特許第6836779号(P6836779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836779常温接合法を用いたデバイスの製造方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836779
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】常温接合法を用いたデバイスの製造方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/00 20060101AFI20210222BHJP
【FI】
   B23K20/00 350
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-251625(P2016-251625)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-103215(P2018-103215A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】庄司 一郎
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−428(JP,A)
【文献】 特開昭63−212077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固体材料を常温接合法により接合し、デバイスを製造するデバイスの製造方法であって、
前記固体材料それぞれの接合面の平坦度を所定の平坦度に設定し、
前記それぞれの接合面の間に、前記各接合面に設定された平坦度の合算値以上、かつ、100μm以下の厚さを有し、前記複数の固体材料のうち、より大きな展性を有する固体材料の展性以上の展性を有する金属箔を介在させ、
前記各接合面、及び当該各接合面と接する前記金属箔の各表面を活性化した状態で、前記金属箔の各表面を前記各接合面に圧接し、前記複数の固体材料同士を一体化させることを特徴とするデバイスの製造方法。
【請求項2】
前記金属箔の各表面の表面粗さを、当該表面に対向する前記各接合面に設定された表面粗さ以下とすることを特徴とする請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項3】
前記金属箔の各表面の平坦度を0.1μm以下としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデバイスの製造方法。
【請求項4】
前記金属箔を、前記複数の固体材料のうち、より大きな展性を有する固体材料と同じ材料で形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載のデバイスの製造方法。
【請求項5】
複数の固体材料が接合されてなるデバイスであって、
前記固体材料のそれぞれの接合面の間に、当該各接合面の平坦度の合算値以上、かつ、100μm以下の厚さを有し、前記複数の固体材料のうち、より大きな展性を有する固体材料の展性以上の展性を有する金属箔を備えたことを特徴とするデバイス。
【請求項6】
前記金属箔の各表面の表面粗さが、当該表面に対向する前記各接合面の表面粗さ以下であることを特徴とする請求項5記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数の固体材料のうち、いずれかがレーザー媒質であり、他のいずれかが前記レーザー媒質を保持するホルダーであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記金属箔の熱伝導率が、レーザー媒質及びホルダーの熱伝導率以上であることを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスの製造方法等に関し、特に、複数の固体材料同士の密着性を向上可能な製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の固体材料の接合において、各固体材料の接合面に原子ビームを照射して接合面に付着する酸化膜や吸着分子を取り除き、接合面同士を突き合わせて加圧することにより、固体材料同士を接合する常温接合法という技術が開示されている(特許文献1)。
上記常温接合法は、例えば、固体レーザーのレーザーデバイスにおけるレーザー媒質(結晶)と、これを支持するホルダーとの接合において用いられる。固体レーザーでは、レーザー発振時にレーザー媒質(結晶)の発熱を伴うため、その放熱性を考慮して、これを支持するホルダーを銅により構成し、レーザー媒質と直接常温接合することにより、生じた熱をホルダー側へ逃がすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−92702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レーザー媒質とホルダーとの密着が不十分な場合、レーザー媒質からホルダーが剥離したり、レーザー媒質からホルダー側へ効率良く放熱できず、レーザー媒質内において熱レンズ効果や熱複屈折によるビーム品質の劣化を引き起こす要因となっている。一方、レーザー媒質とホルダーとの密着性を高めるために、レーザー媒体とホルダーとの間にインジウム等の軟質金属を充填剤として、隙間を埋めることも考えられるが、インジウムの熱伝導率は、ホルダーを形成する銅に比べて低く、さらにホルダーとインジウムとの間、或いは、インジウムとレーザー媒質との間に隙間が生じ得るため放熱過程における熱抵抗となる虞がある。
本発明は、上記問題点を解決すべく、常温接合法を用いて、複数の固体材料の密着度を向上可能なデバイスの製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための常温接合法を用いたデバイスの製造方法の態様として、複数の固体材料を常温接合法により接合し、デバイスを製造するデバイスの製造方法であって、固体材料それぞれの接合面の平坦度を所定の平坦度に設定し、それぞれの接合面の間に、各接合面に設定された平坦度の合算値以上、かつ、100μm以下の厚さを有し、複数の固体材料のうち、より大きな展性を有する固体材料の展性以上の展性を有する金属箔を介在させ、各接合面、及び当該各接合面と接する金属箔の各表面を活性化した状態で、金属箔の各表面を各接合面に圧接し、複数の固体材料同士を一体化させるようにした。
本態様によれば、固体材料の間に挟まれた金属箔が各接合面の凹凸を埋めるように変形して各固体材料の接合面に密着するため、固体材料同士を確実に接合することができる。
また、常温接合法を用いたデバイスの製造方法の他の態様として、金属箔の各表面の表面粗さを、当該表面に対向する前記各接合面に設定された表面粗さ以下としたり、金属箔の各表面の平坦度を0.1μm以下としたりすることにより、より確実に固体材料同士を接合することができる。
また、常温接合法を用いたデバイスの製造方法の他の態様として、金属箔を、複数の固体材料のうち、より大きな展性を有する固体材料と同じ材料で形成することにより、互いに接合される固体材料同士を、2つの固体材料で擬似的に直接接合した状態とすることができる。
また、複数の固体材料が接合されてなるデバイスの構成として、固体材料のそれぞれの接合面の間に、当該各接合面の平坦度の合算値以上、かつ、100μm以下の厚さを有し、前記複数の固体材料のうち、より大きな展性を有する固体材料の展性以上の展性を有する金属箔を備えたので、デバイスを構成する固体材料同士を密着させて強固に接合することができる。
また、他のデバイスの構成として、金属箔の各表面の表面粗さが、当該表面に対向する前記各接合面の表面粗さ以下としたことにより、より密着度を向上させることができる。
また前記複数の固体材料のうち、いずれかがレーザー媒質であり、他のいずれかがレーザー媒質を保持するホルダーとしたことにより、レーザー媒質をホルダーに密着した状態で強固に接合することができる。
また、金属箔の熱伝導率が、レーザー媒質及びホルダーの熱伝導率以上としたことにより、レーザー媒質において発熱した熱の放熱効率を向上させることができる。これにより、レーザーの高出力、高効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】レーザーデバイスの構成を示す図である。
図2】レーザー媒質及びホルダーの接合面の状態を示す図である。
図3】レーザー媒質及びホルダーの接合面を直接接触させたときの状態を示す図である。
図4】レーザー媒質及びホルダーの接合工程を示す図である。
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、常温接合法を用いてレーザー媒質2とホルダー4とを接合したレーザーデバイスを示す図である。図1に示すように、レーザーデバイス1は、いわゆる固体レーザーデバイスであって、レーザー媒質2と、ホルダー4との間に金属箔6を介して接合,一体化される。本実施形態では、レーザー媒質2としてNd:YAG(ネオジム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)の結晶を採用し、ホルダー4としてレーザー発振時における放熱性を考慮して、銅素材を採用した。また、レーザー媒質2とホルダー4との間に介在する金属箔6としてホルダー4と同じ銅素材を箔状にした銅箔を採用した。なお、レーザー媒質2としては、ルビー、Nd:ガラス、アレキサンドライト、半導体等の他の結晶であっても良い。
【0009】
図1図2に示すように、レーザー媒質2及びホルダー4は、説明の便宜上それぞれ平板矩形状に形成されているものとするが、レーザー媒質2の形状は、矩形状に限定されず円柱状等レーザー発振に好適であれば如何なる形状でも良く、ホルダー4についてもレーザー媒質2の形状に応じて適宜設定可能である。
【0010】
レーザー媒質2及びホルダー4は、互いに対向する接合面としての接合面2a及び接合面4aを有し、当該接合面2a及び接合面4a間に金属箔6が挟み込まれるように介在する。
【0011】
図2は、レーザー媒質2及びホルダー4の接合面2a;4aの状態を誇張して示した図である。図3は、レーザー媒質2及びホルダー4の接合面を直接接触させたときの状態を示す図である。図2(a),(b)に示すように、各接合面2a;4aは、少なからず凹凸を有した状態にあり、この凹凸状態が所定値以下、即ち、凹凸状態を示す平坦度(平坦性)J2;J4が所定値以下となるように予め形成される。ここで、平坦度とは、JISの定義(平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさ)に従うものであって、最も出っ張った部分に接する平面と最もへこんだ部分に接する平面との間の距離、即ち、各接合面2a;4aにおいて最も出っ張った部分と最もへこんだ部分の距離をいい、接合面2a;4aにおけるマクロ的な凹凸(うねり)の状態を示す。
【0012】
また、接合面2a;4aは、上記平坦度J2;J4に加え、それぞれ所定の表面粗さR2;R4を有するように形成することが好ましい。具体的には、接合面2aの表面粗さR2及び接合面4aの表面粗さR4は、それぞれ0.1μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1nm以下とすることが好ましい。上述の接合面2a;4aにおける平坦度J2,J4や表面粗さR2,R4の調整は、例えば、機械的(物理的)な研磨や化学的なエッチング等により予め実施される。
【0013】
金属箔6は、レーザー媒質2及びホルダー4を構成する各素材が有する展性以上の展性を有する。即ち、金属箔6には、接合対象となる各固体材料に固有の展性を比較し、より展性の大きい方の固体材料と同一材料を素材とするか、或いは、それよりも大きな展性を有する固体材料を素材とするのが好適である。
そして、このように展性の大きな素材を箔状にすることにより、固体材料と同一材料を素材としても、固体状のときに比べて展性をより大きくすることができる。なお、本実施形態では、レーザー媒質2よりも展性の大きいホルダー4と同一材料としての銅を箔状としたが、接合の確実性(密着性)という観点からは、銅よりも展性の大きい銀や金を箔状にした銀箔や金箔を用いることも可能である。一方、レーザー媒質2からホルダー4への放熱の観点からは、銅の熱伝導率が403W/m・Kであり、銀の熱伝導率が428W/m・Kであるので、銀箔を用いれば、銅箔に比べて、レーザー媒質2とホルダー4との間における熱抵抗をより小さくでき、レーザー媒質2からホルダー4への放熱性をより向上させることができる。
【0014】
金属箔6の平坦度及び厚さは、各接合面2a;4aの平坦度J2;J4に基づいて設定される。具体的には、金属箔6の各表面6a;6bの平坦度は、当該表面6a;6bとそれぞれ接する接合面2a;4aの平坦度J2,J4以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下とすると良い。
【0015】
金属箔6の厚さは、平坦度J2及び平坦度J4の合算値に応じて設定される。ここで、図2(a)乃至(c)に示すように、各図における接合面2a;4aは、平坦度J2及び平坦度J4は同じ値であっても、その形状が異なる場合がある。例えば、図2(a)に示す接合面4aの平坦度J4と、図2(b)に示す接合面4aの平坦度J4とは同一の値であるが、凹凸(うねり)の状態が異なる。よって、接合面4aの中央側が外周側よりも窪む凹状の場合に、平坦度J4を「−(マイナス)」を付加して表わすことにより、金属箔6の厚さを平坦度J2及び平坦度J4の合算値以上の厚さに設定すればよい。
【0016】
具体的には、図2(a)に示すように、接合面2aが凸状、接合面4aが凹状の場合には、平坦度J2から平坦度J4の合算値(平坦度J4は凹状であるので、平坦度J2から平坦度J4を減じることになる)tの絶対値以上の値を金属箔6の厚さとして設定する。このような設定とすれば、図3(a)に示す接合面2aと接合面4aとを直接接触させたときに、接合面2a,4a間に生じる隙間Sの最大寸法を金属箔6によって埋めることができる。また、図2(b)に示す接合面2a及び接合面4aが共に凸状、或いは、図2(c)に示す接合面2a及び接合面4aが共に凹状の場合であっても、金属箔6の厚さを平坦度J2と平坦度J4との合算値t以上とすることにより、接合面2aと接合面4aとを直接接触させたときに接合面2a,4a間に生じる隙間Sの最大寸法を埋めることができる。
【0017】
また、金属箔6の各表面6a;6bには、所定の表面粗さM2;M4が設定される。例えば、接合面2aに対向する表面6aの表面粗さM2は、接合面2aの表面粗さR2以下に設定され、ホルダー4の接合面4aに対向する表面6bの表面粗さM4は、接合面4aの表面粗さR4以下に設定される。表面粗さM2;M4は、1nm以下とすると良い。金属箔6の表面粗さM2;M4の調整は、接合面2a,4aと同様に、機械的な研磨や化学的なエッチング等により実施される。
【0018】
このように、各接合面2a;4aと接する金属箔6の表面6a;6bの表面粗さM2,M4を、接合面2a;4aの表面粗さR2,R4以下とすることにより、各接合面2a;4aと金属箔6の表面6a;6bとをそれぞれ原子レベル接合することが可能となり、レーザー媒質2及び金属箔6間、金属箔6及びホルダー4間における接合強度を高めることができる。
【0019】
図4は、常温接合法の工程を示す図である。以下、図4を用いてレーザー媒質2及びホルダー4を接合する方法について説明する。なお、レーザー媒質2の接合面2a、ホルダー4の接合面4a、及び金属箔6の表面6a;6bは、上述の平坦度J2,J4、表面粗さR2,R4,M2,M4が設定されているものとする。
【0020】
図4(a)に示すように、レーザー媒質2及びホルダー4は、真空空間、或いは、不活性ガスを封入可能なチャンバー10内に設けられた固定台座12、及び固定台座12に対して鉛直方向に昇降可能な可動台座14に取り付けられる。本実施形態では、ホルダー4を固定台座12に配置し、レーザー媒質2を可動台座14に配置し、それぞれの接合面2a;4aを互いに鉛直方向に沿って対向させる。
【0021】
次に、図4(b)に示すように、図外の支持体によって支持された金属箔6をレーザー媒質2とホルダー4との間に配置し、図4(c)に示すように、ホルダー4の接合面4aと、該接合面4aに対向する金属箔6の表面(下面)6bに、活性化手段16からアルゴン原子ビームを所定時間、例えば5分程度照射して、接合面4aと表面6bとを活性化させる。
【0022】
次に、図4(d)に示すように、図外の支持体を下降させて金属箔6をホルダー4の接合面4aに載置し、可動台座14を降下させてレーザー媒質2の接合面2aをホルダー4に載置された金属箔6の表面(上面)6aに接触させ、金属箔6をホルダー4に押し付けるように所定時間、所定の荷重で加圧する。これにより、展性の大きい金属箔6がホルダー4とレーザー媒質2との間で押し伸ばされ、ホルダー4とレーザー媒質2との間に生じる隙間Sを埋めつつ、活性化状態にあるホルダー4の接合面4a及び金属箔6の表面6bを形成する原子同士が結びつき、金属箔6の表面6bがホルダー4の接合面4aに密着して接合される。
【0023】
次に、図4(e)に示すように、可動台座14を上昇させてレーザー媒質2と金属箔6との間に所定の空隙を設ける。そして、図4(f)に示すように、レーザー媒質2の接合面2aと、該接合面2aに対向する金属箔6の表面6aに、活性化手段16からアルゴン原子ビームを所定時間、例えば5分程度照射して、接合面2aと上面6aとを活性化させる。
【0024】
次に、図4(g)に示すように、可動台座14を再び降下させてレーザー媒質2の接合面2aを、ホルダー4に接合された金属箔6の上面6aに接触させてレーザー媒質2を金属箔6に押し付けるように所定時間、所定の荷重で加圧する。当該加圧によって、金属箔6が再び押し伸ばされて隙間Sを埋めると共に、活性化状態にあるレーザー媒質2の接合面2a及び金属箔6の表面6aを形成する原子同士が結びつき、レーザー媒質2の接合面2aが金属箔6の表面6aに密着して接合される。
【0025】
そして、所定時間経過後に、固定台座12、図外の支持体及び可動台座14からレーザー媒質2、金属箔6及びホルダー4のそれぞれを取り外すことにより、金属箔6を介してレーザー媒質2とホルダー4とが一体化されたレーザーデバイス1が完成する。このように、金属箔6を介してレーザー媒質2及びホルダー4を接合,一体化することにより、レーザー媒質2及びホルダー4が金属箔6に密着するため、レーザー媒質2とホルダー4との接合強度が向上すると共に、レーザー媒質2で生じた熱がホルダー4側へ効率良く伝達され、ホルダー4から放熱されるので、固体レーザーにおける高出力、高効率化を図ることができる。
【0026】
なお、本実施形態では、金属箔6をホルダー4に接合した後に、ホルダー4に接合された金属箔6にレーザー媒質2を接合するとして説明したが、金属箔6の接合順序はこれに限られるものではなく、レーザー媒質2及びホルダー4とを同時に金属箔6に接合しても良い。
【0027】
また、接合面2a;4aや金属箔6を活性化するために、アルゴン原子を用いたが、接合面2a;4aや金属箔6の表面6a;6bを活性化できるものであれば、ネオン等の他の原子やイオンであっても良い。
【0028】
また、金属箔6をホルダー4に接合する際に、レーザー媒質2により加圧するとして説明したが、別途加圧部材によって金属箔6を加圧するようにしても良い。この場合、金属箔6の表面6aに接触する加圧部材の接触面の平坦度及び表面粗さをそれぞれレーザー媒質2の接合面2aの平坦度J2及び表面粗さR2以下、或いは、金属箔6の表面6aの平坦度及び表面粗さとすることにより、金属箔6をホルダー4に密着させることができる。
【0029】
以上、常温接合法を用いたレーザーデバイス1の製造方法を説明したが、常温接合の対象となる物質はこれに限定されず、接合対象となる複数の固体材料の接合面の平坦度及び表面粗さを上述のように形成し、各固体材料の接合面における平坦度及び表面粗さに基づいて、固体材料の接合材となる金属箔の厚さや表面における平坦度及び表面粗さ設定することにより、複数の固体材料同士を接合可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 レーザーデバイス、2 レーザー媒質、2a 接合面、
4 ホルダー、4a 接合面、6 金属箔、6a 表面(上面)、6b 表面(下面)。
図1
図2
図3
図4