塩素水への浸漬後の全ての条件において基材に対する高い密着性を有し、幅広い温度環境下で防曇効果を発揮できることがわかった。
【0067】
これに対し、親水性メタクリレートを含有しない比較例1の防曇コーティング組成物および防曇皮膜においては、温水への浸漬後および塩素水への浸漬後において、浸漬前と比較して、基材に対する防曇皮膜の密着性がFランクにまで低下することがわかった。また低温防曇性も不充分であった。この結果から、親水性メタクリレートは、温水および塩素水に対する耐性の付与、および低温防曇性の向上に寄与していることがわかった。
【0068】
コロイダルシリカおよびホウ素系ノニオン性界面活性剤を含有しない比較例2の防曇コーティング組成物および防曇皮膜においては、常温での静置後、温水への浸漬後、および塩素水への浸漬後の全ての条件において基材に対する防曇皮膜の密着性が不充分であった。
【0069】
ホウ素系ノニオン性界面活性剤を含有しない比較例3の防曇コーティング組成物および防曇皮膜においては、温水に浸漬すると、基材に対する防曇皮膜の密着性が低下することが明らかとなった。特に湯中で煮沸した場合に基材に対する密着性が大きく低下した。この比較例2および比較例3の結果から、コロイダルシリカは基材に対する防曇皮膜の密着性の向上に寄与していることがわかった。またホウ素系ノニオン性界面活性剤は、コロイダルシリカととともに、温水に対する耐性を付与し、温水への浸漬後における基材への密着性の維持に寄与していることがわかった。
【0070】
以上の結果から、本願発明にかかる防曇コーティング組成物および防曇皮膜は、塗膜外観に優れ、基材に対する高い密着性を有し、幅広い温度環境下で防曇効果を発揮できることがわかった。
【0071】
[親水性(メタ)アクリレートの配合量と物性との関係の評価]
次に親水性メタクリレートの配合量を変更し、防曇コーティング組成物および防曇皮膜の物性を評価した。以下の基本配合Aに含まれる成分と共に、表2に示す配合量の親水性(メタ)アクリレート(ライトエステル041MA)とを混練機で混練し、防曇コーティング組成物を作成した。その後、上述の方法に従ってポリカーボネートの基材上に防曇皮膜を形成し、各評価項目について評価を行った。結果を表2に示す。なお下記表2〜6中の「PUD」とはポリウレタン水分散体を意味する。
【0072】
<基本配合A>
タケラック(R)WR‐640 70質量部
タケラック(R)WR‐620 16質量部
タケラック(R)WS‐5000 14質量部
[タケラック(R)WR‐640、タケラック(R)WR‐620、およびタケラック(R)WS‐5000の合計が100質量部]
スノーテックス(R)UP 120質量部
ハイボロン(R)LB120(濃度20%) 2質量部
X12‐641K 2質量部
DOW CORNING(R) 67 ADDITIVE 5質量部
ブチルカルビトール 8質量部
ダワノール(R)PnP 4質量部
SNデフォーマー777 0.05質量部
イルガキュア(R)2959 3質量部
基本配合Aに含まれる全成分の合計:244.05質量部
【0073】
【表2】
※実施例8は、表1の実施例3に相当
【0074】
表2の結果から、防曇コーティング組成物が親水性(メタ)アクリレートを含まない場合(比較例1)、温水または1%塩素水に浸漬することにより基材に対する密着性が低下した。また低温防曇性もFランクであった。これに対し、防曇コーティング組成物が親水性(メタ)アクリレートを含有することにより、親水性(メタ)アクリレートを含まない比較例1と比べて各物性が向上することが明らかとなった(実施例4〜11)。
【0075】
特に、表2に示すように、ポリウレタン水分散体中の固形分100質量部に対する親水性(メタ)アクリレートの量は5質量部以上であればS〜Dランクの許容範囲内の評価が得られた。上記親水性(メタ)アクリレートの含有量が20質量部以上85質量部以下の範囲であれば、基材に対する密着性の評価結果が全てSランクであった。すなわち、上記範囲においては、常温での静置後、温水への浸漬後、および塩素水への浸漬後の全ての条件において基材に対する高い密着性を示すことが明らかとなった。またこの範囲においては高温での防曇性に優れる防曇皮膜が得られた。また上記親水性(メタ)アクリレートの含有量が45質量部以上85質量部以下であれば、優れた基材への密着性および高温防曇性を有し、かつ低温防曇性にも優れる防曇被膜が得られた。さらに55質量部以上85質量部以下であれば低温防曇性に優れていた。また上記親水性(メタ)アクリレートの含有量が45質量部以上70質量部以下であれば、塗膜の塗工性が良好で、かつ基材への密着性および高温防曇性に優れる防曇皮膜が得られた。さらに、ポリウレタン水分散体中の固形分100質量部に対する親水性(メタ)アクリレートの量が66質量部である実施例8(表1の実施例3に相当)では、塗工性、塗膜外観、基材への密着性、高温防曇性、低温防曇性の全ての項目においてSランクである優れた防曇コーティング組成物および防曇皮膜を得ることができた。
【0076】
[コロイダルシリカの配合量と物性との関係の評価]
コロイダルシリカの配合量を変更し、防曇コーティング組成物および防曇皮膜の物性を評価した。以下の基本配合Bに含まれる成分と共に、表3に示す配合量のコロイダルシリカ(スノーテックス(R)UP)およびホウ素系ノニオン性界面活性剤(ハイボロン(R)LB120)とを混練機で混練し、防曇コーティング組成物を作成した。配合は、コロイダルシリカの助剤であるホウ素系ノニオン性界面活性剤と、コロイダルシリカの量の比が一定になるように変更した。その後、上述の方法に従ってポリカーボネートの基材上に防曇皮膜を形成し、各評価項目について評価を行った。結果を表3に示す。
【0077】
<基本配合B>
タケラック(R)WR‐640 70質量部
タケラック(R)WR‐620 16質量部
タケラック(R)WS‐5000 14質量部
[タケラック(R)WR‐640、タケラック(R)WR‐620、およびタケラック(R)WS‐5000の合計が100質量部]
ライトエステル041MA 26質量部
X12‐641K 2質量部
DOW CORNING(R) 67 ADDITIVE 5質量部
ブチルカルビトール 8質量部
ダワノール(R)PnP 4質量部
SNデフォーマー777 0.05質量部
イルガキュア(R)2959 3質量部
基本配合Bに含まれる全成分の合計:148.05質量部
【0078】
【表3】
※実施例15は、表1の実施例3に相当
【0079】
表3の結果から、防曇コーティング組成物がコロイダルシリカを含まない場合(比較例2)、基材に対する密着性に劣ることがわかる。これに対し、コロイダルシリカを含有する防曇コーティング組成物は、比較例2と比べて基材に対する密着性が向上することが明らかとなった(実施例12〜17)。ポリウレタン水分散体中の固形分100質量部に対するコロイダルシリカ(固形分)の量が概ね10質量部以上含有することにより基材に対する密着性が安定した防曇皮膜を得ることができ、概ね55質量部以上100質量部以下の範囲においては塗膜外観に優れた防曇皮膜を得ることができ、さらに概ね60質量部以上90質量部以下の範囲においては、評価結果が全てSランクの、優れた特性を示す防曇皮膜が得られることが明らかとなった。
【0080】
[ホウ素系ノニオン性界面活性剤の配合量と物性の関係の評価]
ホウ素系ノニオン性界面活性剤の配合量を変更し、防曇コーティング組成物および防曇皮膜の物性を評価した。以下の基本配合Cに含まれる成分と、表4に示す配合量のホウ素系ノニオン性界面活性剤(ハイボロン(R)LB120(固形分濃度20%))とを混練機で混練し、防曇コーティング組成物を作成した。その後、上述の方法に従ってポリカーボネートの基材上に防曇皮膜を形成し、各評価項目について評価を行った。結果を表4に示す。
【0081】
<基本配合C>
タケラック(R)WR‐640 70質量部
タケラック(R)WR‐620 16質量部
タケラック(R)WS‐5000 14質量部
[タケラック(R)WR‐640、タケラック(R)WR‐620、およびタケラック(R)WS‐5000の合計が100質量部]
ライトエステル041MA 26質量部
スノーテックス(R)UP 120質量部
X12‐641K 2質量部
DOW CORNING(R) 67 ADDITIVE 5質量部
ブチルカルビトール 8質量部
ダワノール(R)PnP 4質量部
SNデフォーマー777 0.05質量部
イルガキュア(R)2959 3質量部
基本配合Cに含まれる全成分の合計:268.05質量部
【0082】
【表4】
※実施例21は、表1の実施例3に相当
【0083】
表4の結果から、ホウ素系ノニオン性界面活性剤を含まない場合、温水に浸漬後、特に湯中で2時間防曇皮膜を煮沸した後の基材に対する防曇皮膜の密着性が、常温で静置した状態と比較して低下することがわかる。ホウ素系ノニオン性界面活性剤を含有することで、湯中で2時間防曇皮膜を煮沸した後の基材に対する防曇皮膜の密着性を許容範囲に維持できる。中でも、湯中で2時間煮沸した後も、基材に対する防曇皮膜の密着性が充分に維持される観点から、ポリウレタン水分散体中の固形分100質量部に対しホウ素系ノニオン性界面活性剤を固形分として0.8質量部以上含有するのが好ましい(実施例20〜23)。
【0084】
[レベリング剤の配合量と物性の関係]
レベリング剤の配合量を変更し、防曇コーティング組成物および防曇皮膜の物性を評価した。以下の基本配合Dに含まれる成分と共に、表5に示す配合量のレベリング剤(DOW CORNING(R) 67 ADDITIVE)とを混練機で混練し、防曇コーティング組成物を作成した。その後、上述の方法に従ってポリカーボネートの基材上に防曇皮膜を形成し、各評価項目について評価を行った。結果を表5に示す。
【0085】
<基本配合D>
タケラック(R)WR‐640 70質量部
タケラック(R)WR‐620 16質量部
タケラック(R)WS‐5000 14質量部
[タケラック(R)WR‐640、タケラック(R)WR‐620、およびタケラック(R)WS‐5000の合計が100質量部]
ライトエステル041MA 26質量部
スノーテックス(R)UP 120質量部
ハイボロン(R)LB120(濃度20%) 2質量部
X12‐641K 2質量部
ブチルカルビトール 8質量部
ダワノール(R)PnP 4質量部
SNデフォーマー777 0.05質量部
イルガキュア(R)2959 3質量部
基本配合Eに含まれる全成分の合計:265.05質量部
【0086】
【表5】
※1 実施例24は、表1の実施例1に相当
※2 実施例27は、表1の実施例3に相当
【0087】
表5の結果から、レベリング剤を含有しない場合(実施例24)の防曇コーティング組成物および防曇皮膜においては、全ての項目において許容範囲内であるが、塗工性と高温防曇性は改善の余地があった。これに対し、レベリング剤を含有することで、全ての物性においてSランクの防曇コーティング組成物および防曇皮膜を得ることができた(実施例25〜29)。すなわち、レベリング剤を含有していなくても許容範囲の物性を備えた防曇コーティング組成物および防曇皮膜が得られるが、より安定した物性が得られる点でレベリング剤を含有するのが好ましいことが明らかとなった。
【0088】
このように、上記評価結果から、本実施形態の防曇コーティング組成物は、塗工性に優れた防曇コーティング組成物、ならびに幅広い温度環境下で防曇効果を発揮でき、塗膜の外観、基材に対する防曇皮膜の密着性、および透明性に優れた防曇皮膜を提供することが可能となることが明らかとなった。
【0089】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。